JP2002128913A - 二軸配向ポリプロピレンフィルム - Google Patents

二軸配向ポリプロピレンフィルム

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JP2002128913A
JP2002128913A JP2000328359A JP2000328359A JP2002128913A JP 2002128913 A JP2002128913 A JP 2002128913A JP 2000328359 A JP2000328359 A JP 2000328359A JP 2000328359 A JP2000328359 A JP 2000328359A JP 2002128913 A JP2002128913 A JP 2002128913A
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biaxially oriented
oriented polypropylene
polypropylene film
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JP2000328359A
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Junichi Masuda
順一 増田
Shigeru Tanaka
茂 田中
Futoshi Sasamoto
笹本  太
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 相反する2つの特性、即ちフィルムの剛性が
高く、熱収縮率の低い二軸配向ポリプロピレンフィルム
を提供し、かつ、長手方向の抗張力性も高いことで従来
の二軸配向ポリプロピレンフィルムよりも高い加工特性
を有する二軸配向ポリプロピレンフィルムを提供する。 【解決手段】 メソペンタッド分率が97〜99.5%
の高立体規則性ポリプロピレンを主たる構成成分とし、
極性基を実質的に含まない石油樹脂および/または極性
基を実質的に含まないテルペン樹脂の1種以上が混合さ
れてなるフィルムであって、常温での長手方向と幅方向
の引張り弾性率の和が7.3GPa以上であることを特
徴とする二軸配向ポリプロピレンフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、包装用途、工業用
途など広範な用途に好適な二軸配向ポリプロピレンフィ
ルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】廃棄物や資源の削減という社会的要請に
基づき、特に包装用途では材料の薄膜化への期待が大き
くなっている。現在例えば包装用で20μmの二軸配向
ポリプロピレンフィルムが用いられているのに対し、1
6μmで同等の性能や加工適性が得られるのであれば2
0%のゴミおよび資源の削減に繋がるからである。かか
る要求を満足するためには、まず二軸配向ポリプロピレ
ンフィルムを強力化して、加工工程での張力に対する伸
びを抑える必要がある。この際、張力は主としてフィル
ムの長手方向に掛かるため、二軸配向ポリプロピレンフ
ィルムを主に長手方向に強力化する必要がある。また、
一般的に強力化することで熱収縮率が上昇する。これを
現行の二軸配向ポリプロピレンフィルム並に抑える必要
がある。
【0003】二軸配向ポリプロピレンフィルムを強力化
するために長手方向、幅方向に延伸した後、引き続き長
手方向に再延伸して、長手方向に強いフィルムを作る方
法は、特公昭41−21790号公報、特公昭45−3
7879号公報および特公昭49−18628号公報な
どによって公知である。これら長手方向に強いフィルム
の幅方向の弱さを解消する目的で、特開昭56−513
29号公報には、特定の溶融結晶化温度を有するポリプ
ロピレンシートを二軸延伸し、幅方向の屈折率と長手方
向の屈折率を特定の値とし、長手方向に再延伸する方法
が開示されている。しかしこの方法によっても長手方向
のヤング率が未だ不十分であり、熱収縮率は従来の二軸
延伸ポリプロピレンフィルムに比べ高いものであった。
【0004】また、従来から、ポリプロピレン樹脂に石
油樹脂およびテルペン樹脂を添加すると、ヤング率が高
くなることが知られている。しかしながら、ポリプロピ
レンに石油樹脂およびテルペン樹脂を添加するとヤング
率は高くなるものの、石油樹脂やテルペン樹脂がポリプ
ロピレンおよびそれに付随して添加される帯電防止剤な
どの各種添加剤との相溶性に優れ、低軟化点であるた
め、これらを添加したフイルムは熱収縮率が高く、熱寸
法安定性に劣るという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の課題
は、上記問題を解消するために、相反する2つの特性を
共に改良した、即ちフィルムの剛性が高く、熱収縮率の
低い二軸配向ポリプロピレンフィルムを提供することに
ある。また、長手方向の抗張力性も高いことで従来の二
軸配向ポリプロピレンフィルムよりも高い加工特性を有
する二軸配向ポリプロピレンフィルムを提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、以下の条件を満たすフィルムにより上記課題
を達成できることを見出した。即ち、本発明に係る二軸
配向ポリプロピレンフィルムは、メソペンタッド分率が
97〜99.5%の高立体規則性ポリプロピレンを主た
る構成成分とし、極性基を実質的に含まない石油樹脂お
よび/または極性基を実質的に含まないテルペン樹脂の
1種以上が混合されてなるフィルムであって、常温での
長手方向と幅方向の引張り弾性率の和が7.3GPa以
上であることを特徴とするものからなる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について、望まし
い実施の形態とともに詳細に説明する。本発明に用いる
ポリプロピレンは、メソペンタッド分率が97〜99.
5%であることが必要である。ここでメソペンタッド分
率とは、ポリプロピレンにおけるアイソタクチックの立
体構造を直接反映する指標である。ポリプロピレンフィ
ルムの立体規則性は13C−NMRにより測定したメチル
基の吸収によるペンタッド分率により評価することがで
きる。一般にポリプロピレン分子鎖における5個の繰り
返し単位(ペンタッド)の立体配座は、mmmm、mm
mr、rmmr、mmrr、mmrm、rmrr、rm
rm、rrrr、mrrr、mrrm、といったものが
ある。ここで、mはメソ(meso)、rはラセモ(r
asemo)の立体配座を示す。ポリプロピレンフィル
ムのペンタッド分率は、例えばT.HAYASHIらの
報告[POLYMER、Vol.29、138〜143
(1988)]等にあるように、上記各立体配座を有す
るセグメントの比率を13C−NMRから求めることがで
きる。これらのうち全メチル基の吸収強度に対するmm
mmの立体配座の割合、すなわちアイソタクチックペン
タッド分率(以下mmmmと省略する場合がある。)は
m(mmmm)m、m(mmmm)r、r(mmmm)
rの3つのヘプタッド分率の和として定義される。ここ
で、高立体規則性とは、mmmmが97%以上のものを
いい、また低立体規則性とは、mmmmが90%以下の
ものをいう。
【0008】本発明の二軸配向ポリプロピレンに用いる
高立体規則性ポリプロピレン樹脂のmmmmは97〜9
9.5%の範囲にある。mmmmが上記範囲未満では、
フィルムの熱収縮率が大きくなって熱寸法安定性に劣る
ために印刷やコーティングおよびラミネート加工などの
二次加工性に劣るので好ましくない。mmmmが上記範
囲を超えると製膜性が著しく悪化する。より好ましくは
97.5〜99.5%の範囲である。
【0009】本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム
に用いられるポリプロピレンは、主としてプロピレンの
単独重合体からなるが、本発明の目的を損なわない範囲
で他の不飽和炭化水素による共重合成分などを含有して
もよいし、プロピレンが単独ではない重合体がブレンド
されていてもよい。このような共重合成分やブレンド物
を構成する単量体成分として例えばエチレン、プロピレ
ン(共重合されたブレンド物の場合)、1−ブテン、1
−ペンテン、3−メチルペンテン−1,3−メチルブテ
ンー1,1−ヘキセン、4−メチルペンテンー1,5−
エチルヘキセン−1,1−オクテン、1−デセン、1−
ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベ
ンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5ーメチル−
2−ノルボルネンなどが挙げられる。剛性、寸法安定性
の観点から共重合量は0.5mol%未満、ブレンド量
は5重量%未満が好ましい。
【0010】本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム
は、上記mmmmが97〜99.5%のポリプロピレン
を主たる成分とする。経済性の観点から本発明の二軸配
向ポリプロピレンフィルムや他のフィルムを製造する際
に生じた屑を該フィルムに回収することが多く行われお
り、上記ポリプロピレン以外にmmmmが70〜90%
のポリプロピレンの混合樹脂および/または後記するポ
リオレフィン系共重合樹脂の混合樹脂が回収されること
になるが、この場合、上記mmmmが97〜99.5%
のポリプロピレンが80wt%以上であることが強力
化、低熱収のために好ましい。
【0011】本発明に用いる高立体規則性ポリプロピレ
ンのアイソタクチックインデックス(以下IIと省略す
る場合がある。)は、95〜99.5%の範囲にあるこ
とが好ましい。IIが上記範囲未満であると、熱収縮率
が大きくなる場合があり、IIが上記範囲より大きい場
合には製膜性が悪くなる場合がある。さらに好ましくは
95.5〜99.5%、最も好ましくは96〜99.3
%の範囲のものである。
【0012】本発明に用いる高立体規則性ポリプロピレ
ンのメルトインデックス(以下MIと省略する場合があ
る。)は、1〜15g/10分の範囲にあることが好ま
しい。MIが上記範囲未満であると、熱収縮率が高くな
る場合があり、逆に上記範囲より大きい場合には製膜性
が悪化する。さらに好ましくは1.5〜10g/10
分、最も好ましくは2〜6g/10分の範囲のものであ
る。
【0013】本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム
にはフィルムの帯電による静電気障害防止のため帯電防
止剤が好ましく添加される。本発明の二軸配向ポリプロ
ピレンフィルムに含有される帯電防止剤は特に限定され
ないが、例えば、ベタイン誘導体のエチレンオキサイド
付加物、第4級アミン系化合物、アルキルジエタノール
アミン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ス
テアリン酸グリセリドなど、もしくはこれらの混合物を
挙げることができる。
【0014】また、上記帯電防止剤と併用して滑剤を添
加することが好ましく、JIS用語で表現されている熱
可塑性樹脂の加熱成型時の流動性、離型性をよくするた
めに添加されるもので、加工機械とフィルム表面、また
はフィルム同士の間の摩擦力を調節するために添加され
る。本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムに含有さ
れる有機滑剤は特に限定されないが、例えば、ステアリ
ン酸アミド、エルシン酸アミド、エルカ酸アミド、オレ
イン酸アミドなどのアミド系化合物など、もしくはこれ
らの混合物が挙げられる。
【0015】本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム
中の帯電防止剤の添加量は、高立体規則性ポリプロピレ
ンに対して、0.3重量部以上添加されていることが好
ましく、より好ましくは0.4〜1.5重量部の範囲で
ある。また帯電防止剤と滑剤の合計添加量は0.5〜
2.0重量部が帯電防止性と滑り性の点でより好まし
い。
【0016】また、本発明の二軸配向ポリプロピレンフ
ィルムには滑り性付与のため無機粒子および/または架
橋有機粒子が好ましく添加混合される。本発明の二軸配
向ポリプロピレンフィルムに添加される無機粒子とは金
属化合物の無機粒子であり、特に限定されないが、例え
ば、ゼオライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、
アルミナ、シリカ、珪酸アルミニウム、カオリン、カオ
リナイト、タルク、クレイ、珪藻土、モンモリロナイ
ト、酸化チタンなどの粒子、もしくはこれらの混合物を
挙げることができる。また、架橋有機粒子は架橋剤を用
いて高分子化合物を架橋した粒子である。本発明の二軸
配向ポリプロピレンフィルムに添加される架橋有機粒子
は、特に限定されないが、例えば、ポリメトキシシラン
系化合物の架橋粒子、ポリスチレン系化合物の架橋粒
子、アクリル系化合物の架橋粒子、ポリウレタン系化合
物の架橋粒子、ポリエステル系化合物の架橋粒子、フッ
ソ系化合物の架橋粒子、もしくはこれらの混合物を挙げ
ることができる。
【0017】また、無機粒子および架橋有機粒子の平均
粒径は0.5〜6μmの範囲が好ましい。平均粒径が
0.5μm未満では滑り性が悪くなり、6μmを越える
と粒子の脱落やフィルム同士を擦った時にフィルム表面
に傷がつきやすくなるので好ましくない。無機粒子およ
び/または架橋有機粒子の添加量は、0.02重量%〜
0.5重量%の範囲であることが好ましく、より好まし
くは0.05重量%〜0.2重量%の範囲とすることが
耐ブロッキング防止性、滑り性および透明性の点で好ま
しい。
【0018】また、本発明の二軸配向ポリプロピレンフ
ィルムには、必要に応じて上記以外の少量の造核剤、熱
安定剤、酸化防止剤などを添加せしめてもよい。例えば
造核剤としては、ソルビトール系造核剤、有機リン酸エ
ステル金属塩系造核剤、有機カルボン酸金属塩系造核
剤、ロジン系造核剤などが0.5重量%以下、熱安定剤
としては2,6−ジ−第3−ブチル−4−メチルフェノ
−ル(BHT)などが0.5重量%以下、酸化防止剤と
してはテトラキス−(メチレン−(3,5−ジ−第3−
ブチル−4−ハイドロオキシ−ハイドロシンナメ−
ト))ブタン(”Irganox”1010)などを
0.5重量%以下で添加してもよい。
【0019】次に本発明の高立体規則性ポリプロピレン
に添加する極性基を実質的に含まない石油樹脂とは、水
酸基、カルボキシル基、ハロゲン基、スルホン基および
それらの変成体などからなる極性基を有さない石油樹
脂、即ち石油系不飽和炭化水素を直接原料とするシクロ
ペンタジエン系、あるいは高級オレフィン系炭化水素を
主原料とする樹脂である。
【0020】さらにかかる極性基を実質的に含まない石
油樹脂のガラス転移点温度(以下Tgと略称することも
ある。)は60℃以上であることが好ましい。Tgが6
0℃未満では、剛性向上効果が小さい。
【0021】また、かかる石油樹脂に水素を添加し、そ
の水素添加率を90%以上、好ましくは99%以上とし
た水添石油樹脂が本発明のポリプロピレンフイルムに特
に望ましい。代表的な水素添加石油樹脂としては、例え
ばTgが70℃以上で水添率99%以上のポリジシクロ
ペンタジエン等の高Tg完全水添脂環族石油樹脂を挙げ
ることができる。
【0022】また、極性基を実質的に含まないテルペン
樹脂とは、水酸基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキ
シル基、ハロゲン基、スルホン基およびそれらの変成体
などからなる極性基を有さないテルペン樹脂、即ち(C
58)nの組成の炭化水素およびこれから導かれる変性
化合物である。nは2〜20程度の自然数である。
【0023】テルペン樹脂のことをテルペノイドと呼ぶ
こともあり、代表的な化合物としては、ピネン、ジペン
テン、カレン、ミルセン、オシメン、リモネン、テレピ
ノレン、テルピネン、サビネン、トリシクレン、ビサボ
レン、ジンギペレン、サンタレン、カンホレン、ミレ
ン、トタレン等があり、本発明の二軸配向ポリプロピレ
ンフイルムの場合、水素を添加し、その水素添加率を9
0%以上、好ましくは99%以上とするのが望ましく、
特に水添β−ピネン、水添β−ジペンテン等が好まし
い。
【0024】このように、極性基を実質的に含まない石
油樹脂および極性基を実質的に含まないテルペン樹脂の
1種以上の使用が本発明の場合重要であり、臭素価とし
て10以下、好ましくは5以下、更に好ましくは1以下
のものが良い。
【0025】本発明の二軸配向ポリプロピレンフイルム
中に含まれる前記極性基を実質的に含まない石油樹脂お
よび極性基を実質的に含まないテルペン樹脂の1種以上
の混合量は、1〜30重量%であることが好ましい。該
樹脂の混合量が上記範囲未満では剛性の向上がみられ
ず、上記範囲を越えると、熱寸法安定性が悪化するだけ
でなく、表層にブリードアウトして滑り性が悪化するの
で好ましくない。より好ましくは2〜20重量%の範囲
であり、さらに好ましくは3〜15重量%の範囲であ
る。
【0026】また、極性基を含有する石油樹脂および/
またはテルペン樹脂を本発明の高立体規則性ポリプロピ
レン樹脂に添加すると、フィルム内部にボイドが形成さ
れるために剛性が低下し、また帯電防止剤や滑剤のブリ
ードアウト性が悪化するので好ましくない。
【0027】次に本発明の二軸配向ポリプロピレンフィ
ルムの少なくとも片方のフィルム表面にコロナ放電処理
を施し、フィルム表面の濡れ張力を35mN/m以上に
上げることは、印刷性、接着性、帯電防止性および滑剤
のブリードアウト性を向上させるため好ましく採用する
ことができる。この際、コロナ放電処理時の雰囲気ガス
としては、空気、酸素、窒素、炭酸ガス、あるいは窒素
/炭酸ガスの混合系などが好ましく、特に経済性の観点
から空気中でコロナ放電処理をすることが好ましい。
【0028】本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム
の長手方向と幅方向のヤング率の和は7.3GPa以上
である。7.3GPa未満であると薄膜化を行った際の
フィルムの腰が不十分である。より好ましくは8GPa
以上、さらに好ましくは8.5GPa以上、最も好まし
くは9GPa以上である。
【0029】また、本発明の二軸配向ポリプロピレンフ
ィルムの長手方向のヤング率は3.5GPa以上である
ことが好ましい。3.5GPa未満であると加工時の張
力に対する伸びが大きくなり、コーティング、ラミネー
ト、蒸着加工時に膜割れなど、印刷時に印刷ピッチずれ
などを生じるため好ましくない。より好ましくは4.0
GPa以上、さらに好ましくは4.5GPa以上であ
る。
【0030】本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム
の長手方向のF2値は、55MPa以上であることが望
ましい。ここで、長手方向のF2値とは、長手方向:1
5cm、幅方向:1cmのサイズで切り出した試料を原
長50mm、引張り速度300mm/分で伸長した際の
伸度2%に対する試料にかかる応力である。F2値が5
5MPa未満であると、コーティング、ラミネート、蒸
着、印刷などのフィルム加工時に膜割れ、ピッチずれな
どを生じるため好ましくない。より好ましくは60MP
a以上、さらに好ましくは65MPa以上である。
【0031】また、本発明の二軸配向ポリプロピレンフ
ィルムの長手方向のF5値は、85MPa以上であるこ
とが望ましい。ここで、F5値とはF2値と同様の測定
条件で試料を伸長した際の伸度5%に対する試料にかか
る応力である。F5値が85MPa未満であると、コー
ティング、ラミネート、蒸着、印刷などのフィルム加工
時に膜割れ、ピッチずれなどを生じるため好ましくな
い。より好ましくは90MPa以上、さらに好ましくは
95MPa以上である。
【0032】本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム
の120℃での長手方向と幅方向のの熱収縮率の和は、
5%以下であることが望ましい。熱収縮率が5%を越え
ると、コーティング、ラミネート、蒸着、印刷などの加
工時に温度を付加した場合のフィルムの収縮が大きくな
り、膜抜けやピッチずれ、しわ入りなどの工程不良を誘
起する。
【0033】本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルム
の製造方法は特に限定されず、逐次二軸延伸でも同時二
軸延伸でも実施可能である。逐次二軸延伸で製造する場
合は、逐次二軸延伸を行った後、さらに長手方向に延伸
する方式や、幅方向に延伸を行った後に長手方向に延伸
する方式、長手方向に2段で延伸を行った後、幅方向に
延伸する方式が強力化のために好ましい。また、同時二
軸延伸法は本発明のフィルムを製造する好ましい方法で
ある。さらに、同時二軸延伸を行った後長手方向に再延
伸する方法や、最初縦延伸を行った後、同時二軸延伸を
行う方法なども強力化のためにより好ましい。
【0034】本発明の重要なポイントとして、縦方向の
引張り弾性率が高いことが挙げられ、そのためにフィル
ム製膜の際の縦方向と横方向の実行延伸倍率の積は高倍
率であることが重要である。通常の二軸延伸ポリプロピ
レンフィルムを製膜する際の縦方向と横方向の実効延伸
倍率の積が40〜50の範囲であるのに対して、本発明
の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製膜する際の縦方
向と横方向の実行延伸倍率の積は50倍を超えることに
より、本発明のフィルムを得ることができる。縦方向と
横方向の実効延伸倍率の積が50倍以下であると、得ら
れるフィルムの剛性が不十分となる場合があり、薄膜化
を行った際のフィルムの腰が不十分となる場合がある。
より好ましくは55倍以上、さらに好ましくは60倍以
上である。
【0035】次に、本発明のフィルムの製造方法につい
て例を挙げて説明するが、本発明がこれらの例に限定さ
れるものではないことはもちろんのことである。 メ
ソペンタッド分率が97〜99.5%の高立体規則性ポ
リプロピレンに、極性基を実質的に含まない石油樹脂お
よび/または極性基を実質的に含まないテルペン樹脂の
1種以上を1〜30重量%混合した樹脂を押出機に供給
して230〜290℃の温度で融解させ、濾過フィルタ
ーを経た後、スリット状口金から押し出し、金属ドラム
に巻き付けてシート状に冷却固化せしめ未延伸フィルム
とする。この場合、冷却用ドラムの温度は20〜60℃
とし、フィルムを結晶化させることが好ましいが、キャ
ストドラム温度が高すぎると結晶化が進行しすぎ延伸性
が悪くなるため注意が必要である。
【0036】この未延伸フィルムを120〜140℃に
保たれたロールに通して予熱し、引き続きそのフィルム
を125〜145℃に保ち周速差を設けたロール間に通
し、長手方向に4〜8倍に延伸して直ちに室温に冷却す
る。引き続きその延伸フィルムをテンターに導いて、1
55〜185℃の温度で予熱し、150〜180℃の温
度で幅方向に6倍以上に延伸し、次いで160℃以上の
温度で幅方向に5%以上の弛緩を与えつつ熱固定する。
必要に応じて、この二軸延伸フィルムを155〜185
℃に保たれたロールに通して予熱し、150〜180℃
に保ち周速差を設けたロール間に通して長手方向に1.
1〜2.0倍に延伸し、155〜180℃で長手方向に
5%以上の弛緩を加えながら熱処理を行い、冷却して巻
き取る。
【0037】 メソペンタッド分率が97〜99.5
%の高立体規則性ポリプロピレンに、極性基を実質的に
含まない石油樹脂および/または極性基を実質的に含ま
ないテルペン樹脂の1種以上を1〜30重量%混合した
樹脂を押出機に供給して230〜290℃の温度で融解
させ、濾過フィルターを経た後、スリット状口金から押
し出し、金属ドラムに巻き付けてシート状に冷却固化せ
しめ未延伸フィルムとする。この場合、冷却用ドラムの
温度は20〜60℃とし、フィルムを結晶化させること
が好ましいが、キャストドラム温度が高すぎると結晶化
が進行しすぎ延伸性が悪くなるため注意が必要である。
【0038】この未延伸フィルムをパンタグラフ方式二
軸延伸装置を用いて二軸延伸し、二軸配向せしめる。未
延伸フィルムを縦・横それぞれ10×10cmに切り出
し、140〜180℃の温度で1〜120秒間予熱し、
長手方向延伸倍率4〜10倍、幅方向に4〜10倍の延
伸倍率で同時に延伸し、必要に応じてさらに長手方向
1.2〜2.4倍に再延伸した後、金枠に張り付け、そ
れぞれの方向に5〜20%の範囲の弛緩を与えながら1
40〜170℃に加熱した熱風オーブンを用いて1〜1
20秒間熱処理し、その後室温に取り出して冷却する。
【0039】本発明の強力化二軸配向ポリプロピレンフ
ィルムは、引張弾性率が高く、フィルムを薄膜化しても
十分な腰を有することから包装用、工業用等に好ましく
用いることができる。また、熱収縮率が低いことも特長
である。
【0040】[特性値の測定法]本発明で用いられてい
る用語および測定法を以下にまとめて説明する。 (1)メソペンタッド分率 PP樹脂をo−ジクロロベンゼン−D6に溶解させ、J
EOL製JNM−GX270装置を用い、共鳴周波数6
7.93MHzで13C−NMRを測定した。得られたス
ペクトルの帰属、およびメソペンタッド分率の計算につ
いては、T.Hayashiらが行った方法(Poly
mer、29、138〜143(1988))に基づ
き、メチル基由来のスペクトルについて、mmmmピー
クを21.855ppmとして各ピークの帰属を行い、
ピーク面積を求めてメチル基由来全ピーク面積に対する
比率を百分率で表示した。詳細な測定条件は以下のとお
りである。 測定濃度:15〜20wt% 測定溶媒:o−ジクロロベンゼン(90wt%)/ベン
ゼン−D6(10wt%)測定温度:120〜130℃ 共鳴周波数:67.93MHz パルス幅:10μ秒(45°パルス) パルス繰り返し時間:7.091秒 データ点:32K 積算回数:8168 測定モード:ノイズデカップリング
【0041】(2)アイソタクチックインデックス(I
I) 樹脂を60℃以下の温度のn−ヘプタンで2時間抽出
し、ポリプロピレンへの添加物を除去する。その後13
0℃で2時間真空乾燥する。これから重量W(mg)の
試料を取り、ソックスレー抽出器に入れ沸騰n−ヘプタ
ンで12時間抽出する。次に、この試料を取り出し、ア
セトンで十分洗浄した後、130℃で6時間真空乾燥
し、その後常温まで冷却し、重量W’(mg)を測定
し、次式で求めた。 II=(W’/W)×100(%)。
【0042】(3)メルトインデックス(MI) ASTM−D−1238に準じて、230℃、2.16
kgの条件で測定した。
【0043】(4)臭素価 JIS−K2543−1979に準じて測定した。試料
油100g中の不飽和成分に付加される臭素のg数で表
される。
【0044】(5)ヤング率、F2値、F5値 ヤング率は、JIS−Z1702に規定された方法に従
い、長手方向、幅方向それぞれについてインストロンタ
イプの引張試験機を用いて、25℃、65%RHにて測
定した。長手方向のF2値、F5値は、長手方向:15
cm、幅方向:1cmのサイズで切り出した試料を原長
50mm、引張り速度300mm/分で伸長して、それ
ぞれ伸度2%、5%に対する試料にかかる応力を測定し
た。
【0045】(6)熱収縮率 測定方向を長さ方向および幅方向として、フィルムから
試長260mm、幅10mmにサンプリングし、原寸
(L0)として200mmの位置にマークを入れる。こ
のサンプルの下端に3gの荷重をかけ、120℃の熱風
循環オーブン中で15分間熱処理した後室温中に取り出
し、サンプルにマークした長さ(L1)を測定する。こ
の熱収縮率は次式により求められる。各方向(長さ方
向、幅方向)について上記操作を行い、長さ方向と幅方
向の熱収縮率の和を求めた。 熱収縮率(%)=100×(L0-L1)/L0
【0046】(7)実効延伸倍率 スリット状口金から押し出し、金属ドラムに巻き付けて
シート状に冷却固化せしめた未延伸フィルムに長さ1c
m四方の升目をそれぞれの辺がフィルムの長手方向、幅
方向に平行になるように刻印した後、延伸・巻き取りを
行い、得られたフィルムの升目の長さ(cm)を測定
し、これを長手方向方向・横方向の実効延伸倍率とし
た。
【0047】
【実施例】本発明を実施例に基づいて説明する。 実施例1 メソペンタッド分率97.5%(アイソタクチック度:
99.0%、メルトインデックス:3.0g/10分)
のポリプロピレン樹脂90重量%に極性基を実質的に含
まないテルペン樹脂として、Tg75℃、臭素価4cg
/g、水添率99%のβ−ピネンを10重量%添加混合
した樹脂組成に、架橋有機粒子として平均粒径1μmの
ポリスチレン系重合体の架橋粒子(架橋PS)を0.1
5重量部添加し、帯電防止剤としてグリセリン脂肪酸エ
ステルとアルキルジエタノールアミン脂肪酸エステルを
1:1の割合に混合して0.8重量部添加し、二軸押出
機に供給して240℃でガット状に押し出し、20℃の
水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカッ
トした後、100℃で2時間乾燥したチップを一軸押出
機に供給して260℃で溶融させ、濾過フィルターを経
た後にスリット状口金から押し出し、25℃の金属ドラ
ムに巻き付けてシート状に成形した。
【0048】このシートを135℃に保たれたロールに
通して予熱し、138℃に保ち周速差を設けたロール間
に通し、長手方向に5.5倍延伸して直ちに室温に冷却
する。引き続きこの延伸フィルムをテンターに導入して
175℃で予熱し、160℃で幅方向に9倍に延伸し、
次いで幅方向に6%の弛緩を与えつつ、165℃で熱固
定をした後、さらに163℃に保たれたロールに通して
予熱し、160℃に保ち周速差を設けたロール間に通し
て長手方向に1.5倍に延伸し、165℃で長手方向に
9%の弛緩を加えながら熱処理を行い、冷却して巻き取
った厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを
得た。
【0049】得られたフィルムは、特定のメソペンタッ
ド分率の高立体規則性ポリプロピレンに極性基を実質的
に含まない石油樹脂を添加していることから、長手方向
と幅方向のヤング率の和が高く、剛性に優れていた。ま
た、長手方向のヤング率、F2値、F5値が高く、抗張
力性に優れることから加工工程でのハンドリング性に優
れていた。さらに、熱収縮率も低いことから寸法安定性
に優れていた。
【0050】実施例2 メソペンタッド分率98.1%(アイソタクチック度:
98.5%、メルトインデックス:3.6g/10分)
のポリプロピレン樹脂80重量%に極性基を実質的に含
まない石油樹脂として、Tg80℃、臭素価3cg/
g、水添率99%のポリジシクロペンタジエンを20重
量%混合した樹脂組成に、架橋有機粒子として平均粒径
2μmのポリメタクリル酸系重合体の架橋粒子(架橋P
MMA)を0.12重量部添加し、帯電防止剤としてグ
リセリン脂肪酸エステルとアルキルジエタノールアミン
脂肪酸エステルを1:1の割合に混合して0.8重量部
添加し、二軸押出機に供給して240℃でガット状に押
出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで
3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥したチ
ップを一軸押出機に供給して260℃で溶融させ、濾過
フィルターを経た後にスリット状口金から押し出し、3
0℃の金属ドラムに巻き付けてシート状に成形した。
【0051】このシートを縦・横それぞれ10×10c
mに切り出し、株式会社東洋精機製パンタグラフ方式二
軸延伸装置で165℃の温度で90秒間予熱し、長手方
向に8倍、幅方向に8倍に同時に延伸した後、得られた
フィルムを金枠に張り付け、160℃に加熱した熱風オ
ーブンを用いて長手方向に5%、幅方向に10%の弛緩
を与えつつ60秒間熱処理し、その後室温に取り出して
冷却した。得られたフィルムを長尺のリードフィルムと
セロテープ(登録商標)でつなぎ合わせた後、50℃以
上に保持したロールに通し、空気中で30W・分/m2
でフィルム両面にそれぞれコロナ放電処理を施して濡れ
張力38mN/mにして巻き取り、厚さ15μmの二軸
延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
【0052】得られたフィルムは、特定のメソペンタッ
ド分率の高立体規則性ポリプロピレンに極性基を実質的
に含まない石油樹脂を添加していることから、長手方向
と幅方向のヤング率の和が高く、剛性に優れていた。ま
た、長手方向のヤング率、F2値、F5値が高く、抗張
力性に優れることから加工工程でのハンドリング性に優
れていた。さらに、熱収縮率も低いことから寸法安定性
に優れていた。
【0053】実施例3 実施例2において、メソペンタッド分率97.5%(ア
イソタクチック度:99.0%、メルトインデックス:
3.0g/10分)のポリプロピレン樹脂95重量%に
ポリジシクロペンタジエンを5wt%混合し、長手方向
に9倍、幅方向に8倍延伸した以外は同様の条件で作製
した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを
実施例3とした。
【0054】得られたフィルムは、特定のメソペンタッ
ド分率の高立体規則性ポリプロピレンに極性基を実質的
に含まない石油樹脂を添加していることから、長手方向
と幅方向のヤング率の和が高く、剛性に優れていた。ま
た、長手方向のヤング率、F2値、F5値が高く、抗張
力性に優れることから加工工程でのハンドリング性に優
れていた。さらに、熱収縮率も低いことから寸法安定性
に優れていた。
【0055】実施例4 メソペンタッド分率98.1%(アイソタクチック度:
98.5%、メルトインデックス:3.6g/10分)
のポリプロピレン樹脂に本フィルムを製造する際に生じ
た屑を15重量%添加混合した樹脂85重量%に極性基
を実質的に含まないテルペン樹脂として、Tg75℃、
臭素価3cg/g、水添率99%の水添β−ジペンテン
レジンを15重量%添加混合した樹脂組成に、無機粒子
として平均粒径4μmの酸化珪素を0.05重量部添加
し、帯電防止剤としてステアリル−ジ−β−ヒドロキシ
エチルベタインとアミノステアリン酸ナトリウム塩とヒ
ドロキシルアミンの混合物を0.5重量部、有機滑剤と
してステアリン酸アミドを0.1重量部添加して、二軸
押出機に供給して240℃でガット状に押し出し、20
℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長に
カットした後、100℃で2時間乾燥したチップを一軸
押出機に供給して260℃で溶融させ、濾過フィルター
を経た後にスリット状口金から押し出し、25℃の金属
ドラムに巻き付けてシート状に成形した。
【0056】このシートを縦・横それぞれ10×10c
mに切り出し、株式会社東洋精機製パンタグラフ方式二
軸延伸装置で167℃の温度で80秒間予熱し、長手方
向に9倍、幅方向に9倍に同時に延伸した後、得られた
フィルムを金枠に張り付け、157℃に加熱した熱風オ
ーブンを用いて長手方向に5%、幅方向に9%の弛緩を
与えつつ60秒間熱処理し、その後室温に取り出して冷
却した。得られたフィルムを長尺のリードフィルムとセ
ロテープでつなぎ合わせた後、50℃以上に保持したロ
ールに通し、空気中で30W・分/m2でフィルム両面
にそれぞれコロナ放電処理を施して濡れ張力38mN/
mにして巻き取り、厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピ
レンフィルムを得た。
【0057】得られたフィルムは、特定のメソペンタッ
ド分率の高立体規則性ポリプロピレンに極性基を実質的
に含まないテルペン樹脂を添加していることから、長手
方向と幅方向のヤング率の和が高く、剛性に優れてい
た。また、長手方向のヤング率、F2値、F5値が高
く、抗張力性に優れることから加工工程でのハンドリン
グ性に優れていた。さらに、熱収縮率も低いことから寸
法安定性に優れていた。
【0058】実施例5 実施例1において、メソペンタッド分率99.2%(ア
イソタクチック度:99.0%、メルトインデックス:
3.9g/10分)のポリプロピレン樹脂に本フィルム
を製造する際に生じた屑を15重量%添加混合した樹脂
92重量%に、極性基を実質的に含まない石油樹脂とし
て、Tg80℃、臭素価3cg/g、水添率99%のポ
リジシクロペンタジエンを8重量%添加混合した樹脂組
成を用い、長手方向に5倍、幅方向に10倍、次いで長
手方向に再び1.3倍延伸した以外は同様の条件で作製
した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを
実施例5とした。
【0059】得られたフィルムは、特定のメソペンタッ
ド分率の高立体規則性ポリプロピレンに極性基を実質的
に含まない石油樹脂を添加していることから、長手方向
と幅方向のヤング率の和が高く、剛性に優れていた。ま
た、長手方向のヤング率、F2値、F5値が高く、抗張
力性に優れることから加工工程でのハンドリング性に優
れていた。さらに、熱収縮率も低いことから寸法安定性
に優れていた。
【0060】実施例6 実施例2において、メソペンタッド分率97.5%(ア
イソタクチック度:99.0%、メルトインデックス:
3.0g/10分)のポリプロピレン樹脂75重量%に
極性基を実質的に含まないテルペン樹脂として、Tg7
5℃、臭素価4cg/g、水添率99%のβ−ピネンと
Tg75℃、臭素価3cg/g、水添率99%の水添β
−ジペンテンレジンの混合物を25重量%混合し添加し
た樹脂組成を用い、同時二軸延伸後引き続き長手方向に
1.2倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15
μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例6とし
た。
【0061】得られたフィルムは、特定のメソペンタッ
ド分率の高立体規則性ポリプロピレンに極性基を実質的
に含まないテルペン樹脂を添加していることから、長手
方向と幅方向のヤング率の和が高く、剛性に優れてい
た。また、長手方向のヤング率、F2値、F5値が高
く、抗張力性に優れることから加工工程でのハンドリン
グ性に優れていた。さらに、熱収縮率も低いことから寸
法安定性に優れていた。
【0062】比較例1 実施例5においてメソペンタッド分率98.1%(アイ
ソタクチック度:98.5%、メルトインデックス:
3.6g/10分)のポリプロピレン樹脂のみに、架橋
有機粒子として平均粒径2μmのポリメタクリル酸系重
合体の架橋粒子(架橋PMMA)を0.12重量部添加
し、帯電防止剤としてグリセリン脂肪酸エステルとアル
キルジエタノールアミン脂肪酸エステルを1:1の割合
に混合して0.8重量部添加し、一軸押出機に供給した
以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポ
リプロピレンフィルムを比較例1とした。
【0063】得られたフィルムは、特定のメソペンタッ
ド分率の高立体規則性ポリプロピレンを用いているもの
の、極性基を実質的に含まない石油樹脂および/または
極性基を実質的に含まないテルペン樹脂を添加していな
いことから、長手方向と幅方向のヤング率の和が低く、
剛性が不十分であった。また、長手方向のヤング率、F
2値、F5値が低く、抗張力性が不十分であることから
加工工程でのハンドリング性に劣っていた。
【0064】比較例2 実施例3において、メソペンタッド分率73.5%(ア
イソタクチック度:85.0%、メルトインデックス:
2.8g/10分)のポリプロピレン樹脂80重量%に
ポリジシクロペンタジエンを20重量%混合した以外は
同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロ
ピレンフィルムを比較例2とした。
【0065】得られたフィルムは、極性基を実質的に含
まない石油樹脂を添加しているものの、特定のメソペン
タッド分率よりも低い高立体規則性ポリプロピレンを用
いているため、長手方向と幅方向のヤング率の和が低
く、剛性が不十分であった。また、長手方向のヤング
率、F2値、F5値が低く、抗張力性が不十分であるこ
とから加工工程でのハンドリング性に劣っていた。さら
に、熱収縮率が高く、寸法安定性に劣っていた。
【0066】比較例3 実施例3において、メソペンタッド分率99.7%(ア
イソタクチック度:99.8%、メルトインデックス:
3.8g/10分)のポリプロピレン樹脂80重量%に
ポリジシクロペンタジエンを20重量%混合した以外は
同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロ
ピレンフィルムを比較例3とした。
【0067】得られたフィルムは、極性基を実質的に含
まない石油樹脂を添加しているものの、特定のメソペン
タッド分率よりも高い高立体規則性ポリプロピレンを用
いているため、安定な製膜が困難であった。
【0068】比較例4 実施例1において、長手方向に4倍、幅方向に8倍、次
いで長手方向に再び1.2倍延伸した以外は同様の条件
で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィ
ルムを比較例4とした。
【0069】得られたフィルムは、特定のメソペンタッ
ド分率の高立体規則性ポリプロピレンに極性基を実質的
に含まない石油樹脂を添加しているものの、縦方向と横
方向の実効延伸倍率が低いため、長手方向と幅方向のヤ
ング率の和が低く、剛性が不十分であった。また、長手
方向のヤング率、F2値、F5値が低く、抗張力性が不
十分であることから加工工程でのハンドリング性に劣っ
ていた。
【0070】比較例5 実施例4において、極性基を実質的に含まない石油樹脂
の代わりに、極性基としてカルボキシル基を含んだTg
39℃で、臭素価15cg/gの未水添のガムロジンを
添加した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二
軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例5とした。
【0071】得られたフィルムは、特定のメソペンタッ
ド分率の高立体規則性ポリプロピレンを用いているもの
の、極性基を実質的に含まない石油樹脂および/または
極性基を実質的に含まないテルペン樹脂の代わりに添加
したガムロジンのTgが低く、臭素価が高く、極性基を
持っているために、長手方向と幅方向のヤング率の和が
低く、剛性が不十分であった。また、長手方向のヤング
率、F2値、F5値が低く、抗張力性が不十分であるこ
とから加工工程でのハンドリング性に劣っていた。さら
に、熱収縮率が高く、寸法安定性に劣っていた。
【0072】比較例6 メソペンタッド分率98.1%(アイソタクチック度:
98.5%、メルトインデックス:3.6g/10分)
のポリプロピレン樹脂92重量%に極性基を実質的に含
まない石油樹脂として、Tg80℃、臭素価3cg/
g、水添率99%のポリジシクロペンタジエンを8重量
%混合した樹脂組成に、架橋有機粒子として平均粒径2
μmのポリメタクリル酸系重合体の架橋粒子(架橋PM
MA)を0.12重量部添加し、帯電防止剤としてグリ
セリン脂肪酸エステルとアルキルジエタノールアミン脂
肪酸エステルを1:1の割合に混合して0.8重量部添
加し、二軸押出機に供給して240℃でガット状に押し
出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで
3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥したチ
ップを一軸押出機に供給して260℃で溶融させ、濾過
フィルターを経た後にスリット状口金から押し出し、3
0℃の金属ドラムに巻き付けてシート状に成形した。
【0073】このシートを135℃に保たれたロールに
通して予熱し、138℃に保ち周速差を設けたロール間
に通し、長手方向に4倍延伸して直ちに室温に冷却す
る。引き続きこの延伸フィルムをテンターに導入して1
75℃で予熱し、160℃で幅方向に8倍に延伸し、次
いで幅方向に10%の弛緩を与えつつ、165℃で熱固
定をした後、冷却して巻き取った厚さ15μmの二軸延
伸ポリプロピレンフィルムを得た。
【0074】得られたフィルムは、特定のメソペンタッ
ド分率の高立体規則性ポリプロピレンに極性基を実質的
に含まない石油樹脂を添加しているものの、縦方向と横
方向の実効延伸倍率が低いため、長手方向と幅方向のヤ
ング率の和が低く、剛性が不十分であった。また、長手
方向のヤング率、F2値、F5値が低く、抗張力性が不
十分であることから加工工程でのハンドリング性に劣っ
ていた。これら実施例、比較例の結果をまとめて表1に
示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【発明の効果】本発明の強力化二軸配向ポリプロピレン
フィルムは、引張弾性率が高く、フィルムを薄膜化して
も十分な腰を有することから包装用、工業用等に好まし
く用いることができる。また、熱収縮率が低いことから
寸法安定性に優れることも特徴である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 57/02 C08L 57/02 65/00 65/00 // B29K 23:00 B29K 23:00 B29L 7:00 B29L 7:00 (72)発明者 笹本 太 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 Fターム(参考) 3E086 AD30 BA04 BA15 BB90 4F071 AA20 AA39 AF20 AF61 AH04 AH19 BA01 BB06 BB07 BC01 4F210 AA11A AA49 AG01 QA02 QA03 QC05 QC06 QG01 QG18 QW12 4J002 BA01X BB12W BB14W BB15W BK00Y FD010 FD070 FD100 GG02 GT00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メソペンタッド分率が97〜99.5%
    の高立体規則性ポリプロピレンを主たる構成成分とし、
    極性基を実質的に含まない石油樹脂および/または極性
    基を実質的に含まないテルペン樹脂の1種以上が混合さ
    れてなるフィルムであって、常温での長手方向と幅方向
    の引張り弾性率の和が7.3GPa以上であることを特
    徴とする二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  2. 【請求項2】 常温での長手方向の引張り弾性率が3.
    5GPa以上であることを特徴とする請求項1記載の二
    軸配向ポリプロピレンフィルム。
  3. 【請求項3】 常温での長手方向のF2値が55MPa
    以上であることを特徴とする請求項1または2記載の二
    軸配向ポリプロピレンフィルム。
  4. 【請求項4】 常温での長手方向のF5値が85MPa
    以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  5. 【請求項5】 120℃での長手方向と幅方向の熱収縮
    率の和が5%以下であることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれかに記載の二軸配向ポリプロピレンフィルム。
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