JP2002129298A - 溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装置 - Google Patents
溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装置Info
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Abstract
めっき鋼板の製造装置を提供すること。 【解決手段】 溶融亜鉛中に被めっき鋼板を連続的に浸
漬し、その表面に溶融亜鉛を付着させてめっき層を形成
する溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装置であって、溶融亜
鉛を貯留する溶融亜鉛容器と、前記溶融亜鉛容器内の溶
融亜鉛に浸漬するように設けられ、被めっき鋼板が巻き
掛けられるシンクロールと、前記シンクロールを収容す
るように設けられ、その上部が開口された小容器と、前
記小容器内からの溶融亜鉛流を制御し、溶融亜鉛からの
ドロスの分離を促進する整流機構とを具備する。
Description
融亜鉛に鋼板を連続的に浸漬して溶融亜鉛めっきを施す
溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装置に関する。
金属めっきを施す技術であり、代表的には、連続的に鋼
板を予備処理して所定の加熱パターンで高温に保持した
後、めっき浴中に通板させ、めっき付着量を制御した後
に、所定の冷却パターンにより常温まで冷却する方法が
採用される。一般的な溶融金属めっき鋼板の製造ライン
で用いられる溶融金属めっき装置の概略断面図を図6に
示す。この装置では、鋼板Sは非酸化性雰囲気に保たれ
たスナウト27から、溶融金属からなるめっき浴22に
引き込まれ、シンクロール23およびサポートロール2
5を経て鉛直方向に引き上げられ、ガスワイパー24で
過剰の溶融金属が除去される。
ら溶出した鉄とめっき成分との金属間化合物、いわゆる
ドロスを生成する。ドロスは鉄成分を含有するので、一
般的にその密度はめっき浴の密度に比べて大きくなり、
ドロスはめっき浴中を沈降することになる。
の反応で発生するため、発生当初のドロスの粒径は小さ
く、鋼板に付着しても何ら問題とはならないが、凝集合
体、温度変化あるいはめっき成分濃度の時間的履歴を受
けるにつれてドロスが大きくなった後に鋼板に付着した
場合には、表面品質を劣化させるばかりでなく、鋼板の
加工時に表面の平滑性を損なうことにもなり、めっき鋼
板の品質上大きな問題である。
終的に浴底部に沈降するので、堆積したドロス量が増加
すると、鋼板が通板することにより誘起される溶融亜鉛
の流れによって、一旦沈降したドロスが再度浮遊するこ
とがあり、この再浮上したドロスの存在が最も製品品質
上好ましくないものである。
て、特開平5−171388号公報においては、溶融亜
鉛槽内のめっき浴を濾過装置に通して循環させることに
よりドロスを除去する特殊な浴槽が提案されている(従
来技術1)。また、特開平4−154948号公報にお
いては、溶融亜鉛槽と、めっき浴に浅い流路を介してつ
ながる沈殿浴とにポンプを用いることで、浴中ロールの
回転と鋼板の移動による攪拌効果でめっき浴内でドロス
の沈降堆積を防止し、かつ生成するドロスを積極的に沈
殿浴内で沈積沈降させて、ドロス分離できためっき浴を
ポンプで浴槽に戻す方法が提案されている(従来技術
2)。さらに、特開平7−207419号公報において
は、亜鉛めっき浴槽内に静定槽および吸引ポンプを設置
し、シンクロールの下部に上面が傾斜した傾斜板を配設
し、傾斜板の下部に吸引ポンプの吸い込み口を静定槽に
連通させる方法が提案されている(従来技術3)。さら
にまた、特開平7−268578号公報においては、図
7に示すように、槽底が円弧状曲線を有するめっき槽3
1の外側に、ドロスを沈降堆積する沈殿槽33を設け、
めっき浴中で鋼板Sを走行させることにより形成される
流れによって、めっき槽31内のドロスを含む溶融亜鉛
をめっき槽31出側に設けられた流路から沈殿槽33に
導き、その一方で沈殿槽33内でドロスを沈降分離して
清浄化された溶融亜鉛をめっき槽31入側に設けられた
連通孔35からめっき槽31内に戻す方法が提案されて
いる(従来技術4)。
題が存在する。具体的には、従来技術1のような濾過式
の場合には、濾過により除去できるドロスのサイズが経
時的に変化して安定しないこと、また、濾過により除去
されたドロスを濾過装置から取り除くためには濾過装置
を停止しなければならず、その間は濾過ができないこ
と、という問題がある。また、従来技術2のようにめっ
き浴に流路を介してつながる沈殿浴とポンプとを用いた
場合には、従来のめっき浴を加熱保持する装置に加えて
沈殿浴を加熱保持するための装置が別途必要であり、か
つ、その装置を制御する必要があること、また、耐食性
の問題から溶融亜鉛中でポンプを長時間使用することは
困難であり、ポンプのメンテナンスに手間がかかるこ
と、という問題がある。
様のポンプを使用することに伴う問題に加えて、静定槽
で回収できるドロスはシンクロール下部に沈降してきた
ドロスだけであり、鋼帯の通板速度を増速したときや鋼
帯の幅を広くしたときには、めっき槽内で安定して沈降
せずに巻き上げられたドロスが鋼帯表面に付着して表面
欠陥を起こす危険性が高いこと、という問題がある。
ンプを使用していないものの、めっき槽31内の溶融亜
鉛が十分に攪拌されず、鋼板Sの表裏で進入板温度やめ
っき浴中のアルミ濃度に差が出てしまうこと、鋼板Sの
シンクロール側に生じたドロスはめっき槽31外に排出
されにくいため品質改善効果には限界があること、とい
う問題がある。さらに、この技術のように単にシンクロ
ールと沈降したドロスとの間に流れを遮断する部材を設
けても、ドロスが巻き上げられることを完全に防止する
ことは不可能である。
ンプ等の駆動装置を用いることなく、鋼板の表裏に存在
するドロスを適切に分離することができていないため、
そのドロスを低減する能力には限界があり、抜本的にド
ロスを低減することは困難である。
鑑みてなされたものであって、濾過装置やポンプ等を用
いずに溶融亜鉛からドロスを適切に分離することがで
き、ドロスを分離する能力が極めて高く、品質欠陥の極
めて少ない高品質の溶融亜鉛系めっき鋼板を製造するこ
とができる溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装置を提供する
ことを目的とする。
業に使用している溶融亜鉛槽(めっきポット)での溶融
亜鉛めっきの流れ、ならびにドロスの発生メカニズムお
よびドロスのめっきポット内での挙動を調査した。その
結果、以下のことを確認した。
示すように、めっきポット内の溶融亜鉛の流れの駆動力
になっているのは、 1.(a)の記号Aで示すめっきポット内を走行するス
トリップにより生じる溶融亜鉛の随伴流 2.(b)の記号Bで示すようなストリップおよびシン
クロールの接触部分で行き場所のなくなった随伴流がシ
ンクロール胴長方向に流れる吐き出し流 3.(c)の記号Cで示す溶融亜鉛を保熱あるいは加熱
するための誘導加熱装置での電磁気力による流れ 4.(a)の記号Dで示す固相の亜鉛を供給するインゴ
ット投入口近傍で生じる溶融亜鉛の温度不均一による自
然対流による流れであり、このうち記号A、B、Cの流
れが特に重要であることである。
ポットの端部にドロスが集中的に堆積するのは、図1に
示す記号Aの流れによって、ドロスが再度巻上げられる
以外に、記号Bの流れによって、端からドロスを含む流
れが底部に生じ、ドロスが巻上げられたり、吹き寄せら
れ、記号Cの流れによって、沈静化していたドロスが巻
き上がることが原因であることが水モデル試験のデータ
から把握された。
るに際し、ストリップに付着する鉄粉およびストリップ
が溶融亜鉛と反応して溶出した鉄が、亜鉛との間で金属
間化合物を生成する反応が初期に生じる。この金属間化
合物は微細なドロスであり、この微細なドロスは、スト
リップの走行に随伴して流されて、一旦は溶融亜鉛めっ
きポット底部に達し、底部の低温めっき浴と混合するこ
とにより、また、溶融亜鉛への鉄の溶解度などにより成
長する。
るドロスの大きさは球形換算すると100μm以上であ
り、この100μm程度のドロスの密度を分析したとこ
ろ、460℃の溶融亜鉛浴中では溶融亜鉛の密度よりも
大きい6860kg/m3であった。このことから問題
となるドロスは、球形に換算した場合、静止状態を作っ
てやれば1時間に約1m程度の速度で沈降することがわ
かった。
を適切に行い、品質欠陥の極めて少ない高品質の溶融亜
鉛系めっき鋼板を製造するためには、シンクロールを収
容する小容器を設けて、小容器内のめっき部で溶融亜鉛
を強攪拌して問題となる大きな粒径のドロスを排出し、
一旦小容器から流出したドロスはめっき部の外で極力沈
降分離するようにして上澄み浴だけをめっき部に戻すよ
うにするとともに、小容器から排出された溶融亜鉛流を
制御する機構を設け、めっき部の外におけるドロスの分
離を促進することが有効であることを見出した。また、
特に高速通板時には、上記記号Aの流れがめっきポット
浴壁に到達した後に下降流れとなって堆積したドロスを
巻き上げることがあるが、小容器から排出された溶融亜
鉛流を下方に導くとともに、めっきポット底部でドロス
の巻き上げを生じない程度の流速になるように溶融亜鉛
流を制御することにより、高速通板時にもドロス巻き上
げを防止することができることをも見出した。
のであって、第1発明は、溶融亜鉛中に被めっき鋼板を
連続的に浸漬し、その表面に溶融亜鉛を付着させてめっ
き層を形成する溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装置であっ
て、溶融亜鉛を貯留する溶融亜鉛容器と、前記溶融亜鉛
容器内の溶融亜鉛に浸漬するように設けられ、被めっき
鋼板が巻き掛けられるシンクロールと、前記シンクロー
ルを収容するように設けられ、その上部が開口された小
容器と、前記小容器内からの溶融亜鉛流を制御し、溶融
亜鉛からのドロスの分離を促進する整流機構とを具備す
ることを特徴とする溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装置を
提供する。
機構は、前記小容器上端の通板方向前方部に延設され、
ドロスを前記小容器内から前記溶融亜鉛容器の底部に導
く溶融亜鉛流を形成する第1の整流板を有することを特
徴とする溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装置を提供する。
いて、前記整流機構は、前記溶融亜鉛容器の底部に設け
られ、前記溶融亜鉛容器底部を通流する溶融亜鉛流を減
速する第2の整流板を有することを特徴とする溶融亜鉛
系めっき鋼板の製造装置を提供する。
れかにおいて、前記整流機構は、前記溶融亜鉛容器と前
記小容器との間隙の通板方向側方部分または/および後
方部分に設けられ、その部分を上下方向に通流する溶融
亜鉛流を減速する第3の整流板を有することを特徴とす
る溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装置を提供する。
いて、前記第2の整流板または/および前記第3の整流
板は、溶融亜鉛流を2cm/min以下に減速すること
を特徴とする溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装置を提供す
る。
れかにおいて、前記小容器は、通板方向後方部の上端が
溶融亜鉛の浴面から200mm以下の深さであり、通板
方向前方部の上端が溶融亜鉛の浴面から200mm以上
500mm以下の深さであり、通板方向側方部の上端が
溶融亜鉛の浴面から200mm以上800mm以下の深
さであることを特徴とする溶融亜鉛系めっき鋼板の製造
装置を提供する。
れかにおいて、前記小容器は、前記シンクロール、前記
シンクロールを支持する部材および被めっき鋼板から1
00mm以上500mm以下の範囲で離隔されているこ
とを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に
記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装置を提供する。
れかにおいて、前記小容器の内面は、その角部が曲面状
であることを特徴とする溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装
置を提供する。
るように設けられ、その上部が開口された小容器と、こ
の小容器内からの溶融亜鉛流を制御し、溶融亜鉛からの
ドロスの分離を促進する整流機構とを具備するので、め
っき部を強攪拌しながら問題となるドロスを排除すると
ともに、めっき部の外におけるドロスを極力分離し、ま
た、問題となるドロスがめっき部に戻らないようにする
ことができる。したがって、ドロスによる表面欠陥が低
減され極めて高品質の溶融亜鉛系めっき鋼板を製造する
ことができる。
小容器上端の通板方向前方部に延設され、ドロスを前記
小容器内から前記溶融亜鉛容器の底部に導く溶融亜鉛流
を形成する第1の整流板を有するので、小容器内で生成
したドロスを溶融亜鉛から速やかに分離することができ
る。また、第3発明によれば、前記整流機構が、前記溶
融亜鉛容器の底部に設けられ、前記溶融亜鉛容器底部を
通流する溶融亜鉛流を減速する第2の整流板を有するの
で、前記溶融亜鉛容器底部に堆積したドロスが巻き上げ
られることを防止することができる。さらに、第4発明
によれば、前記整流機構が、前記溶融亜鉛容器と前記小
容器との間隙の通板方向側方部分または/および後方部
分に設けられ、その部分を上下方向に通流する溶融亜鉛
流を減速する第3の整流板を有するので、ドロスが前記
溶融亜鉛容器の底部から上方に流されて前記小容器内に
侵入することが防止される。
ずれによっても、溶融亜鉛流を適切に制御してドロスの
分離を促進することができるが、特に、第2発明と第3
発明とを組み合わせて、前記第1の整流板および前記第
2の整流板を設けることにより、ドロスを速やかに前記
溶融亜鉛容器の底部に導いて分離することができ、か
つ、ドロスの堆積された前記溶融亜鉛容器底部を通流す
る溶融亜鉛流を低速にすることができるため、鋼板の随
伴流が増大する高速通板時であってもドロス巻き上げを
極めて有効に防止することができる。また、この組み合
わせにさらに第4発明の前記第3の整流板を組み合わせ
ることにより、高速通板時のドロス巻き上げの危険を一
層低くすることができる。
の実施の形態について説明する。図2は、本発明の実施
の形態に係る溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装置の一例を
示す上面図、図3は図2のA−A断面矢視図、図4は図
2のB−B断面矢視図、図5は図2のC−C断面矢視図
である。この溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装置は、溶融
亜鉛2を貯留するためのめっきポット10を有し、この
めっきポット10の両側には溶融亜鉛の加熱および保熱
を行うためのインダクションヒーター6が設けられてい
る。また、めっきポット10内には溶融亜鉛に浸漬する
ように小容器としての小ポット8が設けられている。小
ポット8の上方には、端部が小ポット8内の溶融亜鉛に
浸漬するように、内部が非酸化性雰囲気に保たれたスナ
ウト7が配置され、このスナウト7内から小ポット8内
の溶融亜鉛中に鋼板Sが連続的に供給される。小ポット
8内の浴面下方には、鋼板Sの進行方向を上方に方向転
換するシンクロール3と、鋼板Sの移動を支える一対の
サポートロール5が、それぞれ治具4に支持された状態
で、小ポット8内の溶融亜鉛に浸漬するように配置され
ている。めっきポット10の端部の溶融亜鉛2の浴面近
傍には、溶融亜鉛補給用の亜鉛インゴット9が浸漬され
ている。
うように所定の曲率で屈曲した形状を有し、シンクロー
ル3およびサポートロール5を覆うように設けられた底
板8aと、この底板8aの両側方にそれぞれシンクロー
ル3の端部を覆うように設けられた側板8bからなり、
小ポット8の上部は開口されている。この底板8aの通
板方向前方部には、小ポット8内のドロスをめっきポッ
ト10の底部に導く溶融亜鉛の流れを形成する第1の整
流板11が延設されている。小ポット8は、その全体が
溶融亜鉛に浸漬するように設けられているが、底板8a
の通板方向後方の上端は通板方向前方の上端よりも高く
設けられており、また、側板8bの上端はシンクロール
3の上端よりも高く、かつ、底板8aの通板方向前方お
よび後方の上端部よりも低くなるように設けられてい
る。さらに、小ポット8の内面は、図4に示すようにそ
の角部が曲面状とされているので、小ポット8内の溶融
金属は角部で澱むことなく十分に攪拌される。
び、めっきポット10の底面には、それぞれ第2の整流
板12が複数設けられている。この溶融亜鉛系めっき鋼
板の製造装置では、めっきポット10の底部には図3に
白矢印で示すように溶融亜鉛が流れるが、このように第
2の整流板12を設けたことにより、めっきポット10
の底部を通流する溶融亜鉛流は減速される。
ト10の内壁には、その通板方向側方部および後方部に
第3の整流板13が複数設けられている。このように第
3の整流板13を設けたことにより、小ポット8とめっ
きポット10との間隙の通板方向側方部および後方部で
は、溶融亜鉛の上下方向の流れが減速される。
には開口8cが設けられており、この開口8cと連通す
る中空部20aを有する筒状の足部20が設けられ、こ
の足部20により小ポット8は支持されている。足部2
0の中空部20aは底板8aの開口8cと連通している
ので、小ポット8を溶融亜鉛2中に沈める際には足部2
0内を通って溶融亜鉛2が小ポット8内に流れ込み、作
業を簡単に行うことができる。また、溶融亜鉛2中から
小ポット8を引き上げる際には小ポット8内の溶融亜鉛
2は足部20内を通って排出されるため、作業が簡単で
ある。なお、小ポット8を溶融亜鉛2中に沈めた状態で
は足部20の底部はめっきポット10の底部に接地して
いるため、操業中に小ポット8内外の溶融亜鉛2が足部
20の中空部20aを介して混合することはない。
板の製造装置においては、鋼板Sがスナウト7からめっ
きポット10内に貯留された溶融亜鉛2中に連続的に浸
漬される。そして、鋼板Sはシンクロール3によって上
方に方向転換された後、サポートロール5の間を通って
めっきポット10の上方へ通板され、図示しないガスワ
イパーにより余分な溶融亜鉛が除去され、溶融亜鉛系め
っき鋼板が得られる。
クロール3および鋼板Sの随伴流が発生するが、この随
伴流は小ポット8の内側で形成されるので、めっきポッ
ト10の底部が随伴流の影響を直接的に受けることは防
止される。また、シンクロール3の側方は、小ポット8
の側壁8bで覆われているので、鋼板Sとシンクロール
3との接触部分からシンクロール3の胴長方向に流れた
溶融亜鉛の流れはこの側壁8bに衝突して、小ポット8
の底部に向けて流れる下降する流れと、上昇する流れと
に分かれる。この下降する流れにより、小ポット8内の
溶融亜鉛は強攪拌されるので、小ポット8の底部にドロ
スが堆積することはない。一方、上昇した流れは、めっ
きポット10底部に堆積されたドロスを巻き上げる駆動
力とはなならず、小ポット8内に流入する溶融亜鉛と混
合することにより、温度の均一化および溶融亜鉛の均一
化を促進するために有効に利用される。このようにして
小ポット8内の溶融亜鉛は強攪拌されるとともに、随伴
流によってドロスを含んだ溶融亜鉛が小ポット8から排
出される。
小ポット8上端の通板方向前方部から延設された第1の
整流板11に導かれてめっきポット10の壁面に達した
後に底部に向けて下降する流れとなり、この流れにより
小ポット8内のドロスは速やかにめっきポット10の底
部に誘導され、ここで問題となるドロスが沈降分離され
る。この際、随伴流の形成されるシンクロール3近傍と
めっきポット10の底部とは小ポット8により遮断され
ていることに加えて、めっきポット10の底部を通流す
る溶融亜鉛流は第2の整流板12により減速されるの
で、めっきポット10の底部では溶融亜鉛が静止状態に
近い状態にされており、これによりドロスは溶融亜鉛と
の密度差により極めて高い分離能で沈降分離され、めっ
きポット10の底部に堆積される。また、一旦堆積され
たドロスが巻き上げられることも防止される。この効果
は、特に鋼板の随伴流が増大する高速通板時において有
効である。
ドロスの分離された溶融亜鉛は、その清浄な上澄み部分
がめっき浴上方の通板方向側方および後方から小ポット
8内に流入して循環され、再び溶融亜鉛系めっき鋼板の
製造に供される。この際、めっきポット10の底部から
めっき浴上方に向かう溶融亜鉛流は、第3の整流板によ
り減速されるので、めっきポット10の底部から問題と
なる大きさのドロスがめっき浴上方に流されて小ポット
8内に混入することが防止される。このように、第3の
整流板13は、めっきを行うめっき部としての小ポット
8の内部と、ドロスを沈降分離する沈降部としてのめっ
きポット10の底部とを分離する機能を有しており、特
に鋼板の随伴流が増大する高速通板時において有効であ
る。なお、第3の整流板13は、通板方向後方および両
側方に対してそれぞれ別個に設けるようにしてもよい。
融亜鉛の流速を2cm/min以下に減速することが好
ましい。このように溶融亜鉛流の流速を問題となるドロ
スの沈降速度よりも小さくすることにより、めっきポッ
ト10底部に堆積されたドロスの巻き上げに起因した表
面欠陥の発生をより確実に防止することができる。ま
た、第3の整流板13もまた、溶融亜鉛の流速を2cm
/min以下に減速することが好ましい。このようにす
ることで、めっきポット10底部から問題となるドロス
がめっき部に侵入することによる表面欠陥の発生をより
確実に防止することができる。
整流機構として、第1の整流板11、第2の整流板12
および第3の整流板13を有し、これらにより溶融亜鉛
の流れを制御するものについて説明したが、これらの整
流板は単独または任意の組み合わせで用いるようにして
もよい。また、整流板の形状は図示したものに限られ
ず、上述した機能を有するものであればどのような形状
であってもよい。さらに、本発明における整流機構は、
小ポット8内からの溶融亜鉛流を制御し、溶融亜鉛から
のドロスの分離を促進するものであればよく、このよう
な整流板を有するものに限定されるものではない。
拌するためには、小ポット8は、シンクロール3、治具
4および鋼板Sと、100mm以上500mm以下の範
囲で離隔されていることが望ましい。100mm以上と
したのは、この小ポット8はシンクロール3等の浴中機
器を挿入する以前に設置されなければならないため、設
置するのに必要な余裕を確保し、また、局所的な温度分
布や濃度分布の偏りの発生を防ぐためである。また、5
00mm以下としたのは、この距離以上では小ポット8
の底部を攪拌する強い流れを形成することが難しくなる
ためである。
方部(スナウト7側)は、その上端がスナウト7下端よ
りも高く、溶融亜鉛2の浴面から200mm以下の深さ
であることが好ましい。また、底板8aの通板方向前方
部は、その上端が溶融亜鉛2の浴面から200mm以上
500mm以下の深さを有することが好ましい。底板8
aの通板方向前方部の上端を溶融亜鉛2の浴面から20
0mm未満にすると、小ポット8から溶融亜鉛を排出し
て循環させることがスムーズにできず、また浴面から5
00mmを超えると小ポット8からの溶融亜鉛の排出量
が大きくなりすぎて、小ポット8の外でドロスを沈降す
るのに十分な時間が確保できなくなる。また、小ポット
8の側板8bの上端は、浴面から200mm以上800
mm以下の深さであることが好ましい。側板8bの上端
を浴面から200mm未満とすると循環の戻りが十分に
得られず、800mmを超えると小ポット8内への溶融
亜鉛の流入量が大きくなりすぎて、小ポット8の外でド
ロスを沈降するのに十分な時間が確保できなくなる。
造装置を用いて実験を行った結果について説明する。図
5の鋼板入側上端の深さL1=100mm、鋼板出側上
端の深さL2=300mm、側壁8b上端の深さL3=
700mmの小ポット8を配置し、上述したように第1
の整流板11、第2の整流板12および第3の整流板1
3を設け、めっき鋼板を製造する実験を行った。その結
果、鋼板Sの通板速度を100m/minから150m
/minに増速させても品質欠陥の極めて少ない高品質
の溶融亜鉛系めっき鋼板を製造することができることが
確認された。
鉛容器に貯留された溶融亜鉛の中に、シンクロールを収
容する小容器と、溶融亜鉛流を制御してドロスの分離を
促進する整流機構とを設けたので、めっき部を強攪拌し
ながら問題となるドロスを排除するとともに、めっき部
の外におけるドロスを極力分離し、また、問題となるド
ロスがめっき部に戻らないようにすることができ、品質
欠陥の極めて少ない高品質の溶融亜鉛系めっき鋼板を製
造することができる。
図。
板の製造装置の一例を示す上面図。
図
属めっき装置の概略断面図。
Claims (8)
- 【請求項1】 溶融亜鉛中に被めっき鋼板を連続的に浸
漬し、その表面に溶融亜鉛を付着させてめっき層を形成
する溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装置であって、 溶融亜鉛を貯留する溶融亜鉛容器と、 前記溶融亜鉛容器内の溶融亜鉛に浸漬するように設けら
れ、被めっき鋼板が巻き掛けられるシンクロールと、 前記シンクロールを収容するように設けられ、その上部
が開口された小容器と、 前記小容器内からの溶融亜鉛流を制御し、溶融亜鉛から
のドロスの分離を促進する整流機構とを具備することを
特徴とする溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装置。 - 【請求項2】 前記整流機構は、前記小容器上端の通板
方向前方部に延設され、ドロスを前記小容器内から前記
溶融亜鉛容器の底部に導く溶融亜鉛流を形成する第1の
整流板を有することを特徴とする請求項1に記載の溶融
亜鉛系めっき鋼板の製造装置。 - 【請求項3】 前記整流機構は、前記溶融亜鉛容器の底
部に設けられ、前記溶融亜鉛容器底部を通流する溶融亜
鉛流を減速する第2の整流板を有することを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板
の製造装置。 - 【請求項4】 前記整流機構は、前記溶融亜鉛容器と前
記小容器との間隙の通板方向側方部分または/および後
方部分に設けられ、その部分を上下方向に通流する溶融
亜鉛流を減速する第3の整流板を有することを特徴とす
る請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の溶融亜
鉛系めっき鋼板の製造装置。 - 【請求項5】 前記第2の整流板または/および前記第
3の整流板は、溶融亜鉛流を2cm/min以下に減速
することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の
溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装置。 - 【請求項6】 前記小容器は、通板方向後方部の上端が
溶融亜鉛の浴面から200mm以下の深さであり、通板
方向前方部の上端が溶融亜鉛の浴面から200mm以上
500mm以下の深さであり、通板方向側方部の上端が
溶融亜鉛の浴面から200mm以上800mm以下の深
さであることを特徴とする請求項1から請求項5のいず
れか1項に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装置。 - 【請求項7】 前記小容器は、前記シンクロール、前記
シンクロールを支持する部材および被めっき鋼板から1
00mm以上500mm以下の範囲で離隔されているこ
とを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に
記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装置。 - 【請求項8】 前記小容器の内面は、その角部が曲面状
であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれ
か1項に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造装置。
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