JP2000119418A - ポリイミドブレンドフィルム、その製造方法およびこれを基材とした金属配線回路板 - Google Patents

ポリイミドブレンドフィルム、その製造方法およびこれを基材とした金属配線回路板

Info

Publication number
JP2000119418A
JP2000119418A JP10313974A JP31397498A JP2000119418A JP 2000119418 A JP2000119418 A JP 2000119418A JP 10313974 A JP10313974 A JP 10313974A JP 31397498 A JP31397498 A JP 31397498A JP 2000119418 A JP2000119418 A JP 2000119418A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyamic acid
component
phenylenediamine
copolymerized
polyimide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10313974A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Uhara
賢治 鵜原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Du Pont Toray Co Ltd
Original Assignee
Du Pont Toray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Du Pont Toray Co Ltd filed Critical Du Pont Toray Co Ltd
Priority to JP10313974A priority Critical patent/JP2000119418A/ja
Publication of JP2000119418A publication Critical patent/JP2000119418A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】高弾性率、低熱膨張係数を均衡に満たし、さら
にアルカリエッチング性に優れたポリイミドブレンドフ
ィルム、その効率的な製造方法及びそれを基材とする金
属配線回路板を提供する。 【解決手段】2成分からなるポリアミド酸と、3成分か
らなる共重合ポリアミド酸とを混合してポリアミド酸組
成物溶液を形成した後、A)、B)、C)の各工程を順
次行う。A)ポリアミド酸組成物溶液に、ポリアミド酸
と共重合ポリアミド酸をポリイミドに転化する転化用薬
剤を混合する工程、B)混合物を平滑面上にキャストま
たは押出して共重合ポリアミド酸−共重合ポリイミドゲ
ルフィルムを形成する工程、C)200℃〜500℃で
共重合ポリアミド酸を共重合ポリイミドに変換する工
程。さらに、共重合ポリイミドフィルムの表面に金属配
線を施して金属配線回路板とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、その表面に金属配
線を施してなる可撓性の印刷回路、CSP,BGAまた
はテープ自動化接合(Tape Automated Bonding)テープ
(TABテープ)用の金属配線回路板基材として使用さ
れる場合に、高弾性率、低熱膨張係数を有し、さらにア
ルカリエッチング性に優れたポリイミドブレンドフィル
ム、その効率的な製造方法および前記ポリイミドブレン
ドフィルムを基材とする可撓性の印刷回路またはテープ
自動化接合テープ用の金属配線回路板に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】TABテープは、基材である耐熱性フィ
ルムの表面上に極細い金属配線を施し、基材に集積回路
チップ(IC)を搭載するための「窓」が開口されてお
り、さらにTABテープの両端近傍にはTABテープを
精密に送るためのスプロケットが設けられて構成されて
いる。
【0003】上記TABテープは、ICをTABテープ
に開口された「窓」に填め込み、TABテープの表面に
施された金属配線と接合した後、ICを搭載したTAB
テープを電子機器配線用の印刷回路に接合することによ
って、ICを電子回路に実装する工程を自動化し、工程
を簡素化するとともに、生産性を向上させ、ICを実装
された電子機器の電気特性を改良するために使用されて
いる。
【0004】そして、TABテープには、耐熱性基材フ
ィルムの表面に、ポリエステルベース、アクリルベー
ス、エポキシベース或いはポリイミドベースなどの接着
剤を介して導電性の金属箔を積層する三層構造のもの
と、耐熱性基材フィルムの表面に、接着剤を介すること
なく、導電性の金属層を直接積層する二層構造のものと
が使用されている。
【0005】したがって、TABテープの基材フィルム
には、耐熱性が要求されるため、特にICとTABテー
プ上の金属配線とを接合する場合や、ICを搭載したT
ABテープと電子機器配線用の印刷回路とを接合する場
合に、基材フィルムにかかるハンダ溶接などの高温に耐
えられるように、従来から耐熱性の優れたポリイミドフ
ィルムが使用されてきた。
【0006】しかるに、ポリイミドフィルムと金属箔ま
たは金属層とを積層し、金属箔または金属層をケミカル
エッチングして金属配線を形成する際に、ハンダ溶接な
どの高温の熱を受けることによって、ポリイミドフィル
ムと金属との寸法変化の違いに起因するTABテープの
変形が大きい場合には、ICを搭載する時やICを搭載
したTABテープを電子機器配線用の印刷回路に接合す
る時に、それらの作業性を著しく阻害したり、時にはそ
の作業を不能ならしめることになるため、ポリイミドフ
ィルムの熱膨張係数を金属と近似せしめて、TABテー
プの変形を小さくすることが要求される。
【0007】さらに、ICを搭載し、電子機器配線用の
印刷回路に接合されたTABテープにかかる引張力や圧
縮力による寸法変化を小さくすることも、金属配線の細
密化、金属配線への歪み負荷軽減および搭載されたIC
の歪み負荷軽減のためは重要であり、基材であるポリイ
ミドフィルムには一層の高弾性率が要求される。高弾性
率化については、三田ら(J.Polym.Sci.,Part C:Polym.
Lett.,26(5),215-223)が、モレキュラー・コンポジット
効果により、同一原料での比較においては、共重合ポリ
イミドよりも、ポリイミド同士のブレンドの方が、高弾
性率化し易いことを提案している。
【0008】加えて、接着剤の密着力を向上させるため
に、基材であるポリイミドフィルムは、その表面をアル
カリ液でエッチングし粗面化して使用されることがあ
る。また、ポリイミドフィルムには、配線するための穴
(スルーホール)をアルカリエッチングで形成する場合
がある。したがって、ポリイミドフィルムには、アルカ
リエッチング性に優れるという特性への要望が高まって
いる。
【0009】これらの要求特性を満たすポリイミドフィ
ルムを得ることを目的とした従来方法としては、特開平
4−299885号公報に、3,3´,4,4´−ビフ
ェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無
水物、フェニレンジアミンおよびジアミノジフェニルエ
ーテルからなる共重合ポリアミド酸から製造された共重
合ポリイミドフィルムが提案され、さらに共重合ポリア
ミド酸フィルムを化学転化法により、ケミカルエッチン
グ性の優れた共重合ポリイミドフィルムとする方法が提
案されている。しかしながら、この従来方法では、アル
カリエッチング速度が十分でない場合があった。
【0010】また、特開昭63−175025号公報に
は、ピロメリット酸およびジアミノジフェニルエーテル
とのポリアミド酸(A)とピロメリット酸およびフェニ
レンジアミンとのポリアミド酸(B)とのポリアミド酸
組成物(C)が提案されている。さらに特開昭63−1
75025号公報には、上記ポリアミド酸組成物(C)
より製造されるポリイミドが提案されている。しかしな
がら、これらの従来方法では、ポリアミド酸をイミド化
する段階で相分離することがあり、場合によってはやや
白濁したポリイミドフィルムしか得られないという問題
を生じる場合があった。
【0011】さらに、特開平4−325562号公報に
は、直線性ジアミンを成分とするポリアミド酸と、屈曲
性ジアミンを共重合成分とするポリアミド酸とをブレン
ドすることによって、ポリイミドブレンドフィルムを製
造する方法が提案されている。また、特開平1−131
241号公報、特開平1−131242号公報および特
開平3−46292号公報には、ピロメリット酸二無水
物、パラフェニレンジアミンおよびジアミノジフェニル
エーテルからなるブロック共重合ポリアミド酸から製造
されたブロック共重合ポリイミドフィルムが提案され、
さらに途中の工程でジアミンと酸二無水物とを非当量で
反応させブロック成分共重合ポリアミド酸フィルムを製
造する方法が提案されている。しかしながら、これらの
従来方法では、ポリアミド酸ブレンド溶液は相分離は起
こしにくいものの、モレキュラーコンポジット効果が不
十分で高剛性化が不満足となる場合があった。また、分
子鎖を制御したブロック成分を共重合成分とするポリマ
ーを製造するため、反応工程が煩雑になること、反応時
間が長時間になること、および反応性末端が過剰に存在
する工程を経るため、ポリアミド酸が不安定で粘度変化
しやすく、ゲル化することなどの製造上の問題があっ
た。
【0012】このように、上記の従来方法では、金属配
線回路板基材として使用される場合に、高弾性率、低熱
膨張係数、およびアルカリエッチング性を均衡して高度
に満たす共重合ポリイミドフィルムを得ることができ
ず、さらなる改良が求められていたのが実状である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解決を課題として検討した結果
達成されたものであり、その表面に金属配線を施してな
る可撓性の印刷回路、CSP、BGAまたはテープ自動
化接合(Tape Automated Bonding)テープ(TABテー
プ)用の金属配線回路板基材に適用した場合に、高弾性
率、低熱膨張係数を均衡に満たし、さらにはアルカリエ
ッチング性にも優れた共重合ポリイミドフィルム、その
効率的な製造方法およびそれを基材としてなる金属配線
回路板の提供を目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の共重合ポリイミドフィルムは、ピロメリ
ット酸二無水物と、フェニレンジアミンとの2成分から
なるポリアミド酸(イ)およびピロメリット酸二無水物
と、フェニレンジアミンと、ジアミノジフェニルエーテ
ルとの3成分からなる共重合ポリアミド酸(ロ)とを混
合したポリアミド酸組成物から製造されたことを特徴と
する。
【0015】上記の3成分からなる共重合ポリアミド酸
(ロ)は、ブロック共重合体でもランダム共重合体でも
よいが、好ましくはランダム共重合体である。
【0016】また、本発明の共重合ポリイミドブレンド
フィルムにおいては、前記3成分からなる共重合ポリア
ミド酸(ロ)が、ピロメリット酸二無水物、並びにジア
ミンを基準に10ないし90モル%のフェニレンジアミ
ンおよび10ないし90モル%のジアミノジフェニルエ
ーテルから製造されたことが、特にジアミンを基準に1
0ないし70モル%のフェニレンジアミンおよび30な
いし90モル%のジアミノジフェニルエーテルから製造
されたことがより好ましい。
【0017】なお、本発明の共重合ポリイミドフィルム
においては、前記2成分からなるポリアミド酸(イ)
と、3成分からなる共重合ポリアミド酸(ロ)との混合
重量(固形分)比が、1/9〜9/1の範囲であるこ
と、前記ジアミノジフェニルエーテルが、4,4’−ジ
アミノジフェニルエーテルであること、および前記フェ
ニレンジアミンがp−フェニレンジアミンであり、前記
ジアミノジフェニルエーテルが4,4’−ジアミノジフ
ェニルエーテルであることが好ましい条件であり、これ
らの条件を適用することにより、一層優れた効果の取得
を期待することができる。
【0018】また、本発明のポリイミドフィルムの製造
方法は、下記(A)−1〜(A)−3のいずれかの工程
によりポリアミド酸組成物溶液を形成した後、下記
(B)、(C)および(D)の各工程を順次行うことを
特徴とする。
【0019】(A)−1 ピロメリット酸二無水物およ
びフェニレンジアミンを、反応槽Aに加えて不活性な溶
剤中で反応させることにより2成分からなるポリアミド
酸(イ)を形成する一方、別途ピロメリット酸二無水
物、ジアミノジフェニルエーテルおよびフェニレンジア
ミンを、ジアミンおよび酸二無水物を反応槽Bに加えて
不活性な溶剤中で反応させることにより3成分からなる
共重合ポリアミド酸(ロ)を形成した後、前記反応槽A
中の2成分からなるポリアミド酸(イ)を、前記反応槽
Bへ送り込み混合するか、前記反応槽B中の3成分から
なる共重合ポリアミド酸(ロ)を、前記反応槽Aへ送り
込み混合するか、または前記反応槽A中の2成分ポリア
ミド酸(イ)および前記反応槽B中の3成分からなる共
重合ポリアミド酸(ロ)の両者を、反応槽Cへ送り込み
混合する工程(単純混合法)、(イ)または(ロ)のジ
アミン及び酸二無水物が実質的等モルとなる様にするこ
とは望ましい。
【0020】(A)−2 ピロメリット酸二無水物およ
びフェニレンジアミンを実質的に等モルとなるように反
応槽Aに加えて不活性な溶剤中で反応させることにより
2成分からなるポリアミド酸(イ)を形成し、引き続き
前記反応槽A中にピロメリット酸二無水物、ジアミノジ
フェニルエーテルおよびフェニレンジアミンを、ジアミ
ンおよび酸二無水物が実質的に等モルとなるように加え
て反応させることにより3成分からなる共重合ポリアミ
ド酸(ロ)を形成させながら、前記2成分からなるポリ
アミド酸(イ)および3成分からなる共重合ポリアミド
酸(ロ)を混合する工程(in-situ Blend 法) 、 (A)−3 ピロメリット酸二無水物、ジアミノジフェ
ニルエーテルおよびフェニレンジアミンを、ジアミンお
よび酸二無水物が実質的に等モルとなるように反応槽A
に加えて不活性な溶剤中で反応させることにより3成分
からなる共重合ポリアミド酸(ロ)を形成し、引き続き
前記反応槽A中にピロメリット酸二無水物およびフェニ
レンジアミンを実質的に等モルとなるように加えて反応
させることにより2成分からなる共重合ポリアミド酸
(イ)を形成させながら、前記3成分からなる共重合ポ
リアミド酸(ロ)および2成分共重合ポリアミド酸
(イ)を混合する工程(in-situ Blend 法) 、(B)前
記工程(A)−1〜(A)−3のいずれかからのポリア
ミド酸組成物溶液に、ポリアミド酸および共重合ポリア
ミド酸をポリイミドに転化することのできる転化用薬剤
を混合する工程、(C)前記工程(B)からの混合物を
平滑面上にキャストまたは押出しすることにより、共重
合ポリアミド酸−共重合ポリイミドゲルフィルムを形成
する工程、および(D)前記工程(C)からのゲルフィ
ルムを、200℃〜500℃の温度で加熱して共重合ポ
リアミド酸を共重合ポリイミドに変換する工程。
【0021】なお、上記(A)−1工程においては、最
初に形成する(イ)または(ロ)を末端封鎖剤と反応さ
せることも望ましい。
【0022】また、上記(A)−2および(A)−3工
程においては、最初に形成するポリアミド酸を末端封鎖
剤と反応させることが望ましく、引き続き形成するポリ
アミド酸を末端封鎖剤と反応させることも望ましい。
【0023】この(A)−1〜(A)−3工程の反応
は、−50℃〜100℃の温度範囲で行うことが好まし
く、ポリマー固形分濃度は、5〜50重量%の範囲とす
るのが好ましい。
【0024】上記反応槽A、BまたはCは、混合装置を
備えたものであれば、釜、押出機または配管中でも行う
ことができるが、好ましくは釜または押出機である。
【0025】なお、本発明のポリイミドブレンドフィル
ムの製造方法においては、前記(A)−1工程および
(B)工程において、反応槽Aにおいて2成分からなる
ポリアミド酸(イ)を形成した後、さらにイミド転化剤
を加えると共に、反応槽Bにおいて3成分からなるポリ
アミド酸(ロ)を形成した後、さらにイミド転化剤を加
え、しかる後、前記反応槽A中の2成分ポリアミド酸
(イ)および前記反応槽B中の3成分からなる共重合ポ
リアミド酸(ロ)の両者を、反応槽Cへ送り込み混合す
ること、前記(A)−2工程および(B)工程におい
て、反応槽Aにおいて2成分からなるポリアミド酸
(イ)を形成した後、さらにイミド転化剤を加え、引き
続き前記反応槽Aにおいて3成分からなる共重合ポリア
ミド酸(ロ)を形成した後、混合しながら、さらにイミ
ド転化剤を加えること、前記(A)−3工程および
(B)工程において、反応槽Aにおいて3成分からなる
共重合ポリアミド酸(ロ)を形成した後、さらにイミド
転化剤を加え、引き続き前記反応槽Aにおいて2成分か
らなるポリアミド酸(イ)を形成した後、混合しなが
ら、さらにイミド転化剤を加えること、前記2成分から
なるポリアミド酸(イ)と、3成分からなる共重合ポリ
アミド酸(ロ)との混合重量(固形分)比が、1/9〜
9/1の範囲であること、および前記フェニレンジアミ
ンがp−フェニレンジアミンであり、ジアミノジフェニ
ルエーテルが4、4’ージアミノジフェニルエーテルで
あることが、いずれも好ましい条件であり、これらの条
件を適用することにより、一層優れた効果の取得を期待
することができる。
【0026】さらに、本発明の可撓性の印刷回路または
テープ自動化接合テープ用の金属配線回路板は、上記の
共重合ポリイミドフィルムを基材として、その表面に金
属配線を施してなることを特徴とする。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成および効果に
ついて詳述する。
【0028】本発明のポリイミドブレンドフィルムを構
成する2成分ポリイミドおよび3成分共重合ポリイミド
のうち、特に3成分共重合ポリイミドは、ブロックポリ
マーか又はランダムポリマーかのいずれかであり得る
が、好ましくはランダム共重合ポリイミドである。
【0029】また、上記の2成分からなるポリアミド酸
(イ)(以下、2成分ポリアミド酸という)および3成
分からなる共重合ポリアミド酸(ロ)(以下、3成分共
重合ポリアミド酸という)酸は、混合しながらイミド転
化してポリイミドブレンドとしても、混合後イミド転化
してポリイミドブレンドとしても、イミド転化後混合し
てポリイミドブレンドとしてもよい。望ましくは混合後
イミド転化してポリイミドブレンドとすることが好まし
い。混合しながらイミド転化してポリイミドブレンドす
る場合、またはイミド転化後混合してポリイミドブレン
ドする場合のイミド転化剤としては、無水ジカルボン酸
などの脱水剤の使用が好ましい。
【0030】本発明のポリイミドブレンドポリマによ
り、可撓性の印刷回路、CSP、BGAまたはテープ自
動化接合(Tape Automated Bonding)テープ(TABテー
プ)用の金属配線回路板基材に適用した場合に、高弾性
率、低熱膨張係数およびアルカリエッチング性を均衡し
て高度に満たすポリイミドブレンドフィルムを実現する
ことができる。
【0031】本発明において使用されるジアミンには、
フェニレンジアミンのような可撓性のないジアミンと、
ジアミノジフェニルエーテルのような可撓性のジアミン
とがある。2成分ポリアミド酸(イ)にはフェニレンジ
アミンが、3成分ポリアミド酸(ロ)にはフェニレンジ
アミンおよびジアミノジフェニルエーテルが主として使
用される。
【0032】2成分ポリアミド酸(イ)と3成分ポリア
ミド酸(ロ)との混合比率は、ポリマー固形分重量比で
1/9〜9/1の範囲が好ましく、3/7〜7/3の範
囲がより好ましく、最も好ましくは4/6〜6/4の範
囲である。
【0033】3成分ポリアミド酸(ロ)に使用されるフ
ェニレンジアミンの量は、ジアミンの全モル量基準で好
ましくは10ないし90モル%、好ましくは10ないし
70モル%である。
【0034】また、本発明のポリイミドフィルムは、2
成分ポリアミド酸(イ)および3成分ポリアミド酸
(ロ)の混合物からなるポリアミド酸組成物を、イミド
転化した後製膜することにより製造される。このポリイ
ミドブレンド中に使用されるフェニレンジアミンの量
は、ジアミンの全モル量基準で好ましくは10ないし9
0モル%、より好ましくは10ないし70モル%、最も
好ましくは20ないし50モル%である。
【0035】本発明において、フェニレンジアミンは得
られるポリイミドフィルムの弾性率を高める作用をす
る。本発明に使用されるフェニレンジアミンには、p−
フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミンおよびo
−フェニレンジアミン等の他に、一部に置換基を有する
フェニレンジアミンを挙げることができ、特に好ましく
はp−フェニレンジアミンが使用される。
【0036】ジアミノジフェニルエーテルとしては、
2,2’−ジアミノジフェニルエーテル、2,3’−ジ
アミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェ
ニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテ
ル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’
−ジアミノジフェニルエーテルなどの他に、一部に置換
基を有するジアミノジフェニルエーテルが使用され、特
に好ましくは4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが
使用される。
【0037】本発明において使用されるテトラカルボン
酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物であるが、本発
明の目的を阻害しない添加量の範囲でテトラカルボン酸
二無水物などを併用することができる。
【0038】本発明のポリイミドブレンドフィルムの性
能は、3成分ポリアミド酸(ロ)中のフェニレンジアミ
ン成分の量および2成分ポリアミド酸(イ)と3成分共
重合ポリアミド酸(ロ)との混合比に基づき主として決
定される。
【0039】次に、本発明のポリイミドフィルムの製造
方法について説明する。
【0040】本発明のポリイミドブレンドフィルムは、
下記(A)−1〜(A)−3のいずれかの工程によりポ
リアミド酸組成物を形成した後、下記(B)、(C)お
よび(D)の各工程を順次行うことにより製造される。
【0041】(A)−1工程(単純混合法) この工程においては、まずピロメリット酸二無水物およ
びフェニレンジアミンを反応槽Aに加え、不活性な溶剤
中で反応させることにより、2成分ポリアミド酸(イ)
を形成する。別途、ピロメリット酸二無水物、ジアミノ
ジフェニルエーテルおよびフェニレンジアミンを、ジア
ミンおよび酸二無水物が等モルとなるように反応槽Bに
加え、不活性な溶剤中で反応させることにより、3成分
共重合ポリアミド酸(ロ)を形成する。このとき反応槽
Aまたは反応槽Bで使用する酸二無水物およびジアミン
とは実質的に等モルであることが望ましい。また、反応
槽Aまたは反応層Bで末端封鎖剤を併用してポリアミド
酸を生成することも望ましい(end-cap BLEND)。(ロ)
はランダム共重合が望ましい。
【0042】この(A)−1工程で、ピロメリット酸二
無水物およびフェニレンジアミンを実質的に等モルとす
ることで、末端の官能基の反応性が実質的に発現しなく
なり、混合後にゲルが生じにくくなる。さらに、末端封
鎖剤を併用することにより長時間混合を行ってもゲル化
せずに均質な混合が可能となる。
【0043】しかる後、反応槽A中の2成分ポリアミド
酸(イ)を反応槽Bへ送り込み混合する工程または反応
槽B中の3成分ポリアミド酸(ロ)を反応槽Aへ送り込
み混合する工程、または反応槽A中の2成分ポリアミド
酸(イ)および反応槽B中の3成分ポリアミド酸(ロ)
を反応槽Cへ送り込み混合することにより、ポリアミド
酸組成物を得る。(ロ)はランダム共重合ポリアミド酸
が望ましい。
【0044】(A)−2工程(in-situ Blend 法) この工程においては、まずピロメリット酸二無水物およ
びフェニレンジアミンを実質的に等モルとなるように反
応槽Aに加え、不活性な溶剤中で反応させることによ
り、2成分ポリアミド酸(イ)を形成する。引き続き、
この同じ反応槽A中にピロメリット酸二無水物、ジアミ
ノジフェニルエーテルおよびフェニレンジアミンを、ジ
アミンおよび酸二無水物が実質的に等モルとなるように
加え、反応させることにより、3成分共重合ポリアミド
酸(ロ)を形成させながら、先に生成した2成分ポリア
ミド酸(イ)と、引き続いて生成した3成分共重合ポリ
アミド酸(ロ)とを混合することにより、ポリアミド酸
組成物を得る。
【0045】この(A)−2工程では、最初に形成する
2成分ポリアミド酸(イ)を末端封鎖剤と反応させるこ
とが望ましい。また引き続き形成する3成分ポリアミド
酸(ロ)を末端封鎖剤と反応させることも望ましい。
【0046】この(A)−2工程で酸二無水物およびジ
アミンを実質的に等モルとすることで、末端の官能基の
反応性が実質的に発現しなくなる。そして、この実質的
に等モルとすることにより、3成分共重合ポリアミド酸
(ロ)は2成分ポリアミド酸(イ)と実質的に反応する
ことなく生成し、かつ2成分ポリアミド酸(イ)と混合
されることになる。(ロ)はランダム共重合ポリアミド
酸が望ましい。
【0047】(A)−3工程 この(A)−3工程においては、まずピロメリット酸二
無水物、ジアミノジフェニルエーテルおよびフェニレン
ジアミンを、ジアミンおよび酸二無水物が実質的に等モ
ルとなるように反応槽Aに加え、不活性な溶剤中で反応
させることにより、3成分ポリアミド酸(ロ)を形成す
る。引き続き、この同じ反応槽A中にピロメリット酸二
無水物およびフェニレンジアミンを、ジアミンおよび酸
二無水物が実質的に等モルとなるように加え、反応させ
ることにより、3成分ポリアミド酸(ロ)を形成させな
がら、2成分ポリアミド酸(イ)および3成分共重合ポ
リアミド酸(ロ)とを混合し、ポリアミド酸組成物を得
る。
【0048】この(A)−3工程においては、最初に形
成する3成分ポリアミド酸(ロ)を末端封鎖剤と反応さ
せることが望ましい。また引き続き形成する2成分ポリ
アミド酸(イ)を末端封鎖剤と反応させることも望まし
い。
【0049】この(A)−3工程では、ジアミン末端を
ジカルボン酸無水物で封鎖することにより、末端の官能
基の反応性が実質的に発現しなくなる。そして、この末
端封鎖により、2成分ポリアミド酸(イ)は3成分共重
合ポリアミド酸(ロ)と実質的に反応することなく生成
し、かつ3成分共重合ポリアミド酸(ロ)と混合される
ことになる。(ロ)はランダム共重合ポリアミド酸が望
ましい。
【0050】上記の(A)−1〜(A)−3工程は、い
ずれも−50℃〜100℃の温度範囲で行う。100℃
を超えた温度で混合を行うと、2成分ポリアミド酸
(イ)と3成分共重合ポリアミド酸(ロ)とが反応しゲ
ルを生じる場合がある。また、−50℃より低い温度で
は、混合系の粘度が高くなり混合に時間が掛かるように
なる。好ましくは−20℃〜60℃であり、さらに好ま
しくは−10℃〜50℃であり、最も好ましくは0℃〜
40℃である。この温度範囲内であれば、効果的に混合
を行うことができる。
【0051】また(A)−1〜(A)−3工程は、いず
れも5〜50重量%の範囲のポリマー固形分濃度で行な
う。ポリマー固形分濃度が5重量%より少ない場合は、
製造効率が悪くなる。また、50重量%を超える場合
は、2成分ポリアミド酸(イ)と3成分共重合ポリアミ
ド酸(ロ)とが反応し粘度が高くなるため、ゲル化が起
こったり、混合に長時間を要するという不具合が招かれ
る。
【0052】(B)工程 この(B)工程は、前記工程(A)からのポリアミド酸
組成物溶液に、共重合ポリアミド酸を共重合ポリイミド
に転化することのできる転化用薬剤を混合する工程であ
る。
【0053】(C)工程 この(C)工程は、前記工程(B)からの混合物を平滑
面上にキャストまたは押出すことにより、共重合ポリア
ミド酸−共重合ポリイミドゲルフィルムを形成する工程
である。
【0054】(D)工程 この(D)工程は、前記工程(C)からのゲルフィルム
を、200℃〜500℃の温度で加熱することにより、
ブレンド共重合ポリアミド酸−ブレンド共重合ポリイミ
ドをポリイミドブレンドに変換する工程である。
【0055】本発明のポリアミド酸を製造する際の酸二
無水物成分とジアミン成分とが実質的に等モルとは、モ
ル比で概ね1対1のことである。
【0056】上記それぞれの成分は、単独で順次有機溶
剤中に供給してもよいし、同時に供給してもよく、また
混合した成分に有機溶剤を供給してもよいが、均一な反
応を行わせるためには、有機溶剤中に各成分を順次添加
することが好ましい。
【0057】ジアミン成分と酸二無水物成分とが実質的
に等モルであること、ジカルボン酸無水物などで末端を
封鎖すること、または混合前または混合中にイミド化転
化剤を加えイミド化することは、これらの反応工程で形
成されたポリアミド酸成分が化学的に不活性で、後工程
の反応で形成されるポリアミドポリマーに組み込まれに
くくすることを目的とする。このようにブレンドしてポ
リアミド酸組成物を形成することにより、モレキューラ
ーコンポジット(異なる分子同士の複合体)が形成さ
れ、剛直な2成分ポリアミド酸成分の特徴がより有効に
発現できるのである。
【0058】具体的に、ピロメリット酸二無水物(PM
DA)、ジアミン成分として、p−フェニレンジアミン
(PDA)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
(DPE)を使用し、PMDA、PDAおよびDPEと
からなる3成分ポリアミド成分を含有するポリイミドブ
レンドポリマの製造例を以下に説明する。
【0059】まず、反応槽A中に有機溶剤としてのジメ
チルアセトアミド(DMAc)に、PDAを溶解し、こ
れにPMDAを加え、2成分ポリアミド酸(イ)成分の
反応を完了させる。このとき加えたジアミンおよび酸二
無水物は等モルである。
【0060】次いで、反応槽B中に有機溶剤としてのジ
メチルアセトアミド(DMAc)に、PDA、DPEを
加えて溶解した後、溶液にPMDAを加えて反応させる
ことにより、PDA、DPEおよびPMDAとの3成分
ポリアミド酸溶液(ロ)を得る。このときに加えたジア
ミンおよび酸二無水物は等モルである。
【0061】さらに、それぞれの槽A,Bに末端封止剤
またはイミド転化剤を添加することにより、効果的なモ
レキュラーコンポジット構造を形成することもできる。
この場合に用いられるイミド転化剤としては脱水剤程度
の反応性が好ましい。
【0062】ここでは、無水ジカルボン酸、シリル化剤
などの末端封止剤を固形分(ポリマー濃度)に対して
0.001〜2%の範囲で添加することも好ましく行う
ことができる。この無水ジカルボン酸としては、無水酢
酸または無水フタル酸、シリル化剤としては、非ハロゲ
ン系であるヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビスト
リメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメ
チルシリル)ウレアが特に好ましく用いられる。
【0063】ポリアミド酸の製造においては、その溶液
のポリアミド酸濃度と溶液の粘度とでその終了点が決定
される。終了点の溶液の粘度を精度良く決定するために
は、最後に供給する成分の一部を、反応に使用する有機
溶剤の溶液として添加することが有効であるが、ポリア
ミド酸濃度をあまり低下させないような調節が必要であ
る。
【0064】溶液中の共重合ポリアミド酸濃度は、5な
いし50重量%、好ましくは10ないし40重量%、さ
らに好ましくは15ないし30重量%である。
【0065】上記有機溶剤としては、それぞれの成分お
よび重合生成物であるポリアミド酸または共重合ポリア
ミド酸と非反応性であり、成分の1つから全てを溶解で
き、ポリアミド酸または共重合ポリアミド酸を溶解する
ものから選択するのが好ましい。
【0066】望ましい有機溶剤としては、N,N−ジメ
チルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホル
ムアミド、およびN−メチル−2−ピロリドンなどが挙
げられ、これらは単独でまたは混合使用することがで
き、場合によってはベンゼンなどの貧溶媒と併用するこ
とも可能である。
【0067】本発明のポリイミドブレンドフィルムを製
造するに際しては、かくして得られたブレンドポリアミ
ド酸溶液を押出機やギヤポンプで加圧して、ブレンドポ
リアミド酸フィルムの製造工程に送液する。
【0068】ブレンドポリアミド酸溶液は、原料に混入
していたり、重合工程で生成した異物、固形物および高
粘度の不純物などを除去するために、フィルターでろ過
され、フィルム成形用の口金やコーチングヘッドを通し
てフィルム状に成形され、回転または移動する支持体上
に押出され、支持体から加熱されて、ブレンドポリアミ
ド酸が一部イミド転化したブレンドポリアミド酸−ポリ
イミドブレンドゲルフィルムが生成される。そして、こ
のゲルフィルムが自己支持性となり、支持体から剥離可
能となった時に支持体から剥離され、乾燥機に導入さ
れ、乾燥機で加熱されて、溶剤を乾燥し、イミド転化を
完了することにより、ポリイミドブレンドフィルムが製
造される。
【0069】このとき、40μmカットの金属繊維焼結
フィルターを用いることは、途中で生成されたゲル物の
除去のみ成らず、効果的なモレキュラーコンポジット構
造を形成するのに効果的である。さらに好ましくは20
μmカットの金属繊維焼結フィルターであり、最も好ま
しくは10μmカットの金属繊維焼結フィルターであ
る。
【0070】ブレンドポリアミド酸のイミド転化の方法
は、加熱のみによる熱転化法と、イミド転化薬剤を混合
したブレンドポリアミド酸を加熱処理したり、またはブ
レンドポリアミド酸をイミド転化薬剤の浴に浸漬する化
学転化法のいずれも採用することができるが、本発明に
おいては、化学転化法が熱転化法に比べて、可撓性の印
刷回路、CSP、BGAまたはテープ自動化接合(Tape
Automated Bonding)テープ(TABテープ)用の金属配
線回路板基材にに適用した場合に、高弾性率、低熱膨張
係数およびアルカリエッチング性を均衡して高度に実現
することにより好適である。
【0071】しかも、化学転化法によってブレンドポリ
アミド酸にイミド転化薬剤を混合し、フィルム状に成形
後加熱処理する方法は、イミド転化に要する時間が短
く、均一にイミド転化が行えるなどの利点に加え、支持
体からの剥離が容易であり、さらには、臭気が強く、隔
離を必要とするイミド転化用薬剤を密閉系で取り扱える
などの利点を有することから、ブレンドポリアミド酸フ
ィルム成形後に転化用薬剤や脱水剤の浴に浸漬する方法
に比べて好ましく採用される。
【0072】本発明において、イミド転化用薬剤として
は、イミド転化を促進する3級アミン類と、イミド転化
で生成する水分を吸収する脱水剤とがあるが、両方を併
用することも望ましい手段の一つである。3級アミン類
は、共重合ポリアミド酸とほぼ等モルないしやや過剰に
添加混合され、脱水剤は、共重合ポリアミド酸の約2倍
モル量ないしやや過剰に添加されるが、支持体からの剥
離点を調整するために適当に調整される。
【0073】そして、イミド転化用薬剤は、ポリアミド
酸を重合中の時点から、ポリアミド酸溶液がフィルム成
形用口金やコーチングヘッドに達するいかなる時点で添
加してもよいが、送液途中におけるイミド転化を防止す
る意味では、好ましくはポリアミド酸重合後であり、さ
らに好ましくはフィルム成形用口金またはコーチングヘ
ッドに到達する少し前に添加し、混合機で混合すること
である。
【0074】3級アミンとしては、ピリジンまたはβ−
ピコリンが好適であるが、α−ピコリン、4−メチルピ
リジン、イソキノリン、トリエチルアミンなども使用す
ることができる。これらの使用量は、それぞれの活性に
よって調整する。
【0075】脱水剤としては、無水酢酸が最も一般的に
使用されるが、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、安息
香酸および蟻酸無水物なども使用することができる。
【0076】イミド転化薬剤を含有するブレンドポリア
ミド酸フィルムは、支持体上で支持体および反対面空間
から受ける熱によりイミド転化が進み、一部イミド転化
したポリイミドブレンドゲルフィルムとなった後、支持
体から剥離される。
【0077】この場合に、支持体および反対面空間から
与える熱量が多いほどイミド転化が促進されて、速く剥
離することになるが、熱量が多すぎると支持体とゲルフ
ィルムの間の有機溶剤のガスがゲルフィルムを変形さ
せ、フィルムの欠点となるため、剥離点の位置とフィル
ム欠点を勘案することにより、適宜な熱量を決定するこ
とが望ましい。
【0078】支持体から剥離されたゲルフィルムは、乾
燥機に導入され、溶剤の乾燥およびイミド転化の完了が
なされる。
【0079】このゲルフィルムは、多量の有機溶剤を含
有しており、その乾燥過程において体積が大幅に減少す
る。したがって、この体積減少による寸法収縮を厚さ方
向に集中させるために、ゲルフィルムの両端をテンター
クリップで把持し、このテンタークリップの移動により
ゲルフィルムを乾燥機(テンター)に導入し、テンター
内で加熱して、溶剤の乾燥とイミド転化とを一貫して実
施するのが一般的である。
【0080】この乾燥およびイミド転化は、200℃な
いし500℃の温度で行われる。乾燥温度とイミド転化
温度は同一温度でもよいし、異なる温度でもよいが、溶
剤を大量に乾燥する段階では、低めの温度として溶剤の
突沸を防ぎ、溶剤の突沸のおそれがなくなったら、高温
にしてイミド転化を促進するように、段階的に高温にす
ることが好ましい。
【0081】なお、テンター内において、フィルム両端
のテンタークリップの距離を拡大または縮小して、延伸
またはリラックスを行なうことができる。
【0082】化学転化法によりイミド転化して得られる
カットシート状のポリイミドブレンドフィルムは、上記
のように製造した連続したフィルムから切り取って製造
することができるが、少量のフィルムを製造するには、
後述の実施例で示しているように、樹脂製やガラス製の
フラスコ内で、好ましくはブレンドポリアミド酸溶液に
化学転化薬剤を混合して得られる混合溶液を、ガラス板
などの支持体上にキャストし、加熱して、一部イミド転
化した自己支持性のブレンドポリアミド酸−ポリイミド
ブレンドゲルフィルムとし、これを支持体から剥離し、
金属製の固定枠などに固定して寸法変化を防止しながら
加熱して、溶剤の乾燥およびイミド転化する方法により
製造することができる。
【0083】このようにして、化学転化法によりイミド
転化して得られる本発明のポリイミドブレンドフィルム
は、熱転化法により得られるポリイミドブレンドフィル
ムに比しても、相分離しにくく、可撓性の印刷回路、C
SP、BGAまたはテープ自動化接合(Tape Automated
Bonding)テープ(TABテープ)用の金属配線回路板基
材に適用した場合に、高弾性率、低熱膨張係数を均衡か
つ高度に実現するのに好適であり、なおかつ優れたアル
カリエッチング性を有するものである。
【0084】したがって、本発明のポリイミドブレンド
フィルムを基材として、その表面に金属配線を施してな
る可撓性の印刷回路、CSP、BGAまたはテープ自動
化接合テープ用の金属配線回路板は、高弾性率、低熱膨
張係数およびアルカリエッチング性を均衡して高度に満
たすという高性能な特性を発現するものである。
【0085】なお、本発明のポリイミドブレンドフィル
ムにおいては、弾性率としては500Kg/cm2 以上
が好ましく、熱膨張係数としては10〜20ppm/℃
が好ましく、吸水率は2%以下が好ましく、特に1%以
下が好ましい。
【0086】アルカリエッチング性については、フィル
ムがアルカリ溶液に溶解することが好ましい条件であ
る。評価方法は下記するがアルカリ条件で評価し表面の
浸食速度で評価できる。
【0087】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。なお各フィルム特性値は、下記の方法で測定したも
のである。
【0088】また、下記の実施例中で、略号DMAcは
ジメチルアセトアミドを、PMDAはピロメリット酸二
無水物を、PDAはp−フェニレンジアミンを、また、
DPEは4、4’ージアミノジフェニルエーテルを示す
略記である。
【0089】(1)弾性率 弾性率は、JISK7113に準じて、室温でORIE
NREC社製のテンシロン型引張試験器により、引張速
度300mm/分にて得られる張力−歪み曲線の初期立
ち上がり部の勾配から求めた。
【0090】(2)熱膨張係数 熱膨張係数は、島津製作所社製のTMA−50型熱機械
分析装置を用い、10℃/分の昇温速度、5℃/分の降
温速度で、2回目の昇(降)温時の50℃から200℃
の間の寸法変化から求めた。
【0091】(3)吸湿膨張係数 吸湿膨張係数は、真空理工社製のTM−7000型熱機
械分析装置を用い、25℃で、0.3%RH/分の加湿
速度、1回目の加湿時の5%RHから90%RHの間の
寸法変化から求めた。
【0092】(4)吸水率 吸水率は、25℃で、95%RHに調湿した恒温恒湿機
(STPH−101、タバイエスペック(株)社製)中
に、48時間置いた後、乾燥状態との重量差を百分率で
求めた。
【0093】(5)アルカリエッチング性 アルカリエッチング性は、ポリイミドブレンドフィルム
の一表面を、容積比80/20のエタノール/水混合液
中の1Nの水酸化カリウム溶液に、40℃で120分間
接触させた前後のフィルムの厚さを、ミツトヨ社製のL
ITEMATIC型厚さ計で測定して求めた。評価基準
は厚み変化率に応じて、以下のように判定した。×レベ
ルはメッキ液浸漬時にフィルム表面が侵され、配線との
密着性に影響がでるレベルである。 ○ 厚さ変化率 5%以上 △ 厚さ変化率 1%以上5%未満 × 厚さ変化率 1%未満。
【0094】(6)金属積層板の反り量評価 ポリイミドブレンドフィルムにポリイミドベースの接着
剤を塗布し、この上に銅箔を250℃の温度で貼り合わ
せた。その後、最高温度300℃まで昇温して接着剤を
硬化させ、得られた金属積層板を35mm×120mm
のサンプルサイズにカットし、25℃、60RH%雰囲
気中で24時間放置した後、それぞれのサンプルの反り
を測定した。反りはサンプルをガラス平板に置き、四隅
の高さを測定平均化した。評価基準は反り量に応じて、
以下のように判定した。×レベルは金属配線回路板とし
て用いる場合、後工程の搬送時に取り扱いが困難となる
レベルである。 ○ 反り量 1mm未満 △ 反り量 1mm以上3mm未満 × 反り量 3mm以上。
【0095】(7)粘度変化 B型回転粘度計(型式;TVB−20H、(株)トキメ
ック社製)で、ブレンド直後のポリマー粘度とブレンド
より10時間経時後のポリマー粘度を測定し、その比
[(ブレンド10時間後の粘度)/(ブレンド直後の粘
度)]に応じて、以下のように判定した。×レベルは製
膜中に圧力変動が生じ、厚み斑またはフィルム破れの原
因となり、製膜が不安定となる範囲である。 ◎ 1〜0.9以上 ○ 0.9未満0.8以上 △ 0.7未満0.6以上 × 0.6未満。
【0096】[実施例1]500ccのガラス製フラス
コAに、DMAc150mlを入れ、PDAをDMAc
中に供給して溶解させ、続いてDPEおよびPMDAを
順次供給し、室温で、約1時間撹拌し、最終的にテトラ
カルボン酸二無水物成分とジアミン成分が約100モル
%化学量論で、表1に示す組成の成分からなる3成分ポ
リアミド酸の濃度が20重量%の溶液を調製した。
【0097】一方、500ccのガラス製フラスコB
に、DMAc150mlを入れ、PDAをDMAc中に
供給して溶解させ、続いてPMDAを順次供給し、室温
で、約1時間撹拌し、最終的にテトラカルボン酸二無水
物成分とジアミン成分が約100モル%化学量論で、表
1に示す組成の成分からなる2成分ポリアミド酸の濃度
が20重量%の溶液を調製した。
【0098】引き続きこれら2種類のポリアミド酸溶液
30gづつを0℃で約1時間撹拌し、12.7mlのD
MAc、3.6mlの無水酢酸および3.6mlのβ−
ピコリンと混合した混合溶液を調製し、この混合溶液を
ガラス板上にキャストした後、150℃に加熱したホッ
トプレート上で約4分間加熱して、自己支持性のブレン
ドポリアミド酸−ポリイミドブレンドゲルフィルムを形
成し、これをガラス板から剥離した。
【0099】このゲルフィルムを、多数のピンを備えた
金属製の固定枠に固定し、250℃から330℃に昇温
しながら30分間、その後400℃で約5分間加熱し、
厚さ約25μmのポリイミドブレンドフィルムを得た。
【0100】得られたポリイミドブレンドフィルムの特
性値評価結果を表1に示した。混合後のポリアミド酸溶
液の粘度変化は0℃で約1時間撹拌後の溶液を、混合直
後の溶液として評価した。
【0101】[実施例2〜4]500ccのガラス製フ
ラスコAに、DMAc150mlを入れ、PDAをDM
Ac中に供給して溶解させ、続いてDPEを供給し、室
温で約1時間撹拌した。このポリアミド酸溶液にPMD
Aを供給し、完全に溶解させた後室温で約1時間撹拌し
た。引き続きジアミン成分に対して1モル%の無水フタ
ル酸を添加し、さらに約1時間撹拌し、テトラカルボン
酸二無水物成分とジアミン成分が約100モル%化学量
論で、表1に示す組成の成分からなる3成分ポリアミド
酸の濃度が20重量%の溶液を調製した。
【0102】一方、500ccのガラス製フラスコB
に、DMAc150mlを入れ、PDAをDMAc中に
供給して溶解させ、続いてPMDAを供給し、室温で約
1時間撹拌した。引き続きジアミン成分に対して1モル
%の無水フタル酸を添加し、さらに約1時間撹拌し、テ
トラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分が約100
モル%化学量論で、表1に示す組成の成分からなる2成
分ポリアミド酸の濃度が20重量%の溶液を調製した。
【0103】引き続きこれら2種類のポリアミド酸溶液
30gづつを、0℃で約1時間撹拌した後、このブレン
ドポリアミド酸溶液を実施例1と同じ方法で処理して、
厚さ約25μmのポリイミドブレンドフィルムを得た。
【0104】得られたポリイミドブレンドフィルムの特
性値評価結果を表1に併せて示した。
【0105】[実施例5]500ccのガラス製フラス
コに、DMAc150mlを入れ、PDAおよびDPE
をDMAc中に供給して溶解させ、続いてPMDAを供
給し、室温で約1時間撹拌して、テトラカルボン酸二無
水物成分とジアミン成分が化学量論的に約100モル%
となるように調整し、引き続きジアミン成分に対して1
モル%の無水酢酸を添加し、さらに約1時間撹拌した。
このポリアミド酸溶液にPDAを供給し、完全に溶解さ
せた後、最終的にテトラカルボン酸二無水物成分とジア
ミン成分が化学量論的に約100モル%となるようにP
MDAを供給し、室温で約1時間撹拌することにより、
表1に示す組成の成分からなるブレンドポリアミド酸濃
度が23重量%の溶液をin-situ で調製した。
【0106】このブレンドポリアミド酸溶液を、実施例
1と同じ方法で処理して、厚さ約50μmのポリイミド
ブレンドフィルムを得た。
【0107】得られたポリイミドブレンドフィルムの特
性値評価結果を表1に併せて示した。
【0108】混合後のポリアミド酸溶液の粘度変化はP
MDAを供給し、室温で約1時間撹拌後の溶液を、混合
直後の溶液として評価した。
【0109】[実施例6]500ccのガラス製フラス
コAに、DMAc150mlを入れ、PDAをDMAc
中に供給して溶解させ、続いてDPEおよびPMDAを
順次供給し、室温で、約1時間撹拌し、最終的に化学量
論的にテトラカルボン酸二無水物成分が過剰となるよう
に、表1に示す組成の成分からなる3成分ポリアミド酸
の濃度が20重量%の溶液を調製した。
【0110】一方、500ccのガラス製フラスコB
に、DMAc150mlを入れ、PDAをDMAc中に
供給して溶解させ、続いてPMDAを順次供給し、室温
で約1時間撹拌し、最終的に化学量論的にジアミン成分
が過剰となるようにすることにより、表1に示す組成の
成分からなる2成分ポリアミド酸の濃度が20重量%の
溶液を調製した。
【0111】引き続きこれら2種類のポリアミド酸溶液
30gづつを、0℃で約1時間撹拌した後、このブレン
ドポリアミド酸溶液を実施例1と同じ方法で処理して、
厚さ約25μmのポリイミドブレンドフィルムを得た。
【0112】得られたポリイミドブレンドフィルムの特
性値評価結果を表1に併せて示した。
【0113】
【表1】 [比較例1]500ccのガラス製フラスコAに、DM
Ac150mlを入れ、DPEをDMAc中に供給して
溶解させ、続いてPMDAを順次供給し、室温で、約1
時間撹拌し、最終的にテトラカルボン酸二無水物成分と
ジアミン成分が約100モル%化学量論で、表2に示す
組成の成分からなる2成分ポリアミド酸の濃度が20重
量%の溶液を調製した。
【0114】一方、500ccのガラス製フラスコB
に、DMAc150mlを入れ、PDAをDMAc中に
供給して溶解させ、続いてPMDAを順次供給し、室温
で約1時間撹拌し、最終的にテトラカルボン酸二無水物
成分とジアミン成分が約100モル%の化学量論で、表
2に示す組成の成分からなる2成分ポリアミド酸の濃度
が20重量%の溶液を調製した。
【0115】引き続き、これら2種類のポリアミド酸溶
液30gづつを0℃で約1時間撹拌した後、このブレン
ドポリアミド酸溶液を実施例1と同じ方法で処理するこ
とにより、厚さ約25μmのポリイミドブレンドフィル
ムを得た。このポリイミドブレンドフィルムは、白濁し
て相分離したものであった。
【0116】得られたポリイミドブレンドフィルムの特
性値評価結果を表2に併せて示した。
【0117】[比較例2]500ccのガラス製フラス
コAに、DMAc150mlを入れ、PDAおよびDP
EをDMAc中に供給して溶解させ、続いてPMDAを
順次供給し、室温で約1時間撹拌し、最終的にテトラカ
ルボン酸二無水物成分とジアミン成分が約100モル%
化学量論で、表2に示す組成の成分からなる3成分ポリ
アミド酸の濃度が20重量%の溶液を調製した。
【0118】一方、500ccのガラス製フラスコB
に、DMAc150mlを入れ、PDAおよびDPEを
DMAc中に供給して溶解させ、続いてPMDAを順次
供給し、室温で約1時間撹拌し、最終的にテトラカルボ
ン酸二無水物成分とジアミン成分が約100モル%化学
量論で、表2に示す組成の成分からなる3成分ポリアミ
ド酸の濃度が20重量%の溶液を調製した。
【0119】引き続き、これら2種類のポリアミド酸溶
液30gづつを、0℃で約1時間撹拌した後、このブレ
ンドポリアミド酸溶液を実施例1と同じ方法で処理する
ことにより、厚さ約25μmのポリイミドブレンドフィ
ルムを得た。
【0120】得られたポリイミドブレンドフィルムの特
性値評価結果を表2に併せて示した。
【0121】
【表2】 表1および表2に記載した結果から明らかなように、P
MDAおよびPDAから生成される2成分ポリアミド酸
と、PMDA、PDAおよびDPEから生成される3成
分ポリアミド酸とからなり、化学転化法で得られた本発
明のポリイミドブレンドフィルム(実施例1〜6)は、
他のポリイミドブレンドフィルム(比較例1,2)に比
較して、高弾性率、低熱膨張係数および優れたアルカリ
エッチング性を均衡かつ高度に有しており、可撓性の印
刷回路,CSP,BGAまたはテープ自動化接合(Tape
Automated Bonding)テープ(TABテープ)用の金属配
線回路板基材としての好適な性能を有するものである。
【0122】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のポリイミ
ドブレンドフィルムは、印刷回路,CSP,BGAまた
はテープ自動化接合(Tape Automated Bonding)テープ
(TABテープ)用の金属配線回路板基材に適用した場
合に、高弾性率、低熱膨張係数を均衡かつ高度に実現す
るのに好適であり、なおかつ優れたアルカリエッチング
性を有するものである。
【0123】したがって、本発明のポリイミドブレンド
フィルムを基材として、その表面に金属配線を施してな
る可撓性の印刷回路,CSP,BGAまたはテープ自動
化接合テープ用の金属配線回路板は、高弾性率、低熱膨
張係数およびアルカリエッチング性を均衡して高度に満
たすという高性能な特性を発現する。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピロメリット酸二無水物と、フェニレン
    ジアミンとの2成分からなるポリアミド酸(イ)および
    ピロメリット酸二無水物と、フェニレンジアミンと、ジ
    アミノジフェニルエーテルとの3成分からなる共重合ポ
    リアミド酸(ロ)とを混合したポリアミド酸組成物から
    製造されたことを特徴とするポリイミドブレンドフィル
    ム。
  2. 【請求項2】 前記3成分からなる共重合ポリアミド酸
    (ロ)が、ピロメリット酸二無水物、並びにジアミンを
    基準に10ないし90モル%のフェニレンジアミンおよ
    び10ないし90モル%のジアミノジフェニルエーテル
    から製造されたことを特徴とする請求項1に記載のポリ
    イミドブレンドフィルム。
  3. 【請求項3】 前記3成分からなる共重合ポリアミド酸
    (ロ)が、ピロメリット酸二無水物、並びにジアミンを
    基準に10ないし70モル%のフェニレンジアミンおよ
    び30ないし90モル%のジアミノジフェニルエーテル
    から製造されたことを特徴とする請求項1に記載のポリ
    イミドブレンドフィルム。
  4. 【請求項4】 前記2成分からなるポリアミド酸(イ)
    と、3成分からなる共重合ポリアミド酸(ロ)との混合
    重量(固形分)比が、1/9〜9/1の範囲であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリ
    イミドブレンドフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記ジアミノジフェニルエーテルが、
    4,4’−ジアミノジフェニルエーテルであることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイミ
    ドブレンドフィルム。
  6. 【請求項6】 前記フェニレンジアミンがp−フェニレ
    ンジアミンであり、前記ジアミノジフェニルエーテルが
    4,4’−ジアミノジフェニルエーテルであることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリイミ
    ドブレンドフィルム。
  7. 【請求項7】 下記(A)−1〜(A)−3のいずれか
    の工程によりポリアミド酸組成物溶液を形成した後、下
    記(B)、(C)および(D)の各工程を順次行うこと
    を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリ
    イミドブレンドフィルムの製造方法。◎ (A)−1 ピロメリット酸二無水物およびフェニレン
    ジアミンを、反応槽Aに加えて不活性な溶剤中で反応さ
    せることにより2成分からなるポリアミド酸(イ)を形
    成する一方、別途ピロメリット酸二無水物、ジアミノジ
    フェニルエーテルおよびフェニレンジアミンを、反応槽
    Bに加えて不活性な溶剤中で反応させることにより3成
    分からなる共重合ポリアミド酸(ロ)を形成した後、前
    記反応槽A中の2成分からなるポリアミド酸(イ)を、
    前記反応槽Bへ送り込み混合するか、前記反応槽B中の
    3成分からなる共重合ポリアミド酸(ロ)を、前記反応
    槽Aへ送り込み混合するか、または前記反応槽A中の2
    成分ポリアミド酸(イ)および前記反応槽B中の3成分
    からなる共重合ポリアミド酸(ロ)の両者を、反応槽C
    へ送り込み混合する工程、 (A)−2 ピロメリット酸二無水物およびフェニレン
    ジアミンを実質的に等モルとなるように反応槽Aに加え
    て不活性な溶剤中で反応させることにより2成分からな
    るポリアミド酸(イ)を形成し、引き続き前記反応槽A
    中にピロメリット酸二無水物、ジアミノジフェニルエー
    テルおよびフェニレンジアミンを、ジアミンおよび酸二
    無水物が実質的に等モルとなるように加えて反応させる
    ことにより3成分からなる共重合ポリアミド酸(ロ)を
    形成させながら、前記2成分からなるポリアミド酸
    (イ)および3成分からなる共重合ポリアミド酸(ロ)
    を混合する工程、 (A)−3 ピロメリット酸二無水物、ジアミノジフェ
    ニルエーテルおよびフェニレンジアミンを、ジアミンお
    よび酸二無水物が実質的に等モルとなるように反応槽A
    に加えて不活性な溶剤中で反応させることにより3成分
    からなる共重合ポリアミド酸(ロ)を形成し、引き続き
    前記反応槽A中にピロメリット酸二無水物およびフェニ
    レンジアミンを実質的に等モルとなるように加えて反応
    させることにより2成分からなる共重合ポリアミド酸
    (イ)を形成させながら、前記3成分からなる共重合ポ
    リアミド酸(ロ)および2成分共重合ポリアミド酸
    (イ)を混合する工程、 (B)前記工程(A)−1〜(A)−3のいずれかから
    のポリアミド酸組成物溶液に、ポリアミド酸および共重
    合ポリアミド酸をポリイミドに転化することのできる転
    化用薬剤を混合する工程、 (C)前記工程(B)からの混合物を平滑面上にキャス
    トまたは押出しすることにより、共重合ポリアミド酸−
    共重合ポリイミドゲルフィルムを形成する工程、および (D)前記工程(C)からのゲルフィルムを、200℃
    〜500℃の温度で加熱して共重合ポリアミド酸を共重
    合ポリイミドに変換する工程。
  8. 【請求項8】 前記(A)−1工程および(B)工程に
    おいて、反応槽Aにおいて2成分からなるポリアミド酸
    (イ)を形成した後、さらにイミド転化剤を加えると共
    に、反応槽Bにおいて3成分からなるポリアミド酸
    (ロ)を形成した後、さらにイミド転化剤を加え、しか
    る後、前記反応槽A中の2成分ポリアミド酸(イ)およ
    び前記反応槽B中の3成分からなる共重合ポリアミド酸
    (ロ)の両者を、反応槽Cへ送り込み混合することを特
    徴とする請求項7に記載のポリイミドブレンドフィルム
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記(A)−2工程および(B)工程に
    おいて、反応槽Aにおいて2成分からなるポリアミド酸
    (イ)を形成した後、さらにイミド転化剤を加え、引き
    続き前記反応槽Aにおいて3成分からなる共重合ポリア
    ミド酸(ロ)を形成した後、混合しながら、さらにイミ
    ド転化剤を加えることを特徴とする請求項7に記載のポ
    リイミドブレンドフィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記(A)−3工程および(B)工程
    において、反応槽Aにおいて3成分からなる共重合ポリ
    アミド酸(ロ)を形成した後、さらにイミド転化剤を加
    え、引き続き前記反応槽Aにおいて2成分からなるポリ
    アミド酸(イ)を形成した後、混合しながら、さらにイ
    ミド転化剤を加えることを特徴とする請求項7に記載の
    ポリイミドブレンドフィルムの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記2成分からなるポリアミド酸
    (イ)と、3成分からなる共重合ポリアミド酸(ロ)と
    の混合重量(固形分)比が、1/9〜9/1の範囲であ
    ることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記
    載のポリイミドブレンドフィルムの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記(A)−1〜(A)−3の各工程
    を、−50℃〜100℃の温度範囲で行うことを特徴と
    する請求項7〜11のいずれか1項に記載のポリイミド
    ブレンドフィルムの製造方法。
  13. 【請求項13】 前記(A)−1〜(A)−3の各工程
    を、ポリマー固形分濃度が5〜50重量%の範囲で行う
    ことを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載
    のポリイミドブレンドフィルムの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記フェニレンジアミンがp−フェニ
    レンジアミンであり、ジアミノジフェニルエーテルが
    4、4’ージアミノジフェニルエーテルであることを特
    徴とする請求項7〜13のいずれか1項に記載のポリイ
    ミドブレンドフィルムの製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の
    ポリイミドブレンドフィルムを基材として、その表面に
    金属配線を施してなることを特徴とする可撓性の印刷回
    路またはテープ自動化接合テープ用の金属配線回路板。
JP10313974A 1998-10-16 1998-10-16 ポリイミドブレンドフィルム、その製造方法およびこれを基材とした金属配線回路板 Pending JP2000119418A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10313974A JP2000119418A (ja) 1998-10-16 1998-10-16 ポリイミドブレンドフィルム、その製造方法およびこれを基材とした金属配線回路板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10313974A JP2000119418A (ja) 1998-10-16 1998-10-16 ポリイミドブレンドフィルム、その製造方法およびこれを基材とした金属配線回路板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000119418A true JP2000119418A (ja) 2000-04-25

Family

ID=18047732

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10313974A Pending JP2000119418A (ja) 1998-10-16 1998-10-16 ポリイミドブレンドフィルム、その製造方法およびこれを基材とした金属配線回路板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000119418A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1184407A1 (en) * 2000-08-24 2002-03-06 DuPont-Toray Co., Ltd. Polyimide film, method of manufacture, and metal interconnect board with polyimide film substrate
JP2002138152A (ja) * 2000-08-24 2002-05-14 Du Pont Toray Co Ltd ポリイミドフィルム、その製造方法およびこれを基材とした金属配線板
WO2004031270A1 (ja) * 2002-10-07 2004-04-15 Teijin Limited ポリイミドフィルムおよびその製造法
KR20160063715A (ko) * 2014-11-27 2016-06-07 연세대학교 원주산학협력단 수용성 폴리아믹산을 사용한 폴리이미드 블렌드 제조방법
CN111087811A (zh) * 2018-10-23 2020-05-01 中国石油化工股份有限公司 聚酰亚胺前驱体及其制备方法和应用

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1184407A1 (en) * 2000-08-24 2002-03-06 DuPont-Toray Co., Ltd. Polyimide film, method of manufacture, and metal interconnect board with polyimide film substrate
JP2002138152A (ja) * 2000-08-24 2002-05-14 Du Pont Toray Co Ltd ポリイミドフィルム、その製造方法およびこれを基材とした金属配線板
US6555238B2 (en) 2000-08-24 2003-04-29 Dupont-Toray Co. Ltd. Polyimide film, method of manufacture, and metal interconnect board with polyimide film substrate
WO2004031270A1 (ja) * 2002-10-07 2004-04-15 Teijin Limited ポリイミドフィルムおよびその製造法
KR20160063715A (ko) * 2014-11-27 2016-06-07 연세대학교 원주산학협력단 수용성 폴리아믹산을 사용한 폴리이미드 블렌드 제조방법
KR101654431B1 (ko) * 2014-11-27 2016-09-05 연세대학교 원주산학협력단 수용성 폴리아믹산을 사용한 폴리이미드 블렌드 제조방법
CN111087811A (zh) * 2018-10-23 2020-05-01 中国石油化工股份有限公司 聚酰亚胺前驱体及其制备方法和应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI408200B (zh) 新穎之聚醯亞胺膜、使用其所得之黏著膜、及可撓性金屬貼合積層板
EP1182222B1 (en) Polyimide film, method of manufacture, and metal interconnect board with polyimide film substrate
US6133408A (en) Polyimide resin for cast on copper laminate and laminate produced therefrom
US6908685B2 (en) Polyimide film, method of manufacture, and metal interconnect board with polyimide film substrate
EP0598911B1 (en) Film adhesive and production thereof
JPS62282486A (ja) フレキシブルプリント基板
JP3102622B2 (ja) 金属箔積層ポリイミドフィルム
JP4260530B2 (ja) ポリイミドフィルムの製造方法
JP2006336011A (ja) ポリイミド樹脂及びその製造方法
EP1184407B1 (en) Polyimide film, method of manufacture, and metal interconnect board with polyimide film substrate
KR101170201B1 (ko) 배선 기판용 적층체
JP2000119521A (ja) 共重合ポリイミドフィルム、その製造方法およびこれを基材とした金属配線回路板
JP2009028993A (ja) 配線基板用積層体
EP1313795B1 (en) Polyimide film, method of manufacture, and metal interconnect board with polyimide film substrate
JP3067128B2 (ja) 金属箔積層ポリイミドフィルムの製造法
JP2003176370A (ja) ポリイミドフィルム、その製造方法およびこれを基材とした金属配線板
JPH0686534B2 (ja) フレキシブルプリント回路基板の製造法
JPH10298286A (ja) ブロック成分を有する共重合ポリイミドフィルム、その製造方法およびそれを基材とした金属配線回路板
JP2000080178A (ja) 共重合ポリイミドフィルム、その製造方法およびこれを基材とした金属配線板
JP2000080165A (ja) 共重合ポリイミドフィルム、その製造方法およびこれを基材とした金属配線板
JP2000119418A (ja) ポリイミドブレンドフィルム、その製造方法およびこれを基材とした金属配線回路板
JP2002155140A (ja) ポリイミドフィルム、その製造方法およびこれを基材とした金属配線板
JP2000119419A (ja) 共重合ポリイミドフィルム、その製造方法およびこれを基材とした金属配線回路板
JP3932506B2 (ja) ポリイミドフィルム、印刷回路および金属配線板
JP2003073473A (ja) ポリイミドフィルム、その製造方法および用途

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20040322

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20040322