JP2002138152A - ポリイミドフィルム、その製造方法およびこれを基材とした金属配線板 - Google Patents

ポリイミドフィルム、その製造方法およびこれを基材とした金属配線板

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JP2002138152A JP2001251557A JP2001251557A JP2002138152A JP 2002138152 A JP2002138152 A JP 2002138152A JP 2001251557 A JP2001251557 A JP 2001251557A JP 2001251557 A JP2001251557 A JP 2001251557A JP 2002138152 A JP2002138152 A JP 2002138152A
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賢治 鵜原
Masabumi Yasuda
巨文 安田
Koichi Sawazaki
孔一 沢崎
Brian C Auman
ブライアン・カール・オーマン
John Donald Summers
ジョン・ドナルド・サマーズ
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    • C08G73/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage containing nitrogen with or without oxygen or carbon in the main chain of the macromolecule, not provided for in groups C08G12/00 - C08G71/00
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    • C08G73/10Polyimides; Polyester-imides; Polyamide-imides; Polyamide acids or similar polyimide precursors
    • C08G73/1042Copolyimides derived from at least two different tetracarboxylic compounds or two different diamino compounds
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面に金属配線を施してなる可撓性の印刷回
路、CSP、BGAまたはTABテープ用の金属配線板
基材に適用した場合に、高弾性率、低熱膨張係数、アル
カリエッチング性、および製膜性に優れたポリイミドフ
ィルム、その製造方法及びそれを基材としてなる金属配
線板を提供する。 【解決手段】 ピロメリット酸二無水物、並びにジアミ
ンを基準に10〜60モル%のフェニレンジアミンおよ
び40〜90モル%の3,4’−オキシジアニリンから
得られるポリアミド酸から製造されたことを特徴とする
ポリイミドフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえばその表面
に金属配線を施してなる可撓性の印刷回路またはテープ
自動化接合(Tape Automated Bonding)テープ(以下TA
Bテープと称する)用の金属配線板基材として使用され
る場合における、高弾性率、低熱膨張係数、アルカリエ
ッチング性、さらに製膜性に優れたポリイミドフィル
ム、その製造方法及びそのポリイミドフィルムを基材と
する可撓性の印刷回路またはTABテープ用の金属配線
板に関する。
【0002】
【従来の技術】TABテープは、基材である耐熱性フィ
ルムの表面上に極細い金属配線を施し、基材に集積回路
チップ(IC)を搭載するための「窓」が開口されてお
り、更にTABテープの両端近傍にはTABテープを精
密に送るためのスプロケットが設けられて構成されてい
る。
【0003】上記TABテープは、ICをTABテープ
に開口された「窓」に填め込み、TABテープの表面に
施された金属配線と接合した後、ICを搭載したTAB
テープを電子機器配線用の印刷回路に接合することによ
って、ICを電子回路に実装する工程を自動化し、工程
を簡素化するとともに、生産性を向上させ、ICを実装
された電子機器の電気特性を改良するために使用されて
いる。
【0004】そして、TABテープには、耐熱性基材フ
ィルムの表面に、ポリエステルベース、アクリルベー
ス、エポキシベースあるいはポリイミドベース等の接着
剤を介して導電性の金属箔を積層する三層構造のもの
と、耐熱性基材フィルムの表面に、接着剤を介すること
なく、導電性の金属層を直接積層する二層構造のものと
が使用されている。
【0005】したがって、TABテープの基材フィルム
には、耐熱性が要求され、特にICとTABテープ上の
金属配線との接合や、ICを搭載したTABテープと電
子機器配線用の印刷回路との接合の時に基材フィルムに
かかるハンダ溶接等の高温に耐えられるように、従来か
らポリイミドフィルムが使用されてきた。
【0006】しかるに、ポリイミドフィルムと金属箔ま
たは金属層とを積層し、金属箔または金属層をケミカル
エッチングして金属配線を形成する際に、受ける熱によ
るポリイミドフィルムと金属との寸法変化の違いに起因
するTABテープの変形が大きい場合には、ICを搭載
する時やICを搭載したTABテープを電子機器配線用
の印刷回路に接合する時に、作業性を著しく阻害した
り、時にはその作業を不能ならしめることになるため、
ポリイミドフィルムの熱膨張係数を金属と近似せしめ
て、TABテープの変形を小さくすることが要求され
る。
【0007】さらに、ICを搭載し、電子機器配線用の
印刷回路に接合されたTABテープにかかる引張力や圧
縮力による寸法変化を小さくすることも、金属配線の細
密化、金属配線への歪み負荷軽減および搭載されたIC
の歪み負荷軽減のためには重要であり、基材であるポリ
イミドフィルムには更なる高弾性率が要求される。
【0008】ポリマーアロイまたはポリマーブレンドの
定義(「ポリマーアロイの新展望と実用化:高分子の高
付加価値シリーズ」、監修;秋山三郎、伊澤眞一、出
版;(株)シーエムシー、発行年;1997年4月)な
どによると、ポリマーの高弾性率化については、ブロッ
ク共重合、ブレンド、混交(IPN 、Interpenetrating-p
olymer-network) 、グラフト重合などがその範疇に入っ
ているとされる。
【0009】そして、特にポリイミドの高弾性率化につ
いては、三田ら(J.Polym.Sci.,Part C:Polym.Lett.,26
(5),215-223)が、モレキュラー・コンポジット効果によ
り、同一原料での比較においては、共重合ポリイミドよ
りも、ポリイミド同士のブレンドの方が、高弾性率化し
易いことを提案している。しかしながら、ポリイミド分
子は分子凝集力が大きいことから、単なるブレンドでは
相分離構造をとりやすいため、相分離を抑制するために
何らかの物理的な結合が必要である。
【0010】そのために提案されているポリマーが、由
井ら(「機能性超分子の設計と将来展望:新材料・新素
材シリーズ」、監修;緒方直哉、寺野稔、由井伸彦、出
版;(株)シーエムシー、発行年;1998年6月)に
よるInterpenetrating-network-polymer(以下混交ポリ
マーと称する)である。
【0011】従来の混合による具体例としては、特開昭
63−175025号公報に、ピロメリット酸および
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとのポリアミド
酸(A)と、ピロメリット酸およびフェニレンジアミン
とのポリアミド酸(B)とのポリアミド酸組成物(C)
が提案され、さらに、ポリアミド酸組成物(C)より製
造されるポリイミドも提案されている。
【0012】しかしながら、これらの従来の混合方法で
は、予めポリアミド酸を重合した後混合するため充分な
物理的な絡み合い(混交)ができないため、ポリアミド
酸をイミド化する段階で相分離することがあり、場合に
よってはやや白濁したポリイミドフィルムしか得られな
いという問題を生じることがあった。
【0013】また、特開平1−131241号公報、特
開平1−131242号公報、USP5081229お
よび特開平3−46292号公報には、ピロメリット酸
二無水物、パラフェニレンジアミンおよび4,4’−ジ
アミノジフェニルエーテルからなるブロック共重合ポリ
アミド酸から製造されたブロック共重合ポリイミドフィ
ルムが提案され、さらに途中の工程でジアミンと酸二無
水物とを非当量で反応させることにより、実質的に等モ
ル組成のブロック成分共重合ポリアミド酸フィルムを製
造する方法が提案されている。
【0014】しかしながら、これらの従来方法では、ポ
リアミド酸ブレンド溶液は相分離を起こしにくいもの
の、モレキュラーコンポジット効果が不十分で高剛性化
が不満足となる場合があった。また、分子鎖を制御した
ブロック成分を共重合成分とするポリマーを製造するた
めに、反応工程が煩雑になること、反応時間が長時間に
なること、および反応性末端が過剰に存在する工程を経
るため、途中工程のポリアミド酸が不安定で粘度変化し
やすく、ゲル化することなどの製造上の問題があった。
またこの方法では高ヤング率化が不十分な場合があっ
た。
【0015】加えて、接着剤の密着力を向上させるた
め、基材であるポリイミドフィルム表面をアルカリ液で
エッチングし粗面化して使用されることがある。また配
線するための穴(スルーホール)をアルカリエッチング
で形成する場合がある。このためアルカリエッチング性
の優れたポリイミドフィルムへの要望が高まっている。
【0016】また、加工工程での取り扱い性を良くする
ため平面性の良好なフィルムが望まれる。製膜時の延伸
倍率を大きくすることによりフィルムの平面性が改良さ
れるが、このため高倍率延伸可能なフィルム組成が好ま
れる。
【0017】これらの要求特性を満たすポリイミドフィ
ルムを得ることを目的とした従来方法としては、特開平
1−131241号公報、特開平1−131242号公
報および特開平3−46292号公報には、ピロメリッ
ト酸二無水物、パラフェニレンジアミン及び4,4’−
ジアミノジフェニルエ−テルからなるポリアミド酸から
製造されたポリイミドフィルムが提案され、さらに途中
の工程でジアミンと酸二無水物とを非当量で反応させブ
ロック成分ポリアミド酸フィルムを製造する方法が提案
されている。
【0018】しかしながら、上記の従来方法では、金属
配線板基材として使用される場合に、高弾性率、低熱膨
張係数、アルカリエッチング性および製膜性を同時に満
足するポリイミドフィルムを得ることができず、さらな
る改良が求められていた。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解決を課題として検討した結果
達成されたものであり、その表面に金属配線を施してな
る可撓性の印刷回路、CSP、BGAまたはTABテー
プ用の金属配線板基材に適用した場合に、高弾性率、低
熱膨張係数、アルカリエッチング性、および製膜性に優
れたポリイミドフィルム、その製造方法及びそれを基材
としてなる金属配線板を提供することを目的とするもの
である。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のポリイミドフィルムは、ピロメリット酸
二無水物、並びにジアミンを基準に10〜60モル%の
フェニレンジアミン及び40〜90モル%の3,4’−
オキシジアニリンからなるポリアミド酸から製造された
ことを特徴とする。
【0021】また、本発明のポリイミドフィルムは、ピ
ロメリット酸二無水物、並びにジアミンを基準に10〜
60モル%のフェニレンジアミン及び40〜90モル%
の3,4’−オキシジアニリンからなるブロック成分ま
たは混交ポリマー成分を有するポリアミド酸から製造さ
れたことを特徴とし、この場合には、フェニレンジアミ
ンが10〜30モル%、3,4’−オキシジアニリンが
70〜90モル%からなるポリアミド酸であることがよ
り好ましい。
【0022】なお、本発明のポリイミドフィルムにおい
ては、前記フェニレンジアミンがp−フェニレンジアミ
ンであることが好ましい条件であり、これらの条件を適
用することにより、一層優れた効果の取得を期待するこ
とができる。
【0023】また、本発明のポリイミドフィルムはポリ
イミドの一般的な製造方法を組み合わせることにより得
ることが出来るが、本発明を容易に得る事の出来る好ま
しい製造方法は、下記工程(A)〜(E)を順次行うこ
とを特徴とする。
【0024】(A)ピロメリット酸二無水物、フェニレ
ンジアミン及び3,4’−オキシジアニリンを、不活性
な溶剤中で、フェニレンジアミン及びピロメリット酸二
無水物、または3,4’−オキシジアニリン及びピロメ
リット酸二無水物とのブロック成分または混交ポリマー
成分を有するポリアミド酸を形成するように、少なくと
もピロメリット酸二無水物、またはジアミンを全使用量
の1〜99重量%使用し反応させる工程、(B)前記工
程(A)からのポリアミド酸ポリマーに残りの原料を追
加使用し、最終的に全使用量の全量を使用し反応させる
工程、(C)前記工程(B)からのポリアミド酸溶液
に、ポリアミド酸をポリイミドに転化することのできる
転化用薬剤を混合する工程、(D)前記工程(C)から
の混合物を平滑面上にキャストまたは押出して、ポリア
ミド酸−ポリイミドゲルフィルムを形成する工程、およ
び(E)前記工程(D)からのゲルフィルムを、200
〜500℃の温度で加熱してポリアミド酸をポリイミド
に変換する工程。
【0025】なお、本発明のポリイミドフィルムの製造
方法においては、前記ポリアミド酸が、ピロメリット酸
二無水物、並びにジアミンを基準に10〜60モル%の
フェニレンジアミン及び40〜90モル%の3,4’−
オキシジアニリンからなるブロック成分または混交ポリ
マー成分を有するポリアミド酸であること、及び前記フ
ェニレンジアミンがp−フェニレンジアミンであること
が好ましい条件であり、これらの条件を適用することに
より、いっそう優れた効果の取得を期待することができ
る。
【0026】さらに、本発明の可撓性の印刷回路または
TAB用の金属配線板は、上記のポリイミドフィルムを
基材として、その表面に金属配線を施してなることを特
徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成及び効果につ
いて詳述する。
【0028】本発明のフィルムを構成するポリイミド
は、ブロックポリマー、又は混交ポリマー又はランダム
ポリマーかのいずれかであり得る。
【0029】好ましいブロック成分または混交ポリマー
成分は、フェニレンジアミン及びピロメリット酸二無水
物からなるポリアミド酸、または3,4’−オキシジア
ニリン及びピロメリット酸二無水物から成るポリアミド
酸であり、これらのブロック成分または混交ポリマー成
分を含有するポリアミド酸を形成後、イミド転化してブ
ロック成分または混交ポリマー成分を含有するポリイミ
ドとするものである。
【0030】好ましくは、ポリアミド酸を形成する反応
は少なくとも2回に分割して実行され、ブロック成分ま
たは混交ポリマー成分を含有するポリアミド酸を形成
し、イミド転化することによりポリイミドポリマに組み
込まれる。
【0031】本発明のポリイミドポリマにより、可撓性
の印刷回路、CSP、BGAまたはTABテープ用の金
属配線板基材に適用した場合に、高弾性率、低熱膨張係
数、アルカリエッチング性、製膜性を同時に満たすポリ
イミドフィルムを実現することができる。
【0032】そして、ポリイミドポリマにさらにブロッ
ク成分または混交ポリマー成分を組み込むことにより、
上記各特性をより好ましい範囲にすることができる。こ
の場合に特に好ましいブロック成分または混交ポリマー
成分は、フェニレンジアミン及びピロメリット酸二無水
物との反応により得られるものである。
【0033】本発明において使用されるジアミンには、
フェニレンジアミンのような可撓性のないジアミンと、
3,4’−オキシジアニリンのような擬直線性のジアミ
ンとがある。ポリイミドはジアミンの全モル量基準で約
10〜60モル%のフェニレンジアミンおよび約40〜
90モル%の3,4’−オキシジアニリン、好ましくは
10〜30モル%のフェニレンジアミンおよび約70〜
90モル%の3,4’−オキシジアニリンを使用して得
られるポリアミド酸をイミド転化して製造される。本発
明に置いてフェニレンジアミンはフィルムの弾性率を高
める作用をする。
【0034】本発明に使用されるフェニレンジアミンに
は、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン
及びo−フェニレンジアミン等の他に、一部に置換基を
有するフェニレンジアミンを用いることができ、特に好
ましくはp−フェニレンジアミンが使用される。
【0035】本発明において3,4’−オキシジアニリ
ンはフィルムの伸度を大きくし、製膜性を良好にする作
用をする。
【0036】本発明において使用されるテトラカルボン
酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物であるが、本発
明の目的を阻害しない添加量の範囲でテトラカルボン酸
二無水物他を併用できる。例えばビフェニルテトラカル
ボン酸二無水物またはベンゾフェノンテトラカルボン酸
二無水物などを50モル%未満添加することも可能であ
る。得られたポリアミド酸をイミド転化して製造され
る。
【0037】ポリイミドフィルムの弾性率は、ポリアミ
ド酸を製造する際に使用するジアミン成分におけるフェ
ニレンジアミン成分の使用比率によって調整できる。フ
ェニレンジアミン成分を多く使用すると、高弾性率及び
寸法安定性が向上する反面、吸水率が高くなるという欠
点がある。したがって、それぞれの特性値をバランスす
るために、各成分のモル比を注意深く調製する必要があ
る。
【0038】本発明のポリアミド酸は、好ましくは17
5℃以下、さらに好ましくは90℃以下の温度で、上記
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を、モル
比を約0.90から1.10、好ましくは0.95から
1.05、更に好ましくは0.98から1.02とし、
それぞれの成分と非反応性の有機溶剤中で反応させるこ
とにより製造される。
【0039】上記それぞれの成分は、単独で順次有機溶
剤中に供給してもよいし、同時に供給してもよく、また
混合した成分に有機溶剤を供給してもよいが、均一な反
応を行わせるためには、有機溶剤中に各成分を順次添加
することが好ましい。
【0040】それぞれの成分を順次供給する場合の供給
順序は、ブロック成分または混交ポリマー成分となるジ
アミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを優先し
て供給することが好ましい。すなわち、ブロック成分ま
たは混交ポリマー成分を含有するポリアミド酸を製造す
るために、その反応を少なくとも2回に分割して実行さ
せ、まずブロック成分または混交ポリマー成分を含有す
るポリアミド酸を得てから、これをイミド転化すること
により、得られるポリイミドにブロック成分または混交
ポリマー成分を組み込ませるのである。
【0041】ポリアミド酸のブロック成分または混交ポ
リマー成分を生成するために必要な時間は、反応温度と
ブロック成分または混交ポリマー成分のポリアミド酸中
における比率で決定すればよいが、経験的には約1分か
ら約20時間程度が適当である。
【0042】このとき後述するようにブロック成分を含
有するポリマーを形成するためには(A)反応工程中で
ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とは実質
的に非等モルである。また混交ポリマー成分を形成する
ためには反応工程中でジアミン成分とテトラカルボン酸
二無水物成分とは実質的に等モルであること、またはジ
アミン過剰の反応工程を経る場合はジカルボン酸無水物
で末端を封鎖する。ジアミン成分とテトラカルボン酸二
無水物成分とが実質的に等モルであること、またはジア
ミン過剰の反応工程でジカルボン酸無水物で末端を封鎖
することは、これらの反応工程で形成された第1番目の
ポリマー成分が化学的に不活性で後工程の反応で形成さ
れるポリイミドポリマーが第1番目のポリマー末端に組
み込まれないことを意味する。しかるに混交ポリマーの
第1成分の反応とその後のポリイミドを形成する反応と
が同一反応槽で行われることにより、モレキューラーコ
ンポジット(異なる分子同士の複合体)が形成され易く
なり第1番目の混交ポリマー成分の特徴がより発現でき
るのである。
【0043】具体的に、テトラカルボン酸二無水物成分
としてピロメリット酸二無水物(以下PMDAと称す
る)、ジアミン成分として、p−フェニレンジアミン
(以下PDAと称する)と3,4’−オキシジアニリン
(以下34’ODAと称する)を使用し、PMDAとP
DAとからなるブロック成分または混交ポリマー成分を
含有するポリイミドポリマの製造例を以下に説明する。
【0044】まず、有機溶剤としてのジメチルアセトア
ミド(以下DMAcと称する)に、PDAを溶解し、P
MDAを加え、ブロック成分または混交ポリマー成分の
反応を完了させる。次いで、溶液に34’ODAを加え
溶解した後、溶液にPMDAを加えて反応させることに
より、PDAとPMDAとのブロック成分または混交ポ
リマー成分を含有する3成分ポリアミド酸溶液が得られ
る。
【0045】この場合に、最初に供給するPDAに微量
の34’ODAを添加したり、最初に反応させるPDA
とPMDAとのモル比を非等量にし、過剰量のジアミン
成分と十分に反応させる量の末端封止剤を添加すること
により、ブロック成分または混交ポリマー成分の大きさ
を制御することも可能であるが、ブロック成分または混
交ポリマー成分の効果を有効にするためには、PDAと
PMDAとのモル比を実質的に等量とする混交ポリマー
とすることが好ましい。
【0046】用いる末端封止剤は無水ジカルボン酸、シ
リル化剤などの末端封止剤を固形分(ポリマー濃度)に
対して0.001〜2%の範囲で添加することも好まし
く行うことが出来る。この無水ジカルボン酸として無水
酢酸または無水フタル酸、シリル化剤として非ハロゲン
系であるヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリ
メチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチ
ルシリル)ウレアが特に好ましく用いられる。
【0047】ポリアミド酸の製造は、その溶液のポリア
ミド酸濃度と溶液の粘度とでその終了点を決定される。
終了点の溶液の粘度を精度良く決定するためには、最後
に供給する成分の一部を、反応に使用する有機溶剤の溶
液として添加することは有効であるが、ポリアミド酸濃
度をあまり低下させないような調節が必要である。
【0048】溶液中のポリアミド酸濃度は、5〜40重
量%、好ましくは10〜30重量%である。
【0049】上記有機溶剤としては、それぞれの成分お
よび重合生成物であるポリアミド酸と非反応性であり、
成分の1つから全てを溶解でき、ポリアミド酸を溶解す
るものから選択するのが好ましい。
【0050】望ましい有機溶剤としては、N,N−ジメ
チルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホル
ムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられ、
これらは単独でまたは混合使用することができ、場合に
よってはベンゼン等の貧溶媒と併用することも可能であ
る。
【0051】本発明のポリイミドフィルムを製造するに
際しては、かくして得られたポリアミド酸溶液を押出機
やギヤポンプで加圧して、ポリアミド酸フィルムの製造
工程に送液する。
【0052】ポリアミド酸溶液は、原料に混入していた
り、重合工程で生成した異物、固形物及び高粘度の不純
物等を除去するためにフィルターされ、フィルム成形用
の口金やコーチングヘッドを通してフィルム状に成形さ
れ、回転または移動する支持体上に押出され、支持体か
ら加熱されて、ポリアミド酸が一部イミド転化したポリ
アミド酸−ポリイミドゲルフィルムが生成され、このゲ
ルフィルムが自己支持性となり、支持体から剥離可能と
なった時に支持体から剥離され、乾燥機に導入され、乾
燥機で加熱されて、溶剤を乾燥し、イミド転化を完了す
ることにより、ポリイミドフィルムが製造される。
【0053】このとき、20μmカットの金属繊維焼結
フィルター用いることは、途中で生成されたゲル物の除
去に効果的である。更に好ましくは10μmカットの金
属繊維焼結フィルターであり、最も好ましくは1μmカ
ットの金属繊維焼結フィルターである。
【0054】ポリアミド酸のイミド転化の方法は、加熱
のみによる熱転化法と、イミド転化薬剤を混合したポリ
アミド酸を加熱処理したり、またはポリアミド酸をイミ
ド転化薬剤の浴に浸漬する化学転化法のいずれも採用す
ることができるが、本発明においては、化学転化法が熱
転化法に比べて、可撓性の印刷回路、CSP、BGAま
たはTABテープ用の金属配線板基材に適用した場合
に、高弾性率、低熱膨張係数、アルカリエッチング性よ
び製膜性を均衡して高度に実現するのに好適である。
【0055】しかも、化学転化法によってポリアミド酸
にイミド転化薬剤を混合し、フィルム状に成形後加熱処
理する方法は、イミド転化に要する時間が短く、均一に
イミド転化が行える等の利点に加え、支持体からの剥離
が容易であり、さらには、臭気が強く、隔離を必要とす
るイミド転化用薬剤を密閉系で取り扱える等の利点を有
することから、ポリアミド酸フィルム成形後に転化用薬
剤や脱水剤の浴に浸漬する方法に比べて好ましく採用さ
れる。
【0056】本発明においては、イミド転化用薬剤とし
て、イミド転化を促進する3級アミン類と、イミド転化
で生成する水分を吸収する脱水剤とを併用する。3級ア
ミン類は、ポリアミド酸とほぼ等モルないしやや過剰に
添加混合され、脱水剤は、ポリアミド酸の約2倍モル量
ないしやや過剰に添加されるが、支持体からの剥離点を
調整するために適当に調整される。
【0057】そして、イミド転化用薬剤は、ポリアミド
酸を重合完了した時点から、ポリアミド酸溶液がフィル
ム成形用口金やコーチングヘッドに達するいかなる時点
で添加してもよいが、送液途中におけるイミド転化を防
止する意味では、フィルム成形用口金またはコーチング
ヘッドに到達する少し前に添加し、混合機で混合するの
が好ましい。
【0058】3級アミンとしては、ピリジンまたはβ−
ピコリンが好適であるが、α−ピコリン、4−メチルピ
リジン、イソキノリン、トリエチルアミン等も使用する
ことができる。使用量は、それぞれの活性によって調整
する。
【0059】脱水剤としては、無水酢酸が最も一般的に
使用されるが、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、安息
香酸、蟻酸無水物等も使用することができる。
【0060】イミド転化薬剤を含有するポリアミド酸フ
ィルムは、支持体上で支持体および反対面空間から受け
る熱により、イミド転化が進み、一部イミド転化したポ
リアミド酸−ポリイミドゲルフィルムとなり、支持体か
ら剥離される。
【0061】この場合に、支持体および反対面空間から
与える熱量は多いほどイミド転化が促進されて、速く剥
離するが、熱量が多すぎると支持体とゲルフィルムの間
の有機溶剤のガスがゲルフィルムを変形させ、フィルム
の欠点となるので、剥離点の位置とフィルム欠点を勘案
して、熱量を決定することが望ましい。
【0062】支持体から剥離されたゲルフィルムは、乾
燥機に導入され、溶剤の乾燥およびイミド転化の完了が
なされる。
【0063】このゲルフィルムは、多量の有機溶剤を含
有しており、その乾燥過程において体積が大幅に減少す
る。したがって、この体積減少による寸法収縮を厚さ方
向に集中させるために、ゲルフィルムの両端をテンター
クリップで把持し、このテンタークリップの移動により
ゲルフィルムを乾燥機(テンター)に導入し、テンター
内で加熱して、溶剤の乾燥とイミド転化とを一貫して実
施するのが一般的である。
【0064】この乾燥及びイミド転化は、200ないし
500℃の温度で行われる。乾燥温度とイミド転化温度
は同一温度でもよいし、異なる温度でもよいが、溶剤を
大量に乾燥する段階では、低めの温度として溶剤の突沸
を防ぎ、溶剤の突沸のおそれがなくなったら、高温にし
てイミド転化を促進するように、段階的に高温にするこ
とが好ましい。
【0065】なお、テンター内において、フィルム両端
のテンタークリップの距離を拡大または縮小して、延伸
またはリラックスをおこなうことができる。
【0066】好ましくはブロック成分または混交ポリマ
ー成分を含有し、化学転化法によりイミド転化して得ら
れるカットシート状のポリイミドフィルムは、上記のよ
うに製造した連続したフィルムから切り取って製造する
ことができるが、少量のフィルムを製造するには、後述
の実施例で示しているように、樹脂製やガラス製のフラ
スコ内で、好ましくはブロック成分または混交ポリマー
成分を含有するポリアミド酸を製造し、このポリアミド
酸溶液に化学転化薬剤を混合して得られる混合溶液を、
ガラス板等の支持体上にキャストし、加熱して、一部イ
ミド転化した自己支持性のポリアミド酸−ポリイミドゲ
ルフィルムとして、支持体から剥離し、金属製の固定枠
等に固定して寸法変化を防止しながら加熱して、溶剤の
乾燥およびイミド転化する方法により製造することがで
きる。
【0067】このようにして、化学転化法によりイミド
転化して得られる本発明のポリイミドフィルムは、熱転
化法により得られるポリイミドフィルムに比しても、可
撓性の印刷回路、CSP、BGAまたはTABテープ用
の金属配線板基材に適用した場合に、高弾性率、低熱膨
張係数、低吸湿膨張係数、低吸水率を均衡かつ高度に実
現するのに好適であり、なおかつ優れたアルカリエッチ
ング性を有するものである。
【0068】したがって、本発明のポリイミドフィルム
を基材として、その表面に金属配線を施してなる可撓性
の印刷回路、CSP、BGAまたはTABテープ用の金
属配線板は、高弾性率、低熱膨張係数、アルカリエッチ
ング性、および製膜性を同時に満たすという高性能な特
性を発現するものである。
【0069】なお、本発明のポリイミドフィルムにおい
ては、弾性率としては4GPa以上が好ましく、熱膨張
係数としては10〜20ppm/℃が好ましく、吸水率
は2%以下、特に好ましくは1%以下である。アルカリ
エッチング性についてはフィルムが溶解することが好ま
しい条件である。評価方法は下記するがアルカリ条件で
評価し表面の浸食速度で評価できる。
【0070】
【実施例】以下、実施例により、本発明を具体的に説明
するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでは
ない。なお各フィルム特性値は、下記の方法で測定した
ものである。
【0071】また、下記の実施例中で、略号DMAcは
ジメチルアセトアミドを、PMDAはピロメリット酸二
無水物を、PDAはp−フェニレンジアミンを、また、
34’ODAは3,4’−オキシジアニリンを示す略記
である。 (1)弾性率および破断伸度 弾性率は、JISK7113に準じて、室温でORIE
NREC社製のテンシロン型引張試験器により、引張速
度300mm/分にて得られる張力−歪み曲線の初期立
ち上がり部の勾配から求めた。
【0072】破断伸度は試料が破断するときの伸度を取
った。 (2)熱膨張係数 熱膨張係数は、島津製作所社製のTMAー50型熱機械
分析装置を用い、10℃/分の昇温速度、5℃/分の降
温速度で、2回目の昇(降)温時の50℃から200℃
の間の寸法変化から求めた。 (3)吸水率 吸水率は、25℃で、95%RHに調湿した恒温恒湿機
(STPH−101、タバイエスペック(株)社製)中
に、48時間置いた後、乾燥状態との重量差を百分率で
求めた。 (4)アルカリエッチング性 アルカリエッチング性は、ポリイミドフィルムの一表面
を、容積比80/20のエタノール/水混合液中の1N
の水酸化カリウム溶液に、40℃で120分間接触させ
た前後のフィルムの厚さを、ミツトヨ社製のLITEM
ATIC型厚さ計で測定して求めた。評価基準は厚み変
化率に応じて以下のように判定した。
【0073】 ○ 厚さ変化率 5%以上 △ 厚さ変化率 1%以上5%未満 × 厚さ変化率 1%未満。 (5)金属積層板の反り量評価 ポリイミドフィルムにポリイミドベースの接着剤を塗布
し、この上に銅箔を250℃の温度で貼り合わせた。そ
の後最高温度300℃まで昇温し接着剤を硬化させ、得
られた金属積層板を35mm×120mmのサンプルサ
イズにカットし、25℃、60RH%雰囲気中で24時
間放置した後、それぞれのサンプルの反りを測定した。
反りはサンプルをガラス平板に置き、四隅の高さを測定
平均化した。評価基準は反り量に応じて以下のように判
定した。×レベルは金属配線回路板として用いる場合、
後工程の搬送時に取り扱いが困難となるレベルである。
【0074】 ○ 反り量 1mm未満 △ 反り量 1mm以上3mm未満 × 反り量 3mm以上 (6)製膜性 用意したフィルムを研究用高分子フィルム二軸延伸装置
(BIX−703、(株)岩本製作所社製)により、4
00℃で両軸当速度二軸延伸方式により延伸させフィル
ム破断面積を求めた。予熱時間60秒、片側延伸速度1
0cm/min、 ◎;極めて良好 破断延伸面倍率が1.3倍を超える。
【0075】 ○;良好 破断延伸面倍率が1.1倍〜1.2倍。
【0076】 △;実用上問題ない 破断延伸面倍率が1倍〜1.1倍。
【0077】 ×;製膜困難 破断延伸面倍率が1倍以下。 [実施例1]500ccのガラス製フラスコに、DMA
c150mlを入れ、PDAをDMAc中に供給して溶
解させ、続いて34’ODA及びPMDAを順次供給
し、室温で、約1時間攪拌する。最終的にテトラカルボ
ン酸二無水物成分とジアミン成分が約100モル%化学
量論で表1に示す組成の成分からなるポリアミド酸濃度
20重量%の溶液を調製した。
【0078】このポリアミド酸溶液30gを、12.7
mlのDMAc、3.6mlの無水酢酸及び3.6ml
のβ−ピコリンと混合した混合溶液を調製し、この混合
溶液をガラス板上にキャストした後、150℃に加熱し
たホットプレート上で約4分間加熱して、自己支持性の
ポリアミド酸−ポリイミドゲルフィルムを形成し、これ
をガラス板から剥離した。
【0079】このゲルフィルムを、多数のピンを備えた
金属製の固定枠に固定し、250℃から330℃に昇温
しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱し、
厚さ約25μmのポリイミドフィルムを得た。
【0080】得られたポリイミドフィルムの特性値評価
結果を表1に示した。 [実施例2〜3]500ccのガラス製フラスコに、D
MAc150mlを入れ、PDAをDMAc中に供給し
て溶解させ、続いてPMDAを供給し、室温で約1時間
攪拌した。このポリアミド酸溶液に34’ODAを供給
し、完全に溶解させた後室温で約1時間攪拌した。引き
続きジアミン成分に対して1モル%の無水フタル酸を添
加し更に約1時間攪拌し、テトラカルボン酸二無水物成
分とジアミン成分が約100モル%化学量論で表1に示
す組成の成分からなるポリアミド酸濃度20重量%の溶
液を調製した。
【0081】このポリアミド酸濃度20重量%の溶液を
実施例1と同じ方法で処理して、厚さ約25μmのポリ
イミドフィルムを得た。
【0082】得られたポリイミドフィルムの特性値評価
結果を表1に併せて示した。 [実施例4]500ccのガラス製フラスコに、DMA
c150mlを入れ、PDAをDMAc中に供給し、溶
解させ、続いてPMDAを供給し、室温で、約1時間攪
拌した。引き続きジアミン成分に対して1モル%の無水
酢酸を添加し更に約1時間攪拌し(第一ポリマーの重合
完了)、このポリアミド酸溶液に34’ODAを供給
し、完全に溶解させた後、PMDAを供給し、室温で約
1時間攪拌し(第二ポリマーの重合完了)、テトラカル
ボン酸二無水物成分とジアミン成分が約100モル%化
学量論で表2に示す組成の成分からなるポリアミド酸濃
度23重量%の溶液を調製した。
【0083】このポリアミド酸溶液を、実施例1と同じ
方法で処理して、厚さ約50μmのポリイミドフィルム
を得た。
【0084】得られたポリイミドフィルムの特性値評価
結果を表2に示した。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】[比較例1]500ccのガラス製フラス
コに、DMAc150mlを入れ、34’ODAをDM
Ac中に供給して溶解させ、PMDAを溶解させ、室温
で、約1時間攪拌し、テトラカルボン酸二無水物成分と
ジアミン成分が約100モル%化学量論で表1に示す組
成の成分からなるポリアミド酸濃度20重量%の溶液を
調製した。
【0088】このポリアミド酸溶液を、実施例1と同じ
方法で処理して、厚さ約25μmのポリイミドフィルム
を得た。
【0089】得られたポリイミドフィルムの特性値評価
結果を表3に示した。 [比較例2〜4]比較例1に準じて、500ccのガラ
ス製フラスコに、DMAc150mlを入れ、表3、表
4に示す原料およびその組成物をDMAc中に順次供給
して溶解させ、室温で約1時間攪拌し、テトラカルボン
酸二無水物成分とジアミン成分が約100モル%化学量
論で表1に示す組成の成分からなるポリアミド酸濃度ま
たはポリアミド酸濃度20重量%の溶液を調製した。
【0090】このポリアミド酸溶液またはポリアミド酸
溶液を、実施例1と同じ方法で処理して、厚さ約25μ
mのポリイミドフィルムを得た。
【0091】得られたポリイミドフィルムの特性値評価
結果を表3および表4に示した。
【0092】
【表3】
【0093】
【表4】
【0094】表1〜表4に記載された結果から明らかな
ように、PMDA、PPDおよび34’ODAからなる
化学転化法で得られた本発明のランダムポリイミドフィ
ルム、ブロックポリイミドフィルム、および混交ポリイ
ミドフィルムは、2成分ポリイミドフィルム、またはP
MDA、PPDおよび44’ODAからなる3成分ポリ
イミドフィルムに比較して、高弾性率、低熱膨張係数、
アルカリエッチング性、および製膜性を均衡かつ高度に
満足しており、可撓性の印刷回路,CSP,BGAまた
はTABテープ用の金属配線板基材としての好適な性能
を有するものである。
【0095】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のポリイミ
ドフィルムは、熱転化法により得られるポリイミドフィ
ルムに比しても、可撓性の印刷回路,CSP,BGAま
たはTABテープ用の金属配線板基材に適用した場合
に、高弾性率、低熱膨張係数、アルカリエッチング性、
および優れた製膜性を有するものである。
【0096】したがって、本発明のポリイミドフィルム
を基材として、その表面に金属配線を施してなる可撓性
の印刷回路,CSP,BGAまたはTAB用の金属配線
板は、高弾性率、低熱膨張係数、低吸湿膨張係数、低吸
水率及びアルカリエッチング性を均衡して高度に満たす
という高性能な特性を発現する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鵜原 賢治 愛知県東海市新宝町31番地の6 東レ・デ ュポン株式会社東海事業場内 (72)発明者 安田 巨文 愛知県東海市新宝町31番地の6 東レ・デ ュポン株式会社東海事業場内 (72)発明者 沢崎 孔一 愛知県東海市新宝町31番地の6 東レ・デ ュポン株式会社東海事業場内 (72)発明者 ブライアン・カール・オーマン アメリカ合衆国オハイオ州41347ピッカリ ントン、シルバー ブルック ドライブ エヌダブリュ 13436 (72)発明者 ジョン・ドナルド・サマーズ アメリカ合衆国ノースキャロライナ州 27514チャペル ヒル、ローズウッド コ ート 2431 Fターム(参考) 4F071 AA60 AH12 BB02 BC01 4J043 PA04 PA05 PA19 QB15 QB26 QB31 RA34 SA05 SB02 TA14 TA22 TB01 UA121 UA122 UB121 XA13 ZB50

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピロメリット酸二無水物、並びにジアミ
    ンを基準に10〜60モル%のフェニレンジアミンおよ
    び40〜90モル%の3,4’−オキシジアニリンから
    得られるポリアミド酸から製造されたことを特徴とする
    ポリイミドフィルム。
  2. 【請求項2】 ピロメリット酸二無水物、並びにジアミ
    ンを基準に10〜60モル%のフェニレンジアミンおよ
    び40〜90モル%の3,4’−オキシジアニリンから
    得られる、ブロック成分または混交ポリマー成分を有す
    るポリアミド酸から製造されたことを特徴とするポリイ
    ミドフィルム。
  3. 【請求項3】 フェニレンジアミンが10〜30モル
    %、3,4’−オキシジアニリンが70〜90モル%で
    あることを特徴とする請求項2に記載のポリイミドフィ
    ルム。
  4. 【請求項4】 前記フェニレンジアミンがp−フェニレ
    ンジアミンであることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れか1項に記載のポリイミドフィルム。
  5. 【請求項5】 下記工程(A)〜(E)を順次行うこと
    を特徴とするブロック成分または混交ポリマー成分を有
    するポリイミドフィルムの製造方法。 (A)ピロメリット酸二無水物、フェニレンジアミン及
    び3,4’−オキシジアニリンを、不活性な溶剤中で、
    フェニレンジアミン及びピロメリット酸二無水物とのブ
    ロック成分または混交ポリマー成分を有するポリアミド
    酸を形成するように、少なくともピロメリット酸二無水
    物、またはジアミンを全使用量の1〜99重量%使用し
    反応させる工程、 (B)前記工程(A)からのポリアミド酸ポリマーに残
    りの原料を追加使用し、最終的に全使用量の全量を使用
    し反応させる工程、 (C)前記工程(B)からのポリアミド酸溶液に、ポリ
    アミド酸をポリイミドに転化することのできる転化用薬
    剤を混合する工程、 (D)前記工程(C)からの混合物を平滑面上にキャス
    トまたは押出して、ポリアミド酸−ポリイミドゲルフィ
    ルムを形成する工程、および (E)前記工程(D)からのゲルフィルムを、200〜
    500℃の温度で加熱してポリアミド酸をポリイミドに
    変換する工程。
  6. 【請求項6】 前記ポリアミド酸が、ピロメリット酸二
    無水物、並びにジアミンを基準に10〜60モル%のフ
    ェニレンジアミン及び40〜90モル%の3,4’−オ
    キシジアニリンから得られるものであることを特徴とす
    る請求項5に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポ
    リイミドフィルムを基材として、その表面に金属配線を
    施してなることを特徴とする可撓性の印刷回路またはテ
    ープ自動化接合テープ用の金属配線板。
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