JP2928454B2

JP2928454B2 - 連続溶融金属めっき装置

Info

Publication number: JP2928454B2
Application number: JP6334694A
Authority: JP
Inventors: 一郎旭; 貞夫江端
Original assignee: Kawasaki Steel Corp
Current assignee: JFE Steel Corp
Priority date: 1994-03-31
Filing date: 1994-03-31
Publication date: 1999-08-03
Anticipated expiration: 2014-08-03
Also published as: JPH07268578A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】連続溶融金属めっきラインに配置
するめっき装置に関し、さらに詳しくは、めっき浴内で
生成したドロス等の不純物に起因してめっき品質が低下
するのを防止できるめっき装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、連続溶融亜鉛めっきラインに利用
されているめっき装置においては、めっき浴中に浸漬配
置されためっき対象の金属帯やその走行用ロール（以
下、シンクロールという）等から溶出した鉄分、亜鉛、
あるいはめっき品質向上のために投入されるアルミニウ
ムと亜鉛の化合した合金等、所謂ドロスが浴中に浮遊し
たり、その一部が底部に沈澱堆積することが良く知られ
ている。そして、これらのドロスは、金属帯と共にめっ
き浴から引き上げられて、そのめっき面上に付着し、め
っき品質の低下を引き起こす原因になっていた。すなわ
ち、めっき浴槽の底部に堆積している所謂ボトムドロス
（Ｆｅ−Ｚｎ系ドロスが多い）は、浴中にめっき用溶融
亜鉛の流れがなく静かな状態であれば、該底部に堆積し
たままの状態を保っている。しかしながら、ボトムドロ
スは、溶融亜鉛との比重差がほとんどないため、金属帯
の走行やシンクロールの回転でめっき浴が攪拌される
と、容易に巻き上げられてめっき浴中に浮遊、拡散し、
その結果、金属帯面上に付着し易くなり、よってめっき
品質の低下を招くのである。

【０００３】そこで、これらの問題を解決するため以前
より研究が行われており、特許出願等も多々見られるよ
うになった。例えば、特開平３−１６６３５２号公報で
開示された「溶融亜鉛めっき浴中のボトムドロス抑制方
法」は、図３に示すように、めっき浴中に配置したシン
クロールとめっき浴槽底との間の距離を３００ｍｍ以下
に狭ばめて、該シンクロールの回転によりボトムドロス
を積極的に浮上させ、めっき作業中にボトムドロスが浴
底に沈澱堆積することを抑制する方法である。それは、
めっき浴中のシンクロールの回転及び走行する金属帯に
よってめっき浴をかなり激しく攪拌すること、さらには
ボトムドロスがめっき浴底部より巻き上げられるほどか
なり早い速度で溶融亜鉛が流動することに着目したもの
であり、その結果、堆積しようとするボトムドロスはめ
っき浴の流れによって底部から排出されるものである。

【０００４】また、特開平３−３８３５４号公報は「ボ
トムドロスの巻き上げ抑制装置」を提案しており、シン
クロールとめっき浴底までの間にめっき浴の流れを抑制
する遮蔽板と、ボトムドロスの排出用としてのバケッ
ト、さらにはボトムドロスのバブリングできるボトムド
ロスの巻き上げ抑制装置などを開示している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
３−１６６３５２号公報に記載の方法は、めっき浴底部
に堆積しようとするボトムドロスを槽底部から単に巻き
上げているに過ぎず、めっき浴中にはボトムドロスが多
量に浮遊している状態となり、むしろドロスがめっき面
に付着し易い状態となってさらにめっき品質が低下する
という問題がある。また、特開平３−３８３５４号公報
記載の装置は、めっき浴中の溶融亜鉛の流れを抑制して
ボトムドロスが流動しにくい状態を保とうとしている
が、めっき作業時間にほぼ比例して増え続けるボトムド
ロスを長期間にわたって静止状態に保持することは不可
能である。そのため、いずれめっき作業を中断してボト
ムドロスを機械的に排出するか、あるいはアルミニウム
を投入してＦｅ−Ｚｎ系合金をＦｅ−Ａｌ系合金に置換
して浮上させた後、除去しなければならず、生産可能時
間の短縮によるコスト上昇を招くという別の問題があっ
た。

【０００６】本発明は、かかる事情を鑑み、めっき作業
中にボトムドロスがめっき浴槽の底部に沈澱堆積しない
めっき装置を提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】発明者は、上記目的を達
成するため、特開平３−１６６３５２号公報の記載技術
が、ボトムドロスを単に槽底から巻き上げているだけで
あり、めっき位置からは除去されていないことに着眼
し、その欠点の是正を試みた。本発明は、その試みの成
果を具現化したものであり、金属帯を、めっき浴中に浸
漬し、該めっき浴中を連続的に走行させ槽底が円弧状曲
線を有するめっき浴槽と、該金属帯の走行を案内するシ
ンクロールとで形成した連続溶融金属めっき装置におい
て、該めっき浴中で生成したボトムドロスを沈澱堆積さ
せる沈澱槽を配設すると共に、前記めっき浴槽の側壁上
端近傍に、該めっき浴槽内のめっき用溶融金属が上記沈
澱槽内に進入及び／又は排出自在な連通孔を設け、さら
に、溶融金属浴面に浮遊するトップドロスがめっき浴槽
に入り込まないように、前記側壁の上端位置を溶融金属
浴面より高くしたことを特徴とする溶融金属めっき装置
である。

【０００８】

【作用】本発明では、金属帯を、めっき浴中に浸漬し、
該めっき浴中を連続的に走行させ槽底が円弧状曲線を有
するめっき浴槽と、該金属帯の走行を案内するシンクロ
ールとで形成した連続溶融金属めっき装置において、該
めっき浴中で生成したボトムドロスを沈澱堆積させる沈
澱槽を配設するようにしたので、めっき槽内で生じるド
ロスは、該金属帯の走行ならびにシンクロールの回転に
より、図１に示すような浴流れを形成し、めっき浴と共
に沈澱浴に排出され、一旦沈澱槽に流出したドロスを含
むめっき浴はめっき槽に比較してかなり大きな沈澱槽内
では流速が極めて遅くなるため、ボトムドロスは分離、
沈澱しやすく、よって沈澱槽の底部に堆積するようにな
る。その結果、ボトムドロスの除去されためっき用溶融
金属が該めっき槽に循環、使用されるようになるので、
金属帯のめっき悪化は抑制されるようになった。また、
本発明では、上記めっき浴槽の側壁上端近傍に、該めっ
き浴槽内のめっき用溶融金属が上記沈澱槽に進入及び／
又は排出自在な連通孔を設けるようにして、沈澱槽と該
めっき槽間とのめっき用溶融金属の循環を円滑にすると
共に、ボトムドロスの分離効果を確実にした。以下、実
施例において、図１〜２に基づき、本発明の内容を具体
的に説明する。

【０００９】

【実施例】図１及び２は、本発明に係る連続溶融金属め
っき装置の側面と平面を示している。この装置で、金属
帯として板厚０．７ｍｍ，幅１２００ｍｍの薄鋼板（以
下、鋼帯という）を選び、溶融亜鉛めっきを施した。鋼
帯２は、溶融亜鉛の入っためっき浴槽３に通板速度１２
０ｍｍ／ｍｉｎで連続的に浸漬され、該浴槽３中を走行
して溶融亜鉛をその表面に付着し、槽外に去る。そのた
め、めっき浴槽３には、鋼帯２の進行方向を変えるシン
クロール４及びめっき浴槽３から引き上げられる鋼帯２
の立ち上がり位置を制御するサポートロール５が配置さ
れている。めっき浴槽３の底部はシンクロール４の胴部
の曲率半径よりわずかに大きい曲率半径としたほぼ半円
状な形状であり、この曲率半径の中心位置はシンクロー
ル４の軸心にほぼ一致している。また、この曲率半径は
めっき浴槽３の底部とシンクロール４の胴部下部の隙間
が１０ｍｍ〜３００ｍｍとなるような値を選んでいる。
なお、めっき浴槽３の底部とシンクロール４胴部の隙間
はできうるかぎり小さい方が望ましい。

【００１０】本発明の重要なポイントは、上記めっき浴
槽３にボトムドロスを沈澱堆積させる沈澱槽を設けたこ
とである。該沈澱槽１は、鋼帯２が引き上げられる側の
傾斜しためっき浴槽側壁６の上端は浅い流路を形成して
沈澱槽１につながっており、シンクロール４とサポート
ロール５の回転並びに走行する鋼帯２に沿って流動する
ボトムドロス等を含む溶融亜鉛が、そこに流れ込める構
造である。また、鋼帯２がめっき浴槽３に進入する側の
傾斜した側壁７には、沈澱槽１内でボトムドロスを沈
澱、除去した清浄な溶融亜鉛がめっき浴槽３に再び流れ
込むことができるよう連通孔８が設けてある。ここで、
該側壁７の上端は、沈澱槽１の溶融亜鉛浴面より上にな
るようになっており、溶融亜鉛浴面に浮遊するトップド
ロスがめっき浴槽３に入り込まないようにしている。さ
らに、上記傾斜した側壁６、７は、ドロスがこれらの側
壁に堆積しにくいような傾斜角度を持たせている。めっ
き浴槽３と沈澱槽１の材料は、溶融亜鉛に侵蝕や付着が
しにくく、かつ高温環境（４６０〜４８０℃程度）に耐
え得るもの、例えばセラミックス等であれば良い。

【００１１】次に、めっき浴の流れ（図１及び図２に矢
印で示す）について説明する。シンクロール４とサポー
トロール５の回転並びに走行する鋼帯２に沿ってめっき
浴槽内に発生するボトムドロスを含んだかなり速い溶融
亜鉛の流れは、鋼帯２の立ち上がり側のめっき浴槽側壁
６の切り込み部から沈澱槽１へ流出する。さらに、この
流れは、沈澱槽１内を緩やかに流れながら沈澱槽１内を
循環し、この循環過程において溶融亜鉛より比重の大き
なボトムドロスは該沈澱槽１の底部に沈澱する。一方、
沈澱槽１からめっき浴槽３に供給される清浄な溶融亜鉛
は、上記側壁７に設けられた連通孔８からめっき浴槽３
に流入、再使用される。なお、本実施例では、めっき浴
槽３への清浄な溶融亜鉛の流入口（連通孔８）を上記側
壁７に直接設けているが、この流入口に配管を接続して
より清浄な部分から溶融亜鉛を引き込むことも可能であ
る。また、この流入口８にドロス除去を補足するフィル
タ等を取付けることによりめっき浴槽３に流入する溶融
亜鉛の清浄化を図ることもできる。さらに、底部に堆積
したボトムドロスは、該沈澱槽に排出口を設け、めっき
作業を停止しないで機械的あるいはポンプ等によって除
去するようにもできる。

【００１２】なお、本実施例では、鋼帯にめっきを行っ
たが、本発明はめっき対象の金属帯が非鉄金属であって
も構わない。

【００１３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る連続
溶融金属めっき装置を用いることにより、以下の効果を
得ることができる。（１）めっき浴槽の底部に堆積するボトムドロスを可及
的速やかに排除することが可能となり、常時清浄なめっ
き液でめっきすることができるため、ボトムドロスが原
因で生ずるめっき品質の低下を防止でき、高品質なめっ
き製品を生産することができる。（２）めっき浴槽の底部に堆積したボトムドロスを排除
するために、めっき作業を中断する必要がなくなり、長
時間連続して、しかも安定しためっき条件でめっき作業
を行うことが可能となり、生産可能時間の延長が図れ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る連続溶融金属めっき装置の側面図
である。

【図２】図１の平面図である。

【図３】特開平３−１６６３５２号公報に記載のめっき
装置の側面図である。

【符号の説明】

１沈澱槽２金属帯（鋼帯）３めっき浴槽４シンクロール５サポートロール６側壁７側壁８連通孔９ボトムドロス１０合金化炉１１エアノズル（ワイパ）１２スナウト１３めっき浴（溶融亜鉛）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) C23C 2/00 - 2/40

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】金属帯を、めっき浴中に浸漬し、該めっ
き浴中を連続的に走行させ槽底が円弧状曲線を有するめ
っき浴槽と、該金属帯の走行を案内するシンクロールと
で形成した連続溶融金属めっき装置において、該めっき浴中で生成したボトムドロスを沈澱堆積させる
沈澱槽を配設すると共に、前記めっき浴槽の側壁上端近
傍に、該めっき浴槽内のめっき用溶融金属が上記沈澱槽
内に進入及び／又は排出自在な連通孔を設け、さらに、
溶融金属浴面に浮遊するトップドロスがめっき浴槽に入
り込まないように、該側壁の上端位置を溶融金属浴面よ
り高くしたことを特徴とする溶融金属めっき装置。