JP2002137366A - 直描型平版印刷版の管理方法 - Google Patents

直描型平版印刷版の管理方法

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JP2002137366A
JP2002137366A JP2000334408A JP2000334408A JP2002137366A JP 2002137366 A JP2002137366 A JP 2002137366A JP 2000334408 A JP2000334408 A JP 2000334408A JP 2000334408 A JP2000334408 A JP 2000334408A JP 2002137366 A JP2002137366 A JP 2002137366A
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lithographic printing
direct
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dot area
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JP2000334408A
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English (en)
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Koichi Nagase
公一 長瀬
Yoshiyuki Kuriyama
喜行 栗山
Seigo Miyaguchi
生吾 宮口
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】網点面積率を正確に測定することにより、印刷
時のインキ供給量の調整を行い、また、印刷版の原デー
タに対する再現性を確認することのできる直描型平版印
刷版の管理方法を提供する。 【解決手段】網点面積率が既知のパターンを形成した直
描型平版印刷版の該パターンの反射吸光度を測定した
後、網点面積率と反射吸光度の値との関係が単調増加、
もしくは単調減少の関係にあることを確認し、この測定
値から網点面積率(Y)と反射吸光度(X)の関係を求
め、網点面積率が未知のパターンを形成した直描型平版
印刷版の画線部の反射吸光度を測定し、得られた関係か
ら網点面積率を推定しさらにこの推定値を基に、直描型
平版印刷版で印刷するのに適したインキ供給量を調整す
る直描型平版印刷版を用いた印刷の管理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光で直接
製版できる直描型平版印刷版の網点面積率の推定方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】製版用フィルムを使用しないで、原稿か
ら直接オフセット印刷版を作製する、いわゆる直描型製
版は、熟練度を必要としない簡易性、短時間で印刷版が
得られる迅速性、多様なシステムから品質とコストに応
じて選択可能である合理性などの特徴を生かして、軽印
刷業界のみでなく、一般オフセット印刷、フレキソ印刷
の分野にも進出し始めている。
【0003】特に最近では、プリプレスシステムやイメ
ージセッター、レーザープリンタなどの出力システムの
急激な進歩によって新しいタイプの各種直描型平版印刷
版が開発されている。
【0004】しかし、従来の製版用フィルムを用いたシ
ステムでは、網点面積率の測定方法としては、黒白のコ
ントラストの明確なフィルムの透過濃度を測定すること
によって容易に網点面積率を測定することが可能であ
り、その結果を元に印刷時のインキ供給量の調整を行う
ことが可能であったが、直描型製版システムでは、製版
用フィルムを用いることが無いため、網点面積率を測定
することができず、印刷時のインキ供給量の調整を行う
ことができない、もしくは印刷版から原データの再現性
を確認できないという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来技
術の欠点を改良するため、新たな直描型平版印刷版の管
理方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は主として以下の構成を有する。すなわち、
「以下の(1)〜(5)の工程からなることを特徴とす
る、原画フィルムを用いることなくレーザー光を照射し
て印刷版原版上に画像形成した直描型平版印刷版を用い
た印刷の管理方法。 (1)網点面積率が既知のパターンを形成した直描型平
版印刷版の該パターンの反射吸光度を測定する (2)網点面積率と反射吸光度の値との関係が単調増
加、もしくは単調減少の関係にあることを確認し、この
測定値から網点面積率(Y)と反射吸光度(X)の関係
を求める (3)網点面積率が未知のパターンを形成した直描型平
版印刷版の画線部の反射吸光度を測定する (4)(2)で得られた関係から網点面積率を推定する (5)(4)の推定値を基に(3)で作製した直描型平
版印刷版で印刷するのに適したインキ供給量を調整す
る。」 もしくは、「以下の(1)〜(5)の工程からなること
を特徴とする、原画フィルムを用いることなくレーザー
光を照射して印刷版原版上に画像形成した直描型平版印
刷版の管理方法。 (1)網点面積率が既知のパターンを形成した直描型平
版印刷版の該パターンの反射吸光度を測定する (2)網点面積率と反射吸光度の値との関係が単調増
加、もしくは単調減少の関係にあることを確認し、この
測定値から網点面積率(Y)と反射吸光度(X)の関係
を求める (3)網点面積率が未知のパターンを形成した直描型平
版印刷版の画線部の反射吸光度を測定する (4)(2)で得られた関係から網点面積率を推定する (5)(4)の推定値を基に(3)で作製した直描型平
版印刷版の原データに対する再現性を確認する。」であ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳しく説明する。
【0008】本発明は、以下の(1)〜(5)の工程か
らなることを特徴とする、原画フィルムを用いることな
くレーザー光を照射して印刷版原版上に画像形成した直
描型平版印刷版を用いた印刷の管理方法。 (1)網点面積率が既知のパターンを形成した直描型平
版印刷版の該パターンの反射吸光度を測定する (2)網点面積率と反射吸光度の値との関係が単調増
加、もしくは単調減少の関係にあることを確認し、この
測定値から網点面積率(Y)と反射吸光度(X)の関係
を求める (3)網点面積率が未知のパターンを形成した直描型平
版印刷版の画線部の反射吸光度を測定する (4)(2)で得られた関係から網点面積率を推定する (5)(4)の推定値を基に(3)で作製した直描型平
版印刷版で印刷するのに適したインキ供給量を調整す
る。もしくは、以下の(1)〜(5)の工程からなるこ
とを特徴とする、原画フィルムを用いることなくレーザ
ー光を照射して印刷版原版上に画像形成した直描型平版
印刷版の管理方法。 (1)網点面積率が既知のパターンを形成した直描型平
版印刷版の該パターンの反射吸光度を測定する (2)網点面積率と反射吸光度の値との関係が単調増
加、もしくは単調減少の関係にあることを確認し、この
測定値から網点面積率(Y)と反射吸光度(X)の関係
を求める (3)網点面積率が未知のパターンを形成した直描型平
版印刷版の画線部の反射吸光度を測定する (4)(2)で得られた関係から網点面積率を推定する (5)(4)の推定値を基に(3)で作製した直描型平
版印刷版の原データに対する再現性を確認する。
【0009】ここで、面積率と反射吸光度の関係が単調
増加、もしくは減少する関係でなければ、面積率に対す
る反射吸光度が一義的に決定されないため、面積率を推
定することが不可能となる。
【0010】本発明の網点面積率(Y)と反射吸光度
(X)の関係とは、何らかの関係式を用いてY=f
(X)のような形式にするか、もしくは近似的にYとX
の関係をグラフにすることを意味する。
【0011】得られた網点面積率からインキ供給量を調
整することは、インキ壺からのインキ供給を調整するブ
レードの抑えネジの押しつけ圧を網点面積率が高ければ
小さく、面積率が低ければ大きくなるように調整し、イ
ンキ供給が版面全体に均一になるようにすることであ
る。
【0012】また、原データとはレーザー光を照射する
パターンを決めるコンピューター上のデータを意味し、
コンピューター上の網点面積率が再現されているかどう
かを、本方法で印刷版上で確認することができる。
【0013】本発明の管理方法は、基板上に、少なくと
も感熱層、インキ反発層をこの順に有する直描型平版印
刷版原版にレーザー光を照射して、レーザー光照射部の
インキ反発層を除去した後に、インキ反発層が除去され
た画線部を染色液で染色することによって得られる直描
型平版印刷版に用いることが好ましい。この理由として
は、インキ反発層を除去することによって画線部を形成
する直描型平版印刷版では、画線部、非画線部ともに感
熱層が残るため、一般に無着色のインキ反発層のあるな
しだけではコントラストがつきにくく、画線部を染色液
で染色を行う必要があるが、染色液で一様に染色するこ
とによって、網点面積率と反射濃度との関係が単調増
加、もしくは単調減少する関係を得ることが可能とな
り、本発明の管理方法を適用することができるためであ
る。
【0014】さらに染色液中の染料の吸収極大波長にお
ける、インキ反発層が除去されていない非画線部の染色
後の反射吸光度(A)と前記画線部の染色後の反射吸光
度(B)との差が0.3以上、2.0以下であることが
好ましい。
【0015】ここで、該染料の吸収極大波長におけるイ
ンキ反発層が除去されていない非画線部の反射吸光度
(A)と染色後の画線部の反射吸光度(B)との差が
0.3以上であれば、画線部と非画線部の差が大きくな
り、網点面積率の差に由来する反射吸光度の差が顕著と
なる。また、吸光度の差が2.0以下であれば染色を行
うことが容易である。また、反射吸光度の差が0.5以
上1.5以下が好ましい。
【0016】本発明では、網点面積率を推定する方法に
ついて検討した結果、このような反射吸光度の差が得ら
れれば好ましいことを見出した。また、このような反射
吸光度の差を得る方法としては、染色に用いる染料と版
材の吸収の関係が重要となり、染料を固定するのであれ
ば、染料の吸収位置にピークを持つ版材の構成成分を変
更するなどして、版材の吸収を変化させることが必要と
なり、版材の吸収を固定すれば、吸収が重ならない染料
を選択する必要がある。
【0017】反射吸光度を測定する方法としては、紫
外、可視分光光度計で積分球を用いて測定することがで
きる。具体的には、画線部、非画線部で反射吸光度の差
が最大となる波長を選び、その波長を用いて対象となる
版材の吸光度をU−3210紫外−可視分光光度計
((株)日立製作所製)を用い、積分球装置を装着して
測定を行うことができる。
【0018】本発明の染色液に用いられる染料として
は、塩基性染料、酸性染料、直接染料、分散染料、およ
び反応性染料などの中から単独で、あるいは2種以上の
ものを混合して用いることができる。なかでも、水溶性
の塩基性染料および酸性染料が好ましく用いられる。
【0019】塩基性染料としては、”クリスタルバイオ
レット”、”エチルバイオレット”、”ビクトリアピュ
アブルー”、”ビクトリアブルー”、”メチルバイオレ
ット”、”DIABACIS MAGENTA”(三菱化学(株)
製)、”AIZEN BASIC CYANINE 6GH”(保土ヶ谷化学工
業(株)製)、”PRIMOCYANINE BX CONC.”(住友化学
(株)製)、”ASTRAZON BLUE G”(FARBENFARRIKEN BA
YER 製)、”DIACRYL SUPRABRILLIANT 2B”(三菱化学
(株)製)、”AIZEN CATHILON TURQUOISE BLUE LH”
(保土ヶ谷化学工業(株)製)、”AIZEN DIAMOND GREE
N GH”(保土ヶ谷化学工業(株)製)、”AIZEN MALACH
ITE GREEN”(保土ヶ谷化学工業(株)製)などが用い
られる。
【0020】酸性染料としては、”ACID VIORET 5B”
(保土ヶ谷化学工業(株)製)、”KITON BLUE A”(CI
BA 製)、”PATENT BLUE AF”(BASF 製)、”RAKUTO B
RILLIANT BLUE FCF”(洛東化学工業(株)製)、”BRI
LLIANT ACID BLUE R”(GEIGY製)、”KAYANOL CYANINE
6B”(日本化薬(株)製)、”SUPRANOL CYANINE G”
(FARBENFARRIKEN BAYER 製)、”ORIENT SOLUBLE BLUE
OBB”(オリエント化学工業(株)製)、”ACID BRILL
IANT BLUE 5G”(中外化成(株)製)、”ACID BRILLIA
NT BLUE FFR”(中外化成(株)製)、”ACID GREEN GB
H”(高岡化学工業(株)製)、”ACID BRILLIANT MILL
ING GREEN B”(保土ヶ谷化学工業(株)製)などが用
いられる。
【0021】これら染料の染色液中の含有量は、0.0
1重量%〜10重量%が好ましく、0.1重量%〜5重
量%がより好ましい。
【0022】本発明に用いられる染色液の溶媒として
は、水、アルコール類、グリコール類、グリコールモノ
アルキルエーテル類、グリコールジアルキルエーテル類
が用いられ、これらの溶媒は単独あるいは2種以上混合
して用いられる。グリコール類、グリコールモノアルキ
ルエーテル類、グリコールジアルキルエーテル類は処理
液としての効果を有するので、仮に現像工程でレーザー
照射部のシリコーンゴム層が現像できず付着していて
も、後処理工程で現像させることもできる。
【0023】その他、染色助剤、有機酸、無機酸、消泡
剤、可塑剤、界面活性剤を任意に添加してもよい。
【0024】染色液の温度は任意でよいが、10℃〜5
0℃が好ましい。また、現像液中に上記染料を添加して
おいて、現像と同時に画像部の染色化を行うこともでき
る。
【0025】このような染色液を含浸した不織布、脱脂
綿、布、スポンジ等で版面を拭くことによって、あるい
は染色液などをシャワーした後、ブラシで擦ることによ
ってインキ反発層が除去された画線部を染色することが
できる。
【0026】本発明では、直描型平版印刷版原版を、レ
ーザー光で画像状に露光する。
【0027】本発明の製版露光工程で用いられるレーザ
ー光源としては、発光波長領域が300nm〜1500
nmの範囲にあるものが用いられるが、これらの中でも
近赤外領域付近に発光波長領域が存在する半導体レーザ
ーやYAGレーザーが好ましく用いられる。
【0028】具体的には、明室での版材の取扱い性など
の観点から、780nm、830nm、1064nmの
波長のレーザー光が製版に好ましく用いられる。
【0029】レーザー照射後の原版は、水または有機溶
剤の存在下もしくは非存在下での摩擦処理により現像が
なされる。摩擦処理は、処理液を含浸した不織布、脱脂
綿、布、スポンジ等で版面を拭き取ることによって、あ
るいは下記の処理液で版面を前処理した後に水道水など
をシャワーしながら回転ブラシで擦ることによって行う
ことができる。
【0030】現像処理を行う場合に使用される処理液と
しては、例えば、水や水に界面活性剤を添加したもの、
さらには水にアルコールやケトン、エステル、カルボン
酸などの極性溶媒を添加したものや、脂肪族炭化水素
類、芳香族炭化水素類などの少なくとも1種類からなる
溶媒に極性溶媒を少なくとも1種類添加したもの、ある
いは極性溶媒が用いられる。また、上記の処理液組成に
は、公知の界面活性剤を添加することも自由に行われ
る。さらにアルカリ剤、例えば炭酸ナトリウム、モノエ
タノールアミン、ジエタノールアミン、ジグリコールア
ミン、モノグリコールアミン、ケイ酸ナトリウム、水酸
化カリウム、ホウ酸ナトリウムなどを添加することもで
きる。これらの中では、水あるいは水に界面活性剤を添
加したものが好ましい。
【0031】また、染色後に版面に処理液や染色液が浸
透したままになっていると、経時により非画線部のシリ
コーンゴム層が剥離しやすくなる場合があるため、処理
液や染色液を版面から完全に洗い落とす水洗工程を設け
てもよい。水洗水の温度は任意でよいが、10℃〜50
℃が好ましい。
【0032】次に本発明における感熱層について説明す
る。
【0033】本発明における感熱層については、染色液
の染料の吸収極大波長におけるインキ反発層が除去され
ていない非画線部の反射濃度計を用いて測定した吸光度
(A)と染色後の画線部の吸光度(B)との差が0.3
以上2.0以下である必要があるため、染色液の染料の
吸収極大波長における反射濃度計を用いた吸光度が1.
0以下であることが好ましい。
【0034】また、感熱層が(a)レーザー照射の作用
で分解し得る化合物、および(b)熱硬化性の化合物、
を含有することが好ましい。
【0035】(a)レーザー照射の作用で分解し得る化
合物としては、(a1)その化合物自体はレーザー光を
吸収しないが、レーザー光を吸収する別の化合物の作用
により化合物が分解する場合と、(a2)その化合物自
体がレーザー光を吸収して分解する場合、が挙げられ
る。
【0036】(a1)その化合物自体はレーザー光を吸
収しないが、レーザー光を吸収する別の化合物の作用に
より分解する化合物としては、硝酸アンモニウム、硝酸
カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸エステル化合物、ニト
ロセルロース等のニトロ化合物や、過酸化ベンゾイル、
過安息香酸エステルなどの有機過酸化物、無機過酸化
物、ポリビニルピロリドン、アゾジカルボンアミド、ア
ゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、N,N’
−ジニトロペンタメチレンテトラミンなどのニトロソ化
合物、アジド化合物、ジアゾ化合物あるいはp−トルエ
ンスルホニルヒドラジン、p,p’−オキシビス(ベン
ゼンスルホヒドラジン)などのスルホニルヒドラジド化
合物、さらにはその他の低分子、高分子ヒドラジン誘導
体、などを挙げることが出来る。
【0037】さらには、レーザー光の作用で酸やアミン
を発生する化合物と、発生した酸あるいはアミンの作用
で分解する化合物も、本発明に使用することが出来る。
【0038】このような化合物は、感熱層中の全固形分
に対し、0.1〜70重量%、好ましくは1〜50重量
%、さらに好ましくは5〜30重量%を添加することが
出来る。
【0039】また、レーザー光を吸収する別の化合物と
しては、公知の光熱変換物質を挙げることが出来る。
【0040】光熱変換物質の具体例としては、赤外線ま
たは近赤外線を吸収する色素、特に染料が光熱変換物質
として好ましく使用される。
【0041】特に好ましい色素としては、シアニン系、
フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、ジチオール金
属錯体系、ピアズレニウム系、スクアリリウム系、クロ
コニウム系、アゾ系分散色素、ビスアゾ系、ビスアゾス
チルベン系、ナフトキノン系、アントラキノン系、ペリ
レン系、ポリメチン系、インドアニリン金属錯体染料、
分子間型CT系、ベンゾチオピラン系、スピロピラン
系、ニグロシン系、チオインジゴ系、ニトロソ系、キノ
リン系、フルギド系の色素、特に染料などが挙げられ
る。
【0042】これら光熱変換物質の含有量は、全感熱層
固形物に対して1〜40重量%が好ましく、より好まし
くは5〜25重量%である。1重量%以上であればレー
ザー光に対する感度の向上効果が著しく、40重量%以
下であれば印刷版の耐刷性の低下もみられない。
【0043】(a2)レーザー光を吸収してそれ自体が
分解する化合物としては、上記の光熱変換作用を示す染
料のうち、比較的分解しやすいものを挙げることが出来
る。
【0044】特に好ましい色素としては、シアニン系、
フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、ジチオール金
属錯体系、ピアズレニウム系、スクアリリウム系、クロ
コニウム系、アゾ系分散色素、ビスアゾ系、ビスアゾス
チルベン系、ナフトキノン系、アントラキノン系、ペリ
レン系、ポリメチン系、インドアニリン金属錯体染料、
分子間型CT系、ベンゾチオピラン系、スピロピラン
系、ニグロシン系、チオインジゴ系、ニトロソ系、キノ
リン系、フルギド系の色素、特に染料などが挙げられ
る。
【0045】このような(a)レーザー照射の作用で分
解し得る化合物としては、ポリメチン系近赤外吸収染
料、フタロシアニン系近赤外吸収染料、シアニン系近赤
外吸収染料、ジチオール金属錯体系近赤外吸収染料など
が好ましく、さらにはこれら近赤外吸収染料と有機過酸
化物、アゾ化合物、アジド化合物、ジアゾ化合物、ヒド
ラジン誘導体から選ばれる少なくとも1種の組み合わせ
が好ましい。
【0046】これら(a)レーザー照射の作用で分解し
得る化合物の含有量は、全感熱層固形物に対して1〜4
0重量%が好ましく、より好ましくは5〜25重量%で
ある。1重量%以上であればレーザー光に対する感度の
向上効果が著しく、40重量%以下であれば印刷版の耐
刷性の低下もみられない。
【0047】本発明における(b)熱硬化性の化合物と
は、印刷版原版の感熱層中にあって、レーザー照射の作
用で直接あるいは間接的に熱硬化し得る性能を依然とし
て有している化合物群のことを言う。
【0048】このような(b)熱硬化性の化合物として
は、フェノール、クレゾール、キシレノールなどのフェ
ノール類とホルムアルデヒドの縮合反応により得られる
ノボラック樹脂やレゾール樹脂、フェノール・フルフラ
ール樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド
樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、エ
ポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリウレ
タン樹脂、ポリイミド前駆体などを挙げることが出来る
が、これらに限定されるものではない。
【0049】また、上記のごとく樹脂自体が反応するも
のの他に、反応性の官能基を有する化合物に熱反応性の
架橋剤を添加した組成物も、(b)熱硬化性の化合物と
して本発明に使用することが出来る。
【0050】架橋剤としては架橋性を有する公知の多官
能性化合物が挙げられ、多官能ブロックドイソシアネー
ト、多官能エポキシ化合物、多官能アクリレート化合
物、金属キレート化合物、多官能アルデヒド、多官能メ
ルカプト化合物、多官能アルコキシシリル化合物、多官
能アミン化合物、多官能カルボン酸、多官能ビニル化合
物、多官能ジアゾニウム塩、多官能アジド化合物、ヒド
ラジンなどが挙げられる。
【0051】また、上記架橋剤の反応を促進するために
公知の触媒を添加してもよい。
【0052】これらの架橋剤は単独または2種以上を混
合して使用することも可能である。さらには、熱の作用
で酸やアミンを発生する化合物と、発生した酸あるいは
アミンの作用で硬化する化合物も本発明に使用すること
が出来る。
【0053】このような熱硬化性の化合物の中では、フ
ェノール樹脂と金属キレート化合物の組み合わせが特に
好ましい。
【0054】このような(b)熱硬化性の化合物の感熱
層中に占める割合としては、全感熱層全固形物に対して
10〜95重量%、さらには30〜70重量%であるこ
とが好ましい。熱硬化性の化合物の量が10重量%以上
であれば、感熱層の熱硬化による画線部感熱層の耐溶剤
性の向上効果が乏しくなることがない。一方、95重量
%以下であれば、相対的に熱分解性化合物や光熱変換物
質が少なくなることによるレーザー照射による画像形成
性に問題を生じることもない。
【0055】その他、感熱層中にはバインダーポリマー
や界面活性剤、各種添加剤を含有してもよい。
【0056】バインダーポリマーの具体例としては、ポ
リメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートな
どのアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの単独
重合体および共重合体、ポリスチレン、α−メチルスチ
レン、ヒドロキシスチレンなどのスチレン系モノマーの
単独重合体および共重合体、イソプレン、スチレン−ブ
タジエンなどの各種合成ゴム類、ポリ酢酸ビニル、塩化
ビニルなどのビニルエステル類の単独重合体および共重
合体、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキシ
ドなどのポリオキシド類(ポリエーテル類)、ポリエス
テル類、ポリウレタン類、ポリアミド類、エチルセルロ
ース、セルロースアセテートなどのセルロース誘導体
類、フェノキシ樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリパラキ
シリレン樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂などが
挙げられる。
【0057】これらのバインダーの含有量は、全感熱層
固形物に対して5〜70重量%が好ましく、より好まし
くは10〜50重量%である。含有量が5%以上であれ
ば耐刷性や塗液の塗工性に問題が生じることがなく、7
0重量%以下であれば画像再現性への悪影響が小さい。
【0058】感熱層の厚さは、被覆層にして0.1〜1
0g/m2であると、印刷版の耐刷性や、希釈溶剤を揮
散し易く生産性に優れる点で好ましく、より好ましくは
1〜7g/m2である。
【0059】このような感熱層を有する直描型平版印刷
版原版にレーザーが照射されると、感熱層表面において
は、光熱変換物質の働きで(a)レーザー光の作用で分
解し得る化合物が分解する。光熱変換物質自体がレーザ
ー光の作用で分解する場合もある。また、その際、窒
素、酸素などのガスを発生することが好ましい。このよ
うな化合物の分解、さらにはガスの作用で、シリコーン
ゴム層と感熱層間の接着力が弱められる。
【0060】一方、レーザー照射部の感熱層内部におい
ては、(b)熱硬化性の化合物の硬化が進行する。その
結果、レーザー照射部の感熱層の耐溶剤性が高められ
る。これらの結果、その後の現像処理によりレーザー照
射部の感熱層の極表面とシリコーンゴム層のみが剥離さ
れた印刷版が得られる。
【0061】このようにして得られた版においては、画
線部感熱層の耐溶剤性は高く、残存しているため、微小
網点の再現性やインキマイレージが良好であるというメ
リットを有する。
【0062】本発明における直描型平版印刷版原版のイ
ンキ反発層としては、ビニルアルコール類などからなる
親水性層、アクリル酸やアクリル酸塩、スルホン酸やス
ルホン酸塩などを含む親水性層、特開平8−28214
2号公報、特開平8−282144号公報、特開平8−
292558号公報、特開平9−54425号公報など
で提案されている親水性膨潤層や、シリコーンゴム層、
フッ素化合物を含有する層などを用いることが出来る
が、好ましくはシリコーンゴム層である。シリコーンゴ
ム層としては、付加重合型のもの、縮合重合型のものい
ずれも用いられる。
【0063】付加重合型のシリコーンゴム層を構成する
成分としては、ビニル基含有ポリジメチルシロキサン、
SiH基含有ポリシロキサン、さらには硬化速度を制御
する目的で反応抑制剤、および硬化触媒を含む。
【0064】ビニル基含有ポリジメチルシロキサンは、
下記一般式(I)で表される構造を有し、分子末端およ
び/または主鎖中にビニル基を有するものである。
【0065】
【化1】 (式中、nは2以上の整数を示し、R1、R2は炭素数1
〜50の置換あるいは非置換のアルキル基、炭素数2〜
50の置換あるいは非置換のアルケニル基、炭素数4〜
50の置換あるいは非置換のアリール基の群から選ばれ
る少なくとも1種の基を示し、それぞれ同一であっても
異なっていてもよい。) 上記式中のR1、R2は全体の50%以上がメチル基であ
ることが、印刷版のインキ反発性の面で好ましい。ま
た、分子量としては数千〜数十万のものが使用できる
が、その取扱い性や得られた印刷版のインキ反発性、耐
傷性などの観点から重量平均分子量1万〜20万、さら
には3万〜15万のものを用いることが好ましい。
【0066】SiH基含有ポリシロキサンとしては、分
子鎖中、または末端にSiH基を有する、例えば下記一
般式(II)〜(V)で表されるような化合物を挙げることが
できる。
【0067】
【化2】
【0068】
【化3】
【0069】
【化4】 (式(II)〜(IV)中、nは1以上の整数、mは1以上の整
数である。)
【0070】
【化5】
【0071】SiH基含有ポリシロキサン中におけるS
iH基の量としては、1分子中に2個以上、さらには3
個以上であることが好ましい。SiH基含有ポリシロキ
サンの添加量としては、シリコーンゴム層全組成物の3
〜20重量%であることが好ましく、さらに好ましくは
5〜15重量%である。ポリジメチルシロキサンとの量
比ということで言えば、SiH基/ポリジメチルシロキ
サンのビニル基のモル比が1.5〜30であることが好
ましく、さらに好ましくは10〜20である。このモル
比が1.5以上である場合には、シリコーンゴム層の硬
化が十分であり、30以下である場合にはゴムの物性の
脆化もなく、印刷版の耐傷性などに悪影響を与えること
もない。
【0072】反応抑制剤としては、含窒素化合物、リン
系化合物、不飽和アルコールなどが挙げられるが、アセ
チレン基含有のアルコールなどが好ましく用いられる。
反応抑制剤の好ましい添加量としては、シリコーンゴム
固形物中の0.01〜10重量%、さらに好ましくは1
〜5重量%である。
【0073】硬化触媒としては、III族遷移金属化合
物、好ましくは、白金化合物であり、具体的には白金単
体、塩化白金、塩化白金酸、オレフィン配位白金、白金
のアルコール変性錯体、白金のメチルビニルポリシロキ
サン錯体などを一例として挙げることができる。このよ
うな硬化触媒の量は、シリコーンゴム層中に固形分とし
て0.01〜20重量%、さらには0.1〜10重量%
であることが好ましい。添加する触媒量が0.01重量
%以上である場合にはシリコーンゴム層の硬化が十分と
なり、さらに感熱層との接着性に問題を生じない。他方
20重量%以下の場合にはシリコーンゴム層溶液のポッ
トライフに悪影響をもたらすこともない。シリコーンゴ
ム層組成物中における白金などの金属の量で言えば、1
0〜1000ppm、さらには100〜500ppmで
あることが好ましい。
【0074】また、これらの組成物の他に、縮合型シリ
コーンゴム層の組成物である水酸基含有オルガノポリシ
ロキサンや加水分解性官能基含有シランもしくは加水分
解性官能基含有シロキサン、ゴム強度を向上させる目的
でシリカなどの公知の充填剤、接着性を向上させる目的
で公知のシランカップリング剤、チタネート系カップリ
ング剤、アルミニウム系カップリング剤などを含有して
もよい。シランカップリング剤としては、アルコキシシ
ラン類、アセトキシシラン類、ケトキシミンシラン類等
が好ましく、特にビニル基を有するものや、ケトキシミ
ンシラン類が好ましい。
【0075】また、縮合重合型のシリコーンゴム層を構
成する成分としては、水酸基含有ポリジメチルシロキサ
ン、架橋剤(脱酢酸型、脱オキシム型、脱アルコール
型、脱アミン型、脱アセトン型、脱アミド型、脱アミノ
キシ型など)、および硬化触媒を含む。
【0076】水酸基含有ポリジメチルシロキサンも、上
記一般式(I)で表される構造を有する。水酸基は分子
末端および/もしくは主鎖中に位置することができる
が、好ましく用いられるものは分子量末端に水酸基を有
するものである。一般式中のR 1、R2については、同様
に全体の50%以上がメチル基であることが、印刷版の
インキ反発性の面で好ましい。分子量としては数千〜数
十万のものが使用できるが、その取扱い性や得られた印
刷版のインキ反発性、耐傷性などの観点から重量平均分
子量1万〜20万、さらには3万〜15万のものを用い
ることが好ましい。
【0077】縮合重合型のシリコーンゴム層で用いられ
る架橋剤としては、下記一般式(VI)で表される、アセ
トキシシラン類、アルコキシシラン類、ケトキシミンシ
ラン類、アリロキシシラン類などを挙げることができ
る。
【0078】(R34-nSiXn (VI) (式中、nは2〜4の整数を示し、R3は炭素数1以上
の置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、ア
リール基、またはこれらの組み合わされた基を示す。X
はハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケト
キシミン基、アミノオキシ基、アミド基、アルケニルオ
キシ基から選ばれる加水分解性の官能基を示す。)上記
式(VI)において、加水分解性基の数nは3または4で
あることが好ましい。
【0079】具体的な化合物としては、メチルトリアセ
トキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルト
リアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エ
チルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テト
ラプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリフェノキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
アリルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシ
シラン、ビニルトリスイソプロペノキシシラン、ビニル
メチルビス(メチルエチルケトキシミン)シラン、メチ
ルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン、ビニルト
リ(メチルエチルケトキシミン)シラン、テトラ(メチ
ルエチルケトキシミン)シラン、ジイソプロペノキシジ
メチルシラン、トリイソプロペノキシメチルシラン、テ
トラアリロキシシラン、などが挙げられるが、これらに
限定されるものではない。これらの中では、シリコーン
ゴム層の硬化速度、取扱い性などの観点から、アセトキ
シシラン類、ケトキシミンシラン類が好ましい。
【0080】一般式(VI)で表される架橋剤の添加量と
しては、シリコーンゴム層全固形物の1.5〜20重量
%であることが好ましく、さらに好ましくは3〜10重
量%である。ポリジメチルシロキサンとの量比というこ
とで言えば、官能基/ポリジメチルシロキサンの水酸基
のモル比が1.5〜10.0であることが好ましい。こ
のモル比が1.5以上である場合には、シリコーンゴム
層溶液のゲル化が起こらず、逆に10.0以下である場
合にはゴムの物性の脆化もなく、印刷版の耐傷性などに
悪影響を与えることもない。
【0081】硬化触媒としては、酢酸、プロピオン酸、
マレイン酸などの有機カルボン酸、トルエンスルホン
酸、ホウ酸等の酸類、水酸化カリウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化リチウム等のアルカリ、アミン、およびチタ
ンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシドなどの
金属アルコキシド、鉄アセチルアセトナート、チタンア
セチルアセトナートジプロポキシドなどの金属ジケテネ
ート、金属の有機酸塩などを挙げることが出来る。これ
らの中では、金属の有機酸塩を添加することが好まし
く、特に錫、鉛、亜鉛、鉄、コバルト、カルシウム、マ
ンガンから選ばれる金属の有機酸塩であることが好まし
い。このような化合物の具体例の一部としては、ジブチ
ル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル
錫ジラウレート、オクチル酸亜鉛、オクチル酸鉄などを
挙げることが出来る。このような硬化触媒の量は、シリ
コーンゴム層中に固形分として0.01〜20重量%、
さらには0.1〜10重量%であることが好ましい。添
加する触媒量が0.01重量%以上である場合にはシリ
コーンゴム層の硬化が十分となり、さらに感熱層との接
着性に問題を生じることもない。他方20重量%以下で
ある場合にはシリコーンゴム層溶液のポットライフに悪
影響をもたらすこともない。
【0082】また、これらの組成物の他に、ゴム強度を
向上させる目的でシリカなどの公知の充填剤、さらには
公知のシランカップリング剤を含有してもよい。これら
シリコーンゴム層の膜厚は0.5〜20g/m2が好ま
しく、1〜4g/m2がさらに好ましい。膜厚が0.5
g/m2以上である場合には印刷版のインキ反撥性や耐
傷性、耐刷性が低下もなく、20g/m2以下である場
合には経済的見地から有利であるばかりでなく、現像
性、インキマイレージも良好である。
【0083】本発明における直描型平版印刷版原版の基
板としては、寸法的に安定な板状物が用いられる。この
ような寸法的に安定な板状物としては、従来印刷版の基
板として仕様されたものが含まれ、それらを好適に使用
することができる。かかる基板としては、紙、ステンレ
ス、アルミニウムなどのような金属板、ポリエステル、
ポリエチレン、ポリプロピレンなどのようなプラスチッ
クフィルム、アルミニウムなどの金属がラミネートもし
くは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルムなどが
含まれる。これらの基板のうち、アルミニウム板は寸法
安定性に優れており、しかも安価であるので特に好まし
い。また、軽印刷用の基板として用いられる、ポリエチ
レンテレフタレートフィルムも好ましく使用される。な
お、透明な基板を用いた場合の吸光度の測定は、版の下
に白色の紙を置き、その上から濃度計によって吸光度を
測定することができる。
【0084】本発明における直描型平版印刷版原版は、
照射されたレーザーによる熱を基板に逃がすことを防ぐ
ため、断熱層を設けることが効果的である。基板とイン
キ受容層(感熱層)の接着性を強固にするために従来用
いられてきた公知のプライマー層をその代用として用い
てもよい。
【0085】本発明における直描型平版印刷版原版で断
熱層を使用する場合、次の条件を満たすことが好まし
い。すなわち、アルミ基板とインキ受容層(感熱層)と
をよく接着し、経時において安定であり、さらに現像
液、印刷時に使用する溶剤に対する耐性が高いという効
果が得られる。
【0086】このような条件を満たすものとして、エポ
キシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノ−ル樹脂、アクリ
ル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミ
ド樹脂、尿素樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、カゼイ
ン、ゼラチン等を含むものが挙げられる。これらの中で
は、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹
脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂等を単独で、あるいは2種
以上を混合して用いることが好ましい。
【0087】また、この断熱層中に顔料、染料等の添加
剤を含有させて検版性を向上させることも好ましい。
【0088】断熱層の厚さは被覆層にして0.5〜50
g/m2 が好ましく、1〜10g/m2がより好まし
い。厚さを0.5g/m2以上とすることにより基板表
面の形態欠陥および化学的悪影響の遮断効果が向上し、
50g/m2以下とすることにより経済的見地から有利
となる。
【0089】本発明における直描型平版印刷版原版に
は、インキ反発層を保護する目的で保護フィルムをラミ
ネートするかあるいは保護層を形成してもよい。保護フ
ィルムとしてはポリエステルフィルム、ポリプロピレン
フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン酢
酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、ポリ塩化ビニリデ
ンフィルムなどが挙げられる。
【0090】本発明における直描型水なし平版印刷版原
版の製造方法は、 基板上に、リバースロールコータ
ー、エアーナイフコーター、グラビアコーター、ダイコ
ーター、メーヤバーコーターなどの通常のコーターある
いはホエラーのような回転塗布装置を用い、必要に応じ
て断熱層組成物を塗布し100〜300℃で数分間加熱
あるいは活性光線照射により硬化させた後、インキ受容
層組成物を塗布し50〜180℃で数十秒から数分間加
熱乾燥、必要により硬化させる。
【0091】この後、シリコーンゴム組成物を塗布し5
0〜200℃の温度で数分間熱処理してシリコーンゴム
層を得る。その後、必要に応じて保護フィルムをラミネ
ートするか、あるいは保護層を形成する。
【0092】このようにして得られた直描型平版印刷版
原版を、保護フィルムを剥離してから、あるいは保護フ
ィルム上からレーザー光で画像状に露光する。
【0093】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。
【0094】実施例1 厚さ0.24mmの脱脂したアルミ板上に下記の組成よ
りなる溶液を塗布し、200℃×2分間乾燥し、3g/
2の断熱層を設けた。 <断熱層組成(固形分濃度19.6重量部)> (1)エポキシ・フェノール樹脂“カンコート”90T
−25−3094(関西ペイント(株)製):15重量
部 [溶媒成分] (1)ジメチルホルムアミド:85重量部 この断熱層の上に下記の感熱層を塗布した。乾燥膜厚は
1.0g/m2、熱処理は140℃×1分間である。 <感熱層1> (1)3−ブチル−1,1−ジメチル−2−[2[2−
ジフェニルアミノ−3−[(3−ブチル−1,3−ジヒ
ドロ−1,1−ジメチル−2Hベンズインドール−2−
イリデン)エチリデン]−1−シクロペンテン−1−イ
ル]エチニル]−1H−ベンズインドリウムパークロレ
イト(3-Butyl-1,1-dimetyl-2-[2[2-diphenylamino-3-
[(3-butyl-1,3-dihydro-1,1-dimetyl-2H-benz[e]indole
-2-ylidene)etylidene]-1-cyclopenten-1-yl]etyenyl]-
1H-benz[e]indolium perchlorate):15重量部 (2)鉄(III)アセチルアセトネート(半井化学薬品
(株)製) :10重量部 (3)“スミラック”PC−1(レゾール樹脂、住友デ
ュレス(株)製)):75重量部 (4)テトラヒドロフラン:100重量部 (5)ジメチルホルムアミド:100重量部 (6)メチルエチルケトン:700重量部
【0095】次いで、下記シリコーンゴム層を乾燥膜厚
2.0μm、乾燥条件は120℃×1分間(湿熱乾燥)
として塗設した。 <シリコーンゴム層1> (1)ポリジメチルシロキサン(分子量約50,00
0、両末端水酸基):100重量部 (2)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラ
ン:8重量部 (3)ジブチル錫ジアセテ−ト:0.5重量部 (4)3−アミノプロピルトリエトキシシラン:0.5
重量部 (5)“アイソパ−E”(イソパラフィン系炭化水素、
エクソン化学(株)製):1400重量部 上記のようにして得られた積層板に、保護フィルム(ポ
リプロピレンフィルム、厚さ8μm)をカレンダーロー
ラーを用いてラミネートし、直描型水なし平版印刷版原
版を得た。
【0096】この後、この印刷版原版をTDL4400
(製版機、東レ(株)製)に装着し、2400dpiの
解像度で150mJ/cm2のエネルギーで網点面積率
を2%から98%まで段階的に変化させたパターンの露
光を行った。
【0097】続いて、“NP−1”(東レ(株)製、水
なし平版ネガ型用前処理液)に1分間浸した後、水を含
ませた“ハイゼガーゼ”(旭化成工業(株)製)で擦る
ことにより現像を行ったところ、レーザー光が照射され
た部分のシリコーンゴム層のみが除去されたネガ型の水
なし平版印刷版が得られた。さらに、次の組成の染色液
を含ませた“ハイゼガーゼ”で25℃の雰囲気下、1分
間擦ることによって染色を行った。 <染色液> (1)エチルカルビトール:10重量部 (2)水:89.5重量部 (3)クリスタルバイオレット(吸収極大波長592n
m):0.5重量部 この染色された版を水道水で1分間洗浄後、U−321
0紫外−可視分光光度計((株)日立製作所製)を用
い、積分球装置を装着して、592nmにおける吸光度
を測定した。この結果、次の表1のような網点面積率と
反射吸光度との関係が得られた。このことによって反射
吸光度の値から網点面積率を推定することが可能となっ
た。
【0098】
【表1】
【0099】図1を用い、網点面積率が未知の印刷版の
吸光度を測定することによって、網点面積率を推定し、
さらに、その網点面積率からインキ壺からのインキ供給
を調整するブレードの抑えネジの押しつけ圧を調整し、
インキ供給が版面全体に均一になるようにすることがで
き、良好な印刷物を得ることができた。
【0100】
【発明の効果】直描型印刷版を用いた印刷においては、
製版用フィルムを用いないために網点面積率を測定する
ことができなかったが、本発明の管理方法によれば、印
刷時のインキ供給量の調整を行うことができ、良好な印
刷物が得られる。また、印刷版の原データに対する再現
性を確認することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における網点面積率と反射吸光度との
関係を示すグラフ。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の(1)〜(5)の工程からなること
    を特徴とする、原画フィルムを用いることなくレーザー
    光を照射して印刷版原版上に画像形成した直描型平版印
    刷版を用いた印刷の管理方法。 (1)網点面積率が既知のパターンを形成した直描型平
    版印刷版の該パターンの反射吸光度を測定する (2)網点面積率と反射吸光度の値との関係が単調増
    加、もしくは単調減少の関係にあることを確認し、この
    測定値から網点面積率(Y)と反射吸光度(X)の関係
    を求める (3)網点面積率が未知のパターンを形成した直描型平
    版印刷版の画線部の反射吸光度を測定する (4)(2)で得られた関係から網点面積率を推定する (5)(4)の推定値を基に(3)で作製した直描型平
    版印刷版で印刷するのに適したインキ供給量を調整す
    る。
  2. 【請求項2】直描型平版印刷版が、基板上に、少なくと
    も感熱層、インキ反発層をこの順に有する直描型平版印
    刷版原版にレーザー光を照射して、レーザー光照射部の
    インキ反発層を除去した後に、インキ反発層が除去され
    た画線部を染色液で染色することによって得られる直描
    型平版印刷版であることを特徴とする請求項1に記載の
    直描型平版印刷版を用いた印刷の管理方法。
  3. 【請求項3】以下の(1)〜(5)の工程からなること
    を特徴とする、原画フィルムを用いることなくレーザー
    光を照射して印刷版原版上に画像形成した直描型平版印
    刷版の管理方法。 (1)網点面積率が既知のパターンを形成した直描型平
    版印刷版の該パターンの反射吸光度を測定する (2)網点面積率と反射吸光度の値との関係が単調増
    加、もしくは単調減少の関係にあることを確認し、この
    測定値から網点面積率(Y)と反射吸光度(X)の関係
    を求める (3)網点面積率が未知のパターンを形成した直描型平
    版印刷版の画線部の反射吸光度を測定する (4)(2)で得られた関係から網点面積率を推定する (5)(4)の推定値を基に(3)で作製した直描型平
    版印刷版の原データに対する再現性を確認する。
  4. 【請求項4】直描型平版印刷版が、基板上に、少なくと
    も感熱層、インキ反発層をこの順に有する直描型平版印
    刷版原版にレーザー光を照射して、レーザー光照射部の
    インキ反発層を除去した後に、インキ反発層が除去され
    た画線部を染色液で染色することによって得られる直描
    型平版印刷版であることを特徴とする請求項3に記載の
    直描型平版印刷版の管理方法。
  5. 【請求項5】染色液中の染料の吸収極大波長における、
    インキ反発層が除去されていない非画線部の染色後の反
    射吸光度(A)と前記画線部の染色後の反射吸光度
    (B)との差が0.3以上、2.0以下であることを特
    徴とする請求項3または4のいずれかに記載の直描型平
    版印刷版の管理方法。
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