JP2002145630A - ガラス光学素子の製造方法 - Google Patents

ガラス光学素子の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】一方または両方の面が凹形状であるレンズであ
っても、高い面精度で成形できるガラス光学素子の製造
方法を提供すること。 【解決手段】加熱軟化した被成形ガラス素材を、成形面
の一方は凹面であり、他方は凸面または平面である成形
型により加圧成形して、前記被成形ガラス素材に前記成
形面を転写する工程、前記成形型を冷却することにより
成形したガラスをこのガラスのガラス転移温度(Tg)以下
になるように冷却する工程、冷却されたガラスを前記成
形型から取り出す工程、を含む一方の光学的機能面が凹
面であるガラス光学素子の製造方法。前記冷却を、成形
面が凸面または平面である型の温度ta2が、成形面が
凹面である型の温度ta1より先に、前記Tgに達するよう
に行うか、前記冷却を、曲率半径が大きい方の成形面を
有する型の温度tb2が、曲率半径が小さい方の成形面
を有する型の温度tb1より先に、前記Tgに達するよう
に行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一方または両方の
面が凹形状であって、例えば、中心肉厚aと周辺肉厚b
との比b/aが1.5以上であるレンズを高い面精度で
成形するガラス光学素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決すべき課題】軟化したガラ
スを製品形状または製品形状に近似する形状を有する成
形型を用いて加圧プレスして、研削や研磨をすることな
く直接レンズを製造する方法(精密プレス法)が広く実用
化されている。精密プレス法は、デジタルカメラやビデ
オカメラなど、さまざまな光学機器製品の光学系用レン
ズの製法として利用されている。精密プレス法において
は、成形型の成形面をなるべく精密にガラスに転写する
必要が有る。
【0003】しかし、一方または両方の面が凹形状のレ
ンズは、ガラスに成形面を転写しても、ガラスが固化す
る間にガラスが一方の面の方向に反ってしまったり、い
ったん形成された転写面が悪化したりするために、十分
な面精度が得られないことが有った。中心肉厚aと周辺
肉厚bとの比b/aが1.5以上であるレンズの成形に
おいてはこの傾向が顕著であった。
【0004】そこで本発明の目的は、一方または両方の
面が凹形状であるレンズであっても、高い面精度で成形
できるガラス光学素子の製造方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らの検討の結
果、レンズ形状のガラス成形品を徐冷する際に、一方の
面が凹形状のレンズの場合、凹形状の面の冷却を反対側
の面(平面又は凸面)の冷却より遅らせること、又、両
方の面が凹形状のレンズの場合、曲率半径が小さい凹形
状の面の冷却を反対側の曲率半径が大きい凹形状面の冷
却より遅らせることで、上記課題を解決することを見出
して本発明を完成した。
【0006】即ち、本発明は、加熱軟化した被成形ガラ
ス素材を、得ようとするガラス光学子の光学的機能面を
形成するための成形面を有する上型及び下型を含み、前
記成形面の一方は凹面であり、他方は凸面または平面で
ある成形型により加圧成形して、前記被成形ガラス素材
に前記成形面を転写する工程(成形工程)、前記成形型
を冷却することにより成形したガラスをこのガラスのガ
ラス転移温度(Tg)以下になるように冷却する工程(冷却
工程)、冷却されたガラスを前記成形型から取り出す工
程(取り出し工程)、を含む一方の光学的機能面が凹面
であるガラス光学素子の製造方法であって、前記冷却
を、成形面が凸面または平面である型の温度ta2が、
成形面が凹面である型の温度ta1より先に、前記Tgに達
するように行うことを特徴とする前記製造方法(第1の
製造方法)に関する。
【0007】さらに本発明は、加熱軟化した被成形ガラ
ス素材を、得ようとするガラス光学素子の光学的機能面
を形成するための成形面を有する上型及び下型を含み、
前記成形面の両方が凹面である成形型により加圧成形し
て、前記被成形ガラス素材に前記成形面を転写する工程
(以下、成形工程という)、前記成形型を冷却すること
により成形したガラスをこのガラスのガラス転移温度(T
g)以下になるように冷却する工程(以下、冷却工程とい
う)、冷却されたガラスを前記成形型から取り出す工程
(以下、取り出し工程という)、を含む両方の光学的機
能面が凹面であるガラス光学素子の製造方法であって、
前記冷却を、曲率半径が大きい方の成形面を有する型の
温度tb2が、曲率半径が小さい方の成形面を有する型
の温度tb1より先に、前記Tgに達するように行うこと
を特徴とする前記製造方法(第2の製造方法)に関す
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。本
発明の製造方法において製造の対象となるガラス光学素
子は、例えば、一方または両方の面が凹形状であるレン
ズであることができる。特に本発明の製造方法は、中心
肉厚aと周辺肉厚bとの比b/aが1.5以上であるレ
ンズの製造方法に適している。そのようなレンズの例を
図1に示す。図1の(A)に示すレンズ10は、一方の
面S2が凹形状であり、他方の面S1は平面である。
又、(B)に示すレンズ11は、一方の面S2が凹形状
であり、他方の面S1は凸面である。(C)に示すレン
ズ12は、面S1及び面S2ともに凹形状である。但
し、面S1の凹形状の曲率半径Rが、面S2の凹形状の
曲率半径Rより大きい。さらに、(A)〜(C)のいず
れのレンズも、中心肉厚aと周辺肉厚bとの比b/aが
1.5以上であることができる。
【0009】尚、本発明の製造方法で製造対象とする凹
メニスカスレンズ及び両凹レンズは、各種のレンズ系に
組み込むために光学機能面(光学的有効領域)を有するも
のである。光学機能面(光学的有効領域)は、例えば、図
2において41として示す凹面であり、実際には、この
凹面41の外側に光軸と直交する平面部43が設けられ
る。
【0010】一方または両方の面が凹形状であるレンズ
の場合、加圧プレス後、冷却の過程で歪みが緩和される
と、一方の面が凹形状であるレンズの場合は、凹形状の
面の曲率半径を小さくする方向に、また、両方の面が凹
形状であるレンズの場合は、曲率半径の小さい凹形状の
面の曲率半径を小さくする方向に形状変化を起こす。特
に、比b/aが1.5以上であるレンズの場合に、この
傾向が顕著である。しかし、比b/aが1.5未満のレ
ンズの成形においても、同様の傾向はあり、比b/aが
1.5未満のレンズの製造にも、本発明の製造方法は有
効である。また、本発明の製造方法は、比b/aが1.
5以上であるレンズに有効であるが、実用されているレ
ンズの比b/aは、約3.5程度までである。但し、そ
れを超える比b/aを有するレンズの成形も本発明の製
造方法により可能である。
【0011】本発明の第1の製造方法は、図1の(A)
又は(B)に示すように、レンズの一方の面が平面又は
凸面である場合が対象である。この場合、冷却工程にお
ける冷却を、成形面が凸面または平面である型の温度t
a2が、成形面が凹面である型の温度ta1より先に、成
形対象となっているガラスのガラス転移温度Tgに達する
ように行う。好ましくは温度ta2がTgに達したときに
温度ta1は、温度ta2より5℃以上高くなるように冷
却条件を設定する。特に好ましくは、温度ta2がTgに
達したときに温度ta1は、温度ta2より好ましくは5
℃〜40℃、より好ましくは5〜30℃、さらに好まし
くは5〜20℃以上高くなるように冷却条件を設定す
る。
【0012】さらに、少なくとも成形工程終了時におい
て、温度ta2は温度ta1より低いことが好ましく、よ
り好ましくは、少なくとも成形工程終了時において、温
度ta2は温度ta1より5℃以上低い。即ち、加圧終了
時における成形型の温度を、平面又は凸面(S1)を成
形する型の温度ta2が、凹面(S2)を成形する型の温
度ta1より5℃以上低く(ta1−ta2≧5℃)なるよう
にする。さらに、成形工程の開始から終了時まで、終
始、温度ta2は温度ta1より低いことが好ましい。
【0013】また、本発明の第2の製造方法は、図1の
(C)に示すような、両方の面が凹形状である場合が対
象である。この場合、冷却工程における冷却を、曲率半
径が大きい方の成形面を有する型の温度tb2が、曲率
半径が小さい方の成形面を有する型の温度tb1より先
に、前記Tgに達するように行う。好ましくは、温度tb
2がTgに達したときに温度tb1は、温度tb2よりする
5℃以上高くなるように冷却条件を設定する。特に好ま
しくは、温度tb2がTgに達したときに温度tb1は、温
度tb2より好ましくは5℃〜40℃、より好ましくは
5〜30℃、さらに好ましくは5〜20℃以上高くなる
ように冷却条件を設定する。
【0014】さらに、少なくとも成形工程終了時におい
て、温度tb2は温度tb1より低いことが好ましく、よ
り好ましくは、少なくとも成形工程終了時において、温
度tb2は温度tb1より5℃以上低い。即ち、加圧終了
時における成形型の温度を、Rの小さい方の凹面(S
1)を成形する型の温度tb1が、曲率半径Rの大きい
方の凹面(S2)を成形する型の温度tb2より5℃以
上高く(tb1−tb2≧5℃)なるようにする。さら
に、成形工程の開始から終了時まで、終始、温度tb2
は温度tb1より低いことが好ましい。
【0015】本発明のガラス光学素子の製造方法は、
(1)加熱軟化した被成形ガラス素材を、得ようとするガ
ラス光学素子の光学的機能面を形成するための成形面を
有する上型及び下型を含み、前記成形面の一方は凹面で
あり、他方は凸面または平面である成形型により加圧成
形する(第1の製造方法)か、または、前記成形面の両
方が凹面である成形型により加圧成形して(第2の製造
方法)、前記被成形ガラス素材に前記成形面を転写する
成形工程、(2)前記成形型を冷却することにより成形し
たガラスをこのガラスのガラス転移温度(Tg)以下になる
ように冷却する冷却工程、(3)冷却されたガラスを前記
成形型から取り出す取り出し工程を含む。
【0016】ガラス光学素子(例えば、ガラスレンズ)
の加圧成形は、ガラス光学素子の光学的機能面を形成す
るための成形面を有する上型及び下型を含む成形型を用
い、加圧成形工程及び冷却工程の所定の時点について、
上型及び下型の間に所定の温度差を与えることを特徴と
するものであり、それ以外の工程及び条件については、
公知の方法をそのまま用いることかできる。精密プレス
法によるガラスの成形方法は、一般に、ガラスプリフォ
ームまたはガラスゴブ等のガラスレンズ素材をレンズの
形状に対応する対向する成形面を有する上型及び下型を
有する成形型に供給し、次いで所定の圧力及び時間、加
圧成形し、加圧成形開始時、加圧成形途中、または加圧
成形終了後に成形型とともに成形品を冷却し、所定の温
度にまで冷却後、成形型から成形品を取り出すことから
なる。成形型へのガラスレンズ素材の供給時及び加圧成
形時のガラスレンズ素材及び成形型の温度条件は、レン
ズの材質、形状及び寸法等を考慮して適宜決定できる。
【0017】本発明においては、好ましくは初期加圧終
了時において、t1−t2≧5℃となるように成形型の
温度を調整する。t1及びt2を有する成形型は、それ
ぞれ上型及び下型のいずれであってもよい。但し、成形
の容易さやガラス素材のセンタリングの容易さ等を考慮
すると、一方の面が平面又は凸面であるレンズを成形す
る場合は、平面又は凸面(S1)を成形する型が下型で
あり、凹面(S2)を成形する型が上型であることが好
ましい。また、両方の面が凹形状であるレンズを成形す
る場合は、曲率半径Rの大きい方の凹面(S1)を成形
する型が下型であり、曲率半径Rの小さい方の凹面(S
2)を成形する型が上型であることが適当である。
【0018】本発明の好ましい態様において、2つの型
(上型、下型)の温度差(t1−t2)を5℃とするの
は、少なくとも初期加圧終了時においてである。ここ
で、初期加圧とは、ガラスレンズ素材を成形型の成形面
に対応した形状に成形のための加圧を意味する。本発明
の製造方法では、初期加圧後に成形品に圧力(例えば、
上型自重)をさらに加えることもできるが、初期加圧後
に成形品に圧力を加えないで冷却することもできる。但
し、ガラスを離型するまで成形品に圧力を加え続けるこ
とが好ましい。
【0019】2つの型(上型、下型)の温度差(例えば、
t1−t2≧5℃)は、例えば、成形のための加圧開始
時からつけておくことができる。具体的には、上型と下
型とを異なる加熱条件下で加熱する。この状態を図3
(A)に示す。図中、(1)は加圧成形開始、(2)は
初期加圧終了の時点である。図3(A)では、加圧成形
開始時(1)においてすでに、(t1−t2≧5℃)を
満足する。また、成形のための加圧開始時には(t1−
t2≧5℃)を満足しないが、成形のための加圧中に
(t1−t2)≧5℃となるように成形型を温度制御す
ることもできる。この場合、例えば、t2を有する成形
型を積極的に冷却することで、成形のための加圧中に
(t1−t2)≧5℃とすることができる。この状態を
図3(B)に示す。この図中でも、(1)は加圧成形開
始、(2)は初期加圧終了の時点である。図3(B)で
は、加圧成形開始(1)の時点ではt1−t2<5℃で
あるが、t2を有する成形型を積極的に冷却することで
初期加圧終了の時点(2)において、(t1−t2≧5
℃)を満足している。図3(B)においては、(1)の
時点ではt1=t2であり、初期加圧終了の時点(2)
において(t1−t2≧5℃)を満足するように調整す
ることもできる。
【0020】好ましい態様の一つとして2つの型(上型
及び下型)の温度差(t1−t2)が、少なくとも初期
加圧終了時において5℃以上であれば、歪みの少ない良
好な面精度を有するガラス光学素子(例えば、レンズ)
を得ることができる。その場合、少なくとも初期加圧終
了時における2つの成形型の温度差(t1−t2)は、
好ましくは10〜20℃の範囲である。
【0021】本発明の方法においては、2つの成形型の
温度差(t1−t2)は、平面又は凸面を成形する型ま
たは曲率半径Rの大きい方の凹面を成形する型の温度が
少なくともTgになるまでは5℃以上なるように冷却す
ることが、加圧プレス後、冷却工程で生じるガラス収縮
の不均一さの低減及び歪みの量の減少をさせるという観
点から好ましい。
【0022】本発明の製造方法の成形工程における初期
加圧は例えば、294×104〜3432×10 4Paで行うことがで
き、加圧時間は例えば、30〜300秒間とすることができ
る。さらに、冷却工程において、2次加圧することがで
き(2次加圧することが好ましく)、2次加圧は196×1
04〜2450×104Paで行うことができ、加圧時間は例え
ば、30〜300秒間とすることができる。2次加圧の圧の
大きさは初期加圧より小さいことが好ましい。2次加圧
は、初期加圧に引続き行うことが好ましく、ガラスの温
度がガラスのTgより50℃程度低い温度になるまで行う
ことが好ましい。さらに、本発明の製造方法では、2次
加圧後、成形型から成形したガラスを取り出すまでの
間、最終加圧をすることができ、最終加圧は、0.0098×
104〜4.9×104Paで行うことができる。
【0023】
【実施例】以下本発明を実施例により詳細に説明する。
以下の実施例1〜3及び比較例1〜2では、図4に示す
成形装置を用いた。図4に示す成形装置は、函体21a
によって密閉された加熱成形室21内に、上型22と下
型23が配置され、この上型22と下型23は、それぞ
れ断熱ベース29、30を介して上部固定軸24と下部
可動軸25の先端に固定されている。下部可動軸25は
図示していない加圧シリンダに連結され、加圧時に上昇
駆動される。各実施例及び比較例ともに、初期加圧を58
8×104Paで2分間、2次加圧を294×104Paで3分間行っ
た。また、断熱ベース29及び30は、上型22及び下
型23を独立に冷却するための、冷却用ガスの吹き出し
口31及び32をそれぞれ有する。ガスの供給は上下独
立にコントロールすることが出来、上型22と下型23
の冷却スピードを変えることが出来る。冷却用のガス
は、不活性ガスである。
【0024】実施例1 図5に示す形状の一方が凹面(曲率半径R=4mm)で
あり、他方が凸面(曲率半径R=50mm)のガラスレ
ンズ(比b/a=2.9、凹メニスカスレンズ)を製造
した。凹面を上型で形成し、凸面を下型で成形した。ガ
ラス素材としてはNbFD13(Tg=535℃、Ts
=570℃)を用いた。成形の条件は表1に示す。上型
(凹面)の温度、下型(凸面)の温度、及び加圧圧力の
各経時変化を図8に示す。加圧成形開始時の上型(凹
面)の温度(ta1)は610℃であり、下型(凸面)の温
度(ta2)は590℃であり、両者の温度差は20℃であ
った。加圧成形中、この温度は維持され、初期加圧終了
時の上型(凹面)の温度(ta1)も610℃であり、下型
(凸面)の温度(ta2)も590℃であり、両者の温度差
は20℃であった。さらに、冷却が進み、下型(凸面)
の温度(ta2)がガラス素材のTg=535℃に達したと
きの上型(凹面)の温度(ta1)は545℃であり、両者
の温度差は10℃であった。さらに、2次加圧終了時の下
型(凸面)の温度(ta2)と上型(凹面)(ta1)の温度差は
4℃であった。
【0025】実施例2 図6に示す形状の一方が凹面(曲率半径R=17mm)
であり、他方が凸面(曲率半径R=23mm)のガラス
レンズ(比b/a=2.5、凹メニスカスレンズ)を製
造した。凹面を上型で形成し、凸面を下型で成形した。
ガラス素材としてはLaC13(Tg=520℃、Ts
=560℃)を用いた。成形の条件は表1に示す。上型
(凹面)の温度、下型(凸面)の温度、及び加圧圧力の
各経時変化を図9に示す。加圧成形開始時の上型(凹
面)の温度(ta1)は600℃であり、下型(凸面)の温
度(ta2)は580℃であり、両者の温度差は20℃であ
った。加圧成形中、上型(凹面)の温度を徐々に低く
し、初期加圧終了時の上型(凹面)の温度(ta1)は59
0℃であり、下型(凸面)の温度(ta2)は580℃であ
り、両者の温度差は10℃であった。さらに、冷却が進
み、下型(凸面)の温度(ta2)がガラス素材のTg=5
20℃に達したときの上型(凹面)の温度(ta1)は52
8℃であり、両者の温度差は8℃であった。さらに、2
次加圧終了時の下型(凸面)の温度(ta2)と上型(凹
面)(ta1)の温度差は1℃であった。
【0026】実施例3 図7に示す形状の一方が凹面(曲率半径R=38mm)
であり、他方が凹面(曲率半径R=180mm)のガラ
スレンズ(比b/a=3.0、両凹レンズ)を製造し
た。Rの小さい凹面を上型で形成し、Rの大きい凹面を
下型で成形した。ガラス素材としてはLaC13(Tg
=520℃、Ts=560℃)を用いた。成形の条件は
表1に示す。上型(Rの小さい凹面)の温度、下型(R
の大きい凹面)の温度、及び加圧圧力の各経時変化を図
10に示す。加圧成形開始時の上型(Rの小さい凹面)
の温度(tb1)は600℃であり、下型(Rの大きい凹
面)の温度(tb2)は580℃であり、両者の温度差は2
0℃であった。加圧成形中、上型(Rの小さい凹面)の
温度(tb1)を徐々に低くし、初期加圧終了時の上型(R
の小さい凹面)の温度(tb1)は595℃であり、下型
(Rの大きい凹面)の温度(tb2)は580℃であり、両
者の温度差は15℃であった。さらに、冷却が進み、下
型(Rの大きい凹面)の温度(tb2)がガラス素材のTg
=520℃に達したときの上型(Rの小さい凹面)の温
度(tb1)は530℃であり、両者の温度差は10℃であっ
た。さらに、2次加圧終了時の下型(Rの大きい凹面)
の温度と上型(Rの小さい凹面)(tb1)の温度差は2℃
であった。
【0027】比較例1 表1に示すように上型温度を下型温度と同一にした以外
は、実施例1と同様にしてガラスレンズを成形した。上
型(凹面)の温度、下型(凸面)の温度、及び加圧圧力
の各経時変化を図11に示す。加圧成形開始時の上型
(凹面)の温度(ta1)は600℃であり、下型(凸面)
の温度(ta2)も600℃であり、両者の温度差は0℃で
あった。加圧成形中もこの温度を維持し、初期加圧終了
時の上型(凹面)の温度(ta1)は600℃であり、下型
(凸面)の温度(ta2)は600℃であり、両者の温度差
は0℃であった。さらに、冷却が進み、下型(凸面)の
温度(ta2)がガラス素材のTg=535℃に達したとき
の上型(凹面)の温度(ta1)は535℃であり、両者の温度
差は0℃であった。さらに、2次加圧終了時の下型(凸
面)の温度(ta2)と上型(凹面)(ta1)の温度差は0℃で
あった。
【0028】比較例2 表1に示すように上型温度(凹面)を下型温度(凸面)
より低くした以外は、実施例1と同様にしてガラスレン
ズを成形した。上型(凹面)の温度、下型(凸面)の温
度、及び加圧圧力の各経時変化を図12に示す。加圧成
形開始時の上型(凹面)の温度(ta1)は595℃であ
り、下型(凸面)の温度(ta2)は605℃であり、両者
の温度差は−10℃であった。加圧成形中、上型(凹
面)の温度(ta1)を徐々に高くし、初期加圧終了時の上
型(凹面)の温度(ta1)は600℃であり、下型(凸
面)の温度(ta2)は605℃であり、両者の温度差は−
5℃であった。さらに、冷却が進み、下型(凸面)の温
度(ta2)がガラス素材のTg=535℃に達したときの
上型(凹面)の温度(ta1)は533℃であり、両者の温
度差は-2℃であった。さらに、2次加圧終了時の下型
(凸面)の温度(ta2)と上型(凹面)(ta1)の温度差は0
℃であった。
【0029】実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた
ガラスレンズの面精度を図13に示す。表1中の面精度
が良好とは、有効径(光学的有効径領域:干渉縞に写っ
ている約80%の領域が有効径)の内において干渉縞に
「アス、クセ」が認められない物を意味する。
【0030】
【表1】
【0031】表1に示すように、初期加圧終了時点にお
いて、上型温度(凹面)を下型温度(凸面)より高くす
る(成形面が凸面または平面である型の温度ta2が、
成形面が凹面である型の温度ta1より先に、Tgに達す
る)ことにより、一方または両方の面が凹形状であって
も、良好な面精度を有するガラス光学素子を得ることが
できる。
【0032】
【発明の効果】本発明の成形方法によれば、一方または
両方の面が凹形状であって、中心肉厚aと周辺肉厚bと
の比b/aが2以上であるレンズであっても、高い面精
度を有するガラスレンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法において製造の対象となるガ
ラス光学素子(A)、(B)及び(C)を示す。
【図2】光学機能面外側の一方の側に光軸と直交する平
面部を設けた凹メニスカスレンズの説明図。
【図3】本発明の製造方法における2つの型(上型、下
型)の温度の典型的な経時変化を示す。
【図4】実施例1〜3及び比較例1〜2に用いた成形装
置の概略図。
【図5】実施例1で製造したガラスレンズの説明図。
【図6】実施例2で製造したガラスレンズの説明図。
【図7】実施例3で製造したガラスレンズの説明図。
【図8】実施例1における上型(凹面)の温度、下型
(凸面)の温度、及び加圧圧力の各経時変化。
【図9】実施例2における上型(凹面)の温度、下型
(凸面)の温度、及び加圧圧力の各経時変化。
【図10】実施例3における上型(凹面)の温度、下型
(凸面)の温度、及び加圧圧力の各経時変化。
【図11】比較例1における上型(凹面)の温度、下型
(凸面)の温度、及び加圧圧力の各経時変化。
【図12】比較例2における上型(凹面)の温度、下型
(凸面)の温度、及び加圧圧力の各経時変化。
【図13】実施例1〜3及び比較例1〜2で得られたガ
ラスレンズの面精度を示す。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加熱軟化した被成形ガラス素材を、得よう
    とするガラス光学素子の光学的機能面を形成するための
    成形面を有する上型及び下型を含み、前記成形面の一方
    は凹面であり、他方は凸面または平面である成形型によ
    り加圧成形して、前記被成形ガラス素材に前記成形面を
    転写する工程(以下、成形工程という)、前記成形型を
    冷却することにより成形したガラスをこのガラスのガラ
    ス転移温度(Tg)以下になるように冷却する工程(以下、
    冷却工程という)、冷却されたガラスを前記成形型から
    取り出す工程(以下、取り出し工程という)、を含む一
    方の光学的機能面が凹面であるガラス光学素子の製造方
    法であって、前記冷却を、成形面が凸面または平面であ
    る型の温度ta2が、成形面が凹面である型の温度ta1
    より先に、前記Tgに達するように行うことを特徴とする
    前記製造方法。
  2. 【請求項2】温度ta2がTgに達したときに温度ta1
    は、温度ta2より5℃以上高い請求項1に記載の製造
    方法。
  3. 【請求項3】加熱軟化した被成形ガラス素材を、得よう
    とするガラス光学素子の光学的機能面を形成するための
    成形面を有する上型及び下型を含み、前記成形面の両方
    が凹面である成形型により加圧成形して、前記被成形ガ
    ラス素材に前記成形面を転写する工程(成形工程)、前
    記成形型を冷却することにより成形したガラスをこのガ
    ラスのガラス転移温度(Tg)以下になるように冷却する工
    程(冷却工程)、冷却されたガラスを前記成形型から取
    り出す工程(取り出し工程)、を含む両方の光学的機能
    面が凹面であるガラス光学素子の製造方法であって、前
    記冷却を、曲率半径が大きい方の成形面を有する型の温
    度tb2が、曲率半径が小さい方の成形面を有する型の
    温度tb1より先に、前記Tgに達するように行うことを
    特徴とする前記製造方法。
  4. 【請求項4】温度tb2がTgに達したときに温度tb1
    は、温度tb2より5℃以上高い請求項3に記載の製造
    方法。
  5. 【請求項5】少なくとも前記成形工程終了時において、
    温度ta2は温度ta1より低く、温度tb2は温度tb1
    より低い請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方
    法。
  6. 【請求項6】少なくとも前記成形工程終了時において、
    温度ta2は温度ta1より5℃以上低く、温度tb2は温
    度tb1より5℃以上低い請求項1〜4のいずれか一項
    に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】前記成形工程の開始から終了時まで、終
    始、温度ta2は温度ta1より低く、温度tb2は温度t
    b1より低い請求項5又は6に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】前記成形工程終了時から冷却工程終了時ま
    での間、温度ta2と温度tb2との差、及び温度ta1と
    温度tb1との差はそれぞれ徐々に小さくなる、請求項
    1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】前記成形工程後、成形工程における加圧に
    引続き、成形工程における加圧力よりも小さい圧力で2
    次加圧を行う請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造
    方法。
  10. 【請求項10】前記ガラス光学素子が、中心肉厚aと周
    辺肉厚bとの比b/aが1.5以上である請求項1〜9
    のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 【請求項11】前記ガラス光学素子が、凹メニスカスレ
    ンズである請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造
    方法。
  12. 【請求項12】前記ガラス素材が、ガラスプリフォーム
    を再加熱したものである請求項1〜11のいずれか一項
    に記載の製造方法。
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