JP2002173050A - 車両の前部車体構造 - Google Patents

車両の前部車体構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、溶接作業用の穴が存在していて
も、ランプサポートブレースの剛性向上を図ることが可
能な車両の前部車体構造を提供することにある。 【解決手段】 本発明は、インナブレース11およびア
ウタブレース12を備えたランプサポートブレース1
と、インナメンバー21およびアウタメンバー22を備
えたサイドメンバー2と、フロントメンバー31および
バックメンバー32を備えたロアメンバー3とを接合す
ることにより組付けられる車両の前部車体構造におい
て、ランプサポートブレース1のインナブレース11に
フランジ部11cを有する穴11aを設け、インナブレ
ース11のフランジ部11cと、ランプサポートブレー
ス1のアウタブレース12およびサイドメンバー2のイ
ンナメンバー21とを接合している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の前部車体構
造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、自動車の前部車体構造などで
は、図8に示すように、構造部材である閉断面のメンバ
ー51,52同士を溶接Sにて接合するために、一方の
メンバー51に溶接作業用の大きな穴53が設けられて
いる。そして、これらメンバー51,52を組付ける際
は、一方のメンバー51の穴53と他方のメンバー52
の先端開口部52aから図示しない溶接ガンを入れて、
重ね合わせた部分を溶接Sすることにより互いに接合し
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の車体構造にあっては、接合するメンバー51,
52の一方に溶接作業用の大きな穴53を設ける必要が
あるので、この穴53の存在によって、構造部材である
メンバーの剛性の低下を招くという不具合を有してい
る。
【0004】本発明はこのような実状に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、溶接作業用の穴が存在して
いても、ランプサポートブレースの剛性向上を図ること
が可能な車両の前部車体構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記従来技術の有する課
題を解決するために、本発明においては、インナブレー
スおよびアウタブレースを備えたランプサポートブレー
スと、インナメンバーおよびアウタメンバーを備えたサ
イドメンバーと、フロントメンバーおよびバックメンバ
ーを備えたロアメンバーとを接合することにより組付け
られる車両の前部車体構造において、前記ランプサポー
トブレースのインナブレースにフランジ部を有する穴を
設け、該インナブレースのフランジ部と、前記ランプサ
ポートブレースのアウタブレースおよび前記サイドメン
バーのインナメンバーとを接合している。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の実施の形態
に基づいて詳細に説明する。
【0007】図1〜図7は、本発明に係る車両の前部車
体構造の実施形態を示している。図における自動車の車
体前端部は、互いに接合して組付けられるランプサポー
トブレース1、サイドメンバー2およびロアメンバー3
から構成されている。ランプサポートブレース1は、図
1〜図3に示す如く、車体前端部の左右両側に位置し、
上下方向に沿って配設されている。また、サイドメンバ
ー2は、車体前端部の左右両側に位置し、車両前後方向
に沿って配設されている。さらに、ロアメンバー3は、
車体前端部の下側に位置し、車両幅方向に沿って配設さ
れている。
【0008】上記ランプサポートブレース1は、図2〜
図7に示す如く、溶接にて互いに接合されるインナブレ
ース11およびアウタブレース12を備えている。この
インナブレース11は、下部側がほぼ平坦面形状に形成
されており、その下部側には、溶接による組付け作業の
ために使用される正面視で略H字状に形成された上部穴
11aと、正面視で略U字状に形成された下部穴11b
が上下に間隔を置いて設けられている。
【0009】すなわち、上部穴11aの内周縁には、上
下一対のフランジ部11cが互いに対向して延出されて
おり、これらフランジ部11cは、アウタブレース12
側へ向かって斜め内側に切り起こされながら、先端が内
側に折り曲げられている。しかも、フランジ部11cの
先端は、溶接打点を上下位置でずらし、溶接打点同士の
ピッチを確保したまま上部穴11aの最小化を図るべ
く、車両後方へ向かって下り傾斜で、かつ相互に平行し
て傾斜配置されている。また、下部穴11bの内周縁に
は、フランジ部11dが下方へ向かって延出されてお
り、このフランジ部11dは、アウタブレース12側へ
向かって斜め内側に切り起こされながら、先端が内側に
折り曲げられている。そして、上部穴11aのフランジ
部11cと、下部穴11bのフランジ部11dの基端中
央には、上下方向へ延びるビード11f,11gがそれ
ぞれ設けられている。なお、インナブレース11には、
これをアウタブレース12側へ向かってほぼ直角に折り
曲げた水平面状の下端フランジ部11eが設けられてい
る。
【0010】また、上記アウタブレース12は、開口部
を内側に配置した断面略コ字状に形成されている。しか
も、アウタブレース12の前後端部には、図2および図
4に示す如く、これを外側へほぼ直角に折り曲げた前後
フランジ部12aが設けられている。
【0011】一方、上記サイドメンバー2は、図2、図
3および図5に示す如く、溶接にて互いに接合されるイ
ンナメンバー21およびアウタメンバー22を備えてい
る。インナメンバー21は、開口部を外側に配置した断
面略コ字状に形成されており、その下端部には、これを
外側へほぼ直角に折り曲げたフランジ部21aが設けら
れている。また、アウタメンバー22は、ほぼ平坦面形
状に形成されており、その上端部には、これを内側へほ
ぼ直角に折り曲げたフランジ部22aが設けられてい
る。上記ロアメンバー3は、図2、図5および図7に示
す如く、溶接にて互いに接合されるフロントメンバー3
1およびバックメンバー32を備えており、これらフロ
ントメンバー31およびバックメンバー32の左右両側
部は、車両後方へ向かって2段階に折り曲げられてい
る。フロントメンバー31は、開口部を車両後方側に配
置した断面略コ字状に形成されており、その上端部に
は、これを外側へほぼ直角に折り曲げたフランジ部31
aが設けられている。また、バックメンバー32は、断
面略L字状に形成されており、その下端部は、フランジ
部32aとなっている。
【0012】本発明の実施形態の前部車体構造は、以下
の組付け手順および溶接手順によって得られる。まず、
ランプサポートブレース1のインナブレース11にアウ
タブレース12を重ね合わせ、図4に示す如く、インナ
ブレース11に対してアウタブレース12のフランジ部
12aを溶接S1することにより、ランプサポートブレ
ース1を組付ける。また、サイドメンバー2のインナメ
ンバー21にアウタメンバー22を重ね合わせ、図5に
示す如く、インナメンバー21のフランジ部21aをア
ウタメンバー22へ、またアウタメンバー22のフラン
ジ部22aをインナメンバー21へ互いに溶接S2する
ことにより、サイドメンバー2を組付ける。さらに、ロ
アメンバー3のフロントメンバー31にバックメンバー
32を重ね合わせ、図5に示す如く、フロントメンバー
31のフランジ部31aをバックメンバー32へ、また
バックメンバー32のフランジ部32aをフロントメン
バー31へ溶接S3することにより、ロアメンバー3を
組付ける。
【0013】次いで、ランプサポートブレース1のイン
ナブレース11に設けた上部穴11aと、サイドメンバ
ー2の先端開口部2aから図示しない溶接ガンを入れ
て、図5および図6に示す如く、インナブレース11の
フランジ部11cと、アウタブレース12およびサイド
メンバー2のインナメンバー21との重ね合わせ部を溶
接S4により接合する。また、図4〜図6に示す如く、
ランプサポートブレース1のアウタブレース12と、サ
イドメンバー2のインナメンバー21との重ね合わせ部
を溶接S5により接合する。このような溶接により、ラ
ンプサポートブレース1のインナブレース11およびア
ウタブレース12は、共にサイドメンバー2に接合され
ることになる。
【0014】そして、ランプサポートブレース1のイン
ナブレース11に設けた下部穴11bから図示しない溶
接ガンを入れて、図5および図7に示す如く、インナブ
レース11のフランジ部11dと、アウタブレース12
との重ね合わせ部を溶接S6により接合する。また、ラ
ンプサポートブレース1のインナブレース11に設けた
下部穴11bと、ロアメンバー3の後端開口部3aから
図示しない溶接ガンを入れて、ランプサポートブレース
1のアウタブレース12と、ロアメンバー3のバックメ
ンバー32との重ね合わせ部を溶接S7により接合す
る。さらに、ランプサポートブレース1のインナブレー
ス11に設けた下部穴11bから図示しない溶接ガンを
入れて、ランプサポートブレース1のアウタブレース1
2と、ロアメンバー3のフロントメンバー31およびバ
ックメンバー32との重ね合わせ部を溶接S9により接
合する。また、ロアメンバー3の後端開口部3aから図
示しない溶接ガンを入れて、サイドメンバー2のアウタ
メンバー22と、ロアメンバー3のフロントメンバー3
1との重ね合わせ部を溶接S10により接合する。この
ような溶接により、ランプサポートブレース1のインナ
ブレース11およびアウタブレース12は、ランプサポ
ートブレース1とロアメンバー3との接合部に隣接する
位置で接合されることになる。
【0015】また、ランプサポートブレース1のインナ
ブレース11に設けた下部穴11bから図示しない溶接
ガンを入れて、図5に示す如く、インナブレース11の
下端フランジ部11eと、ロアメンバー3のバックメン
バー32のフランジ部32aおよびフロントメンバー3
1との重ね合わせ部を溶接S8により接合する。このよ
うな溶接により、ランプサポートブレース1とロアメン
バー3とは、水平面で互いに接合されることになる。
【0016】本発明の実施形態に係る前部車体構造で
は、溶接S1によって予め部組したインナブレース11
とアウタブレース12が、溶接S4,S5,S7,S9
によって、両者共にサイドメンバー2およびロアメンバ
ー3の側面に接合されているため、ランプサポートブレ
ース1の剛性を向上させることができる。しかも、ラン
プサポートブレース1のインナブレース11およびアウ
タブレース12は、ランプサポートブレース1とロアメ
ンバー3との接合部に隣接する位置で接合されているた
め、より一層、ランプサポートブレース1の剛性を向上
させることができる。また、本実施形態の前部車体構造
では、ランプサポートブレース1とロアメンバー3とが
垂直面のみならず、下端フランジ部11eの水平面にお
いても溶接S8により接合されているため、ランプサポ
ートブレース1とロアメンバー3との結合強度を向上さ
せることができる。したがって、本実施形態の前部車体
構造においては、車両前方から比較的小さな外力がロア
メンバー3に加わった時、該ロアメンバー3が受けた力
が強度結合されたランプサポートブレース1に伝わる
が、ランプサポートブレース1はサイドメンバー2に対
して側面のみで接合されていることから回転変形し、そ
れにより、車両後方への変形を軽減させることができ
る。
【0017】以上、本発明の実施の形態につき述べた
が、本発明は既述の実施形態に限定されるものではな
く、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変
更が可能である。
【0018】
【発明の効果】上述の如く、本発明に係る車両の前部車
体構造は、インナブレースおよびアウタブレースを備え
たランプサポートブレースと、インナメンバーおよびア
ウタメンバーを備えたサイドメンバーと、フロントメン
バーおよびバックメンバーを備えたロアメンバーとを接
合することにより組付けられるものにおいて、前記ラン
プサポートブレースのインナブレースにフランジ部を有
する穴を設け、該インナブレースのフランジ部と、前記
ランプサポートブレースのアウタブレースおよび前記サ
イドメンバーのインナメンバーとを接合しているので、
ランプサポートブレースの剛性向上を図ることが可能と
なり、溶接作業を行うための穴がランプサポートブレー
スのインナブレースに存在していても、構造部材の強度
低下を防止することができる。
【0019】しかも、本発明の前部車体構造において、
ランプサポートブレースのインナブレースに設ける穴を
正面視で略H字状に形成し、前記フランジ部を前記穴の
内周縁に互いに対向して延出させると共に、前記フラン
ジ部の先端を相互に平行して傾斜配置させれば、溶接ピ
ッチを確保しながら、溶接作業を行うための穴を必要最
小の大きさに形成することができる。また、本発明の前
部車体構造において、ランプサポートブレースのインナ
ブレースに設ける穴を正面視で略U字状に形成し、前記
フランジ部を前記穴の内周縁に下方へ向かって延出さ
せ、前記ランプサポートブレースと前記ロアメンバーと
の接合部に隣接する位置で、前記インナブレースのフラ
ンジ部と前記アウタブレースとを接合すれば、より一
層、ランプサポートブレースの剛性向上を図ることがで
きる。さらに、本発明の前部車体構造において、ランプ
サポートブレースのインナブレースに下端フランジ部を
設け、前記インナブレースの下端フランジ部と前記ロア
メンバーのフロントメンバーおよびバックメンバーとを
接合したり、前記ランプサポートブレースを前記サイド
メンバーおよび前記ロアメンバーの側面に接合すれば、
ランプサポートブレースとロアメンバーとの結合強度を
向上させることができると共に、比較的小さな外力を受
けた時にランプサポートブレースが回転変形することに
より、車両後方への変形を生じにくくすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る前部車体構造が適用さ
れた自動車の前端部を示す斜視図である。
【図2】図1における自動車の前端部を構成するランプ
サポートブレース、サイドメンバーおよびロアメンバー
の組付け前の状態を示す斜視図である。
【図3】図2におけるランプサポートブレース、サイド
メンバーおよびロアメンバーの位置関係を示す斜視図で
ある。
【図4】図3におけるA−A線断面図である。
【図5】図3におけるB−B線断面図である。
【図6】図5における矢印Y方向から見た正面図であ
る。
【図7】図5における矢印Z方向から見た斜視図であ
る。
【図8】従来の構造において、閉断面のメンバー同士を
溶接により接合した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ランプサポートブレース 2 サイドメンバー 3 ロアメンバー 11 インナブレース 11a 上部穴 11b 下部穴 11c,11d,11e フランジ部 12 アウタブレース 12a フランジ部 21 インナメンバー 21a フランジ部 22 アウタメンバー 22a フランジ部 31 フロントメンバー 31a フランジ部 32 バックメンバー 32a フランジ部 S1〜S10 溶接

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インナブレースおよびアウタブレースを
    備えたランプサポートブレースと、インナメンバーおよ
    びアウタメンバーを備えたサイドメンバーと、フロント
    メンバーおよびバックメンバーを備えたロアメンバーと
    を接合することにより組付けられる車両の前部車体構造
    において、前記ランプサポートブレースのインナブレー
    スにフランジ部を有する穴を設け、該インナブレースの
    フランジ部と、前記ランプサポートブレースのアウタブ
    レースおよび前記サイドメンバーのインナメンバーとを
    接合したことを特徴とする車両の前部車体構造。
  2. 【請求項2】 前記インナブレースの穴は、正面視で略
    H字状に形成され、前記フランジ部が前記穴の内周縁に
    互いに対向して延出されていると共に、前記フランジ部
    の先端は相互に平行して傾斜配置されていることを特徴
    とする請求項1に記載の車両の前部車体構造。
  3. 【請求項3】 前記インナブレースの穴は、正面視で略
    U字状に形成され、前記フランジ部が前記穴の内周縁に
    下方へ向かって延出されており、前記ランプサポートブ
    レースと前記ロアメンバーとの接合部に隣接する位置
    で、前記インナブレースのフランジ部と前記アウタブレ
    ースとが接合されていることを特徴とする請求項1に記
    載の車両の前部車体構造。
  4. 【請求項4】 前記インナブレースには、下端フランジ
    部が設けられており、前記インナブレースの下端フラン
    ジ部と前記ロアメンバーのフロントメンバーおよびバッ
    クメンバーとが接合されていることを特徴とする請求項
    1に記載の車両の前部車体構造。
  5. 【請求項5】 前記ランプサポートブレースは、前記サ
    イドメンバーおよび前記ロアメンバーの側面に接合され
    ていることを特徴とする請求項1に記載の車両の前部車
    体構造。
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