JPH11348444A - 直描型水なし平版印刷版原版 - Google Patents

直描型水なし平版印刷版原版

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JPH11348444A
JPH11348444A JP15896298A JP15896298A JPH11348444A JP H11348444 A JPH11348444 A JP H11348444A JP 15896298 A JP15896298 A JP 15896298A JP 15896298 A JP15896298 A JP 15896298A JP H11348444 A JPH11348444 A JP H11348444A
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Norimasa Ikeda
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高感度な直描型水なし平版印刷版を提供する。 【解決手段】直描型水なし平版印刷版原版を、基板上
に、少なくとも感熱層およびシリコーンゴム層をこの順
に積層してなる直描型水なし平版印刷版原版において、
該感熱層が光熱変換物質と金属キレート化合物、および
酸発生剤を含有するものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、湿し水を用いずに
印刷が可能な水なし平版印刷版原版に関するものであ
り、特にレーザー光で直接製版できる高感度な直描型水
なし平版印刷版原版に関するものである。
【0002】
【従来の技術】製版用フィルムを使用しないで、原稿か
ら直接オフセット印刷版を作製する、いわゆるダイレク
ト製版は、熟練度を必要としない簡易性、短時間で印刷
版が得られる迅速性、多様なシステムから品質とコスト
に応じて選択可能である合理性などの特徴を生かして、
軽印刷業界のみでなく、一般オフセット印刷、グラビア
印刷の分野にも進出し始めている。
【0003】特に最近では、プリプレスシステムやイメ
ージセッター、レーザープリンタなどの出力システムの
急激な進歩によって新しいタイプの各種平版印刷材料が
開発されている。
【0004】これらの平版印刷版の中でもレーザー光を
用いて製版する方式はその解像度、および製版速度の面
でも優れており、その種類も多い。
【0005】特に熱破壊方式は、明室で取り扱えるとい
った利点があり、また光源となる半導体レーザーの急激
な進歩によって、最近その有用性が見直されてきてい
る。
【0006】例えば、特開平6−199064号公報、
USP5339737号公報、USP5353705号
公報、EP0580393号公報、特開平6−5572
3号公報、EP0573091号公報、USP5378
580号公報、特開平7−164773号公報、特開平
6−186750号公報、特開平7−309001号公
報、特開平9−146264号公報、特開平9−146
265号公報、特開平9−236927号公報、特開平
9−244228号公報、特開平9−80747号公
報、特開平9−239943号公報、特開平9−292
703号公報、特開平9−297395号公報、特開平
9−314794号公報、特開平9−319074号公
報、特開平9−319075号公報、特開平10−85
8号公報、特開平10−26825号公報、特開平10
−26826号公報、特開平10−31317号公報、
特開平10−34868号公報、特開平10−3949
6号公報、特開平10−39497号公報にはレーザー
光を光源として用いる直描型水なし平版印刷版原版およ
びその製版方法などが記載されている。
【0007】この熱破壊方式の印刷版原版の感熱層は、
レーザー光吸収化合物として主としてカーボンブラック
を用い、熱分解化合物として主としてニトロセルロース
を使用している。そしてこのカーボンブラックがレーザ
ー光を吸収することによって熱エネルギーに変換され、
さらにその熱で感熱層が破壊される。そして最終的に、
現像によってこの部分を除去することによって、表面の
シリコーンゴム層が同時に剥離され、インキ着肉部とな
る。
【0008】しかしながらこの印刷版は、感熱層を破壊
して画像を形成することから画線部のセルの深さが深く
なり、微少網点でのインキ着肉性が悪く、インキマイレ
ージが悪いという問題点があった。更に、感熱層を熱破
壊させ易くするために、架橋構造を形成しており印刷版
の耐刷性が劣るという問題もあった。感熱層を柔軟化さ
せると感度が極端に低下し、感熱層の柔軟化は困難であ
った。
【0009】更にこの印刷版は感度が低く、感熱層を破
壊させるために高いレーザー光の強度が必要という問題
点もあった。
【0010】特開平9−146264号公報では、光熱
変換層中にレーザー光を熱に変換する化合物、フィルム
形成能を有する高分子化合物、光重合開始剤、および光
重合可能なエチレン性不飽和化合物を有し、シリコーン
ゴム層形成後にエネルギー線による全面露光を施すこと
により光熱変換層と、シリコーンゴム層とを反応させた
ネガ型のレーザー感光性湿し水不要平版印刷版原版が提
案されている。
【0011】この版材では、シリコーンゴム層塗布後に
全面露光を施すことによる公知の機構によりシリコーン
ゴム層と感光層との接着力を向上させ、その結果とし
て、画像再現性、耐傷性に優れた版材を得ている。しか
しながら、前述のように、感光層の柔軟性と感度のトレ
ードオフ的な関係は存在しており、特に感度が低いとい
う問題を有していた。
【0012】特開平9−239942号公報では、レー
ザー感応層中に酸を発生する物質と、酸の作用で分解す
る高分子化合物を含有する剥離現像タイプの印刷版が提
案されているが、レーザー光照射の工程と加熱工程とい
う二つの工程が必要になり、また微細な網点の再現性が
悪いという剥離現像固有の問題が存在する。
【0013】その他、USP5379698号公報、特
開平7−314934号公報、特開平9−236927
号公報、特開平9−286183号公報、特開平9−2
97394号公報、特開平9−309195号公報、特
開平9−311439号公報、特開平9−315024
号公報には、金属薄膜を感熱層として用いる直描型水な
し平版印刷版が記載されている。
【0014】この印刷版材は、感熱層がかなり薄いため
に、非常にシャープな画像が得られ、印刷版の解像度と
いう面では有利であるが、基材と感熱層の接着性が悪く
印刷中に非画線部の感熱層が剥離し、インキが付着し印
刷物上で欠点となるという問題点があった。また、この
印刷版も感熱層を破壊させて画像を形成させることから
画線部のセルが深くなりインキ着肉性やインキマイレー
ジが劣るという問題点があった。
【0015】以上のようなレーザー光を用いた平版印刷
版の他に、特に直描型水なし平版印刷版に関するものと
して、熱接着型の直描型水なし平版印刷版が考えられ
る。
【0016】このタイプの版材は、レーザー光照射部の
シリコーンゴム層が選択的に残存し、非画線部として働
くものである。その機構としては、レーザー光照射によ
りシリコーンゴム層とレーザー感応層との接着力、ある
いはレーザー感応層とその下にある基板との接着力が何
らかの形で向上し、その結果として、未照射部のシリコ
ーンゴム層、あるいはシリコーンゴム層とレーザー感応
層がその後の処理により選択的に除去されるというもの
である。
【0017】このようなタイプの版材としては、例えば
特開平9−68794号公報、特開平9−80745号
公報、特開平9−120157号公報、特開平9−19
7659号公報などが提案されている。
【0018】特開平9−120157号公報で提案され
ている版材は、レーザー光照射により発生した酸を触媒
として感光層の反応を進め、画像を再現するというもの
である。しかしながら、酸発生後、反応を進めるために
は、熱処理という工程が必要であった。さらに、酸発生
後から熱処理までの時間が画像再現性に影響を与えるた
め、画像再現性が不安定となるという問題を有してい
た。
【0019】特開平9−80745号公報、特開平9−
197659号公報で提案されている版材も、感光層中
に活性光線の照射で酸を発生しうる化合物および酸の存
在下で反応し得る結合を有する化合物が含まれており、
レーザー光照射後、発生した酸を用いて反応を進めるタ
イプであるため、上記と同様の問題を有していた。
【0020】さらに、このようにいくつかの直描型水な
し平版印刷版原版が提案されてきたが、これらの版材に
おいては、感熱層中に近赤外光吸収剤、光熱変換物質を
添加することが必須である。しかしながら、このような
光熱変換物質などの添加は、一般にシリコーンゴム層と
感熱層との接着性を不安定にする傾向があった。
【0021】このような問題に対して、特開平9−23
9943号公報、特開平9−258434号、特開平9
−274311、特開平10−39497号公報などの
ように、特にシリコーンゴム層の架橋剤を工夫したり、
量を増やしたり、あるいはシランカップリング剤を添加
する試みが行われている。しかしながら、この様な対応
のみではその効果が不十分であり、また逆にインキ反発
層としてのシリコーンゴム層の耐傷性を低下させるなど
の問題があった。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来技
術の欠点に鑑み鋭意検討を行った結果、感熱層中に光熱
変換物質と金属キレート化合物および酸発生剤を含有さ
せることによって、高感度な直描型水なし平版印刷版を
得る技術を見出した。
【0023】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は以下
の構成を有する。
【0024】(1)基板上に、少なくとも感熱層および
シリコーンゴム層をこの順に積層してなる直描型水なし
平版印刷版原版において、該感熱層が少なくとも(a)
光熱変換物質、(b)金属キレート化合物、(c)酸発
生剤を含むことを特徴とする直描型水なし平版印刷版原
版。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳しく説明する。
【0026】まず、本発明の直描型水なし平版印刷版原
版に使用する基板について説明する。
【0027】基板としては、紙、プラスチックがラミネ
ートされた紙、アルミニウム(アルミニウム合金も含
む)、亜鉛、銅、鉄などの金属の板、セルロースアセテ
ート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポ
リアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリプロピレ
ン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどのプ
ラスチックフィルム、上記の如き金属がラミネートもし
くは蒸着された紙もしくはプラスチックフィルムなどが
挙げられる。
【0028】これらのうち、アルミニウム板は寸法的に
著しく安定であり、しかも安価であるので特に好まし
い。また、軽印刷用の基板として用いられているポリエ
チレンテレフタレ−トフィルムも好ましく使用される。
【0029】これら基板と感熱層の接着性を強固にする
ために、エッチング処理、コロナ処理、プラズマ処理な
どの表面処理を行うことは好ましく行われる。特に、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート
などのプラスチックフィルムを基板に用いた場合は高い
断熱性から基板自体が断熱層の役割を果たすため、この
ような表面処理で接着性を高めることは特に好ましく行
われる。
【0030】一方、基板が金属などのように熱伝導が比
較的高い物質を使用する場合には、接着性改良と断熱効
果の目的で、基板と感熱層の間に断熱層を設けることが
好ましい。
【0031】断熱層に好ましく用いられるものとして、
エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノ−ル樹脂、ア
クリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
アミド樹脂、尿素樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、カ
ゼイン、ゼラチン等を含むものが挙げられる。これらの
樹脂は単独であるいは二種以上混合して用いることがで
きる。
【0032】断熱層の厚さは被覆層にして0.5〜50
g/m2 であることが、断熱効果や基板表面の形態欠
陥を防止し化学的悪影響を遮断する効果や経済性の点か
ら好ましく、より好ましくは1〜10g/m2である。
【0033】また、断熱層の断熱効果を高めるために、
断熱層中に独立あるいは連続空隙を設けることも好まし
く行われる。
【0034】次に感熱層について説明する。
【0035】本発明において感熱層は、少なくとも
(a)光熱変換物質と(b)金属キレート化合物、およ
び(c)酸発生剤を含有することが必要である。
【0036】まず、(a)光熱変換物質について説明す
る。
【0037】光熱変換物質としてはレーザー光を吸収す
るものであれば特に限定されない。この時、レーザー光
の波長としては、紫外域、可視域、赤外域のどの領域の
波長であってもよく、使用するレーザー光の波長に合わ
せた吸収域を有する光熱変換物質を適宜選択して使用す
るとよい。
【0038】例えばカーボンブラック、アニリンブラッ
ク、シアニンブラックなどの黒色顔料、フタロシアニ
ン、ナフタロシアニン系の緑色顔料、カーボングラファ
イト、ジアミン系金属錯体、ジチオール系金属錯体、フ
ェノールチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系
金属錯体、結晶水含有無機化合物、硫酸銅、硫化クロ
ム、珪酸塩化合物や、酸化チタン、酸化バナジウム、酸
化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化タングステン
などの金属酸化物、これらの金属の水酸化物、硫酸塩、
さらにビスマス、鉄、マグネシウム、アルミの金属粉な
どの添加剤を添加することが好ましい。
【0039】これらのなかでも、光熱変換率、経済性お
よび取り扱い性の面から、カーボンブラックが好まし
い。
【0040】また上記の物質以外に、赤外線または近赤
外線を吸収する染料も、光熱変換物質として好ましく使
用される。
【0041】これら染料としては400nm〜1200
nmの範囲に極大吸収波長を有する染料が使用できる
が、好ましい染料としては、最大吸収波長が700nm
〜900nmの範囲にある、シアニン系色素、アズレニ
ウム系色素、スクアリリウム系色素、クロコニウム系色
素、アゾ系分散色素、ビスアゾスチルベン系色素、ナフ
トキノン系色素、アントラキノン系色素、ペリレン系色
素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン金属錯体
系色素、ポリメチン系色素、ジチオールニッケル錯体系
色素、インドアニリン金属錯体色素、分子間型CT色
素、ベンゾチオピラン系スピロピラン、ニグロシン染料
などが好ましく使用される。
【0042】さらにこれらの色素のなかでも、モル吸光
度係数の大きなものが好ましく使用される。具体的には
ε=1×104以上が好ましく、より好ましくは1×1
5以上である。εが1×104より小さいと、感度の向
上効果が発現しにくいためである。
【0043】これらの光熱変換物質は単独でも感度の向
上効果はあるが、2種以上を併用して用いることによっ
て、さらに感度を向上させたり、吸収波長域の異なる2
種以上の光熱変換物質を併用することで2種以上の光源
に対応可能な版材とすることも可能である。
【0044】これらの光熱変換物質の含有量は、全感熱
層組成物に対して0.1〜40重量%が好ましく、より
好ましくは0.5〜25重量%である。0.1重量%よ
りも少ない場合にはレーザー光に対する感度の向上効果
が見られず、40重量%よりも多い場合には印刷版の耐
刷性が低下しやすい。
【0045】本発明でいう(b)金属キレート化合物と
は錯体化合物か有機金属化合物のことをいい、金属ジケ
テネート、金属アルコキサイド、アルキル金属、金属カ
ルボン酸塩類、酸化金属キレート化合物、金属錯体、ヘ
テロ金属キレート化合物が挙げられる。
【0046】「中心金属」としては周期表の第2周期か
ら第6周期の金属および半導体原子が挙げられ、なかで
も第3周期から第5周期の金属および半導体原子が好ま
しく、第3周期金属のAl、Si、第4周期金属のT
i、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、第5
周期金属のIn、Snが特に好ましい。
【0047】これら金属キレート化合物のうち、特に好
ましく用いられる化合物としては、アルミニウム、鉄
(III )、チタンのアセチルアセトネート(ペンタンジ
オネート)、エチルアセトアセトネート(ヘキサンジオ
ネート)、プロピルアセトアセトネート(ヘプタンジオ
ネート)、テトラメチルヘプタンジオネート、ベンゾイ
ルアセトネート類などが挙げられる。
【0048】これら金属キレート化合物はそれぞれ単独
でも使用できるし、2種以上を混合して使用することも
できる。
【0049】感熱層中に添加する量としては感熱層を形
成する固形分のうち3〜50重量%が好ましく、さらに
は10〜30重量%が好ましい。添加量が3重量%未満
である場合にはその効果、すなわち画像再現性向上効果
が低くなり、一方30重量%よりも多い場合には感熱層
の物性が低下しやすく、印刷版としては例えば耐刷性と
いう問題が生じやすくなるためである。
【0050】次に本発明の特徴である(c)酸発生剤に
ついて説明する。
【0051】まず、酸を発生する化合物としては、例え
ばオニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、スルホン化
合物およびスルホネート化合物、キノンジアジド化合物
等を挙げることが出来る。より具体的には以下の化合物
を挙げることが出来る。
【0052】(1)オニウム化合物 ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ピ
リジニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、セレ
ノニウム塩、アルソニウム塩等を挙げることが出来る。
好ましくは、ジフェニルヨードニウムトリフレート、ジ
フェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニル
ヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、トリフェ
ニルスルホニウムトリフレート、トリフェニルスルホニ
ウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスル
ホニウムナフタレンスルホネート、(ヒドロキシフェニ
ル)ベンジルメチルスルホニウムトルエンスルホネート
等である。
【0053】(2)ハロゲン含有化合物 ハロアルキル基含有ヘテロ環状化合物、ハロアルキル基
含有炭化水素化合物等を挙げることが出来る。具体的に
はハロゲンを含有するアセトフェノン化合物、ピロン化
合物、トリアジン化合物、オキサゾール化合物などを挙
げることが出来る。より具体的には、フェニル−ビス
(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メトキシフェ
ニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ナ
フチル−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン
等の(トリクロロメチル)−s−トリアジン誘導体や
1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2,2,2−ト
リクロロエタン、トリクロロアセトフェノン、デシルク
ロリド(2−クロロー2−フェニルアセトフェノン)、
2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)
−6−トリアジンである。
【0054】(3)スルホン化合物 β−ケトスルホン、β−スルホニルスルホンおよびそれ
らのα−ジアゾ化合物等を挙げることが出来る。好まし
くはフェナシルフェニルスルホン、メシチルフェナシル
スルホン、トリブロモメチルフェニルスルホン、ビス
(フェニルスルホニル)メタン、ビス(フェニルスルホ
ニル)ジアゾメタン等である。
【0055】(4)スルホネート化合物 アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸
エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホ
ネート等を挙げることが出来る。好ましくは、ベンゾイ
ントシレート、ピロガロールのトリストリフレート、ニ
トロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2
−スルホネート、2,6−ジニトロベンジルスルホナー
トエステル、o−ニトロベンジルスルホナートエステル
等である。
【0056】その他、N−イミドイルエステル、ピロガ
ロールエステル、ニトロベンジルエステル、αースルホ
ニルオキシケトン、トリス(トリクロロメチル)トリア
ジン、なども挙げられる。
【0057】(5)キノンジアジド化合物 1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸
クロライド、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4
−スルホン酸クロライドなどのキノンジアジド化合物。
さらには、これらとフェノール類、アルコール類、アミ
ン類との誘導体などが挙げられる。より具体的には、
1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸
フェノール、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4
−スルホン酸フェノールなど。
【0058】これら酸発生剤は単独で使用してもよい
し、2種以上を混合して使用してもよい。
【0059】酸発生剤の感熱層中に占める割合として
は、0.1重量%以上30重量%以下が好ましく、より
好ましくは0.3〜15重量%である。
【0060】酸発生剤が少なすぎる場合は、レーザー照
射により生じる酸の量が少なく、感熱層表面の耐溶剤性
の変化が不十分となる場合があり、逆に多すぎる場合
は、未露光部の感熱層の現像液に対する耐溶剤性が悪く
なったり、感熱層自体の物性に問題を生じる場合があ
る。さらに、保存安定性などにも悪影響を与える可能性
が高い。
【0061】本発明においては、上記酸発生剤と共に、
酸の作用で溶剤に対する溶解性を変化させる化合物を添
加することも好ましい。このような化合物としては、ま
ず酸の作用で容易に分解する官能基を有する化合物を挙
げることが出来る。
【0062】酸の作用で容易に分解する官能基としては
t−ブトキシカルボニル基、t−ブチル基、テトラヒド
ロピラニル基、トリメチルシリル基、第3級エステルな
どを挙げることが出来る。
【0063】前述の酸を発生する化合物と、t−ブトキ
シカルボニル基、t−ブチル基、テトラヒドロピラニル
基、トリメチルシリル基などを導入し溶解性を抑制され
たアルカリ可溶性化合物の混合物にレーザー光を照射す
ると、発生した酸の作用で上記官能基が脱離しフェノー
ル性水酸基が再生する。この結果、感熱層の耐溶剤性の
変化が促進される。
【0064】アルカリ可溶性の化合物の具体例として
は、ヒドロキシスチレンの重合体および共重合体、フェ
ノ−ルホルムアルデヒドノボラック樹脂(フェノ−ル、
p−tert−ブチルフェノ−ル、p−オクチルフェノ
−ル、p−ノニルフェノ−ル、カルダノ−ル、クレゾ−
ル、キシレノ−ル、カテコ−ルおよびピロガロ−ルなど
のフェノ−ル類とホルムアルデヒド類とを酸性触媒存在
下に縮合させて得られる樹脂)、ピロガロ−ルアセトン
樹脂、などを挙げることが出来る。
【0065】また、ポリ(p−ビニル安息香酸エステ
ル)類やポリメタクリル酸エステル類の第3級エステル
は、同様に酸の作用でカルボン酸とオレフィンに容易に
分解する。この結果、同様に混合物としてもアルカリな
ど各種溶剤に可溶となる。
【0066】酸の作用で溶剤に対する溶解性を変化させ
る化合物としては、次に酸の作用で容易に分解する化合
物を挙げることが出来る。このような化合物の具体例と
してはポリフタルアルデヒド類、ポリ(α−アセトキシ
スチレン)、ポリカーボネート、ポリアセタールなどを
挙げることが出来る。
【0067】さらに、酸の作用で溶剤に対する溶解性を
変化させる化合物としては、前述のような酸の作用で容
易に分解する官能基を共有結合的に有する化合物だけで
なく、例えばアルカリをはじめとする各種溶剤に溶解可
能な化合物とその溶解性を水素結合などで抑制する化合
物の組み合わせも挙げることが出来る。
【0068】このような組み合わせの具体例としては、
ヒドロキシスチレンの共重合体やノボラック樹脂などの
アルカリ可溶性化合物と溶解抑制剤としてのポリーN,
Oーアセタール、各種t−ブチルエステル、t−ブチル
カーボネート、t−ブチルエーテルなどの組み合わせを
挙げることが出来る。
【0069】本発明においては、金属キレート化合物と
の相互作用という観点から、フェノール性水酸基含有化
合物、アルコール性水酸基含有化合物、アミノ基含有化
合物、カルボキシル基含有化合物、ジケトン基含有化合
物等を添加することが好ましい。
【0070】これら化合物の添加量は、全感熱層組成物
に対して5〜60重量%が好ましく、より好ましくは2
0〜50重量%である。5重量%よりも少ないとその効
果が少なく、逆に60重量%よりも多いと印刷版の溶剤
耐性が低下しやすい。
【0071】本発明において、感熱層がさらにバインダ
ーポリマーを含有することが好ましい。この際、バイン
ダーポリマーとしては、印刷版の耐刷性の観点から、該
ポリマーのガラス転移温度(Tg)が20℃以下のポリ
マー、コポリマー、さらに好ましくはガラス転移温度が
0℃以下のポリマー、コポリマーを用いることが好まし
い。
【0072】バインダーポリマーの具体例としては、公
知のビニルポリマー類、未加硫ゴム、ポリオキシド類
(ポリエーテル類)、ポリエステル類、ポリウレタン
類、ポリアミド類などが挙げられる。
【0073】これらのバインダーの含有量は、全感熱層
組成物に対して5〜70重量%が好ましく、より好まし
くは10〜50重量%である。含有量が5%よりも少な
いと耐刷性や塗液の塗工性に問題が生じやすく、70重
量%よりも多いと画像再現性に悪影響を与えやすい。
【0074】上記各種バインダーポリマーは単独で用い
てもよいし、また数種のポリマーを混合して使用しても
よい。
【0075】このようにして得られる感熱層の物性に関
しては、得られる印刷版の印刷特性の観点から、その物
性が特定の範囲にあることが好ましい。この様な物性と
しては引張特性、その中でも引張時の初期弾性率を代表
として挙げることが出来る。具体的には、印刷版におけ
る感熱層の引張時の初期弾性率が7kgf/mm2〜7
8kgf/mm2の範囲、さらには10kgf/mm2
40kgf/mm2、さらには10kgf/mm2〜25
kgf/mm2の範囲にあることが好ましい。
【0076】感熱層の初期弾性率を以上のような範囲に
設定することにより、印刷版としての特性、特に耐刷性
を向上させることが出来る。逆に、初期弾性率が7kg
f/mm2未満である場合には画線部を形成する感熱層
がベタ着き易くなるため印刷時にヒッキーが発生し易く
なる。また、初期弾性率が78kgf/mm2より大き
い場合には、印刷時に加わる繰り返し応力により感熱層
とシリコーンゴム層との接着界面で破壊が起こりやすく
なり、耐刷性低下の原因となるためである。
【0077】感熱層の厚さは、被覆層にして0.1〜1
0g/m2 であると、印刷版の耐刷性や、希釈溶剤を
揮散し易く生産性に優れる点で好ましく、より好ましく
は1〜7g/m2である。
【0078】次にシリコーンゴム層について説明する。
本発明において、シリコーンゴム層としては、従来の水
なし平版印刷版において使用されるシリコーンゴム組成
物からなるものが挙げられる。
【0079】具体的には線状オルガノポリシロキサン
(好ましくはジメチルポリシロキサン)をまばらに架橋
することにより得られるものが挙げられる。
【0080】架橋方法としては、縮合型のものでも、付
加型のものでもよいが、取扱いなどの面から付加型のも
のが好ましい。
【0081】縮合型の架橋を行う際には、錫、亜鉛、
鉛、カルシウム、マンガンなどの金属カルボン酸塩、塩
化白金酸のような触媒が添加される事が好ましい。
【0082】付加型においては、白金単体、塩化白金、
塩化白金酸、オレフィン配位白金などの触媒が添加され
ることが好ましい。
【0083】また、付加型シリコーンゴム層の硬化速度
を制御する目的で、不飽和基含有化合物などの反応抑制
剤を添加することが好ましい。
【0084】これらの組成物の他に、付加型シリコーン
ゴム組成物に縮合型シリコーンゴム層の組成物である水
酸基含有オルガノポリシロキサンや加水分解性官能基含
有シラン(もしくはシロキサン)を添加してもよい。
【0085】また、これらシリコーンゴム層組成物に
は、ゴム強度を向上させる目的で、シリカなどの公知の
充填剤を添加することも行われる。
【0086】さらに、本発明においてシリコーンゴム層
は上記組成物の他にシランカップリング剤を含有するこ
とが好ましい。
【0087】これらシリコーンゴム層の膜厚は0.5〜
20g/m2が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5
g/m2である。膜厚が0.5g/m2よりも小さい場
合には印刷版のインキ反撥性や耐傷性、耐刷性が低下す
る傾向があり、20g/m2よりも大きい場合には経済
的見地から不利であるばかりでなく、インキマイレージ
が悪くなるという問題がある。
【0088】次に、本発明における直描型水なし平版印
刷版原版の製造方法および製版方法について説明する。
【0089】必要に応じて各種処理を施された基板上
に、必要に応じて断熱層組成物を塗布し加熱により溶媒
を揮散させ、さらに熱や光の作用で硬化させた後、感熱
層組成物を塗布し加熱による溶媒の揮散と必要に応じて
熱や光の作用での硬化を行う。この後、シリコーンゴム
組成物を塗布し50〜150℃の温度で数分間熱処理し
てシリコーンゴム層を得る。
【0090】このようにして得られた版には、シリコー
ンゴム層を保護する目的で保護フィルムをラミネートす
るかあるいは保護層を形成してもよい。
【0091】それ故、保護フィルムとしてはレーザー光
の照射を妨げることのないものが好ましく、具体的には
ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ
ビニルアルコールフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合
体ケン化物フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムなど
が挙げられる。
【0092】このようにして得られた直描型水なし平版
印刷版原版を、保護フィルムを剥離してから、あるいは
好ましくは保護フィルム上からレーザー光で画像状に露
光する。
【0093】本発明の製版露光工程で用いられるレーザ
ー光源としては、発光波長領域が300nm〜1500
nmの範囲にあるものが用いられるが、これらの中でも
近赤外領域付近に発光波長領域が存在する半導体レーザ
ーが好ましく用いられる。
【0094】レーザー照射後の原版は、水または有機溶
剤の存在もしくは非存在下での摩擦処理により現像がな
される。
【0095】摩擦処理は、現像液を含浸した不織布、脱
脂綿、布、スポンジ等で版面を拭き取ることによって、
あるいは上記の現像液で版面を前処理した後に水道水な
どをシャワーしながら回転ブラシで擦ることによって行
うことができる。
【0096】現像処理を行う場合に使用される現像液と
しては、例えば、水や水に界面活性剤を添加したもの、
さらには水に極性溶媒を添加したものや、脂肪族炭化水
素類、芳香族炭化水素類などの少なくとも1種類からな
る溶媒に極性溶媒を少なくとも1種類添加したものが用
いられる。
【0097】極性溶媒としては、エタノール、イソプロ
パノール、エチレングリコールなどのアルコール類、エ
チレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリ
コールモノブチルエーテルなどのエーテル類、アセト
ン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなど
のエステル類、カプロン酸、2−エチルヘキサン酸など
のカルボン酸などが挙げられる。
【0098】また、上記の現像液組成には、公知の界面
活性剤を添加することも自由に行われる。さらにアルカ
リ剤、例えば炭酸ナトリウム、モノエタノールアミン、
ジエタノールアミン、ジグリコールアミン、モノグリコ
ールアミン、ケイ酸ナトリウム、水酸化カリウム、ホウ
酸ナトリウムなどを添加することもできる。
【0099】これらの中では、水あるいは水に界面活性
剤を添加したもの、さらにはアルカリを添加した水が好
ましい。
【0100】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく
説明する。
【0101】
【実施例】[実施例1]厚さ0.24mmの脱脂したア
ルミ板上に下記の組成よりなる溶液を塗布し、200
℃、2分間乾燥し、3g/m2の断熱層を設けた。
【0102】(a)エポキシ・フェノール樹脂“カンコ
ート”90T−25−3094(関西ペイント(株)
製):15重量部 (b)“クリスタルバイオレット”:0.1重量部 (c)ジメチルホルムアミド:85重量部 次いで、この断熱層上に次の組成を有する感熱層組成物
を塗布し、120℃で1分間乾燥し、膜厚2g/m2の
感熱層を設けた。
【0103】<感熱層> (a)“KAYASORB”IR−820B(赤外線吸
収染料、日本化薬(株)製):10重量部 (b)トリブロモメチルフェニルスルホン :8重量部 (c)鉄(III )アセチルアセトネート(半井化学薬品
(株)製):30重量部 (e)“スミライトレジン”PR50622(フェノー
ルノボラック樹脂、住友デュレズ(株)製):50重量
部 (d)“サンプレン”T−1331(ポリウレタン樹脂
三洋化成工業(株)製、 ガラス転移温度Tg:−3
7℃):50重量部 (e)m−キシリレンジアミン/グリシジルメタクリレ
ート/3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン=
1/3/1mol比付加反応物:10重量部 (f)テトラヒドロフラン:1000重量部 (g)ジメチルホルムアミド:350重量部 次いで、下記シリコーンゴム層を乾燥膜厚2.0μm、
乾燥条件は120℃×1分間として塗設した。
【0104】<シリコーンゴム層> (a)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(重合
度770) : 100重量部 (b)HMS−501(チッソ(株)製 両末端メチル
(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキ
サン)共重合体 SiH基数/分子量=0.69mol/
g) : 4重量部 (c)オレフィン配位白金 : 0.02重量部 (d)“BY24−808”(ダウコーニングシリコー
ン(株)製 反応抑制剤) : 0.3重量部 (e)“アイソパー”E(エッソ化学(株)製) :
1000重量部 上記のようにして得られた積層板に、厚さ8μmのポリ
プロピレンフィルム“トレファン”BO(東レ(株)
製)をカレンダーローラーを用いてラミネートし、直描
型水なし平版印刷版原版を得た。
【0105】この後、この印刷版原版をFX400−A
P(製版機、東レエンジニアリング(株)製)に装着し、
半導体レーザー(波長830nm、ビーム直径20μ
m、出力0.50W)を用いて露光時間10μsでパル
ス露光を行った。
【0106】続いて、東レ(株)製自動現像装置TWL
−650により上記露光済み版の現像を行ったところ、
レーザー光が照射された部分のシリコーンゴム層が除去
されたネガ型の水なし平版が得られた。
【0107】現像の際、前処理液としては東レ(株)製
“PP−F”を、現像液としては水を、後処理液として
は東レ(株)製“PA−F”を用いた。
【0108】さらに、得られた刷版を印刷機HAMAD
A RS46L(ハマダ印刷機械(株)製)に取り付
け、水なし平版用インキ(ドライオカラーNSI 藍
大日本インキ化学工業(株)製)を使用して上質紙に印
刷を行い、印刷物を50倍のルーペで観察することで耐
刷性を調べた結果、約9万枚印刷した時点で非画線部に
汚れが生じた。
【0109】また、感熱層の初期弾性率は22kgf/
mm2であった。
【0110】[比較例1]実施例1において、感熱層中
の酸発生剤である(b)トリブロモメチルフェニルスル
ホンを抜いた以外は全く同様にして印刷版原版を作製
し、同様に評価したところ、レーザー光が照射された部
分のシリコーンゴム層が完全には除去されず、印刷版を
得ることが出来なかった。そこで、製版機の出力を0.
75Wにして製版を行ったところレーザー光が照射され
た部分のシリコーンゴム層が除去されたネガ型の水なし
平版が得られた。
【0111】[比較例2]実施例1において、感熱層中
の金属キレート化合物である(c)鉄(III )アセチル
アセトネートを抜いた以外は全く同様にして印刷版原版
を作製し、同様に評価したところ、レーザー光の照射、
未照射にかかわらずシリコーンゴム層が版全面にわたり
剥がれてしまい、印刷版を得ることが出来なかった。
【0112】[実施例2]実施例1における感熱層を下
記に変更し、乾燥膜厚1.5g/m2、乾燥条件は12
0℃×1分間とした以外は全く実施例1と同様に原版を
作製した。
【0113】製版機の出力を0.40Wにした以外は実
施例1と同様の評価を行ったところ、レーザー光が照射
された部分のシリコーンゴム層のみが除去されたネガ型
の水なし平版印刷版が得られた。
【0114】<感熱層> (a)“KAYASORB”IR−820B(赤外線吸
収染料、日本化薬(株)製):10重量部 (b)トリフェニルスルホニウムトリフレート :8重
量部 (c)“アルミキレート”D(アルミニウムモノアセチ
ルアセトネートビスエチルアセトアセテート、川研ファ
インケミカル(株)製):30重量部 (d)ポリ(p−ビニルフェノール)(丸善石油化学
(株)製“PHM−C”、Mw=5200、Mn=27
00)の水酸基の一部をt−ブトキシカルボニル化した
化合物(t−BOC化率:25%):50重量部 (e)イソフタル酸のt−ブチルエステル化物 : 3
重量部 (f)“サンプレン”T−1331(ポリウレタン樹脂
三洋化成工業(株)製、 ガラス転移温度Tg:−3
7℃):50重量部 (g)m−キシリレンジアミン/グリシジルメタクリレ
ート/3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン=
1/3/1mol比付加反応物:6重量部 (f)テトラヒドロフラン:1000重量部 (g)ジメチルホルムアミド:350重量部 [実施例3]厚さ0.24mmの脱脂したアルミ板上に
下記の組成よりなる溶液を塗布し、200℃、2分間乾
燥し、3g/m2の断熱層を設けた。
【0115】<断熱層> (a)ポリウレタン樹脂“ミラクトラン”P22S(日
本ミラクトラン(株)製):100重量部 (b)ブロックドイソシアネート“タケネートB83
0”(武田薬品工業(株)製):20重量部 (c)エポキシ・フェノール・尿素樹脂“SJ937
2”(関西ペイント(株)製):8重量部 (d)ジブチル錫ジアセテート:0.5重量部 (e)“FINEX”25(白色顔料、堺化学(株)
製):10重量部 (f)“KET−YELLOW”402(黄色顔料、大
日本インキ化学工業(株)製):10重量部 (g)ジメチルホルムアミド:720重量部 この断熱層上に、下記感熱層を乾燥膜厚2g/m2にな
るように塗布し、120℃×1分間乾燥した。
【0116】<感熱層> (a)カーボンブラック分散ロジン変性マレイン酸樹脂
(内カーボンブラック10重量部):15重量部 (b)ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホ
ネート :8重量部 (c)“ナーセム”Ti(アセチルアセトンチタン、日
本化学産業(株)製):15重量部 (d)ポリ(p−ビニルフェノール)(丸善石油化学
(株)製“PHM−C”、Mw=5200、Mn=27
00)の水酸基の一部をt−ブトキシカルボニル化した
化合物(t−BOC化率:25%):40重量部 (e)ポリ(ジーt−ブチルフマレート):10重量部 (f)“サンプレン”T−1331(ポリウレタン樹脂
三洋化成工業(株)製、 ガラス転移温度Tg:−3
7℃):50重量部 (g)m−キシリレンジアミン/グリシジルメタクリレ
ート/3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン=
1/3/1mol比付加反応物:6重量部 (f)テトラヒドロフラン:1000重量部 (g)ジメチルホルムアミド:350重量部 この感熱層の上に下記の組成を有するシリコ−ンゴム組
成物をバーコーターで塗布した後、110℃で1分間湿
熱硬化させて2.0μmのシリコ−ンゴム層を設け、さ
らに“ルミラー”(東レ(株)製、ポリエチレンテレフ
タレートフィルム 8μm)をラミネートし、直描型水
なし平版印刷版原版を得た。
【0117】<シリコーンゴム層> (a)ポリジメチルシロキサン(分子量約35,00
0、末端水酸基):100重量部 (b)ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラ
ン:8重量部 (c)ジブチル錫ジアセテ−ト:0.5重量部 (d)“アイソパ−E”(イソパラフィン系炭化水素、
エクソン化学(株)製):1400重量部 得られた原版は実施例1と同様に評価を行ったところ、
レーザー光が照射された部分のシリコーンゴム層のみが
除去された水なし平版印刷版が得られた。
【0118】[実施例4]実施例1における(b)トリ
ブロモメチルフェニルスルホン:8重量部を(b)2,
4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6
−トリアジン:10重量部に変更し、さらにポリ(p−
ビニルフェノール)(丸善石油化学(株)製“PHM−
C”の水酸基の一部をt−ブトキシカルボニル化した化
合物(t−BOC化率:25%):10重量部添加した
以外は全く実施例1と同様に原版を作製した。実施例1
と同様に評価を行ったところ、レーザー光が照射された
部分のシリコーンゴム層のみが除去された水なし平版印
刷版が得られた。
【0119】[実施例5]実施例1における(b)トリ
ブロモメチルフェニルスルホン:8重量部を(b)1,
2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸フェ
ノール:8重量部に変更した以外は全く実施例1と同様
に原版を作製した。実施例1と同様に評価を行ったとこ
ろ、レーザー光が照射された部分のシリコーンゴム層の
一部が残存した版が得られた。そこで、製版機の出力を
0.55Wにして製版を行ったところレーザー光が照射
された部分のシリコーンゴム層が完全に除去された水な
し平版が得られた。
【0120】[実施例6]実施例1における(b)トリ
ブロモメチルフェニルスルホン:8重量部を(b)1,
2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸クロ
ライドと“スミライトレジン”PR50622(フェノ
ールホルムアルデヒドノボラック樹脂、住友デュレズ
(株)製)の部分エステル化物(元素分析によるエステ
ル化率:19%):15重量部に変更した以外は全く実
施例1と同様に原版を作製した。実施例1と同様に評価
したところ、レーザー光が照射された部分のシリコーン
ゴム層が完全には除去されず、完全な形での印刷版を得
ることが出来なかった。そこで、製版機の出力を0.6
0Wにして製版を行ったところレーザー光が照射された
部分のシリコーンゴム層が除去された水なし平版が得ら
れた。
【0121】
【発明の効果】本発明は、直描型水なし平版印刷版原版
において、感熱層が光熱変換物質と、金属キレート化合
物および酸発生剤を含有することで、高感度な直描型水
なし平版印刷版が得られる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、少なくとも感熱層およびシリコ
    ーンゴム層をこの順に積層してなる直描型水なし平版印
    刷版原版において、該感熱層が少なくとも (a)光熱変換物質 (b)金属キレート化合物 (c)酸発生剤を含むことを特徴とする直描型水なし平
    版印刷版原版。
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