JP2000154366A - 水分散型感圧性接着剤組成物とその製造方法およびその接着シ―ト類 - Google Patents

水分散型感圧性接着剤組成物とその製造方法およびその接着シ―ト類

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JP2000154366A
JP2000154366A JP10331105A JP33110598A JP2000154366A JP 2000154366 A JP2000154366 A JP 2000154366A JP 10331105 A JP10331105 A JP 10331105A JP 33110598 A JP33110598 A JP 33110598A JP 2000154366 A JP2000154366 A JP 2000154366A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接着力および保持力などの接着特性ととも
に、耐水性にもすぐれた水分散型感圧性接着剤組成物の
製造方法を提供する。 【解決手段】 ポリオ―ルとカルボキシル基含有アクリ
ルポリオ―ルとポリイソシアネ―トとを出発原料として
分子内に中和されたカルボキシル基を有するアクリル変
性ポリウレタンの水分散液を得、これに(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステルを主単量体としたポリマ―のガラ
ス転移温度が250K以下となる単量体を加えて重合さ
せ、上記のアクリル変性ポリウレタン2〜98重量%に
対し、ガラス転移温度が250K以下のアクリルポリマ
―98〜2重量%を生成させることを特徴とする水分散
型感圧性接着剤組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐水性にすぐれる
水分散型感圧性接着剤組成物とその製造方法およびその
シ―ト状やテ―プ状などの接着シ―ト類に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境衛生や安全性などの点より、
感圧性接着剤組成物の製造方法として有機溶剤を使用し
ない方向への転換が進みつつある。具体的には、ホツト
メルト型やエマルジヨン型などが知られるが、前者は耐
熱性の欠如という問題があり、後者は耐水性の欠如とい
う問題を有している。
【0003】エマルジヨン型の耐水性の欠如は、主に、
ポリマ―粒子を水に安定に分散させるための乳化剤が残
存することに起因する。この耐水性を上げるため、反応
性乳化剤を用いてポリマ―粒子中に乳化剤を取り込む試
みがなされており、たとえば、反応性乳化剤の種類や重
合方法を改良する工夫が行われている。しかし、反応性
乳化剤が水相で重合したり未反応で残存して、ポリマ―
粒子中に完全に取り込めず、耐水性を大きく改良するま
でには至つていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に照らし、環境衛生や安全性などの面ですぐれて、
かつホツトメルト型のような耐熱性の問題のない水分散
型の感圧性接着剤組成物であつて、上記従来のエマルジ
ヨン型にみられたような乳化剤に起因した耐水性の問題
を本質的に持たない水分散型感圧性接着剤組成物とその
製造方法およびその接着シ―ト類を提供することを目的
としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために、鋭意検討した結果、第一段階とし
て、ポリエ―テルポリオ―ルやポリエステルポリオ―ル
などのポリオ―ルと、カルボキシル基含有アクリルポリ
オ―ルと、ポリイソシアネ―トとを出発原料として、分
子内に中和されたカルボキシル基を有するアクリル変性
ポリウレタンを水に安定に分散させてなる水分散液を
得、第二段階として、この水分散液を重合媒体としてこ
れにさらにアクリル系単量体を加えて重合させると、上
記アクリル変性ポリウレタンとあらたに生成するアクリ
ルポリマ―とを含むポリマ―粒子が水に安定に分散され
た水分散型感圧性接着剤組成物が得られ、これを支持体
上に塗布、乾燥して接着剤層を形成したシ―ト状やテ―
プ状などの接着シ―ト類は、良好な接着特性を発揮する
とともに、上記組成物が従来のエマルジヨン型のような
乳化剤を用いたものでないために、乳化剤に起因した耐
水性の問題が全くないことを知り、本発明を完成するに
至つた。
【0006】すなわち、本発明は、ポリオ―ルとカルボ
キシル基含有アクリルポリオ―ルとポリイソシアネ―ト
とから誘導される、分子内に中和されたカルボキシル基
を有するアクリル変性ポリウレタン2〜98重量%と、
(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量体とした
ガラス転移温度が250K以下のアクリルポリマ―98
〜2重量%とを含有することを特徴とする水分散型感圧
性接着剤組成物(請求項1)に係るものである。また、
本発明は、ポリオ―ルとカルボキシル基含有アクリルポ
リオ―ルとポリイソシアネ―トとを出発原料として分子
内に中和されたカルボキシル基を有するアクリル変性ポ
リウレタンの水分散液を得、これに(メタ)アクリル酸
アルキルエステルを主単量体としたポリマ―のガラス転
移温度が250K以下となる単量体を加えて重合させ、
上記のアクリル変性ポリウレタン2〜98重量%に対
し、ガラス転移温度が250K以下のアクリルポリマ―
98〜2重量%を生成させることを特徴とする水分散型
感圧性接着剤組成物の製造方法(請求項2)に係るもの
である。さらに、本発明は、支持体上に上記構成の水分
散型感圧性接着剤組成物からなる接着剤層を有すること
を特徴とするシ―ト状やテ―プ状などの接着シ―ト類
(請求項3)に係るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明においては、まず、第一段
階として、ポリオ―ルとカルボキシル基含有アクリルポ
リオ―ルとポリイソシアネ―トとを出発原料として、分
子内に中和されたカルボキシル基を有するアクリル変性
ポリウレタンの水分散液を得る。このような水分散液と
しては、たとえば、a)ポリオ―ルとカルボキシル基含
有アクリルポリオ―ルとの混合物を得る工程、b)この
混合物に、この混合物中の水酸基の全量に対して2〜3
倍量のポリイソシアネ―トを反応させて、イソシアネ―
トプレポリマ―を得る工程、c)このイソシアネ―トプ
レポリマ―を、これに含まれるカルボキシル基の中和に
より水に分散させ、イソシアネ―ト基の反応による主鎖
延長により高分子量化する工程とにより、得ることがで
きる。
【0008】a工程において、ポリオ―ルとしては、ポ
リプロピレングリコ―ル、ポリエチレングリコ―ル、ポ
リテトラメチレングリコ―ルなどの低分子ジオ―ルやト
リオ―ルにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイ
ド、テトラヒドロフランなどを付加重合させてなるポリ
エ―テルポリオ―ル、アジピン酸とエチレングリコ―
ル、ポリエチレングリコ―ルなどとのエステル化物から
なるポリエステルポリオ―ルなどがある。これらのポリ
オ―ルは、数平均分子量が1,000〜4,000で、
水酸基が0.0005〜0.003当量/gであるのが
好ましい。ポリオ―ルの分子量が小さすぎるとウレタン
のハ―ドセグメントが多くなり、生成ポリマ―が硬くな
りすぎ、また分子量が大きすぎると水への分散性に劣り
やすい。さらに、ポリオ―ルの水酸基の量が少なすぎる
と水分散性に劣り、また水酸基の量が多すぎると生成ポ
リマ―が硬くなりすぎる。
【0009】また、カルボキシル基含有アクリルポリオ
―ルは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分
とする重合体、つまりアクリルポリマ―であつて、分子
内にカルボキシル基および水酸基を含有するものであ
り、数平均分子量が3,000〜20,000で、カル
ボキシル基の量が0.0007〜0.003当量/g、
水酸基の量が0.00005〜0.0007当量/gで
あるのが望ましい。分子量が小さすぎると生成ポリマ―
が硬くなりすぎ、また分子量が大きすぎると水への分散
性が劣りやすい。カルボキシル基の量が少なすぎると水
への分散性が劣り、また多すぎると水を吸収するだけで
分散しなくなる。水酸基の量が少なすぎるとポリオ―ル
ととともにポリイソシアネ―トと反応させる際の共反応
性に劣り、高分子量化したときにポリウレタンとアクリ
ルポリマ―とが相分離し、物性が不安定となり、また多
すぎると生成ポリマ―が硬くなりすぎる。
【0010】このようなカルボキシル基含有アクリルポ
リオ―ルは、(メタ)アクリルアルキルエステルを主成
分とし、これにカルボキシル基を有する単量体を含ませ
た単量体混合物を、重合開始剤と水酸基を有する連鎖移
動剤を用いて、常法により重合させることにより、得る
ことができる。重合に際して、水酸基を有する連鎖移動
剤の使用量を調整し、また温度や時間などの重合条件を
選択することにより、アクリルポリオ―ルの分子量を容
易に設定できる。また、この分子量の設定に加えて、カ
ルボキシル基を有する単量体の使用量を調整することに
より、アクリルポリオ―ルに含まれるカルボキシル基の
量を容易に設定できる。
【0011】さらに、水酸基を有する連鎖移動剤の使用
量を調整することにより、分子量の設定とともに、アク
リルポリオ―ルに含まれる水酸基の量を容易に設定でき
る。また、水酸基を有する連鎖移動剤を用いると、上記
水酸基が分子末端に導入されることになり、このように
分子末端に導入すると、これとポリイソシアネ―トとの
反応により分子鎖長の長いウレタンプレポリマ―が生成
し、高分子量化したときの物性面で好結果が得られる。
なお、水酸基を有する連鎖移動剤とともに、必要によ
り、水酸基を有する単量体を用いて、この単量体に由来
する水酸基をアクリルポリオ―ルの分子内の任意位置に
導入させてもよい。
【0012】単量体混合物の主成分となる(メタ)アク
リル酸エルキルエステルとしては、アクリル酸またはメ
タクリル酸と炭素数1〜14のアルコ―ルとのエステル
が好ましく用いられる。たとえば、メチル(メタ)アク
リレ―ト、エチル(メタ)アクリレ―ト、ブチル(メ
タ)アクリレ―ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レ―ト、イソオクチル(メタ)アクリレ―ト、イソノニ
ル(メタ)アクリレ―トなどが挙げられ、これらの中か
ら、1種または2種以上が用いられる。
【0013】なお、上記の主成分は、必要により、その
一部を、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、
(メタ)アクリルアミド、マレイン酸のモノまたはジエ
ステル、N−メチロ―ル(メタ)アクリルアミド、グリ
シジル(メタ)アクリレ―ト、N,N−ジメチルアミノ
エチル(メタ)アクリレ―ト、N,N−ジメチルアミノ
プロピル(メタ)アクリルアミド、オリゴエステル(メ
タ)アクリレ―ト、ε−カプロラクトン(メタ)アクリ
レ―トなどの他の単量体に置き換えてもよい。これらの
単量体は、その1種または2種以上を選択使用できる
が、全単量体中、50重量%を超えない範囲内とするの
が望ましい。
【0014】カルボキシル基を有する単量体としては、
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸な
どが用いられる。これらの単量体は、アクリルポリオ―
ルの分子内に含ませるカルボキシル基の量に応じて、そ
の使用量が決定されるが、一般には、全単量体中、5〜
20重量%の範囲で使用するのがよい。また、必要によ
り用いられる水酸基を有する単量体としては、2−ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレ―ト、2−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレ―ト、ヒドロキシブチル(メ
タ)アクリレ―トなどが挙げられる。これらの単量体
は、アクリルポリオ―ルの分子内に含ませる水酸基の量
に応じて、その使用量が決定されるが、一般には、全単
量体中、2重量%以下の範囲内で使用するのがよい。
【0015】水酸基を有する連鎖移動剤としては、2−
メルカプトエタノ―ル、1−メルカプト−2−プロパノ
―ル、3−メルカプト−1−プロパノ―ル、p−メルカ
プトフエノ―ルなどが挙げられる。これらの連鎖移動剤
は、アクリルポリオ―ルの分子量と分子内に含ませる水
酸基の量に応じて、その使用量が決定されるが、一般に
は、単量体混合物100重量部あたり、1〜5重量部の
範囲で使用するのが望ましい。なお、これらの連鎖移動
剤とともに、必要により、水酸基を持たない通常の連鎖
移動剤を併用してもよい。また場合により、上記通常の
連鎖移動剤を上記の水酸基を有する連鎖移動剤に代えて
使用することもできる。
【0016】重合開始剤としては、2,2−アゾビスイ
ソブチロニトリルなどのアゾ系開始剤や、ベンゾイルパ
―オキサイド、クメンハイドロパ―オキサイドなどの過
酸化物系開始剤が用いられる。これらの重合開始剤は、
その種類やアクリルポリオ―ルの分子量などに応じて、
その使用量が決定されるが、通常は、単量体混合物10
0あたり、0.02〜0.5重量部の範囲で使用するの
が望ましい。
【0017】このようなカルボキシル基含有アクリルポ
リオ―ルの製造に際し、ポリエ―テルポリオ―ルやポリ
エステルポリオ―ルなどのポリオ―ル中に上記の単量体
混合物と重合開始剤と水酸基を有する連鎖移動剤を加え
て重合させるのが望ましい。上記ポリオ―ルが重合溶媒
として機能して、穏やかな重合反応の進行に寄与し、ま
た生成アクリルポリオ―ルの一部が上記ポリオ―ルにグ
ラフトして、ポリオ―ルとアクリルポリオ―ルとの相溶
性に好結果を与えるためである。
【0018】上記方法により、上記ポリオ―ルとカルボ
キシル基含有アクリルポリオ―ルとの混合物が得られる
が、両成分の割合は、上記ポリオ―ルが20〜80重量
%、カルボキシル基含有アクリルポリオ―ルが80〜2
0重量%となるようにするのがよい。このような割合と
なるように、重合前に上記ポリオ―ルと単量体混合物の
使用量が決められる。上記ポリオ―ルが少なすぎると水
分散性に劣り、また多すぎると、水分散体の安定性が悪
くなる。なお、カルボキシル基含有アクリルポリオ―ル
の製造を上記ポリオ―ルの非存在下で行う場合には、重
合後に上記ポリオ―ルと混合して、上記同様の混合物を
調製すればよい。
【0019】b工程においては、混合物を構成する上記
ポリオ―ルおよびカルボキシル基含有アクリルポリオ―
ルの中に含まれる水酸基と、ポリイソシアネ―トに含ま
れるイソシアネ―ト基との反応により、遊離のイソシア
ネ―ト基が残存したプレポリマ―、つまりイソシアネ―
トプレポリマ―を得る。ここで、上記の水酸基とイソシ
アネ―ト基との反応は、反応系内の水分を除去したの
ち、通常、ジブチルチンジラウレ―トなどの適宜の触媒
を加えて、温度50〜70℃で2〜5時間程度、加熱処
理する方式で、進行させるのが望ましい。
【0020】ポリイソシアネ―トとしては、イソホロン
ジイソシアネ―ト、4,4−ジシクロヘキシルメタンジ
イソシアネ―ト、シクロヘキサン−1,4−ジイソシア
ネ―トなどの脂環族ジイソシアネ―トが、好ましく用い
られる。このような脂環族ジイソシアネ―トを用いる
と、つぎのc工程の水分散に際して、イソシアネ―トプ
レポリマ―中の遊離のイソシアネ―ト基が比較的安定な
ため、水分散の操作中にイソシアネ―ト基の分解が起こ
りにくく、アクリル変性ポリウレタンの水分散液を安定
に得ることができる。このようなポリイソアネ―トの使
用量としては、混合物中の水酸基の全量に対し、通常2
〜3倍当量、好ましくは2.1〜2.5当量となる割合
とするのがよい。2倍当量未満では、この段階で主鎖延
長が起こつて高粘度となるため、水分散が難しくなり、
また3倍当量を超えると、未反応のポリイソシアネ―ト
が残存する心配がある。
【0021】c工程においては、まず、上記のイソシア
ネ―トプレポリマ―を、これに含まれるカルボキシル
基、つまりアクリルポリオ―ルに由来するカルボキシル
基を中和して、水に分散させる。中和には、トリエチル
アミンやアンモニアなどのアルカリが用いられる。分散
は、中和後の上記プレポリマ―に水を加えるか、逆に水
に上記プレポリマ―を加えて行えばよく、その際、攪拌
しながら均一に分散させる。水の量は、とくに限定され
ないが、最終的に得られるアクリル変性ポリウレタンの
固形分濃度が、通常30〜50重量%となるようにする
のがよい。
【0022】このように水に分散させたのち、上記プレ
ポリマ―に含まれる遊離のイソシアネ―ト基の反応性を
利用して、主鎖延長を行い、高分子量化する。主鎖延長
は、水による自己反応によつてもよいが、好ましくは、
ジアミンなどのポリアミンを加え、温度50〜70℃で
1〜5時間程度、加熱処理して、イソシアネ―ト基とア
ミノ基との反応を生起させるようにするのがよい。ポリ
アミンとしては、エチレンジアミン、トリエチレンジア
ミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。これ
らポリアミンの使用量としては、上記プレポリマ―に含
まれる遊離のイソシアネ―ト基を完全に反応させうる適
宜の当量が選択される。
【0023】このようにして得られる水分散液は、分子
内に中和されたカルボキシル基を有するアクリル変性ポ
リウレタンが水中に安定に分散されてなるもので、これ
には耐水性低下の原因となる乳化剤が一切含まれていな
い。本発明では、第二段階として、この水分散液を重合
媒体として、これにさらにアクリル系単量体を加えて重
合させ、目的とする水分散型感圧性接着剤組成物を製造
する。
【0024】この第二段階においては、まず、水分散液
を構成するアクリル変性ポリウレタンからなるポリマ―
粒子にアクリル系単量体を吸収させ、ついで、重合開始
剤を加えて、40〜80℃で3〜10時間程度反応させ
ればよい。重合開始剤には、過硫酸アンモニウムなどの
過酸化物や水溶性のアゾ化合物が用いられるが、水中に
イオン生成物を発生しないようにアゾ化合物を使用する
のが好ましい。また、場合により、油溶性の重合開始剤
を使用できるが、この場合は、あらかじめ上記のアクリ
ル系単量体に混合させる方法をとることもできる。
【0025】アクリル系単量体は、(メタ)アクリル酸
アルキルエステルを主単量体としたポリマ―のガラス転
移温度が250K以下となる単量体である。上記のガラ
ス転移点が250Kを超えると、感圧性接着剤として硬
くなりすぎ、接着特性が損なわれる。主単量体としての
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、前記の水分散
液の製造におけるカルボキシル基含有アクリルポリオ―
ルの合成原料に用いた(メタ)アクリル酸アルキルエス
テルと同様のものが用いられる。この(メタ)アクリル
酸アルキルエステルの一部を前記の場合と同様に他の単
量体に置き換えてもよく、その量はやはり全単量体中、
50重量%以下の範囲とするのがよい。他の単量体とし
ては、前記した酢酸ビニルなどに加え、トリメチロ―ル
プロパントリアクリレ―ト、ジエチレングリコ―ルジア
クリレ―トなどの多官能単量体を用いてもよく、このよ
うな多官能単量体を用いてポリマ―粒子内を架橋構造化
することにより、感圧性接着剤の凝集力を高めることが
できる。
【0026】このようにして得られる水分散型感圧性接
着剤組成物は、アクリル変性ポリウレタンとアクリルポ
リマ―を含有する水分散体、つまり、ポリマ―粒子とし
て、ポリオ―ルとカルボキシル基含有アクリルポリオ―
ルとポリイソシアネ―トとから誘導される、分子内に中
和されたカルボキシル基を有するアクリル変性ポリウレ
タンと、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主単量
体としたガラス転移温度が250K以下のアクリルポリ
マ―とを含有してなり、このポリマ―粒子が乳化剤を用
いることなく水に安定に分散された水分散体である。
【0027】この水分散体において、上記両ポリマ―の
比率は、アクリル変性ポリウレタンが2〜98重量%、
好ましくは10〜90重量%、より好ましくは30〜8
0重量%で、アクリルポリマ―が98〜2重量%、好ま
しくは90〜10重量%、より好ましくは70〜20重
量%である。このような比率となるように、水分散液に
加えるアクリル系単量体の使用量を適宜決定する。その
際、アクリル系単量体の使用量が多すぎると重合操作中
に凝集物が発生したりして安定性が悪くなり、また少な
すぎると接着特性、とくに凝集力が低下する。
【0028】本発明の水分散型感圧性接着剤組成物は、
上記の水分散体に対して他の添加剤成分を加えなくて
も、接着力と凝集力を満足するすぐれた接着特性を発揮
させることができるが、凝集力をさらに上げるために架
橋剤を配合してもよい。また、接着力を向上させるため
に水分散型の粘着付与樹脂を配合してもよい。さらに、
必要に応じて、充填剤、顔料などの一般の感圧性接着剤
組成物に用いられる各種の添加剤成分を任意に配合する
ことができる。
【0029】本発明の接着シ―ト類は、支持体上に上記
構成の水分散型感圧性接着剤組成物を塗布、乾燥して、
所望厚さの接着剤層を形成することにより、シ―ト状や
テ―プ状の形態としたものである。支持体としては、プ
ラスチツクフイルム、紙、ラミネ―ト紙、不織布、金属
箔、発泡シ―トなどの非剥離性支持体や、剥離紙などの
剥離性支持体が用いられる。また場合によつては、支持
体を全く用いないで、シ―ト状やテ―プ状の形態とする
ことも可能である。このようにして作製される本発明の
接着シ―ト類は、接着特性および耐水性にすぐれている
ため、耐水性が必要とされる各種の用途に対して、幅広
く使用することができる。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例を記載して、より具体
的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重量
部を意味するものとする。
【0031】なおまた、以下において、ポリオ―ルやカ
ルボキシル基含有アクリルポリオ―ルの数平均分子量
は、ゲルパ―ミエ―シヨンクロマトグラフイ―(GP
C)法により測定される値である。また、ポリオ―ルや
上記アクリルポリオ―ルの水酸基の量(当量/g)は、
NMRにより測定される値である。さらに、上記アクリ
ルポリオ―ルのカルボキシル基の量(当量/g)は、ア
ルコ―ル性水酸化カリウムによる電位差滴定により測定
される値である。
【0032】実施例1 平均分子量3,000のポリプロピレングリコ―ル(水
酸基:0.00067当量/g)50部に、アクリル酸
ブチル45部およびアクリル酸5部からなる単量体混合
物、水酸基を有する連鎖移動剤として2−メルカプトエ
タノ―ル1部、重合開始剤として2,2−アゾビスイソ
ブチロニトリル0.05部を加えて、窒素気流下、50
℃で6時間重合反応を行い、粘調液体を得た。
【0033】この粘調液体は、GPCによる測定で、ポ
リプロピレングリコ―ルに由来する数平均分子量3,0
00のピ―クと、カルボキシル基含有アクリルポリオ―
ルに由来する数平均分子量7,500のピ―クとが認め
られ、ポリプロピレングリコ―ルと上記アクリルポリオ
―ルとの混合物であることが確認された。また、分析の
結果、上記アクリルポリオ―ルのカルボキシル基は0.
0014当量/g、水酸基は0.00025当量/gで
あることがわかつた。
【0034】このような混合物からなる粘調液体を、1
00℃に加熱して減圧処理し、残存する水分を除去した
のち、イソホロンジイソシアネ―ト11.8部(全水酸
基に対して2.3倍当量)を加え、さらにジブチルチン
ジラウレ―ト0.01部を加え、65℃で3時間反応さ
せて、イソシアネ―トプレポリマ―を得た。
【0035】このイソシアネ―トプレポリマ―に、トリ
エチルアミン7部(カルボキシル基に対して等当量)を
加えて、カルボキシル基を中和したのち、攪拌しなが
ら、水150部を加えて、上記プレポリマ―を水に分散
させた。しかるのち、エチレンジアミン1.8部(残存
するイソシアネ―ト基に対して等当量)を水16.2部
で希釈した溶液を加えて、65℃で3時間反応させるこ
とにより、主鎖延長による高分子量化を行い、分子内に
中和されたカルボキシル基を有するアクリル変性ポリウ
レタンが水に安定に分散された水分散液を得た。
【0036】この水分散液(固形分42.2重量%)1
00部に、水68部を加え、均一に撹拌したのち、アク
リル酸ブチル21部およびアクリル酸2−エチルヘキシ
ル21部からなる単量体混合物を加え、窒素気流下で1
時間撹拌して、上記の単量体混合物を水分散しているア
クリル変性ポリウレタンからなるポリマ―粒子に吸収さ
せた。しかるのち、50℃に昇温して、重合開始剤とし
て2,2−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2イ
ル)〕プロパン0.02部を加え、重合反応を開始させ
た。同温度に4時間保持したのち、70℃に昇温して1
時間保持して、重合反応を続け、その後、冷却して、重
合反応を完結させた。
【0037】このようにして、分子内に中和されたカル
ボキシル基を有するアクリル変性ポリウレタンと上記重
合反応により生成したアクリルポリマ―とを含有する水
分散体からなる水分散型感圧性接着剤組成物が得られ
た。つぎに、この水分散型感圧性接着剤組成物を、厚さ
が25μmのポリエステルフイルム上に、乾燥後の厚さ
が40μmとなるように塗布したのち、120℃で3分
間乾燥して、接着剤層を形成することにより、接着テ―
プを作製した。
【0038】実施例2 実施例1で得た分子内に中和されたカルボキシル基を有
するアクリル変性ポリウレタンが水に安定に分散された
水分散液(固形分42.2重量%)100部に、水68
部を加え、均一に撹拌したのち、アクリル酸ブチル4
1.9部およびトリメチロ―ルプロパントリアクリレ―
ト0.1部からなる単量体混合物を加え、窒素気流下で
1時間撹拌して、上記の単量体混合物を水分散している
アクリル変性ポリウレタンからなるポリマ―粒子に吸収
させた。しかるのち、50℃に昇温して、重合開始剤と
して2,2−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2イ
ル)〕プロパン0.02部を加え、重合反応を開始させ
た。同温度に4時間保持したのち、70℃に昇温して1
時間保持して、重合反応を続け、その後、冷却して、重
合反応を完結させた。このようにして得られた分子内に
中和されたカルボキシル基を有するアクリル変性ポリウ
レタンと上記重合反応により生成したアクリルポリマ―
とを含有する水分散体からなる水分散型感圧性接着剤組
成物を用いて、以下、実施例1と同様にして、接着テ―
プを作製した。
【0039】実施例3 実施例1で得た分子内に中和されたカルボキシル基を有
するアクリル変性ポリウレタンが水に安定に分散された
水分散液(固形分42.2重量%)100部に、水35
部を加え、均一に撹拌したのち、単量体としてアクリル
酸ブチル20部を加え、窒素気流下で1時間撹拌して、
上記の単量体を水分散しているアクリル変性ポリウレタ
ンからなるポリマ―粒子に吸収させた。しかるのち、5
0℃に昇温して、重合開始剤として2,2−アゾビス
〔2−(2−イミダゾリン−2イル)〕プロパン0.0
2部を加え、重合反応を開始させた。同温度に4時間保
持したのち、70℃に昇温して1時間保持して、重合反
応を続け、その後、冷却して、重合反応を完結させた。
このようにして得られた分子内に中和されたカルボキシ
ル基を有するアクリル変性ポリウレタンと上記重合反応
により生成したアクリルポリマ―とを含有する水分散体
からなる水分散型感圧性接着剤組成物を用い、以下、実
施例1と同様にして、接着テ―プを作製した。
【0040】実施例4 数平均分子量3,000のポリテトラメチレングリコ―
ル(水酸基:0.00067当量/g)50部に、アク
リル酸ブチル25部、メタクリル酸メチル20部、アク
リル酸4.5部およびアクリル酸2−ヒドロキシエチル
0.5部からなる単量体混合物、水酸基を有する連鎖移
動剤として2−メルカプトエタノ―ル1部、重合開始剤
として2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.05部
を加え、窒素気流下で、50℃で6時間重合反応を行
い、粘調液体を得た。
【0041】この粘調液体は、GPCによる測定で、ポ
リテトラメチレングリコ―ルに由来する数平均分子量
3,000のピ―クと、カルボキシル基含有アクリルポ
リオ―ルに由来する数平均分子量7,400のピ―クと
が認められ、ポリプロピレングリコ―ルと上記アクリル
ポリオ―ルとの混合物であることが確認された。また、
分析の結果、上記アクリルポリオ―ルのカルボキシル基
は0.0012当量/g、水酸基は0.00033当量
/gであることがわかつた。
【0042】このような混合物からなる粘調液体を、1
00℃に加熱して減圧処理し、残存する水分を除去した
のち、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ―
ト15.2部(全水酸基に対して2.3倍当量)を加
え、さらにジブチルチンジラウレ―ト0.01部を加
え、65℃で3時間反応させて、イソシアネ―トプレポ
リマ―を得た。
【0043】このイソシアネ―トプレポリマ―に、トリ
エチルアミン6.3部(カルボキシル基に対して等当
量)を加えて、カルボキシル基を中和したのち、攪拌し
ながら、水150部を加えて、上記プレポリマ―を水に
分散させた。しかるのち、エチレンジアミン1.9部
(残存するイソシアネ―ト基に対して等当量)を水1
7.1部で希釈した溶液を加えて、65℃で3時間反応
させることにより、主鎖延長による高分子量化を行い、
分子内に中和されたカルボキシル基を有するアクリル変
性ポリウレタンが水に安定に分散された水分散液を得
た。
【0044】この水分散液(固形分42.2重量%)1
00部に、水156部を加え、均一に撹拌したのち、ア
クリル酸ブチル70部およびアクリル酸2−エチルヘキ
シル30部からなる単量体混合物を加え、窒素気流下で
1時間撹拌して、上記の単量体混合物を水分散している
アクリル変性ポリウレタンからなるポリマ―粒子に吸収
させた。しかるのち、50℃に昇温して、重合開始剤と
して2,2−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2イ
ル)〕プロパン0.02部を加え、重合反応を開始させ
た。同温度に4時間保持したのち、70℃に昇温して1
時間保持して、重合反応を続け、その後、冷却して、重
合反応を完結させた。
【0045】このようにして、分子内に中和されたカル
ボキシル基を有するアクリル変性ポリウレタンと上記重
合反応により生成したアクリルポリマ―とを含有する水
分散体からなる水分散型感圧性接着剤組成物が得られ
た。この水分散型感圧性接着剤組成物を用いて、以下、
実施例1と同様にして、接着テ―プを作製した。
【0046】比較例1 アクリル酸ブチル45部、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル50部、アクリル酸5部、ラウリル硫酸ナトリウム2
部、過硫酸アンモニウム0.2部、水150部を用い
て、窒素気流下、65℃で7時間乳化重合を行い、水分
散型感圧性接着剤組成物を得た。この水分散型感圧性接
着剤組成物を用いて、以下、実施例1と同様にして、接
着テ―プを作製した。
【0047】上記の実施例1〜4および比較例1の各接
着テ―プについて、下記の方法により、接着力および保
持力を測定した。また、各接着テ―プを水に2時間浸漬
して接着剤層の白化の有無を調べ、耐水性を評価した。
これらの結果は、表1に示されるとおりであつた。
【0048】<接着力>20mm×100mmの大きさの接
着テ―プを、被着体として#280のサンドペ―パでサ
ンデイングしたステンレス板に、2Kgのロ―ラを1往復
させる方式で圧着し、23℃で20分間経過後、剥離に
要する力(180度剥離、引張り速度300mm/分、2
3℃,65%RH雰囲気下)を測定した。
【0049】<保持力(凝集力)>フエノ―ル樹脂板に
接着テ―プを10mm×20mmの接着面積で接着し、20
分間経過後、80℃下で20分間放置したのち、フエノ
―ル樹脂板を垂下して接着テ―プの自由末端に500g
の均一荷重を負荷し、80℃において接着テ―プが落下
するまでの時間(分)を測定した。
【0050】
【0051】上記の表1から明らかなように、実施例1
〜4の接着テ―プは、いずれも、接着力および保持力を
満足する良好な接着特性を発揮するとともに、耐水性に
もすぐれているが、比較例1の接着テ―プは、良好な接
着特性を発揮するものの、耐水性に明らかに劣つている
ものであることがわかる。
【0052】
【発明の効果】以上のように、本発明は、ポリエ―テル
ポリオ―ルやポリエステルポリオ―ルなどとカルボキシ
ル基含有アクリルポリオ―ルとポリイソシアネ―トとを
出発原料として分子内に中和されたカルボキシル基を有
するアクリル変性ポリウレタンを水に安定に分散させた
水分散液を得、この水分散液を重合媒体としてこれにさ
らにアクリル系単量体を加えて重合させる構成としたこ
とにより、良好な接着特性を発揮するとともに、耐水性
にもすぐれた水分散型感圧性接着剤組成物とその製造方
法およびその接着シ―ト類を提供することができる。
フロントページの続き (72)発明者 井上 徹雄 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 吉田 良徳 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 4J004 AA10 AA14 AB01 4J011 AA05 AA10 JA06 JB16 JB26 NA25 NB05 PA95 PB19 PB40 PC07 4J040 DF041 DF051 DL151 EF051 EF231 EF281 GA07 JA03 JA09 JB00 LA08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオ―ルとカルボキシル基含有アクリ
    ルポリオ―ルとポリイソシアネ―トとから誘導される、
    分子内に中和されたカルボキシル基を有するアクリル変
    性ポリウレタン2〜98重量%と、(メタ)アクリル酸
    アルキルエステルを主単量体としたガラス転移温度が2
    50K以下のアクリルポリマ―98〜2重量%とを含有
    することを特徴とする水分散型感圧性接着剤組成物。
  2. 【請求項2】 ポリオ―ルとカルボキシル基含有アクリ
    ルポリオ―ルとポリイソシアネ―トとを出発原料として
    分子内に中和されたカルボキシル基を有するアクリル変
    性ポリウレタンの水分散液を得、これに(メタ)アクリ
    ル酸アルキルエステルを主単量体としたポリマ―のガラ
    ス転移温度が250K以下となる単量体を加えて重合さ
    せ、上記のアクリル変性ポリウレタン2〜98重量%に
    対し、ガラス転移温度が250K以下のアクリルポリマ
    ―98〜2重量%を生成させることを特徴とする水分散
    型感圧性接着剤組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 支持体上に請求項1に記載の水分散型感
    圧性接着剤組成物からなる接着剤層を有することを特徴
    とする接着シ―ト類。
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