JP2002156721A

JP2002156721A - ハロゲン化銀系放射線写真フィルム

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Publication number: JP2002156721A
Application number: JP2001339086A
Authority: JP
Inventors: Robert E Dickerson; エドワードディカーソンロバート; Carl R Preddy; アールプレディーカール
Original assignee: Eastman Kodak Co
Current assignee: Eastman Kodak Co
Priority date: 2000-11-06
Filing date: 2001-11-05
Publication date: 2002-05-31
Also published as: US6361918B1; EP1203984A3; BR0105016A; CN1353331A; EP1203984A2

Abstract

(57)【要約】【課題】所望の画質、迅速処理性、高コントラスト及
び高感度を兼ね備えた放射線写真フィルムを提供するこ
と。【解決手段】両面塗布型ハロゲン化銀系放射線写真フ
ィルムにおいて、ハロゲン化銀乳剤層の各々が、(a)各
ハロゲン化銀乳剤層において同一又は異なる組成を有
し、(b)各ハロゲン化銀乳剤層における総粒子投影面積
の５０％以上を占め、(c)平均厚さが０.０９〜０.１１
μｍの範囲内にあり、かつ、(d)平均アスペクト比が５
より高い、というハロゲン化銀平板状粒子を含み、該フ
ィルムのすべての親水性層が十分に前硬膜されており、
そして該ハロゲン化銀乳剤層の一層以上が該ハロゲン化
銀平板状粒子のためのロジウムドーパントを含むことを
特徴とする高感度ハロゲン化銀系放射線フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、迅速処理及び直接
観察が可能である高感度／高コントラスト放射線写真フ
ィルムに関する。本発明はまた、放射線写真用のフィル
ム／増感紙型画像形成用アセンブリと、該フィルムを処
理して高コントラスト黒白画像を得る方法をも提供す
る。

【０００２】

【従来の技術】医療用放射線写真では、透明支持体上に
少なくとも一層の感放射線性ハロゲン化銀乳剤層を塗布
してなる放射線フィルムを使用し、患者にＸ線を当て、
透過Ｘ線のパターンを記録することによって患者組織の
画像を得る。Ｘ線は、必要な露光量が少ない場合にのみ
乳剤層によって直接記録されることができる。

【０００３】米国特許第５，５７６，１５６号に、迅速
に湿式処理され得る（すなわち、自動処理機内で９０秒
以内、好ましくは４５秒以内に処理される）放射線写真
フィルムが記載されている。典型的な処理サイクルに
は、黒白現像組成物との接触工程、定着組成物による脱
銀工程、リンス工程及び乾燥工程が含まれる。このよう
に処理されたフィルムはすぐに画像の観察ができる。

【０００４】放射線写真画像形成系（放射線写真フィル
ムと増感紙）を選択する上で、画質と作業生産性（すな
わち、処理時間）は最も重要な観点となる。既知の系を
使用した場合の問題の一つに、これらの要件が必ずしも
相容れないということがある。フィルム／増感紙の組合
せには、優れた画質は提供するが、迅速処理ができない
ものがある。一方で、迅速に処理できるが、画質が損な
われるものもある。両方の特徴を同時に提供することは
容易ではない。さらにまた、コントラストは高いが、写
真感度が十分ではないというフィルムもある。

【０００５】最近、放射線治療画像形成用フィルムを提
供するため、グラフィックアーツ産業並びに放射線写真
においてロジウムをドープした乳剤が用いられている。
このような乳剤は、一般に高コントラスト画像を得る場
合に有用である。一般に、ロジウムドーパントは乳剤中
の最大かつ最高感度ハロゲン化銀粒子の感度を優先的に
低下させるので、写真感度が有意に低下する結果として
コントラストが高くなる。写真感度が低下するので、ロ
ジウムドーパントは低感度フィルムにしか使用されない
のが通例である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】放射線学上、過剰Ｘ線
は危険性を伴うためＸ線露光量は非常に重要であり、感
度が非常に低いフィルムを設計することは非実用的であ
る。こうした束縛条件の中で、産業界は、所望の画質、
迅速処理性、高コントラスト及び高感度を兼ね備えた放
射線治療用フィルム及びフィルム／増感紙の組合せを求
めている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を下
記の高感度ハロゲン化銀系放射線写真フィルムによって
解決するものである。すなわち、本発明は、下記第一主
面と第二主面を有するＸ線透過性支持体を含むハロゲン
化銀系放射線写真フィルムにおいて、該第一主面の上
に、ハロゲン化銀乳剤層を含む１層以上の親水性コロイ
ド層が配置され、かつ、該第二主面の上に、ハロゲン化
銀乳剤層を含む１層以上の親水性コロイド層が配置さ
れ、該ハロゲン化銀乳剤層の各々が、(a)各ハロゲン化
銀乳剤層において同一又は異なる組成を有し、(b)各ハ
ロゲン化銀乳剤層における総粒子投影面積の５０％以上
を占め、(c)平均厚さが０.０９〜０.１１μｍの範囲内
にあり、かつ、(d)平均アスペクト比が５より高い、と
いうハロゲン化銀平板状粒子を含み、該フィルムのすべ
ての親水性層が十分に前硬膜されており、かつ、画像形
成のための湿式処理液は４５秒以内に浸透可能であり、
そして該ハロゲン化銀乳剤層の一層以上が該ハロゲン化
銀平板状粒子のためのロジウムドーパントをも含み、該
ロジウムドーパントは各ハロゲン化銀乳剤層において別
個独立に、各乳剤層に含まれる銀１モル当たり１×１０
^-5〜５×１０^-5モルの範囲内の量で存在することを特徴
とする高感度ハロゲン化銀系放射線フィルムを提供す
る。

【０００８】本発明はまた、上記の放射線写真フィルム
の各面に増感紙を組み合わせてなる放射線写真画像形成
用アセンブリを提供する。さらに、本発明は、上記の放
射線写真フィルムを、順に、黒白現像組成物及び定着組
成物と接触させることにより、９０秒以内の実施時間に
おいて黒白画像を提供する方法をも提供する。

【０００９】本発明のフィルムは高感度であり、しか
も、特定量のロジウムドーパントと、特定の平均厚さを
有するハロゲン化銀粒子とを使用したことにより、高コ
ントラスト黒白画像を提供することができる。本発明の
フィルムには、クロスオーバーを制御するために使用さ
れることの多い微結晶性色素粒体は含まれない。さら
に、その他所望のセンシトメトリー特性はすべて維持さ
れ、クロスオーバーは好適なほど低く、しかも該フィル
ムは従来の処理装置及び処理組成物によって迅速処理さ
れることができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】本明細書中の用語「コントラス
ト」とは、放射線写真要素の特性曲線において、最低濃
度から０.２５高い濃度（Ｄ₁）を第一基準点（１）と
し、最低濃度から２.０高い濃度（Ｄ₂）を第二基準点
（２）とし、そして基準点（１）、（２）における露光
量をそれぞれＥ₁、Ｅ₂とした場合に数式：コントラスト＝ΔＤ（すなわち１.７５）÷Δlog₁₀Ｅ
（log₁₀Ｅ₂−log₁₀Ｅ₁）から得られる平均コントラスト（γともいう）を意味す
る。

【００１１】「下方スケールコントラスト」とは、特性
曲線において濃度０.８５と、logＥ単位で−０.３シフ
トさせて得られる濃度との間で測定される勾配を意味す
る。「上方スケールコントラスト」とは、特性曲線にお
いてＤminから１.５高い濃度とＤminから２.５高い濃度
との間で測定される勾配を意味する。「中間スケールコ
ントラスト」とは、特性曲線においてＤminから０.２５
高い濃度とＤminから２.０高い濃度との間で測定される
勾配を意味する。

【００１２】写真の「感度」とは、Ｄmin＋１.０以上の
濃度を得るために必要な露光量を意味する。用語「十分
に前硬膜され」とは、湿式処理を通した場合の放射線写
真フィルムの質量増分がその元の（乾燥時の）質量の１
２０％未満に制限されるような程度に親水性コロイド層
が前硬膜されていることを意味する。質量増分は、大部
分がこのような処理中に水を取り込むことによるもので
ある。用語「迅速アクセス処理」とは、放射線写真フィ
ルムの乾燥から乾燥までの処理が４５秒以内であること
を意味する。すなわち、乾燥した像様露光済放射線写真
フィルムが湿式処理機に入ってからそれが乾燥した完全
処理済フィルムとして出てくるまでの時間が４５秒以内
ということである。

【００１３】用語「等価円直径」（ＥＣＤ）は、ハロゲ
ン化銀粒子と同一の投影面積を有する円の直径を意味す
る。用語「前」及び「後」は、フィルムの支持体を基準
として、それぞれＸ線源に近い方及びこれから遠い方を
意味する。用語「両面塗布型」とは、ハロゲン化銀乳剤
層が支持体の前面と後面の両方に塗設されている放射線
写真フィルムを意味する。

【００１４】本発明の放射線写真フィルムは、柔軟性支
持体の両面に、１層以上のハロゲン化銀乳剤層と、必要
に応じて１層以上の非感放射線性親水性層とを配置して
なる。ハロゲン化銀乳剤は、各層において、同一であっ
ても異なってもよく、また１層以上の層に各種ハロゲン
化銀乳剤の混合物を含むこともできる。フィルム支持体
の両面に同一のハロゲン化銀乳剤が塗設されている態様
が好適である。また、フィルム支持体の各面においてハ
ロゲン化銀乳剤の上に保護オーバーコート（後述）が設
けられていることも好適である。

【００１５】支持体は、Ｘ線透過性かつ透光性である従
来のいずれの放射線写真要素用支持体であってもよい。
フィルム支持体の各面において１層以上のハロゲン化銀
乳剤層と共に少なくとも１層の非感光性親水性層を含め
る態様は、さらに好適である。この層は、中間層もしく
はオーバーコート又はその両方で呼ばれることがある。

【００１６】ハロゲン化銀乳剤層は、Ｘ線に感応するハ
ロゲン化銀粒子を一種以上含む。具体的に企図されるハ
ロゲン化銀粒子組成は、ある乳剤層中の全銀量を基準と
して８０モル％以上が臭化物である（好ましくは９８モ
ル％以上が臭化物である）ものが含まれる。このような
乳剤には、例えば、臭化銀、ヨウ臭化銀、塩臭化銀、ヨ
ウ塩臭化銀及び塩ヨウ臭化銀からなるハロゲン化銀粒子
が含まれる。ヨウ化物は、一般に、迅速処理を一層促進
するために（当該乳剤層中の全銀量を基準として）３モ
ル％以下に制限される。ヨウ化物は（当該乳剤層中の全
銀量を基準として）２モル％以下に制限されるか又は粒
子から完全に排除されることが好ましい。各ハロゲン化
銀乳剤ユニット（又は複数のハロゲン化銀乳剤層）に含
まれるハロゲン化銀粒子は、同一種であっても異なって
もよく、また種類の異なる粒子からなる混合物であって
もよい。

【００１７】さらに、異なるハロゲン化銀乳剤層には、
粒子の５０％以上が平板状粒子である限り、同一形態又
は異種形態のハロゲン化銀粒子が含まれていてもよい。
立方体粒子の場合、一般に粒子のＥＣＤは０.８μｍ以
上３μｍ未満（好ましくは０.９μｍ以上１.４μｍ未
満）である。他の非平板形態の有用なＥＣＤ値は、当業
者であれば、立方体粒子及び平板状粒子について提供さ
れた有用なＥＣＤ値を考慮すれば容易に理解できる。

【００１８】一般に、当該フィルムに用いられる平板状
粒子の平均ＥＣＤは０.９μｍ〜４μｍの範囲内であ
る。最も好適なＥＣＤは１.６μｍ〜２.８μｍの範囲内
である。平板状粒子の平均厚さは、一般に０.０９μｍ
〜０.１１μｍ、好ましくは０.０９５μｍ〜０.１０５
μｍの範囲内である。また、使用するハロゲン化銀粒子
の粒子ＥＣＤの変動係数（ＣＯＶ）が２０％未満、好ま
しくは１０％未満であることが望ましい場合もある。態
様の中には、使用する粒子集団の単分散性が、有利に実
現可能な範囲で高いことが望ましいものもある。

【００１９】しかしながら、重要なことは、支持体の各
面にあるハロゲン化銀乳剤層の１層が、平板状ハロゲン
化銀粒子のためのロジウムドーパントを一種以上含有す
ることである。これらのドーパントは、各層において別
個独立に、各乳剤層に含まれる銀１モル当たり１×１０
^-5〜５×１０^-5モルの範囲内、好ましくは各乳剤層に含
まれる銀１モル当たり２×１０^-5〜４×１０^-5モルの範
囲内、の量で存在する必要がある。ロジウムドーパント
の量は、これらの層において同一であっても異なってい
てもよい。ロジウムドーパントの量はハロゲン化銀乳剤
層の各々において同一であることが好ましい。

【００２０】有用なドーパントは、当該技術分野では周
知であり、例えば、米国特許第３,７３７,３１３号(Ros
ecrants et al)、米国特許第４,６８１,８３６号(Inoue
etal)及び米国特許第２,４４８,０６０号(Smith et a
l)に記載されている。代表的なロジウムドーパントとし
て、ロジウムハロゲン化物（例、ロジウム一塩化物、ロ
ジウム三塩化物、アクアペンタクロロロジウム酸二アン
モニウム及ロジウムアンモニウムクロリド）、ロジウム
シアン酸塩｛例、[Rh(CN)₆]^-3、[RhF(CN)₅]^- ³、[RhI₂(C
N)₄]^-3及び[Rh(CN)₅(SeCN)]^-3｝、ロジウムチオシアン
酸塩、ロジウムセレノシアン酸塩、ロジウムテルロシア
ン酸塩、ロジウムアジドその他当該技術分野で知られて
いるもの、例えば、リサーチ・ディスクロージャー(Res
earchDisclosure)、第437013項、第1526頁、2000年９月
及びその中に列挙されている刊行物に記載されているも
の、が挙げられるが、これらに限定はされない。好適な
ロジウムドーパントはアクアペンタクロロロジウム酸二
アンモニウムである。複数種のドーパントからなる混合
物を使用してもよい。

【００２１】乳剤は、従来の有利ないずれの技法によっ
ても化学増感することができる。硫黄増感が好適であ
り、例えば、チオ硫酸塩、チオスルホン酸塩、チオシア
ン酸塩、イソチオシアン酸塩、チオエーテル、チオウレ
ア、システイン又はローダニンを使用して実施すること
ができる。金増感と硫黄増感を組み合わせると最も好適
である。

【００２２】当該放射線写真フィルムの支持体の両面に
あるハロゲン化銀乳剤層その他の親水性層には、合成物
及び天然物双方のコロイド又はポリマーをはじめとする
常用の高分子ベヒクル（ペプタイザー及びバインダー）
が一般に含まれる。本発明の放射線写真フィルムに含ま
れるハロゲン化銀乳剤層（その他の親水性層）は、一般
に、一種以上の常用の硬膜剤を用いて十分に硬膜され
る。

【００２３】当該放射線写真フィルムの各ハロゲン化銀
乳剤層に含まれる銀量は、一般に１４mg/dm²以上１６mg
/dm²以下、好ましくは１４.５mg/dm²以上１５.５mg/dm²
以下の範囲内にある。さらに、各ハロゲン化銀乳剤層に
おける高分子ベヒクルの全被覆量は、一般に３０mg/dm²
以上３４mg/dm²以下、好ましくは３１mg/dm²以上３３mg
/dm²以下の範囲内にある。支持体の両面での銀量及び高
分子ベヒクル量は、同一であっても異なっていてもよ
い。これらの量は乾燥質量を意味する。

【００２４】当該放射線写真フィルムは、一般に、支持
体の各面に、典型的には乳剤層を物理的に保護するため
に表面保護オーバーコートを含む。一般に、保護オーバ
ーコートは、先に乳剤層との関連で説明したものと同じ
種類の中から選ばれる親水性コロイドベヒクルを含む。
従来の放射線写真フィルムでは、保護オーバーコートを
設けることにより二つの基本的機能が発揮される。第一
に、要素の乳剤層と表面との間に、取扱い時及び処理時
に乳剤層を物理的に保護する層が提供される。第二に、
特に放射線写真フィルムの物理特性の調節を意図する添
加剤を配置するのに都合のよい場所が提供される。本発
明のフィルムの保護オーバーコートは、これら基本的機
能の両方を発揮することができる。

【００２５】本発明の放射線写真画像形成用アセンブリ
は、本明細書で説明した放射線写真フィルムと、該放射
線写真フィルムの前面及び後面に隣接する増感紙とから
構成される。増感紙は、Ｘ線を吸収して波長が３００nm
よりも長い電磁線を放出するように設計されることが一
般的である。これらの増感紙は、例えば、米国特許第
５,０２１,３２７号（既述）に記載されているように、
放射線写真画像形成用としての通常の要件をすべて満た
す限り、適当な任意の形態をとることができる。このよ
うな増感紙は、Eastman Kodak社から市販されているLAN
EX(商標)、X-SIGHT(商標)及びInSight(商標)Skeletalス
クリーンをはじめとする複数の出所から各種のものが市
販されている。前面増感紙及び後面増感紙は、所望の発
光種、所望のフォティシティ(photicity)、フィルムが
対称であるか非対称であるか、フィルム乳剤感度及びク
ロスオーバー％、に依存して適宜選択することができ
る。

【００２６】本発明の放射線写真フィルムの露光及び処
理は、従来の都合のよいいずれの方法でも行うことがで
きる。放射線写真フィルムの処理としては、米国特許第
５,０２１,３２７号及び同５,５７６,１５６号（共に既
述）に記載されている露光及び処理技法が典型的であ
る。その他の処理組成物（現像組成物及び定着組成物の
双方）が、米国特許第５,７３８,９７９号(Fitterman e
t al)、米国特許第５,８６６,３０９号(Fitterman et a
l)、米国特許第５,８７１,８９０号(Fittermanet al)、
米国特許第５,９３５,７７０号(Fitterman et al)及び
米国特許第５,９４２,３７８号(Fitterman et al)に記
載されている。処理組成物は、単一配合物としても複数
部からなる配合物としても供給することができ、また濃
縮形としてもさらに希釈された使用強度液としても供給
することができる。

【００２７】本発明のフィルムを、現像、定着、行う場
合には水洗（又はリンス）及び乾燥の各工程を含み、９
０秒以内、好ましくは４５秒以内で２０秒以上の時間内
で処理（乾燥から乾燥まで）することが特に望ましい。
このような処理は、例えば、Kodak Rapid Access処理系
を利用できるKodak X-OMAT(商標)RA 480をはじめとする
適当な任意の処理装置において実施することができる。
その他の「迅速アクセス処理機」が、例えば、米国特許
第３,５４５,９７１号(Barnes et al)及び欧州特許出願
公開第０２４８３９０号(Akio et al)に記載されてい
る。処理に際して用いられる黒白現像組成物がグルタル
アルデヒドのようなゼラチン硬膜剤を一切含まないこと
が好ましい。

【００２８】産業界で採用されている迅速アクセス処理
機は、具体的な処理サイクルや処理組成物の選択が様々
であるため、本発明の要件を満たす好適な放射線写真フ
ィルムは、下記の基準条件に従い乾燥から乾燥まで処理
され得るものとして具体的に定めることとする。現像…３５℃で１１.１秒定着…３５℃で９.４秒水洗…３５℃で７.６秒乾燥…５５〜６５℃で１２.２秒処理工程間の移動には別途時間がかかるものとする。典
型的な黒白現像組成物及び定着組成物は後述の実施例に
おいて説明する。

【００２９】放射線写真キットは、本発明による放射線
写真フィルムの１以上の試料、放射線写真画像形成アセ
ンブリに用いられる１以上の増感紙、及び／又は１以上
の適当な処理組成物（例えば、黒白現像組成物及び定着
組成物）を含むことができる。当該キットはこれらの成
分をすべて含むことが好ましい。別法として、放射線写
真キットは、本明細書に記載したような放射線写真画像
形成アセンブリと、１以上の上記処理組成物とを含むこ
とができる。

【００３０】

【実施例】以下の実施例は例示目的で提供され、本発明
を制限する意図は一切ない。放射線写真フィルムＡ（対照例）放射線写真フィルムＡは、厚さ１７８μｍの青味がかっ
た透明ポリ（エチレンテレフタレート）フィルム支持体
の両面にハロゲン化銀乳剤を塗設した両面塗布型とし
た。該乳剤は、チオ硫酸ナトリウム、テトラクロロ金酸
カリウム、チオシアン酸ナトリウム及びセレノシアン酸
カリウムで化学増感し、さらに銀１モル当たり６８０mg
のアンヒドロ-5,5-ジクロロ-9-エチル-3,3’-ビス(3-ス
ルホプロピル)オキサカルボシアニンヒドロキシドで、
続いて銀１モル当たり３００mgのヨウ化カリウムで分光
増感した。フィルムＡに含まれるハロゲン化銀粒子は、
平均直径が２.９μｍ、厚さが０.０８μｍであった。放
射線写真フィルムＡは、フィルム支持体の各面に、下記
の層配置を有した。オーバーコート中間層乳剤層上記の層は下記組成物から調製した。

【００３１】オーバーコート組成物（被覆量：mg/dm²）ゼラチンベヒクル（３.４）メタクリル酸メチル系マットビーズ（０.１４）カルボキシメチルカゼイン（０.５７）コロイドシリカ(LUDOX AM)（０.５７）ポリアクリルアミド（０.５７）クロムみょうばん（０.０２５）レソルシノール（０.０５８）鯨油系減摩剤（０.１５）中間層組成物（被覆量：mg/dm²）ゼラチンベヒクル（３.４） AgＩリップマン乳剤（０.０８μｍ）（０.１１）カルボキシメチルカゼイン（０.５７）コロイドシリカ(LUDOX AM)（０.５７）ポリアクリルアミド（０.５７）クロムみょうばん（０.０２５）レソルシノール（０.０５８）ニトロン（０.０４４）乳剤層組成物（被覆量：mg/dm²）Ｔ−粒子乳剤（AgBr:2.9×0.08μｍ）（１９.４）ゼラチンベヒクル（２６.３） 4-ヒドロキシ-6-メチル-1,3,3a,7-テトラアザインデン
（２.１ｇ／銀１モル）硝酸カリウム（１.８）ヘキサクロロパラジウム酸アンモニウム（０.００２
２）マレイン酸ヒドラジド（０.００８７）ソルビトール（０.５３）グリセリン（０.５７）臭化カリウム（０.１４）レソルシノール（０.４４）

【００３２】放射線写真フィルムＢ（対照例）Ｔ−粒子乳剤を１７.２mg/dm²で塗布したことを除き、
上記フィルムＡと同一の層配置及び組成物を有するもの
として放射線写真フィルムＢを調製した。放射線写真フィルムＣ（対照例）Ｔ−粒子乳剤を１５.１mg/dm²で塗布したことを除き、
上記フィルムＡと同一の層配置及び組成物を有するもの
として放射線写真フィルムＣを調製した。放射線写真フィルムＤ（対照例）Ｔ−粒子乳剤に含まれるAgBr粒子の平均直径を２.４μ
ｍとし、かつ、厚さを０.１０５μｍとしたことを除
き、上記フィルムＡと同一の層配置及び組成物を有する
ものとして放射線写真フィルムＤを調製した。放射線写真フィルムＥ（対照例）Ｔ−粒子乳剤を１７.２mg/dm²で塗布したことを除き、
上記フィルムＤと同一の層配置及び組成物を有するもの
として放射線写真フィルムＥを調製した。放射線写真フィルムＦ（対照例）Ｔ−粒子乳剤を１５.１mg/dm²で塗布したことを除き、
上記フィルムＤと同一の層配置及び組成物を有するもの
として放射線写真フィルムＦを調製した。

【００３３】放射線写真フィルムＪ（本発明）放射線写真フィルムＪは、本発明の実施態様の一つであ
って、臭化銀粒子の平均直径を２.５μｍとし、厚さを
０.１０μｍとし、かつ、アクアペンタクロロロジウム
酸二アンモニウム系ドーパントを銀１モル当たり３.８
９×１０^-5モルの量でドープしたことを除き、上記フィ
ルムＡと同様に調製したものである。放射線写真フィルムＫ（本発明）放射線写真フィルムＫは、本発明の別の実施態様であっ
て、ハロゲン化銀乳剤を１７.２mg/dm²で塗布したこと
を除き、上記フィルムＪと同様に調製したものである。放射線写真フィルムＬ（本発明）放射線写真フィルムＬは、本発明のさらに別の実施態様
であって、ハロゲン化銀乳剤を１５.１mg/dm²で塗布し
たことを除き、上記フィルムＪと同様に調製したもので
ある。

【００３４】上記各放射線写真フィルム試料に、緑色発
光性Ｘ線増感紙による露光をシミュレートするためCorn
ing C4010で濾過した2650°Kに較正された５００ワット
のGeneral Electric DMXプロジェクタランプ及び1/50秒
間のMacBethセンシトメーターを使用して、段階化され
た濃度ステップを介して露光を施した。センシトメトリ
ーを評価するため、露光済フィルム試料の処理を、KODA
K RP X-OMATフィルム処理機M6A-Nの商品名で市販されて
いる処理機を使用して行った。現像工程は、下記の黒白
現像組成物を使用して実施した。ヒドロキノン（３０ｇ）フェニドン（１.５ｇ）水酸化カリウム（２１ｇ） NaHCO₃（７.５ｇ） K₂SO₃（４４.２ｇ） Na₂S₂O₅（１２.６ｇ）臭化ナトリウム（３５ｇ） 5-メチルベンゾトリアゾール（０.０６ｇ）グルタルアルデヒド（４.９ｇ）水で全体を１リットルにする。ｐH=10

【００３５】フィルム試料を現像液と接触させる時間は
いずれも９０秒未満とした。定着工程は、KODAK RP X-O
MAT LO Fixer and Replenisher定着組成物(Eastman Kod
ak社)を使用して行った。フィルム試料のセンシトメト
リー評価の結果を下記表１に示す。

【００３６】光学濃度は、ANSI標準PH 2.19に対して較
正し、かつ、米国規格標準局の較正用ステップタブレッ
トに対してトレース可能な市販のX-rite 310M型デンシ
トメーターによって測定された拡散濃度として表示し
た。各放射線写真フィルムについて特性曲線（濃度対lo
gＥ）をプロットした。感度（スピード）は１.０＋Ｄmi
nの濃度において測定した。中間スケールコントラスト
は、該特性曲線のＤmin＋０.２５の濃度点とＤmin＋２.
０の濃度点との間の勾配として測定した。下方スケール
コントラストは、０.８５の濃度点と、logＥ単位で−
０.３シフトさせて得られる濃度点との間の勾配として
測定した。「上方スケールコントラスト」は、Ｄmin＋
１.５の濃度点とＤmin＋２.８５の濃度点とを結ぶ直線
の勾配として測定した。

【００３７】画像トーンは、現像銀の色を透過観察して
測定したものである。値は、標準イルミナントとしてＤ
５５００を使用し４００〜７００nmの範囲で記録された
スペクトルについてCIELAB基準によって求めたものであ
る。画像トーンは、CIELAB測定のｂ^*値であって黄色−
青色系カラーバランスの測定である。数値が負方向に大
きくなるほど、現像銀像はより青く見える。放射線技師
の多くは、温調（ｂ^*値が正方向に大きい）を望ましく
ないと考えている。典型的な観察者がぎりぎり認知でき
る差は、ｂ^*単位の差では０.７であると考えられる。

【００３８】これらのデータからわかるように、フィル
ムＡ〜Ｃは、優れた写真感度及びコントラストを示し、
かつ、銀量を顕著に削減することにより製造コストを下
げ、しかも処理の要求も少なくなる可能性を示した。し
かしながら、フィルムＡ〜Ｃは、好ましくない温調画像
（ｂ^*値が比較的正方向である）を示した。Ｔ−粒子ハ
ロゲン化銀乳剤の被覆量が多いフィルムＤとフィルムＥ
の場合、画像トーンは改善されたが、コントラストが望
ましくないほどに低下した。このため、これらのフィル
ムでは銀量を有意に削減することは不可能である。

【００３９】フィルムＪ、Ｋ及びＬは、銀被覆量を著し
く削減した場合であっても、優れた画像トーン、高い感
度及び高いコントラストを提供するものであった。これ
は、ハロゲン化銀Ｔ−粒子乳剤においてロジウムドーパ
ントを使用したことにより達成された。この結果が意外
なことである理由は、ロジウムをドープしたハロゲン化
銀乳剤の平均粒径が、該ドーパントを含まない乳剤（対
照例）のものと同等であったことである。

【００４０】

【表１】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考）Ｇ０３Ｃ 1/09 Ｇ０３Ｃ 1/09 1/30 1/30 5/17 5/17 5/29 5/29

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】第一主面と第二主面を有するＸ線透過性
支持体を含むハロゲン化銀系放射線写真フィルムにおい
て、該第一主面の上に、ハロゲン化銀乳剤層を含む１層以上
の親水性コロイド層が配置され、かつ、該第二主面の上
に、ハロゲン化銀乳剤層を含む１層以上の親水性コロイ
ド層が配置され、該ハロゲン化銀乳剤層の各々が、(a)各ハロゲン化銀乳
剤層において同一又は異なる組成を有し、(b)各ハロゲ
ン化銀乳剤層における総粒子投影面積の５０％以上を占
め、(c)平均厚さが０.０９〜０.１１μｍの範囲内にあ
り、かつ、(d)平均アスペクト比が５より高い、という
ハロゲン化銀平板状粒子を含み、該フィルムのすべての親水性層が十分に前硬膜されてお
り、かつ、画像形成のための湿式処理液は４５秒以内に
浸透可能であり、そして該ハロゲン化銀乳剤層の一層以上が該ハロゲン化銀平板
状粒子のためのロジウムドーパントをも含み、該ロジウ
ムドーパントは各ハロゲン化銀乳剤層において別個独立
に、各乳剤層に含まれる銀１モル当たり１×１０^-5〜５
×１０^-5モルの範囲内の量で存在することを特徴とする
高感度ハロゲン化銀系放射線写真フィルム。
【請求項２】前記ロジウムドーパントが、少なくとも
一層のハロゲン化銀乳剤層において、各乳剤層に含まれ
る銀１モル当たり２×１０^-5〜４×１０^-5モルの範囲内
の量で存在することを特徴とする、請求項１に記載のフ
ィルム。
【請求項３】前記ロジウムドーパントが、各ハロゲン
化銀乳剤層において同一の量で存在することを特徴とす
る、請求項１に記載のフィルム。
【請求項４】請求項１に記載の放射線写真フィルムの
各面に増感紙を組み合わせてなる、放射線写真画像形成
用アセンブリ。
【請求項５】請求項１に記載の放射線写真フィルム
を、順に、黒白現像組成物及び定着組成物と接触させる
ことにより、９０秒以内の実施時間において黒白画像を
提供する方法。