JP2002138205A - 熱伝導性成形体 - Google Patents

熱伝導性成形体

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JP2002138205A
JP2002138205A JP2000335895A JP2000335895A JP2002138205A JP 2002138205 A JP2002138205 A JP 2002138205A JP 2000335895 A JP2000335895 A JP 2000335895A JP 2000335895 A JP2000335895 A JP 2000335895A JP 2002138205 A JP2002138205 A JP 2002138205A
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thermally conductive
heat
conductive filler
thermal conductive
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JP2000335895A
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Jun Yamazaki
潤 山崎
Natsuko Ishihara
奈津子 石原
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Polymatech Co Ltd
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Polymatech Co Ltd
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
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  • Cooling Or The Like Of Semiconductors Or Solid State Devices (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い熱伝導率を保持しつつ、さらに難燃性を
も兼ね備えた熱伝導性成形体を提供する。 【解決手段】 熱伝導性成形体は、高分子マトリックス
と、その高分子マトリックスに配合される熱伝導性充填
剤とから成形されるものである。高分子マトリックスは
シリコーン系材料、具体的にはシリコーンゴムである。
熱伝導性充填剤としては、熱伝導性の高い充填剤と水酸
化アルミニウムなどの金属水酸化物が用いられる。熱伝
導性充填剤の含有量は30〜70体積%であり、かつ熱
伝導性充填剤のうち30〜90体積%が粒径20〜20
0μmの金属水酸化物である。また、熱伝導性成形体の
硬度をアスカーC硬度で50以下とし、形状をシート状
としたものが好適に用いられる。この熱伝導性シート1
3は、例えば半導体装置のプリント配線基板11上の実
装部品12と筐体14との間に介在される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い熱伝導性と難
燃性を発揮することができる熱伝導性成形体に関するも
のである。さらに詳しくは、電気製品や電子部品に使用
される各種半導体素子や電源、光源、部品などから発生
する熱を効果的に放散させる高い熱伝導性と難燃性を兼
ね備えた熱伝導性成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、発熱する電子部品と放熱させ
る部材とを接合させる目的でシリコーンゴム系の柔軟な
熱伝導性シートが使用されている。この熱伝導性シート
には、熱伝導性を高めるために、銀、銅、金、アルミニ
ウム、ニッケルなどの熱伝導率の大きい金属や合金、酸
化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、窒化
ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素な
どのセラミックス製の粉末状や繊維状をなす熱伝導率の
大きい熱伝導性充填剤が添加されている。
【0003】このような分野においては、近年高い熱伝
導性と同時に難燃性を求められることが多くなってきて
いる。このため、熱伝導性シートに難燃性を付与できる
難燃剤が検討されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、難燃性
を付与するために添加される難燃剤は、酸化アルミニウ
ム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の熱伝導性充填剤
に比べて熱伝導率が低い。このため、難燃性の向上を目
的として難燃剤の添加量を増大させると、難燃剤の添加
量の増大に伴って熱伝導率が次第に低下するという問題
があった。
【0005】本発明は、上述のような従来技術に存在す
る問題点を解消するためになされたものである。その目
的とするところは、高い熱伝導率を保持しつつ、さらに
難燃性をも兼ね備えた熱伝導性成形体を提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明の熱伝導性成形体は、高分
子マトリックスと、その高分子マトリックスに配合され
る熱伝導性充填剤とから成形され、熱伝導性充填剤の含
有量が30〜70体積%であり、かつ熱伝導性充填剤の
うち30〜90体積%が粒径20〜200μmの金属水
酸化物であることを特徴とするものである。
【0007】請求項2に記載の発明の熱伝導性成形体
は、請求項1に記載の発明において、前記高分子マトリ
ックスがシリコーン系材料であり、金属水酸化物が水酸
化アルミニウムであるものである。
【0008】請求項3に記載の発明の熱伝導性成形体
は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、硬度
がアスカーC硬度(日本ゴム規格協会で定められた規格
SRIS0101)で50以下であり、形状がシート状
であるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の熱伝導性成形体
の実施形態について詳細に説明する。熱伝導性成形体
は、高分子マトリックスと、その高分子マトリックスに
配合される熱伝導性充填剤とからシート状などの形状に
成形されるものである。さらに、熱伝導性充填剤の含有
量は30〜70体積%であり、かつ熱伝導性充填剤のう
ち30〜90体積%が粒径20〜200μmの金属水酸
化物であるものである。
【0010】まず、高分子マトリックスは、熱伝導性充
填剤が配合される母材となるものである。この高分子マ
トリックスは、熱伝導性充填剤との混練性をはじめ、熱
伝導性成形体の適用箇所に応じて柔軟性、耐熱性、電気
絶縁性などの特性が必要である。高分子マトリックスと
しては、シリコーンゴムのほか、シリコーン系エラスト
マー、フッ素ゴムなどが使用される。シリコーンゴム
は、公知のオルガノポリシロキサンを硬化することによ
って得られる。硬化方法については限定されるものでは
なく、ビニル基を含むオルガノポリシロキサンとケイ素
原子に水素原子を含むオルガノポリシロキサンと白金系
触媒からなる付加反応タイプ、有機過酸化物によるラジ
カル反応タイプ、縮合反応タイプ、紫外線や電子線によ
る硬化タイプなどが挙げられる。なかでも、熱伝導性充
填剤を添加しやすい液状の付加反応タイプのポリオルガ
ノシロキサンを用いることが好ましい。また、公知の補
強用シリカや難燃剤、着色剤、耐熱性向上剤、接着助
剤、粘着剤、オイル、可塑剤などを適宜配合することが
できる。
【0011】次に、熱伝導性充填剤としては、熱伝導率
の大きい酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニ
ウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、石英などの金属酸化物、
金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、カーボン等が
挙げられる。その形状は、球状、粉状、繊維状、針状、
鱗片状、ウィスカー状などである。これらの熱伝導性充
填剤は、添加率の向上、未硬化時の粘度及び硬化後の硬
度の調整を目的とし、1種又は2種以上を混合して使用
することができる。
【0012】熱伝導性充填剤として用いられる金属水酸
化物は、熱伝導性を発揮するとともに、燃焼物体を冷却
して難燃性を発現する。この金属水酸化物としては、水
酸化アルミニウムのほか、水酸化鉄、水酸化ニッケル、
水酸化亜鉛などが使用される。水酸化アルミニウムは、
約200〜300℃で結晶水を放出し、そのときの蒸発
潜熱として約470cal/gの熱量を吸収し、燃焼物
体を冷却して難燃性を発現する。また、このときに放出
されるガスは水蒸気であって、金属への腐食性が全くな
い。特に、電極やリード線、電気配線などがショートす
るなどの電気的なトラブルが発生しないようにセラミッ
クス等の電気絶縁性を有する熱伝導性充填剤を用いるこ
とが一般的である。
【0013】熱伝導性成形体の使用対象の一例として挙
げられる半導体素子からの発熱は約100℃であり、水
酸化アルミニウムは難燃性とともに良好な熱伝導性を示
す熱伝導性充填剤として機能する。
【0014】熱伝導性充填剤の含有量は30〜70体積
%であり、かつ熱伝導性充填剤のうち水酸化アルミニウ
ムが30〜90体積%含有される。熱伝導性充填剤の含
有量が30体積%より少ないと放熱特性が劣り、70体
積%を越えると配合組成物の粘度が増大し、気泡の混入
が避けられず好ましくない。また、熱伝導性充填剤のう
ち金属水酸化物が30体積%より少ないと、得られる熱
伝導性成形体の難燃性が低く、90体積%を越えると、
放熱特性が劣る。
【0015】金属水酸化物の粒径は、20〜200μm
である。20μmより小さい場合には、得られる熱伝導
性成形体の放熱特性が劣り、配合組成物の粘度が上昇
し、気泡の混入が避けられない。一方、200μmより
大きい場合には、得られる熱伝導性成形体の表面が鮫肌
状となり、熱源及び放熱器などとの密着性に劣り好まし
くない。
【0016】さらに、熱伝導性充填剤及び金属水酸化物
の表面処理を目的として、公知のシランカップリング等
のカップリング剤やサイジング剤で処理することによ
り、高分子マトリクスとの濡れ性や充填性を向上させた
り、高分子マトリックスとの剥離強度を改善することが
可能である。また、組成物の粘度を低下させるために
は、揮発しやすい有機溶剤や反応性可塑剤を添加すると
効果的である。
【0017】硬化後における熱伝導性成形体の硬度につ
いては、使用する用途に応じて決定されるが、使用時の
応力緩和性と追従性に関しては低硬度ほど有利である。
具体的な硬度としては、タイプA硬度(ショアA硬度)
で好ましくは90以下、さらに好ましくは60以下であ
る。さらに、例えば後述する図1に示すような凹凸のあ
る複数の発熱する実装部品12と筐体14間に介在させ
て使用する際には、アスカーC硬度が50以下のゲル状
低硬度品が望ましい。ここで、アスカーC硬度は、日本
ゴム規格協会の規格であるSRIS0101に準じて測
定される値である。
【0018】このような低硬度にすることにより、熱伝
導性成形体を容易にシート状にすることができ、凹凸形
状に対応させることができる。すなわち、熱伝導性シー
トは、前述した未硬化のシリコーンゴム中に水酸化アル
ミニウムを含有させた熱伝導性充填剤を混入させ、その
後シート状に硬化させることにより得られる。
【0019】また、熱伝導性成形体は、射出成形法、押
出成形法、圧縮成形法などの成形法によって、熱伝導性
成形体が適用される箇所に応じた所定の形状に成形する
ことができる。
【0020】以上の実施形態により発揮される効果を以
下にまとめて記載する。 ・ 実施形態で説明した熱伝導性成形体によれば、高分
子マトリックスに熱伝導率の大きい熱伝導性充填剤が配
合されることから、高い熱伝導率を保持することができ
る。さらに、高分子マトリックスには粒径20〜200
μmの金属水酸化物が配合されることから、燃焼物体を
冷却する難燃性をも発揮することができる。
【0021】・ 高分子マトリックスがシリコーンゴム
などのシリコーン系材料であることにより、柔軟性を向
上させることができるとともに、金属水酸化物が水酸化
アルミニウムであることにより、難燃性を有効かつ確実
に発揮させることができる。
【0022】・ 熱伝導性成形体の硬度がアスカーC硬
度で50以下であることにより、柔軟性を高めてシート
状に容易に成形することができ、電気、電子部品の凹凸
のある隙間に対応させて介在させることができる。従っ
て、熱伝導率と難燃性及び電気絶縁性が要求される半導
体素子と筐体、ヒートシンク等の放熱器との隙間、或い
は半導体素子とプリント基板やダイパッドとの隙間に介
在させ、電気的な障害を発生させることなく正常に作動
させることが可能な半導体装置を提供することができ
る。
【0023】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて前記実施形
態をさらに具体的に説明する。なお、各例において、体
積抵抗率はJIS−K6911に準拠して測定し、アス
カーC硬度はSRIS0101(日本ゴム規格協会)に
準拠してアスカーC硬度計にて測定した。熱伝導率はレ
ーザーフラッシュ法によって測定した。難燃性に関して
は、UL規格に準拠して測定を行った。
【0024】(実施例1)平均粒径100μmである水
酸化アルミニウム30体積%と、シランカップリング剤
で処理した酸化アルミニウム70体積%とからなる熱伝
導性充填剤30体積%及び付加型の液状シリコーンゴム
70体積%からなる組成物を混合分散し、真空脱泡し
た。得られた組成物を加熱プレス成形し、厚み1mmの
熱伝導性シートを作製した。
【0025】(実施例2)実施例1と同様にして、水酸
化アルミニウム90体積%と、シランカップリング剤で
処理した酸化アルミニウム10体積%とからなる熱伝導
性充填剤30体積%及び液状シリコーンゴム70体積%
からなる組成物を混合分散し、真空脱泡した。得られた
組成物を実施例1と同様に成形し、厚み1mmの熱伝導
性シートを作製した。
【0026】(実施例3)実施例1と同様にして、水酸
化アルミニウム30体積%と、シランカップリング剤で
処理した酸化アルミニウム70体積%とからなる熱伝導
性充填剤70体積%及び液状シリコーンゴム体積30%
からなる組成物を混合分散し、真空脱泡した。得られた
組成物を実施例1と同様に成形し、厚み1mmの熱伝導
性シートを作製した。
【0027】(実施例4)実施例1と同様にして、水酸
化アルミニウム90体積%と、シランカップリング剤で
処理した酸化アルミニウム10体積%とからなる熱伝導
性充填剤70体積%及び液状シリコーンゴム体積30%
からなる組成物を混合分散し、真空脱泡した。得られた
組成物を実施例1と同様に成形し、厚み1mmの熱伝導
性シートを作製した。
【0028】(実施例5)平均粒径25μmである水酸
化アルミニウム30体積%と、シランカップリング剤で
処理した酸化アルミニウム70体積%とからなる熱伝導
性充填剤30体積%及び付加型の液状シリコーンゴム7
0体積%からなる組成物を混合分散し、真空脱泡した。
得られた組成物を加熱プレス成形し、厚み1mmの熱伝
導性シートを作製した。
【0029】(実施例6)平均粒径170μmである水
酸化アルミニウム30体積%と、シランカップリング剤
で処理した酸化アルミニウム70体積%とからなる熱伝
導性充填剤30体積%及び付加型の液状シリコーンゴム
70体積%からなる組成物を混合分散し、真空脱泡し
た。得られた組成物を加熱プレス成形し、厚み1mmの
熱伝導性シートを作製した。
【0030】(実施例7)平均粒径100μmである水
酸化アルミニウム30体積%と、シランカップリング剤
で処理した窒化ホウ素70体積%とからなる熱伝導性充
填剤30体積%及び付加型の液状シリコーンゴム70体
積%からなる組成物を混合分散し、真空脱泡した。得ら
れた組成物を加熱プレス成形し、厚み1mmの熱伝導性
シートを作製した。
【0031】(比較例1)平均粒径100μmである水
酸化アルミニウム20体積%と、シランカップリング剤
で処理した酸化アルミニウム80体積%とからなる熱伝
導性充填剤30体積%及び付加型の液状シリコーンゴム
70体積%からなる組成物を混合分散し、真空脱泡し
た。得られた組成物を加熱プレス成形し、厚み1mmの
熱伝導性シートを作製した。
【0032】(比較例2)平均粒径100μmである水
酸化アルミニウム95体積%と、シランカップリング剤
で処理した酸化アルミニウム5体積%とからなる熱伝導
性充填剤70体積%及び付加型の液状シリコーンゴム3
0体積%からなる組成物を混合分散し、真空脱泡した。
得られた組成物を加熱プレス成形し、厚み1mmの熱伝
導性シートを作製した。
【0033】(比較例3)平均粒径18μmである水酸
化アルミニウム30体積%と、シランカップリング剤で
処理した酸化アルミニウム70体積%とからなる熱伝導
性充填剤30体積%及び付加型の液状シリコーンゴム7
0体積%からなる組成物を混合分散し、真空脱泡した。
得られた組成物を加熱プレス成形し、厚み1mmの熱伝
導性シートを作製した。
【0034】(比較例4)平均粒径215μmである水
酸化アルミニウム30体積%と、シランカップリング剤
で処理した酸化アルミニウム70体積%とからなる熱伝
導性充填剤30体積%及び付加型の液状シリコーンゴム
70体積%からなる組成物を混合分散し、真空脱泡し
た。得られた組成物を加熱プレス成形し、厚み1mmの
熱伝導性シートを作製した。
【0035】(比較例5)平均粒径100μmである水
酸化アルミニウム30体積%と、シランカップリング剤
で処理した酸化アルミニウム70体積%とからなる熱伝
導性充填剤25体積%及び付加型の液状シリコーンゴム
75体積%からなる組成物を混合分散し、真空脱泡し
た。得られた組成物を加熱プレス成形し、厚み1mmの
熱伝導性シートを作製した。
【0036】(比較例6)平均粒径100μmである水
酸化アルミニウム30体積%と、シランカップリング剤
で処理した酸化アルミニウム70体積%とからなる熱伝
導性充填剤75体積%及び付加型の液状シリコーンゴム
25体積%からなる組成物を混合分散し、真空脱泡し
た。得られた組成物を加熱プレス成形し、厚み1mmの
熱伝導性シートを作製した。
【0037】本発明の実施例1から実施例7及び比較例
1から比較例5にて得られた熱伝導性シートの特性を評
価した結果について表1に示す。
【0038】
【表1】 表1に示したように、実施例1から実施例7までに関し
ては、熱伝導率1.5W/m・K以上、硬度アスカーC
50以下、難燃性UL94V−1以上といずれも良好な
結果となった。
【0039】しかしながら、比較例1の様に熱伝導性充
填剤中の水酸化アルミニウム濃度が30体積%より少な
いと難燃性が劣ってしまい、比較例2の様に水酸化アル
ミニウム濃度が90体積%を越えると熱伝導率が低くな
ってしまい、シートの硬度も高くなってしまった。
【0040】また、比較例3の様に水酸化アルミニウム
の平均粒径が20μmより小さくなると熱伝導率が小さ
くなり、組成配合物の粘度の上昇が起きて気泡の混入が
避けられず、比較例4の様に水酸化アルミニウムの平均
粒径が200μmより大きくなるとシートの表面が鮫肌
状となってしまった。
【0041】さらに、比較例5の様に熱伝導性充填剤が
30体積%より少ない場合には、熱伝導率が小さくな
り、比較例6の様に熱伝導性充填剤が70体積%を越え
る場合には組成配合物の粘度の上昇が起き、気泡の混入
が避けられず、熱伝導率の低下が起きてしまった。
【0042】また、各実施例の熱伝導性シートを使用す
る際には、例えば図1から図4に示すような形態で熱伝
導性シートが適用される。すなわち、図1に示すよう
に、プリント配線基板11上には複数の実装部品12が
配設され、その上には熱伝導性シート13を介して熱伝
導性高分子組成物の射出成形により製造された筐体14
が載置されている。
【0043】図2に示すように、プリント配線基板11
上には半導体素子15が配設されるとともに、その半導
体素子15を覆うように放熱器16が支持部材16aを
介して支持されている。半導体素子15と放熱器16と
の間には前述した熱伝導性シート13が介装されてい
る。そして、その熱伝導性シート13により、半導体素
子15からの熱を放熱器16へ伝導し、放熱効果を向上
させている。
【0044】図3に示すように、プリント配線基板11
上には半導体素子15が配設されるとともに、プリント
配線基板11と半導体素子15との間には熱伝導性シー
ト13が介装されている。
【0045】図4に示すように、プリント配線基板11
上には半導体素子15が配設され、その上には熱伝導性
シート13を介して前記熱伝導性高分子組成物の射出成
形により成形され上面が凹凸状をなすヒートシンク17
が載置されている。
【0046】なお、前記実施形態の構成を次のように変
更して実施することも可能である。 ・ 図1に示す筐体14を熱伝導性成形体で構成した
り、図2に示す支持部材16aを熱伝導性成形体で構成
したりしてもよい。これらの構成により、熱の放散効果
を高めることができる。
【0047】・ 熱伝導性充填剤として、メソフェーズ
ピッチを原料とし、紡糸、不融化及び炭化後に粉砕さ
れ、その後黒鉛化されて得られる粉末状の黒鉛化炭素繊
維を用いてもよい。また、黒鉛化炭素繊維はホウ素を含
有するものを使用してもよい。さらに、黒鉛化炭素繊維
を一定方向に配向させたものを使用してもよい。これら
の構成を採用することによって、熱伝導性成形体の熱伝
導性を向上させることができる。
【0048】さらに、前記実施形態より把握される技術
的思想について以下に記載する。 ・ シリコーン系材料はシリコーンゴムである請求項2
又は請求項3に記載の熱伝導性成形体。このように構成
した場合、シート状に成形できる柔軟性を発揮できると
ともに、耐熱性や電気絶縁性を発揮することができる。
【0049】・ 熱伝導性充填剤はカップリング剤で処
理されたものである請求項1から請求項3のいずれか一
項に記載の熱伝導性成形体。このように構成した場合、
高分子マトリクスであるシリコーンゴム等との剥離強度
を改善することができる。
【0050】・ 熱伝導性充填剤は、酸化アルミニウム
又は窒化ホウ素である請求項1から請求項3のいずれか
一項に記載の熱伝導性成形体。このように構成した場
合、熱伝導性成形体の熱伝導率を向上させることができ
る。
【0051】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば次
のような効果を奏することができる。請求項1に記載の
発明の熱伝導性成形体によれば、高い熱伝導率を保持し
つつ、さらに難燃性をも兼ね備えることができる。
【0052】請求項2に記載の発明の熱伝導性成形体に
よれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、柔軟性を
向上させることができるとともに、難燃性を確実に発揮
させることができる。
【0053】請求項3に記載の発明の熱伝導性成形体に
よれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加
え、柔軟性を高めてシート状に容易に成形することがで
き、電気、電子部品の凹凸のある隙間に対応させて介在
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 熱伝導性シートを半導体装置に適用した例を
示す側面図。
【図2】 同じく熱伝導性シートを半導体装置に適用し
た例を示す側面図。
【図3】 同じく熱伝導性シートを半導体装置に適用し
た例を示す側面図。
【図4】 同じく熱伝導性シートを半導体装置に適用し
た例を示す側面図。
【符号の説明】
13…熱伝導性成形体としての熱伝導性シート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA67 AB18 AE07 AE22 AF25Y AF44 AF47 AH12 BC01 4J002 BD121 CP031 DA036 DE096 DE106 DE116 DE146 DF016 DJ006 DJ016 DK006 FA046 FA066 FA086 FD136 FD206 GQ00 5F036 BB21 BD21

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子マトリックスと、その高分子マト
    リックスに配合される熱伝導性充填剤とから成形され、
    熱伝導性充填剤の含有量が30〜70体積%であり、か
    つ熱伝導性充填剤のうち30〜90体積%が粒径20〜
    200μmの金属水酸化物であることを特徴とする熱伝
    導性成形体。
  2. 【請求項2】 前記高分子マトリックスがシリコーン系
    材料であり、金属水酸化物が水酸化アルミニウムである
    請求項1に記載の熱伝導性成形体。
  3. 【請求項3】 硬度がアスカーC硬度(日本ゴム規格協
    会で定められた規格SRIS0101)で50以下であ
    り、形状がシート状である請求項1又は請求項2に記載
    の熱伝導性成形体。
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