JP2002161260A - 水分散型感圧性接着剤組成物および表面保護用シート - Google Patents

水分散型感圧性接着剤組成物および表面保護用シート

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JP2002161260A
JP2002161260A JP2000359604A JP2000359604A JP2002161260A JP 2002161260 A JP2002161260 A JP 2002161260A JP 2000359604 A JP2000359604 A JP 2000359604A JP 2000359604 A JP2000359604 A JP 2000359604A JP 2002161260 A JP2002161260 A JP 2002161260A
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Hiroko Yamamoto
裕子 山本
Tetsuo Inoue
徹雄 井上
Yoshitoku Yoshida
良徳 吉田
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Nitto Denko Corp
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Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境衛生や安全衛生などに問題のない、しか
も乳化剤を用いないため乳化剤に起因した耐水性や汚染
性の問題もない、ウレタン・アクリル系の水分散型感圧
性接着剤組成物において、アクリル成分の移行に起因し
た問題を回避し、水分散性と被着体低汚染性をともに満
足する上記組成物を提供する。 【解決手段】 a)ポリオール化合物と、b)アルコキ
シシラン基、活性水素を持つ官能基およびカルボキシル
基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重
合物と、c)ポリイソシアネート化合物とを出発原料と
し、これらを反応させるとともに、上記カルボキシル基
の中和により水に分散させ、分子内に中和されたカルボ
キシル基を有するアクリル変性ポリウレタンの水分散液
を得ることを特徴とする水分散型感圧性接着剤組成物の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウレタン・アクリ
ル系の水分散型感圧性接着剤組成物およびこれを用いた
表面保護用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境衛生や安全衛生などの点よ
り、感圧性接着剤を用いた接着シートの製造方法とし
て、有機溶剤を用いない方向への転換が進みつつある。
これには、ホットメルト型やエマルション型などがあ
る。このうち、エマルション型には、ホットメルト型の
ような耐熱性の欠如という問題がないため、実用的によ
りすぐれた感圧性接着剤として、各種用途への展開が期
待されている。
【0003】しかし、エマルション型は、接着力が経時
的に変化(増大)したり、支持体への投錨性が不足する
ため、表面保護用などの再剥離用途では、使用後剥離す
る際に、接着剤の一部が被着体上に残る、いわゆる糊残
りを生じて、被着体を汚染する。また、接着剤中に含ま
れる乳化剤が被着体に転写して汚染する問題もあり、と
くに乳化剤による耐水性の不足で、加湿下で上記汚染が
起こりやすい。
【0004】これらの問題に対し、ポリオール化合物と
ポリイソシアネート化合物とからなるウレタン成分にア
クリル成分を加えたウレタン・アクリル混成ポリマー
を、これに含ませたカルボキシル基の中和により水に分
散させたウレタン・アクリル系の水分散型感圧性接着剤
組成物を用いることが提案されている。これによると、
従来のエマルション型のものに比べ、接着力の経時変化
や支持体への投錨性不足の問題が少なく、しかも自己乳
化型として乳化剤を用いていないため、糊残りや乳化剤
に起因した被着体汚染の問題を低減することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記提案のウ
レタン・アクリル系の水分散型感圧性接着剤組成物を表
面保護用などの再剥離用途、とくに電子用途などに利用
する場合、被着体汚染の問題を確実に回避できるものと
はいえなかった。これは、乳化剤に起因した汚染の問題
はないが、ウレタン成分に加えられるアクリル成分が通
常中和用としてのカルボキシル基を極性基として有し、
かつ良好な水分散性を維持させる必要から比較的低い分
子量に抑えられるため、これが被着体表面に移行(マイ
グレード)しやすくなり、被着体汚染の原因となるため
である。
【0006】これに対し、アクリル成分の分子量を高く
すると、上記移行は抑制されるが、その反面、水分散性
が悪くなり、安定な水分散液が得られなくなる。また、
アクリル成分中に水酸基などを導入し、これとウレタン
成分と反応させることで、上記移行を抑制することはで
きるが、この効果をより良く発揮させるため、アクリル
成分中に上記水酸基などを多く導入すると、ウレタン成
分と反応させたのちの水分散性が悪くなり、安定な水分
散液がやはり得られなくなる。
【0007】本発明は、このような事情に照らし、環境
衛生や安全衛生などに問題のない、しかも乳化剤を用い
ないため、乳化剤に起因した耐水性や汚染性の問題もな
い、ウレタン・アクリル系の水分散型感圧性接着剤組成
物において、アクリル成分の移行に起因した問題を回避
し、水分散性と被着体低汚染性をともに満足する上記組
成物とその表面保護用シートを提供することを目的とし
ている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的に対して、鋭意検討した結果、ポリオール化合物とポ
リイソシアネート化合物との反応に際し、アクリル成分
として活性水素を持つ官能基である水酸基とカルボキシ
ル基を有するアクリル系共重合物を一緒に反応させると
ともに、上記カルボキシル基を中和して水に分散させ
て、分子内に中和されたカルボキシル基を有するアクリ
ル変性ポリウレタンの水分散液を得るにあたり、上記ア
クリル成分中にあらかじめアルコキシシラン基を導入し
ておくと、この基自体は活性水素を持たないため、ポリ
イソシアネート化合物との反応に関与しないが、水への
分散時に加水分解してシラノール基となり、これが生成
アクリル変性ポリウレタンの水分散安定性に好結果を与
える一方、支持体上などに塗布し乾燥して脱水すると、
上記シラノール基はシロキサン結合を形成してアクリル
成分の高分子量化ないしウレタン成分中への固定化に寄
与し、アクリル成分の被着体への移行阻止に好結果をも
たらすことがわかった。
【0009】しかも、このようにアクリル成分中にアル
コキシシラン基を導入して得られるアクリル変性ポリウ
レタンの水分散液は、ウレタン・アクリル系の水分散型
感圧性接着剤組成物の本来の特性として、接着力の経時
変化が少なく、かつ支持体への投錨性にもすぐれ、とく
にこの投錨性は上記シロキサン結合の形成でより一段と
すぐれたものとなり、糊残りに起因した被着体汚染の問
題がことごとく回避され、これと乳化剤を用いないため
乳化剤に起因した被着体汚染の問題もないこととあいま
って、被着体低汚染性を確実に達成でき、同時に、生成
アクリル変性ポリウレタンの水分散性も十分に満足させ
うることがわかった。
【0010】また、本発明者らは、接着特性の調整のた
め、上記アクリル変性ポリウレタンの水分散液中にさら
にアクリル系単量体を加えこれを重合処理して、前記以
外のアクリル成分として高分子量のアクリル系ポリマー
を生成させたり、この場合に水酸基やイソシアネート基
を有する重合性不飽和化合物を上記水分散液を得る際に
あらかじめ反応させておき、この化合物の重合性不飽和
基を上記重合処理時に一緒に重合反応に関与させるよう
にすることにより、水分散性と被着体低汚染性をさらに
高度に満足させうるものであることもわかった。
【0011】本発明は、以上の知見をもとにして、完成
されたものである。すなわち、本発明は、a)ポリオー
ル化合物と、b)アルコキシシラン基、活性水素を持つ
官能基およびカルボキシル基を有する(メタ)アクリル
酸アルキルエステル系共重合物と、c)ポリイソシアネ
ート化合物とから誘導される、分子内に中和されたカル
ボキシル基を有するアクリル変性ポリウレタンの水分散
液からなることを特徴とする水分散型感圧性接着剤組成
物に係るものである。また、本発明は、上記分子内に中
和されたカルボキシル基を有するアクリル変性ポリウレ
タンの水分散液中に、上記のアクリル変性ポリウレタン
2〜98重量%に対して、(メタ)アクリル酸アルキル
エステルを主単量体としたアクリル系ポリマー98〜2
重量%を含有させてなる上記水分散型感圧性接着剤組成
物、とくに、上記分子内に中和されたカルボキシル基を
有するアクリル変性ポリウレタンが、a〜c成分のほか
に、d)活性水素を持つ官能基またはイソシアネート基
を有する重合性不飽和化合物を用いて、誘導されたもの
である上記水分散型感圧性接着剤組成物に係るものであ
る。
【0012】さらに、本発明は、a)ポリオール化合物
と、b)アルコキシシラン基、活性水素を持つ官能基お
よびカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル系共重合物と、c)ポリイソシアネート化合
物とを出発原料とし、これらを反応させるとともに、上
記カルボキシル基の中和により水に分散させ、分子内に
中和されたカルボキシル基を有するアクリル変性ポリウ
レタンの水分散液を得ることを特徴とする水分散型感圧
性接着剤組成物の製造方法に係るものである。また、本
発明は、上記分子内に中和されたカルボキシル基を有す
るアクリル変性ポリウレタンの水分散液を得たのち、こ
れに(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体と
した単量体を加えて重合させ、上記のアクリル変性ポリ
ウレタン2〜98重量%に対して、アクリル系ポリマー
98〜2重量%を生成させるようにした上記水分散型感
圧性接着剤組成物の製造方法、とくに、上記分子内に中
和されたカルボキシル基を有するアクリル変性ポリウレ
タンの水分散液を得るにあたり、a〜c成分のほか、
d)活性水素を持つ官能基またはイソシアネート基を有
する重合性不飽和化合物を用いて、これらを一緒に反応
させるとともに、この方法で得た水分散液に上記単量体
を加えて重合する際に、上記d成分に由来する重合性不
飽和基を重合反応に同時に関与させるようにした上記水
分散型感圧性接着剤組成物の製造方法に係るものであ
る。
【0013】また、本発明は、支持体上に上記構成の水
分散型感圧性接着剤組成物を用いた接着剤層が設けられ
ていることを特徴とする表面保護用シートに係るもので
ある。なお、本発明において、上記の「表面保護用シー
ト」には、通常幅広の表面保護用シートのほか、通常幅
狭の表面保護用テープも含まれるものであり、さらに表
面保護用ラベルなどの他の各種の表面保護用製品が広く
含まれるものである。また、上記の「表面保護用」と
は、具体的には、ステンレス板などの金属製品や半導体
ウエハなどの物品の表面保護を意味するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明におけるa成分としてのポ
リオール化合物は、1分子中に2個またはそれ以上の水
酸基を有するものであり、数平均分子量が1,000未
満である低分子量ポリオールと数平均分子量が1,00
0〜4,000の高分子量ポリオールとのうちのいずれ
か一方または両方が用いられる。このうち、前者の低分
子量ポリオールとしては、たとえば、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブ
チレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの2
価アルコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、
ペンタエリスリトールなどの3価または4価アルコール
などが用いられる。
【0015】また、高分子量ポリオールとしては、ポリ
エーテルポリオール(ポリエチレングリコール、ポリフ
ロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールな
ど)、ポリエステルポリオール(エチレングリコール、
ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレ
ングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの2価ア
ルコール、その他、ジプロピレングリコール、1,4−
ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペン
チルグリコールなどのアルコールとアジピン酸、アゼラ
イン酸、セパチン酸などの2塩基際との重縮合物)、ポ
リカプロラクトンなどのラクトン系開環重合体ポリオー
ル、ポリカーボネートジオール、アミン変性エポキシ樹
脂などのエポキシポリオールなどが用いられる。
【0016】本発明におけるb成分としての(メタ)ア
クリル酸アルキルエステル系共重合物は、(メタ)アク
リル酸アルキルエステルを主単量体とした数平均分子量
が通常2,000〜100,000、好ましくは2,5
00〜50,000、さらに好ましくは3,000〜2
0,000の共重合物であって、ウレタン変性用のアク
リル成分として、c成分としてのポリイソシアネート化
合物と直接反応する活性水素を持つ官能基と、水に良好
に分散させるための中和用のカルボキシル基とを有し、
さらに水分散性および被着体低汚染性をともに満足させ
るためのアルコキシシラン基を有するものである。
【0017】このような(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル系共重合物は、(メタ)アクリル酸アルキルエス
テルを主単量体とし、これに活性水素を持つ官能基を有
する単量体、カルボキシル基を有する単量体およびアル
コキシシラン基を有する単量体を加えてなる単量体混合
物を、2,2−アゾビスイソブロニトリルなどのアゾ系
開始剤やベンゾイルパーオキサイドなどの有機過酸化物
を重合開始剤として、通常の重合反応を行うことによ
り、合成することができる。また、この方法において、
活性水素を持つ官能基を有する単量体を使用する代わり
に、活性水素を持つ官能基を有する連鎖移動剤を使用す
ることにより、あるいは、活性水素を持つ官能基を有す
る単量体を使用するとともに、活性水素を持つ官能基を
有する連鎖移動剤を併用することにより、合成すること
もできる。
【0018】主単量体である(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステルは、アクリル酸またはメタクリル酸と炭素数
1〜14のアルコールとのエステルであり、たとえば、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2
−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、
(メタ)アクリル酸イソノニルなどが挙げられる。主単
量体としては、このような(メタ)アクリル酸アルキル
エステルとともに、単量体混合物中、50重量%を超え
ない範囲で、他の単量体を併用することもできる。
【0019】併用可能な単量体としては、たとえば、酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、(メタ)ア
クリルアミド、マレイン酸のモノまたはジエステル、N
−メチロール(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メ
タ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル
(メタ)アクリルアミド、オリゴエステルアクリレー
ト、ε−カプロラクトンアクリレートなどの単量体を挙
げることができる。
【0020】活性水素を持つ官能基を有する単量体は、
上記官能基として水酸基やアミノ基などを有する単量体
であり、その中でも、水酸基を有する単量体がとくに好
ましく用いられる。具体的には、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ
る。また、カルボキシル基を有する単量体としては、
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などが挙
げられる。これらの活性水素を持つ官能基を有する単量
体およびカルボキシル基を有する単量体を共重合させる
ことで、活性水素を持つ官能基およびカルボキシル基
を、共重合体分子鎖の任意位置に導入することができ
る。
【0021】また、上記の活性水素を持つ官能基を有す
る単量体に代えて用いられる、あるいはこの単量体と併
用される活性水素を持つ官能基を有する連鎖移動剤は、
上記官能基として水酸基やアミノ基などを有する連鎖移
動剤であり、その中でも、水酸基を有する連鎖移動剤が
とくに好ましく用いられる。具体的には、2−メルカプ
トエタノール、1−メルカプト−2−プロパノール、3
−メルカプト−1−プロパノール、p−メルカプトフェ
ノールなどが挙げられる。このような連鎖移動剤を使用
すると、共重合体分子鎖の末端位置に活性水素を持つ官
能基を導入することができ、ポリイソシアネート化合物
との反応でより分子鎖長の長いウレタン変性ポリウレタ
ンの生成をできるので、接着特性上、望ましい。
【0022】アルコキシシラン基を有する単量体として
は、共重合性の観点より、(メタ)アクリル酸の誘導体
である(メタ)アクリル酸系シラン化合物がとくに好ま
しく用いられる。具体的には、3−(メタ)アクリルオ
キシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリ
ルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)ア
クリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−
(メタ)アクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラ
ンなどが挙げられる。その他、共重合可能なシラン化合
物として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエト
キシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4
−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチ
ルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキ
シシラン、10−(メタ)アクリルオキシデシルトリメ
トキシシラン、10−(メタ)アクリルオキシデシルト
リエトキシシランなどが挙げられる。
【0023】本発明において、a成分としてのポリオー
ル化合物とb成分としての(メタ)アクリル酸アルキル
エステル系共重合物との使用割合は、水分散性、接着特
性、被着体低汚染性などの観点より、上記a成分が20
〜80重量%、上記b成分が80〜20重量%となる範
囲内で、適宜決定するのがよい。なお、上記b成分とし
ての(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合物を
合成する重合反応を、a成分としてのポリオール化合物
の存在下で行うようにすると、有機溶剤などの溶媒を用
いることなく、穏やかに安定な重合反応を行わせること
ができ、しかも生成共重合物の一部がポリオール化合物
にグラフトして、ポリオール化合物と上記共重合物との
相溶性に好結果が得られるため、望ましい。
【0024】本発明においてc成分としてのポリイソシ
アネート化合物は、1分子中に少なくとも2個のイソシ
アネート基を有する化合物であって、ポリウレタン構成
用の公知の各種化合物を使用できる。その中でも、イソ
フォロンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシル
メタンジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイ
ソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネートがとくに
好ましい。これは、以下に述べるように、a成分やb成
分との反応後、水に分酸させる工程において、残存イソ
シアネート基が比較的安定なためである。
【0025】本発明においては、このようなa成分、b
成分およびc成分を出発原料とし、これらを反応させる
とともに、b成分に含まれるカルボキシル基の中和によ
り水に分散させ、分子内に中和されたカルボキシル基を
有するアクリル変性ポリウレタンの水分散液を得るもの
である。この方法は、通常は、上記a〜c三成分の反応
工程と、これに引き続く中和および水分散工程と、さら
に必要により残存イソシアート基による主鎖延長反応工
程とにより、実施することができる。
【0026】上記a〜c三成分の反応工程は、a成分の
ポリオール化合物中の水酸基およびb成分の(メタ)ア
クリル酸アルキルエステル系共重合物中の活性水素を持
つ官能基とくに水酸基と、c成分のポリイソシアネート
化合物のイソシアネート基とを、ウレタン化反応させる
ものである。この反応に際し、イソシアネート基と水と
の反応を抑えるため、上記a〜c成分からなる出発原料
をあらかじめ乾燥空気や窒素などで置換したり、脱水操
作しておくのがよい。また上記反応にあたり、触媒とし
て、ジブチルすずジラウレート、オクトエ酸すず、1,
4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンなどを用い
ることもできる。
【0027】このような反応工程において、各出発原料
の使用割合は、a成分の水酸基とb成分の活性水素を持
つ官能基(とくに水酸基)との合計量に対して、c成分
のポリイソシアネート化合物のイソシアネート基が1〜
8倍当量、好ましくは1〜5倍当量となるようにするの
がよい。1倍当量未満では未反応の水酸基などの活性水
素を持つ官能基か残存して、高分子量化できず、また8
倍当量を超えると生成ポリマーが硬くなりすぎ、いずれ
も、好ましくない。なお、上記のウレタン化反応に際
し、b成分に含まれるアルコキシシラン基は活性水素を
持たないため、上記の反応には関与せず、粘度の上昇や
ゲル化を起こすおそれはない。
【0028】中和および水分散工程では、上記反応で生
成した通常未反応のイソシアネート基が残存するウレタ
ンプレポリマーを、これに含まれるb成分に由来するカ
ルボキシル基を中和して、水に分散させる。中和用のア
ルカリには、トリアルキルアミンやアンモニアなどが用
いられる。分散は、中和物に水を加える方式で行っても
よいし、中和物を水に加える方式で行ってもよい。ま
た、上記のウレタンプレポリマーをアルカリを溶解した
水に加えることにより、カルボキシル基の中和と水への
分散を同時に行ってもよい。いずれの方式でも、均一に
なるように撹拌を行うのが望ましい。この工程におい
て、b成分に含まれるアルコキシシラン基は、加水分解
してシラノール基となり、分散安定性の向上に寄与す
る。
【0029】主鎖延長反応工程では、上記水への分散工
程では反応(分解)しなかった残存イソシアネート基を
用いて、主鎖延長による高分子量化を行うものである。
通常は、上記の水分散後に、エチレンジアミン、トリエ
チレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのポリア
ミンを加え、これと残存イソシアネート基とを反応させ
るという手法がとられ、これにより高分子量のアクリル
変性ポリウレタンを生成させる。上記のポリアミンは、
ウレタン化反応に用いたc成分の量を勘案し、残存イソ
シアネート基に対して等当量以下(通常は、0.5当量
程度)となる割合で用いられる。
【0030】本発明においては、このようにして得られ
るアクリル変性ポリウレタンの水分散液をそのまま水分
散型感圧性接着剤組成物としてもよいし、上記の水分散
液にさらにアクリル系単量体を加えて重合させ、上記の
アクリル変性ポリウレタンとともに、上記重合で生成し
た十分に高分子量のアクリル系ポリマーを新たなアクリ
ル成分として含有する水分散型感圧性接着剤組成物とし
てもよい。その際、アクリル変性ポリウレタンが2〜9
8重量%、好ましくは10〜90重量%で、アクリル系
ポリマーが98〜2重量%、好ましくは90〜10重量
%となるように、アクリル系単量体の使用量を適宜選択
することにより、水分散性、被着体低汚染性および接着
特性をすべて満足させることができる。
【0031】上記のアクリル系単量体は、(メタ)アク
リル酸アルキルエステルを主単量体とした単量体であ
る。(メタ)アクリル酸アルキルエステルには、b成分
の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合物の合
成に使用した主単量体と同様のものを使用できる。ま
た、全単量体中、50重量%を超えない範囲で、共重合
可能な単量体を併用できる。この共重合可能な単量体
も、b成分の合成に例示したものを同様に使用できる。
その他、凝集力の向上に寄与するトリメチロールプロパ
ントリアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレ
ートなどの多官能単量体を併用してもよい。さらに、b
成分の合成に使用したのと同様のカルボキシル基を含有
する単量体、水酸基やアミノ基などの活性水素を持つ官
能基を有する単量体、アルコキシシラン基を有する単量
体などを併用してもよい。
【0032】このようなアクリル系単量体の重合に際し
ては、水分散液を構成するアクリル変性ポリウレタンか
らなるポリマー粒子にアクリル系単量体を十分に吸収さ
せたのち、これにさらに重合開始剤を加えて重合処理す
ればよい。重合開始剤としては、一般の乳化重合に用い
られる過硫酸アンモニウムなどの過酸化物や水溶性のア
ゾ化合物を用いることができるが、水中にイオン生成物
を発生しないようにアゾ化合物が使用するのがとくに好
ましい。油溶性の重合開始剤を用いる場合は、あらかじ
めアクリル系単量体に混合しておくこともできる。
【0033】本発明において、上記のようなアクリル系
単量体の重合処理を行うときには、アクリル変性ポリウ
レタンの水分散液を得る際に、a〜c成分のほかに、
d)活性水素を持つ官能基またはイソシアネート基を有
する重合性不飽和化合物を用いて、これらを上記a〜c
成分と一緒に反応させておいてもよい。これによると、
アクリル変性ポリウレタンの分子内に上記d成分に由来
する重合性不飽和基を導入できるので、この重合性不飽
和基を上記アクリル系単量体の重合処理時に同時に重合
反応に関与させることにより、アクリル変性ポリウレタ
ンとアクリル系ポリマーとの間に一部共有結合を生じさ
せることができ、水分酸性、被着体低汚染性および接着
特性などの諸特性にさらに好結果を得ることができる。
【0034】上記のd成分のうち、活性水素を持つ官能
基を有する重合性不飽和化合物としては、上記の官能基
として水酸基やアミノ基などを有するものが挙げられ
る。その中でも、水酸基を有する重合性不飽和化合物を
使用するのが好ましく、具体的には、ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどが用いら
れる。また、イソシアネート基を有する重合性不飽和化
合物としては、メタクリロイルイソシアネート、2−メ
タクロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロ
ペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートなど
が挙げられるが、反応性や安定性の面より、2−メタク
ロイルオキシエチルイソシアネートを使用するのが好ま
しい。
【0035】なお、これらd成分としての重合性不飽和
化合物の使用量は、a,b,d三成分に含まれる活性水
素を持つ官能基(とくに水酸基)の合計量に対して、c
成分のイソシアネート基が1〜8倍当量、好ましくは1
〜5倍当量となるように、あるいはa,b二成分に含ま
れる活性水素を持つ官能基(とくに水酸基)の合計量に
対して、c,d二成分のイソシアネート基が1〜8倍当
量、好ましくは1〜5倍当量となるように、d成分の種
類に応じて、適宜決定すればよい。
【0036】このようにして得られる本発明の水分散型
感圧性接着剤組成物は、b成分のアルコキシシラン基の
加水分解によって生成するシラノール基の機能にも起因
して水分散性に非常にすぐれたものであり、これを再剥
離用感圧性接着剤として使用する際には、必要により、
ポリビニルアルコールやその他の分散性改良剤、増粘剤
などを加えて使用してもよい。また必要に応じて、粘着
付与樹脂、軟化剤、顔料、架橋剤などの一般の感圧性接
着剤に用いられる種々の添加剤を加えることができる。
なお、架橋剤を加える場合、この架橋剤は水溶性でも油
溶性でもよく、油溶性の場合は、少量の有機溶剤に溶か
したり、水に乳化させて加えればよい。他の漆加剤につ
いても、上記と同様に取り扱うことができる。
【0037】本発明の表面保護用シートは、たとえば、
支持体として、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ
エチレンなどの厚さが通常10〜200μmのプラスチ
ックフィルムや、その他、適宜の厚さの紙、ラミネート
紙、不繊布、金属箔、発泡シートなどを使用して、これ
らの支持体上に上記の水分散型感圧性接着剤組成物を塗
工したのち、加熱乾燥により脱水して、厚さが通常2〜
50μmの接着剤層を設けることにより、得ることがで
きる。
【0038】また、本発明の表面保護用シートは、上記
のような支持体を用いる代わりに、支持体構成用のポリ
マー水分散体(たとえば、ウレタン−アクリルハイブリ
ッド水分散体など)を用いて、この水分散体と、上記本
発明の水分散型感圧性接着剤組成物とを、剥離紙上に2
層塗工するなどして、得ることもできる。この場合の支
持体および接着剤層の厚さは、前記と同様である。表面
保護用シートの作製自体はとくに限定はなく、これら以
外の方法で作製してもよい。
【0039】この表面保護用シートは、接着剤層を構成
するポリマー成分が前記したアクリル変性ポリウレタン
またはこれとアクリル系ポリマーとの混成物からなり、
上記のポリウレタンに含まれる前記シラノール基が脱水
によってシロキサン結合に変換されていることにより、
支持体と接着剤層との投錨性に著しくすぐれ、金属板や
塗装板などの保護するべき物体の表面に良好に接着でき
る一方、加湿放置下でも上記接着力が経時的に増大せ
ず、またアクリル成分が被着体表面にマイグレードする
こともなく、上記物体の保護目的を達成したのちに容易
に再剥離でき、その際に接着剤の一部が被着体上に残存
する、いわゆる糊残りを生じることがなく、また乳化剤
を使用していないためこの乳化剤が付着残存する心配も
なく、結局、物体表面の汚染を著しく低減できる、つま
り本発明の目的とする被着体低汚染性を確実に達成でき
るという格別顕著な効果を発揮する。
【0040】
【実施例】つぎに、本発明の実施例を記載して、より具
体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例にのみ
限定されるものではない。なお、以下において、部とあ
るのは重量部を意味するものとする。
【0041】実施例1 ポリテトラメチレングリコール50部の存在下、アクリ
ル酸ブチル25部、メタクリル酸メチル20部、アクリ
ル酸5部、アクリル酸2−ヒドロキエチル1部および3
−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン1.5
部からなる単量体混合物を、連鎖移動剤として2−メル
カプトエタノール1部を、重合開始剤として2,2−ア
ゾビスイソブチロニトリル0.1部を、それぞれ使用し
て、窒素気流下、50℃で6時間の重合反応により、共
重合した。
【0042】このようにして得られたポリテトラメチレ
ングリコールと(メタ)アクリル酸アルキルエステル系
共重合物との混合物からなる粘稠液体を、100℃に加
熱して減圧処理することにより、残存する水分を除去し
た。これに、イソフォロンジイソシアネート30部(上
記粘稠液体中の全水酸基に対して4.9倍当量)、ジブ
チルチンジラウレート0.05部を加えて、65℃で3
時間反応させることにより、イソシアネートプレポリマ
ーを生成した。
【0043】このイソシアネートプレポリマーに、トリ
エチルアミン7部(カルボキシル基に対して等当量)を
加えて、カルボキシル基を中和したのち、撹拌しなが
ら、水350部を加えて、水に分散させた。ついで、エ
チレンジアミン3.2部(残存イソシアネート基に対し
て0.5当量)を水50部で希釈した溶液を加え、65
℃で3時間反応させることにより、主鎖延長反応による
高分子量化を行い、分子内に中和されたカルボキシル基
を有するアクリル変性ポリウレタンが水に安定に分散さ
れた水分散液からなる水分散型感圧性接着剤組成物を得
た。
【0044】つぎに、支持体として、厚さが60μmの
ポリエチレンフィルムを使用し、この支持体上に上記の
水分散型感圧性接着剤組成物をアプリケータにより塗工
し、乾燥機中80℃で5分間加熱乾燥して脱水し、厚さ
が5μmの接着剤層を形成し、表面保護用シートを作製
した。
【0045】実施例2 実施例1で得たアクリル変性ポリウレタンの水分散液
に、メタクリル酸メチル200部を加え、1時間窒素置
換した。これに重合開始剤として2,2′−アゾビス
〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕0.
1部をメタノール5部に溶解させ蒸留水5部で希釈して
加え、50℃で8時間重合した。これにより、上記のア
クリル変性ポリウレタンとアクリル系ポリマーとが水に
安定に分散された水分散液からなる水分散型感圧性接着
剤組成物を得た。この組成物を用い、実施例1と同様に
して、表面保護用シートを作製した。
【0046】実施例3 ポリプロピレングリコール50部の存在下、アクリル酸
ブチル40部、アクリル酸5部、アクリル酸2−ヒドロ
キシエチル1部および3−メタクリルオキシプロピルト
リメトキシシラン3部からなる単量体混合物を、連鎖移
動剤として2−メルカプトエタノール1部を、重合開始
剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.1部
を、それぞれ使用して、窒素気流下、50℃で6時間の
重合反応により、共重合した。
【0047】このようにして得られたポリプロピレング
リコールと(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重
合物との混合物からなる粘稠液体を、100℃に加熱し
て減圧処理し、残存する水分を除去した。これにメタク
リロイルイソシアネート5部を混合したのち、4,4−
ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート40部、ジブ
チルチンジラウレート0.05部を加え、65℃で3時
間反応させることにより、イソシアネートプレポリマー
を生成した。なお、上記粘稠液体中の全水酸基に対し、
メタクリロイルイソシアネートと4,4−ジシクロヘキ
シルメタンジイソシアネートとの合計のイソシアネート
基量は、4.7倍当量であった。
【0048】このイソシアネートプレポリマーに、トリ
エチルアミン7部(カルボキシル基に対して等当量)を
加えて、カルボキシル基を中和したのち、撹拌しなが
ら、水300部を加えて、水に分散させた。ついで、エ
チレンジアミン3.5部(残存イソシアネート基に対し
て0.5当量)を水65部で希釈した溶液を加え、65
℃で3時間反応させて、主鎖延長反応による高分子量化
を行い、分子内に中和されたカルボキシル基を有するア
クリル変性ポリウレタンの水分散液を得た。
【0049】このアクリル変性ポリウレタンの水分散液
に、アクリル酸ブチル250部を加え、1時間窒素置換
した。これに重合開始剤として2,2′−アゾビス〔2
−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕0.1部
をメタノール5部に溶解させ蒸留水5部で希釈して加
え、50℃で4時間重合した。これにより、上記のアク
リル変性ポリウレタンとアクリル系ポリマーとが水に安
定に分散された水分散液からなる水分散型感圧性接着剤
組成物を得た。この感圧性接着剤組成物を用い、実施例
1と同様にして、表面保護用シートを作製した。
【0050】比較例1 (メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合物の合成
にあたり、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシ
シラン1.5部を用いなかった以外は、実施例1と同様
にして、ポリテトラメチレングリコールと(メタ)アク
リル酸アルキルエステル系共重合物とからなる粘稠液体
を得た。この粘稠液体を使用し、実施例1と同様にし
て、イソシアネートプレポリマーの生成、カルボキシル
基の中和および水分散化、主鎖延長反応による高分子量
化を行って、分子内に中和されたカルボキシル基を有す
るアクリル変性ポリウレタンの水分散液からなる水分散
型感圧性接着剤組成物を得た。この感圧性接着剤組成物
を用い、実施例1と同様にして、表面保護用シートを作
製した。
【0051】比較例2 比較例1で得たアクリル変性ポリウレタンの水分散液を
用いた以外は、実施例2と同様にして、上記のアクリル
変性ポリウレタンとアクリル系ポリマーとの水分散液か
らなる水分散型感圧性接着剤組成物を得た。この感圧性
接着剤組成物を用い、実施例1と同様にして、表面保護
用シートを作製した。
【0052】比較例3 (メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合物の合成
にあたり、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシ
シラン3部を使用しなかった以外は、実施例3と同様に
して、ポリテトラメチレングリコールと(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル系共重合物とからなる粘稠液体を
得た。この粘稠液体を用い、実施例3と同様にして、イ
ソシアネートプレポリマーの生成、カルボキシル基の中
和および水分散化、主鎖延長反応による高分子量化、ア
クリル系単量体の重合を行い、分子内に中和されたカル
ボキシル基を有するアクリル変性ポリウレタンとアクリ
ル系ポリマーとの水分散液からなる水分散型感圧性接着
剤組成物を得た。この組成物を用い、実施例1と同様に
して、表面保護用シートを作製した。
【0053】比較例4 (メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合物の合成
にあたり、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシ
シラン1.5部を使用せず、アクリル酸2−ヒドロキエ
チルの使用量を1部から5部に変更した以外は、実施例
1と同様にして、ポリテトラメチレングリコールと(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル系共重合物とからなる
粘稠液体を得た。この粘稠液体を使用し、実施例1と同
様にして、イソシアネートプレポリマーの生成、カルボ
キシル基の中和および水分散化、主鎖延長反応による高
分子量化を行ったが、アクリル変性ポリウレタンが水に
安定に分散された水分散液を得ることはできなかった。
【0054】比較例5 (メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合物の合成
にあたり、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシ
シラン1.5部と2−メルカプトエタノール1部をいず
れも使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、ポ
リテトラメチレングリコールと(メタ)アクリル酸アル
キルエステル系共重合物とからなる粘稠液体を得た。こ
の粘稠液体を使用し、実施例1と同様にして、イソシア
ネートプレポリマーの生成、カルボキシル基の中和およ
び水分散化、主鎖延長反応による高分子量化を行った
が、アクリル変性ポリウレタンが水に安定に分散された
水分散液を得ることはできなかった。
【0055】上記の実施例1〜3および比較例1〜3で
作製した各表面保護用シートについて、下記の方法によ
り、接着力試験および糊残り試験を行った。これらの試
験結果は、表1に示されるとおりであった。
【0056】<接着力試験>幅20mm、長さ100mmに
裁断した表面保護用シートを、被着体としてSUS#3
04BA板に、2kgのローラを1往復させる方式で圧着
し、40℃,92%RH雰囲気下に1週間放置した。し
かるのち、23℃,65%RHの雰囲気下、引っ張り速
度300mm/分の条件で、表面保護用シートを180°
剥離し、その剥離に要する力を測定した。
【0057】<糊残り試験>表面保護用シートを、被着
体としてAl蒸着ウエハの表面に、2kgのローラを1往
復させる方式で貼り付け、40℃で1日放置した。しか
るのち、表面保護用シートを剥離し、Al蒸着ウエハ表
面の糊残りの状態を調べた。測定は、ESCAにより、
表面保護用シートを貼り付ける前のウエハ表面のC量
〔C0 %〕と、上記剥離後のウエハ表面のC量〔C
t %〕を測定し、両者の差〔ΔC〕=〔Ct−C0
(%)を求めた。
【0058】
【0059】上記の表1から明らかなように、本発明の
実施例1〜3の水分散型感圧性接着剤組成物を使用した
表面保護用シートは、適度な接着力を有して、かつ再剥
離時の糊残りが少なく、乳化剤に起因した汚染の問題も
ないことと相まって、被着体低汚染性を十分に満足させ
うるものであることがわかる。
【0060】これに対し、アルコキシシラン基を含有し
ない(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合物を
出発原料とした比較例1〜3の水分散型感圧性接着剤組
成物を使用した表面保護用シートは、接着力を満足でき
ても、再剥離時の糊残りが多くなり、被着体低汚染性を
満足させることができない。
【0061】また、上記の被着体低汚染性の問題を、比
較例4のようにアクリル成分である(メタ)アクリル酸
アルキルエステル系共重合物中に含ませる官能基(水酸
基)を多くしたり、比較例5のように連鎖移動剤の使用
を省いて上記共重合物の分子量を高くすることにより、
解決しようとすると、水分散型感圧性接着剤組成物とし
ての水分散性が損なわれてしまうことも明らかである。
【0062】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、アク
リル変性ポリウレタンを構成させるアクリル成分中にあ
らかじめアルコキシシラン基を導入しておくことによ
り、環境衛生や安全衛生などに問題のない、また乳化剤
を用いないため乳化剤に起因した耐水性や汚染性の問題
もない、ウレタン・アクリル系の水分散型感圧性接着剤
組成物として、アクリル成分の移行(マイグレード)の
問題をも回避できるので、接着特性はもちろん、水分散
性と被着体低汚染性をともに高度に満足する感圧性接着
剤組成物とその表面保護用シートを提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 良徳 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 4J004 AA10 AA14 AB01 CA02 CA04 CA05 CA08 CB01 CB02 CB04 CC02 CC03 FA04 FA05 4J040 DF042 DF052 EF051 EF111 EF121 EF131 EF151 EF181 EF291 EK102 GA07 GA31 JA03 JB09 LA01 LA06 NA20 PA23 QA01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 a)ポリオール化合物と、b)アルコキ
    シシラン基、活性水素を持つ官能基およびカルボキシル
    基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重
    合物と、c)ポリイソシアネート化合物とから誘導され
    る、分子内に中和されたカルボキシル基を有するアクリ
    ル変性ポリウレタンの水分散液からなることを特徴とす
    る水分散型感圧性接着剤組成物。
  2. 【請求項2】 分子内に中和されたカルボキシル基を有
    するアクリル変性ポリウレタンの水分散液中に、上記の
    アクリル変性ポリウレタン2〜98重量%に対して、
    (メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体とした
    アクリル系ポリマー98〜2重量%を含有させてなる請
    求項1に記載の水分散型感圧性接着剤組成物。
  3. 【請求項3】 分子内に中和されたカルボキシル基を有
    するアクリル変性ポリウレタンは、a〜c成分のほか
    に、d)活性水素を持つ官能基またはイソシアネート基
    を有する重合性不飽和化合物を用いて、誘導されたもの
    である請求項2に記載の水分散型感圧性接着剤組成物。
  4. 【請求項4】 a)ポリオール化合物と、b)アルコキ
    シシラン基、活性水素を持つ官能基およびカルボキシル
    基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重
    合物と、c)ポリイソシアネート化合物とを出発原料と
    し、これらを反応させるとともに、上記カルボキシル基
    の中和により水に分散させ、分子内に中和されたカルボ
    キシル基を有するアクリル変性ポリウレタンの水分散液
    を得ることを特徴とする水分散型感圧性接着剤組成物の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 分子内に中和されたカルボキシル基を有
    するアクリル変性ポリウレタンの水分散液を得たのち、
    これに(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体
    とした単量体を加えて重合させ、上記のアクリル変性ポ
    リウレタン2〜98重量%に対して、アクリル系ポリマ
    ー98〜2重量%を生成させるようにした請求項4に記
    載の水分散型感圧性接着剤組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 分子内に中和されたカルボキシル基を有
    するアクリル変性ポリウレタンの水分散液を得るにあた
    り、a〜c成分のほか、d)活性水素を持つ官能基また
    はイソシアネート基を有する重合性不飽和化合物を用い
    て、これらを一緒に反応させるとともに、この方法で得
    た水分散液に単量体を加えて重合する際に、上記d成分
    に由来する重合性不飽和基を重合反応に同時に関与させ
    る請求項5に記載の水分散型感圧性接着剤組成物の製造
    方法。
  7. 【請求項7】 支持体上に請求項1〜3のいずれかに記
    載の水分散型感圧性接着剤組成物を用いた接着剤層が設
    けられていることを特徴とする表面保護用シート。
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