JP2002162512A - 高反射性の銀鏡及び反射型光学素子 - Google Patents

高反射性の銀鏡及び反射型光学素子

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JP2002162512A
JP2002162512A JP2001276440A JP2001276440A JP2002162512A JP 2002162512 A JP2002162512 A JP 2002162512A JP 2001276440 A JP2001276440 A JP 2001276440A JP 2001276440 A JP2001276440 A JP 2001276440A JP 2002162512 A JP2002162512 A JP 2002162512A
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Masanobu Okane
政信 大金
Hideyuki Hatakeyama
英之 畠山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造コストの低減が可能であり、かつ高反射
性を有する銀鏡及びその製造方法、並びにこの銀鏡を用
いた反射型光学部品を提供すること。 【解決手段】 リンを含有するガラス基材の耐酸性保護
層を設けた面に銀層を成膜して銀鏡構造を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はリンを含有するガラ
ス基材を用いた高反射性の銀鏡及びその製造方法、並び
にこの銀鏡を用いた反射型光学部品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ミラー等の反射面に形成される反
射層としては、アルミニウム、銀等の高い反射率を有す
る金属薄膜層が用いられる。特に、銀は可視域において
極めて高い反射率を示すことから多用されている。
【0003】また、従来より、アルミニウムや銀等の金
属薄膜層を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッ
タリング法、イオンプレーテイング法等を用いることが
一般的であった。また、特に、銀の成膜法としては、銀
鏡反応に代表される湿式成膜法が用いられることもあ
る。
【0004】一方、銀鏡に用いられる金属薄膜は金属の
単層で用いられたり、金属薄膜の酸化を防止する酸化防
止層や、金属薄膜の反射特性を向上させるための増反射
膜等と積層され使用される場合もある。
【0005】また、近年、低融点ガラスを溶解し、金型
内で光学素子を成形する手法により様々な形の光学素子
が生産されている。そして、この低融点ガラスとしては
リンを含有するものが多用されている。
【0006】しかしながら、前記従来技術に記載の高反
射性の銀鏡には以下のような課題がある。
【0007】まず、従来より銀鏡に使用される銀の薄膜
層による反射膜は、真空蒸着法、スパッタリング法、イ
オンプレーテイング法等の真空乾式成膜法を用いて成膜
されるのが一般的である。そのため、複雑な形状への対
応が困難であったり、また可能であったとしても、成膜
に必要な設備、工程が複雑化し、それに伴い成膜コスト
の上昇を余儀なくされる場合があるという課題があっ
た。
【0008】また、成膜のコストダウンを目的として、
銀鏡反応や自己触媒型無電解メッキ等の湿式成膜法の検
討も行われているが、リンを含有するガラスは耐薬品性
に乏しく、リン含有のガラス基材にこれらの湿式成膜法
で直接成膜を行うとリン成分が溶解し、ガラス基材が崩
壊してしまう、即ち、ガラス基材の表面形状が著しく損
われ、光学素子としての機能を失ってしまうという課題
があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の目的
は、製造コストの低減が可能であり、かつ高反射性を有
する銀鏡及びその製造方法、並びにこの銀鏡を用いた反
射型光学部品を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題は以下のような
本発明にかかる手段により解決することができる。すな
わち、本発明の銀鏡は、リンを含有するガラスからなる
基材上に銀層からなる高反射膜を設けた高反射性の銀鏡
において、前記高反射膜が、前記基材上に積層された耐
酸性保護膜の上に湿式成膜法により成膜されたものであ
ることを特徴とするものである。
【0011】本発明にかかる反射型光学部品は、光が進
行する経路と、該経路中に設けられた光反射面とを有す
る光学素子であって、該光反射面が上記構成の高反射性
の銀鏡からなることを特徴とするものである。
【0012】また、本発明にかかる高反射性の銀鏡は、
リンを含有するガラスからなる基材上に銀層からなる高
反射膜を設けた高反射性の銀鏡の製造方法において、前
記基板上に耐酸性保護膜を積層する工程と、該耐酸性保
護膜の上に湿式成膜法により前記高反射膜を成膜する工
程とを有することを特徴とするものである。
【0013】本発明によれば、リンを含有する基材を上
記耐酸性物質からなる保護膜により保護することで湿式
成膜時、リンを含むガラスが溶液に溶解し、ガラス基材
を崩壊すること無く銀層を成膜することができる。
【0014】本発明における基材としては、リンを含有
するガラス基材、例えば低融点を有し、金型での光学素
子への成形が可能な光学的な透光性を示すガラス基材が
用いられる。
【0015】本発明において用いられる湿式成膜法とし
ては、所望の性能及び品質等を有する銀層を基材上に成
膜できる方法が利用できる。好ましい湿式成膜法として
は、無電解メッキ法、特には、自己触媒型無電解メッキ
法を挙げることができる。この自己触媒無電解メッキ法
は、光学基材上で選択的に銀析出反応を起こすことがで
きるものであり、さらに、メッキ浴の組成によりその反
応速度の制御も可能であり、メッキ浴の無駄が生じるこ
とがない。また、この方法によれば、形成される銀層の
膜厚も極めて均一であり、結果として反射特性の分布が
均一な銀層を得られるという利点がある。
【0016】一般的に自己触媒型の無電解メッキ法は、
基材上にメッキ浴の金属析出反応を進行させるための触
媒性金属または触媒性金属イオンを付与した後、上記触
媒の付与された基材をメッキ浴に浸漬することにより、
基材上で金属析出反応が起こり、メッキが施される。
【0017】基材上でのメッキ浴の金属析出反応を進行
させるための触媒性金属または触媒性金属イオンとして
は、銀無電解メッキ浴の銀析出反応を進行させることが
できるものであれば特に制約はないが、金、銀、銅、パ
ラジウム、コバルト、スズ及びニッケル等の金属、また
はそれらの金属イオンまたはそれらの金属および金属イ
オンを含むコロイド等を用いることができる。
【0018】また、メッキ浴内で基材に対して触媒性金
属または触媒性金属イオンを均一に付与するために、基
材表面に前処理を施してもよい。基材表面の前処理方法
としては、酸またはアルカリでのエツチング、UVオゾ
ン処理、コロナ放電処理、エキシマ照射処理等の基材の
成膜面の有する表面エネルギーを低下させるための各種
処理;界面活性剤に代表される極性基を有する物質によ
る基材表面の親水化処理;及び前記各種処理の併用;等
の各種方法を挙げることができ、これらの方法を選択し
て基材に対して触媒性金属および触媒性金属イオンを均
一に付与することができる。
【0019】また、触媒性金属イオンは基材上への吸着
力が低く、メッキ浴中に落下し、メッキ浴の分解を促進
してしまう場合がある。そのような現象がおきる場合
は、触媒性金属イオンを還元して、触媒性金属として基
材上に固定化することが好ましい。その際用いる還元剤
には特に制約はなく、通常用いられているものが利用で
きる。
【0020】銀層を形成するための無電解メッキ浴は、
銀の可溶性イオン、および銀イオンを還元し基材上に析
出させるための還元剤、および銀イオンとキレートを形
成しメッキ浴の安定化を図るためのキレート剤、および
還元剤の酸化反応による水素イオンの増大に伴うメッキ
反応の駆動力の低下を防ぐためのpH調整剤等によって
構成される。
【0021】ここで、還元剤としてはメッキ浴中に溶解
した銀イオンを還元することのできる物質であれば特に
制約はないが、ホルムアルデヒド、ロッシェル塩、ヒド
ラジン及びヒドラジンボランなどが用いられるのが一般
的である。また、HU201360B公報(ハンガリー
国特許公報)に記載のように硫酸コバルトを用いること
もできる。
【0022】また、キレート剤としてはメッキ浴中に溶
解する銀イオンとキレートを生成し、メッキ浴中での銀
の斬出反応を抑制し、かつ基材上に付与された触媒によ
り容易に銀を基材上に析出できれば特に制約はないが、
シアン等を用いることができる。しかしながら、シアン
は大変危険な物質であり工業用としては好ましくない。
そこでHU201360B公報に記載のようにアンモニ
ヤをキレート剤として用いたり、またはアンモニヤ誘導
体をキレート剤として用いることもできる。
【0023】一方、銀層に対して基板側に隣接して設け
られる耐酸性保護層は、耐酸性を有し、基材表面までの
メッキ浴からの酸性物質の侵入を防ぎ、かつ高反射膜と
しての銀層の下地として好適な特性を有し、かつ光学膜
として十分な透明性を有しているものが用いられる。こ
の耐酸性保護層を形成し得る材料としては、例えば、ア
クリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹
脂、非晶質ポリオレフィン樹脂及び非晶質フッ素樹脂等
の各種樹脂材料;MgF2に代表される金属フッ素物;
SiO2、TiO2、ZrO2、Al23、ZnO2及びS
nO2に代表される金属酸化物;金属アルコキシド加水
分解物からなる物質;などを用いることができる。これ
らの中でも、優れた耐酸性を有し、かつリン含有のガラ
ス基材上に成膜が容易であり、しかも銀層の成膜に一層
好適な下地面を形成できる金属アルコキシドまたは金属
アルコキシド加水分解物が特に好ましい。
【0024】この金属アルコキシドとしては次式(I)
及び(II)で示される化合物があげられる。
【0025】 M(OR)a ・・・(I) M(OR)n(X)a−n ・・・(II) ここでのMは、Si、Al、Ti、Zr、Ca、Fe、
V、Sn、Li、Be及Bびからなる群から選択される
原子であり、Rはアルキル基であり、Xはアルキル基、
官能基を有するアルキル基またはハロゲン原子であり、
aはMの原子価であり、そしてnは1からaまでの整数
である。なお、Xの好ましい基としては、カルボニル
基、カルボキシル基、アミノ基、ビニル基及びエポキシ
基の少なくとも1種を官能基として有するアルキル基が
好ましい。
【0026】特に好ましい金属アルコキシドとしては、
Si(OC254、Al(O−iso−C373、T
i(O−iso−C374、Zr(O−ter−C4
9 4、Zr(O−n−C494及びSn(O−ter
−C494等が挙げられる。
【0027】耐酸性保護層の形成には、例えば、金属ア
ルコキシドを適当な溶媒に溶解し、ガラス基材上にコー
テイングし、加熱焼成する方法や、金属アルコキシド
を、その加水分解物を促進するための水や各種酸触媒と
共に適当な溶媒に溶解し、ガラス基材上にコーテイング
し、加熱、焼成して成膜する方法を利用することができ
る。この際の加熱焼成のための温度条件としては、焼成
後に所望とする機能や品質の薄膜が得られ、かつ基材に
対して影響を与えない温度条件が用いられる。
【0028】この耐酸性保護層の層厚としては、例えば
0.01〜1μmの範囲から選択することができる。
【0029】また、本発明における高反射性銀鏡におい
て、基材内部を透過する光を反射させる場合(銀層の裏
面を反射に用いる場合)には、基材と銀層との間に、基
材側から、少なくとも高屈折率薄膜及び低屈折率薄膜を
形成し、かつ少なくとも銀層と接する薄膜を耐酸性保護
層とすることにより、銀層を湿式成膜法で形成する際に
おいても、リンを含有するガラス基材上に銀層が成膜可
能で、かつ、銀層での反射を更の増加できる増反射の高
反射性の銀鏡を提供することができる。このような構成
の一例を図5に示す。
【0030】この高屈折率薄膜としては、TiO2、Z
rO2、Al23などの金属酸化物及びAl(O−is
o−C373、Ti(O−iso−C374、Zr
(O−ter−C494などの金属アルコキシドの加
水分解物などで形成することができる。低屈折率薄膜と
しては、MgF2などの金属フッ化物、SiO2などの金
属酸化物、Si(OC254などの金属アルコキシド
の加水分解物及び非晶性フッ素樹脂に代表される低屈折
率樹脂などで形成することができる。高屈折率薄膜及び
低屈折率薄膜はいずれも、湿式成膜法や、真空蒸着に代
表される乾式成膜法などの方法によって形成することが
できる。
【0031】一方、基材外部から進行してくる光を銀層
で直接反射する場合(銀層の表面を反射に用いる場合)
には、銀層上に、低屈折率薄膜及び高屈折率薄膜をこの
順に設けることができる。このような構成の一例を図6
に示す。アクリル樹脂32は耐酸性保護層である。これ
らの薄膜の構成としては公知の構成を用いることがで
る。なお、この場合には、これらの薄膜には耐酸性であ
ることは要求されない。
【0032】なお、銀層、高屈折率膜及び低屈折率薄膜
の他に基材上には所望に応じて各所の機能薄膜を設ける
ことができる。
【0033】また、前記湿式成膜法により形成された銀
鏡の表面あるいは裏面の反射率(R)はより良い光学特
性を得るために、89.0%<R<99.5%(400
nm〜900nm)の範囲とするのが好ましく、さらに
銀層の膜厚は、高反射率を達成し、かつクラックなどの
欠陥の発生のない一層高品質な膜とするには、銀薄膜の
膜厚(d)は0.1μm<d<1μmであることが好ま
しい。
【0034】本発明の銀鏡は、反射鏡、プリズム、レン
ズ、各種光学素子を複合的に組み合わせた光学系などの
光学素子の光の進行経路中における反射面に好適に利用
できるものである。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、実施例等を用いて本発明を
更に詳細に説明する。
【0036】(実施例1及び比較例1)本実施例の銀鏡
の反射膜構成を図1に示す。所定の形状に金型成型され
たリンを含有するガラス基材11の全面に真空蒸着でT
iO2層12(100nm)を成膜したものを実施例1
(図1(a))とし、TiO2層を成膜しないものを比
較例1(図1(b))とした。ガラス基材11は、リン
を約10〜20atm%含有するリン系ガラス(商品
名:LPHL−1,オハラ(株)製)で形成されてい
る。
【0037】上記2種の基材上へ銀鏡反応によりAg層
(150nm)のコーテイングを行い高反射性の銀鏡の
作製した。銀鏡反応は表1の組成で浸積法を用いてコー
ティングした。ここでの浸積法は表1の銀液にまず基材
を浸積させ、還元剤を滴下していく手法である。
【0038】比較例1の基材は銀液に浸積すると共に溶
解し始め崩壊し、銀鏡が形成できなかった。実施例1で
は、高反射性の銀鏡を得ることができた。
【0039】また、本実施例および比較例において、ガ
ラス基材としてリンを約10〜20atm%含有するリ
ン系ガラス(商品名:PSK50,住田光学ガラス
(株)製)を用いた場合も、実施例1および比較例1と
同様な結果が得られた。
【0040】
【表1】
【0041】(実施例2)所定の形状に金型成型された
リンを含有する(商品名:LPHL−1)で形成された
ガラス基材全面に真空蒸着でTiO2層(100nm)
を成膜した。さらにTiO2層上に無電解メッキ法によ
りAg層を積層するにあたっては図2の行程に従い行っ
た。図2について詳細な説明をする。TiO2層を成膜
した基材に銀層を成膜しない箇所にマスキング(a)を
行った後、春日電機社製コロナ放電処理(b)を用いて
基材の表面処理を行なった。その後、界面活性剤(プリ
ディップネオガントB、アトテックジャパン社製)の2
0ml/l水溶液中に1分間基材を浸漬し(c)、Pd
触媒付与(d)を行うためにアクチベーターネオガント
834(アトテックジャパン社製)50ml/l水溶液
(35℃)中に基材を5分間浸せきした(界面活性剤処
理(c))。処理後、2分間水洗を行い、還元(e)を
行った。この際、還元剤としてはリデゥーサーネオガン
トWA(アトテックジャパン社製)5ml/l水溶液を
用い、この中に基材を5分間浸漬した。再度水洗を2分
間行った後、表2の組成を持つ無電解銀メッキ浴に15
分間基材を浸漬し、無電解銀メッキ(f)を行い、
(a)で行ったマスキングを除去し、高反射性の銀鏡を
得た。
【0042】
【表2】
【0043】(実施例3)光学素子形成用のリンを含有
するガラス(商品名:PSK50)で形成された基材3
1上にディッピング法を用いて水溶性のアクリル樹脂
(200nm)(トップガードYD:1/4倍希釈水溶
液:奧野製薬工業製)32をコーティングした。この時
の基材の引き上げ速度は80mm/minで行った。ア
クリル樹脂をコートした基材に対して100℃で30m
inの焼成処理を行った。さらに、アクリル樹脂32上
に無電解銀メッキ法によリAg層33(150nm)を
積層した。Ag層33を積層するにあったては実施例2
と同様の方法により行い、図3に示される構成の高反射
性の銀鏡を得た。
【0044】(実施例4)所定の形状に金型成型された
リンを含有するガラス(商品名:LPHL−1)で形成
された基材41上にSol−Gel法を用いてTiO2
層42(100nm)の成膜を行った。TiO2の成膜
の詳細について以下に説明する。
【0045】15gのチタンテトライソプロポキシドT
i(O−iso−C374をエタノール500gに溶
かし、さらに塩酸(35質量%)を0.1g添加した。
これをTiO2コーティング溶液とした。このコーティ
ング溶液を用いてディッピングコート法で、引き上げ速
度を100mm/minとして基材表面にコーティング
溶液を塗布した後、塗布層に対して250℃で15mi
n間の焼成処理を行なった。
【0046】さらに、TiO2層42をコートした基材
上に無電解メッキ法によリAg層43(150nm)を
積層した。Ag層43を積層するにあたっては実施例2
と同様の方法により行い図4に示される高反射製の銀鏡
を得た。
【0047】(実施例5)所定の形状に金型成型された
リンを含有するガラス(商品名:LPHL−1)で形成
された基材51上にディッピング法により非晶性フッ素
樹層52(100nm)を成膜した。この時のコート溶
液としては、非晶性フッ素樹脂(商品名:CYTOPC
TL−801M,旭硝子(株)製)の1質量%溶液(溶
剤として商品名:CT−Solv.100−旭硝子
(株)製を用いた)を用い、基材の引き上げ速度を80
mm/minとして基板を引き上げた。さらに非晶性フ
ッ素樹脂をコートした基材に対して100℃で30mi
nの焼成処理を行った。
【0048】更に、非晶性フッ素樹脂が成膜された基材
上に前記実験例4と同様の方法でTiO2層53(10
0nm)を成膜した。その後、無電解メッキ法によりA
g層54(150nm)を積層し、図5に示される高反
射性の銀鏡を得た。Ag層54を積層するにあたっては
実施例2と同様の方法により行った。
【0049】(実施例6)実施例3と同様の方法で得た
銀層33の上に、実施例5と同様の方法で非晶性フッ素
樹脂62(100nm)を成膜した。さらに、この非晶
性フッ素樹脂上に実施例4と同様の方法でTiO2薄膜
63(100nm)を成膜し図6に示される高反射性の
銀鏡を得た。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、耐酸性保護層を設ける
ことでリンを含有する基材を酸化性溶液中に浸積するこ
とが可能となり、また湿式成膜法で成膜することで複雑
な形状に対応が可能となり行程・設備を含めてより安価
な銀鏡あるいはこの銀鏡を有する光学素子の製作が可能
となる。また、銀層の形成に自己触媒型の無電解メッキ
を行うことで品質的に安定な製作が可能となる高反射性
の銀鏡及び反射型光学素子を提供することが可能となっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は、実施例1及び比較例1に
おける基板の表面処理を説明するための基板の断面図で
ある。
【図2】無電解メッキ工程における各処理の一例を説明
するための図である。
【図3】本発明にかかる銀鏡の構成の一例を模式的に示
す断面図である。
【図4】本発明にかかる銀鏡の構成の一例を模式的に示
す断面図である。
【図5】本発明にかかる銀鏡の構成の一例を模式的に示
す断面図である。
【図6】本発明にかかる銀鏡の構成の一例を模式的に示
す断面図である。
フロントページの続き Fターム(参考) 2H042 DA04 DA12 DA14 DA15 DA17 DA18 DB14 DC02 DC03 DC08 4G059 AA11 AA13 AB07 AC05 DA01 DB04 EA04 EB03 EB07 FA11 FA15 FB03 FB06 GA01 GA02 GA04 GA05 GA14 GA15 GA17

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リンを含有するガラスからなる基材上に
    銀層からなる高反射膜を設けた高反射性の銀鏡におい
    て、 前記高反射膜が、前記基材上に積層された耐酸性保護膜
    の上に湿式成膜法により成膜されたものであることを特
    徴とする高反射性の銀鏡。
  2. 【請求項2】 前記湿式成膜法が無電解メッキである請
    求項1に記載の高反射性の銀鏡。
  3. 【請求項3】 前記耐酸性保護層が、湿式成膜法により
    形成されたものである請求項1に記載の高反射性の銀
    鏡。
  4. 【請求項4】 前記耐酸性保護層が、金属アルコキシド
    または金属アルコキシドの加水分解物を含む溶液を前記
    基材上に塗布し、塗布層を加熱、焼成して形成されたも
    のである請求項1に記載の高反射性の銀鏡。
  5. 【請求項5】 前記基材と前記銀層の間に、基材側か
    ら、少なくとも、高屈折薄膜及び低屈折薄膜がこの順に
    積層された中間層を有し、かつ該中間層のうち銀層を成
    膜する溶液と接する層が少なくとも耐酸性を有する請求
    項1に記載の高反射性の銀鏡。
  6. 【請求項6】 前記銀層の上に、少なくとも低屈折率薄
    膜及び高屈折率薄膜がこの順に積層された上層を有する
    請求項1に記載の高反射性の銀鏡。
  7. 【請求項7】 前記銀層の表面、あるいは裏面の反射率
    (R%)が89.0%<R<99.5%(400nm〜
    900nm)の範囲であり、かつ、前記銀薄膜の膜厚
    (d)が0.1μm<d<1μmの範囲にある請求項1
    に記載の高反射性の銀鏡。
  8. 【請求項8】 光が進行する経路と、該経路中に設けら
    れた光反射面とを有する光学素子であって、該光反射面
    が請求項1〜7のいずれかに記載の高反射性の銀鏡から
    なることを特徴とする反射型光学素子。
  9. 【請求項9】 リンを含有するガラスからなる基材上に
    銀層からなる高反射膜を設けた高反射性の銀鏡の製造方
    法において、 前記基板上に耐酸性保護膜を積層する工程と、 該耐酸性保護膜の上に湿式成膜法により前記高反射膜を
    成膜する工程とを有することを特徴とする銀鏡の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記湿式成膜法が無電解メッキである
    請求項9に記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記耐酸性保護層が、湿式成膜法によ
    り形成されたものである請求項9に記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記耐酸性保護層が、金属アルコキシ
    ドまたは金属アルコキシドの加水分解物を含む溶液を前
    記基材上に塗布し、塗布層を加熱、焼成して形成された
    ものである請求項9に記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記基材と前記銀層の間に、基材側か
    ら、少なくとも、高屈折薄膜及び低屈折薄膜がこの順に
    積層された中間層を形成し、かつ該中間層のうち銀層を
    成膜する溶液と接する層が少なくとも耐酸性を有する請
    求項9に記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記銀層の上に、少なくとも低屈折率
    薄膜及び高屈折率薄膜がこの順に積層された上層を形成
    する請求項9に記載の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記銀層の表面、あるいは裏面の反射
    率(R%)が89.0%<R<99.5%(400nm
    〜900nm)の範囲であり、かつ、前記銀薄膜の膜厚
    (d)が0.1μm<d<1μmの範囲にある請求項9
    に記載の製造方法。
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