JP2002121067A - 酸化亜鉛質焼結体およびその製造方法 - Google Patents
酸化亜鉛質焼結体およびその製造方法Info
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Abstract
性を高めることができる(110)面を配向した酸化亜
鉛質焼結体を提供する。 【解決手段】酸化亜鉛を主成分とし、特定面でのX線回
折ピークにおいてI(110 )/(I(110)+I(002)+I
(101))で表される配向度f1が0.24以上である酸化
亜鉛質焼結体1を作製する。
Description
として用いられるバリスタ、表面弾性波フィルターなど
の圧電体、スパッタリングターゲット材、ゼーベック効
果を利用した熱電材料などに好適な酸化亜鉛質焼結体及
びその製造方法に関する。
鉛質焼結体が様々な電子部品に応用されている。例え
ば、酸化亜鉛(ZnO)にBi2O3、Sb2O3、MnO
2等を添加し、焼成した焼結体はバリスタと呼ばれ、電
流−電圧特性が大きな非直線性を示すために異常電圧吸
収素子、避雷器などに利用されており、また、同時に酸
化亜鉛単独あるいは微量のLi2Oを添加して圧電体と
して利用することが検討されている。さらに、酸化亜鉛
(ZnO)に微量のAl2O3、In2O3を添加して焼成
することで焼結体の抵抗率を低減することができ、スパ
ッタリングターゲット材、あるいはゼーベック効果を利
用した熱電材料への応用が期待されている。
って諸特性の異方性を有し、例えば、酸化亜鉛結晶をc
面に配向させることによってc軸方向の圧電特性が向上
することが知られている。また、特公平4−48746
号公報では、酸化亜鉛結晶をc軸方向に配向させて焼結
体の向きによって異なるバリスタ特性を有する酸化亜鉛
質焼結体を作製できることが記載されている。さらに、
特開平6−340468号公報では、プレス面と垂直な
側面が広く、プレス面が厚みをなすような成形体を作製
できる金型を用いてプレス成形によって板状の成形体を
作製することによって該成形体の主平面を(101)面
に配向させることができ、該主平面での抵抗率のばらつ
きを小さくして低抵抗化できることからスパッタリング
ターゲットとして良好な性能を有することが記載されて
いる。
公平4−48746号公報や特開平6−340468号
公報等の従来の酸化亜鉛質焼結体では、いずれもc面
((00l)面)方向に配向させることはできても、c
面と垂直なa軸方向(a面)、特に高い導電性を有する
(110)面方向の向きはランダムであり、(110)
面に配向した焼結体を作製することはできなかった。
電特性、バリスタ特性等の電気的特性を高めることがで
きる(110)面を配向した酸化亜鉛質焼結体およびそ
の製造方法を提供することにある。
晶を(110)面に配向させる方法について検討した結
果、酸化亜鉛粉末に溶媒を加えたスラリーに対して特定
方向に高い磁場を印加することによって、磁場を印加す
る向きに(110)面が優先的に配向した成形体を作製
でき、該成形体を焼成することにより、(110)面に
配向した配向面を有する酸化亜鉛質焼結体を作製できる
ことを知見した。
亜鉛を主成分とするものであって、該焼結体の特定面で
のX線回折ピークにおいてI(110)/(I(110)+I(002)
+I (101))(ただし、I(hkl)は各結晶面のピーク強
度)で表される配向度f1が0.24以上であることを
特徴とするものである。
定面から0.1mm研磨した面における配向度f2との
比(f2/f1)が0.8以上であること、相対密度が9
0%以上であること、前記特定面と平行な面にて観察さ
れる主結晶の平均粒径が0.5〜10μmであることが
望ましい。
方法は、酸化亜鉛を主成分として含有する粉末によって
スラリーを作製し、該スラリーに対して特定方向に1T
以上の磁場を印加して成形した後、焼成することを特徴
とするものである。
する粉末の平均粒径が0.5〜2.0μmであることが
望ましい。
化亜鉛(ZnO)を主成分とし、六方晶からなるもので
あり、特に、ZnOを95重量%以上含有するものから
なる。また、焼結体中には、Bi2O3、Sb2O3、Mn
O2、CoO、Cr2O3等の副成分が総量で5重量%以
下含有されていてもよく、該副成分のうち、Bi2O3、
Sb2O3、MnO2等は、特に、ZnO主結晶の粒界に
存在して大きな非直線性の電流−電圧特性を示すバリス
タ特性を発生させるために、Li2O等は、特に焼結体
の強誘電性を高めるために、Al2O3、Cr2O3、In
2O3等は、特に焼結体の導電率を高めるために添加さ
れ、特にLi2O、Al2O3、Cr2O3、In2O3等は
酸化亜鉛主結晶内に固溶した状態で含有されることが望
ましい。
X線回折ピークにおいて、I(110)/(I(110)+I
(002)+I(101))(ただし、I(hkl)は各結晶面のピー
ク強度)で表される配向度f1が0.24以上、特に
0.30以上、さらに0.40以上である、すなわち特
定面と垂直な方向に(110)結晶面が配向しているこ
とが大きな特徴であり、これによって上記焼結体の抵抗
率を著しく低減させることが可能になる。なお、本発明
における特定面とは焼結体断面でも焼結体表面でもよ
い。
た面には(002)面(c面)のピーク強度が低く、
(110)面に配向した面と垂直な面では相対的にc面
が配向した構造からなり、かかるc面に配向した面と垂
直なc軸方向では、特に、圧電特性等が向上する。
て、例えば、焼結体をスパッタリングターゲットとして
用いる場合、ターゲット表面がスパッタリングによって
浸食されても均一な導電性と密度を得るために、焼結体
表面の配向度f1と、該焼結体の配向度f1測定面から
0.1mm研磨した面における配向度f2との比(f2/
f1)が0.8以上であることが望ましい。
導電性、機械的強度等を高めるためには、焼結体の相対
密度が90%以上、特に92%以上であることが望まし
い。
め、電気的性質の安定性を高めるために、前記(11
0)面に配向した面のSEM写真にて観察される酸化亜
鉛を主成分とする主結晶の平均粒径が0.5〜10μm
であることが望ましい。なお、平均粒径の測定はルーゼ
ックス画像解析法に基づく値であり、例えば、観察され
る主結晶が扁平形状である場合には、長径と短径から面
積を求め、円に換算したときの直径となる。
タ、圧電体、熱電素子等の電子部品として用いる場合に
は、該焼結体を特に厚み5mm以下、さらに3mm以下
の板状体とし、該板状体の主平面を(110)面に配向
させる、すなわち主平面にて測定したX線回折ピークの
f1を高めることによって板状体の主平面での導電率を
高めることができ、特にスパッタリングターゲットや熱
電変換素子等として好適に使用することができる。また
は該板状体の側面の一方向を(110)面に配向させて
その両面に電極を形成することによって板状体の主平面
での圧電性を高めることができ、圧電素子として好適に
使用できる。さらに、酸化亜鉛はc軸方向に結晶成長し
やすいために本発明における焼結体でも組織、すなわち
粒界の異方性が現れ、バリスタ特性としても異方性を有
する材料を作製することができる。
結体の製造方法について説明する。まず、例えば、平均
粒径0.5〜2.0μmの酸化亜鉛原料粉末と上述した
焼結助剤成分原料とを準備する。各原料としては、各金
属の酸化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩等の粉末
が使用可能であり、その他にも金属アルコキシド、金属
コロイド溶液等を用いてもよい。
か、または、公知の共沈法、ゾルゲル法、水熱合成法等
の処理を行った後、所望により、700〜1000℃に
て仮焼し、所望により粉砕する。この粉末に、所定量の
溶媒を添加して、これらの混合物を、例えば、ボールミ
ル等にて混合してスラリーを作製する。溶媒としては、
水、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール
類、アセトン等が使用可能であり、特に安全性、対環境
面では水が望ましい。また、溶媒とともにポリビニルア
ルコール(PVA)等の有機バインダや可塑剤を加えて
もよく、PVAは分散剤としての機能をも有し、後述す
る粉末の配向性を高める働きをなす。なお、スラリーの
100sec-1での粘度は0.3〜0.7Pa・s、特
に0.4〜0.6Pa・sであることが望ましい。
粉末のスラリー中の分散性を高め、かつ粉末を後述する
磁場中で容易に変位させるために、スラリー内に含有さ
れる酸化亜鉛粉末の平均粒径は0.5〜2.0μm、特
に、0.5〜1.0μm、また、比表面積(BET値)
が10m3/g以下であることが望ましい。なお、仮焼
粉末の平均粒径とは、マイクロトラック法によって求め
られるd50値の意味である。
た状態で成形を行う。ここで、印加する磁場の強さは、
仮焼粉末を所望の向きに変位させるためには、1T以
上、特に9T以上、さらに11T以上であることが重要
である。かかる磁場を発生させる装置としては、例えば
高磁場を発生できる超伝導磁石を備えた磁場発生装置を
使用することが望ましい。印加する磁場が1Tより小さ
いと仮焼粉末が所定の方向に配向しない。
する成形法、例えば、鋳込成形法、射出成形法、押出成
形法やドクターブレード法、カレンダーロール法等のテ
ープ成形法が採用できる。
化亜鉛粉末の(110)面が配向するように配列し、こ
のような焼結体においては(110)配向面での抵抗率
を下げることができる。なお、磁場による粒子配向機構
は明確にはわからないが、酸化亜鉛の場合、磁場の印加
方向に対して平行な方向に(110)面が配向し、この
面においては、特にc面((002)面)のピーク強度
が極端に小さくなるように配向する。
中の酸化亜鉛以外の副生成物も印加磁場に対して特定の
方向に配向することが望ましく、これによって、後述す
る焼成時のc軸方向の粒成長を促進して焼結体の配向度
を高めることができる。
短時間で完了するが、成形体中の仮焼粉末の配向度を維
持するためには、スラリー中の溶媒が揮発してスラリー
が固化し、粉末が流動せず固定される硬さまで磁場を印
加することが望ましい。このために、成形体をなすスラ
リーの固化を早めるために、スラリー中に紫外線硬化性
樹脂を含有して磁場を印加してから紫外線を照射させる
ことによりスラリーの固化を早めたり、熱硬化性樹脂や
熱可塑性樹脂を添加して磁場を印加してから温度を変化
させることでスラリーの固化を早めることができる。
みならず成形体の内部にまでわたって容易に主結晶の配
向度を高めることができ、主結晶の(110)面が磁場
の印加方向と垂直な面に揃うように特定面に配向した成
形体を作製することができる。
所定形状に加工し、脱バインダー処理した後、例えば、
800〜1400℃、特に1000〜1400℃の温度
で、特に1〜5時間焼成することにより酸化亜鉛質焼結
体を作製することができる。
って、仮焼粉末が特定面に配向しているために、焼成に
よっても結晶の粒成長速度が速いc軸が優先的に成長し
て、主結晶の配向度をさらに高めることができる。
ス等に比べて任意の形状の成形体および焼結体を作製す
ることができ、また、焼結体中の主結晶の大きさおよび
向きを揃えて、高く、かつばらつきの少ない圧電、導
電、熱電さらにはバリスタ特性を得ることができる。
高めて機械的強度を高めるために、上記焼成後HIP
(熱間静水圧プレス)等の高温、高圧下での熱処理を行
うこともできる。
対して、Bi2O3粉末を0.5モル%、Sb2O3、Mn
O、CoO粉末をそれぞれ0.25モル%を添加、混合
し、大気中、750℃で、2時間仮焼した仮焼粉末を作
製した。この仮焼粉末をボールミルにて24時間粉砕し
たのち、マイクロトラック法により平均粒径を測定した
ところ、0.7μm、BET値は5.2m2/gであっ
た。この粉末100gに対して、固体(仮焼粉末)含有
率が40体積%となるように、アクリル系樹脂を1.5
重量%、溶媒として水を添加し、ボールミルにて混合し
てスラリーを調製した。スラリーの粘度は100sec
-1において0.4Pa・sであった。このスラリーを内
径50mmの多孔質の石膏型に10cc(厚み5mm)
注ぎ、ボア径100mm、10Tの磁場が発生可能な冷
凍機型磁場装置中に入れて、スラリーの厚み方向が磁場
の印加方向に対して平行となるように10Tの磁場を印
加した状態で鋳込み成形を行った。
中、500℃で脱バインダーし、大気中、1050℃で
2時間焼成した。
回折測定を行い、そのチャートから下記の式に基づくf
値の平均値を(110)面の配向度f1として算出した
結果、0.42であった。 f=I(110)/(I(110)+I(002)+I(101)) また、このX線回折測定面からそれぞれ0.1mmずつ
研磨した面について同様に配向度f2を測定し、その比
f2/f1を算出したところ、0.97であった。なお、
そのXRDチャートの一例を図1に示した。
厚さ1mmに加工し、電極を焼き付けた後、バリスタ特
性を評価した結果、主平面内((110)配向面)を上
下面に持つ試料ではバリスタ電圧50V(1mA)、α
値は35、一方主平面を側面にもつ試料ではバリスタ電
圧120V(1mA)、α値は38が得られた。
に対して、Li2CO3粉末を2.3重量%添加、混合
し、大気中、700℃で2時間仮焼した仮焼粉末を作製
した。この仮焼粉末をボールミルにて24時間粉砕した
粉末について、マイクロトラック法により平均粒径を測
定したところ、0.7μm、BET値は5.4m2/g
であった。この粉末100gに対して、実施例1と同様
に100sec-1での粘度0.4Pa・sのスラリーを
調製し実施例1と同様に成形体を作製した後、大気中1
000℃で2時間焼成した。
にf1値およびf2/f1値を測定した結果、それぞれ
0.40、0.99であった。また、この試料を3mm
×3mm×厚さ0.5mmに加工して、その両面に銀電
極を形成し、強誘電特性特性解析装置にて自発分極率を
求め、主平面内((110)配向面)を上下面に持つ試
料では自発分極は持たず、主平面を側面にもつ試料では
自発分極率0.5μC/cm2が得られた。
に対して、Al2O3粉末を5重量%添加、混合し、大気
中、850℃で、2時間仮焼した仮焼粉末を作製した。
この仮焼粉末を24時間粉砕した後の粉末について、マ
イクロトラック法により平均粒径を測定したところ、
0.7μm、BET値は5.2m2/gであった。この
粉末100gに対して、実施例1と同様に100sec
-1での粘度0.5Pa・sのスラリーを調製し、実施例
1と同様に成形体を作製した後、大気中、1350℃で
4時間焼成した。
にf1値およびf2/f1値を測定した結果、それぞれ
0.41、0.97であった。また、得られた試料を3
mm×3mm×厚さ1mmに加工して、その両面に銀電
極パターンを形成し、4端子法にて主平面表面方向およ
び主平面を両面に持つ厚み方向、主平面を側面に持つ厚
み方向の抵抗率を測定した結果、主平面表面方向0.1
Ω・cm、主平面を両面に持つ厚さ方向0.2Ω・c
m、主平面を側面に持つ厚さ方向は1.5Ω・cmであ
った。さらに、この試料を0.1mm研磨した後、上記
同様に主平面表面方向の抵抗率を測定した結果、抵抗率
は0.1Ω・cmであり、スパッタリングターゲットと
して用いる場合、ターゲット面が削れても均一な特性を
維持できることが示唆された。
状形状の酸化亜鉛粉末をプレス成形にて4mm×4mm
×厚さ20mmの厚み方向に長い成形体を作製し、実施
例3と同様に焼成した焼結体を作製した。実施例3と同
様に評価した結果、配向度f1は0.21であり、この
面から0.1mm研磨した研磨面での配向度f2との比
(f2/f 1)は0.75であった。
様に評価した結果、表面で0.8Ω・cmであり、厚み
方向で1.5Ω・cmであった。また、この焼結体の配
向度f2値を測定した研磨面における表面での導電率
は、1.1Ω・cmであった。
質焼結体によれば、酸化亜鉛粉末に溶媒を加えたスラリ
ーに対して特定方向に高い磁場を印加することによっ
て、磁場を印加する向きに(110)面が優先的に配向
した成形体を作製でき、該成形体を焼成することによ
り、(110)面に配向した配向面を有する酸化亜鉛質
焼結体を作製できる。
1の焼結体のX線回折チャートである。
Claims (6)
- 【請求項1】酸化亜鉛を主成分とする酸化亜鉛質焼結体
であって、該焼結体の特定面でのX線回折ピークにおい
てI(110)/(I(110)+I(002)+I(101))(ただし、
I(hkl)は各結晶面のピーク強度)で表される配向度f1
が0.24以上であることを特徴とする酸化亜鉛質焼結
体。 - 【請求項2】前記特定面での配向度f1と、該特定面か
ら0.1mm研磨した面における配向度f2との比(f2
/f1)が0.8以上であることを特徴とする請求項1
記載の酸化亜鉛質焼結体。 - 【請求項3】相対密度が90%以上であることを特徴と
する請求項1または2記載の酸化亜鉛質焼結体。 - 【請求項4】前記特定面と平行な面にて観察される酸化
亜鉛主結晶の平均粒径が0.5〜10μmであることを
特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の酸化亜鉛質
焼結体。 - 【請求項5】酸化亜鉛を主成分として含有する粉末によ
ってスラリーを作製し、該スラリーに対して特定方向に
1T以上の磁場を印加して成形した後、焼成することを
特徴とする酸化亜鉛質焼結体の製造方法。 - 【請求項6】前記酸化亜鉛を主成分として含有する粉末
の平均粒径が0.5〜2.0μmであることを特徴とす
る請求項5記載の酸化亜鉛質焼結体の製造方法。
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