JPH10307353A - (111)平板状塩(臭)沃化銀結晶の製造方法 - Google Patents

(111)平板状塩(臭)沃化銀結晶の製造方法

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JPH10307353A
JPH10307353A JP11263298A JP11263298A JPH10307353A JP H10307353 A JPH10307353 A JP H10307353A JP 11263298 A JP11263298 A JP 11263298A JP 11263298 A JP11263298 A JP 11263298A JP H10307353 A JPH10307353 A JP H10307353A
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JP11263298A
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English (en)
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Peter Verrept
ペテル・ヴェレプ
Ann Verbeeck
アン・ヴェルビーク
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Agfa Gevaert NV
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セントメトリー、画像品質、画像色調をより
一定で予測できるようにするため、粒子分布中の微粒子
を避けることにより、塩化銀リッチの平板状ハロゲン化
銀粒子の結晶分布の単分散性を改良することにある。 【解決手段】 {111}結晶面、少なくとも2:1の
平均アスペクト比を有する塩臭沃化銀又は塩沃化銀平板
状粒子の製造法であり、従来の製造法において、前記核
生成工程中6.0〜9.0の初期pH値で分散媒体を維
持し、生成工程の終りと生長工程の終りの間、少なくと
も30秒間、pH6.0未満とし、続いて前記初期pH
を再設定することにより行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本発明は、粒度において増強された単分散性を示す塩化
銀リッチの平板状ハロゲン化銀乳剤粒子の製造及び前記
粒子の厚さを制御する方法に関する。
【0002】発明の背景 平板状ハロゲン化銀粒子は、先の1980年代初期以
来、二つの平行な面を有し、これらの面と同じ面積を有
する円の直径と、二つの主面の間の距離である厚さとの
間の比が2以上に等しい結晶として実用のために良く知
られている。
【0003】1981年に出願され、1984年に発行
された多くの米国特許において、写真用途における高ア
スペクト比を有する平板状粒子及びそれらの利点が、例
えばUS−A 4434226(8:1より大なる高ア
スペクト比);4439520(スペクトル増感につい
て特記してある);4425425(少なくとも8:1
のアスペクト比を有する平板状粒子を含有する放射線写
真材料)及び4425426(5:1〜8:1のアスペ
クト比を有する同様の粒子)に記載されている。高アス
ペクト比ハロゲン化銀乳剤についての調査は、Research
DisclosureVol.225,1983年1月、Item225
34に見られる。
【0004】放射線写真用のために、通常の球状粒子と
比較して平板状粒子の主たる写真的利点は、US−A
4414304に記載されている如く、高前硬化レベル
での高被覆力、US−A 4425425及び4425
426に特記されている如く、特に両側被覆されたスペ
クトル増感された材料における高現像可能性及び高鮮鋭
度、これによるクロスオーバーの低下にある。
【0005】前述した{111}平板状粒子についての
文献中に、高感度を有する特に臭化銀又は沃臭化銀乳剤
が記載されている、しかし、EP−A 0678772
に記載されている如く、塩化銀リッチの平板状ハロゲン
化銀粒子でも高速度が達成されることが示されている。
【0006】塩化銀リッチの前記{111}平板状ハロ
ゲン化銀粒子に対しては、US−A4713323;4
804621;5176692;5183732;51
85239;5252452;5286621;529
8385及び5298388に示されている如く、比較
的大量の晶癖変性剤の使用が要求される。
【0007】増強された形態学的安定性及び増強された
写真性能を得るため塩化物リッチの{111}結晶を有
する平板状粒子乳剤の沃化物での処理は、EP−A 0
678772及び1996年8月1日発行のResearch
Disclosure No. 388046に記載されている。
【0008】しかしながら球形の結果として、かなり不
均質な結晶分布が得られる:例えば0.3μ未満の球等
価直径を有する実に多数の非平板状粒子の存在によっ
て、0.30〜0.45の普通の変動係数(等価円直径
についての平均標準偏差と前記平均等価円直径の間の比
として定義される)が計算される。
【0009】かかる高度の不均質分散性は、例えば制御
できない化学及びスペクトル増感、低コントラスト及び
低被覆力をもたらし、これによって前述した如き前記粒
子の代表的な利点を消失させる。
【0010】今日まで乳剤製造において更に単分散の平
板状ハロゲン化銀結晶分布を得るための努力が、臭化銀
リッチのハロゲン化銀結晶に指向されて来た、例えばU
S−A 4797354;5147772;51477
73;5171659;5248587;520423
5;5210013;5215879;525040
3;5252453;5254453;531888
8;5439787;5472837;5482826
及び5484697に記載されている。
【0011】しかしながら、乳剤沈澱中塩化銀リッチの
前記平板状粒子の厚さの制御は従来できなかった。それ
から生ずる一つの重要な欠点は予測し得ない画像色調の
発生にある。
【0012】単分散平板状臭(沃)化銀結晶を有する乳
剤を含む放射線写真材料は、例えばUS−A 5252
442及び5508158に記載されている。しかしな
がら臭化銀リッチの前述した平板状粒子に対するのと同
じ製造法が、塩化銀リッチの平板状粒子の製造には、特
に晶癖変性剤、通常アデニン(これは前述した欠点をも
たらすので)の存在により、そのまま適用できない。
【0013】発明の目的 従って本発明の第一の目的は、分散した形での塩化銀リ
ッチの平板状ハロゲン化銀粒子を含む処理された材料の
センシトメトリー、画像品質及び画像色調をより一定で
予測できるようにするため、特に粒子分布中の妨害する
微粒子の存在を避けることによって、塩化銀リッチの平
板状ハロゲン化銀粒子の結晶分布の単分散性を改良する
ことにある。
【0014】本発明の第二の目的は、塩化銀リッチの前
記平板状ハロゲン化銀粒子の粒子厚さを更に予測しうる
ようにする方法を得ることにある。
【0015】本発明の第三の目的は、少ない量の銀を被
覆することの可能性を提供すること、これによって生態
学的に硬化剤不含処理溶液、迅速処理、低再生等と関連
した生態学的に正当化された環境で、処理後の処理薬品
及び廃材料の量を減少することにある。
【0016】他の目的は以下の説明から明らかになるで
あろう。
【0017】発明の概要 前述した本発明の目的を達成するため、銀に基づいて、
少なくとも75mol%の塩化物及び0.1〜3mol
%の沃化物を有し、更に{111}結晶面、少なくとも
2:1の平均アスペクト比を有する塩臭沃化銀又は塩沃
化銀粒子を含み、全粒子の全投影面積の少なくとも50
%、更に好ましくは少なくとも75%、なお更に好まし
くは90%より多くが、前記平板状粒子によって与えら
れ、前記粒子の球等価直径(SED)についての変動係
数が0.30より小、更に好ましくは0.25より小、
尚更に好ましくは0.05〜多くて0.15であるハロ
ゲン化銀乳剤の製造法を見出した、而して前記方法は、
(1)反応容器中で分散媒体及び晶癖生長変性剤を作
り、(2)前記分散媒体中で、銀塩及びハロゲン化物塩
溶液を混合することによって結晶核生成工程で塩(沃)
化銀又は塩臭(沃)化銀を沈澱させ、(3)一つ以上の
生長及び/又は物理熟成工程中で前記核を生長させる工
程を含み、(4)前記結晶核生成工程中6.0〜9.0
の初期pH値で前記分散媒体を維持し、(5)前記核生
成工程の終りと前記生長工程の終りの間で、少なくとも
30秒間6.0未満、更に好ましくは4.0以下の値に
pHを設定し、(6)続いて前記初期pH値にpHを再
設定することを特徴としている。
【0018】発明の詳述 ハロゲン化銀平板状{111}粒子の製造法は、例えば
US−A 5286621及びEP−A 048113
3及び0678772に記載されている。後に図1に示
す如く、EP−A 0481133による製造方法での
核生成工程中に飽和銀/塩化銀電極に対し、80mV〜
160mVの範囲でUAgの異なる値の関数として塩化
銀リッチの平板状{111}ハロゲン化銀粒子の予測し
うる厚さを得ることは不可能である。
【0019】本発明によれば、平板状{111}塩沃化
銀又は塩臭沃化銀の厚さを完全に予測しうるようにする
ための方法を意外にも見出した、この場合において、必
須工程は、核生成後、pH値を6.0より低い値、更に
好ましくは4.0以下の値に少なくとも30秒間設定す
ることによって初期pH値を低下させること、続いて前
記初期pH値にpHを再設定することにある。この“p
H値の設定”は、例えばUS−A 5183732の実
施例15Bに記載されている、二重ジェット沈澱工程で
硝酸銀の水性酸性溶液で実施中に生起することがある自
然発生pH低下によるpH修正又はpH調整、これによ
って反応容器中での前記初期pH値よりも低い値にpH
低下を生ぜしめるのとは完全に異なる。前記実施例にお
いては、pH調整は、水酸化ナトリウムのアルカリ性溶
液の添加によって反応容器中の初期pH値を維持するた
めに行われた。
【0020】一つの実施態様において、低い値へのpH
の意図する設定の意味での前記低下は、核生成終了後、
前記核生成に続く物理熟成工程中、一つ以上の生長工程
の間の物理熟成工程中、生長中又は生長終了時である
が、凝集又は限外濾過の前に直ちに生ぜしめる、この場
合、限外濾過はオフライン又はオンラインで行うことが
できる。前記限外濾過を実施する間に増感染料を加える
ことができる。更に、核生成後であるが凝集もしくは限
外濾過前に間に一回以上pHを低下させる前記必須工程
を行うことが更に有利でありうる。
【0021】塩化銀リッチの平板状{111}ハロゲン
化銀粒子を得るために必要な晶癖変性剤の存在は、常に
再現性に有利であるとは限られないが、塩化銀リッチの
平板状粒子の製造条件は、塩化銀リッチの平板状ハロゲ
ン化銀粒子の非再現性及び形態学的不安定性の問題を克
服するためここでも同様に応用した。前記形態学的不安
定性は、六角形及び三角形の鋭く良く規定された縁の消
失後の丸い縁の発生で特に出現し、これは欠点として認
められている。
【0022】塩化銀リッチの結晶の晶癖変性剤として有
用な化合物には、EP−A 0481133及び053
2801、及びUS−A 5176991;51769
92;5178997;5178998;518373
2;5185239;5217858;522160
2;5252452;5264337;527205
2;5298385;5298387;529838
8;5399478;5405738;5411852
及び5418125に記載された物質を含む。
【0023】本発明によれば、使用する晶癖生長変性剤
は、下記式Ia又はIbによる化学構造を有する:
【0024】
【化3】
【0025】
【化4】
【0026】式中Zは、縮合もしくは芳香族炭素環式又
は複素環式非置換環、又はアルキル基、アルケニル基、
アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト
基、カルボキシ基、又はハロゲンで置換された環を表
し、Rは水素又は環Zに対して定義した如き置換基であ
り、nは0又は1であり、Qはn=1であるとき炭素
を、n=0であるとき窒素を表す。
【0027】晶癖生長変性剤として本発明による方法に
よれば、アデニンが最も好ましい、前記変性剤は提供さ
れる2−ヒドロ−アミノ−アジンの代表例である。
【0028】前述した本発明による方法の適用は、前記
平板状粒子を、全粒子の全投影面積の少なくとも75%
を実に容易に占めるようにする。
【0029】結晶分布の均質性を有利にする更に好まし
い実施態様においては、前記平板状粒子は、全粒子の全
投影面積の少なくとも90%さえ占める。前記粒子は好
ましくは、0.3〜3.0μmの平均結晶直径を有し、
更に好ましくは0.5〜2.5μm、尚更に好ましくは
0.5〜1.5μmを有する、平板状粒子の平均厚さに
ついては、少なくとも0.05μmから大きくても0.
50μm、更に好ましくは0.05〜0.35μm、尚
更に好ましくは0.05〜0.20μmを有する。各粒
子に対して測定した直径対厚さの比から計算した後得ら
れる平板状粒子の平均アスペクト比は、2:1〜10
0:1、更に好ましくは5:1〜50:1、そして尚更
に好ましくは5:1〜20:1又は8:1〜20:1で
さえある。
【0030】全粒子の球等価直径(SED)についての
前記変動係数が0.25未満、更に好ましくは0.05
〜0.15である結晶分布は、本発明の方法により作っ
た{111}平板状塩臭沃化銀又は塩沃化銀乳剤に対し
て得られる。
【0031】前述したことから、核生成中6.0〜9.
0の間で維持した初期pH値を有する分散媒体中での塩
(沃)化銀、塩臭(沃)化銀の沈澱後、本発明の方法に
おける決定的工程は、前記の核生成工程後、少なくとも
30秒間6.0より小さい値にpHを設定すること、そ
して更に好ましくは4.0以下の値に設定し、続いて前
記初期pHを再設定することにあることは明らかであ
る。
【0032】このpH低下工程を導入することによっ
て、粒度分布の粒子厚さ及び均質性の完全な制御が行わ
れる。pHを低下させる値(通常4.0又は3.0でさ
えある値に、しかしそれより低い値を除外するものでは
ない)は、粒子の平均最終厚さに対して中でも決定的な
ものである:pHが低ければ低い程前記粒子が使用され
る用途によって決まる(好ましくさえある)増大した平
均厚さをもたらす。
【0033】更にpHを下げる程度が平板状粒子の平均
厚さの最終値を決定するばかりでなく、低いpH値で、
pH値を一定に保つ時間もそれを決定する:この時間を
変えることは、得られる平板状塩(臭)沃化銀粒子の厚
さ生長を制御する機会を提供する。又例えば硫酸又は塩
酸の如き酸性溶液の添加によってpHを変化させるのに
要する時間も、6.0〜9.0の間の高い値にpHを再
設定するのに要する時間と同様に注意深く制御すべきこ
とは明らかである。
【0034】本発明によれば、別の実施態様において、
pHの低下は、生長工程間で物理熟成工程中に行う。更
に好ましい実施態様においては、前記pH調整は、生長
工程を行った後最初の物理熟成工程(核生成後)中に行
う。尚更に好ましい実施態様においては、前記pH調整
は、沈澱又は生長中に行う、従って銀塩及びハロゲン化
物塩溶液を流しながら行う。
【0035】{111}晶癖を有する平板状粒子の製造
法は、通常核生成工程の存在を特長としている、この場
合、好ましくは多くても0.03molの濃度を有する
稀釈された媒体中の銀塩の全量の多くても10%以下を
35℃〜55℃の一定温度で消費させる、しかしながら
他の温度間隔を除くものではない。沃化物が存在すると
きには、過剰量での核の形成を防ぐため、核生成工程
で、0.5%以下の濃度が好ましい。塩臭沃化銀結晶が
好ましいとき、臭化物を核生成工程中に存在させてもよ
いが、それが存在しないのが好ましく、その中に少なく
とも99.5%の量で存在する塩化物が普通発生する。
間に少なくとも一つの物理熟成工程を有する一つ以上の
生長工程は、通常前記核生成工程の後に続く。
【0036】生長する結晶面の生長速度と比例した充分
な銀及びハロゲンイオンを提供するため、時間の関数と
して銀及びハロゲン化物塩の添加速度を加速することが
有利である。経済的観点からも、この速度は、これが時
間節約手順であるので有利である。それと組合せて、反
応容器中の乳剤結晶の増大した稀釈をもたらす反応容器
中での大きくなる容積は、透析及び/又は限外濾過によ
って、水及び可溶性アルカリ性硝酸塩の過剰量を除くこ
とによって一定に保つとよい。
【0037】前記核を生長させる本発明の方法によれ
ば、二重ジェット沈澱によって行う、この場合沃化物塩
溶液は、塩化物塩及び所望による臭化物塩から本質的に
なる前記ハロゲン化物塩溶液中に所望によっては存在さ
せる、尚反応容器中の前記塩化物塩は、0.15M未満
の一定濃度で保つことを特長としている。
【0038】前記生長工程中、核は従って二重ジェット
沈澱によって更に生長させられる、この場合銀の全量の
残部が消費され、塩化物塩及び所望による臭化物塩(塩
臭沃化銀結晶を作るとき)から本質的になるハロゲン化
物塩溶液(通常アルカリ塩化物溶液中のアルカリ沃化物
溶液として、そして塩化物塩は沃化物塩に対して過剰量
で存在する)中に、沃化物塩は所望によって存在させ
る、そして塩素イオン濃度は0.15M未満に保つ。
【0039】核生成及び後に続く物理熟成工程中、銀
(硝酸銀の当量として表す)に対するゼラチン(保護親
水性コロイド結合剤として使用するときの)の比約5が
計算され、これはかなり大であることが明らかである。
“gesi”とも称される前記比は、続く生長工程中に
約0.3の値に減少する。物理熟成中、約70℃への反
応容器の温度の上昇は、通常約20分間行う、これは平
板状粒子の生長中同じ値で前記温度を保つためである。
好ましくはpHは、約6.0の同じ値のままでおく(こ
こで前記“約”なる表示は、水性酸性硝酸銀溶液の流入
中、pHが例えば約0.2pH単位以下僅かに自然発生
的に低下することを考慮に入れている)、さもなけれ
ば、この特別の物理熟成工程中本発明によれば、少なく
とも30秒間、6.0より低い値に、そして更に好まし
くは4.0以下にpHを設定又は調整することを行い、
続いて前記初期pHにpHを再設定する、これは前述し
た如く、粒子の厚さ及び結晶粒度分布の均質性(等価容
積直径として表示)を、0.30未満の変動係数の値、
更に好ましくは0.05から大きくても0.25の値、
尚更に好ましくは0.05から大きくても0.15の値
に制御するためである。
【0040】この工程中、pAgは一般に6.5〜7.
0の値に、又は銀/塩化銀参照電極に対する約135m
Vの相当する値に更に低下する。
【0041】0.1mol%〜3mol%の量で沃化物
を含有する薄い平板状塩臭沃化銀又は塩沃化銀乳剤にお
いて、平板状粒子中のハロゲン化物分布は、結晶容積全
体にわたって均質又は不均質である。結晶容積全体にわ
たってハロゲン化銀組成において異なる相が存在すると
き、前記結晶はコア−シェル構造を有すると言われる。
一つ以上のシェルが存在でき、異なる相間に、製造中い
わゆる変換法を適用することによって沃化銀リッチの相
を有することが推奨できる。
【0042】好ましい実施態様において、本発明の方法
によれば、前記核の生長中及び/又は生長後、少なくと
も一つの変換工程を行う、この場合、前記粒子を変換す
ることは、反応容器に無機沃化物塩及び/又は有機沃化
物放出化合物を加えることによって行う。
【0043】別の実施態様において、前記核の生長中及
び/又は生長後、少なくとも一つの変換工程を行う、こ
の場合、前記乳剤粒子の変換は、大きくても0.05μ
mの平均結晶粒度を有する沃化銀微結晶を加えることに
よって行う。
【0044】本発明の方法によれば、塩臭沃化銀又は塩
沃化銀乳剤は、前記乳剤が可変沃化物分布を有する平板
状粒子を含むように前記乳剤を変換することによって作
られる、このとき粒子は結晶表面で沃化物が多く含ま
れ、前記分布は前記平板状粒子の結晶表面でよりも少な
い量で結晶容積中に沃素イオンが存在することを特長と
しており、沃素イオンの50〜100mol%の量が前
記平板状粒子の表面にある。
【0045】従って沃素イオンは、例えばRD No. 3
9433(1997年1月発行)に記載されている如
く、沃化カリウム、沃化ナトリウム又は沃化アンモニウ
ムの如きそれらの無機塩の水性溶液を用いて提供され
る、しかし別法として沃素イオンは例えばEP−A 0
561415;0563701;0563708;06
49052及び0651284、WO 96/1375
9及びRD No. 39423(1997年1月発行)に
記載されている如く沃素イオンを放出する有機化合物に
よって得られる沃素イオンも非常に有用である。特に個
々の結晶の結晶格子中で及び結晶母集団全体にわたって
より均質な沃化物分布を得るため、沃素イオンを放出す
る有機薬剤、例えばモノ沃化酢酸、モノ沃化プロピオン
酸、モノ沃化エタノール及び沃素イオンを発生できる沃
素イオンを含有するヒドロゲルが好ましい。沃素イオン
の発生は、沃素イオンを放出する前記有機薬剤の添加中
又は好ましくは添加後、反応容器中のpH値を変えるこ
とによって製造法中に開始させる、この場合このpH変
化は本発明の方法によって必要とされる方法でその中で
行われる。沃素イオン源としての沃化カリウムの添加と
は反対に、沃素イオンを放出する前記有機化合物は、そ
れぞれの平板状結晶上でより均質な沃素イオン分布をも
たらす、かくして不明確な不均質性及び非再現性が避け
られる。沃素イオンの発生を開始させる別の方法は、反
応容器に亜硫酸イオンを加えることによって行う。
【0046】本発明の方法による別の実施態様において
は、前記平板状粒子は、大きくても0.05μm以下の
平均結晶粒度を有する沃化銀微結晶を加えることによっ
て沃化物をリッチにされる。沃素イオンの発生は、大き
な{111}平板状塩(沃化)銀又は塩臭(沃化)銀結
晶と、かかる微細な沃化銀微結晶の間の溶解度の差によ
ってその中で開始される、この現象は“オストワルド熟
成”としてよく知られている。
【0047】沃素イオンを提供する無機及び有機薬剤の
組合せも有用である。沃素イオンの存在はこれにより
{111}結晶面を安定化する:例えば塩化銀リッチの
平板状粒子の表面で存在する晶癖変性剤の濃度が、沃素
イオンが存在するときかなりの程度に減少させることが
できる。これら前記粒子の表面に与えられた沃素イオン
が、安定な晶癖の保存をもたらすからである。従って沃
素イオンは、アデニン等の如き従来の晶癖変性剤を置換
できる。
【0048】スペクトル増感剤又は安定剤の如き他の化
合物も、それらの安定化作用により、前記晶癖変性剤を
置換する好適な化合物として使用できる。塩化物リッチ
の平板状結晶の結晶表面での沃素イオンの存在は、改良
されたJ−凝集により、その大きな結晶表面でのスペク
トル増感剤の吸着に更に有利に作用する。結果として、
結晶が感光性にされた波長範囲での光の改良された吸収
が観察される。
【0049】固有感度及びスペクトル感度について見た
とき、沃化物の存在は好ましいのであるが、全銀量を基
準にして3mol%以下、更に好ましくは0.1mol
%〜1.3mol%にそれらを限定することを推奨す
る、それはより高い濃度は現像を遅延し、不満足な感度
をもたらすからである。更にその場合定着速度を妨害す
ることができ、結果として残存着色が避けられないから
である、EP−A 0678772においては、例えば
沈澱の終りで、従ってかくして得られる塩沃化銀乳剤中
で約1.3mol%の沃化物の全濃度を有せしめるた
め、最後の生長工程の終りで変換によって過剰量の沃化
物が得られている。
【0050】全銀量に基づいて25mol%以下の臭素
イオン濃度も意図しているが、処理の強力な抑制を避け
るため、本発明方法により使用する平板状塩臭沃化銀乳
剤結晶は、銀を基準にして10mol%以下の臭素イオ
ンの量を有するのが好ましい。
【0051】処理に当っての補充液の量を減ずるため、
臭素イオンの量を5mol%未満まで減少させるのが更
に好ましい。臭素イオンは、臭素イオンを提供する少な
くとも1種の無機及び/又は有機薬剤から得ることがで
きる。
【0052】塩臭沃化銀又は塩沃化銀{111}平板状
結晶を含む乳剤は、例えば前述したEP−A 0678
772における如く、沃素イオンの全量の20〜100
mol%の量、そして50〜100mol%の量でさえ
も前記乳剤結晶の表面にあるように作りあげることがで
きる。沃素イオンは、沃素イオンが局所的に濃縮されて
いる帯域の形で、一つ以上のシェル帯域中に存在させる
ことができる。
【0053】本発明の方法によれば、ハロゲン化銀乳剤
の全母集団にわたって、塩化物リッチの{111}ハロ
ゲン化銀結晶の分布は、全粒子の球等価直径(SED)
を基にして0.30未満の変動係数まで均質にされる。
しかしながら、核生成工程後少なくとも30秒間6.0
より低い値、更に好ましくは4.0以下の値にpHを設
定すること及び続く6.0〜9.0の初期pHにpHを
再設定すること以外に、pAg、温度、反応容器の稀釈
(これは例えば限外濾過によって避けることができ
る)、粒子生長抑制剤又は粒子生長促進剤の存在、異な
る沈澱工程中(特に例えば利用しうる銀塩の全量の10
%未満が消費される核生成工程中及び更に前記銀塩の少
なくとも90%が消費される少なくとも一つの生長工程
中)の加えられる水性可溶性銀塩及びハロゲン化物溶液
の添加速度、混合方法、異なる沈澱工程中の反応容器中
での混合又は撹拌速度の注意深い制御が、得られるEV
Dについての実際の変動係数を更に決定する。本発明の
方法によりかかる均質粒子分布を有する{111}平板
状粒子を作るとき、及びそれらをハロゲン化銀写真材料
の親水性感光性層の形で被覆するとき、低下した露光寛
容度が期待できる。しかしながらこの問題は、本発明の
方法により作った非常に小さい変動係数を有する異なる
均質乳剤の混合物を作ることによって容易に解決でき
る。より均質な乳剤粒子の混合物の応用は、例えば増大
したコントラスト及び/又は画像品質(例えば粒状度及
び/又は鮮鋭度)の如き更に有利なセンシトメトリー特
性さえもたらしうる。更にかかる材料の再現性ある製造
は、有利な一致性が期待できる。
【0054】放射線写真用のため、通常の球状粒子と比
較して{111}平板状粒子の写真的利点は、高前硬化
レベルでの高被覆力、特に両側被覆したスペクトル増感
した材料において、クロスオーバーの減少度による高現
像可能性及び高鮮鋭度にある。
【0055】前記重要な利点にも拘らず、平板状粒子、
塩化銀リッチのもの(同様に臭化銀リッチのもの)は、
それらの開発の初期においては、球状粒子によって示さ
れる所望の冷黒色と比較したとき現像された銀の許容し
得ない赤褐色及び機械的応力の高い感受性である遭遇す
るに相違ない二つの重大な欠点を有していた。塩化銀リ
ッチの平板状粒子は、古典的な放射線医学材料の処理に
おいて使用する古典的な処理溶液で処理した後、匹敵す
る寸法(厚さ及びアスペクト比)を有する臭化銀リッチ
のものより悪い画像色調さえ示す。より好適な画像色調
を得るため更に厚い平板状粒子を作る方法は、US−P
4801522;5028521及び5013641
及びEP−A 0569075(特に臭化銀及び臭沃化
銀結晶に対して)に既に記載されている。
【0056】しかしながら、本発明の方法によれば、核
生成後低い値にpHを下げ、続いて6.0〜9.0の値
に前記pHを再設定することによって得られるより厚い
平板状粒子は、これらの欠点を示さない。粒子が結晶面
で沃化物を多く含んでいる可変沃化物分布の導入により
結晶表面での沃素イオンの存在は(前記分布は、前記平
板状粒子の結晶表面でよりも少ない量で結晶容積中に沃
素イオンが存在することを特長としている、そして沃素
イオンの全量の50〜100mol%の量が前記面を部
分的に変換したとき前記平板状の表面にある)、更に圧
力現象を受けることの少ない平板状粒子をもたらす。
【0057】本発明の方法によって作った現像された薄
い{111}平板状粒子の赤褐色は、下塗被覆層、乳剤
層及び/又は保護層に好適な染料を加えることによっ
て、可視スペクトルの赤帯域での光学密度を増大させる
ことにより更に修正できる。この非画像色修正は、例え
ばJP−A 03100645;01029838;0
1312536;03103846;0309424
9;03255435;61285445;及び発行さ
れたEP−A 271309及びUS−A 48617
02の如き文献に記載されている。しかしながらこれ
は、写真材料の望ましからぬ高い全体的なかぶりを必然
的にもたらす。更に好適な方法は、画像に従った色修正
にある。これは酸化された形で青を着色する、カラー形
成現像剤を使用することにて作ることができる。その例
は、JP−A 03153234;03154043及
び03154046に要約されている。JP−A 03
156447及び03157645に、露光の関数とし
て青着色した染料の適用が更に記載されている。
【0058】支持体の少なくとも一側に、相互に隣接し
たネガ画像型ハロゲン化銀乳剤の少なくとも二つの層の
多層乳剤を含む多層ハロゲン化銀写真ネガ画像型材料を
被覆することが更に有用であることがある、この場合前
記支持体に最も近い乳剤層は、本発明方法によって作っ
た{111}塩沃化銀又は塩臭沃化銀平板状乳剤結晶を
含み、前記支持体から遠い隣接層が、塩化銀、塩臭化銀
及び臭化銀からなる群から選択した本質的に立方晶乳剤
結晶を含む。EP−A 0770909に記載された特
別の場合においては、前記立方晶乳剤結晶又は前記平板
状乳剤結晶又は両者のハロゲン化物組成が塩化物を含
む。しかしながら、二つ以上の層の被覆は、ハロゲン化
銀の大量の被覆が予期しうるので、経済的にも、生態学
的にも有利でない。
【0059】好適な冷青画像色調を促進するための更に
別の方法が、EP−A 0792526及び1996年
11月21日出願のEP出願 No.96203262に記
載されている。この中では、25℃で10mg/l未満
の溶解度を有する分散した形での青着色顔料が、感光性
乳剤層と非感光性保護応力防止層の間の中間層に加えら
れており、或いは青着色重合体艶消粒子がそれぞれの感
光性ハロゲン化銀層に加えられている。
【0060】本発明の方法により作った平板状{11
1}粒子乳剤粒子は、ドープが何であれ、例えばR
3+,Ir4+,Ru2+及びCo2+の如き第VIII族金属で
又はCd2+,Zn2+又はPb2+で又はそれらの混合物で
更にドープできる。前記乳剤結晶の沈澱又は化学熟成中
使用する他の好適なドープ剤は、例えばFe,Ni,R
u,Rh,Pd,Os,Pt,Hg,Tl及びAuであ
ることができる。最も好ましいのはルテニウム、ロジウ
ム及びイリジウムである。
【0061】前記{111}平板状塩沃化銀又は塩臭沃
化銀結晶の同じか又は異なる製造工程中で、1種以上の
ドープ剤の組合せを加えることができる。ハロゲンイオ
ンと全く同じように、前記ドープ剤は、全結晶容積にわ
たって均質に又は不均質に分けることができる。従って
例えば変換法を適用したときの場合と同様にコア中に又
はシェル中に又は結晶表面で、前記ハロゲンイオン及び
/又は前記ドープ剤は濃縮されてもよい。
【0062】沈澱工程中及び/又は後に、及び/又は化
学熟成工程中に例えばイリジウムの少量の添加が、非常
に好ましく、イリジウムドープした臭化銀及び臭沃化銀
結晶と比較したとき、10℃の範囲内の処理温度でかつ
5秒の範囲内の現像時間で変動させた後、感度及び階調
における少ない差が観察されることで、処理寛容度で正
の効果をもたらす。化学熟成中加える、例えばヘキサク
ロロイリジウム(III)酸カリウムの如き好ましい化合物
の好ましい量は、EP−A 0794456及びUS−
A 5712081に記載されている如く、銀1mol
について0.5〜20μmol、更に好ましくは1〜5
μmolである。
【0063】{111}平板状塩沃化銀又は塩臭沃化銀
粒子の製造法において、銀核の生長に影響を与える重要
な要因は、反応容器中に存在するか又は核生成中及び更
には究極的に核生成後、形成された核の生長前及び/又
は生長中の物理熟成中にそれに加える溶液の一つと同時
に加える保護コロイドの選択及び量である。最も良く知
られており、かつ実際に使用される親水性コロイド結合
剤はゼラチンである。しかしながら、分散媒体としての
ゼラチンは、一部又は全部を合成、半合成、又は天然重
合体で置換できる。
【0064】ゼラチンのための合成代替物には、例えば
ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルピロリドン、
ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール、ポリ
アクリルアミド、ポリアクリル酸及びそれらの誘導体、
特にそれらの共重合体がある。ゼラチンのための天然代
替物には、例えば他の蛋白質例えばゼイン、アルブミン
及びカゼイン、セルロース、サッカライド、澱粉、及び
アルギネートがある。
【0065】一般に、ゼラチンのための半合成代替物に
は、変性天然生成物例えばゼラチンをアルキル化剤又は
アシル化剤で変換することにより、ゼラチン上に重合性
単量体をグラフトすることにより得られたゼラチン誘導
体、又は予備硬化処理の結果としてブロックされた官能
基を有する予備硬化ゼラチン、セルロース誘導体例えば
ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセル
ロース、フタロイルセルロース、及びセルロースサルフ
ェート及びポテト澱粉がある。
【0066】更にJP−B 52−16365、Journa
l of The Society of Photographic Science an
d Technology of Japan , Vol.29(1),17,2
2(1966)、同じくVol.30(1),10,19
(1967)、同じく Vol. 30(2),17(196
7)及び同じく Vol. 33(3),24(1967)に
記載された合成高分子化合物が分散媒体として使用でき
る。又EP−A 0534395に記載された晶癖抑制
剤も使用できる。ゼラチンの一部は更に合成又は天然高
分子材料で置換できる。
【0067】塩化銀リッチの平板状{111}ハロゲン
化銀結晶の製造に当って、核生成工程で、低メチオニン
含有率を有するゼラチンがしばしば使用される。使用さ
れる最も好ましいゼラチンは、それぞれの特別の場合に
よって、1〜60μmol/gのメチオニン含有率を有
する。更に好ましくは1〜50μmol/gのメチオニ
ン含有率を有するゼラチンを、尚更に好ましくは1〜3
0μmol/g(4400 p.p.m. )の量を使用するこ
とができる:US−A 4713323によれば30μ
mol/g未満のメチオニン含有率を有するゼラチンと
して酸化されたゼラチンが明らかにされている。
【0068】従来のライム処理又は酸処理されたゼラチ
ンも使用できる。かかるゼラチンの製造は、例えば Aca
demic Press 1977年発行、A. G. Ward及びA. Cou
rts編、“The Science and Technology of Gelati
on ”の295頁及び次頁に記載されている。ゼラチン
は、Bull. Soc. Sci. Phot. Japan ,No. 16、30頁
(1966年)に記載されている如く酵素処理すること
もできる。
【0069】粒子生長工程で、化学的に変性したNH2
基を有するゼラチン誘導体の使用をし、前記ゼラチンが
特有のメチオニン含有率を有する平板状粒子乳剤の製造
方法は、例えばEP−A 0697618に記載されて
いる。メチオニンの酸化はゼラチンの錯化能力を低下さ
せる。制御されたメチオニン含有率を有するゼラチンの
製造方法はUS−A 5412075に記載されてい
る。
【0070】塩化物リッチの{111}平板状粒子の核
生成及び/又は粒子生長機構においては重要でありうる
別の要因には、コロイド状結合剤として使用するゼラチ
ンのカルシウム含有率がある。最も市販されている高品
質不活性ゼラチンにおいて、カルシウム含有率は約0.
4%であり、これは不活性ゼラチンの製造法の終りで測
定して約100mmol/kgに相当する。錯結合カル
シウムイオンは、ゼラチンによって運ばれる電位を強力
に減少させる。従って実質的に“カルシウム不含ゼラチ
ン”は、分析検出限界に相当する40ppm未満のレベ
ルでのカルシウム含有率を有するゼラチンとして定義さ
れる。少ないカルシウムを含有するゼラチンの使用によ
るローラーマークの防止は、例えばJP−A 01−1
79141に記載されている、一方規定されたカルシウ
ムイオン含有率を有する材料の接着性及びカールは、U
S−A 5496691に記載されている。表面光沢へ
の影響は、JP−B 91−080292に記載されて
いる。ゼラチン質結合剤中のカルシウムの良く規定され
た量を有する材料の迅速処理用で行われる材料の乾燥性
は、JP−A 01−073337,03−25383
9及び07−140576;及びUS−A 53188
81及び5302505に記載されている。
【0071】EP−A 0809135には、乳剤が、
{111}平板状粒子を含有し、塩化物少なくとも50
mol%を含有し、全粒子の全投影面積の少なくとも5
0%が前記平板状粒子によって提供され、前記平板状粒
子が少なくとも5の平均アスペクト比、大きくても0.
5μmの平均厚さ、及び少なくとも0.6μmの平均直
径を示す写真ハロゲン化銀乳剤の反応容器中での一つ以
上の沈澱工程を含む製造法が記載されており、前記一つ
以上の沈澱工程中でゼラチン結合剤は、実質的にカルシ
ウムイオンを含まない前記反応容器中に存在させること
を特徴としている。塩化物リッチの平板状粒子の製造中
結合剤としてCa++不含ゼラチンの単なる使用が、得ら
れる結晶学的及びセンシトメトリー特性にかかる強調さ
れた効果を生ぜしめたことをその中で見出したことは非
常に驚いたことである。平均でより小さいが、それにも
拘らず優れた感度を示す平板状粒子が更に形成される。
【0072】ゼラチンのための興味ある代替物に、公告
されたEP−A 0392092,0517961,0
528476及び0649051及び0704749に
記載されている如きシリカをあげることができる。EP
−A 0528476に記載されている如く、保護コロ
イドとして作用するコロイドシリカ中で沈澱させたハロ
ゲン化銀の層を組入れたハロゲン化銀感光性写真材料を
製造する方法が与えられている。
【0073】好適なシリカゾルが要求される沈澱法のた
めに“Syton ”シリカゾル(Monsanto Inorganic Che
micals Div.の商標製品)“Ludex ”シリカゾル(du
Pontde Nemours & Co. Inc. の商標製品)、“Nalco
”及び“Nalcoag ”シリカゾル(Nalco Chemical C
o.の商標製品)、日産化学株式会社の“Snowtex ”シリ
カゾル及び“Kieselsol, Type 100,200,30
0,500及び600(Bayer AG の商標製品)の如き
市場で入手しうるコロイド結合剤がある。シリカゾル粒
子の粒度は3nm〜30μmの範囲である。3nm〜
0.3μmの範囲、更に好ましくは3nm〜7nmの範
囲の小さい粒子が、達成される被覆程度が大となり、コ
ロイドシリカの保護作用がより有効となるので好まし
い。
【0074】好ましい形式において、{111}平板状
塩沃化銀又は塩臭沃化銀乳剤結晶の製造反応は、硝酸銀
の当量に対するゼラチンの重量比が0.35以下である
ような分散媒体中で行う、さもなければコロイドシリカ
を、ゼラチンを部分的に又は全体的に置換するために使
用する。この条件は、例えばUS−A 5478718
及び5541051に記載されている如く、反応容器
で、一部又は全部で非水性媒体、水の代りの非水性溶媒
の使用をするとき実行されないことは明らかである。
【0075】沈澱工程、それに続く全ての可能な物理熟
成工程の終りに、乳剤混合物は、通常約40℃に冷却す
る、これは、例えばポリスチレンスルホン酸の如き重合
体化合物であり、アニオン性重合体としてpHに依存す
る挙動を与える凝集剤を加える前又は後に行う。添加及
び撹拌速度の注意深く制御された条件の下で、前記分散
媒体のpHは、品質的に良好な凝集物を得るための値に
酸で調整する。前記凝集物は、傾斜し、そして可溶性塩
及び現像抑制晶癖変性剤例えばアデニンを、許容しうる
残存量(好ましくは多くても1gについて0.3mg)
まで除去するため脱イオン水で洗うとよく、或いは例え
ばResearch Disclosure, Vol.102,1972年10
月,Item 10208,Research Disclosure, Vol.1
31,3月,Item 13122及び Mignot のUS−A
4334012に記載されている如く限外濾過洗浄を
適用するとよい。前記限外濾過法は、水の増大する量を
減少させるため、全沈澱中オンラインで適用するとよ
く、かくして反応容器の稀釈及び主として生ずる硝酸カ
リウムの如き可溶性塩の増大する量を避けることができ
る。その例は例えばEP−A 0577886に記載さ
れている。沈澱後、乳剤を半透過性膜によるダイアフイ
ルトレーション(限外濾過とも称される技術)で洗うと
き、冷却工程前、中又は後での被覆安定性を妨げること
のある重合体凝集剤の使用をすることは必要ない。かか
る方法は、例えばResearch Disclosure, Vol.102,
1972年10月,Item 10208,Research Disc
losure,Vol.131,3月,Item 13122及びUS
−P 4334012に記載されている。好ましくは、
限外濾過の開始時に、pH又はpAg調整はない、これ
はpH及びpAgは、調整段階なしで、先行する沈澱の
終りで同じであるからである。更に以後の処理段階、例
えば被覆溶液への添加を行うとき、要求される所望のp
H及びpAg値を得るため、更に限外濾過を行ってもよ
い。洗浄工程は、ハロゲン化物含有水、好ましくは塩素
イオンを含有する水によって更に行ってもよい。
【0076】再分散を、余分の親水性コロイドの添加に
よって更に行うことができる。結果として、以下の説明
から明らかなように、安定な被覆溶液を作るためges
i及び/又はsisiの値を所望の値まで増強できる。
【0077】しかしながら、ゼラチン又は変性した形で
のゼラチンの代りとして前述した有用な保護コロイドを
使用できることは明らかである。
【0078】有用なスペクトル増感剤に、ベンゾイミダ
ゾロ−カルボシアニン又はベンゾオキサゾロ−カルボシ
アニン又は非対称ベンゾイミダゾロ−ベンゾオキサゾロ
カルボシアニンがある。更に、アンヒドロ−5,5′−
ジクロロ−3,3′−ビス(n−スルホブチル)−9−
エチルオキサカルボシアニンハイドロオキサイド又はア
ンヒドロ−5,5′−ジクロロ−3,3′−ビス(n−
スルホプロピル)−9−エチルオキサカルボシアニンハ
イドロオキサイドの如き緑光吸収スペクトル増感剤が好
ましい。
【0079】用いられるスペクトル増感剤の好適な混合
物には、アンヒドロ−5,5′−ジシアノ−1,1′−
ジエチル−3,3′−ジ(2−アセトキシエチル)−エ
チル−イミダカルボシアニン化合物とは別の又はそれと
一緒にした、本発明の方法により作った{111}平板
状粒子をスペクトル増感するアンヒドロ−5,5′−ジ
クロロ−3,3′−ビス(n−スルホブチル)−9−エ
チルオキサカルボシアニンまたはアンヒドロ−5,5′
−ジクロロ−3,3′−ビス(n−スルホプロピル)−
9−エチルオキサカルボシアニン化合物がある。
【0080】化学増感前に乳剤に加えるスペクトル増感
剤としてのイミダカルボシアニン及びオキサカルボシア
ニンの特別の組合せは、例えばEP−A 060895
5に記載されている。緑短波長帯域でのスペクトル感度
及び染料汚染を改良するため、非対称鎖置換オキサカル
ボシアニン染料及び/又はイミダカルボシアニン染料は
JP−A 03−048235に与えられている。例え
ばオキサゾール−イミダゾール型のカルボシアニン染料
と組合せた形での対称オキサカルボシアニン染料での強
色増感は、US−A 4594317及び465965
4に記載されている。
【0081】N−フルオロ−アルキル置換イミダカルボ
シアニン染料での平板状粒子の特別なスペクトル増感
は、US−A 4675279に記載されている。
【0082】古典的な乳剤製造において、スペクトル増
感は、伝統的に化学増感の完了に続いている。しかしな
がら、平板状粒子との関係においては、スペクトル増感
は、化学増感工程と同時に又は完全にそれに先立って生
ぜしめることも非常に注目されている。
【0083】生長段階の終りで分散液の冷却直前に、乳
剤結晶にある量のスペクトル増感染料を加えることが有
利にできる、しかし原則的に、前記染料の添加は、沈
澱、再分散中又は後、又は化学熟成前、中又は後の任意
の段階で行うことができる。添加は更に一つ以上の部分
で行うことができる。例えばUS−A 5286621
には、スペクトル増感剤は、全体として沈澱の完了後に
又は沈澱中及び後の幾つかの画分でハロゲン化銀1mo
lについて10-5〜5×10-3molの範囲の量で加え
ることが示されている。
【0084】青及び/又は緑光を吸収する染料以外に、
波長スペクトルの赤又は赤外波長帯域で放射線を吸収す
る染料を加えることができる、ジ−、トリ−、テトラ
−、ペンタ−及びヘプタ−メチンシアニン及びメロシア
ニン、ローダシアニン及び多核メロシアニン(例えば赤
外帯域で吸収する染料)からなる群から選択される前記
染料は、例えばJP−A 02071257、及びRese
arch Disclosure 00289052、1988年5
月、301〜303頁に記載されており、そしてEP−
A 0757285に赤吸収ヘプタメチンがそしてEP
−A 0473209にローダシアニンが記載されてい
る。
【0085】塩化銀リッチの平板状ハロゲン化銀粒子の
ためのスペクトル増感剤として使用するため、可視光ス
ペクトルの青波長帯域で吸収する染料は、JP−A 0
1−196031及びUS−A 4494212;49
52491及び5376523に記載されている。良く
知られている如く、そしてUS−A 5108887及
び5376523、及びEP−A 0622665及び
0712034に記載されている如く、前記波長帯域で
ゼロメチン染料が非常に有用である。
【0086】前述した如く、異なるスペクトル増感剤の
組合せを使用できる、同様に同じか又は異なる乳剤の混
合物も使用できる、この場合各部は別のスペクトル増感
剤で又はスペクトル増感剤の別の組合せでスペクトル増
感できる。処理後の残存着色における改良に関しては、
非対称複素環を有するスペクトル増感剤が有用であるこ
とがある。
【0087】何らスペクトル増感活性を有しない他の染
料、又は実質的に可視光を吸収しない或る種の他の化合
物が、それらを前記スペクトル増感剤と共に乳剤中に混
入したとき、強色増感効果を有することができる。好適
な強色増感剤には、例えばUS−A 3457078に
記載されている如き少なくとも一つの電気陰性置換基を
含有する複素環式メルカプト化合物、例えばUS−A
2933390及びUS−A 3635721に記載さ
れている如き窒素含有複素環式環置換アミノスチルベン
化合物、例えばUS−A 3743510に記載されて
いる如き芳香族有機酸/ホルムアルデヒド縮合生成物、
カドミウム塩、及びアザインデン化合物がある。
【0088】スペクトル増感剤は、特に{111}平板
状粒子の大きな比表面積の存在の結果として、約2又は
3倍で立方晶粒子に加える量とは異なることのできる最
適被覆度に到達するのに要する合計量で化学増感前に部
分的に、その後部分的に又はその後全体的に加えること
ができる。
【0089】前記スペクトル増感剤は、使用する放射線
源の関数として、例えばX線露光中に一側又は両側被覆
フィルム材料と接触状態にもたらした増感スクリーンの
リン光体層中で被覆された発光リン光体によって放出さ
れる光の関数として選択する、この場合本発明の方法に
よって作った、銀を基準にして塩化物少なくとも75m
ol%及び沃化物0.1〜3mol%を有し、更に{1
11}結晶面、少なくとも2:1の平均アスペクト比を
有し、全粒子の全投影面積の少なくとも50%が前記平
板状粒子によって与えられ、全粒子の球等価直径(SE
D)での変動係数が0.30未満である塩臭沃化銀又は
塩沃化銀平板状粒子を含む乳剤を被覆する。
【0090】沈澱及び再分散後のハロゲン化銀乳剤粒子
は、化学増感剤を加えない限り“基本”又は“非熟成”
と称される。再分散後そして平板状粒子の場合において
は、前述した如くスペクトル増感中及び/又は後に化学
増感剤を加えることが普通の方法である。化学増感を開
始する前に、制御できない方法でかぶりセンターとして
生長する小さい銀斑点を減少させるため、塩化銀リッチ
のハロゲン化銀粒子の表面は、例えばトルエンチオスル
ホン酸及び/又はその相当する塩の如き僅かに酸化性の
化合物で処理するとよい。
【0091】塩化銀リッチのハロゲン化銀粒子に、化学
増感化合物は、例えば P. Glafkides による“Chimie
et Physique Photographique”に、G. F. Duffinによ
る“Photographic Emulsion Chemistry ”に、及び A
kademische Verlagsgesellschaft (1968年)発
行、H. Frieser編“Die Grundlagen der Photographi
schen Prozesse mit Silberhalogeniden ”に記載さ
れている如く加えることができる。
【0092】前記文献に記載されている如く、化学増感
は、少量の硫黄を含有する化合物、例えばチオサルフェ
ート、チオシアネート、チオ尿素;セレンを含有する化
合物例えばセレノサルフェート、セレノシアネート、セ
レノ尿素;テルルを含有する化合物例えばテルロサルフ
ェート、テルロシアネート、テルロ尿素;サルファイ
ト、メルカプト化合物、ローダミン等の存在下に熟成を
行うことによって行うことができる。乳剤は、金−硫黄
熟成剤、金−セレン熟成剤、金−硫黄−セレン熟成剤に
よっても、又はレダクター例えばGB−A 78982
3に記載されている如き錫化合物、アミン、ヒドラジン
誘導体、ホルムアミジン−スルフイン酸、及びシラン化
合物によっても増感することができる、但し制御できな
い方法でのかぶり形成から乳剤を防ぐため注意を払うべ
きである。不安定なセレン増感剤の特別の例としては、
イソセレノシアネート(例えばアリルイソセレノシアネ
ートの如き脂肪族イソセレノシアネート)、セレノ尿
素、セレノケトン、セレノアミド、セレノカルボン酸
(例えば2−セレノプロピオン酸、及び2−セレノ酪
酸)、セレノエステル、ジアシルセレナイド(例えばビ
ス(3−クロロ−2,6−ジメトキシベンゾイル)セレ
ナイド)、セレノホスフェート、ホスフインセレナイ
ド、好ましくはトリフェニルホスホールセレナイド及び
コロイド状元素セレンがある。
【0093】しかしながら、前述した不安定型セレン化
合物の好ましい例は何れにしてもそれらに限定されな
い。不安定型セレン化合物が、塩化銀リッチのハロゲン
化銀乳剤のための増感剤であるという条件の下で、当業
者にとって、セレンが不安定であるとき、さほど重要で
なく、それは、セレン増感剤分子の有機部分が、セレン
を担持し、セレンを不安定な形でハロゲン化銀乳剤中に
存在させること以外の役割はないことが一般に理解され
ている。しかしながら好ましい化学増感剤は、1997
年3月1日出願のEP出願 No.97200590に記載
されている如く、100〜200mVのみの飽和銀/塩
化銀電極と銀電極の間の電位差で、及び45℃〜70℃
の温度で、本発明により作った{111}平板状粒子を
含む乳剤中でセレン化銀を発生するものである。
【0094】前述した如く、塩化銀リッチのハロゲン化
銀乳剤結晶の化学熟成中還元剤の使用は好ましくない、
しかし情況によっては排除するものではない、何故なら
それは例えばUS−A 5242791に記載されてい
る置換複素環式メルカプト化合物の如く、スペクトル増
感剤、かぶり抑制剤、又は安定剤からの抑制作用を押え
るため、少量使用することを推奨できるからである。銀
溶液は、例えばチオシアン酸イオンの如くその中で調整
する役割を有することができる。
【0095】塩化銀リッチのハロゲン化銀粒子の化学熟
成のため、セレン増感剤の使用に関しての特許文献は、
EP−A 0443453;0454278;0458
278;0513748;0590593;06615
89及び0718674、及びUS−A 481062
6;5306613及び5348850に見出すことが
でき、これらの中で前記セレン増感剤は、少なくとも金
及び所望によって硫黄の如き他の増感剤と共に普通使用
される。硫黄を提供する特に有用な不安定化合物には、
例えばテトラメチル−チオジチオ酢酸ジアミド及びジメ
チルアミノ−ジチオメルカプタンがある。
【0096】前述した如く、追加のゼラチン又は結合剤
材料として好適な他の親水性コロイドは、乳剤製造の後
の段階で、例えば洗浄後、最適被覆条件を確立するため
及び/又は被覆された乳剤層の必要な厚さを確立するた
め、加えることができる。そして好ましくは硝酸銀の当
量として表示したハロゲン化銀に対するゼラチンの比を
0.3〜1.0の範囲で得る。別の結合剤をゼラチンの
代りに又はゼラチンに加えて加えることができる。有用
なビヒクル、ビヒクル延展剤、ビヒクル様添加剤及びビ
ヒクル関連添加剤は、例えばResearch Disclosure N
o. 38957(1996年)、Chapter II に記載さ
れている。
【0097】被覆に先立って、増粘剤を被覆溶液の粘度
を調整するために使用できる、但しそれらは、ハロゲン
化銀感光性写真材料の写真特性に特に影響を与えないこ
とが条件である。好ましい増粘剤には、水性重合体例え
ばポリスチレンスルホン酸、デキストラン、硫酸エステ
ル、ポリサッカライド、スルホン酸基、カルボン酸基又
はリン酸基を有する重合体のみならずコロイドシリカを
含む。
【0098】被覆溶液の増粘を生ぜしめる文献から良く
知られている重合体増粘剤はコロイドシリカと組合せて
使用することさえできる。増粘剤に関する特許には例え
ばUS−A 3167410;ベルギー特許 No.558
143及びJP−A 53−18687及び58−36
768がある。多分重合体化合物の添加から生ずる物理
的安定性について負の効果は、これらの化合物を除くこ
とによって及びコロイドシリカの余分な添加を制限する
ことによって避けることができる。支持体上にスライド
ホッパー又はカーテン被覆法によって親水性コロイド層
を被覆するため(前記組成物は、0.05〜0.4の範
囲で、硝酸銀の当量として表示したハロゲン化銀に対す
るゼラチンの重量比を与えるため、少量でゼラチンを有
する)、合成クレー及びアニオン性高分子電解質(前記
合成クレーは増粘剤の全量に対し少なくとも85重量%
の量で存在させる)からなる増粘剤が、EP−A 08
13105に記載されている如く推奨される。
【0099】極度に薄い親水性層の被覆の能力に関して
は、感光性ハロゲン化銀写真材料が、1996年9月1
8日出願のEP出願 No.96202601に記載されて
おり、この中で、前記材料は、支持体及び保護コロイド
としてコロイドシリカを有するハロゲン化銀結晶を有す
る一つ以上の親水性コロイドハロゲン化銀乳剤層を含
み、前記層は、銀に対するゼラチンの重量比として定義
されるgesiを0から0.05未満までの範囲で有
し、銀に対するシリカの重量比として定義されるsis
iを0.01から0.10未満までの範囲で有し、ge
si及びsisiの計算における銀の前記重量は、硝酸
銀の当量として表示される。
【0100】薄い乳剤層例えば1m2 についてゼラチン
5g未満、好ましくは約3g、そして更に好ましくは約
2gを含有する、5μm未満の層厚さを有する層を有す
る写真材料は、迅速処理適用性及び湿式処理した材料の
迅速乾燥以外に、鮮鋭度における改良が観察される。処
理機中での乾燥特性は、写真材料の親水性層の水吸収に
よって主として決まるから、そして水吸収は層のゼラチ
ン含有率に正比例し、層に加えた硬化剤の量に反比例す
るから、その組成は、乾燥から乾燥迄30秒から大きく
ても50秒までの全処理時間サイクル内で、硬化剤不含
処理を可能にするため、低ゼラチン含有率及び高硬化度
で最適にする。好ましい実施態様において、できるなら
所望される応用のため、一側について3g/m2 未満の
全量でゼラチンを存在させる。
【0101】高硬化度に到達させるため、層結合剤は、
勿論許容しうる限り多数の官能性基を配置すべきであ
り、これが適切な硬化剤との反応によって充分な耐久性
層を提供できる。かかる官能性基には特にアミノ基があ
るが、カルボキシル基、ヒドロキシ基、及び活性メチレ
ン基もある。
【0102】硬化剤は、塩化銀リッチの一つ以上の感光
性ハロゲン化銀乳剤層を覆う応力防止層に、又は前記乳
剤層の一つ以上に加えることができる。写真材料の硬化
剤は、特に使用する結合剤がゼラチンであるとき、適切
な硬化剤で硬化することができる、かかる硬化剤には例
えばエポキサイド系のもの、エチレンイミン系のもの、
ビニルスルホン系のもの例えば1,3−ビニルスルホニ
ル−2−プロパノール、クロム塩例えば酢酸クロム及び
クロム明ばん、アルデヒド例えばホルムアルデヒド、グ
リオキサール、及びグルタルアルデヒド、N−メチロー
ル化合物例えばジメチロール尿素及びメチロールジメチ
ルヒダントイン、ジオキサン誘導体例えば2,3−ジヒ
ドロキシジオキサン、活性ビニル化合物例えば1,3,
5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジ
ン、活性ハロゲン化合物例えば2,4−ジクロロ−6−
ヒドロキシ−s−トリアジン、及びムコハロゲン酸例え
ばムコクロル酸及びムコフエノキシクロル酸がある。こ
れらの硬化剤は単独で又は組合せて使用できる。
【0103】結合剤は、カルバモイルピリジニウム塩の
如き急速反応性硬化剤で硬化することもできる。ホルム
アルデヒド及びフロログルシノールは、例えばそれぞれ
保護層及び乳剤層に加えることができる。他の好ましい
硬化剤は、特にビス−ビニル−スルホニル−メチル−エ
ーテル(BVSME)又はエチレン−ビス−ビニル−ス
ルホンであることができる。
【0104】画像形成法で使用する材料は、一般に、3
分間25℃の脱イオン水中に浸漬後、4g/m2 /gゼ
ラチン未満、更に好ましくは3g/m2 /gゼラチン未
満の非露光材料の水吸収に相当する硬化度を有する。同
じことを表す別の方法は、材料の層の膨潤度の測定にあ
る:前記膨潤度は、前述した如き脱イオン水中に浸漬す
る前及び後の材料の層の厚さ比から測定できるように、
好ましくは200%を越えず、更に好ましくは150%
を越えない。
【0105】前述したゼラチン、その誘導体及びその代
替物例えばコロイドシリカを有する塩化銀リッチの乳剤
に対して特に有利であることが期待される好ましい迅速
処理条件での例えば感度(速度とも称される)、階調
(コントラストとも称され、特性曲線の肩及び/又は直
線部分の足に特に表われる)、かぶり及び最高濃度の如
き好適なセンシトメトリー特性を得るため、多くの他の
成分が更に必要である。更に熱及び湿度についての酷し
い環境の下でさえも、材料の製造中及び貯蔵又は保存後
に実際上変化しない特性を得ることが望ましい。
【0106】従って写真材料の製造中又は貯蔵中、又は
その写真処理中、写真特性の安定化又はかぶり形成を防
止する化合物が要求され、殆どの場合において、乳剤沈
澱中及び/又は(スペクトル及び/又は化学)増感中に
既に存在している。多くの既知の化合物を、かぶり防止
剤又は安定剤として、ハロゲン化銀乳剤層又はそれと水
透過性関係にある他の被覆層例えば下塗層又は保護層に
加えることができる。好適な例には、例えば複素環式窒
素含有化合物例えばベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミ
ダゾール、ニトロベンゾイミダゾール、クロロベンゾイ
ミダゾール、ブロモベンゾイミダゾール、メルカプトチ
アゾール、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベ
ンゾイミダゾール、メルカプトチアジアゾール、アミノ
トリアゾール、ベンゾトリアゾール(好ましくは5−メ
チル−ベンゾトリアゾール)、ニトロベンゾトリアゾー
ル、メルカプトテトラゾール、特に1−フェニル−5−
メルカプトテトラゾール、メルカプトピリミジン、メル
カプトトリアジン、ベンゾチアゾリン−2−チオン、オ
キサゾリン−チオン、トリアザインデン、テトラザイン
デン及びペンタザインデン、特に Z. Wiss. Phot. 47
(1952年)、2〜58頁に Birr によって発表され
たもの、GB−A 1203757、GB−A 120
9146、JP−A 75−39537、及びGB−A
1500278に記載されたものの如きトリアゾロピ
リミジン、及びUS−A 4727017における如き
7−ヒドロキシ−s−トリアゾロ〔1,5−a〕−ピリ
ミジン、及び他の化合物例えばベンゼンチオスルホン
酸、ベンゼンチオスルフィン酸及びベンゼンチオスルホ
ン酸アミドがある。かぶり防止化合物として使用できる
他の化合物は、Research Disclosure No. 17643
(1978年)Chapter VI ;RD No. 36544
(1994年)、Chapter VII及びRD No. 3895
7、Chapter VII(1996年9月発行)に記載されて
いる。
【0107】写真材料は、RD No. 36544(19
94年)、Chapter IX 及びRDNo. 38957(19
96年)、Chapter IX に記載されている如き各種の被
覆物理的性質変性添加剤を更に含有でき、これには被覆
助剤、可塑剤及び滑剤、帯電防止剤及び艶消剤が記載さ
れている。現像促進は、乳剤層又は隣接層中に各種の化
合物、好ましくは例えばUS−A 3038805;4
038075及び4292400のみならずEP−A
0634688及び0674215に記載されているも
のの如く、少なくとも400の分子量を有するポリアル
キレン誘導体を混入することによって達成できる。
【0108】写真材料は、更に各種の他の添加剤、例え
ば写真材料の寸法安定性を改良する化合物、紫外線吸収
剤及びスペーシング剤を含有できる。
【0109】写真材料の寸法安定性を改良するのに好適
な添加剤には、例えば水溶性又は殆ど可溶性でない合成
重合体の分散液、例えばアルキル(メタ)アクリレー
ト、アルコキシ(メタ)アクリレート、グリシジル(メ
タ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルエ
ステル、アクリロニトリル、オレフィン、及びスチレン
の重合体、又は上述したものとアクリル酸、メタクリル
酸、α,β−不飽和ジカルボン酸、ヒドロキシアルキル
(メタ)アクリレート、スルホアルキル(メタ)アクリ
レート及びスチレンスルホン酸との共重合体の分散液が
ある。
【0110】好適なUV吸収剤には、例えば、US−A
3533794に記載されている如きアリール置換ベ
ンゾトリアゾール化合物、US−A 3314794及
びUS−A 3352681に記載されている如き4−
チアゾリドン化合物、JP−A 56−2784に記載
されている如きベンゾフエノン化合物、US−A 37
05805及び3707375に記載されている如き桂
皮酸エステル化合物、US−A 4045229に記載
されている如きブタジエン化合物、及びUS−A 37
00455に記載されている如きベンゾオキサゾール化
合物及びRDNo. 38957,Chapter VI に記載され
ているもの(これには好適な光学増白剤も述べられてい
る)がある。
【0111】一般に平均粒度が0.2〜10μmである
スペーシング剤も存在させることができる。スペーシン
グ剤はアルカリに可溶性又は不溶性であることができ
る。アルカリ不溶性スペーシング剤は、通常写真材料中
に永久的に残る、一方アルカリ可溶性スペーシング剤
は、アルカリ性処理浴中で通常そこから除去される。好
適なスペーシング剤は、例えばポリメチルメタクリレー
ト、アクリル酸及びメチルメタクリレートの共重合体、
及びヘドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロ
ナフタレートから作ることができる。他の好適なスペー
シング剤はUS−A4614708に記載されている。
【0112】X線写真においては、支持体の一側(一側
被覆)又は両側(両側被覆)で被覆した単一又は二重乳
剤層を有する材料が、好ましくは、前述した本発明の方
法により作った少なくとも一つの塩沃化銀又は塩臭沃化
銀乳剤を含有する。前述したものの如き、相互に異なる
か又は同じである1種以上のスペクトル増感剤を有し、
異なるかもしくは同じ被覆率度及び/又は異なるかもし
くは同じ化学熟成処理、同じかもしくは異なる晶癖、同
じかもしくは異なる結晶粒度を有する塩化銀リッチの結
晶からの2種以上の乳剤の混合物を、少なくとも一つの
感光性乳剤層に加えることができる。一側被覆材料は、
例えばUS−A 5449599、EP−A 0610
608及び0712036及びEP−A 079445
6及び相当するUS−A 5712081に記載されて
いる。両側被覆材料は例えばUS−A 5397687
及びEP−A 0678772、0754971及び0
754972に記載されている。
【0113】感光性乳剤層以外に、写真材料は、前記感
光性乳剤層を担持する支持体の側で、幾つかの非感光性
層、例えば二層に分裂できる保護応力防止層(その一つ
は“基本”保護応力防止層の上に被覆又はスプレーした
最外後層又は下にある中間層である)、一つ以上の下塗
層、一つ以上の中間層例えばフィルター層及び例えば硬
化剤、帯電防止剤、安全光目的のためのフィルター染料
等を含有する後層を含有できる。
【0114】保護応力防止層は、それぞれ1994年及
び1996年に発行されたRD No. 36544及び3
8957のChapter IX に記載されている被覆助剤及び
物理的性質変性添加剤を含有するのが好ましい。帯電防
止性は、製造中及び/又は露光及び/又は処理の前の取
扱い中静電荷の突然の放電によるスパーク等の形での処
理後の黒化を防ぐために特に好ましい。例えばEP−A
0534006、0644454、及び064445
6及びUS−A 4670374及び4670376に
記載されている如く、帯電防止剤を保護応力防止層又は
その上に被覆した後層に加えることが非常に好ましい。
永久帯電防止特性、例えば処理後もほぼ同じ帯電防止性
を維持する特に好ましい帯電防止剤には、EP−A 0
339340,0340512,0440957,05
54588及び0602713及び相当するUS−A
5312681及び5391472に記載されている如
きポリエチレン−ジオキシチオフエン化合物がある。
【0115】これらの最外層の耐摩耗性は、US−A
4766059及び4820615に記載されている如
く改良できる。後層のスプレー被覆は例えばUS−A
5443640に記載されている。或いは非画像状の黒
化は、塩化銀リッチのハロゲン化銀粒子の圧力感度に原
因があることがある。圧力感度を防ぐための測度は、例
えばゼラチンの如き結合剤の増大した量の被覆にあるこ
とがある。しかしながら、これは迅速処理の点から見て
不利である、従ってシリカ中で作った塩化銀リッチのハ
ロゲン化銀結晶が例えばEP−A 0528476に記
載されている如く別法を提供できる。更に感光性乳剤層
中の結合剤材料に関しては、US−A5478709に
記載されている如く、合成クレーをその中で使用すると
き圧力感度の改良が期待できる。
【0116】しかしながら前記感光性層中のスペクトル
増感された乳剤結晶の存在は、EP−A 075728
5に記載されている如く好適な合成クレーを選択するた
めに注意を払うべきである。
【0117】最後に散乱光を吸収し、かくして画像鮮鋭
度を促進するフィルター染料又はハレイション防止染料
を含有する中間層は、例えばUS−A 409216
8;4311787;5344749;538063
4;5474881;5478708;5502205
に;EP−A 0489973及び0586748に及
びEP−A 0786497及び0781816に;D
E 2453217に及びGB−A 7907440に
記載されている。乳剤層及び支持体の間にかかる中間層
が存在しても、感度における小さい無視できる損失があ
るだけである、しかし前記染料はアルカリ性溶液中で非
常に急速に脱色するが、迅速処理条件は、全体の被覆層
の厚さを最小にすることを要し(そのことは前述し
た)、薄い層の多層配置が処理サイクルでの洗浄後短い
乾燥時間を明らかにもたらす。更に前記好適な染料を、
微細に分散した形で有することが脱色性に有利であり、
更に固体粒子分散の形であるのが有利である。そのため
の根拠はEP−A 0724191に詳細に与えられて
おり、更に一般的な方法はEP−A 0756201に
与えられている。
【0118】それに加えて、例えばEP−A 0569
074に教示されている如く写真的に有用な化合物のた
め、コロイドシリカ中の水性固体分散液を作ることが推
奨される。薄い層被覆及び迅速処理能力に関する利点
は、より傷つき易い層の圧力感度を増強することなく、
それに関連して期待できる。
【0119】画像形成システムにおいて使用する塩化銀
リッチの乳剤結晶を有する感光性ハロゲン化銀材料の一
側で少なくとも一つの乳剤層を有する材料に適用する裏
塗層は、成分として本質的に、親水性コロイド、一種以
上のハレイション防止染料、艶消剤、界面活性剤、帯電
防止剤、滑剤、及び硬化剤を含有する、前記成分は前述
したのと同じである。
【0120】親水性コロイドの量は、US−A 515
5013に記載されている如く、一側乳剤被覆材料のカ
ールを防止するため選択するとよい。又例えばUS−A
5326686に記載されている如く、裏塗層中で非
膨潤性疎水性重合体を使用できる。別のカール形成を防
止するための測度は例えばJP−A 02−2464
5;02−85847及び02−87138に記載され
ている。
【0121】X線画像形成のため使用される塩化銀リッ
チの結晶を有するハロゲン化銀乳剤を含む写真材料の支
持体は、透明樹脂、好ましくはポリエチレンテレフタレ
ートの如き青着色ポリエステル支持体であるとよい。か
かる有機樹脂フィルムの厚さは好ましくは約175μm
である。他の疎水性樹脂支持体は当業者に良く知られて
おり、例えばポリスチレン、ポリビニルクロライド、ポ
リカーボネート、及びポリエチレンナフタレートから作
られる。支持体には、前記支持体と隣接層の間に良好な
接着性を有せしめるため両側で下塗層を更に設ける:親
水性コロイド層をそれに接着させるため当業者に知られ
ている一つ以上の下塗層を存在させることができる。ポ
リエチレンテレフタレートに好適な下塗層は、例えばU
S−A3397988;3649336;412327
8及び4478907に記載されている。ラテックスと
して共重合体ビニリデンクロライド、メチルアクリレー
ト及びイタコン酸を含む下塗層組成物が、一種以上の染
料を含む少なくとも一つのゼラチン質染料含有層である
親水性層、少なくとも一つのハロゲン化銀乳剤層、少な
くとも一つの保護応力防止層、及び所望により後層で被
覆された好ましい層配置が、EP−A 0752617
に記載されている。その発明において、前記親水性層は
200%以下の膨潤比を有し、前記親水性層において
は、スライド−ホッパー被覆又はスライド−ホッパーカ
ーテン被覆法により同時に被覆される。更に別の好適な
支持体についての情報は、それぞれ1994年及び19
96年9月発行の、RD No. 36544及び No.38
957、Chapter XV に見出すことができる。
【0122】放射線写真においては、被写体の内部を、
X線、γ線及び高エネルギー元素状粒子放射線、例えば
β線、電子ビーム又は中性子放射線の群に属する高エネ
ルギー放射線である透過性放射線によって再現する。
【0123】透過性放射線を可視光及び/又は紫外線放
射線に変換するため、リン光体と称される発光物質を使
用する。
【0124】従来の放射線写真システムにおいて、X線
写真は、被写体を画像に従って透過し、いわゆる増感ス
クリーン(X線変換スクリーン)中で相当する強度の光
に変換したX線によって得られる、増感スクリーン中
で、リン光体粒子が、透過したX線を吸収し、それを、
可視光及び/又は紫外放射線に変換する、これらに対し
て写真フィルムは、X線の直接吸収が低いのでX線の直
接衝撃に対するよりも大なる感光性である:X線に対
し、質量吸収係数は、Oxfordの Pergamom Press195
7年発行、J. Thewlis編、“Encyclopaedic Dictionar
y of Physics”,Vol.7,p.787,eq. 10に教
示されている如く、原子番号Zの出力に比例する。これ
は、臭化物(Z=35)又は沃化物(Z=54)に比較
して塩化物(Z=17)の使用を非常に不人気にしてい
る。
【0125】X線放射線源を使用する場合においては、
kVpで表すエネルギーは、例えば骨の検出のため(こ
の場合約80kVpの放射線エネルギーを使用する)又
は乳房画像形成における如く軟らかい組織の検出のため
(この場合35kVpより大は許されない)の如く特定
用途によって決まる。散乱する放射線の効果を減ずるた
め、金属フィルター、通常は鉛フィルターを、写真フィ
ルムと組合せて使用できる。比較のため、非破壊試験用
においては、例えば235kVpの非常に大なるエネル
ギーを使用する。
【0126】医学診断における如く増感スクリーンによ
って画像に従って放出された光は、接触する写真ハロゲ
ン化銀乳剤層フィルムを照射し、このフィルムは露光後
現像されてその中にX線画像と一致した銀像を形成す
る。
【0127】更に明らかには、普通の医学放射線写真に
使用するため、X線フィルムは、ハロゲン化銀乳剤層で
両側被覆された透明フィルム支持体を含む。X線照射
中、前記フィルムは二つの変換スクリーンの間でカセッ
ト中に配置される、前記スクリーンの各々は、それらの
相当するハロゲン化銀乳剤層と接触させる。
【0128】唯一つのスクリーンのみと接触させて組合
せた一側被覆ハロゲン化銀乳剤フィルムは、自動放射線
写真において、例えば乳房造影法及び工業用放射線写真
として知られている非破壊検査(NDT)の特別の分野
において、改良された画像明瞭度が大きな重要性である
用途においてしばしば使用される。自動放射線写真は、
例えば生化学研究のためのミクロトームカットの如く、
被射体中に含まれる放射性材料によって放出される透過
放射線のインターミディエイトを介して形成される写真
記録である。
【0129】従来の放射線写真システムにおいて使用す
るのに好適なリン光体は、X線照射時に高即発発光及び
低残光を、画像鮮鋭度に有利な形で有しなければならな
い。
【0130】板又はパネルの形でのX線変換リン光体ス
クリーンで操作する前記二つのX線記録システムの前述
した説明から、前記板又はパネルは、中間画像形成材料
としてのみ作用し、最終記録を形成しないことが明らか
である。最終画像は、別の記録媒体又はディスプレー上
に作られるか又は再現される:X線変換スクリーンのた
め、一側又は両側被覆フィルムが前記最終記録である、
一方刺激性リン光体板のためには、レーザー画像形成に
よって作られた一側被覆ハードコピーフィルムが前記最
終記録であることができる。両種のリン光体板又はシー
トは繰返して再使用できる。
【0131】前述したX線記録システムにおいては、X
線変換スクリーンは、繰返し使用できることから、リン
光体含有層を機械的及び化学的損傷から保護するため適
切な最上被覆をそれらに設けることが重要である。特に
例えば CURIX CAPACITY(Agfa-Gevaertの商標製品)の
如き日光システムのための自動装填に当って、カセット
装填及び取り出し中の摩擦現象の結果として静電気の蓄
積の減少は、スクリーンと写真フィルムの両者間の接触
面積及び距離の関数である。一度カセットが装填された
ら、良好な画像品質を得るのに必要であるスクリーンと
フィルムの間の接触は、カセット面での圧力の付与によ
って強化される。結果として、スクリーン及びフィルム
の面間に含まれる空気が逃散し、真空がカセット中に作
られる。前記接触から生ずる粘着現象は、避けなければ
ならない、何故ならカセットを開き、フィルムを処理装
置に移さなければならないとき、真空の破壊を露光後促
進させなければならないからである。従って例えばUS
−A 4059768に記載されている如く保護層から
突出する固体粒子を組入れることができる。しかしなが
ら前述した如く操作を有効に改良するレリーフ構造を与
えることは、画像品質の犠牲にある。実際に、突出粒子
を与えることは、保護被覆の増大した厚さを必要とし、
結果として放射線放出リン光体層及びそれと接触してい
る写真フィルムの放射線感受性被覆の間の増大した間隔
に原因して画像鮮鋭度を低下させる。増大した厚さ自体
が、リン光体結合剤の屈折率と保護被覆の結合剤の屈折
率が異なるとき、放出される光の増大した非鮮鋭度を生
ぜしめうるばかりでなく、保護被覆の結合剤の屈折率と
比較した異なる屈折率を有する粒子自体の存在によって
も生ぜしめうる。
【0132】リン光体−結合剤層及びそれに適用した保
護被覆(この場合保護層は操作の高度の容易性のためレ
リーフ構造を有し、これによって粘着、摩擦、及び静電
気引き付けを避けてすぐれた画像鮮像の維持を伴う)を
含む例えば板、パネル又はウエブの形での発光物品を提
供するための良好な妥協が、EP−A 0510754
に記載されている。その中に記載された発光物品は、型
押構造を有する保護被覆を適用した、樹脂結合剤中に分
散したリン光体粒子の自己支持又は被支持層を含み、更
に詳細には、保護被覆は、1〜50μmからなる層の厚
さdを有し、そして型押表面粗さRz を有する、そして
粗さRz と厚さdの間の比は少なくとも0.35であ
る。型押保護層は、(1)前記リン光体含有層上に、リ
ン光体含有層中には実質的な程度に浸透しない、ヘプラ
ー粘度計で測定して少なくとも450mPa.sの粘度
を被覆温度で有する液体放射線硬化性組成物を被覆し、
(2)被覆に型押構造を与え、そして(3)放射線によ
って前記被覆を硬化する工程によって、機械的及び化学
的損傷に対してリン光体層を保護するため、リン光体層
上に設けることができる。
【0133】リン光体層の観点から、特に増大した厚さ
自体が、放出光の増大した非鮮鋭度を生ぜしめうる、こ
れは、リン光体粒子の量及び結合剤の量の間の重量比
が、前記リン光体(“顔料”とも称される)の同じ被覆
量に対して減少すると更に不利である。
【0134】結合剤の量を減少することによって、より
鮮鋭な画像を得るため顔料対結合剤の重量比量を増強す
ると、例えばスクリーン中の被覆リン光体層の不充分な
弾性及び脆性により、スクリーンの許容し得ない操作特
性をもたらす。
【0135】結合剤及び顔料の被覆量を変えることな
く、そして露光中リン光体層と接触しているフィルム材
料上の画像鮮鋭度に有利になるより薄い被覆リン光体層
を得る一つの方法は、EP−A 0393662に記載
されている如く被覆された層を圧縮する方法の使用をす
る。高度の操作容易性を維持し、これによってスクリー
ンの良好な弾性を与え、支持体とリン光体層の間の良好
な接着性を与え、前記リン光体層の脆性を避け、すぐれ
た解像を得るため、顔料対結合剤の容積比を有するリン
光体層を得るための非常に良い解決法は、WO 94/
000531に記載されている、この特許でリン光体層
の結合媒体は実質的に一種以上のゴム及び/又は弾性重
合体から実質的になり、リン光体対結合媒体の容量によ
る比は少なくとも70:30で、多くても92:8であ
り、充填比は67%未満である。結合剤の種類及びリン
光体対結合剤の高容量比の選択により、EP−A 03
93662に記載されている如く、70%以上の値まで
空隙を減少させるため圧縮することによる充填密度を増
大させる必要なく、高解像のみならず高感度を得ること
ができる。更にリン光体層は、機械的損傷に対する高い
保護を維持し、従って操作容易性を維持する。
【0136】リン光体粒子のための実際上有利な結合剤
媒体はWO 94/000530に更に記載されてい
る。その中で結合剤媒体は、ゴム状及び/又は弾性重合
体として飽和されたゴムブロックを有する一種以上の水
素化スチレン−ジエンブロック共重合体から実質的にな
っている。重合体は式A−B−A(トリブロック)又は
式A−B(ジブロック)によって表すことができ、Aは
スチレンを表し、Bは水素化ジエンブロック、例えばエ
チレン−ブチレン又はエチレン−プロピレンを表す。
【0137】青光発光スクリーンの改良されたセット
は、例えばUS−A 5381015に記載されてい
る、この中に、(1)単斜晶系M′構造イットリウムタ
ンタレート、ニオベート又はタンタレート−ニオベート
リン光体、及び(2)稀土類活性化アルカリ土類フルオ
ロハライドリン光体から本質的になるリン光体の混合物
を含有し、そして1種以上の染料を含有していることも
ある層、及び支持体を含むX線リン光体スクリーンが提
供されており、染料は、若し存在するときには、410
〜500nmの波長帯域で最高吸収を有し、410nm
以下の波長での吸光度の少なくとも2倍の最高吸収での
吸光度を有することを特徴としており、前記染料の量、
リン光体混合物を特長としている前記リン光体の重量
比、リン光体被覆率、及び支持体の反射率は、スクリー
ン速度及び前記速度群の各々に対する鮮鋭度の間に相乗
効果が得られるように選択することを特徴としている。
【0138】紫外−青放射線を放出する特別の増感スク
リーンは、更にUS−A 4225653;43871
41;4710637;5112700;517361
1及び5432351;EP−A 0650089;0
658613;WO 93011457及びWO 95
015514に記載されている。その中の代表的な青−
UV放出リン光体は、バリウム及びストロンチウムのタ
ンタレート及びハフニエート及びフルオロハライドであ
る。EP−A 0820069には、ニオビウムドープ
した単斜晶系M、イットリウムタンタレートリン光体の
粒子及びユーロピウムドープしたバリウムフルオロハラ
イドリン光体の粒子がスクリーンを構成している。
【0139】緑光放射線を放出する特別の増感スクリー
ンは、GB−A 1489398;US−A 4431
922及び4710637に記載されている。その中で
使用している代表的な緑放出リン光体はガドリニウムオ
キシサルファイドリン光体である。
【0140】スクリーンによって放出される青及び/又
は紫(外)放射線が、それと接触している好適なフィル
ムによって吸収されるスクリーン−フィルムシステム
は、例えばEP−A 0712034及びWO 930
01521に記載されている。前記WOには、少なくと
も50mol%の塩化物を有する平板状粒子を少なくと
も50%含有する両側被覆材料が記載されている。緑光
放出スクリーンが、緑増感されたハロゲン化銀フィルム
と接触状態で使用されるスクリーン−フィルムシステム
は、例えばEP−A 0678772に記載されてい
る。
【0141】スクリーン/フィルム組合せは、対称的又
は非対称的であることができる:これは速度及び/又は
スクリーンから放出される放射線に差があるスクリーン
が異なっており、及び/又はフィルム支持体の両側で、
速度及び/又はコントラスト及び/又はスペクトル感度
において差があることを意味する。
【0142】胸部画像形成のための対称的組合せは、E
P−A 0661592及びUS−A 5380636
に記載されている、その中で二重被覆された層の速度差
は少なくとも0.3及び0.5 logEであり、前記層は
それぞれ異なる電磁スペクトルの帯域に対して、同じに
スペクトル増感されている。非対称組合せは、US−A
5238795及びEP−A 0449101に見出
すことができる。
【0143】緑放出リン光体を含有する前面スクリーン
及びUV放出リン光体を含有する裏面スクリーンを有す
るスクリーン/フィルム組合せは、EP−A 0581
065及びUS−A 4978599に記載されてい
る。
【0144】速度及び画像品質について見ると、高解像
UVスクリーン−フィルムシステムは、WO 9301
1457に記載されている、この中で6線対で少なくと
も0.30のCTF(コントラスト トランスファー
ファンクション)及び少なくとも150の相対速度が測
定されている。
【0145】多くても15%のクロスオーバー露光を有
し、少なくとも25%の80kVpのX線を吸収し、1
及び3サイクル/mmで0.79及び0.36のCFT
を提供する緑光放出スクリーン−フィルムシステムは、
US−A 5460916及び5462832に記載さ
れている。
【0146】少なくとも0.15 logEまで写真速度に
差がある二重被覆乳剤を用いることによって、両側被覆
材料におけるクロスオーバー露光における減少を得るこ
とができる。光学密度によって決まる5%未満で、多く
ても15%のクロスオーバー減少は、非対称二重被覆フ
ィルム材料に対してUS−A 5354648及びUS
H 0001105に記載されている。US−A 52
52443に記載されている如く、かかるフィルム−ス
クリーン組合せにおいて少なくとも10%未満にクロス
オーバーを減少させるため、ペンタメチンオキソノール
染料が役に立つことがある。5%未満のクロスオーバー
は、US−A 4994355に記載されている如く、
フィルムの一側での平均コントラストが2.0未満であ
り、他側で少なくとも2.5であるように又はUS−A
4497750に記載されている如く、フィルム支持
体の対向する側でのハロゲン化銀層の速度における差が
少なくとも2であるように作った材料によって示される
ことがある。ゼロのクロスオーバーレベルに達せしめる
ため、UV吸収メチン化合物は、WO 9300544
3及び93005444に記載されている如く、ポリエ
ステル支持体中に又は支持体に最も近い乳剤層と下塗層
の間の中間層中に混合するとよい。
【0147】骨及び周囲の軟い組織構造の診断画像形成
における最少クロスオーバーのため特別に規定された放
射線写真材料及び増感スクリーンは、EP−A 053
0117;WO 95021403、US−A 525
9016及び5399470に記載されている。かくし
て改良されたDQE(detective quantum efficienci
es)は例えばUS−A 5021327に記載されてい
る如く得ることができる。
【0148】露出光は、EP−A 0580029に示
されている如く、少ない光吸収により、塩化物リッチの
ハロゲン化銀結晶により少なく回析されるので、画像鮮
鋭度に関して更なる進歩が期待できる。更に、臭化銀リ
ッチの結晶と比較したとき、塩化銀リッチのハロゲン化
銀の良好な溶解度の結果として、塩化銀リッチのハロゲ
ン化銀結晶を有する乳剤を含む材料が迅速処理能力の点
から見て更に有利であることが期待できる。
【0149】しかしながらその中の重要な要因は、ハロ
ゲン化銀フィルム材料中の銀の被覆量である。例えば画
像形成法で使用するハードコピーのため、硝酸銀の当量
として表した被覆銀量は、EP−A 0794456及
び相当するUS−A 5712081における如く、2
〜6g/m2 であるのが好ましく、3〜5g/m2 であ
るのが更に好ましい。これらの被覆された銀の少ない量
は、良く知られている90秒サイクルの如き著しく短い
全処理サイクルを可能にする:30秒から50秒までの
処理時間さえも利用できるようになる。更に銀の少ない
量から被覆されたフィルムの処理に当って少ない廃物が
生ずるので生態学的な観点から更に有利な立場が得られ
る。これは少ない現像及び定着溶液を使用し、少ない補
給量が要求される。
【0150】これとは反対に、工業用放射線写真の分
野、特に非破壊試験用のためには、より多い銀が被覆さ
れており(硝酸銀の当量として表示して5〜15g/m
2 の範囲で)、より長い処理時間が要求されることは明
らかである。US−A 5397687では、臭化銀リ
ッチのハロゲン化銀乳剤結晶を用いる全処理時間の通常
の15分の代りに5分未満の全処理時間が得られてい
る、しかし既に著しい改良がある。
【0151】処理のため、処理溶液の自動補給のための
システムを設けた自動操作装置を使用するのが好まし
い。銀の少ない量から被覆された材料の30秒から50
秒未満までの短い処理時間内で乾燥から乾燥迄の処理
が、 (1)前記材料を硬化剤を用いない現像液中で(好まし
くはアスコルビン酸又はレダクチン酸を含む)現像す
る; (2)前記材料を所望により硬化剤(アルミニウム塩)
を用いないで、定着液中で定着する; (3)前記材料を水洗し、乾燥する工程によって可能に
される。
【0152】処理中で通常使用される構成は、連続溶液
として:現像液−定着液−洗浄水に相当する連続タンク
単位装置を示す。しかしながら最近の進歩は、生態学的
な観点から、特に補給量の減少の観点から、連続溶液と
して、連続現像液−定着液−定着液−洗浄水−洗浄水が
好ましいことが示された。現像と定着の間に一つの洗浄
工程及び乾燥前の終りでの一つの洗浄工程も存在させる
ことができる。更に詳細は1996年12月30日出願
のEP出願 No.96203728に見出すことができ
る。
【0153】(生態学的)処理方法及び(生態学的)処
理機についての進歩は、例えばEP−A 074465
2,0744656,0744657,074465
8,0769719,0774691,077954
6,0779547,0779548,0779549
に、1996年6月24日出願のEP出願 No.9620
1753,1996年7月17日出願の9620203
2、1996年7月31日出願の96202164、1
996年11月25日出願の96203298、全て1
996年11月14日出願の96203183,962
03184及び96203185、1996年12月3
0日出願の96203727、全て1997年3月21
日出願の97200840,97200841及び97
200853、1997年4月10日出願の97201
052、1997年4月15日出願の9720111
7、共に1997年6月12日出願の97201814
及び97201815、共に1997年7月28日出願
の97202321及び97202323、1997年
10月6日出願の97203096、1997年11月
21日出願の97203632、1998年1月15日
出願の98200079に、WO 97/33196に
及びUS−A 5678118に記載されている。
【0154】本発明を詳細にかつその特定実施例を参照
して説明するが、本発明の範囲を逸脱することなく、各
種の改変がその中でなしうることは当業者には明らかで
あろう。
【0155】
【実施例】実施例 1 乳剤A(比較実施例) (AgCl98.91.1 塩沃化銀平板状粒子乳剤):
【0156】下記溶液を作った: (1)保護コロイドとして使用するための酸化されたゼ
ラチン75g及び塩化ナトリウム0.19molを含有
する分散媒体(C)の2.94lを45℃の温度にし
た; (2)アデニンの1%溶液36mlを含有する溶液
(N); (3)2.94molの硝酸銀溶液(A1); (4)2.92molの塩化ナトリウム0.015mo
lの沃化カリウム及びアデニンの溶液(1重量%)42
mlを含有する溶液1l(B1); (5)17.64mmolの沃化カリウムを含有する4
0molの溶液(B2)。
【0157】沈澱を開始する前に、溶液Nを溶液Cに加
えた。次いで溶液Cを15分間撹拌し、pHを6.0に
設定した。
【0158】核生成工程は、溶液A1及び溶液B1を同
時に、それらを共に45ml/分の流速で40秒間で分
散媒体Cに導入して行った。
【0159】20分の物理熟成時間中、温度は70℃に
上昇させた。
【0160】次いで生長工程は、銀電極対Ag/AgC
l(飽和)インゴールド参照電極によって測定し+11
5mVの一定電位を保つための流速での溶液B1と共
に、初期流速5ml/分で、前記流速を13.7ml/
分の流速まで直ちに直線的に増大させながら二重ジェッ
ト溶液A1を導入して28分50秒間行った。
【0161】更に添加工程を、+135mVの電位値を
得るため5ml/分の一定流速で16分の間隔で溶液A
1を導入して行った。この工程(“pAg調整工程”と
称する)の後、溶液A1の流速は、20ml/分まで4
9分33秒間で直線的に増大させた、一方溶液B1の流
速は+135mVの一定電位を保つため増大させた。
【0162】別に6分の物理熟成工程を行った。最後の
沈澱工程は、2分間20ml/分の一定流速で単一ジェ
ットで溶液B2を導入して行った。
【0163】沈澱後、28mlのポリスチレンスルホン
酸を、5分間撹拌している乳剤に加えた。
【0164】pHは3.0の値に調整した。
【0165】乳剤を4lの脱イオン水を用いて洗浄法で
脱塩した、これは上澄液を傾斜した後3回繰返した。
【0166】かくして、平板状の数で高百分率(少なく
とも90%)を含み、銀を基準にして沃化物イオン1.
1mol%を有し、7:1より大きい平均アスペクト比
(これは1.75μmの平均ECD(等価円直径)及び
0.13μmの平均厚さが測定された相当する電子顕微
鏡写真から計算した)を有する塩沃化銀{111}平板
状粒子乳剤を得た。
【0167】図2に、ハロゲン化銀粒子の還元から得ら
れたままの乳剤の塩沃化銀分布を示す、従って還元した
ハロゲン化(平板状又は非平板状粒子の同じ容積を表す
球から計算した等価容積直径(EVD)の多いことを表
す。このEVD分布から、0.38の変動係数が計算さ
れた。
【0168】乳剤の再分散中に、ゼラチン対ハロゲン化
銀(硝酸銀として表示)の重量による比を0.4の値に
調整するための量のゼラチンを加えた。乳剤は1kgに
ついて215gの塩沃化銀(硝酸銀の当量として表示)
の量を含有していた。
【0169】乳剤B,C及びD(本発明実施例) (AgCl98.91.1 塩沃化銀平板状粒子乳剤):
【0170】前述した“pAg調整工程”を除けば乳剤
B,CおよびDは、乳剤Aと同じ方法で作った。この特
定の工程中、pHは下記の値に調整した: 4.0:乳剤Bに対して 3.5:乳剤Cに対して 3.0:乳剤Dに対して
【0171】pH値は次に16分後6.0の値に再調整
した。
【0172】表1に平均粒子厚さ及びEVDの変動係数
(ECDの平均標準偏差と平均ECDの比)も示す。
【0173】
【0174】このpH低下工程の導入によって、得られ
る平板状塩沃化銀粒子の厚さ及び均質性を制御するため
の機械が提供されることが明らかである。塩沃化銀粒子
分布の均質性の改良を示すため、乳剤Cの分布を図2
(点線参照)に含ませる:0.24の変動係数がここで
は計算される。
【0175】pHを低下させた値は、粒子の平均最終厚
さを明らかに決定している:pHが低ければ低い程増大
した平均厚さをもたらす。
【0176】乳剤E,F及びG(本発明実施例)(Ag
Cl98.91.1 塩沃化銀平板状粒子乳剤)
【0177】これらの乳剤において、厚さの生長を決定
する別の要因を示す。“pAg調整工程”を除いて、乳
剤E,F及びGは乳剤B(pH=4.0)と同じ方法で
作った。乳剤Bの製造においては、pHは16分の全時
間の間の4.0のpH値に下げたが、乳剤Eにおいて
は、pHは同じ時に開始したが、僅か5分続けただけで
あった。
【0178】乳剤Fは、“pAg調整工程”中A1の流
速を変えたことを除いて乳剤Eと同じ方法で作った。
【0179】最後に乳剤Gは、物理熟成工程の最後の8
分間、pHを4.0の値まで下げた乳剤Aと同様の方法
で作った。
【0180】結果を表2に示した、表2中で乳剤E,F
及びGの乳剤製造中にした全ての改変も示す。
【0181】
【0182】表2から、pHの低下度が平板状粒子の平
均厚さの最終値を決定するばかりでなく、このpH値を
低いpH値で一定に保つ時間も決定することは明らかで
ある(EとBの間の比較参照)。
【0183】この時間を変化させることは、得られる平
板状塩沃化銀粒子の厚さ生長を制御する機会を提供す
る。
【0184】乳剤Fは、生長工程の間に導入した(溶液
の流速=0ml/分)物理熟成中のpHの低下も本発明
の方法による制御された厚さ生長をもたらすことを示し
ている。
【0185】乳剤Gは、生長工程を行う前の第一物理熟
成工程中のpH調整を行うことの可能性を示している。
【図面の簡単な説明】
【図1】EP−A 0481133による製造法での核
生成工程中に飽和銀/塩化銀電極に対し、80〜160
mVの範囲でUAgの異なる値の関数として塩化銀リッ
チ平板状{111}ハロゲン化銀粒子の厚さの予測し得
ないことを示す。
【図2】pH低下工程の導入によって、得られる平板状
塩沃化銀粒子の厚さ及び均質性を制御することができる
ことを示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G03C 1/07 G03C 1/07 (72)発明者 アン・ヴェルビーク ベルギー国モートゼール、セプテストラー ト 27 アグファ・ゲヴェルト・ナームロ ゼ・ベンノートチャップ内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀に基づいて、少なくとも75mol%
    の塩化物及び0.1〜3mol%の沃化物を有し、更に
    {111}結晶面、少なくとも2:1の平均アスペクト
    比を有する塩臭沃化銀又は塩沃化銀平板状粒子を含み、
    全粒子の全投影面積の少なくとも75%が前記平板状粒
    子によって与えられ、全粒子の球等価直径(SED)に
    ついての変動係数が0.30未満であるハロゲン化銀乳
    剤の製造法であって、前記方法が(1)反応容器中で分
    散媒体及び晶癖生長変性剤を作る工程; (2)前記分散媒体中で、銀塩及びハロゲン化物塩溶液
    を混合することにより結晶核生成工程で塩(沃)化銀又
    は塩臭(沃)化銀を沈澱する工程; (3)一つ以上の生長及び/又は物理熟成工程中前記核
    を生長させる工程を含むハロゲン化銀乳剤の製造方法に
    おいて、 (4)前記結晶核生成工程中6.0〜9.0の初期pH
    値で前記分散媒体を維持し; (5)前記核生成工程の終りと前記生長工程の終りの
    間、少なくとも30秒間6.0未満の値にpHを設定
    し; (6)続いて前記初期pH値にpHを再設定することを
    特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 pHを設定する工程が、4.0以下のp
    H値に設定することを特徴とする請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 前記晶癖生長変性剤が、式Ia又はIb 【化1】 【化2】 (式中Zは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、
    アルコキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキ
    シ基又はハロゲンで置換されていてもよい、縮合芳香族
    炭素環式又は複素環式環を形成するのに必要な原子を表
    し、Rは水素又は環Zについて記載した如き置換基であ
    り、nは0又は1であり、Qはn=1のとき炭素を表
    し、又はn=0のとき窒素を表す)による化学構造を有
    することを特徴とする請求項1又は2の方法。
  4. 【請求項4】 前記核の生長中及び/又は生長後、少な
    くとも一つの変換工程を行い、この場合前記乳剤粒子の
    変換を、無機沃化物塩及び/又は有機沃化物放出化合物
    を反応容器に加えることによって行い、前記乳剤粒子の
    変換によって前記乳剤に変化しうる沃化物分布を有する
    平板状粒子を含有せしめ、このとき粒子は結晶表面で沃
    化物を濃縮させ、前記分布を、前記平板状粒子の結晶表
    面でよりも少ない量で結晶容積中に沃素イオンを存在さ
    せ、沃素イオンの全量の50〜100mol%の量が前
    記平板状粒子の表面にあることを特徴とする請求項1〜
    3の何れか1項の方法。
  5. 【請求項5】 前記核の生長中及び/又は生長後、少な
    くとも一つの変換工程を行い、この場合前記乳剤粒子の
    変換を、大きくても0.05μmの平均結晶粒度を有す
    る沃化銀微結晶を加えることによって行い、前記乳剤粒
    子の変換によって、前記乳剤に変化しうる沃化物分布を
    有する平板状粒子を含有せしめ、このとき粒子は結晶表
    面で沃化物を濃縮させ、前記分布を、前記平板状粒子の
    結晶表面でよりも少ない量で結晶容積中に沃素イオンを
    存在させ、沃素イオンの全量の50〜100mol%の
    量が前記平板状粒子の表面にあることを特徴とする請求
    項1〜3の何れか1項の方法。
  6. 【請求項6】 銀に基づいて少なくとも75mol%の
    塩化物及び0.1〜3mol%の沃化物を有し、更に
    {111}結晶面、少なくとも2:1の平均アスペクト
    比を有する塩臭沃化銀又は塩沃化銀平板状粒子を含み、
    全粒子の全投影面積の少なくとも75%が前記平板状粒
    子によって与えられ、全粒子の球等価直径(SED)に
    ついての変動係数が0.30未満である請求項1〜5の
    何れか1項の方法によって製造したハロゲン化銀乳剤。
JP11263298A 1997-03-19 1998-03-18 (111)平板状塩(臭)沃化銀結晶の製造方法 Pending JPH10307353A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112730171A (zh) * 2020-12-30 2021-04-30 成都市海瑞产品质量技术检测有限公司 一种低碳高合金材料的晶粒度检测方法

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