JP2002138291A - ディーゼルエンジン油組成物 - Google Patents
ディーゼルエンジン油組成物Info
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Abstract
耗防止性能を発揮し、長期間の使用においても優れた酸
化安定性と清浄性を有するディーゼルエンジン油組成物
を提供すること。 【解決手段】 潤滑油基油に、(A)有機モリブデン化
合物、(B)炭素数3のセカンダリータイプのアルキル
基を少くとも1つ有するジアルキルジチオリン酸亜鉛、
(C)金属型清浄剤として、親油基部分が天然原料から
なる塩基価20〜350KOH/gアルカリ土類金属ス
ルホネート、および(D)金属型清浄剤として、塩基価2
0〜200KOH/gのアルカリ土類金属サリシレート
を配合したディーゼルエンジン油組成物。
Description
ルエンジン油組成物に関し、さらに詳しくは、多量の油
中スーツ存在下においても優れた摩耗防止性能を発揮
し、長期間の使用においても優れた酸化安定性と清浄性
を有するディーゼルエンジン油組成物に関する。
省燃費化に加えて、一段と厳しくなるディーゼル排気ガ
ス規制に対応するため燃焼性の改善や排気ガス還流装置
(EGR)の導入が進んでいる。この様なディーゼルエ
ンジンの改良に対応すべく、ディーゼルエンジン油に対
しても高性能化が求められている。また、環境保護の観
点からディーゼルエンジン油の更油期間延長による廃油
量の低減が強く望まれている。ディーゼルエンジンに装
着されるEGRは油中スーツを増加させることが知られ
ている。同様に更油期間の延長も、結果的に油中スーツ
量を増加させることになる。近年の高級ディーゼルエン
ジン油は多量な無灰型分散剤を添加し、油中スーツを微
細粒子状態で分散させている。しかし、油中スーツはエ
ンジン各部位の摩耗を促進させる傾向があるため、長期
にわたって十分な耐摩耗性を維持することは難しく、更
油期間の延長を図るには解決すべき課題である。同時
に、更油期間の延長には優れた酸化安定性と清浄性も兼
ね備える必要がある。
上には、特定のカルシウムサリシレートとプライマリー
型ジチオリン酸亜鉛、およびモリブテンジアルキルジチ
オホスフェートの組み合わせ(特開平7−207290
号公報)、特定の塩基価をもつサリシレートならびに、
特定の塩基価をもつサリシレートおよび/または特定の
スルホネートによる組み合わせ(特開平11−8077
1号公報)、親油基部分のアルキルベンゼンが特定構成
の合成系スルホネートと特定のアルケニルこはく酸イミ
ドの硼素化合物誘導体、炭素数3〜6のアルキル基を持
つジアルキルジチオリン酸亜鉛、および有機モリブテン
化合物の組み合わせ(特開2000−119680号公
報)、硫化オキシモリブテンジチオカルバメートとジア
ルキルジチオリン酸亜鉛の組み合わせ(特開2000−
186293号公報)などが考案されている。また、酸
化安定性の向上には、特定のサリシレートと特定のフェ
ネートによる組み合わせ(特開平11−29784号公
報)、特定のスルホネート、特定のサリシレート、無灰
型分散剤、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、フェノール系
酸化防止剤の組み合わせ(特開2000−192069
号公報)などが考案されている。しかしながら、更油期
間の延長に必要不可欠である多量の油中スーツ存在下に
おける十分な摩耗防止性能と、優れた酸化安定性および
清浄性を同時に兼ね備えたディーゼルエンジン油には至
っていない。
術の状況に鑑み、多量の油中スーツ存在下においても優
れた摩耗防止性能を発揮し、長期間の使用においても優
れた酸化安定性と清浄性を有するディーゼルエンジン油
組成物を提供することを目的とする。
を達成するために鋭意検討を行った結果、鉱油系潤滑油
もしくは合成系潤滑油あるいは両者の混合物の基油に、
有機モリブデン化合物、特定のジアルキルジチオリン酸
亜鉛、特定の天然系アルカリ土類金属スルホネート、お
よび特定のアルカリ土類金属サリシレートを特定量配合
することにより、多量の油中スーツ存在下においても優
れた摩耗防止性能と優れた酸化安定性および清浄性を兼
ね備え、更油期間を著しく延長できるディーゼルエンジ
ン油組成物が得られることを見出し、この知見に基づき
本発明を完成するに至った。
は合成系潤滑油あるいは両者の混合物の基油に、(A)
有機モリブデン化合物をMo量にして100〜700重
量ppm、(B)炭素数3のセカンダリータイプのアル
キル基を分子中に少なくとも1つ有し、残りのアルキル
基は炭素数4〜12のプライマリータイプであるジアル
キルジチオリン酸亜鉛をZn量にして500〜2000
重量ppm、(C)金属型清浄剤として、親油基部分が
天然原料からなる塩基価20〜350mgKOH/gの
アルカリ土類金属スルホネートをアルカリ土類金属量で
0.03〜2重量%、および(D)金属型清浄剤とし
て、塩基価20〜200mgKOH/gのアルカリ土類
金属サリシレートをアルカリ土類金属量で0.03〜2
重量%含有することを特徴とするディーゼルエンジン油
組成物を提供するものである。
本発明のディーゼルエンジン油組成物における必須成分
の一つである(A)有機モリブデン化合物の配合量は、M
o量で100〜700重量ppm、好ましくは200〜
600重量ppm、さらに好ましくは300〜500重
量ppmである。配合量が少ないと優れた耐摩耗性効果
が得られない。多すぎると配合量に見合った耐摩耗性効
果が得られないばかりか、エンジン内部においてスラッ
ジの生成や、酸化安定性の低下、および清浄性を損なう
恐れがある。
は、モリブデンジチオカーバメート、モリブデン酸アミ
ン塩、モリブデンジチオフォスフェートが挙げられる。
モリブデンジチオカーバメートは下記一般式(1)で表
される。
水素基であり、飽和炭化水素でも不飽和炭化水素でもよ
い。具体例としては、ヘキシル基、デシル基、ドデシル
基、トリデシル基、ヘキサデシル基、ノニル基、2−エ
チルヘキシル基、イソトリデシル基、ラウリル基等のア
ルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基が
挙げられ、上記4つのRは各々同一でも異なっていても
よい。X1、X2、Y1、およびY2は、酸素原子またはイ
オウ原子であり、それぞれ同一であっても異なっていて
もよい。)
は、下記一般式(2)で表される。
水素基であり、4個のRは、それぞれ同一であっても異
なっていてもよい。 X1、X2、Y1およびY2は、上記
したとおりである。)
式(3)で表される。
化水素基であり、2個のRは、それぞれ同一であっても
異なっていてもよい。)
単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いても
よい。
ける必須成分の他の一つである(B)セカンダリータイ
プの炭素数が3個のアルキル基を分子中に少なくとも1
つ有するジアルキルジチオリン酸亜鉛は、下記一般式
(4)で表される。
3のアルキル基を示す。Rは同一でも異なってもよい。
異なる場合の残りのアルキル基は炭素数4〜12のプラ
イマリータイプであり、好ましくはプライマリータイプ
の炭素数4〜8のアルキル基、さらに好ましくはプライ
マリータイプの炭素数4〜5のアルキル基が良い。)
は、Zn量で500〜2000重量ppm、好ましくは
800〜1700重量ppm、さらに好ましくは100
0〜1500重量ppmである。添加量が少ないと優れ
た耐摩耗性効果が得られない。多すぎると添加量に見合
った耐摩耗性効果が得られないばかりか、酸化安定性の
低下を招く恐れがある。
ける必須成分のさらに他の一つである(C)親油基部分
が天然原料からなる塩基価20〜350mgKOH/g
のアルカリ土類金属スルホネートとしては、一般にアル
キルベンゼン類を発煙濃硫酸またSO3ガスによりスル
ホン化したのち、金属塩に変換して製造されたものが用
いられる。原料となるアルキルベンゼン類は鉱油の潤滑
油留分から得られるアルキルベンゼンを使用することが
肝要である。合成アルキルベンゼン、およびジノニルナ
フタレンを原料とした場合の合成系アルカリ土類金属ス
ルホネートは清浄性が劣るため好ましくない。このアル
カリ土類金属スルホネートのアルカリ土類金属として
は、カルシウム、マグネシウムおよびバリウムが好適に
用いられる。塩基価は、過塩素酸法による全塩基価が2
0〜350mgKOH/g、好ましくは150〜350
mgKOH/g、さらに好ましくは250〜350mg
KOH/gである。塩基価が20mgKOH/g未満の
場合は所要添加量が多くなり、酸化安定性および耐摩耗
性が低下するため好ましくなく、また塩基価が350m
gKOH/gを超える場合は他の添加剤との相互作用に
より沈殿を生成する恐れがあるため好ましくない。これ
らのアルカリ土類金属スルホネートは、1種類単独で用
いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよ
い。
量は、アルカリ土類金属量で0.03〜2重量%、好ま
しくは0.06〜1重量%、さらに好ましくは、0.1
〜0.5重量%である。アルカリ土類金属スルホネート
の配合量が少な過ぎると清浄性が悪くなり、逆に多過ぎ
ても酸化安定性の低下を招く恐れがある。
ける必須成分のなおさらに他の一つである(D)塩基価
20〜200mgKOH/gのアルカリ土類金属サリシ
レートは、炭素数10〜18のαーオレフィンでフェノ
ールをアルキル化し、次いでコルベ−シュミット反応で
カルボキシル基を導入した後、複分解などによりアルカ
リ土類金属塩としたものが使用される(イギリス特許第
734,598号明細書、イギリス特許第734,62
2号明細書など参照)。アルカリ土類金属サリシレート
は、ディーゼルエンジン油組成物に用いるためには過塩
基性のものが好ましく、塩基価は過塩素酸法による全塩
基価が100mgKOH/g以上が好ましく、特に15
0〜200mgKOH/gが好ましい。このアルカリ土
類金属サリシレートのアルカリ土類金属としては、カル
シウム、マグネシウムおよびバリウムが好適に用いられ
る。これらのアルカリ土類金属サリシレートは、1種単
独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても
よい。
量は、アルカリ土類金属量で0.03〜2重量%、好ま
しくは0.06〜1重量%、さらに好ましくは、0.1
〜0.5重量%である。アルカリ土類金属サリシレート
の配合量が少な過ぎると酸化安定性が悪くなり、逆に多
過ぎても清浄性が低下する恐れがあるので好ましくな
い。
潤滑油もしくは合成系潤滑油あるいは両者の混合物から
なる基油に配合する。これらの基油の粘度は、40℃に
おける動粘度として、通常0.1〜250mm2/sで
あればよく、好ましくは10〜150mm2/sであ
り、特に好ましくは20〜120mm2/sである。ま
た、粘度指数は、50〜200であればよく、好ましく
は80〜160である。鉱油系潤滑油としては、例えば
鉱油系潤滑油留分を溶剤精製、水素化精製など適宜組み
合わせて精製したものを用いればよい。また、合成系潤
滑油としては、例えば炭素数3〜12のα−オレフィン
の重合体であるα−オレフィンオリゴマー、ジオクチル
セバケートを始めとするセバケート、アゼレート、アジ
ペートなどの炭素数4〜12のジアルキルジエステル
類、1−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトー
ルと炭素数3〜12の一塩基酸から得られるエステルを
始めとするポリオールエステル類、炭素数9〜40のア
ルキル基を有するアルキルベンゼン類などが挙げられ
る。上記鉱油系潤滑油および合成系潤滑油はそれぞれ1
種単独であるいは2種以上を混合して使用することがで
きる。
いては、上記した必須成分の他に、必要に応じて各種公
知の添加剤、例えば、アルカリ土類金属スルホネート、
アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシ
レート、アルカリ土類金属ホスホネートなどの金属系清
浄剤;アルケニルこはく酸イミド、アルケニルこはく酸
イミド硼素化変性物、ベンジルアミン、アルキルポリア
ミンなど他の無灰型分散剤;リン系、硫黄系、アミン
系、エステル系などの各種摩耗防止剤;ポリメタクリレ
ート系、エチレンプロピレン共重合体、スチレン−イソ
プレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体の水素
化物あるいはポリイソブチレン等の各種粘度指数向上
剤;2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールな
どのアルキルフェノール類、4,4’−メチレンビス−
(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのビスフェ
ノール類、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ
−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロ
ピオネートなどのフェノール系化合物、ナフチルアミン
類やジアルキルジフェニルアミン類などの芳香族アミン
化合物などの各種酸化防止剤;硫化オレフィン、硫化油
脂、メチルトリクロロステアレート、塩素化ナフタレ
ン、ヨウ素化ベンジル、フルオロアルキルポリシロキサ
ン、ナフテン酸鉛などの極圧剤;ステアリン酸を始めと
するカルボン酸、ジカルボン酸、金属石鹸、カルボン酸
アミン塩、重質スルホン酸の金属塩、多価アルコールの
カルボン酸部分エステル、リン酸エステルなどの各種錆
止め剤;ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾールなど
の各種腐食防止剤;シリコーン油などの各種消泡剤など
を1種単独または2種以上組み合わせて適宜配合するこ
とができる。
製方法は、基油、上記必須成分および必要に応じて各種
添加剤を適宜混合すればよく、その混合順序は特に限定
されるものではなく任意である。例えば、基油に必須成
分を順次混合してもよく、必須成分を予め混合した後基
油に混合してもよい。さらに、各種添加剤についても、
予め基油に添加してもよく、必須成分に添加してもよ
い。
らに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例
によっては何等限定されるものではない。
施例)または表2(比較例)に示す割合で配合してディ
ーゼルエンジン油組成物を調製した。なお、表1および
表2中の基油の割合「バランス」とは、当該組成物に配
合されている全成分の合計量が100重量%になるよう
に基油の量を設定した意味である。
度が6.16mm2/s、粘度指数125の鉱油系潤滑
油基油を使用した。 2.有機モリブデン化合物 炭素数8と13のアルキル基を持ち、上記一般式(1)
におけるXが酸素原子、Yがイオウ原子であるモリブデ
ンジチオカーバメートを使用した。 3.ジアルキルジチオリン酸亜鉛1 分子中に炭素数が3のセカンダリータイプのアルキル基
と炭素数4、5のプライマリータイプのアルキル基を有
するジアルキルジチオリン酸亜鉛を使用した。 4.ジアルキルジチオリン酸亜鉛2 比較するために、分子中に炭素数が3と6のセカンダリ
ータイプのアルキル基を有するジアルキルジチオリン酸
亜鉛を使用した。 5.ジアルキルジチオリン酸亜鉛3 比較するために、分子中に炭素数が8のプライマリータ
イプのアルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛
を使用した。 6.アルカリ土類金属スルホネート1 親油基部分が天然原料からなる塩基価300mgKOH
/gのカルシウムスルホネートを使用した。塩基価は、
JIS−K−2501−7により測定した値である。カ
ルシウム量は12.0重量%である。 7.アルカリ土類金属スルホネート2 比較するために、親油基部分が合成アルキルベンゼンか
らなる塩基価300mgKOH/gのカルシウムスルホ
ネートを使用した。塩基価は、JIS−K−2501−
7により測定した値である。カルシウム含有量は12.
0重量%である。 8.アルカリ土類金属サリシレート1 塩基価170mgKOH/gのカルシウムフェネートを
使用した。塩基価は、JIS−K−2501−7により
測定した値である。カルシウム含有量は5.8重量%で
ある。 9.アルカリ土類金属サリシレート2 比較するために、塩基価270mgKOH/gのカルシ
ウムフェネートを使用した。塩基価は、JIS−K−2
501−7により測定した値である。カルシウム含有量
は10.4重量%である。 10.その他の添加剤 下記の添加剤を適宜配合したものを使用し、表1、2に
はその合計配合量を示した。 無灰型分散剤:アルケニルこはく酸イミドまたは/お
よびアルケニルこはく酸イミド硼素化変性物で、とも
に、ビスタイプのポリアルケニルコハク酸イミドでブテ
ニル基の分子量が約1000〜1500程度のもの。 酸化防止剤:ヒンダードフェノール。 粘度指数向上剤:ポリアルキルメタクリレート。 腐食防止剤: チアジアゾールポリスルフィド。
た。市販油1はAPI−CE級の油であり、市販油2は
API−CF級の油である。
たディーゼルエンジン油組成物、および比較例9〜10
の市販のディーゼルエンジン油の性能を以下に示す性能
試験によって評価した。その結果を表1(実施例)また
は表2(比較例)に示した。
試験条件は回転数1800rpm、試験時間1min、
油温はなりゆきとした。荷重は50、56、63、7
1、80、89、100、112、126、142、1
60kgfに増加させて、摩耗痕径が0.6mmを超え
る時の荷重を測定した。この荷重が大きいほど耐摩耗性
に優れることを示す。 (2)酸化安定性試験 試験はJIS K 2514−4に規定してある内燃機
関用潤滑油酸化安定度(ISOT)に準拠して行い、試
験温度165.5℃、試験時間96時間である。酸化安
定性を塩基価保持率により評価した。塩基価保持率は、
塩酸法による塩基価(JIS K 2501−6)を使
用し、新油の塩基価に対する試験後油の塩基価の百分率
で表した。塩基価保持率は大きいほど長寿命性を有して
いる。 (3)高温清浄性試験 試験はJPI−5S−55−99に規定してあるホット
チューブ試験方法に準拠して行い、試験温度は300
℃、A法(0〜10点の評点法)で評価した。なお、無
色透明(汚れなし:清浄性良好)を10点、黒色固化を
0点としている。
本発明によるディーゼルエンジン油組成物は、いずれも
耐摩耗性評価において試験荷重126kgf以上を示し
ている。この126kgf以上の試験荷重は非常に過酷
な試験条件であり、これまでの市販油では初期焼き付き
が必ず発生している。本発明によるディーゼルエンジン
油組成物では焼き付きは全く発生しておらず、従来にな
い非常に優れた耐摩耗性を示している。また、35%以
上の塩基価保持率であり優れた酸化安定性を有してい
る。更に高温清浄性評価においても8点以上の優れた清
浄性を有している。本発明の優れた効果は、成分(A)
の有機モリブテン化合物、成分(B)のジアルキルジチ
オリン酸亜鉛、成分(C)のアルカリ土類金属スルホネ
ート、および成分(D)のアルカリ土類金属サリシレー
トを特定量併用することによって初めて実現できたもの
である。このことを以下に比較例1〜10を用いて説明
する。
と以外は、実施例1と同様な組成物である。酸化安定性
と清浄性は実施例1と同程度の性能を示しているが、耐
摩耗性は著しく低下している。 比較例2、3:成分(B)の代わりに、他のジアルキル
ジチオリン酸亜鉛化合物を配合したこと以外は、実施例
1と同様な組成物である。比較例2は耐摩耗性、酸化安
定性、および清浄性が著しく低下している。比較例3の
酸化安定性と清浄性は実施例1と同程度の性能を示して
いるが、耐摩耗性は著しく低下している。比較例4:成
分(B)を本発明で規定した配合量以下に低減させた以
外は、実施例1と同様な組成物である。酸化安定性と清
浄性は実施例1よりやや低下した程度に留まっている
が、耐摩耗性は著しく低下している。 比較例5:成分(A)を本発明で規定した配合量以上に
増加させた以外は、実施例1と同様な組成物である。耐
摩耗性は実施例1よりやや低下した程度に留まっている
が、酸化安定性と清浄性は著しく低下している。 比較例6:成分(C)と成分(D)の代わりに、他のア
ルカリ土類金属スルホネートを配合した以外は、実施例
1と同様な組成物である。耐摩耗性は実施例1よりやや
低下した程度に留まっているが、酸化安定性と清浄性は
著しく低下している。 比較例7:成分(C)と成分(D)の代わりに、他のア
ルカリ土類金属サリシレートを配合した以外は、実施例
1と同様な組成物である。酸化安定性は良好であるが、
耐摩耗性と清浄性は著しく低下している。 比較例8:成分(C)の代わりに、成分(D)とは別の
アルカリ土類金属サリシレートを配合した以外は、実施
例1と同様な組成物である。酸化安定性は良好である
が、耐摩耗性と清浄性は著しく低下している。 比較例9:耐摩耗性、酸化安定性および清浄性は、実施
例1〜5と比較して劣っていることがわかる。 比較例10:酸化安定性と清浄性は実施例1と同程度の
性能を示しているが、耐摩耗性は著しく低下している。
所期の目的を達成するためには、本発明に規定する特定
の成分(A)の有機モリブテン化合物、成分(B)のジ
アルキルジチオリン酸亜鉛、成分(C)のアルカリ土類
金属スルホネートおよび成分(D)のアルカリ土類金属
サリシレートを特定量併用することが重要であり、本発
明が目的とする優れた性能のディーゼルエンジン油組成
物は、本発明によって初めて実現できたものである。
る。図1は実施例1と比較例9のディーゼルエンジン油
組成物を、複数の実車両で使用した場合の油中スーツ増
加量と油中鉄分の量の関係を示したものである。なお、
油中スーツ増加量とは、スーツ量と相関がある残留炭素
分の新油時からの増加量である。残留炭素分は、JIS
K2270に規定されるコンラドソン法による測定値
である。油中鉄分量は、JPI−5S−44−95に規
定されるICP発光分析法による測定値である。実施例
1と比較例9に用いた車両は同一エンジン形式であり、
国産製の排気量13000ccクラスのものである。通
常、車両の走行距離が増すと油中スーツ量は増える傾向
にある。また、油中鉄分もエンジン内部の摩耗により増
加する傾向にある。この時、油中スーツは摩耗を促進さ
せる傾向があるため、ディーゼルエンジン油の油中スー
ツ存在下における耐摩耗性能の差によって、油中鉄量の
増加傾向に違いが現れる。すなち、多量の油中スーツの
存在下においても、優れた耐摩耗性を有するディーゼル
エンジン油の場合、エンジン内部の摩耗を低減でき油中
鉄分量の増加は小さいものとなる。図1に示した結果か
ら、実施例1は比較例9と比べて油中鉄分の増加傾向は
1/2以下になっており、多量の油中スーツの存在下に
おいても優れた耐摩耗性を有し、更油期間の延長が可能
なことが分かる。
下においても優れた摩耗防止性能を発揮し、長期間の使
用においても優れた酸化安定性と清浄性を有するディー
ゼルエンジン油組成物が提供される。本発明のディーゼ
ルエンジン油組成物は、更油期間の延長に関して、実用
上極めて有効である。
ン油組成物を複数の実車両で使用した場合の油中スーツ
増加量と油中鉄分の量の関係を示した図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 鉱油系潤滑油もしくは合成系潤滑油ある
いは両者の混合物の基油に、(A)有機モリブデン化合
物をMo量にして100〜700重量ppm、(B)炭
素数3のセカンダリータイプのアルキル基を分子中に少
なくとも1つ有し、残りのアルキル基は炭素数4〜12
のプライマリータイプであるジアルキルジチオリン酸亜
鉛をZn量にして500〜2000重量ppm、(C)
金属型清浄剤として、親油基部分が天然原料からなる塩
基価20〜350mgKOH/gのアルカリ土類金属ス
ルホネートをアルカリ土類金属量で0.03〜2重量
%、および(D)金属型清浄剤として、塩基価20〜20
0mgKOH/gのアルカリ土類金属サリシレートをア
ルカリ土類金属量で0.03〜2重量%含有することを
特徴とするディーゼルエンジン油組成物。
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