本発明の一形態によれば、樹脂基材の少なくとも一方の面に、オーバーコート層、銀反射層および増反射層をこの順で積層してなる、バックライト用光反射フィルムであって、前記オーバーコート層が、メラミン構造を有する樹脂を含み、前記増反射層が、低屈折率層および高屈折率層を含み、前記低屈折率層が、メタロキサン骨格を有するポリマーを含み、前記高屈折率層が、金属化合物を含み、前記高屈折率層の屈折率が1.9以上である、バックライト用光反射フィルムが提供される。
かかる構成よれば、高温/低温が繰り返される環境下での使用耐性を向上し、銀の腐食を抑制することができる、バックライト用光反射フィルムを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。さらに、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件下で測定する。
<バックライト用光反射フィルム>
本発明の一形態に係るバックライト用光反射フィルムの層構成について、図1を用いて説明する。なお、本明細書中、「バックライト用光反射フィルム」を単に「光反射フィルム」とも称する場合がある。
図1において、本発明の一形態に係る光反射フィルム10は、樹脂基材11と、オーバーコート層12と、銀反射層(金属反射層)13と、増反射層20と、がこの順に積層されてなる構成を有する。ここで、増反射層は、銀反射層13の側から、低屈折率層21および高屈折率層22がこの順に積層されることにより構成されている。なお、本発明の光反射フィルムは、これらの層だけでなく、本発明の所期の効果を損ねない範囲で、別の層を、任意の場所に介在させてもよい。ただし、本発明の所期の効果を効率的に奏させるためには、オーバーコート層に接するように銀反射層が積層され、当該銀反射層に接するように低屈折率層が積層され、当該低屈折率層に接するように高屈折率層が積層されるとよい。
[樹脂基材]
本発明の光反射フィルムに用いられる樹脂基材としては、樹脂を含むものであれば特に制限されないが、例えば白色樹脂フィルムなどが用いられうる。
樹脂基材は、特に制限されないが、全光線反射率が50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。全光線反射率は、JIS K 7375:2008「プラスチック−全光線透過率および全光線反射率の求め方」に従って測定することができる。
白色樹脂フィルムは、従来から反射フィルムに使用されているプラスチックフィルムであれば特に問題はなく、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、アクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、フッ素フィルム等が使用できる。中でも、耐熱性や強度の点からポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルムが好ましい。
前記白色樹脂フィルムの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、樹脂内部に白色顔料を含有させる方法、樹脂フィルムの表面に白色顔料を塗布する方法、樹脂フィルム中に細孔を多数形成して多孔質シートを得て、光の散乱を利用して白色反射率を向上させる方法などが挙げられる。これらの方法は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
白色顔料としては、例えば、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、タルク、カオリン、などが挙げられる。これらの中でも、二酸化チタンが好ましく、該二酸化チタンとしては、アナターゼ型及びルチル型のいずれも用いられうる。
白色顔料の含有量としては、前記白色樹脂フィルムの総質量に対して、例えば1〜40質量%であり、好ましくは5〜20質量%である。また、蛍光増白剤、酸化防止剤などをさらに添加してもよい。
樹脂フィルム中に細孔を含有させた白色樹脂フィルムは、例えば、化学発泡剤や低沸点有機物などを用いて発泡成形することによって形成される。細孔の平均孔径は、白色性を向上させる観点から10μm以下とすることが好ましい。また、多孔質シートにおける細孔の含有率としては、10〜90%が好ましい。他にも、樹脂内部を多孔化して多孔質シートを得る方法としては、例えば特開2008−224963号に記載されるものを用いてもよい。また、市販品を購入して準備することもできる。なお、市販品であるルミレックス(登録商標)は、白色樹脂フィルムである。
樹脂基材の膜厚は特に制限されないが、1〜150μmであることが好ましく、20〜120μmであることがより好ましい。
[オーバーコート層]
本発明の光反射フィルムにおいては、オーバーコート層が、メラミン構造を有する樹脂を含む。かかる構成によって、高温/低温が繰り返される環境下での使用耐性を向上し、銀の腐食を抑制することができる。
図1に示される、本発明の一形態に係る光反射フィルム10において、オーバーコート層12は、樹脂基材11と、銀反射層(金属反射層)13とに挟持されてなる。このように、メラミン構造を有する樹脂を含むオーバーコート層12が、銀反射層(金属反射層)13と隣接しているため、密着性が向上する。オーバーコート層がメラミン樹脂であると、上記の技術的効果が奏されるメカニズムは次のようであると推測される。すなわち、増反射層側のメタロキサン骨格を有するポリマーは、銀反射層との密着性は高いが、層内に微小な空隙があり、湿気等の移動が起こりやすい。特に蒸着された銀反射層は銀が降り積もった構造になっており、銀反射層自体が完全に湿気やイオン等を遮断できず銀反射層を通じて、基材と銀反射層との界面に到達し、界面を腐食し、変色や密着性の劣化を引き起こす虞がある。しかし、銀反射層と基材との間にメラミン構造を有する樹脂を含むオーバーコート層を位置させると、分子中のヘテロ環の窒素原子が、銀反射層表面に吸着し、銀反射層表面を保護するため、このような問題が解消すると推測している。なお、ここで言う「銀反射層表面」は、オーバーコート層側の表面である。
ここで、オーバーコート層として、メラミン構造を有する樹脂ではなく、他の樹脂(例えば、アクリル樹脂)を使用してしまうと、高温/低温が繰り返される環境下での使用耐性が低下し、銀の腐食を抑制することができないという問題がある。
(メラミン樹脂)
オーバーコート層におけるメラミン樹脂としては、例えば、メラミンと、アルデヒドとの反応によって得られる、部分もしくは完全メチロール化メラミン樹脂を挙げることができる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等の少なくとも1種が挙げられる。この際の反応条件は、従来公知の知見を適宜参照し、あるいは組み合わせて設定することができる。
また、このメチロール化メラミンを、アルコールによってエーテル化したものも使用でき、この際、エーテル化に用いられるアルコールの例としてはメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール等が挙げられる。
メラミンの具体例としては、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン等のメチロールメラミンや、メチロールメラミンのアルキルエーテル化物を挙げることができる。金属層(銀反射層)との密着性の観点で、ヘキサメトキシメチロールメラミンが好ましい。
よって、メラミン樹脂としては、メチロールメラミンの縮合物や、メチロールメラミンのアルキルエーテル化物の縮合物等、メチロールメラミンのアルキルカルボン酸の縮合物や、メチロールメラミンのエポキシ化アルキルの縮合物や、あるいはこれらの縮合物を挙げることができる。
よって、ヘキサメトキシメチロールメラミンと、それと架橋反応するOH基、COOH基、エポキシ基等を含む樹脂が好ましい。
メラミン樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1,000以上200,000以下である。1,000以上であると、分子の凝集力の観点からさらに好ましい。200,000以下であると、塗布しやすさの観点からさらに好ましい。同様の理由から、重量平均分子量は、より好ましくは2,000以上100,000以下、さらに好ましくは2,500以上50,000以下であることが好ましい。
また、メラミン樹脂は、1種で用いてもよく、2種以上を組合せて使用してもよい。オーバーコート層におけるメラミン樹脂の含有量は、オーバーコート層の総質量に対し、85質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。また、耐久性の点からポリエステル樹脂とメラミン樹脂との混合樹脂が好ましく、さらにイソシアネート等の硬化剤を混合した熱硬化型樹脂とすればより好ましい。
オーバーコート層の形成方法は、特に制限されないが、複数層間の密着性の観点から、湿式法であることが好ましい。湿式法における溶媒としても、メラミン樹脂を溶解することができれば、特に制限されず、例えば、ブタノール等の炭素数1〜5のアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチルおよびMEK(メチルエチルケトン)からなる群から選択される、少なくとも一種であると好適である。
また、塗布する方法は、特に制限されず、従来公知の適切な湿式塗布方法が採用されうる。具体例としては、ダイコート法、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法(グラビアコート法)等、従来公知のコーティング方法が使用できる。
塗布した後は、塗膜を乾燥させることが好ましい。塗膜を乾燥することによって、塗膜中に含有される溶媒を除去することができる。この際、塗膜に含有される有機溶媒は、すべてを乾燥させてもよいが、一部残存させていてもよい。一部の有機溶媒を残存させる場合であっても、好適なオーバーコート層が得られうる。なお、残存する溶媒は後に除去されうる。オーバーコート層の塗膜の乾燥温度は、60〜130℃であることが好ましい。乾燥時間は、10秒〜10分であることが好ましい。
また、乾燥雰囲気は、大気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、真空雰囲気下、酸素濃度をコントロールした減圧雰囲気下等のいずれの条件であってもよい。
また、オーバーコート層の形成方法の変形例として、モノマーの状態のメラミンとアルデヒドとを樹脂基材上に塗布し、反応を行われる方法もある。
(腐食防止剤)
本発明の光反射フィルムにおいては、銀反射層に隣接する層の少なくとも1つが腐食防止剤を含んでもよい。このようにすることで銀反射層と隣接する層との密着性が向上し、光反射フィルムの耐久性が向上しうる。
腐食防止剤としては、銀に対する吸着性基を有することが好ましい。ここで、「腐食」とは、銀がそれをとり囲む環境物質によって、化学的または電気化学的に浸食されるか若しくは材質的に劣化する現象をいう(JIS Z0103−2004参照)。
本発明の一形態に係る光反射フィルム10では、銀反射層13と、オーバーコート層12とが隣接している。よって、オーバーコート層12が、腐食防止剤を含んでもよい。
腐食防止剤の含有量は、使用する化合物によって最適量は異なるが、オーバーコート層におけるメラミン樹脂の質量に対し、1〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
銀に対する吸着性基を有する腐食防止剤としては、アミン類およびその誘導体、ピロール環を有する化合物、ベンゾトリアゾール等のトリアゾール環を有する化合物、ピラゾール環を有する化合物、チアゾール環を有する化合物、イミダゾール環を有する化合物、インダゾール環を有する化合物の少なくとも一種またはこれらの混合物から選ばれることが望ましい。なかでも、ピロール環を有する化合物またはトリアゾール環を有する化合物を用いることが好ましい。
アミン類およびその誘導体としては、エチルアミン、ラウリルアミン、トリ−n−ブチルアミン、o−トルイジン、ジフェニルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2N−ジメチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、アセトアミド、アクリルアミド、ベンズアミド、p−エトキシクリソイジン、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジシクロヘキシルアンモニウムサリシレート、モノエタノールアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムベンゾエート、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンカーバメイト、ニトロナフタレンアンモニウムナイトライト、シクロヘキシルアミンベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウムシクロヘキサンカルボキシレート、シクロヘキシルアミンシクロヘキサンカルボキシレート、ジシクロヘキシルアンモニウムアクリレート、シクロヘキシルアミンアクリレート等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピロール環を有する化合物としては、2,5−ジメチルピロール、N−ブチル−2,5−ジメチルピロール,N−フェニル−2,5−ジメチルピロール、N−フェニル−3−ホルミル−2,5−ジメチルピロール、N−フェニル−3,4−ジホルミル−2,5−ジメチルピロール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
トリアゾール環を有する化合物としては、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール、3−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1−メチル−3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−メチル−1,2,3−トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4,5,6,7−テトラハイドロトリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メチル−1,2,4−トリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](分子量659;市販品の例としては株式会社ADEKAのLA31)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(分子量447.6;市販品の例としてはチバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社のチヌビン234)などが挙げられる。あるいはこれらの混合物が挙げられる。
ピラゾール環を有する化合物としては、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾロン、ピラゾリジン、ピラゾリドン、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−ヒドロキシピラゾール、4−アミノピラゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
チアゾール環を有する化合物としては、チアゾール、チアゾリン、チアゾロン、チアゾリジン、チアゾリドン、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、2−N,N−ジエチルチオベンゾチアゾール、P−ジメチルアミノベンザルロダニン、2−メルカプトベンゾチアゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
イミダゾール環を有する化合物としては、イミダゾール、ヒスチジン、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、4−フォルミルイミダゾール、2−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−フォルミルイミダゾール、4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−エチル−4−メチル−5−フォルミルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−4−フォルミルイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
インダゾール環を有する化合物としては、4−クロロインダゾール、4−ニトロインダゾール、5−ニトロインダゾール、4−クロロ−5−ニトロインダゾール等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
オーバーコート層の膜厚は、10〜3000nmであることが好ましく、20〜2000nmであることが好ましく、30〜1000nmであることが好ましく、50〜200nmであることがより好ましい。10nm以上であれば銀反射層の蒸着がより緻密化されて輝度が向上する効果に優れる。また3000nm以下であれば表面粗さを十分に小さくすることができ、平滑な銀反射層を形成できるため、高い輝度が得られうる。
[銀反射層]
本発明の光反射フィルムにおいては、銀反射層を含む。銀反射層は、LED光などの光を反射する機能を有する。
図1に示される、本発明の一形態に係る光反射フィルム10において、銀反射層13は、増反射層20と、オーバーコート層12とに挟持されてなる。このような構成によって、密着性が向上するという技術的効果を有する。
銀反射層は、Agを含む材料により形成される。かかる構成によって、反射率や、耐食性が向上する。
なお、銀反射層は、本発明の効果を損なわない程度に他に金属を含んでいてもよい。他の金属としては、例えば、Al、Cr、In、Ga、Sn、Bi、Cu、Ni、Ti、Mg、Rh、PtおよびAuからなる元素群の中から選ばれる少なくとも一つの元素の金属が挙げられる。中でも、反射率等の観点から、Auが好ましい。
銀反射層が、他に金属を含む形態では、銀反射層における銀の含有率は、90原子%以上であると好ましく、95.0原子%以上であることがより好ましく、99.9原子%以上であることがさらに好ましい。かかる形態においては、銀反射層における他の金属の含有量は、0〜10原子%であると好ましい。
銀反射層の表面反射率は好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。なお、表面反射率は、市販の分光光度計を用いて測定することができる。
銀反射層の厚さは、反射率等の観点から、10〜200nmが好ましく、より好ましくは30〜150nmであり、さらに好ましくは80〜150nmである。
この銀反射層の形成法としては乾式法を用いることが好ましい。乾式法とは、真空成膜法の総称であり、具体的に例示するとすれば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法などがある。とりわけ、銀反射層の形成法としては、抵抗加熱式真空蒸着法が好ましい。
銀反射層にも、腐食防止剤を含んでもよい。使用できる腐食防止剤は上述のオーバーコート層に用いられる腐食防止剤と同様である。この際、腐食防止剤の含有量は、銀反射層の固形分の質量に対して、0.01〜5質量%の範囲内であることが好ましい。
[増反射層]
本発明の光反射フィルムにおいては、増反射層を含む。増反射層を設けることで所望の光学特性が効果的に得られうる。
図1に示される、本発明の好ましい実施形態の光反射フィルム10においては、銀反射層13におけるオーバーコート層12が形成されている面とは反対側の表面に、低屈折率層21および高屈折率層22がこの順に配置されてなる増反射層20をさらに有する。
前記増反射層20は、銀反射層側13から低屈折率層21、高屈折率層22の順に積層され、低屈折率層21および高屈折率層22を一つのユニットとして複数回積層されたものでもよい。また、前記増反射層20は低屈折率層21および高屈折率層22以外でも、反射率や耐久性を損なわないのであれば他の層が介在するものであってもよい。
低屈折率層21と高屈折率層22の屈折率差は0.32以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.33以上であり、より好ましくは0.34以上である。なお、低屈折率層21と高屈折率層22の屈折率差は、1.10以下であることが好ましく、1.10以下であることがより好ましく、1.00以下であることがさらに好ましい。
なお、増反射効果を発現させたい波長域により、低屈折率層21と、高屈折率層22の最適な厚みは変化するため、各層の厚みは目的の波長域における反射率が高まるように適宜決められればよい。
(低屈折率層)
低屈折率層は、高屈折率層よりも低い屈折率を有する。本発明においては、前記低屈折率層が、メタロキサン骨格を有するポリマーを含む。かかる構成によって、高温/低温が繰り返される環境下での使用耐性を向上し、銀の腐食を抑制することができる。特に、後述の高屈折率層との組み合わせによって、密着性が向上する。また、増反射層側のメタロキサン骨格を有するポリマーは、銀反射層との密着性は高い。
低屈折率層に使用される、メタロキサン骨格を有するポリマーは、メタル原子(金属原子)と、酸素原子との結合、すなわちM(金属)−O結合のことで、メタロキサン骨格を有するポリマー(ポリメタロキサン)は、このM−O結合の繰り返しを主鎖骨格とする高分子化合物である。ここで、M(金属)としては、ケイ素、タンタルまたはアルミニウムなどが挙げられる。なお、本願では、「M」の概念に、ケイ素が含まれるものとする。
Mが、ケイ素である場合、例えば、下記一般式(1)で表される構成単位を有するポリシロキサン等が好適である。
式中、R11、R12は同一であっても異なっていてもよく、水素またはアルキル基、アルコキシ基もしくはアリール基等の有機基を表す。
アルキル基としては、炭素原子数1〜8の直鎖、分岐鎖または環状のアルキル基が挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などがある。
アルコキシ基としては、上記のアルキル基の水素原子の一つが酸素原子に置換された一価の基を意味する。
アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が挙げられる。より具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などの非縮合炭化水素基;ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基などの縮合多環炭化水素基が挙げられる。
なお、pとしては、2以上の整数である。上限は、特に制限されないが、例えば、500以下の整数である。無論、この上限を超えても問題ない。
また、低屈折率層におけるメタロキサン骨格を有するポリマーの含有量は、低屈折率層の総質量に対し、85質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
低屈折率層の形成方法は、特に制限されないが、層間の密着性の観点から湿式法であることが好ましい。湿式法における溶媒としても、メタロキサン骨格を有するポリマーを溶解することができれば、特に制限されず、例えば、1−プロパノールなどの炭素数1〜5のアルコール、酢酸エチルおよびMEK(メチルエチルケトン)からなる群から選択される、少なくとも一種であると好適である。
塗布する方法は、特に制限されず、従来公知の適切な湿式法が採用されうる。具体例としては、ダイコート法、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法(グラビアコート法)等が挙げられる。この際、塗膜に含有される有機溶媒は、すべてを乾燥させてもよいが、一部残存させていてもよい。一部の有機溶媒を残存させる場合であっても、好適な低屈折率層が得られうる。なお、残存する溶媒は後に除去されうる。
低屈折率層の塗膜の乾燥温度は、60〜130℃であることが好ましい。乾燥時間は、30秒〜10分であることが好ましい。また、乾燥雰囲気は、大気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、真空雰囲気下、酸素濃度をコントロールした減圧雰囲気下等のいずれの条件であってもよい。
また、低屈折率層の形成方法の変形例として、低屈折率層の原料モノマーを銀反射層上に塗布し、銀反射層上で反応を行わせる方法もある。
上述もしたが、本発明の光反射フィルムにおいては、銀反射層に隣接する層の少なくとも1つが腐食防止剤を含んでもよい。このようにすることで銀反射層と隣接する層との密着性が向上し、光反射フィルムの耐久性が向上しうる。
本発明の一形態に係る光反射フィルム10では、銀反射層13と、低屈折率層21とが隣接している。よって、低屈折率層21は、腐食防止剤を含んでもよい。低屈折率層21が腐食防止剤を含むことで銀反射層13との密着性が向上し、光反射フィルムの耐久性が向上しうる。
使用できる腐食防止剤は上述のオーバーコート層に用いられる腐食防止剤と同様である。低屈折率層21中に腐食防止剤を用いる場合、腐食防止剤の含有量は、特に制限されないが、低屈折率層21におけるメタロキサン骨格を有するポリマーの質量に対し、0.01〜5質量%の範囲内であることが好ましい。
(高屈折率層)
本発明においては、前記高屈折率層が、金属化合物を含み、高屈折率層の屈折率は、1.9以上であり、好ましくは2.5以下である。
かかる構成によって、可視光領域に、バランスよく高い反射率が得られ、高温/低温が繰り返される環境下での使用耐性を向上し、銀の腐食を抑制することができる。高屈折率層の屈折率は、好ましくは1.9〜2.5であり、より好ましくは1.9〜2.3である。
他方で、屈折率が、1.9未満である場合、高温/低温が繰り返される環境下での使用耐性が低下し、また銀の腐食が進む虞がある。また、屈折率が1.9未満の場合は、メタロキサン骨格を有する低屈折率層との屈折率差が十分確保できず、反射光の色調の調整が不十分となる。
高屈折率層に使用される金属化合物としては、特に制限されず、硫化物や、酸化物の形態であってもよい。高屈折率層に使用される金属化合物としては、例えば、硫化亜鉛、酸化ニオブ、酸化ジルコニウムおよび酸化チタンからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
よって、本発明の好ましい形態によると、高屈折率層に使用される金属化合物は、硫化亜鉛、酸化ニオブ、酸化チタンまたは酸化ジルコニウムである。
有機化合物ではこのような高屈折率を有していても、高温/低温が繰り返される環境下での伸縮とそれに伴う変形により、長期間の経時により膜の損傷が発生する。上記のような金属化合物を高屈折率材料に用いることによって、このような環境下での膜の損傷を抑制し、銀の腐食を抑制することができる。
ところで、酸化チタンは、光触媒性があり、紫外線の存在下で周囲の有機物を変質させ、寿命を短くする虞がある。一方、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムまたは酸化ニオブは、光触媒性が弱く、潜在的な寿命は高いと考えられる。よって、本発明では、高屈折率層に使用される金属化合物は、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムまたは酸化ニオブが特に好ましい。
なお、本明細書において「屈折率」は、実施例に記載の方法によって得られる値を言うものとする。
高屈折率層の形成方法は、特に制限されないが、乾式法であっても、湿式法であってもよいが、複数層間の密着性の観点から、乾式法であることが好ましい。なお、湿式法における溶媒としても、特に制限されず、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルMEK(メチルエチルケトン)、イソプロピルアルコール、ブタノールなどの炭素数1〜5のアルコールからなる群から選択される、少なくとも一種であると好適である。
また、乾式法としては、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法いずれであってもよいが、とりわけ、抵抗加熱式真空蒸着法が好ましい。
増反射層の屈折率層の層数(高屈折率層および低屈折率層の総層数)としては、2〜10層であることが好ましく、2〜6層であることがより好ましい。高屈折率層および低屈折率層の総層数が、偶数である場合、反射効果を発揮しやすい。
屈折率層の層数が上記範囲にあると、使用する波長領域で、優れた反射率が実現されうることから好ましい。なお、増反射層が、複数の高屈折率層および/または低屈折率層を有する場合には、各高屈折率層および/または各低屈折率層はそれぞれ同じものであっても、異なるものであってもよい。
高屈折率層の1層当たりの厚さは、20〜800nmであることが好ましく、50〜500nmであることがより好ましい。また、低屈折率層の1層当たりの厚さは、20〜800nmであることが好ましく、50〜500nmであることがより好ましい。
ここで、1層あたりの厚さを測定する場合、高屈折率層および低屈折率層の境界において明確な界面を持たず、連続的に組成が変化する場合がある。このような組成が連続的に変化するような界面領域においては、最大屈折率−最小屈折率=Δnとした場合、2層間の最小屈折率+Δn/2の地点を層界面とみなすものとする。
なお、増反射層に含まれる金属化合物の組成は、当該金属化合物(通常、粒子状である)の濃度プロファイルにより上記組成を観察することができる。当該金属濃度プロファイルは、スパッタ法を用いて表面から深さ方向へエッチングを行い、XPS表面分析装置を用いて、最表面を0nmとして、0.5nm/minの速度でスパッタし、原子組成比を測定することで見ることができる。また、積層膜を切断して、切断面をXPS表面分析装置で原子組成比を測定することで確認してもよい。XPS表面分析装置は、特に制限されず、いかなる機種も使用することができる。当該XPS表面分析装置としては、例えば、VGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いることができる。X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定する。
[用途]
本発明のバックライト用光反射フィルムは、例えば、液晶表示装置用のバックライトユニットの反射フィルム等に好適に用いられる。よって、本発明によれば、上記のバックライト用光反射フィルムを用いてなる、液晶表示装置用バックライトユニットもが提供される。
本発明を、以下の実施例および比較例を用いて具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。また、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件下で行われた。
≪光反射フィルムの作製≫
<実施例1>
樹脂基材として、厚み90μmのポリプロピレン系フィルム(三菱樹脂株式会社製、製品名「ルミレックス」)を用いた。
次いで、スーパーベッカミン(登録商標)J−820(DIC株式会社製、メラミン樹脂)を、固形分濃度が5質量%となるように、ブタノール(溶媒)中に混合して、オーバーコート層用溶液(メラミン樹脂の重量平均分子量:5000)を調製し、前記オーバーコート層溶液を、前記樹脂基材上に、バーコーターで塗布して、100℃で1分間乾燥することによって、メラミン樹脂層をオーバーコート層として形成した。形成されたオーバーコート層の膜厚は、0.1μmであった。
なお、スーパーベッカミンは、ヘキサメトキシメチロールメラミンと、それと架橋反応するOH基を含む樹脂である。
そして、上記で形成されたオーバーコート層の表面に、真空蒸着法(抵抗加熱式真空蒸着法)により銀反射層を膜厚100nmになるように成膜した。
さらに、メタロキサン系ポリマーとして、シリコーン系塗布液(株式会社動研製、サーコート(商標)B16N、固形分濃度45質量%)を、1−プロパノールで希釈して固形分濃度30質量%として、前記銀反射層の表面に、スリットダイ塗布法で塗布し、100℃3分で乾燥し、低屈折率層を形成した。形成された低屈折率層の膜厚は、80nmであった。
最後に、上記で形成された低屈折率層の表面に、真空蒸着法(抵抗加熱式真空蒸着法)により硫化亜鉛を膜厚60nmになるように成膜し、高屈折率層とした。
このようにして、実施例1の光反射フィルムを作製した。なお、各層の材料を表1にまとめている。
<屈折率>
低屈折率層と、高屈折率層との屈折率は、以下のように測定した。すなわち、屈折率は、J.A.ウーラム社製分光エリプソメータにより測定した波長550nmでの値とする。
結果を、表1に示す。
≪光反射フィルムの評価≫
<サイクルサーモ後の反射率>
実施例1の光反射フィルムを、0℃と80℃の間を、昇温速度2℃/分、降温速度2℃/分で、25℃から開始して、50回往復するサイクルサーモ環境下で保存した。その後、得られた光反射フィルムを下記の内容で評価した。
すなわち、日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計U−4100(固体試料測定システム)を使って、入射角5度の基準サンプルに対する相対反射率測定を行った。波長範囲は350〜850nmで測定し、各波長の反射率の平均値を反射率として測定した。
なお、表1中の「初期」とは、サイクルサーモ試験前のものである。
<腐食耐性>
実施例1の光反射フィルムを5%の塩化ナトリウム水溶液(液温:50℃)1L中に浸漬し、500時間後に引き上げ、反射面(実際に光を反射するPET側の面)の損傷を目視確認した。(腐食液は、銀反射層に浸透し回り込むことで、PET側の反射面を侵すことになる)。
目視確認の評価を以下のように行った。
5:損傷(変色や剥がれ)は全く見られない、
4:ルーペで端部にやや損傷がみられるが実用上問題ない、
3:目視で端部にやや損傷がみられる、
2:損傷が内部まで進行し、実用上に支障がある、
1:膜全体に損傷が進行し、実用上に支障がある。
なお、サイクルサーモ試験と、腐食耐性とは、それぞれ独立した試験である。
<実施例2および3>
実施例2および3は、高屈折率層の材料をそれぞれ表1に示されるように変更した以外は、実施例1と同様にして、光反射フィルムを作製した。その後、実施例2および3の光反射フィルムを実施例1と同様の方法で評価を行った。
<比較例1>
比較例1は、高屈折率層として、酸化チタン(東洋インキ リオデュラスTYT(登録商標))を所望の厚さになるよう塗布し、110℃で3分乾燥して形成したことを除いては、実施例1と同様にして光反射フィルムを作製した。なお、この際の高屈折率層の膜厚は、50nmであった。その後、比較例1の光反射フィルムを実施例1と同様の方法で評価を行った。
<比較例2>
比較例2は、低屈折率層の材料を、表1に示されるように変更した以外は、実施例1と同様にして、光反射フィルムを作製した。より具体的には、メタロキサン系ポリマーに代えて、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂(三菱レイヨン株式会社製、EMB457)と、アクリルゴム(旭化成ケミカルズ株式会社製、SRB215)とを、混合比が17:3(固形分質量比率)で、メチルエチルケトン(MEK)中に混合して、所望の厚さになるよう、前記銀反射層の表面に、ダイコート法で塗布し、100℃3分で乾燥し、低屈折率層として形成した。低屈折率層(アクリル樹脂層)の厚さは、75μmである。
その後、比較例2の光反射フィルムを実施例1と同様の方法で評価を行った。
<比較例3>
比較例3は、低屈折率層として、酸化ケイ素を真空蒸着法により80nmになるように成膜した以外は、実施例1と同様にして光反射フィルムを作製した。その後、比較例3の光反射フィルムを実施例1と同様の方法で評価を行った。
<比較例4>
比較例4は、オーバーコート層の材料を、表1に示されるように変更した以外は、実施例1と同様にして、光反射フィルムを作製した。その後、比較例4の光反射フィルムを実施例1と同様の方法で評価を行った。なお、オーバーコート層の材料は、比較例2の低屈折率層と同じであり、乾燥条件も同じで、厚さは80μmである。
<比較例5および6>
比較例5および6は、高屈折率層の材料をそれぞれ表1に示されるように変更した以外は、比較例2と同様にして、光反射フィルムを作製した。その後、比較例5および6の光反射フィルムを実施例1と同様の方法で評価を行った。
<考察>
表1に示されるように、実施例1〜3の光反射フィルムは、高温/低温が繰り返される環境下での使用耐性を向上し、銀の腐食を抑制することができるということが示されている。
これに対し、比較例1では、高屈折率層の屈折率が1.9未満であるため、高温/低温が繰り返される環境下での使用耐性が低く、また銀の腐食を抑制することができない。
また、比較例2では、低屈折率層が、メタロキサン骨格を有するポリマーではなく、アクリル樹脂(PMMA)である。その結果、初期の反射率は高いが、高温/低温が繰り返される環境下での使用耐性は低いことが示唆される。また、銀の腐食も抑制できていない。比較例5〜6でも、同様の結果となっている。
比較例3でも、低屈折率層が、メタロキサン骨格を有するポリマーではなく、酸化ケイ素であるため、比較例2と同様の傾向があることが分かる。
比較例4では、オーバーコート層が、メラミン構造を有する樹脂でなく、アクリル樹脂(PMMA)である。すると、実施例1と比較し、初期の反射率も低下し、高温/低温が繰り返される環境下での使用耐性は低いことが示唆される。また、銀の腐食も抑制できていない。
本発明の光反射フィルムは、樹脂基材の少なくとも一方の面に、オーバーコート層、銀反射層および増反射層をこの順で積層してなる、光反射フィルムであって、前記オーバーコート層が、メラミン構造を有する樹脂を含み、前記増反射層が、低屈折率層および高屈折率層を含み、前記低屈折率層が、メタロキサン骨格を有するポリマーを含み、前記高屈折率層が、金属化合物を含み、前記高屈折率層の屈折率が1.9以上である、との従来にない特有な構成を有する。このような構成によって、各層が、予期せぬ相互作用をし、高温/低温が繰り返される環境下での使用耐性を向上し、銀の腐食を抑制するという、驚くべき結果を有している。