JP2007145690A - 複合光学素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材側の平凸レンズ11の一方の光学面11aと、該一方の光学面11aに対向する金型成形面6aとの間に、成形側のフラットプリフォーム12を配置し、これら平凸レンズ11とフラットプリフォーム12を所定の成形温度に加熱し、更に所定の成形圧力で押圧して、平凸レンズ11の一方の光学面11aにフラットプリフォーム12を一体的に接合する。そして、成形温度をTm、成形圧力をPm、フラットプリフォーム12の屈伏温度をAtとすると、At ≦ Tm ≦ At+40 (℃)、10 ≦ Pm ≦ 600 (MPa)の関係を有する。
【選択図】 図4
Description
SF3(Tg=440(℃)、At=486(℃)、α=82×10-7(/℃))とSF13(Tg=455(℃)、At=505(℃)、α=88×10-7(/℃))、
及び、SK5(Tg=655(℃)、At=700(℃)、α=66×10-7 (/℃))とSX16(Tg=645(℃)、At=685(℃)、α=72×10-7(/℃))、
が示されている。なお、成形時の加熱温度はガラス材料の軟化点付近に設定されている。
Tg1−Tg2≧30
α1≒α2
このとき使用されるガラス材料の組み合わせには、
LaLF3(Tg=600(℃)、At=645(℃)、α=82×10-7(/℃))とSF15(Tg=445(℃)、At=490 ℃、α=82×10-7(/℃))、
及び、LaK9(Tg=625(℃)、At=650(℃)、α=78×10-7(/℃))とSF8(Tg=425(℃)、At=470(℃)、α=77×10-7(/℃))、
が示されている。成形時の型の温度は、成形側ガラスのガラス転移点Tgよりも150(℃)以上高い温度に設定され、成形圧力を3(MPa)として30(s)間、加圧成形している。
Tg1−Tg2≧40
3×10-7≦α1−α2≦8×10-7
Tm≦Tg1、かつ、成形側ガラスの粘度η2が109.5≧η2≧107.5(ポアズ)に相当するTm成形圧力は5(MPa)に設定され、60(s)間、加圧成形することが記載されている。
基材側の第1光学素子の一方の光学面と、該一方の光学面に対向する金型成形面との間に、成形側の第2光学素子素材を配置し、これら第1光学素子と第2光学素子素材を所定の成形温度に加熱し、更に所定の成形圧力で押圧して第2光学素子を成形すると同時に、前記第1光学素子の一方の光学面に前記第2光学素子を一体的に接合する複合光学素子の製造方法において、
前記成形温度をTm、前記成形圧力をPm、前記第2光学素子素材の屈伏点をAtとすると、
At ≦ Tm ≦ At+40 (℃)
10 ≦ Pm ≦ 600 (MPa)
の関係を有する、ことを特徴とする。
基材側の第1光学素子の一方の光学面と、該一方の光学面に対向する金型成形面との間に、成形側の第2光学素子素材を配置し、これら第1光学素子と第2光学素子素材を所定の成形温度に加熱し、更に所定の成形圧力で押圧して第2光学素子を成形すると同時に、前記第1光学素子の一方の光学面に前記第2光学素子を一体的に接合する複合光学素子の製造方法において、
前記第1光学素子の基材の線膨張係数をα1、屈伏点をAt1、前記第2光学素子素材の線膨張係数をα2、屈伏点をAt2とすると、
|α1−α2|≦ 3×10-8 (/℃)
At2 ≦ At1−20 (℃)
の関係を有し、かつ
前記成形温度をTm、前記成形圧力をPmとすると、
At2 ≦ Tm ≦ At2+40 (℃)
10 ≦ Pm ≦ 600 (MPa)
の関係を有する、ことを特徴とする。
一体化した複合光学素子を前記押圧後に冷却する際、該複合光学素子に所定の加圧力を付与し、この加圧カをPcとすると、
1 ≦ Pc ≦ 100 (MPa)
Pc ≦ Pm (MPa)
の関係を有する、ことを特徴とする。
前記第2光学素子素材は、SiO2を1〜70%かつB2O3を1〜30%含有し、又はP2O5を5〜50%含有しており、
前記成形温度をTmとし、前記第2光学素子素材の粘度ηが1011(ポアズ)のときの温度をT(η=1011)、粘度ηが109.5(ポアズ)のときの温度をT(η=109.5)とすると、
T(η=1011) < Tm <T(η=109.5)(℃)
の関係を有する、ことを特徴とする。
複合光学素子の外径が略20mm以内である、ことを特徴とする。
複合光学素子の光学面は、少なくとも1つの非球面を有する、ことを特徴とする。
前記第2光学素子素材として、ボールプリフォームを用いる、ことを特徴とする。
基材側の第1光学素子の一方の光学面と、該一方の光学面に対向する金型成形面との間に、成形側の第2光学素子素材を配置し、これら第1光学素子と第2光学素子素材を所定の成形温度に加熱し、更に所定の成形圧力で押圧して第2光学素子を成形すると同時に、前記第1光学素子の一方の光学面に前記第2光学素子を一体的に接合する複合光学素子の製造方法において、
前記成形温度をTm、前記成形圧力をPm、前記第2光学素子素材の屈伏点をAtとすると、
At ≦ Tm ≦ At+40 (℃)
5 < Pm ≦ 600 (MPa)
の関係を有する、ことを特徴とする。
基材側の第1光学素子の一方の光学面と、該一方の光学面に対向する金型成形面との間に、成形側の第2光学素子素材を配置し、これら第1光学素子と第2光学素子素材を所定の成形温度に加熱し、更に所定の成形圧力で押圧して第2光学素子を成形すると同時に、前記第1光学素子の一方の光学面に前記第2光学素子を一体的に接合する複合光学素子の製造方法において、
前記第1光学素子の基材の線膨張係数をα1、屈伏点をAt1、前記第2光学素子素材の線膨張係数をα2、屈伏点をAt2とすると、
|α1−α2|≦ 3×10-6 (/℃)
At2 ≦ At1−20 (℃)
の関係を有し、かつ
前記成形温度をTm、前記成形圧力をPmとすると、
At2 ≦ Tm ≦ At2+40 (℃)
5 < Pm ≦ 600 (MPa)
の関係を有する、ことを特徴とする。
一体化した複合光学素子を前記押圧後に冷却する際、該複合光学素子に所定の加圧力を付与し、この加圧カをPcとすると、
1 ≦ Pc ≦ 100 (MPa)
Pc ≦ Pm (MPa)
の関係を有する、ことを特徴とする。
前記第2光学素子素材は、SiO2を1〜70%かつB2O3を1〜30%含有し、又はP2O5を5〜50%含有しており、
前記成形温度をTmとし、前記第2光学素子素材の粘度ηが1011(ポアズ)のときの温度をT(η=1011)、粘度ηが109・5(ポアズ)のときの温度をT(η=109・5)とすると、
T(η=1011) < Tm <T(η=109・5)(℃)
の関係を有する、ことを特徴とする。
複合光学素子の外径が略20mm以内である、ことを特徴とする。
複合光学素子の光学面は、少なくとも1つの非球面を有する、ことを特徴とする。
前記第2光学素子素材として、ボールプリフォームを用いる、ことを特徴とする。
(第1の実施の形態)
最初に、ガラス成形と異種ガラス間の成形接合に関する諸条件、および、基材側ガラスと成形側ガラスの組み合わせに関する選定条件を示す。
Tm ≧ At (℃) (式1)
とする。
一方、ガラスを高温下で長時間放置すると、ガラスから揮発成分が発生したり、金型に使用されている材料と反応したりして、成形品の品質に悪影響を及ぼすおそれがある。このため、ガラス成形において、成形温度と金型外観との関係(金型成形面へのガラス付着の有無)を調べた。
Tm ≦ At+40 (℃) (式2)
このAt+40 (℃)は、ガラスの粘度η(ポアズ)に換算すると109.5〜108.5(ポアズ)程度の範囲に相当している。
Pm ≦ 600 (MPa) (式3)
また、異種ガラス間の成形による接合では、ガラス層を構成する成形側ガラスを変形させる段階で、基材側ガラスの変形を抑える必要がある。そして、成形時に基材側ガラスが変形しないようにするには、成形温度を屈伏点At(℃)以下、好ましくは成形側ガラスと基材側ガラスの粘度の差が10倍相当以上になるAt−20(℃)以下、に設定する必要がある。
すなわち、基材側ガラスの屈伏点をAt1、成形側ガラスの屈伏点をAt2とすると、
At2≦At1−20 (℃) (式4)
とする。
上記(式1)、(式2)で示された成形温度範囲において、成形圧力Pmと異種ガラス間の接合状態との関連を調べた結果、図2に示す通りであった。
よって、成形圧力Pmは、次の条件を満足するようにする。
さらに、異種ガラス間の接合において、接合後にガラス割れが生じないようにするため、線膨張係数のマッチングを行う必要がある。このマッチングには、ガラスのヤング率E(標準的なものでは7×104MPa程度)と強度S(最大約90MPa)、及び成形温度Tmを考慮する。
すなわち、基材側ガラスの線膨張係数をα1、成形側ガラスの線膨張係数をα2とすると、
|α1−α2|≦3×10-8 (/℃) (式6)
とする。
(実施例1)
図3は、複合レンズの成形装置の概念図を示している。同図において、金型1は装置内の下側プレート2に載置されている。下側プレート2と上側プレート3の側面には、ヒーター4が配置されている。上側プレート3には、金型1を加圧する加圧装置5が設けられている。金型1はヒーター4で加熱された後、加圧装置5により下側プレート2と上側プレート3に挟まれた状態で加圧される。
金型1は、上型6、下型7、及びスリーブ8で構成され、上型6と下型7はスリーブ8に嵌挿される。金型1の材質としては、炭化タングステンなどの超硬合金が使用される。また、上型6の成形面6aと下型7の成形面7aには、光学杓な鏡面処理が施されている。なお、成形作業の詳細については後述する。
なお、ガラスaの屈伏点At1と線膨張係数α1、及びガラスbの屈伏点At2と線膨張係数α2は以下の通りである。
α1=92×10-7 /℃
At2=549 ℃
α2=71×10-7 /℃
これらの特性値から、図5の「組み合わせ例(1)」によれば、At1−20=558、α1−α2=21×10-7となり、(式4)と(式6)の両方を満足することがわかる。
基材側の第1光学素子としての平凸レンズ11には、光学面を形成すべく研磨加工が施されていて、最終形状に仕上げられている。また、この平凸レンズ11は、外径が15mmで中心肉厚が3mmであり、そのレンズ光軸と外径中心とを一致させるため、芯取り加工が行われている。
図4(a)において、下型7の成形面7aの形状は、平凸レンズ11の凸面の形状と同形状にされている。そして、この成形面7aに平凸レンズ11を載置し、この平凸レンズ11の平面(上面)側にフラットプリフォーム12を載置する。
1 ≦ Pc ≦ 100 (MPa)
また、成形品の割れを確実に抑制するためには、加圧力Pcと成形圧力Pmとを、
Pc ≦ Pm(MPa)
となるように設定する。本実施例では、加圧力Pcを30(MPa)に設定している。
こうして得られた複合レンズ13は、平凸レンズ11と平凹レンズ14とが十分強く接合している。また、レンズ形状および光学面の面精度は良好であり、実用可能なレベルに仕上がっている。
(実施例2)
本実施例では、基材側ガラスのメニスカス凸レンズに成形側ガラスのメニスカス凹レンズを一体化した複合レンズを成形するものである。この複合レンズは、外径が15mmで中心肉厚が3.5mmである。しかし、この形状に限定されるものではない。なお、基本的な内容は実施例1と同様であるため、以下に相違点のみを説明する。
金型1は、図4と同様に、上型6と下型7、及びスリーブ8で構成され、上型6と下型7はスリーブ8に嵌挿可能となっている。図7(a)に示すように、複合レンズ25の素材は、基材側ガラスのメニスカス凸レンズ21と、成形側ガラスのボールプリフォーム22を有している(成形方法は後述する)。
α1=95×10-7 /℃
At2=549℃
α2=71×10-7 /℃
これらの特性値から、At1−20=566、α1−α2=24×10-7となり、(式4)と(式6)の両方を満足することがわかる。
図7(a)において、成形素材としてのプリフォーム22は、球形状に仕上げた外径7mmのボールプリフォームを用いる。一般に、このボールプリフォームは、表面が平滑に仕上げられている。
次に、図7(b)に示すように、セットされた金型1を成形温度Tmに保持した状態で、上型6と下型7との間に80(MPa)の圧力を加え、120(s)間押圧する。この押圧によって、ボールプリフォーム22を変形させて所望のメニスカス凹レンズ23を形成すると同時に、メニスカス凸レンズ21とメニスカス凹レンズ23を界面24で接合させる(図7(c)参照)。この押圧が完了した後は、金型1を常温まで冷却する。冷却された金型1から上型6を外して、メニスカス凸レンズ21とメニスカス凹レンズ23とが一体化された複合レンズ25を取り出す(図7(d)参照)。
(実施例3)
本実施例では、基材側ガラスのメニスカス凸レンズに成形側ガラスのメニスカス凹レンズを一体化した複合レンズを成形するものである。また、メニスカス凸レンズとメニスカス凹レンズはともに非球面を有する。更に、複合レンズの外径と中心肉厚、及び基材側ガラスと成形側ガラスの材質は、実施例2と同様である。なお、基本杓な内容は実施例2と同様であるため、以下に相違点のみを説明する。
図8(a)において、基材側ガラスのメニスカス凸レンズ31は、ガラス成形手段により、その光学面に非球面31aが形成されている。このメニスカス凸レンズ31のガラス成形は、基材側ガラスを不図示のメニスカス凸レンズ用の金型内に設置し、基材側ガラスの屈伏点以上の成形温度下で加圧押圧する。この金型の成形面には、転写用の非球面が形成されている。そして、成形後に冷却して取り出せば、図8(a)に示すようなメニスカス凸レンズ31が得られる。なお、接合される光学面側を非球面に設定することも可能である(後述の図8(d2)参照)。
図8(d1)に示すように、この押圧によって、ボールプリフォーム32を変形させて所望のメニスカス凹レンズ33を形成すると同時に、メニスカス凸レンズ31とメニスカス凹レンズ33を界面34で接合させる。この場合、成形圧力がしっかりと付加されるため、メニスカス凹レンズ33の金型側の光学面には、確実に非球面33aが転写される。この押圧が完了した後は常温まで冷却する。冷却された金型1から上型6を外して、メニスカス凸レンズ31とメニスカス凹レンズ33とが一体化された複合レンズ35を取り出す。
(第2の実施の形態)
最初に、ガラス成形と異種ガラス間の成形接合に関する諸条件、および、基材側ガラスと成形側ガラスの組み合わせに関する選定条件を示す。
Tm ≧ At (℃) (式1)
とする。
一方、ガラスを高温下で長時間放置すると、ガラスから揮発成分が発生したり、金型に使用されている材料と反応したりして、成形品の品質に悪影響を及ぼすおそれがある。このため、ガラス成形において、成形温度と金型外観との関係(金型成形面へのガラス付着の有無)を調べた。
Tm ≦ At+40 (℃) (式2)
このAt+40 (℃)は、ガラスの粘度η(ポアズ)に換算すると109.5〜108.5(ポアズ)程度の範囲に相当している。
Pm ≦ 600 (MPa) (式3)
また、異種ガラス間の成形による接合では、ガラス層を構成する成形側ガラスを変形させる段階で、基材側ガラスの変形を抑える必要がある。そして、成形時に基材側ガラスが変形しないようにするには、成形温度を屈伏点At(℃)以下、好ましくは成形側ガラスと基材側ガラスの粘度の差が10倍相当以上になるAt−20(℃)以下、に設定する必要がある。
すなわち、基材側ガラスの屈伏点をAt1、成形側ガラスの屈伏点をAt2とすると、
At2≦At1−20 (℃) (式4)
とする。
上記(式1)、(式2)で示された成形温度範囲において、成形圧力Pmと異種ガラス間の接合状態との関連を調べた結果、図2に示す通りであった。
よって、成形圧力Pmは、次の条件を満足するようにする。
さらに、異種ガラス間の接合において、接合後にガラス割れが生じないようにするため、線膨張係数のマッチングを行う必要がある。このマッチングには、ガラスのヤング率E(標準的なものでは7×104MPa程度)と強度S(最大約90MPa)、及び成形温度Tmを考慮する。
すなわち、基材側ガラスの線膨張係数をα1、成形側ガラスの線膨張係数をα2とすると、
|α1−α2|≦3×10-6 (/℃) (式6)
とする。
(実施例1)
図3は、複合レンズの成形装置の概念図を示している。同図において、金型1は装置内の下側プレート2に載置されている。下側プレート2と上側プレート3の側面には、ヒーター4が配置されている。上側プレート3には、金型1を加圧する加圧装置5が設けられている。金型1はヒーター4で加熱された後、加圧装置5により下側プレート2と上側プレート3に挟まれた状態で加圧される。
金型1は、上型6、下型7、及びスリーブ8で構成され、上型6と下型7はスリーブ8に嵌挿される。金型1の材質としては、炭化タングステンなどの超硬合金が使用される。また、上型6の成形面6aと下型7の成形面7aには、光学杓な鏡面処理が施されている。なお、成形作業の詳細については後述する。
なお、ガラスaの屈伏点At1と線膨張係数α1、及びガラスbの屈伏点At2と線膨張係数α2は以下の通りである。
α1=92×10-7 /℃
At2=549 ℃
α2=71×10-7 /℃
これらの特性値から、図5の「組み合わせ例(1)」によれば、At1−20=558、α1−α2=21×10-7となり、(式4)と(式6)の両方を満足することがわかる。
基材側の第1光学素子としての平凸レンズ11には、光学面を形成すべく研磨加工が施されていて、最終形状に仕上げられている。また、この平凸レンズ11は、外径が15mmで中心肉厚が2.5mmであり、そのレンズ光軸と外径中心とを一致させるため、芯取り加工が行われている。
図4(a)において、下型7の成形面7aの形状は、平凸レンズ11の凸面の形状と同形状にされている。そして、この成形面7aに平凸レンズ11を載置し、この平凸レンズ11の平面(上面)側にフラットプリフォーム12を載置する。
1 ≦ Pc ≦ 100 (MPa)
また、成形品の割れを確実に抑制するためには、加圧力Pcと成形圧力Pmとを、
Pc ≦ Pm(MPa)
となるように設定する。本実施例では、加圧力Pcを3(MPa)に設定している。
こうして得られた複合レンズ13は、平凸レンズ11と平凹レンズ14とが十分強く接合している。また、レンズ形状および光学面の面精度は良好であり、実用可能なレベルに仕上がっている。
(実施例2)
本実施例では、基材側ガラスのメニスカス凸レンズに成形側ガラスのメニスカス凹レンズを一体化した複合レンズを成形するものである。この複合レンズは、外径が15mmで中心肉厚が3.5mmである。しかし、この形状に限定されるものではない。なお、基本的な内容は実施例1と同様であるため、以下に相違点のみを説明する。
金型1は、図4と同様に、上型6と下型7、及びスリーブ8で構成され、上型6と下型7はスリーブ8に嵌挿可能となっている。図7(a)に示すように、複合レンズ25の素材は、基材側ガラスのメニスカス凸レンズ21と、成形側ガラスのボールプリフォーム22を有している(成形方法は後述する)。
α1=95×10-7 /℃
At2=549℃
α2=71×10-7 /℃
これらの特性値から、At1−20=566、α1−α2=24×10-7となり、(式4)と(式6)の両方を満足することがわかる。
図7(a)において、成形素材としてのプリフォーム22は、球形状に仕上げた外径7mmのボールプリフォームを用いる。一般に、このボールプリフォームは、表面が平滑に仕上げられている。
次に、図7(b)に示すように、セットされた金型1を成形温度Tmに保持した状態で、上型6と下型7との間に8(MPa)の圧力を加え、180(s)間押圧する。この押圧によって、ボールプリフォーム22を変形させて所望のメニスカス凹レンズ23を形成すると同時に、メニスカス凸レンズ21とメニスカス凹レンズ23を界面24で接合させる(図7(c)参照)。この押圧が完了した後は、金型1を常温まで冷却する。冷却された金型1から上型6を外して、メニスカス凸レンズ21とメニスカス凹レンズ23とが一体化された複合レンズ25を取り出す(図7(d)参照)。
(実施例3)
本実施例では、基材側ガラスのメニスカス凸レンズに成形側ガラスのメニスカス凹レンズを一体化した複合レンズを成形するものである。また、メニスカス凸レンズとメニスカス凹レンズはともに非球面を有する。更に、複合レンズの外径と中心肉厚、及び基材側ガラスと成形側ガラスの材質は、実施例2と同様である。なお、基本杓な内容は実施例2と同様であるため、以下に相違点のみを説明する。
図8(a)において、基材側ガラスのメニスカス凸レンズ31は、ガラス成形手段により、その光学面に非球面31aが形成されている。このメニスカス凸レンズ31のガラス成形は、基材側ガラスを不図示のメニスカス凸レンズ用の金型内に設置し、基材側ガラスの屈伏点以上の成形温度下で加圧押圧する。この金型の成形面には、転写用の非球面が形成されている。そして、成形後に冷却して取り出せば、図8(a)に示すようなメニスカス凸レンズ31が得られる。なお、接合される光学面側を非球面に設定することも可能である(後述の図8(d2)参照)。
図8(d1)に示すように、この押圧によって、ボールプリフォーム32を変形させて所望のメニスカス凹レンズ33を形成すると同時に、メニスカス凸レンズ31とメニスカス凹レンズ33を界面34で接合させる。この場合、成形圧力がしっかりと付加されるため、メニスカス凹レンズ33の金型側の光学面には、確実に非球面33aが転写される。この押圧が完了した後は常温まで冷却する。冷却された金型1から上型6を外して、メニスカス凸レンズ31とメニスカス凹レンズ33とが一体化された複合レンズ35を取り出す。
2 下側プレート
3 上側プレート
4 ヒーター
5 加圧装置
6 上型
6a 成形面
7 下型
7a 成形面
8 スリーブ
11 平凸レンズ
12 フラットプリフォーム
13 複合レンズ
14 平凹レンズ
15 界面
21 メニスカス凸レンズ
22 ボールプリフォーム
23 メニスカス凹レンズ
24 界面
25 複合レンズ
31 メニスカス凸レンズ
31a 非球面
32 ボールプリフォーム
33 メニスカス凹レンズ
33a 非球面
34 界面
35 複合レンズ
36 複合レンズ
37 界面
38 メニスカス凹レンズ
Claims (14)
- 基材側の第1光学素子の一方の光学面と、該一方の光学面に対向する金型成形面との間に、成形側の第2光学素子素材を配置し、これら第1光学素子と第2光学素子素材を所定の成形温度に加熱し、更に所定の成形圧力で押圧して第2光学素子を成形すると同時に、前記第1光学素子の一方の光学面に前記第2光学素子を一体的に接合する複合光学素子の製造方法において、
前記成形温度をTm、前記成形圧力をPm、前記第2光学素子素材の屈伏点をAtとすると、
At ≦ Tm ≦ At+40 (℃)
10 ≦ Pm ≦ 600 (MPa)
の関係を有する、
ことを特徴とする複合光学素子の製造方法。 - 基材側の第1光学素子の一方の光学面と、該一方の光学面に対向する金型成形面との間に、成形側の第2光学素子素材を配置し、これら第1光学素子と第2光学素子素材を所定の成形温度に加熱し、更に所定の成形圧力で押圧して第2光学素子を成形すると同時に、前記第1光学素子の一方の光学面に前記第2光学素子を一体的に接合する複合光学素子の製造方法において、
前記第1光学素子の基材の線膨張係数をα1、屈伏点をAt1、前記第2光学素子素材の線膨張係数をα2、屈伏点をAt2とすると、
|α1−α2|≦ 3×10-8 (/℃)
At2 ≦ At1−20 (℃)
の関係を有し、かつ
前記成形温度をTm、前記成形圧力をPmとすると、
At2 ≦ Tm ≦ At2+40 (℃)
10 ≦ Pm ≦ 600 (MPa)
の関係を有する、
ことを特徴とする複合光学素子の製造方法。 - 一体化した複合光学素子を前記押圧後に冷却する際、該複合光学素子に所定の加圧力を付与し、この加圧カをPcとすると、
1 ≦ Pc ≦ 100 (MPa)
Pc ≦ Pm (MPa)
の関係を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の複合光学素子の製造方法。 - 前記第2光学素子素材は、SiO2を1〜70%かつB2O3を1〜30%含有し、又はP2O5を5〜50%含有しており、
前記成形温度をTmとし、前記第2光学素子素材の粘度ηが1011(ポアズ)のときの温度をT(η=1011)、粘度ηが109.5(ポアズ)のときの温度をT(η=109.5)とすると、
T(η=1011) < Tm <T(η=109.5)(℃)
の関係を有する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合光学素子の製造方法。 - 複合光学素子の外径が略20mm以内である、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合光学素子の製造方法。 - 複合光学素子の光学面は、少なくとも1つの非球面を有する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複合光学素子の製造方法。 - 前記第2光学素子素材として、ボールプリフォームを用いる、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の複合光学素子の製造方法。 - 基材側の第1光学素子の一方の光学面と、該一方の光学面に対向する金型成形面との間に、成形側の第2光学素子素材を配置し、これら第1光学素子と第2光学素子素材を所定の成形温度に加熱し、更に所定の成形圧力で押圧して第2光学素子を成形すると同時に、前記第1光学素子の一方の光学面に前記第2光学素子を一体的に接合する複合光学素子の製造方法において、
前記成形温度をTm、前記成形圧力をPm、前記第2光学素子素材の屈伏点をAtとすると、
At ≦ Tm ≦ At+40 (℃)
5 < Pm ≦ 600 (MPa)
の関係を有する、
ことを特徴とする複合光学素子の製造方法。 - 基材側の第1光学素子の一方の光学面と、該一方の光学面に対向する金型成形面との間に、成形側の第2光学素子素材を配置し、これら第1光学素子と第2光学素子素材を所定の成形温度に加熱し、更に所定の成形圧力で押圧して第2光学素子を成形すると同時に、前記第1光学素子の一方の光学面に前記第2光学素子を一体的に接合する複合光学素子の製造方法において、
前記第1光学素子の基材の線膨張係数をα1、屈伏点をAt1、前記第2光学素子素材の線膨張係数をα2、屈伏点をAt2とすると、
|α1−α2|≦ 3×10-6 (/℃)
At2 ≦ At1−20 (℃)
の関係を有し、かつ
前記成形温度をTm、前記成形圧力をPmとすると、
At2 ≦ Tm ≦ At2+40 (℃)
5 < Pm ≦ 600 (MPa)
の関係を有する、
ことを特徴とする複合光学素子の製造方法。 - 一体化した複合光学素子を前記押圧後に冷却する際、該複合光学素子に所定の加圧力を付与し、この加圧カをPcとすると、
1 ≦ Pc ≦ 100 (MPa)
Pc ≦ Pm (MPa)
の関係を有する、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の複合光学素子の製造方法。 - 前記第2光学素子素材は、SiO2を1〜70%かつB2O3を1〜30%含有し、又はP2O5を5〜50%含有しており、
前記成形温度をTmとし、前記第2光学素子素材の粘度ηが1011(ポアズ)のときの温度をT(η=1011)、粘度ηが109・5(ポアズ)のときの温度をT(η=109・5)とすると、
T(η=1011) < Tm <T(η=109・5)(℃)
の関係を有する、
ことを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の複合光学素子の製造方法。 - 複合光学素子の外径が略20mm以内である、
ことを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の複合光学素子の製造方法。 - 複合光学素子の光学面は、少なくとも1つの非球面を有する、
ことを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の複合光学素子の製造方法。 - 前記第2光学素子素材として、ボールプリフォームを用いる、
ことを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の複合光学素子の製造方法。
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