JP2002110451A - 積層型電子部品およびその製法 - Google Patents

積層型電子部品およびその製法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】静電容量の向上とばらつきの低減を図ると同時
に、内部電極層と外部電極との接続強度の高い積層型電
子部品およびその製法を提供する。 【解決手段】誘電体層9と内部電極層11とが交互に積
層された電子部品本体1の端面に、前記内部電極層11
が交互に接続される一対の外部電極7を形成してなる積
層型電子部品において、前記内部電極層11の端部を酸
化せしめて、酸化物層13を形成するとともに、前記外
部電極7側に位置する該酸化物層13に前記内部電極層
11と前記外部電極7とを電気的に接続するための貫通
孔15を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層型電子部品お
よびその製法に関し、特に、積層セラミックコンデンサ
に用いられる積層型電子部品およびその製法に関する。
【0002】
【従来技術】近年、電子機器の小型化、高密度化に伴
い、積層型電子部品、例えば、積層セラミックコンデン
サは、小型、高容量、および、その容量バラツキの低減
が求められており、このため、誘電体層の薄層化と積
層数の増加、内部電極層の有効面積の大面積化、内
部電極層と外部電極との接合の強化が図られている。
【0003】このような積層型電子部品として、先ず、
図5(a)に示すように、従来の工法により内部電極層
51の印刷パターンを制御し、マージン部53を形成し
て作製した積層型電子部品が知られている。一方、内部
電極層51と外部電極55との接合部に関し、図5
(b)に示すように、印刷パターンによってエンドマー
ジン部を形成して作製した積層型電子部品が知られてい
る(特開平4−170016号公報参照)。
【0004】この公報に開示された積層型電子部品で
は、誘電体セラミックグリーンシート上に内部電極パタ
ーンを形成し、内部電極パターンが形成されたグリーン
シートを複数積層して得られた積層成形体を所望の大き
さのチップに切断後、該チップ状成形体の両端部に外部
電極55を形成し、次に側面に露出した内部電極層51
を加熱処理によって酸化させ、両側縁近傍部分を絶縁体
化することにより、内部電極層51の端部を一層置きに
ずらし積層して作製する従来の積層型電子部品である図
5(a)よりも、同じ積層数で大きな静電容量を得るこ
とができる。
【0005】また、図5(c)に示すように、端面にマ
スキングを行い、スパッタ法により交互に絶縁処理を施
して作製した積層型電子部品が知られている(特開平3
−91217号公報参照)。
【0006】このような積層型電子部品では、積層型電
子部品本体の端面に露出している内部電極層を交互に一
層おきに絶縁処理し、その上に外部電極を設けることに
より、エンドマージン領域の幅を狭くし、小型・大容量
化が図られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】近年、積層型電子部品
の一つである積層セラミックコンデンサは、小型、高容
量化のため、誘電体層および内部電極層の薄層化が行わ
れており、例えば、誘電体層の厚みを5μm以下とした
積層セラミックコンデンサも開発されている。
【0008】しかしながら、内部電極層の側面部のみを
露出させ酸化処理を行う上記特開平4−170016号
公報に開示された積層型電子部品では、内部電極層が露
出した状態で、外部電極を塗布して形成することから、
一方の外部電極と絶縁するように対向して形成されてい
る内部電極層は、前記外部電極側にエンドマージン領域
を設けているにもかかわらず、外部電極を形成したとき
の回りこみによって、ショート不良が発生しやすくな
り、また、エンドマージン領域を大ききした場合には静
電容量が低下するという問題があった。
【0009】また、内部電極層の酸化を800℃、30
分間の条件で行っているため、外部電極を構成している
金属粒子が焼結する前に、酸化性ガスが外部電極の金属
粒子間を通じて内部電極層の端面に到達し、内部電極層
に用いているNi金属を酸化してしまう。こうして内部
電極層と外部電極との電気的接続ができなくなり、内部
電極層に蓄えられた電荷を外部電極に取り出すことがで
きないために、静電容量が著しく低下するという問題が
あった。
【0010】また、上記特開平3−91217号公報に
開示された積層型電子部品では、露出した内部電極層の
端部のみを絶縁処理しており、絶縁膜の接合面積が小さ
いため、絶縁処理部分の欠損や欠落が発生し易くなり、
ショート故障に至ること、また、両端部に露出した内部
電極層の絶縁処理において微小なマスキングが必要とな
るため、絶縁処理方法として、例えば、スパッタ法や蒸
着法などコストの高い手法に限られるという問題があっ
た。
【0011】従って、本発明は、静電容量の向上とショ
ート故障の低減を図ると同時に、内部電極層と外部電極
との接続強度の高い積層型電子部品およびその製法を提
供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の積層型電子部品
は、誘電体層と内部電極層とが交互に積層された電子部
品本体の端面に、前記内部電極層が交互に接続される一
対の外部電極を形成してなる積層型電子部品において、
前記内部電極層の端部を酸化せしめて酸化物層を形成す
るとともに、前記外部電極側に位置する前記酸化物層
に、前記内部電極層と前記外部電極とを電気的に接続す
るための貫通孔を設けたことを特徴とするものである。
【0013】このような構成によれば、積層型電子部品
の側縁部の酸化物層の厚みを薄くできるために、内部電
極層と外部電極との間を絶縁するための距離を最小にで
き、内部電極層の有効面積を大きくすることができ、静
電容量を大きくすることができる。
【0014】また、誘電体層の間に形成される内部電極
層の面積は、誘電体層とほぼ同じ面積であるため、静電
容量のばらつきが殆ど無く、電子部品本体の場所による
厚み差が生じることが無いために厚み差に起因する内部
応力からデラミネーションが発生することを防止でき
る。
【0015】また、酸化物層が電子部品本体の端面に突
き出ることなしに形成されているために、スパッタなど
を用いて酸化物層を内部電極層の端部に形成した従来の
場合に比較して、酸化物層と、誘電体層あるいは内部電
極層の端部との接着強度を高めることができる。
【0016】上記積層型電子部品は、酸化物層の厚さが
50μm以下であることが望ましい。50μm以下であ
れば、酸化物層に形成される貫通孔が短くなり、外部電
極ペーストの充填性が高まるため、外部電極と内部電極
層との電気的接続性を高めることができる。また、積層
型電子部品の小型、高容量化に対して、静電容量の体積
効率を高めることができる。
【0017】上記積層型電子部品では、酸化物層には、
同一の内部電極層が露出する貫通孔が、複数形成されて
いることが望ましい。例えば、電子部品本体の端面にお
いて、1層の内部電極層上に、酸化物層が残るように、
複数の貫通孔を形成することにより、酸化物層と電子部
品本体との接着面積を大きくでき、接合強度を高めるこ
とができる。
【0018】上記積層型電子部品では、電子部品本体の
同一端面に一対の外部電極を設けることが望ましい。例
えば、積層セラミックコンデンサの一つの端面に、内部
電極層に交互に接続される一対の外部電極を近接して形
成することにより、電流経路の対称性が増すために、高
周波におけるインピーダンスを下げることができ、さら
に、前記コンデンサ内に流れる電流を分散できることか
ら、積層セラミックコンデンサの電磁界分布を均一化
し、自己インダクタンスを低くすることができる。
【0019】本発明の積層型電子部品の製法は、誘電体
グリーンシートと内部電極パターンとを交互に積層し、
内部電極パターンの端部が端面に導出する電子部品本体
成形体を作製する工程と、前記電子部品本体成形体を焼
成し、電子部品素体を作製する工程と、該電子部品素体
を熱処理によって内部電極層の端部を酸化せしめて酸化
物層を形成し、誘電体層と少なくとも端面に酸化物層が
形成されている内部電極層とが交互に積層されてなる電
子部品本体を作製する工程と、前記酸化物層に前記内部
電極層の端部が交互に露出するように貫通孔を形成する
工程と、前記電子部品本体の端面に外部電極ペーストを
塗布するとともに、前記貫通孔内に外部電極ペーストを
充填して焼き付け、前記内部電極層が交互に接続してい
る一対の外部電極を作製する工程とを具備する製法であ
る。
【0020】この製法においては、内部電極パターンの
形状、形成位置を制御する必要がないために、積層型電
子部品を容易に作製できる。
【0021】そして、電子部品本体の端面に露出した内
部電極層自体を酸化物層に変えるために、酸化物層が電
子部品本体の端面に突き出ることがなく、スパッタなど
を用いて内部電極層の端部に凸状に酸化物層を形成した
従来の場合に比較して、電子部品本体の端面に、酸化物
層を一体化して形成できるため、前記酸化物層の電子部
品本体との接着強度の高い、高信頼性の積層型電子部品
を作製することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の積層型電子部品を、例え
ば、積層セラミックコンデンサを例にして説明する。本
発明の積層型電子部品は、図1に示すように、直方体状
の電子部品本体1の端面3、5に、一対の外部電極7を
形成して構成され、電子部品本体1は、誘電体層9と内
部電極層11が交互に積層されて形成された電子部品素
体12の端面3、5に酸化物層13が形成されている。
【0023】そして、外部電極7が形成される電子部品
本体1の一方の端面3において、内部電極層11の端部
が交互に露出するように酸化物層13に貫通孔15が形
成され、他方の端面5においては、端面3において貫通
孔15が形成されなかった内部電極層11の端部が交互
に露出するように酸化物層13に貫通孔15が形成され
ている。
【0024】この外部電極7の上面には、図示しない
が、例えば、順にNiのめっき膜、SnもしくはSn−
Pb合金のめっき層が形成されている。これらは外部電
極7のはんだ食われ防止やはんだ濡れ性を補うものであ
る。
【0025】電子部品素体12は、外部電極7を形成す
る両端面を含む全周面に内部電極層11が露出して形成
され(図2(a))、さらに、前記外部電極7と接続さ
れる端面3、5に露出した内部電極層11の端部に形成
した酸化物層13に貫通孔15が形成されて、電子部品
本体1が構成されている(図2(b))。
【0026】貫通孔15は、図2(c)に示すように、
内部電極層11の厚さに相当する幅を有し、前記内部電
極層11の端面3、5に形成された厚さtの酸化物層1
3を貫通して、内部電極層11に達するように形成さ
れ、内部電極層11から外部電極7へ向けて拡径してい
る。即ち、テーパ状に形成することが望ましい。これに
より貫通孔15への外部電極ペーストの充填が容易にで
き、且つ、内部電極層11と外部電極7の接合を確実に
行うことができる。
【0027】酸化物層13の厚みtは50μm以下であ
れば、積層型電子部品の静電容量の体積効率を高めるこ
とができるが、積層型電子部品の耐湿性と、電子部品素
体12と酸化物層13の接着強度、および対向して絶縁
されている外部電極7との電気絶縁性を高めるために、
特には、0.1〜20μmが望ましい。
【0028】また、図3に示すように、本発明の積層型
電子部品の他の形態として、内部電極層31に形成され
た酸化物層33に、同一の内部電極層31が露出する貫
通孔35a、35bを2個形成することもできる。即
ち、電子部品本体37の端面において、1層の内部電極
層31上に、酸化物層33が残るように、2つの貫通孔
35a、35bを形成することにより、酸化物層33と
電子部品本体37との接着面積を大きくでき、接合強度
を高めることができる。
【0029】また、図4(a)は、本発明の他の積層型
電子部品を示すもので、この積層型電子部品では、酸化
物層41を形成して構成された電子部品本体43の同一
端面に一対の外部電極45a、45bが形成されてい
る。
【0030】この場合、図4(b)に示すように、電子
部品本体43に形成した内部電極層47a、47bのう
ち、奇数層の内部電極層47aを酸化物層41から露出
させる貫通孔49aを左側に、偶数層の内部電極層47
bを酸化物層41から露出させる貫通孔49bを右側
に、それぞれ形成し、左右に形成された貫通孔49a、
49bは積層方向からみて重畳しないように隔離されて
いる。
【0031】このように、同一端面に外部電極45a、
45bを2個形成することにより、電流経路が対称的と
なるために高周波におけるインピーダンスを下げること
ができ、また、実装性に関して、高い自由度を有し、実
装面積を小さくすることができる。
【0032】誘電体層9の厚みは、10μm以下が好ま
しく、小型、大容量化、および絶縁信頼性を高める上
で、特に、1.5〜4μmが望ましい。
【0033】内部電極層11、33、47の厚みは、コ
ンデンサの小型化という点から2μm以下が好ましく、
内部電極層11、33、47によるデラミネーションを
防止し、信頼性を高める上で、特には0.3〜1μmの
範囲であることが望ましい。
【0034】電子部品本体1、37、43に用いている
誘電体層19は、シート状のセラミック焼結体からな
り、例えば、BaTiO3を主成分とするグリーンシー
トを焼成して形成した誘電体磁器からなる。
【0035】内部電極層11、33、47は、導電性ペ
ーストの膜を焼結させた金属膜からなり、導電性ペース
トとしては、例えば、Ni、Co、Cu等の卑金属が使
用され、電子部品本体1、37、43を構成する誘電体
材料の焼成温度とのマッチング、金属の導電性、および
価格の面からNi金属が用いられる。
【0036】また、外部電極7、45a、45bの金属
成分は、Ni、Co、Cu、Ag等を含有する金属から
なり、その他にガラス成分を含有している。
【0037】次に、本発明の積層セラミックコンデンサ
からなる積層型電子部品の製法について、図1の積層型
電子部品をもとに説明する。
【0038】まず、誘電体粉末を用いて、ドクターブレ
ード法、引き上げ法、リバースロールコータ法、グラビ
アコータ法、スクリーン印刷法、グラビア印刷等の成形
法により誘電体層のセラミックグリーンシートを作製す
る。
【0039】誘電体材料としては、具体的には、BaT
iO3−MnO−MgO−Y23等の誘電体粉末と焼結
助剤が好適に使用できる。また、この誘電体層のセラミ
ックグリーンシートの厚みは、12μm以下が好まし
く、特に、小型、大容量化という理由から2.5〜4.
5μmの範囲が望ましい。
【0040】次に、この誘電体層のセラミックグリーン
シートの表面に、スクリーン印刷法などにより内部電極
パターンを形成する。内部電極パターンの厚みは、コン
デンサの小型、高信頼性化という点から2.4μm以
下、特には0.6〜1.2μmの範囲であることが望ま
しい。
【0041】そして、内部電極パターンが形成された誘
電体層9となるセラミックグリーンシートを複数枚積層
圧着し、所定の形状にカットすることにより、電子部品
素体成形体を得る。
【0042】その後、この電子部品素体成形体を大気中
250〜300℃または酸素分圧0.1〜1Paの低酸
素雰囲気中500〜800℃で脱バイした後、非酸化性
雰囲気で1100〜1300℃で2〜3時間焼成し、電
子部品素体12を作製する。
【0043】さらに、酸素分圧が0.1〜10-4Pa程
度の低酸素分圧下、900〜1100℃で3〜10時間
熱処理を施すことにより、電子部品本体1の外に露出し
た内部電極層11端部に酸化物層13を形成する。
【0044】次に、イオンビームエッチング法やレーザ
ー加工法などを用いて、内部電極層11が交互に露出す
るように酸化物層13に貫通孔15を形成する。
【0045】最後に、得られた電子部品本体1の端面
3、5に外部電極ペーストを塗布し、貫通孔15内に外
部電極ペーストを充填し、焼き付けて内部電極層11と
電気的に接続された外部電極7を形成し、積層型電子部
品を作製する。
【0046】以上のように構成された積層型電子部品で
は、電子部品本体1と、一対の外部電極3との間に酸化
物層13を形成するとともに、該酸化物層13に内部電
極層11と外部電極7とを電気的に接続するための貫通
孔15を設けたことにより、内部電極層11を誘電体層
9のほぼ全面に形成でき、且つ、内部電極層11の他端
と外部電極7との間の絶縁距離を最小にすることがで
き、これにより内部電極層11の有効面積を大きくする
ことができることから、積層型電子部品の静電容量を大
きくすることができるとともに、該静電容量のばらつき
を小さくできる。
【0047】また、誘電体層9の間に形成される内部電
極層11の面積は、誘電体層9とほぼ同じであるため、
積層型電子部品の場所による厚み差が生じることが無い
ために厚み差に起因する内部応力からデラミネーション
が発生することを防止できる。
【0048】
【実施例】まず、BaTiO3、MgCO3、MnCO3
およびY23粉末と、粒界相成分として、CaO、Si
2等と、有機成分として、ブチラール樹脂、およびト
ルエンからなるセラミックスラリーを作製し、これをド
クターブレード法によりPETフィルム上に塗布するこ
とによって、誘電体層9となるグリーンシートを作製し
た。
【0049】その後、グリーンシートをPETフィルム
から剥離して、厚み9μmのセラミックグリーンシート
を形成し、これを10枚積層して端面セラミックグリー
ンシート層を形成した。そして、これらの端面セラミッ
クグリーンシート層を乾燥させた。この端面セラミック
グリーンシート層を台板上に配置し、プレス機により圧
着して台板上にはりつけた。
【0050】一方、PETフィルム上に、上記と同一の
セラミックスラリーをドクターブレード法により塗布
し、乾燥後、厚み4μmのセラミックグリーンシートを
作製した。
【0051】次に、平均粒径0.2μmのNi粉末、エ
チルセルロース、有機ビヒクルを3本ロールで混練して
内部電極ペーストを作製した。
【0052】この後、得られたセラミックグリーンシー
トの一方主面に、スクリーン印刷装置を用いて、上記し
た内部電極ペーストを印刷し、乾燥後、剥離した。
【0053】この後、端面セラミックグリーンシート層
の上に、内部電極が形成されたグリーンシートを400
枚積層し、この後、さらに、端面セラミックグリーンシ
ート層を積層し、積層成形体を作製した。
【0054】次に、積層成形体を金型上に載置し、積層
方向からプレス機の加圧板により圧力を段階的に増加し
て圧着し、この後、この積層成形体を所定のチップ形状
にカットし、全内部電極パターンの端部が端面に導出し
た電子部品素体成形体を作製した。
【0055】次に、大気中300℃または0.1Paの
酸素/窒素雰囲気中500℃に加熱し、脱バイを行っ
た。さらに、10-7Paの酸素/窒素雰囲気中、130
0℃で2時間焼成し、さらに、10-2Paの酸素/窒素
雰囲気中にて1000℃で熱処理を行い、酸化物層13
を形成した電子部品本体1を得た。このときの酸化物層
13の厚さは0.05〜70μmであった。
【0056】エンドマージン部を印刷パターンによって
形成し、サイドマージン部を熱処理によって形成した比
較例の試料も用意した。
【0057】また、マスキングを用いたスパッタ法を用
いて、内部電極層11のみに一層おきに絶縁処理を施し
た比較例の試料も用意した。
【0058】その後、表1に示す貫通孔形成法を用い
て、電子部品本体1の内部電極層11が交互に露出する
ように酸化物層13に貫通孔15を形成した。イオンビ
ームエッチングはビーム径を内部電極層11の端部の厚
みに設定し、貫通孔15の加工領域が1層の内部電極層
11の全幅にわたって加工した。
【0059】その後、電子部品本体1の端面に形成され
た内部電極層11と、酸化物層13およびその貫通孔1
5にCuペーストを塗布、充填し、900℃で焼き付
け、さらにNi/Snメッキを施し、内部電極層11と
接続する外部電極7を形成し、図1の積層型電子部品を
作製した。尚、試料No.8については、図3の積層型
電子部品を作製した。
【0060】このようにして得られた積層セラミックコ
ンデンサの内部電極層11間に介在する誘電体層9の厚
みは3μmであり、誘電体層9の有効積層数は400層
とした。
【0061】次に、作製した各100個のサンプルにつ
いて、下記の測定を行った。結果を表1に示す。静電容
量計を用いて周波数1kHz、交流電圧1Vでの静電容
量を測定し、ショート率も合わせて評価した。
【0062】また、外部電極上に銅線を接続し、それを
両側から引っ張ることにより、外部電極接続部の強度を
測定した。
【0063】
【表1】
【0064】表1の結果から明らかなように、電子部品
本体1の端面に、貫通孔15を有する酸化物層13を形
成した本発明の試料No.1〜9は、静電容量が9μF
以上、外部電極7の引張強度が5.2kgf以上と高
く、且つ、ショートが殆ど無く、積層コンデンサの特性
を改善できた。特に、酸化物層13の厚みを0.1〜2
0μmの範囲に形成し、貫通孔15を1個形成した試料
No.2〜6では、静電容量が9.3μF以上、引張り
強度が5.3kgf以上で、ショート不良が認められ
ず、良好な特性の積層セラミックコンデンサを得ること
ができた。
【0065】また、酸化物層厚みを20μmとし、貫通
孔15を2個形成した試料No.8においても、静電容
量が9.5μFと高く、特に、引張り強度が5.7kg
fと最高値を示した。
【0066】一方、図5(a)、(b)、(c)に示す
従来の工法で作製した試料No.10、11、12で
は、静電容量、および引張り強度が低くなり、特に、試
料No.11はショート率が著しく高くなった。
【0067】
【発明の効果】本発明の積層型電子部品は、電子部品本
体と、一対の外部電極との間に内部電極材料の酸化物層
を配設するとともに、該酸化物層に内部電極層と外部電
極とを電気的に接続するための貫通孔を設けているた
め、内部電極層と外部電極との間を絶縁するための距離
を最小にでき、内部電極層の有効面積を大きくすること
ができ、静電容量を大きくすることができる。
【0068】また、誘電体層の間に形成される内部電極
層の面積は、誘電体層とほぼ同じ面積であるため、電子
部品本体の場所による厚み差が生じることが無いために
厚み差に起因する内部応力からデラミネーションが発生
することを防止できる。
【0069】さらに、酸化物層が電子部品本体の端面の
全面に被覆されているために、酸化物層と、誘電体層あ
るいは内部電極層の端部との接着強度を高めることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型電子部品の概略断面図である。
【図2】(a)は電子部品素体の全周面に内部電極層が
露出した状態を示す斜視図、(b)は電子部品素体に酸
化物層ならびに貫通孔を形成した電子部品本体を示す斜
視図、(c)は内部電極層の端部を拡大した概略断面図
である。
【図3】酸化物層に一つの内部電極層が露出する貫通孔
を2個形成した本発明の他の積層型電子部品を示す斜視
図である。
【図4】(a)は同一端面に2個の外部電極を設けた本
発明のさらに他の積層型電子部品を示す斜視図、(b)
は図4(a)の酸化物層における貫通孔の形成位置を示
す斜視図である。
【図5】(a)は印刷パターンを制御し、マージン部を
形成して作製した従来の積層型電子部品の概略断面図、
(b)は印刷パターンによってエンドマージン部を形成
して作製した従来の積層型電子部品の概略断面図、
(c)は電子部品本体の端面にマスキングを行い、スパ
ッタ法により交互に絶縁処理を施して作製した従来の積
層型電子部品の概略断面図である。
【符号の説明】 1、37、43 電子部品本体 7、45a、45b 外部電極 9 誘電体層 11、31、47a、47b 内部電極層 12 電子部品素体 13、33、41 酸化物層 15、35a、35b、49a、49b 貫通孔

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】誘電体層と内部電極層とが交互に積層され
    た電子部品本体の端面に、前記内部電極層が交互に接続
    される一対の外部電極を形成してなる積層型電子部品に
    おいて、前記内部電極層の端部を酸化せしめて酸化物層
    を形成するとともに、前記外部電極側に位置する前記酸
    化物層に、前記内部電極層と前記外部電極とを電気的に
    接続するための貫通孔を設けたことを特徴とする積層型
    電子部品。
  2. 【請求項2】酸化物層の厚さが50μm以下であること
    を特徴とする請求項1記載の積層型電子部品。
  3. 【請求項3】酸化物層には、同一の内部電極層が露出す
    る貫通孔が複数形成されていることを特徴とする請求項
    1または2記載の積層型電子部品。
  4. 【請求項4】電子部品本体の同一端面に一対の外部電極
    を設けてなることを特徴とする請求項1乃至3のうちい
    ずれかに記載の積層型電子部品。
  5. 【請求項5】誘電体グリーンシートと内部電極パターン
    とを交互に積層し、内部電極パターンの端部が端面に導
    出する電子部品本体成形体を作製する工程と、前記電子
    部品本体成形体を焼成し、電子部品素体を作製する工程
    と、該電子部品素体を熱処理によって内部電極層の端部
    を酸化せしめて酸化物層を形成し、誘電体層と少なくと
    も端部に酸化物層が形成されている内部電極層とが交互
    に積層されてなる電子部品本体を作製する工程と、前記
    酸化物層に前記内部電極層の端部が交互に露出するよう
    に貫通孔を形成する工程と、前記電子部品本体の端面に
    外部電極ペーストを塗布するとともに、前記貫通孔内に
    外部電極ペーストを充填して焼き付け、前記内部電極層
    が交互に接続している一対の外部電極を作製する工程と
    を具備することを特徴とする積層型電子部品の製法。
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