JP4022987B2 - 直描型水なし平版印刷版原版 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、湿し水を用いずに印刷が可能な水なし平版印刷版原版に関するものであり、特にレーザー光で直接製版できる高感度な直描型水なし平版印刷版原版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
製版用フィルムを使用しないで、原稿から直接オフセット印刷版を作製する、いわゆるダイレクト製版は、熟練度を必要としない簡易性、短時間で印刷版が得られる迅速性、多様なシステムから品質とコストに応じて選択可能である合理性などの特徴を生かして、軽印刷業界のみでなく、一般オフセット印刷、グラビア印刷の分野にも進出し始めている。
【0003】
特に最近では、プリプレスシステムやイメージセッター、レーザープリンタなどの出力システムの急激な進歩によって新しいタイプの各種平版印刷材料が開発されている。
【0004】
これらの平版印刷版の中でもレーザー光を用いて製版する方式はその解像度、および製版速度の面でも優れており、その種類も多い。
【0005】
特に熱破壊方式は、明室で取り扱えるといった利点があり、また光源となる半導体レーザーの急激な進歩によって、最近その有用性が見直されてきている。
【0006】
例えば、特開平6−199064号公報、USP5339737号公報、USP5353705号公報、EP0580393号公報、特開平6−55723号公報、EP0573091号公報、USP5378580号公報、特開平7−164773号公報、特開平6−186750号公報、特開平7−309001号公報、特開平9−146264号公報、特開平9−146265号公報、特開平9−236927号公報、特開平9−244228号公報、特開平9−80747号公報、特開平9−239943号公報、特開平9−292703号公報、特開平9−297395号公報、特開平9−314794号公報、特開平9−319074号公報、特開平9−319075号公報、特開平10−858号公報、特開平10−26825号公報、特開平10−26826号公報、特開平10−31317号公報、特開平10−34868号公報、特開平10−39496号公報、特開平10−39497号公報にはレーザー光を光源として用いる直描型水なし平版印刷版原版およびその製版方法などが記載されている。
【0007】
この熱破壊方式の印刷版原版の感熱層は、レーザー光吸収化合物として主としてカーボンブラックを用い、熱分解化合物として主としてニトロセルロースを使用している。そしてこのカーボンブラックがレーザー光を吸収することによって熱エネルギーに変換され、さらにその熱で感熱層が破壊される。そして最終的に、現像によってこの部分を除去することによって、表面のシリコーンゴム層が同時に剥離され、インキ着肉部となる。
【0008】
しかしながらこの印刷版は、感熱層を破壊して画像を形成することから画線部のセルの深さが深くなり、微少網点でのインキ着肉性が悪く、インキマイレージが悪いという問題点があった。更に、感熱層を熱破壊させ易くするために、架橋構造を形成しており印刷版の耐刷性が劣るという問題もあった。感熱層を柔軟化させると感度が極端に低下し、感熱層の柔軟化は困難であった。
【0009】
更にこの印刷版は感度が低く、感熱層を破壊させるために高いレーザー光の強度が必要という問題点もあった。
【0010】
特開平9−146264号公報では、光熱変換層中にレーザー光を熱に変換する化合物、フィルム形成能を有する高分子化合物、光重合開始剤、および光重合可能なエチレン性不飽和化合物を有し、シリコーンゴム層形成後にエネルギー線による全面露光を施すことにより光熱変換層と、シリコーンゴム層とを反応させたネガ型のレーザー感光性湿し水不要平版印刷版原版が提案されている。
【0011】
この版材では、シリコーンゴム層塗布後に全面露光を施すことによる公知の機構によりシリコーンゴム層と感光層との接着力を向上させ、その結果として、画像再現性、耐傷性に優れた版材を得ている。しかしながら、前述のように、感光層の柔軟性と感度のトレードオフ的な関係は存在しており、特に感度が低いという問題を有していた。
【0012】
特開平9−239942号公報では、レーザー感応層中に酸を発生する物質と、酸の作用で分解する高分子化合物を含有する剥離現像タイプの印刷版が提案されているが、レーザー光照射の工程と加熱工程という二つの工程が必要になり、また微細な網点の再現性が悪いという剥離現像固有の問題が存在する。
【0013】
その他、USP5379698号公報、特開平7−314934号公報、特開平9−236927号公報、特開平9−286183号公報、特開平9−297394号公報、特開平9−309195号公報、特開平9−311439号公報、特開平9−315024号公報には、金属薄膜を感熱層として用いる直描型水なし平版印刷版が記載されている。
【0014】
この印刷版材は、感熱層がかなり薄いために、非常にシャープな画像が得られ、印刷版の解像度という面では有利であるが、基材と感熱層の接着性が悪く印刷中に非画線部の感熱層が剥離し、インキが付着し印刷物上で欠点となるという問題点があった。また、この印刷版も感熱層を破壊させて画像を形成させることから画線部のセルが深くなりインキ着肉性やインキマイレージが劣るという問題点があった。
【0015】
以上のようなレーザー光を用いた平版印刷版の他に、特に直描型水なし平版印刷版に関するものとして、熱接着型の直描型水なし平版印刷版が考えられる。
【0016】
このタイプの版材は、レーザー光照射部のシリコーンゴム層が選択的に残存し、非画線部として働くものである。その機構としては、レーザー光照射によりシリコーンゴム層とレーザー感応層との接着力、あるいはレーザー感応層とその下にある基板との接着力が何らかの形で向上し、その結果として、未照射部のシリコーンゴム層、あるいはシリコーンゴム層とレーザー感応層がその後の処理により選択的に除去されるというものである。
【0017】
このようなタイプの版材としては、例えば特開平9−68794号公報、特開平9−80745号公報、特開平9−120157号公報、特開平9−197659号公報などが提案されている。
【0018】
特開平9−120157号公報で提案されている版材は、レーザー光照射により発生した酸を触媒として感光層の反応を進め、画像を再現するというものである。しかしながら、酸発生後、反応を進めるためには、熱処理という工程が必要であった。さらに、酸発生後から熱処理までの時間が画像再現性に影響を与えるため、画像再現性が不安定となるという問題を有していた。
【0019】
特開平9−80745号公報、特開平9−197659号公報で提案されている版材も、感光層中に活性光線の照射で酸を発生しうる化合物および酸の存在下で反応し得る結合を有する化合物が含まれており、レーザー光照射後、発生した酸を用いて反応を進めるタイプであるため、上記と同様の問題を有していた。
【0020】
さらに、このようにいくつかの直描型水なし平版印刷版原版が提案されてきたが、これらの版材においては、感熱層中に近赤外光吸収剤、光熱変換物質を添加することが必須である。しかしながら、このような光熱変換物質などの添加は、一般にシリコーンゴム層と感熱層との接着性を不安定にする傾向があった。
【0021】
このような問題に対して、特開平9−239943号公報、特開平9−258434号、特開平9−274311、特開平10−39497号公報などのように、特にシリコーンゴム層の架橋剤を工夫したり、量を増やしたり、あるいはシランカップリング剤を添加する試みが行われている。しかしながら、この様な対応のみではその効果が不十分であり、また逆にインキ反発層としてのシリコーンゴム層の耐傷性を低下させるなどの問題があった。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる従来技術の欠点に鑑み鋭意検討を行った結果、感熱層中に光熱変換物質と中心金属がアルミニウム、鉄( III )およびチタンから選ばれた1種以上である金属キレート化合物および酸発生剤を含有させることによって、高感度な直描型水なし平版印刷版を得る技術を見出した。
【0023】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
【0024】
(1)基板上に、少なくとも感熱層およびシリコーンゴム層をこの順に積層してなる直描型水なし平版印刷版原版において、該感熱層が少なくとも(a)光熱変換物質、(b)中心金属がアルミニウム、鉄( III )およびチタンから選ばれた1種以上である金属キレート化合物、(c)酸発生剤を含むことを特徴とする直描型水なし平版印刷版原版。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳しく説明する。
【0026】
まず、本発明の直描型水なし平版印刷版原版に使用する基板について説明する。
【0027】
基板としては、紙、プラスチックがラミネートされた紙、アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、銅、鉄などの金属の板、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどのプラスチックフィルム、上記の如き金属がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルムなどが挙げられる。
【0028】
これらのうち、アルミニウム板は寸法的に著しく安定であり、しかも安価であるので特に好ましい。また、軽印刷用の基板として用いられているポリエチレンテレフタレ−トフィルムも好ましく使用される。
【0029】
これら基板と感熱層の接着性を強固にするために、エッチング処理、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を行うことは好ましく行われる。特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのプラスチックフィルムを基板に用いた場合は高い断熱性から基板自体が断熱層の役割を果たすため、このような表面処理で接着性を高めることは特に好ましく行われる。
【0030】
一方、基板が金属などのように熱伝導が比較的高い物質を使用する場合には、接着性改良と断熱効果の目的で、基板と感熱層の間に断熱層を設けることが好ましい。
【0031】
断熱層に好ましく用いられるものとして、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノ−ル樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、尿素樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、カゼイン、ゼラチン等を含むものが挙げられる。これらの樹脂は単独であるいは二種以上混合して用いることができる。
【0032】
断熱層の厚さは被覆層にして0.5〜50g/m2 であることが、断熱効果や基板表面の形態欠陥を防止し化学的悪影響を遮断する効果や経済性の点から好ましく、より好ましくは1〜10g/m2である。
【0033】
また、断熱層の断熱効果を高めるために、断熱層中に独立あるいは連続空隙を設けることも好ましく行われる。
【0034】
次に感熱層について説明する。
【0035】
本発明において感熱層は、少なくとも(a)光熱変換物質と(b)中心金属がアルミニウム、鉄( III )およびチタンから選ばれた1種以上である金属キレート化合物、および(c)酸発生剤を含有することが必要である。
【0036】
まず、(a)光熱変換物質について説明する。
【0037】
光熱変換物質としてはレーザー光を吸収するものであれば特に限定されない。この時、レーザー光の波長としては、紫外域、可視域、赤外域のどの領域の波長であってもよく、使用するレーザー光の波長に合わせた吸収域を有する光熱変換物質を適宜選択して使用するとよい。
【0038】
例えばカーボンブラック、アニリンブラック、シアニンブラックなどの黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニン系の緑色顔料、カーボングラファイト、ジアミン系金属錯体、ジチオール系金属錯体、フェノールチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、結晶水含有無機化合物、硫酸銅、硫化クロム、珪酸塩化合物や、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化タングステンなどの金属酸化物、これらの金属の水酸化物、硫酸塩、さらにビスマス、鉄、マグネシウム、アルミの金属粉などの添加剤を添加することが好ましい。
【0039】
これらのなかでも、光熱変換率、経済性および取り扱い性の面から、カーボンブラックが好ましい。
【0040】
また上記の物質以外に、赤外線または近赤外線を吸収する染料も、光熱変換物質として好ましく使用される。
【0041】
これら染料としては400nm〜1200nmの範囲に極大吸収波長を有する染料が使用できるが、好ましい染料としては、最大吸収波長が700nm〜900nmの範囲にある、シアニン系色素、アズレニウム系色素、スクアリリウム系色素、クロコニウム系色素、アゾ系分散色素、ビスアゾスチルベン系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、ペリレン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン金属錯体系色素、ポリメチン系色素、ジチオールニッケル錯体系色素、インドアニリン金属錯体色素、分子間型CT色素、ベンゾチオピラン系スピロピラン、ニグロシン染料などが好ましく使用される。
【0042】
さらにこれらの色素のなかでも、モル吸光度係数の大きなものが好ましく使用される。具体的にはε=1×104以上が好ましく、より好ましくは1×105以上である。εが1×104より小さいと、感度の向上効果が発現しにくいためである。
【0043】
これらの光熱変換物質は単独でも感度の向上効果はあるが、2種以上を併用して用いることによって、さらに感度を向上させたり、吸収波長域の異なる2種以上の光熱変換物質を併用することで2種以上の光源に対応可能な版材とすることも可能である。
【0044】
これらの光熱変換物質の含有量は、全感熱層組成物に対して0.1〜40重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜25重量%である。0.1重量%よりも少ない場合にはレーザー光に対する感度の向上効果が見られず、40重量%よりも多い場合には印刷版の耐刷性が低下しやすい。
【0045】
本発明でいう(b)中心金属がアルミニウム、鉄( III )およびチタンから選ばれた1種以上である金属キレート化合物とは錯体化合物か有機金属化合物のことをいい、金属ジケテネート、金属アルコキサイド、アルキル金属、金属カルボン酸塩類、酸化金属キレート化合物、金属錯体、ヘテロ金属キレート化合物が挙げられる。
【0046】
「中心金属」としてはアルミニウム、鉄( III )およびチタンから選ばれた1種以上とすることが必要である。
【0047】
これら中心金属がアルミニウム、鉄( III )およびチタンから選ばれた1種以上である金属キレート化合物のうち、特に好ましく用いられる化合物としては、アルミニウム、鉄(III )、チタンのアセチルアセトネート(ペンタンジオネート)、エチルアセトアセトネート(ヘキサンジオネート)、プロピルアセトアセトネート(ヘプタンジオネート)、テトラメチルヘプタンジオネート、ベンゾイルアセトネート類などが挙げられる。
【0048】
これら中心金属がアルミニウム、鉄( III )およびチタンから選ばれた1種以上である金属キレート化合物はそれぞれ単独でも使用できるし、2種以上を混合して使用することもできる。
【0049】
感熱層中に添加する量としては感熱層を形成する固形分のうち3〜50重量%が好ましく、さらには10〜30重量%が好ましい。添加量が3重量%未満である場合にはその効果、すなわち画像再現性向上効果が低くなり、一方30重量%よりも多い場合には感熱層の物性が低下しやすく、印刷版としては例えば耐刷性という問題が生じやすくなるためである。
【0050】
次に本発明の特徴である(c)酸発生剤について説明する。
【0051】
まず、酸を発生する化合物としては、例えばオニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、スルホン化合物およびスルホネート化合物、キノンジアジド化合物等を挙げることが出来る。より具体的には以下の化合物を挙げることが出来る。
【0052】
(1)オニウム化合物
ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ピリジニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等を挙げることが出来る。好ましくは、ジフェニルヨードニウムトリフレート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、(ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムトルエンスルホネート等である。
【0053】
(2)ハロゲン含有化合物
ハロアルキル基含有ヘテロ環状化合物、ハロアルキル基含有炭化水素化合物等を挙げることが出来る。具体的にはハロゲンを含有するアセトフェノン化合物、ピロン化合物、トリアジン化合物、オキサゾール化合物などを挙げることが出来る。より具体的には、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メトキシフェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ナフチル−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン等の(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体や1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタン、トリクロロアセトフェノン、デシルクロリド(2−クロロー2−フェニルアセトフェノン)、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジンである。
【0054】
(3)スルホン化合物
β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンおよびそれらのα−ジアゾ化合物等を挙げることが出来る。好ましくはフェナシルフェニルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、トリブロモメチルフェニルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン等である。
【0055】
(4)スルホネート化合物
アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等を挙げることが出来る。好ましくは、ベンゾイントシレート、ピロガロールのトリストリフレート、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、2,6−ジニトロベンジルスルホナートエステル、o−ニトロベンジルスルホナートエステル等である。
【0056】
その他、N−イミドイルエステル、ピロガロールエステル、ニトロベンジルエステル、αースルホニルオキシケトン、トリス(トリクロロメチル)トリアジン、なども挙げられる。
【0057】
(5)キノンジアジド化合物
1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸クロライド、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸クロライドなどのキノンジアジド化合物。さらには、これらとフェノール類、アルコール類、アミン類との誘導体などが挙げられる。より具体的には、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸フェノール、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸フェノールなど。
【0058】
これら酸発生剤は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0059】
酸発生剤の感熱層中に占める割合としては、0.1重量%以上30重量%以下が好ましく、より好ましくは0.3〜15重量%である。
【0060】
酸発生剤が少なすぎる場合は、レーザー照射により生じる酸の量が少なく、感熱層表面の耐溶剤性の変化が不十分となる場合があり、逆に多すぎる場合は、未露光部の感熱層の現像液に対する耐溶剤性が悪くなったり、感熱層自体の物性に問題を生じる場合がある。さらに、保存安定性などにも悪影響を与える可能性が高い。
【0061】
本発明においては、上記酸発生剤と共に、酸の作用で溶剤に対する溶解性を変化させる化合物を添加することも好ましい。このような化合物としては、まず酸の作用で容易に分解する官能基を有する化合物を挙げることが出来る。
【0062】
酸の作用で容易に分解する官能基としてはt−ブトキシカルボニル基、t−ブチル基、テトラヒドロピラニル基、トリメチルシリル基、第3級エステルなどを挙げることが出来る。
【0063】
前述の酸を発生する化合物と、t−ブトキシカルボニル基、t−ブチル基、テトラヒドロピラニル基、トリメチルシリル基などを導入し溶解性を抑制されたアルカリ可溶性化合物の混合物にレーザー光を照射すると、発生した酸の作用で上記官能基が脱離しフェノール性水酸基が再生する。この結果、感熱層の耐溶剤性の変化が促進される。
【0064】
アルカリ可溶性の化合物の具体例としては、ヒドロキシスチレンの重合体および共重合体、フェノ−ルホルムアルデヒドノボラック樹脂(フェノ−ル、p−tert−ブチルフェノ−ル、p−オクチルフェノ−ル、p−ノニルフェノ−ル、カルダノ−ル、クレゾ−ル、キシレノ−ル、カテコ−ルおよびピロガロ−ルなどのフェノ−ル類とホルムアルデヒド類とを酸性触媒存在下に縮合させて得られる樹脂)、ピロガロ−ルアセトン樹脂、などを挙げることが出来る。
【0065】
また、ポリ(p−ビニル安息香酸エステル)類やポリメタクリル酸エステル類の第3級エステルは、同様に酸の作用でカルボン酸とオレフィンに容易に分解する。この結果、同様に混合物としてもアルカリなど各種溶剤に可溶となる。
【0066】
酸の作用で溶剤に対する溶解性を変化させる化合物としては、次に酸の作用で容易に分解する化合物を挙げることが出来る。このような化合物の具体例としてはポリフタルアルデヒド類、ポリ(α−アセトキシスチレン)、ポリカーボネート、ポリアセタールなどを挙げることが出来る。
【0067】
さらに、酸の作用で溶剤に対する溶解性を変化させる化合物としては、前述のような酸の作用で容易に分解する官能基を共有結合的に有する化合物だけでなく、例えばアルカリをはじめとする各種溶剤に溶解可能な化合物とその溶解性を水素結合などで抑制する化合物の組み合わせも挙げることが出来る。
【0068】
このような組み合わせの具体例としては、ヒドロキシスチレンの共重合体やノボラック樹脂などのアルカリ可溶性化合物と溶解抑制剤としてのポリーN,Oーアセタール、各種t−ブチルエステル、t−ブチルカーボネート、t−ブチルエーテルなどの組み合わせを挙げることが出来る。
【0069】
本発明においては、中心金属がアルミニウム、鉄( III )およびチタンから選ばれた1種以上である金属キレート化合物との相互作用という観点から、フェノール性水酸基含有化合物、アルコール性水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、ジケトン基含有化合物等を添加することが好ましい。
【0070】
これら化合物の添加量は、全感熱層組成物に対して5〜60重量%が好ましく、より好ましくは20〜50重量%である。5重量%よりも少ないとその効果が少なく、逆に60重量%よりも多いと印刷版の溶剤耐性が低下しやすい。
【0071】
本発明において、感熱層がさらにバインダーポリマーを含有することが好ましい。この際、バインダーポリマーとしては、印刷版の耐刷性の観点から、該ポリマーのガラス転移温度(Tg)が20℃以下のポリマー、コポリマー、さらに好ましくはガラス転移温度が0℃以下のポリマー、コポリマーを用いることが好ましい。
【0072】
バインダーポリマーの具体例としては、公知のビニルポリマー類、未加硫ゴム、ポリオキシド類(ポリエーテル類)、ポリエステル類、ポリウレタン類、ポリアミド類などが挙げられる。
【0073】
これらのバインダーの含有量は、全感熱層組成物に対して5〜70重量%が好ましく、より好ましくは10〜50重量%である。含有量が5%よりも少ないと耐刷性や塗液の塗工性に問題が生じやすく、70重量%よりも多いと画像再現性に悪影響を与えやすい。
【0074】
上記各種バインダーポリマーは単独で用いてもよいし、また数種のポリマーを混合して使用してもよい。
【0075】
このようにして得られる感熱層の物性に関しては、得られる印刷版の印刷特性の観点から、その物性が特定の範囲にあることが好ましい。この様な物性としては引張特性、その中でも引張時の初期弾性率を代表として挙げることが出来る。具体的には、印刷版における感熱層の引張時の初期弾性率が7kgf/mm2〜78kgf/mm2の範囲、さらには10kgf/mm2〜40kgf/mm2、さらには10kgf/mm2〜25kgf/mm2の範囲にあることが好ましい。
【0076】
感熱層の初期弾性率を以上のような範囲に設定することにより、印刷版としての特性、特に耐刷性を向上させることが出来る。逆に、初期弾性率が7kgf/mm2未満である場合には画線部を形成する感熱層がベタ着き易くなるため印刷時にヒッキーが発生し易くなる。また、初期弾性率が78kgf/mm2より大きい場合には、印刷時に加わる繰り返し応力により感熱層とシリコーンゴム層との接着界面で破壊が起こりやすくなり、耐刷性低下の原因となるためである。
【0077】
感熱層の厚さは、被覆層にして0.1〜10g/m2 であると、印刷版の耐刷性や、希釈溶剤を揮散し易く生産性に優れる点で好ましく、より好ましくは1〜7g/m2である。
【0078】
次にシリコーンゴム層について説明する。本発明において、シリコーンゴム層としては、従来の水なし平版印刷版において使用されるシリコーンゴム組成物からなるものが挙げられる。
【0079】
具体的には線状オルガノポリシロキサン(好ましくはジメチルポリシロキサン)をまばらに架橋することにより得られるものが挙げられる。
【0080】
架橋方法としては、縮合型のものでも、付加型のものでもよいが、取扱いなどの面から付加型のものが好ましい。
【0081】
縮合型の架橋を行う際には、錫、亜鉛、鉛、カルシウム、マンガンなどの金属カルボン酸塩、塩化白金酸のような触媒が添加される事が好ましい。
【0082】
付加型においては、白金単体、塩化白金、塩化白金酸、オレフィン配位白金などの触媒が添加されることが好ましい。
【0083】
また、付加型シリコーンゴム層の硬化速度を制御する目的で、不飽和基含有化合物などの反応抑制剤を添加することが好ましい。
【0084】
これらの組成物の他に、付加型シリコーンゴム組成物に縮合型シリコーンゴム層の組成物である水酸基含有オルガノポリシロキサンや加水分解性官能基含有シラン(もしくはシロキサン)を添加してもよい。
【0085】
また、これらシリコーンゴム層組成物には、ゴム強度を向上させる目的で、シリカなどの公知の充填剤を添加することも行われる。
【0086】
さらに、本発明においてシリコーンゴム層は上記組成物の他にシランカップリング剤を含有することが好ましい。
【0087】
これらシリコーンゴム層の膜厚は0.5〜20g/m2が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5g/m2である。膜厚が0.5g/m2よりも小さい場合には印刷版のインキ反撥性や耐傷性、耐刷性が低下する傾向があり、20g/m2よりも大きい場合には経済的見地から不利であるばかりでなく、インキマイレージが悪くなるという問題がある。
【0088】
次に、本発明における直描型水なし平版印刷版原版の製造方法および製版方法について説明する。
【0089】
必要に応じて各種処理を施された基板上に、必要に応じて断熱層組成物を塗布し加熱により溶媒を揮散させ、さらに熱や光の作用で硬化させた後、感熱層組成物を塗布し加熱による溶媒の揮散と必要に応じて熱や光の作用での硬化を行う。この後、シリコーンゴム組成物を塗布し50〜150℃の温度で数分間熱処理してシリコーンゴム層を得る。
【0090】
このようにして得られた版には、シリコーンゴム層を保護する目的で保護フィルムをラミネートするかあるいは保護層を形成してもよい。
【0091】
それ故、保護フィルムとしてはレーザー光の照射を妨げることのないものが好ましく、具体的にはポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムなどが挙げられる。
【0092】
このようにして得られた直描型水なし平版印刷版原版を、保護フィルムを剥離してから、あるいは好ましくは保護フィルム上からレーザー光で画像状に露光する。
【0093】
本発明の製版露光工程で用いられるレーザー光源としては、発光波長領域が300nm〜1500nmの範囲にあるものが用いられるが、これらの中でも近赤外領域付近に発光波長領域が存在する半導体レーザーが好ましく用いられる。
【0094】
レーザー照射後の原版は、水または有機溶剤の存在もしくは非存在下での摩擦処理により現像がなされる。
【0095】
摩擦処理は、現像液を含浸した不織布、脱脂綿、布、スポンジ等で版面を拭き取ることによって、あるいは上記の現像液で版面を前処理した後に水道水などをシャワーしながら回転ブラシで擦ることによって行うことができる。
【0096】
現像処理を行う場合に使用される現像液としては、例えば、水や水に界面活性剤を添加したもの、さらには水に極性溶媒を添加したものや、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類などの少なくとも1種類からなる溶媒に極性溶媒を少なくとも1種類添加したものが用いられる。
【0097】
極性溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類、カプロン酸、2−エチルヘキサン酸などのカルボン酸などが挙げられる。
【0098】
また、上記の現像液組成には、公知の界面活性剤を添加することも自由に行われる。さらにアルカリ剤、例えば炭酸ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジグリコールアミン、モノグリコールアミン、ケイ酸ナトリウム、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウムなどを添加することもできる。
【0099】
これらの中では、水あるいは水に界面活性剤を添加したもの、さらにはアルカリを添加した水が好ましい。
【0100】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
【0101】
【実施例】
[実施例1]
厚さ0.24mmの脱脂したアルミ板上に下記の組成よりなる溶液を塗布し、200℃、2分間乾燥し、3g/m2の断熱層を設けた。
【0102】
(a)エポキシ・フェノール樹脂“カンコート”90T−25−3094(関西ペイント(株)製):15重量部
(b)“クリスタルバイオレット”:0.1重量部
(c)ジメチルホルムアミド:85重量部
次いで、この断熱層上に次の組成を有する感熱層組成物を塗布し、120℃で1分間乾燥し、膜厚2g/m2の感熱層を設けた。
【0103】
<感熱層>
(a)“KAYASORB”IR−820B(赤外線吸収染料、日本化薬(株)製):10重量部
(b)トリブロモメチルフェニルスルホン :8重量部
(c)鉄(III )アセチルアセトネート(半井化学薬品(株)製):30重量部
(e)“スミライトレジン”PR50622(フェノールノボラック樹脂、住友デュレズ(株)製):50重量部
(d)“サンプレン”T−1331(ポリウレタン樹脂 三洋化成工業(株)製、 ガラス転移温度Tg:−37℃):50重量部
(e)m−キシリレンジアミン/グリシジルメタクリレート/3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン=1/3/1mol比付加反応物:10重量部
(f)テトラヒドロフラン:1000重量部
(g)ジメチルホルムアミド:350重量部
次いで、下記シリコーンゴム層を乾燥膜厚2.0μm、乾燥条件は120℃×1分間として塗設した。
【0104】
<シリコーンゴム層>
(a)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(重合度770) : 100重量部
(b)HMS−501(チッソ(株)製 両末端メチル(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキサン)共重合体 SiH基数/分子量=0.69mol/g) : 4重量部
(c)オレフィン配位白金 : 0.02重量部
(d)“BY24−808”(ダウコーニングシリコーン(株)製 反応抑制剤) : 0.3重量部
(e)“アイソパー”E(エッソ化学(株)製) : 1000重量部
上記のようにして得られた積層板に、厚さ8μmのポリプロピレンフィルム“トレファン”BO(東レ(株)製)をカレンダーローラーを用いてラミネートし、直描型水なし平版印刷版原版を得た。
【0105】
この後、この印刷版原版をFX400−AP(製版機、東レエンジニアリング(株)製)に装着し、半導体レーザー(波長830nm、ビーム直径20μm、出力0.50W)を用いて露光時間10μsでパルス露光を行った。
【0106】
続いて、東レ(株)製自動現像装置TWL−650により上記露光済み版の現像を行ったところ、レーザー光が照射された部分のシリコーンゴム層が除去されたネガ型の水なし平版が得られた。
【0107】
現像の際、前処理液としては東レ(株)製“PP−F”を、現像液としては水を、後処理液としては東レ(株)製“PA−F”を用いた。
【0108】
さらに、得られた刷版を印刷機HAMADA RS46L(ハマダ印刷機械(株)製)に取り付け、水なし平版用インキ(ドライオカラーNSI 藍 大日本インキ化学工業(株)製)を使用して上質紙に印刷を行い、印刷物を50倍のルーペで観察することで耐刷性を調べた結果、約9万枚印刷した時点で非画線部に汚れが生じた。
【0109】
また、感熱層の初期弾性率は22kgf/mm2であった。
【0110】
[比較例1]
実施例1において、感熱層中の酸発生剤である(b)トリブロモメチルフェニルスルホンを抜いた以外は全く同様にして印刷版原版を作製し、同様に評価したところ、レーザー光が照射された部分のシリコーンゴム層が完全には除去されず、印刷版を得ることが出来なかった。そこで、製版機の出力を0.75Wにして製版を行ったところレーザー光が照射された部分のシリコーンゴム層が除去されたネガ型の水なし平版が得られた。
【0111】
[比較例2]
実施例1において、感熱層中の金属キレート化合物である(c)鉄(III )アセチルアセトネートを抜いた以外は全く同様にして印刷版原版を作製し、同様に評価したところ、レーザー光の照射、未照射にかかわらずシリコーンゴム層が版全面にわたり剥がれてしまい、印刷版を得ることが出来なかった。
【0112】
[実施例2]
実施例1における感熱層を下記に変更し、乾燥膜厚1.5g/m2、乾燥条件は120℃×1分間とした以外は全く実施例1と同様に原版を作製した。
【0113】
製版機の出力を0.40Wにした以外は実施例1と同様の評価を行ったところ、レーザー光が照射された部分のシリコーンゴム層のみが除去されたネガ型の水なし平版印刷版が得られた。
【0114】
<感熱層>
(a)“KAYASORB”IR−820B(赤外線吸収染料、日本化薬(株)製):10重量部
(b)トリフェニルスルホニウムトリフレート :8重量部
(c)“アルミキレート”D(アルミニウムモノアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、川研ファインケミカル(株)製):30重量部
(d)ポリ(p−ビニルフェノール)(丸善石油化学(株)製“PHM−C”、Mw=5200、Mn=2700)の水酸基の一部をt−ブトキシカルボニル化した化合物(t−BOC化率:25%):50重量部
(e)イソフタル酸のt−ブチルエステル化物 : 3重量部
(f)“サンプレン”T−1331(ポリウレタン樹脂 三洋化成工業(株)製、 ガラス転移温度Tg:−37℃):50重量部
(g)m−キシリレンジアミン/グリシジルメタクリレート/3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン=1/3/1mol比付加反応物:6重量部
(f)テトラヒドロフラン:1000重量部
(g)ジメチルホルムアミド:350重量部
[実施例3]
厚さ0.24mmの脱脂したアルミ板上に下記の組成よりなる溶液を塗布し、200℃、2分間乾燥し、3g/m2の断熱層を設けた。
【0115】
<断熱層>
(a)ポリウレタン樹脂“ミラクトラン”P22S(日本ミラクトラン(株)製):100重量部
(b)ブロックドイソシアネート“タケネートB830”(武田薬品工業(株)製):20重量部
(c)エポキシ・フェノール・尿素樹脂“SJ9372”(関西ペイント(株)製):8重量部
(d)ジブチル錫ジアセテート:0.5重量部
(e)“FINEX”25(白色顔料、堺化学(株)製):10重量部
(f)“KET−YELLOW”402(黄色顔料、大日本インキ化学工業(株)製):10重量部
(g)ジメチルホルムアミド:720重量部
この断熱層上に、下記感熱層を乾燥膜厚2g/m2になるように塗布し、120℃×1分間乾燥した。
【0116】
<感熱層>
(a)カーボンブラック分散ロジン変性マレイン酸樹脂(内カーボンブラック10重量部):15重量部
(b)ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート :8重量部
(c)“ナーセム”Ti(アセチルアセトンチタン、日本化学産業(株)製):15重量部
(d)ポリ(p−ビニルフェノール)(丸善石油化学(株)製“PHM−C”、Mw=5200、Mn=2700)の水酸基の一部をt−ブトキシカルボニル化した化合物(t−BOC化率:25%):40重量部
(e)ポリ(ジーt−ブチルフマレート):10重量部
(f)“サンプレン”T−1331(ポリウレタン樹脂 三洋化成工業(株)製、 ガラス転移温度Tg:−37℃):50重量部
(g)m−キシリレンジアミン/グリシジルメタクリレート/3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン=1/3/1mol比付加反応物:6重量部
(f)テトラヒドロフラン:1000重量部
(g)ジメチルホルムアミド:350重量部
この感熱層の上に下記の組成を有するシリコ−ンゴム組成物をバーコーターで塗布した後、110℃で1分間湿熱硬化させて2.0μmのシリコ−ンゴム層を設け、さらに“ルミラー”(東レ(株)製、ポリエチレンテレフタレートフィルム 8μm)をラミネートし、直描型水なし平版印刷版原版を得た。
【0117】
<シリコーンゴム層>
(a)ポリジメチルシロキサン(分子量約35,000、末端水酸基):100重量部
(b)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン:8重量部
(c)ジブチル錫ジアセテ−ト:0.5重量部
(d)“アイソパ−E”(イソパラフィン系炭化水素、エクソン化学(株)製):1400重量部
得られた原版は実施例1と同様に評価を行ったところ、レーザー光が照射された部分のシリコーンゴム層のみが除去された水なし平版印刷版が得られた。
【0118】
[実施例4]
実施例1における(b)トリブロモメチルフェニルスルホン:8重量部を(b)2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン:10重量部に変更し、さらにポリ(p−ビニルフェノール)(丸善石油化学(株)製“PHM−C”の水酸基の一部をt−ブトキシカルボニル化した化合物(t−BOC化率:25%):10重量部添加した以外は全く実施例1と同様に原版を作製した。実施例1と同様に評価を行ったところ、レーザー光が照射された部分のシリコーンゴム層のみが除去された水なし平版印刷版が得られた。
【0119】
[実施例5]
実施例1における(b)トリブロモメチルフェニルスルホン:8重量部を(b)1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸フェノール:8重量部に変更した以外は全く実施例1と同様に原版を作製した。実施例1と同様に評価を行ったところ、レーザー光が照射された部分のシリコーンゴム層の一部が残存した版が得られた。そこで、製版機の出力を0.55Wにして製版を行ったところレーザー光が照射された部分のシリコーンゴム層が完全に除去された水なし平版が得られた。
【0120】
[実施例6]
実施例1における(b)トリブロモメチルフェニルスルホン:8重量部を(b)
1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸クロライドと“スミライトレジン”PR50622(フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂、住友デュレズ(株)製)の部分エステル化物(元素分析によるエステル化率:19%):15重量部に変更した以外は全く実施例1と同様に原版を作製した。実施例1と同様に評価したところ、レーザー光が照射された部分のシリコーンゴム層が完全には除去されず、完全な形での印刷版を得ることが出来なかった。そこで、製版機の出力を0.60Wにして製版を行ったところレーザー光が照射された部分のシリコーンゴム層が除去された水なし平版が得られた。
【0121】
【発明の効果】
本発明は、直描型水なし平版印刷版原版において、感熱層が光熱変換物質と、中心金属がアルミニウム、鉄( III )およびチタンから選ばれた1種以上である金属キレート化合物および酸発生剤を含有することで、高感度な直描型水なし平版印刷版が得られる。
Claims (1)
- 基板上に、少なくとも感熱層およびシリコーンゴム層をこの順に積層してなる直描型水なし平版印刷版原版において、該感熱層が少なくとも
(a)光熱変換物質
(b)中心金属がアルミニウム、鉄( III )およびチタンから選ばれた1種以上である金属キレート化合物
(c)酸発生剤を含むことを特徴とする直描型水なし平版印刷版原版。
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