JP2002172849A - インクジェット記録用シート - Google Patents

インクジェット記録用シート

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JP2002172849A
JP2002172849A JP2000370171A JP2000370171A JP2002172849A JP 2002172849 A JP2002172849 A JP 2002172849A JP 2000370171 A JP2000370171 A JP 2000370171A JP 2000370171 A JP2000370171 A JP 2000370171A JP 2002172849 A JP2002172849 A JP 2002172849A
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coating
crosslinking agent
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mordant
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JP2000370171A
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English (en)
Inventor
Ryoichi Nakano
良一 中野
Takashi Kobayashi
孝史 小林
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ひび割れ等が発生せず、表面光沢性及びイン
ク吸収性に優れ、高濃度な画像を形成でき、発色性が良
好で画像の耐光性・耐水性に優れ、保存後の経時ニジミ
が生じないインクジェット記録用シートを提供する。 【解決手段】 支持体上に色材受容層を有するインクジ
ェット記録用シートであって、前記色材受容層は、下記
構造(1)を有する化合物からなる媒染剤(I)と、前
記化合物のアミン部と反応する部位を1分子中に2以上
有する化合物からなる架橋剤(A)と、を含むことを特
徴とするインクジェット記録用シート。 【化1】 [式中、Qは、A−NR12またはNR12を表す。前
記Aは、二価の連結基を表し、前記R1およびR2は、水
素原子を表わす。R1およびR2のいずれかはアルキル基
であってもよい。]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性インク、油性
インク等の液状インクや、常温では固体であり、溶融液
状化させた後、印画に供する固体状インク等を用いたイ
ンクジェット記録用シートに関し、詳しくは、インク受
容性能に優れ、かつ経時でのニジミの少ないインクジェ
ット記録用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報産業の急速な発展に伴い、種
々の情報処理システムが開発され、また、それぞれの情
報システムに適した記録方法および装置も開発され、実
用化されている。上記記録方法の中で、インクジェット
記録方法は、種々の被記録材に記録できること、ハード
(装置)が比較的安価であること、コンパクトであるこ
と、さらに静粛性が高いこと等により、オフィスでは勿
論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてき
ている。
【0003】また、近年のインクジェットプリンターの
高解像度化によって、いわゆる写真ライクな高画質記録
物を得ることが可能になってきた。一方、ハード(装
置)の発展に伴って、インクジェット記録用シートが各
種開発されている。上記インクジェット記録用シートに
要求される特性としては、一般的に、(1)速乾性があ
ること(インクの吸収速度が大きいこと)、(2)イン
クドットの径が適正で均一であること(滲まないこ
と)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの
真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩
度が高いこと(くすまないこと)、(7)印画部の耐光
性および耐水性が良好なこと、(8)記録シートの白色
度が高いこと、(9)記録シートの保存性が良好なこと
(長期保存で黄変着色を起こさないこと)、(10)変
形しにくく、寸法安定性が良好であること(カールが十
分小さいこと)、(11)ハード走行性が良好であるこ
と、等が挙げられる。さらに、いわゆる写真ライクな高
画質記録物を得るために用いられるフォト光沢紙用途と
しては、上記特性に加えて、光沢性、表面の平滑性、銀
塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
【0004】インクジェット記録に用いられる記録用シ
ートとしては、例えば特開昭55−51583号公報、
同55−144172号公報、同55−150395号
公報、同56−148582号公報、同56−1485
83号公報、同56−148584号公報、同56−1
48585号公報、同57−14091号公報、同57
−38185号公報、同57−129778号公報、同
57−129979号公報、同60−219084号公
報、同60−245588号公報等に記載の、シリカ等
の顔料と水溶性バインダーとを紙、プラスチックフイル
ム等の支持体に塗布したものが知られている。しかしな
がら、これら提案の記録シートにおいては、いずれも光
沢性が非常に低く、フォト光沢紙用途としては不十分で
あるという問題がある。
【0005】また、特開平2−276670号公報、同
3−215082号公報、同3−281383号公報、
同6−199035号公報等には、擬ベーマイトゾルと
水溶性バインダーを用いた記録用シートが提案されてい
る。これらの記録用シートは、光沢性の点ではある程度
の要求特性を満たすものではあるが、擬ベーマイト粒子
の製造コストが高い点、塗布液の調製が困難な点等、課
題が存在する。
【0006】さらに、光沢性を得るために各種水溶性ポ
リマーを用いた記録材料も提案されている。例えば特開
昭58−89391号公報、同58−134784号公
報、同58−134786号公報、同60−44386
号公報、同60−132785号公報、同60−145
879号公報、同60−168651号公報、同60−
171143号公報、同60−171143号公報等に
記載の、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、ゼラチン等を、紙、プラスチックフイルム等の支持
体に塗布したものが知られている。これらのインクジェ
ット記録用シートは、光沢性の点では優れるが、インク
速乾性の点で劣り、フォト光沢紙用途としては不十分で
ある。
【0007】特開平10−203006号公報、同10
−217601号公報、同11−20306号公報等で
は、微細な無機顔料微粒子および水溶性樹脂を含有し、
高い空隙率および三次元構造を有する色材受容層が支持
体上に設けられたインクジェット記録用シートが提案さ
れている。上記各インクジェット記録用シートは、十分
な性能を示すものの、印画後、高温高湿度環境下に長時
間保存された場合、染料が拡散しニジミとなる現象(以
下、この現象を「経時ニジミ」ということがある。)を
生ずるという問題がある。
【0008】上記問題点を解決するため、3級アミノ基
や4級アンモニウム塩を有する化合物、特にこれらを有
する高分子化合物を添加することが広くおこなわれてい
る。例えば、特開昭60−83882号公報、同64−
75281号公報、同59−20696号公報等に記載
の、ジアリルアンモニウム塩誘導体の(共)重合体、特
開昭61−61887号公報、同61−72581号公
報等に記載のアリルアミン塩共重合体、特開平6−34
0163号公報、同4−288283号公報、同9−3
00810号公報、同8−318672号公報、同10
−272830号公報、特開昭63−115780号公
報等に記載の、アンモニウム塩を有する(メタ)アクリ
レート、(メタ)アクリルアミド系(共)重合体、ビエ
ルベンジルアンモニウム塩(共)重合体などのビニル
(共)重合体、特開平10−44588号公報等に記載
の変性PVA、特開平6−234268号公報、同11
−277888号公報等に記載のアミン・エピクロルヒ
ドリン重付加体、特開平10−119418号公報等に
記載のジハライド・ジアミン重付加体、特開平11−5
8934号公報、同11−28860号等の各公報に記
載のポリアミジンなど、多くの化合物が用いられてい
る。
【0009】上記化合物を用いて染料の固定化を図り、
ニジミの防止がなされているが、上記化合物は、何れも
基本的に水溶性高分子化合物であり、水溶性染料を完全
には固定化できず、特に高温高湿でのニジミ改良はまだ
不十分である。また、印画後直ちにクリヤーファイル等
に保管するとインク中の水分やインク中に少量含有され
る高沸点溶剤(グリセリンやジエチレングリコール誘導
体等)が残存したままの状態であるため、やはり経時ニ
ジミが発生してしまう。
【0010】また、特開平10−292137号公報、
特開平9−156211公報等にはカチオン性架橋微粒
子を用いた記録用シートが記載されているが、ラジカル
重合で架橋するものであり、経時ニジミの発生を十分に
抑制することができない。また、特開平10−2645
11号公報にも架橋性基を有するカチオン性重合体が記
載されているが、架橋性単量体は加水分解縮合性基であ
るため、やはり経時ニジミの発生を十分に抑制すること
ができない。
【0011】また、上記のように経時ニジミの発生を抑
制するためにポリアミン系の媒染剤を用いるとかなりの
効果が期待できるが、さらに経時ニジミの発生を抑制す
る点で未だ改良の余地がある。
【0012】上記のように、ひび割れ等の発生がなく強
固で、かつ高い表面光沢性を有するとともに、良好なイ
ンク吸収性を有し高解像度で高濃度な画像を形成でき、
発色性が良好で画像の耐光性および耐水性に優れ、印画
後、高温高湿度環境下に長時間保存された場合でも経時
ニジミが生じないインクジェット記録用シートは、未だ
提供されていないのが現状である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来に
おける諸課題を解決し、以下の目的を達成することを課
題とする。即ち、本発明は、ひび割れ等の発生がなく強
固で、かつ高い表面光沢性を有するとともに、良好なイ
ンク吸収性を有し高解像度で高濃度な画像を形成でき、
発色性が良好で画像の耐光性および耐水性に優れ、印画
後、高温高湿度環境下に長時間保存された場合でも経時
ニジミが生じないインクジェット記録用シートを提供す
ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。 <1> 支持体上に色材受容層を有するインクジェット
記録用シートであって、前記色材受容層は、下記構造
(1)を有する化合物からなる媒染剤(I)と、前記化
合物のアミン部と反応する部位を1分子中に2以上有す
る化合物からなる架橋剤(A)と、を含むことを特徴と
するインクジェット記録用シートである。
【0015】
【化2】 [式中、Qは、A−NR12またはNR12を表す。前
記Aは、二価の連結基を表し、前記R1およびR2は、水
素原子を表わす。R1およびR2のいずれかはアルキル基
であってもよい。]
【0016】<2> 前記色材受容層は、さらに、無機
顔料微粒子と、水溶性樹脂と、前記水溶性樹脂を架橋し
うる架橋剤(B)と、を含むことを特徴とする<1>の
インクジェット記録用シートである。
【0017】<3> 前記架橋剤(B)は、ホウ酸また
はホウ素化合物であることを特徴とする<2>のインク
ジェット記録用シートである。
【0018】<4> 前記無機顔料微粒子は、平均一次
粒子径が20nm以下のシリカ微粒子であることを特徴
とする<2>または<3>のインクジェット記録用シー
トである。
【0019】<5> 前記無機顔料微粒子は、表面に1
nm2当り2〜3個のシラノール基を有するシリカ微粒
子であることを特徴とする<2>〜<4>のインクジェ
ット記録用シートである。
【0020】<6> 前記色材受容層は、空隙率50〜
80%を有する三次元網目構造を有し、前記無機顔料微
粒子(i)と、前記水溶性樹脂(p)との質量比(i/
p)が1.5:1〜10:1の範囲にあることを特徴と
する<2>〜<5>のインクジェット記録用シートであ
る。
【0021】<7> 前記色材受容層は、前記支持体上
に前記無機顔料微粒子と前記架橋剤(A)と前記水溶性
樹脂とを含む塗布液を塗布し、(1)該塗布と同時、
(2)該塗布によって形成される塗布層の乾燥途中であ
って、前記塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前、
および(3)前記塗布層を乾燥して塗膜を形成した後、
の少なくともいずれかに、前記媒染剤(I)と前記架橋
剤(B)とを含む溶液を付与して得られることを特徴と
する<2>〜<6>のインクジェット記録用シートであ
る。
【0022】<8> 前記色材受容層は、前記支持体上
に前記無機顔料微粒子と前記水溶性樹脂とを含む塗布液
を塗布し、(1)該塗布と同時、(2)該塗布によって
形成される塗布層の乾燥途中であって、前記塗布層が減
率乾燥速度を示すようになる前、および(3)前記塗布
層を乾燥して塗膜を形成した後、の少なくともいずれか
に、前記媒染剤(I)と前記架橋剤(A)とを反応させ
た媒染剤(II)と前記架橋剤(B)とを含む溶液を付
与して得られることを特徴とする<2>〜<6>のイン
クジェット記録用シートである。
【0023】
【発明の実施の形態】《インクジェット記録用シート》
本発明のインクジェット記録用シートは、支持体上に色
材受容層を有する。以下、該色材受容層について説明す
る。
【0024】〈色材受容層〉本発明に係る色材受容層
は、下記構造(1)を有する化合物からなる媒染剤
(I)と、前記化合物のアミン部と反応する部位を1分
子中に2以上有する化合物からなる架橋剤(A)と、を
含むことを特徴とする。
【0025】(構造(1)を有する化合物からなる媒染
剤(I))上記色材受容層に少なくとも含有される下記
構造(1)を有する化合物からなる媒染剤(I)ついて
説明する。
【0026】
【化3】 [式中、Qは、A−NR12またはNR12を表す。前
記Aは、二価の連結基を表し、前記R1およびR2は、水
素原子を表わす。R1およびR2のいずれかはアルキル基
であってもよい。]
【0027】媒染剤(I)は、上記で表される構造を有
するポリマーであり、ポリアミンの1種である。上記構
造(1)において、Qは、−A−NR12またはNR1
2を表し、上記R1およびR2は、水素原子を表わす。
またR1およびR2のいずれかはアルキル基であってもよ
い。その中でも、水素原子および炭素数1〜5のアルキ
ル基が好ましく、水素原子および炭素数1〜2のアルキ
ル基がより好ましい。また、Qが−A−NR12の場
合、Aは、2価の連結基を表す。Aとしては、炭素数1
〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数1のアルキレン
基がさらに好ましい。上記構造(1)において、Qとし
ては、例えば、−CH2−NH2、およびNH 2が、特に
好ましい。
【0028】上記媒染剤(I)の分子量は、特に限定は
ないが、実用上重量平均分子量として500以上である
ことが好ましく、1000以上であることがさらに好ま
しい。上記分子量が500以上であると耐水性をさらに
向上させることができる。
【0029】本発明において、上記色材受容層に含有さ
れる媒染剤(I)は、カチオン性のポリマーであるた
め、色材受容層に存在させることにより、アニオン性染
料を色材として有する液状インキとの間で相互作用し、
色材を安定化させ、インクジェット記録用シートの耐水
性を向上させる働きをする。
【0030】また、インクジェット記録用シ−トとして
の性能を悪化させない範囲で、必要に応じて公知の4級
アンモニウム塩または3級アミンを有する重合体(媒染
剤)や低分子化合物を、1種あるいは2種以上併用して
もよい。上記公知の媒染剤は、ポリマー媒染剤と非ポリ
マー媒染剤とに大別することができる。好ましいポリマ
ー媒染剤としては、ポリジアリルジメチルアンモニウム
クロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒ
ドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリ
エチレンイミン、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミ
ドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピ
ルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン等を挙げること
ができる。これらの化合物は、分子量は1000〜50
0000程度が好ましく、2000〜400000がさ
らに好ましい。分子量が1000〜500000の範囲
内にあると耐水性がさらに向上し、さらに、粘度が高く
なってハンドリング適性が不良となるのを防止できる。
一方、非ポリマ−性の媒染剤としては、炭素原子数の総
和が12以上、好ましくは18以上の第4級アンモニウ
ム塩基を有する化合物を挙げることができる。
【0031】媒染剤(I)、またはこれと公知の媒染剤
との含有量としては、色材受容層の全固形分に対して
0.5〜25.0質量%が好ましく、1.0〜20.0
質量%がさらに好ましい。上記含有量が0.5〜25.
0質量%の範囲内にあると十分な耐水性、経時ニジミの
防止効果が得ることができ、また、インク吸収性の悪化
を防止することができる。
【0032】上記媒染剤(I)としては、下記の構造を
有する化合物が挙げられるが、本発明はこれらの化合物
に限定されるものではない。
【0033】
【化4】
【0034】(媒染剤(I)のアミン部と反応する部位
を1分子中に2以上有する化合物からなる架橋剤
(A))つぎに、媒染剤(I)のアミン部と反応する部
位を1分子中に2以上有する化合物からなる架橋剤
(A)について説明する。本発明のインクジェット記録
用シートは、ポリアミン系の媒染剤(I)と、該媒染剤
(I)のアミン部と反応して架橋させ得る架橋剤(A)
とを併用することにより、ポリアミン系の媒染剤(I)
を単独で用いた場合に比して、経時ニジミの発生をより
効果的に防止することができる。
【0035】上記架橋剤(A)は、水溶性化合物とし
て、または水分散性のラテックス粒子として何れの形で
も使用することができる。上記架橋剤(A)の添加量
は、上記媒染剤(I)に対して0.01〜30質量%が
好ましく、0.01〜15質量%がさらに好ましい。上
記添加量が0.01〜30質量%の範囲内にあると、耐
水性および経時ニジミ防止の効果を十分に発揮できる。
なお、架橋剤(A)を後述する色材受容層用付与液に含
める場合、即ち媒染剤(I)と別に塗布等をする場合に
は、その溶液中の架橋剤(A)の濃度は、媒染剤(I)
に対して0.01〜30質量%が好ましく、0.01〜
15質量%がさらに好ましい。該濃度が0.0.1〜3
0質量%の範囲内にあると十分な耐水性および経時ニジ
ミ防止の効果を得ることが可能であるため好ましい。ま
た、上記架橋剤(A)を後述する媒染剤/架橋剤溶液に
含める場合、即ち媒染剤(I)と同時に塗布等をする場
合には、その溶液中の架橋剤(A)の濃度は、媒染剤
(I)に対して0.01〜20質量%が好ましく、0.
01〜10質量%がさらに好ましい。該濃度が0.01
〜20質量%の範囲内にあると塗布液に析出物が生じ
ず、塗布して得られたサンプルにおける耐水性および経
時ニジミ防止の効果を十分に発揮できる点で好ましい。
【0036】上記媒染剤(I)のアミン部と反応する部
位としては、エポキシ基、(メタ)アクリレート基、ア
ルデヒド基などが挙げられる。また、上記架橋剤(1)
は上記媒染剤(I)のアミン部と反応する部位を1分子
中に2以上有することが必要である。該部位を1分子中
に2以上有することで、該部位を1分子中に1つ有する
架橋剤よりも経時ニジミの発生を効果的に防止すること
ができる。
【0037】以下に架橋剤(A)の具体例(例示化合物
1〜11)を示すが、本発明はこれに限定されるもので
はない。
【0038】
【化5】
【0039】
【化6】
【0040】また、上記色材受容層は、無機顔料微粒
子、水溶性樹脂、および該水溶性樹脂を架橋し得る架橋
剤(B)を含むのが好ましい。上記無機顔料微粒子等を
含むことで、ひび割れ、高光沢性、耐水性等の基本性能
の向上と経時ニジミの発生の抑制とを同時に満足するこ
とができる。また、必要に応じて、耐光性向上剤、紫外
線吸収剤等の他の成分を含有してもよい。
【0041】(無機顔料微粒子)無機顔料微粒子として
は、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化
チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、
カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カル
シウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ベーマイ
ト、擬ベーマイト等を挙げることができる。中でも、シ
リカ微粒子が特に好ましい。上記シリカ微粒子は、比表
面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が
高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散
をおこなえば色材受容層に透明性を付与でき、高い色濃
度と良好な発色性が得られるという特徴がある。色材受
容層が透明であることは、OHP等透明性が必要とされ
る用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適
用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性を得る観点
で重要である。
【0042】上記無機顔料微粒子の平均一次粒子径とし
ては、20nm以下が好ましく、10nm以下がさらに
好ましく、3〜10nmが特に好ましい。
【0043】上記シリカ微粒子は、その表面にシラノー
ル基を有し、該シラノール基による水素結合によって粒
子同士が付着しやすいため、上記のように平均一次粒子
径が10nm以下の場合に空隙率の大きい構造を形成す
ることができる。これにより、インク吸収特性を効果的
に向上させることができる。
【0044】また、シリカ微粒子は、その製造法によっ
て湿式法粒子と乾式法粒子とに大別される。上記湿式法
では、ケイ酸塩の酸分解によって活性シリカを生成し、
これを適度に重合させ、凝集沈降させて含水シリカを得
る方法が主流である。一方、乾式法は、ハロゲン化珪素
の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)や、
ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還
元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によ
って無水シリカを得る方法が主流である。
【0045】これらの方法で得られる含水シリカおよび
無水シリカは、表面のシラノール基の密度、空孔の有無
等に相違があるため、それぞれ異なった性質を示す。特
に、無水シリカ(無水珪酸)は、空隙率が高い三次元構
造を形成しやすいため好ましい。この理由は明らかでは
ないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシ
ラノール基の密度が5〜8個/nm2と多く、シリカ微
粒子が密に凝集(アグリゲート)しやすい。一方、無水
シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の
密度が2〜3個/nm2と少ないため、疎な軟凝集(フ
ロキュレート)となる。その結果、空隙率が高い構造に
なるものと推定される。従って、本発明においては、微
粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm
2であるシリカ(シリカ微粒子)を用いることが好まし
い。
【0046】(水溶性樹脂)上記水溶性樹脂としては、
例えば、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する
樹脂である、ポリビニルアルコール(PVA)、カチオ
ン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニル
アルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポ
リビニルアセタール、セルロース系樹脂〔メチルセルロ
ース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシ
エチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロ
ース(CMC)等〕、キチン類、キトサン類、デンプ
ン;エーテル結合を有する樹脂であるポリエチレンオキ
サイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PP
O)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニル
エーテル(PVE);アミド基またはアミド結合を有す
る樹脂であるポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビ
ニルピロリドン(PVP)等が挙げられる。また、解離
性基としてカルボキシル基を有する、ポリアクリル酸
塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類を挙げ
ることができる。上記の中でも、特にポリビニルアルコ
ール類が好ましい。
【0047】上記水溶性樹脂の含有量としては、色材受
容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好まし
く、16〜33質量%がさらに好ましい。上記含有量
が、9質量%未満であると、膜強度が低下し、乾燥時に
ひび割れを生じやすくなることがあり、40質量%を超
えると、空隙が樹脂によって塞がれやすくなる結果、空
隙率が減少してインク吸収性が低下することがある。
【0048】色材受容層を主として構成する、上記無機
顔料微粒子と上記水溶性樹脂とは、それぞれ単一素材で
もよいし、複数の素材の混合系であってもよい。
【0049】また、透明性の観点から、シリカ微粒子に
組合わせる樹脂の種類が重要となる。上記無水シリカを
用いる場合には、水溶性樹脂としては、ポリビニルアル
コール(PVA)が好ましく、中でも、鹸化度70〜9
9%のPVAがさらに好ましく、鹸化度70〜90%の
PVAが特に好ましい。
【0050】上記PVAは、その構造単位に水酸基を有
するが、この水酸基とシリカ微粒子表面のシラノール基
とが水素結合を形成して、シリカ微粒子の二次粒子を鎖
単位とする三次元網目構造を形成しやすくする。上記三
次元網目構造の形成によって、空隙率の高い多孔質構造
の色材受容層を形成しうると考えられる。インクジェッ
ト記録において、上述のようにして得た多孔質の色材受
容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、イ
ンクニジミのない真円性の良好なドットを形成すること
ができる。
【0051】−無機顔料微粒子と水溶性樹脂との含有比
− 無機顔料微粒子(好ましくはシリカ微粒子;i)と水溶
性樹脂(p)との含有比〔PB比(i:p)、水溶性樹
脂1質量部に対する無機顔料微粒子の質量〕は、色材受
容層の膜構造にも大きな影響を与える。即ち、PB比が
大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当
り)が大きくなる。具体的には、上記PB比(i:p)
としては、1.5:1〜10:1が好ましい。上記PB
比が10:1を超える、即ち、PB比が大きくなりすぎ
ると、膜強度が低下し、乾燥時にひび割れを生じやすく
なることがあり、1.5:1未満、即ちPB比が小さす
ぎると、空隙が樹脂によって塞がれやすくなる結果、空
隙率が減少してインク吸収性が低下することがある。
【0052】インクジェットプリンタの搬送系を通過す
る場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、
色材受容層には十分な膜強度を有していることが必要で
ある。さらにシート状に裁断加工する場合、色材受容層
の割れ、剥がれ等を防止する上でも色材受容層には十分
な膜強度を有していることが必要である。この場合、上
記PB比としては5:1以下が好ましく、インクジェッ
トプリンターで高速インク吸収性をも確保する観点から
は、2:1以上であることが好ましい。
【0053】例えば、平均一次粒子径が20nm以下の
無水シリカ微粒子と水溶性樹脂とをPB比2:1〜5:
1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布
し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子
を鎖単位とする三次元網目構造が形成され、平均細孔径
が30nm以下、空隙率が50%〜80%、細孔比容積
0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上
の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
【0054】(架橋剤(B))上記架橋剤(B)溶液の
付与は、多孔質性の色材受容層を形成する塗布液(色材
受容層用付与液)が塗布されるのと同時に、あるいは色
材受容層用付与液を塗布して形成された塗布層が減率乾
燥速度を示すようになる前に、おこなわれることが好ま
しい。この操作によって、塗布層が乾燥する間に発生す
るひび割れの発生を効果的に防止することができる。即
ち、上記塗布液が塗布されたと同時に、あるいは塗布層
が減率乾燥速度を示すようになる前に架橋剤溶液が塗布
層内に浸透し、塗布層内の水溶性樹脂と速やかに反応
し、水溶性樹脂をゲル化(硬化)させることによって、
塗布層の膜強度を即時に大幅に向上させる。
【0055】上記水溶性樹脂を架橋しうる架橋剤(B)
としては、色材受容層に用いられる水溶性樹脂との関係
で好適な物を適宜選択すればよいが、中でも、架橋反応
が迅速である点から、ホウ素化合物が好ましく、例え
ば、硼砂、ホウ酸、ホウ酸塩(例えば、オルトホウ酸
塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg
3(BO32、Co3(BO32、二ホウ酸塩(例えば、
Mg225、Co22 5)、メタホウ酸塩(例えば、
LiBO2、Ca(BO22、NaBO2、KBO2)、
四ホウ酸塩(例えば、Na247・10H2O)、五ホ
ウ酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2611
7H2O、CsB55)、グリオキザール、メラミン・
ホルムアルデヒド(例えば、メチロールメラミン、アル
キル化メチロールメラミン)、メチロール尿素、レゾー
ル樹脂、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂等を挙げる
ことができる。中でも、速やかに架橋反応を起こす点
で、硼砂、ホウ酸、ホウ酸塩が好ましく、特に水溶性樹
脂としてポリビニルアルコールと組合わせて使用するこ
とがさらに好ましい。
【0056】上記水溶性樹脂としてゼラチンを用いる場
合には、ゼラチンの硬膜剤として知られている、以下の
化合物を架橋剤(B)として用いることができる。例え
ば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールア
ルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロ
ペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロ
エチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−
1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−
トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジ
ビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プ
ロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニ
ルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキ
サヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメ
チロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN
−メチロール化合物;
【0057】1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート
等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第301
7280号、同第2983611号に記載のアジリジン
系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載の
カルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジ
ルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチ
レン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ
系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等の
ハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジ
ヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;クロム
明ばん、カリ明ばん、硫酸ジルコニウム、酢酸クロム等
である。なお、上記架橋剤(B)は、一種単独でも、2
種以上を組合わせてもよい。
【0058】上記架橋剤(B)溶液は、架橋剤を水およ
び/または有機溶媒に溶解して調製される。架橋剤
(B)溶液中の架橋剤(B)の濃度としては、架橋剤
(B)溶液の質量に対して、0.05〜10質量%が好
ましく、0.1〜7質量%が特に好ましい。架橋剤
(B)溶液を構成する溶媒としては、一般に水が使用さ
れ、該水と混和性の有機溶媒を含む水系混合溶媒であっ
てもよい。上記有機溶媒としては、架橋剤(B)が溶解
するものであれば任意に使用することができ、例えば、
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、グ
リセリン等のアルコール;アセトン、メチルエチルケト
ン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル;
トルエン等の芳香族溶剤;テトラヒドロフラン等のエー
テル、およびジクロロメタン等のハロゲン化炭素系溶剤
等を挙げることができる。
【0059】(その他の添加剤)本発明のインクジェッ
ト記録用シートにはその他の必要に応じて、例えば、色
材の劣化を抑制する目的で、各種の紫外線吸収剤、酸化
防止剤、一重項酸素クエンチャー等の耐光性向上剤など
を含んでいてもよい。上記紫外線吸収剤としては、桂皮
酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾリル
フェノール誘導体等が挙げられる。例えば、α−シアノ
−フェニル桂皮酸ブチル、o−ベンゾトリアゾールフェ
ノール、o−ベンゾトリアゾール−p−クロロフェノー
ル、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−ブチル
フェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t
−オクチルフェノール等が挙げられる。ヒンダートフェ
ノール化合物も紫外線吸収剤として使用でき、具体的に
は少なくとも2位または6位のうち1ヵ所以上が分岐ア
ルキル基で置換されたフェノール誘導体が好ましい。
【0060】また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系
紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線
吸収剤等も使用できる。例えば、特開昭47−1053
7号公報、同58−111942号公報、同58−21
2844号公報、同59−19945号公報、同59−
46646号公報、同59−109055号公報、同6
3−53544号公報、特公昭36−10466号公
報、同42−26187号公報、同48−30492号
公報、同48−31255号公報、同48−41572
号公報、同48−54965号公報、同50−1072
6号公報、米国特許第2,719,086号明細書、同
3,707,375号明細書、同3,754,919号
明細書、同4,220,711号明細書等に記載されて
いる。
【0061】蛍光増白剤も紫外線吸収剤として使用で
き、例えば、クマリン系蛍光増白剤等が挙げられる。具
体的には、特公昭45−4699号公報、同54−53
24号公報等に記載されている。
【0062】上記酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開
特許第223739号公報、同309401号公報、同
309402号公報、同310551号公報、同第31
0552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開
特許第3435443号公報、特開昭54−48535
号公報、同60−107384号公報、同60−107
383号公報、同60−125470号公報、同60−
125471号公報、同60−125472号公報、同
60−287485号公報、同60−287486号公
報、同60−287487号公報、同60−28748
8号公報、同61−160287号公報、同61−18
5483号公報、同61−211079号公報、同62
−146678号公報、同62−146680号公報、
同62−146679号公報、同62−282885号
公報、同62−262047号公報、同63−0511
74号公報、同63−89877号公報、同63−88
380号公報、同66−88381号公報、同63−1
13536号公報、
【0063】同63−163351号公報、同63−2
03372号公報、同63−224989号公報、同6
3−251282号公報、同63−267594号公
報、同63−182484号公報、特開平1−2392
82号公報、特開平2−262654号公報、同2−7
1262号公報、同3−121449号公報、同4−2
91685号公報、同4−291684号公報、同5−
61166号公報、同5−119449号公報、同5−
188687号公報、同5−188686号公報、同5
−110490号公報、同5−1108437号公報、
同5−170361号公報、特公昭48−43295号
公報、同48−33212号公報、米国特許第4814
262号明細書、同第4980275号明細書等に記載
のものが挙げられる。
【0064】具体的には、6−エトキシ−1−フェニル
−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリ
ン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメ
チル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−
フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−
テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−
2,2,4−トリメチル−1,2,3,4,−テトラヒ
ドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2
−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチ
ル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0065】上記耐光性向上剤は、単独でも2種以上を
併用してもよい。また、耐光性向上剤は、水溶性化、分
散、エマルション化してもよく、マイクロカプセル中に
含ませることもできる。上記耐光性向上剤の添加量とし
ては、色材受容層用塗布液の0.01〜10質量%が好
ましい。
【0066】また、無機顔料微粒子の分散性を高める目
的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等
を含んでいてもよい。さらに、塗布適性や表面品質を高
める目的で各種の界面活性剤を、表面の摩擦帯電や剥離
帯電を抑制する目的で、イオン導電性を持つ界面活性剤
や電子導電性を持つ金属酸化物微粒子を、表面の摩擦特
性を低減する目的で各種のマット剤を含んでいてもよ
い。
【0067】<支持体>本発明のインクジェット記録用
シートは、支持体上の少なくとも片面に色材受容層を有
してなる。ここでは、上記支持体について説明する。支
持体として使用できる材料としては、プラスチック等の
透明材料を用いても、紙等の不透明な材料を用いてもよ
い。本発明においては、色材受容層の透明性を生かす上
で、支持体は透明支持体、または高光沢の不透明支持体
であることが好ましい。透明支持体として使用できる材
料としては、OHPまたはバックライトディスプレイで
使用される時の輻射熱に耐える性質を有し、透明性を有
する材料が好ましい。このような材料としては、ポリエ
チレンテレフタレート等のポリエステル類、ニトロセル
ロース、セルロースアセテート、セルロースアセテート
ブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、
ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネ
ート、ポリアミド等が好適に挙げられる。その中でも、
ポリエステル類がより好ましく、ポリエチレンフタレー
トが特に好ましい。透明支持体の厚さについては、特に
制限はないが、50〜200μmのものが取り扱い易
く、好ましい。
【0068】高光沢の不透明支持体としては、色材受容
層の設けられる側の表面が、40%以上の光沢度を有す
るものが好ましい。上記光沢度は、JIS P−814
2(紙および板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載
の方法に従って測定することにより求められる値であ
る。高光沢の不透明支持体の例としては、アート紙、コ
ート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用
されるバライタ紙等の高光沢の紙、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロ
ース、セルロースアセテートおよびセルロースアセテー
トブチレート等のセルロースエステル類、あるいはポリ
スルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポ
リカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルム
に白色顔料等を含有させて不透明にした高光沢の(表面
カレンダー処理等をおこなってもよい)フィルム、ある
いは上記各種紙、上記透明プラスチックフィルムまたは
白色顔料等含有プラスチックフィルムの表面に、白色顔
料を含有するか、あるいは含有しないポリオレフィンの
被覆層が設けられた支持体を挙げることができる。
【0069】さらに、白色顔料含有発泡ポリエステルフ
ィルム(例、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸に
より空隙を形成した発泡PET)も挙げることができ
る。また銀塩写真用支持体として一般的に使用されてい
るポリオレフィンコート紙(表面に白色顔料含有ポリオ
レフィン層が設けられた紙支持体等)、あるいは金属蒸
着層等が設けられた特殊紙等を、好適に使用することが
できる。その中でも、白色顔料含有ポリオレフィン層が
設けられた銀塩写真用紙支持体、白色顔料含有ポリオレ
フィン層が設けられたポリエステル(好ましくはPE
T)フィルム、白色顔料含有ポリエステルフィルムある
いは白色顔料含有発泡ポリエステルフィルムが好まし
い。不透明支持体の厚さはついても、特に制限はない
が、50〜300μmのものが取り扱い易く好ましい。
支持体としては、受像層との密着性を付与するためコロ
ナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処
理を施したものを使用してもよい。
【0070】(インクジェット記録用シートの作製)本
発明のインクジェット記録用シートの色材受容層は、支
持体上に無機顔料微粒子と、架橋剤(A)と、水溶性樹
脂とを含有する第1の溶液(塗布液)を塗布等し、
(1)該塗布と同時に、(2)該塗布により形成された
層が減率乾燥速度を示す前に、(3)上記記塗布層を乾
燥して塗膜を形成した後の少なくともいずれかに、上記
媒染剤(I)と、水溶性樹脂を架橋させ得る架橋剤
(B)と、含む第2の溶液を該層に付与して、膜中で媒
染剤(I)と架橋剤(A)とを反応させ、また、上記水
溶性樹脂を架橋剤(B)によって硬化させて得られるの
が好ましい。
【0071】また、別の態様として、本発明のインクジ
ェット記録用シートの色材受容層は、架橋剤(A)を上
記第1の溶液ではなく、該架橋剤(A)と媒染剤(I)
とを反応させた媒染剤(II)として上記第2の溶液に
含め、上述のように、上記水溶性樹脂を架橋剤(B)に
よって硬化させて得られるものも好ましい。
【0072】さらに、本発明のインクジェット記録用シ
ートの色材受容層は、無機顔料微粒子および水溶性樹脂
を含有する第1の溶液と、架橋剤(B)を含有する溶液
とを、架橋剤と反応しない材料からなるバリアー液(但
し、架橋剤(B)を含む溶液若しくはバリアー液の少な
くとも一方に媒染剤(I)および架橋剤(A)を含有さ
せる。)を挟んだ状態で支持体上に同時塗布し、硬化さ
せることによって得ることもできる。
【0073】上記のように、本発明においては、架橋剤
(B)と共に、媒染剤(I)または、該媒染剤(I)と
架橋剤(A)を同時塗布することによって、色材受容層
の耐水性を向上させている。即ち、上記媒染剤(I)
を、色材受容層用付与液に添加すると、該媒染剤(I)
はカチオン性であるので、シリカ等の、表面にアニオン
電荷を持つ無機顔料微粒子との共存下では凝集を生ずる
場合があるが、媒染剤(I)を含む溶液と色材受容層用
付与液とをそれぞれを独立に調製し、個々に付与する方
法を採用すれば、無機顔料微粒子の凝集を考慮する必要
がなく、媒染剤(I)の選択範囲が広がる。
【0074】本発明において、無機顔料微粒子と水溶性
樹脂とを少なくとも含有する第1の溶液(色材受容層用
付与液)は、例えば、以下のようにして調製できる。即
ち、平均一次粒子径20nm以下のシリカ微粒子を水中
に添加して(例えば、10〜20質量%)、高速回転湿
式コロイドミル(例えば、クレアミックス(エム・テク
ニック(株)製))を用いて、例えば、10000rp
m(好ましくは5000〜20000rpm)の高速回
転の条件で20分間(好ましくは10〜30分間)分散
させた後、ポリビニルアルコール水溶液(例えば、シリ
カの1/3程度の質量のPVAとなるように)を加え、
さらに上記と同じ回転条件で分散をおこなうことにより
調製することができる。得られた色材受容層用付与液は
均一ゾルであり、これを下記方法で支持体上に付与する
ことにより、三次元網目構造を有する多孔質性の色材受
容層を形成することができる。上記色材受容層用付与液
には、必要に応じて、さらに界面活性剤、pH調整剤、
帯電防止剤等を添加することもできる。
【0075】色材受容層用付与液の付与は、(1)支持
体上に塗布する方法、(2)スプレー等の方法により噴
霧する方法、(3)付与液中に、支持体を浸漬する方
法、等が挙げられるが、本発明においては、例えば、エ
クストルージョンダイコータ、エアードクターコータ、
ブレッドコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、スクイ
ズコータ、リバースロールコータ、バーコータ等の公知
の塗布方法により付与するのが好ましい。
【0076】本発明においては、色材受容層用付与液の
付与により形成した層に、媒染剤(I)と架橋剤(B)
とを少なくとも含有する第2の溶液(媒染剤/架橋剤溶
液)を導入し乾燥することで、架橋反応により硬化され
た色材受容層を得ることができる。上記媒染剤/架橋剤
溶液は、支持体上に色材受容層用付与液を付与した後、
該層が減率乾燥速度を示す前に付与してもよい。即ち、
色材受容層用付与液の付与後、該層が恒率乾燥速度を示
している間に、上記媒染剤/架橋剤溶液を導入すること
によって、色材受容層を得ることができる。
【0077】上記「該層が減率乾燥速度を示す前」と
は、通常、色材受容層用付与液の付与直後から数分間を
指し、この間においては、付与された該層における溶剤
の含有量が時間に比例して減少する現象である恒率乾燥
速度を示す。該恒率乾燥速度を示す時間については、化
学工学便覧(p.707〜712、丸善(株)発行、昭
和55年10月25日)に記載されている。
【0078】上記の通り、色材受容層用付与液の付与
後、該層が減率乾燥速度を示すようになるまで乾燥され
るが、該乾燥は一般に50〜180℃で0.5〜10分
間(好ましくは、0.5〜5分間)おこなわれる。この
乾燥時間としては、当然色材受容層用付与液の付与量に
より異なるが、上記範囲が適当である。
【0079】上記層が減率乾燥速度を示す前に上記媒染
剤/架橋剤溶液を付与する方法としては、(1)媒染剤
/架橋剤溶液を塗布層上に更に塗布する方法、(2)ス
プレー等の方法により噴霧する方法、(3)媒染剤/架
橋剤溶液中に、該塗布層が形成された支持体を浸漬する
方法、等が挙げられる。
【0080】上記方法(1)において、媒染剤/架橋剤
溶液を塗布する方法としては、例えば、カーテンフロー
コータ、エクストルージョンダイコータ、エアードクタ
ーコーター、ブレッドコータ、ロッドコータ、ナイフコ
ータ、スクイズコータ、リバースロールコータ、バーコ
ータ等の公知の塗布方法を利用することができる。しか
し、エクストリュージョンダイコータ、カーテンフロー
コータ、バーコータ等のように、既に形成されている層
にコータが直接接触しない方法を利用することが好まし
い。
【0081】上記媒染剤/架橋剤溶液の塗布量として
は、架橋剤換算で0.01〜10g/m2が一般的であ
り、0.05〜5g/m2が好ましい。
【0082】上記媒染剤/架橋剤溶液の付与後は、一般
に40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥お
よび硬化がおこなわれる。中でも、40〜150℃で1
〜20分間加熱することが好ましい。例えば、上記媒染
剤/架橋剤溶液中に含有する架橋剤として、硼砂やホウ
酸を使用する場合には、60〜100℃での加熱を5〜
20分間おこなうことが好ましい。
【0083】また、上記媒染剤/架橋剤溶液は、色材受
容層用付与液を支持体上に付与すると同時に付与しても
よい。この場合、色材受容層用付与液および媒染剤/架
橋剤溶液を、該色材受容層用付与液が支持体と接触する
ようにして、支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その
後乾燥硬化させることにより色材受容層を形成すること
ができる。
【0084】上記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エ
クストルージョンダイコータ、カーテンフローコータを
用いた塗布方法によりおこなうことができる。同時塗布
の後、形成された層は乾燥されるが、この場合の乾燥
は、一般に該層を40〜150℃で0.5〜10分間加
熱することによりおこなわれ、好ましくは、40〜10
0℃で0.5〜5分間加熱することによりおこなわれ
る。例えば、媒染剤/架橋剤溶液に含有する架橋剤
(B)として硼砂やホウ酸を使用する場合は、60〜1
00℃で5〜20分間加熱することが好ましい。
【0085】上記同時塗布(重層塗布)を、例えば、エ
クストルージョンダイコータによりおこなった場合、同
時に吐出される二種の溶液は、エクストルージョンダイ
コータの吐出口附近で、即ち、支持体上に移る前に重層
形成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布
前に重層された二層の溶液は、支持体に移る際、既に二
液の界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルー
ジョンダイコータの吐出口付近では、吐出される二液が
混合して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合が
ある。従って、上記のように同時塗布する際は、色材受
容層用付与液および媒染剤/架橋剤溶液の付与ととも
に、更に架橋剤と反応しない材料からなるバリアー層液
(中間層液)を上記二液間に介在させて同時三重層塗布
することが好ましい。
【0086】上記バリアー層液は、媒染剤(I)、架橋
剤(B)および媒染剤(II)と反応せず液膜を形成で
きるものであれば、特に制限なく選択できる。例えば、
架橋剤(B)と反応しない水溶性樹脂を微量含む水溶液
や、水などを挙げることができる。上記水溶性樹脂は、
増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用されるもの
で、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、メ
チルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ−ス、
ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが挙げら
れる。尚、バリアー層液には、上記媒染剤(I)を含有
させることもできる。
【0087】支持体上に色材受容層を形成した後、該色
材受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレン
ダなどを用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカ
レンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、
透明性および塗膜強度を向上させることが可能である。
しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させ
る要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低
下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を
設定しておこなう必要がある。
【0088】カレンダー処理をおこなう場合のロール温
度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100
℃がより好ましい。また、カレンダー処理時のロール間
の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、
100〜200kg/cmがより好ましい。
【0089】上記色材受容層の層厚としては、インクジ
ェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収
容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決
定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2
で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm
以上の膜が必要となる。この点を考慮すると、インクジ
ェット記録の場合には、色材受容層の層厚としては、1
0〜50μmが好ましく、15〜50μmがより好まし
い。
【0090】また、色材受容層の細孔径は、メジアン径
で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜
0.025μmがより好ましい。上記空隙率および細孔
メジアン径は、水銀ポロシメーター(商品名:ボアサイ
ザー9320−PC2、(株)島津製作所製)を用いて
測定することができる。
【0091】また、色材受容層は、透明性に優れている
ことが好ましいが、その目安としては、色材受容層を透
明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30
%以下であることが好ましく、20%以下であることが
より好ましい。上記ヘイズ値は、ヘイズメーター(HG
M−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定すること
ができる。
【0092】上記色材受容層は、支持体の片面のみに設
けてもよいし、カール等の変形を抑制する等の目的で、
支持体の両面に設けてもよい。OHP等で用いる場合で
あって、色材受容層を支持体の片面のみに設ける場合
は、その反対側の表面、あるいはその両面に、光透過性
を高める目的で反射防止膜を設けることもできる。ま
た、支持体上には、色材受容層と支持体との間の接着性
を高めたり、電気抵抗を調整する等の目的で、下塗層を
設けてもよい。
【0093】さらに、色材受容層と支持体との間の該支
持体上に、ホウ酸またはホウ素化合物を塗工してもよ
い。これにより、色材受容層の記録面の光沢性、表面平
滑性を確保しながら、高温高湿環境下に保持した際の画
像のニジミを回避することができる。上記ホウ酸または
ホウ素化合物としては、例えば、硼砂、ホウ酸、ホウ酸
塩(例えば、オルトホウ酸塩、InBO3、ScBO3
YBO3、LaBO3、Mg3(BO32、Co3(B
32等)、二ホウ酸塩(例えば、Mg225、Co2
25等)、メタホウ酸塩(例えば、LiBO2、Ca
(BO22、NaBO 2、KBO2等)、四ホウ酸塩(例
えば、Na247・10H2O等)、五ホウ酸塩(例え
ば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、Cs
55等)等が挙げられ、塗工量としては、支持体の一
方の表面当り、0.1g/m2以上が好ましく、0.1
〜5.0g/m2がより好ましい。
【0094】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
なお、実施例中の「部」および「%」は、全て「質量
部」および「質量%」を表す。
【0095】(実施例1) <支持体の作製>LBKP100部からなる木材パルプ
を、ダブルディスクリファイナーによりカナディアンフ
リーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸ア
ミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、
ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カ
チオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプ
に対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により坪量
し、170g/m2の原紙を抄造した。
【0096】上記原紙の表面サイズを調整するため、ポ
リビニルアルコール4%水溶液に蛍光増白剤(Whit
ex BB;住友化学工業(株)製)を0.04%添加
し、これを絶乾質量で0.5g/m2となるように、上
記原紙に含浸させ,乾燥した後、さらにキャレンダー処
理を施して、密度1.05に調整された基紙を得た。
【0097】上記基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ
放電処理をおこなった後、溶融押出機を用いて高密度ポ
リエチレンを厚さ19μmとなるようにコーティング
し、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、樹脂層
面を「裏面」と称する)。この裏面の樹脂層にコロナ放
電処理した後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム
(アルミナゾル100;日産化学工業(株)製)と、二
酸化ケイ素(スノーテックスO;日産化学工業(株)
製)とを、1:2の比(質量比)で水に分散させた分散
液を、乾燥質量が0.2g/m2となるように塗布し
た。
【0098】次に、上記樹脂層を裏面に形成した原紙に
おいて、樹脂層の設けられていない側のフェルト面(表
面)に、コロナ放電処理をおこなった後、アナターゼ型
二酸化チタン10%、微量の群青、および蛍光増白剤
0.01%(対ポリエチレン)を含有した、MFR(メ
ルトフローレート)が3.8の低密度ポリエチレンを、
溶融押出機を用いて厚さ29μmとなるように溶融押し
出しし、光沢面からなる熱可塑性樹脂層を上記基紙上に
形成し、(以下、熱可塑性樹脂層面を「表面」と称す
る。)、これを支持体とした。
【0099】<色材受容層用付与液の調製>下記組成中
の(1)シリカ微粒子および(2)イオン交換水を混合
し、高速回転式コロイドミル(クレアミックス;エム・
テクニック(株)製)を用いて、回転数10000rp
mの条件で、20分間分散させた後、下記(3)ポリビ
ニルアルコール9%水溶液と(4)上記例示化合物1の
20%溶液を加え、さらに上記と同一条件で分散をおこ
ない、色材受容層用付与液Aを調製した。シリカ微粒子
と水溶性樹脂との質量比(PB比/(1):(3))
は、3.5:1であった。
【0100】 [色材受容層用付与液Aの組成] (1)シリカ微粒子(無機顔料微粒子) 9.9部 (平均一次粒子径7nm;アエロジル300、日本アエロジル(株)製) (2)イオン交換水 73.1部 (3)ポリビニルアルコール9%水溶液(水溶性樹脂) 31.6部 (PVA420、(株)クラレ製、鹸化度81.8%、重合度2000) (4)例示化合物1 20%水溶液 0.6部 (架橋剤(A)、デナコールEX614B、ナガセ化成工業(株)製)
【0101】<インクジェット記録用シートの作製>ま
ず、上記支持体の表面に、上記色材受容層用付与液を、
エクストルージョンダイコーターを用いて200ml/
2の塗布量で塗布し(塗布工程)、熱風乾燥機にて8
0℃(風速3〜8m/sec)で塗布層の固形分濃度が
20%になるまで乾燥させた。塗布層はこの期間、恒率
乾燥速度を示した。その直後、下記組成の媒染剤/架橋
剤含有溶液Aに30秒間浸漬して、該塗布層上に、該溶
液を20g/m2の割合で付着させ(架橋剤含有溶液を
付与する工程)、さらに80℃下で10分間乾燥させた
(乾燥工程)。これにより、支持体の表面に、乾燥膜厚
32μmの色材受容層を有する本発明のインクジェット
記録用シート(1)を作製した。
【0102】 [媒染剤/架橋剤含有溶液Aの組成] (1)硼酸 1.8部 (2)界面活性剤10%水溶液 2.4部 (F−144 大日本インキ化学工業(株)) (3)イオン交換水 101.5部 (4)ポリアリルアミン 20%水溶液 9.5部 (媒染剤(I)、分子量5000)
【0103】[実施例2]実施例1において、色材受容
層用付与液A、および媒染剤/架橋剤含有溶液Aに代え
て、下記色材受容層用付与液B、および媒染剤/架橋剤
含有溶液Bを使用した以外は実施例1と同様にしてイン
クジェット記録用シート(2)を作製した。
【0104】 [色材受容層用付与液Bの組成] (1)シリカ微粒子 9.9部 (平均一次粒子径7nm;アエロジル300、日本アエロジル(株)製) (2)イオン交換水 73.1部 (3)ポリビニルアルコール9%水溶液 31.6部 (PVA420、(株)クラレ製、鹸化度81.8%、重合度2000)
【0105】 [媒染剤/架橋剤含有溶液Bの組成] (1)硼酸 1.8部 (2)界面活性剤10%水溶液 2.4部 (F−144 大日本インキ化学工業(株)) (3)イオン交換水 101.5部 (4)ポリアリルアミン 20%水溶液 8.8部 (媒染剤(I)、分子量5000) (5)例示化合物1 1%水溶液 6部 (架橋剤(A)、デナコールEX614B、ナガセ化成工業(株)製)
【0106】[比較例1]実施例1において、色材受容
層用付与液Aに代えて、下記色材受容層用付与液Bを使
用した以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録
用シート(3)を作製した。
【0107】(評価方法)上記実施例1〜2で作製され
たインクジェット記録用シート(1)および(2)、並
びに比較例1で作製されたインクジェット記録用シート
(3)のそれぞれについて、以下の測定および性能評価
をおこなった。評価結果を表1に示す。
【0108】(1−1)インク吸収速度 インクジェットプリンタ(PM−770C、セイコーエ
プソン(株)製)を用いて、インクジェット記録用シー
トに、Y(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K
(黒)、B(青)、G(緑)およびR(赤)のベタ印字
をし、その直後(約10秒後)、該画像上に紙を接触押
圧し、インクの紙への転写の有無を下記の基準に従って
評価した。 〔基準〕 AA:紙上へのインクの転写は全く認められなかった。
インク吸収速度が良好な事を示す。 CC:紙上へのインクの一部転写が認められた。
【0109】(1−2)ひび割れの発生 インクジェット記録用シートの表面に発生したひび割れ
の有無、およびその大きさを目視で観察し、下記の基準
に従って評価した。 〔基準〕 AA:表面にひび割れは全く認められなかった。 BB:1〜2mmの長さのひび割れが認められた。 CC:3mm以上の長さのひび割れが認められた。
【0110】(1−3)耐水性 上記(1−1)と同じプリンタを用いて、インクジェッ
ト記録用シート上に同じ印画パターンを形成し、3時間
放置した後、水中に一分間浸して、インクの水中への流
出程度を目視で観察し、下記の基準に従って評価した。 〔基準〕 AA:染料の流出が全く認められなかった。 BB:染料の流出した部分が認められ、色濃度が低下し
た。 CC:染料がほぼ完全に水中に流出してしまった。
【0111】(1−4)経時ニジミ 上記(1−1)と同じプリンタを用いて、インクジェッ
ト記録用シート上にマゼンタインクとブラックインクと
を隣り合わせにした格子状の線状パターン(線幅0.2
8mm)を印画した。印画後3時間放置した後、40
℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽に3日間保管し、ブラ
ック部分の線幅を測定して、下記基準に従い評価した。 〔基準〕 AA:経時ニジミの発生はほとんど認められず、良好で
あった。(線幅:0.28〜0.30mm) BB:若干の経時ニジミが認められたが、実用上問題な
いレベルであった。(線幅:0.31〜0.35mm) CC:経時ニジミが顕著に認められ、実用上問題のある
レベルであった。(線幅:0.35以上)
【0112】
【表1】
【0113】上記表1の結果から、本発明のインクジェ
ット記録用シート(1)および(2)は、良好なインク
吸収性能を示し、色材受容層はひび割れ等の発生がなく
強固であり、さらに耐水性にも優れ、印画後、高温高湿
環境下に保持した場合でも、経時ニジミは認められなか
った。これに対し、比較例1のインクジェット記録用シ
ート(3)は、経時ニジミの発生が認められた。
【0114】
【発明の効果】本発明によると、色材受容層中に、上記
構造(1)を有する化合物からなる媒染剤(I)と、該
化合物のアミン部と反応する部位を1分子中に少なくと
も2以上有する化合物からなる架橋剤(A)とを含ませ
ることで、ひび割れ等の発生がなく強固で、かつ高い表
面光沢性を有するとともに、良好なインク吸収性を有し
高解像度で高濃度な画像を形成でき、発色性が良好で画
像の耐光性および耐水性に優れ、印画後、高温高湿度環
境下に長時間保存された場合でも経時ニジミが生じない
インクジェット記録用シートを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA13 FC06 2H086 BA15 BA31 BA33 BA34 BA41 BA46 4D075 CA35 DB18 DC27 EC03 EC53

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に色材受容層を有するインクジ
    ェット記録用シートであって、前記色材受容層は、下記
    構造(1)を有する化合物からなる媒染剤(I)と、前
    記化合物のアミン部と反応する部位を1分子中に2以上
    有する化合物からなる架橋剤(A)と、を含むことを特
    徴とするインクジェット記録用シート。 【化1】 [式中、Qは、A−NR12またはNR12を表す。前
    記Aは、二価の連結基を表し、前記R1およびR2は、水
    素原子を表わす。R1およびR2のいずれかはアルキル基
    であってもよい。]
  2. 【請求項2】 前記色材受容層は、さらに、無機顔料微
    粒子と、水溶性樹脂と、前記水溶性樹脂を架橋しうる架
    橋剤(B)と、を含むことを特徴とする請求項1に記載
    のインクジェット記録用シート。
  3. 【請求項3】 前記架橋剤(B)は、ホウ酸またはホウ
    素化合物であることを特徴とする請求項2に記載のイン
    クジェット記録用シート。
  4. 【請求項4】 前記無機顔料微粒子は、平均一次粒子径
    が20nm以下のシリカ微粒子であることを特徴とする
    請求項2または3に記載のインクジェット記録用シー
    ト。
  5. 【請求項5】 前記無機顔料微粒子は、表面に1nm2
    当り2〜3個のシラノール基を有するシリカ微粒子であ
    ることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のイ
    ンクジェット記録用シート。
  6. 【請求項6】 前記色材受容層は、空隙率50〜80%
    を有する三次元網目構造を有し、前記無機顔料微粒子
    (i)と、前記水溶性樹脂(p)との質量比(i/p)
    が1.5:1〜10:1の範囲にあることを特徴とする
    請求項2〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用
    シート。
  7. 【請求項7】 前記色材受容層は、前記支持体上に前記
    無機顔料微粒子と前記架橋剤(A)と前記水溶性樹脂と
    を含む塗布液を塗布し、(1)該塗布と同時、(2)該
    塗布によって形成される塗布層の乾燥途中であって、前
    記塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前、および
    (3)前記塗布層を乾燥して塗膜を形成した後、の少な
    くともいずれかに、前記媒染剤(I)と前記架橋剤
    (B)とを含む溶液を付与して得られることを特徴とす
    る請求項2〜6のいずれかに記載のインクジェット記録
    用シート。
  8. 【請求項8】 前記色材受容層は、前記支持体上に前記
    無機顔料微粒子と前記水溶性樹脂とを含む塗布液を塗布
    し、(1)該塗布と同時、(2)該塗布によって形成さ
    れる塗布層の乾燥途中であって、前記塗布層が減率乾燥
    速度を示すようになる前、および(3)前記塗布層を乾
    燥して塗膜を形成した後、の少なくともいずれかに、前
    記媒染剤(I)と前記架橋剤(A)とを反応させた媒染
    剤(II)と前記架橋剤(B)とを含む溶液を付与して
    得られることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記
    載のインクジェット記録用シート。
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