JP2002110168A - 電 池 - Google Patents

電 池

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JP2002110168A JP2000302669A JP2000302669A JP2002110168A JP 2002110168 A JP2002110168 A JP 2002110168A JP 2000302669 A JP2000302669 A JP 2000302669A JP 2000302669 A JP2000302669 A JP 2000302669A JP 2002110168 A JP2002110168 A JP 2002110168A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エネルギー密度が高く、かつ安定性および安
全性に優れた新規な電池を提供する。 【解決手段】 正極9、負極5および電解質を含むセパ
レータ10を備えた電池1において、正極活物質および
負極活物質の少なくとも一方が、ホウ素ラジカル化合物
または硫黄ラジカル化合物を含有する電池1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池、特に活物質
の主たる成分としてラジカル化合物を用いることによ
り、エネルギー密度が高く、かつ安定性および安全性に
優れた電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ノート型パソコン、携帯電話等の携帯型
情報端末の急速な市場拡大に伴い、電池の小型、大容量
への要求が高まっている。この要求に応えるために、リ
チウムイオン等のアルカリ金属イオンを荷電担体とし
て、その電荷授受に伴う電気化学反応を利用した電池が
開発されている。中でもリチウムイオン電池は安定性に
優れたエネルギー密度の高い電池として種々の電子機器
に利用されている。このようなリチウムイオン電池は、
活物質として正極にリチウム含有遷移金属酸化物、負極
に炭素を用いたものであり、これら活物質へのリチウム
イオンの吸蔵および放出を利用して充放電を行ってい
る。
【0003】しかしながら、リチウムイオン電池は、正
極に比重の大きな遷移金属酸化物を用いるため、正極の
重量エネルギー密度は150mAh/g程度であり、そ
の密度は充分とは言えず、より軽量の電極材料を用いて
大容量電池を開発しようとする試みがなされてきた。例
えば、米国特許第4,833,048号および日本国特
許第2715778号公報には、ジスルフィド結合を有
する有機化合物を正極活物質として用いた電池が開示さ
れている。この電池はジスルフィド結合の生成および解
離を伴う電気化学的酸化還元反応を充放電に利用したも
のであり、硫黄や炭素のような比重の小さな元素を主成
分とする正極構成であるため、高エネルギー密度電池と
いう点において一定の効果を奏している。しかしなが
ら、解離した結合が再度結合する効率が小さく、安定性
も不充分である。
【0004】有機化合物を電極活物質として用いた電池
として、導電性高分子化合物を用いた電池が提案されて
いる。これは導電性高分子化合物に対する電解質イオン
のドープおよび脱ドープ反応を原理とした電池である。
ここで述べるドープ反応とは、導電性高分子化合物の酸
化または還元によって生ずる荷電ソリトンやポーラロン
等のエキシトンを、対イオンによって安定化させる反応
のことであり、脱ドープ反応とは、その逆反応に相当
し、対イオンによって安定化されたエキシトンを電気化
学的に酸化または還元する反応のことを示している。
【0005】米国特許第4,442,187号には、導
電性高分子化合物を正極または負極活物質として用いた
電池が開示されている。この電池は、炭素や窒素のよう
な比重の小さな元素のみから構成されており、大容量電
池として開発が期待された。しかしながら、導電性高分
子化合物には、酸化還元によって生じるエキシトンがπ
電子共役系の広い範囲にわたって非局在化し、それらが
相互作用するという性質がある。これは発生するエキシ
トンの濃度に限界をもたらし、電池容量を制限する。こ
のため、導電性高分子化合物を電極材料として用いた電
池は、軽量化という点において一定の効果を奏している
が、大容量という点からは不充分である。以上述べてき
たように、大容量電池実現のために、遷移金属酸化物を
用いない電池が提案されている。しかし、エネルギー密
度が高く、かつ安定性および安全性に優れた電池は未だ
得られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】正極に遷移金属酸化物
を用いるリチウムイオン電池は、元素の比重が大きいた
め、現状を上回る大容量電池の製造は原理的に困難であ
る。このため、遷移金属酸化物を利用しない電池の提案
がなされているが、エネルギー密度が高く、かつ安定性
および安全性に優れた電池は未だ得られていない。
【0007】よって本発明の目的は、エネルギー密度が
高く、かつ安定性および安全性に優れた新規な電池を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の電池は、正極、
負極および電解質を備えた電池において、正極活物質お
よび負極活物質の少なくとも一方が、ホウ素ラジカル化
合物を含有することを特徴とする。また、本発明の電池
は、正極、負極および電解質を備えた電池において、正
極活物質および負極活物質の少なくとも一方が、酸化状
態でホウ素ラジカルとなる化合物を含有することを特徴
とする。また、本発明の電池は、正極、負極および電解
質を備えた電池において、正極活物質および負極活物質
の少なくとも一方が、還元状態でホウ素ラジカルとなる
化合物を含有することを特徴とする。
【0009】また、ホウ素ラジカル化合物は、芳香族基
またはアルキル基と結合したホウ素原子上にラジカルを
有するものであることが望ましい。また、ホウ素ラジカ
ル化合物は、下記式(1)で示されるものであることが
望ましい。
【0010】
【化2】
【0011】(式中、Rは、それぞれ独立に水素、また
は置換若しくは無置換の炭化水素基である。) また、ホウ素ラジカル化合物は、ジメシチルホウ素ラジ
カルであることが望ましい。また、ホウ素ラジカル化合
物のスピン濃度は、1021spins/g以上であるこ
とが望ましい。
【0012】また、本発明の電池は、正極、負極および
電解質を備えた電池において、正極活物質および負極活
物質の少なくとも一方が、硫黄ラジカル化合物を含有す
ることを特徴とする。また、本発明の電池は、正極、負
極および電解質を備えた電池において、正極活物質およ
び負極活物質の少なくとも一方が、酸化状態で硫黄ラジ
カルとなる化合物を含有することを特徴とする。また、
本発明の電池は、正極、負極および電解質を備えた電池
において、正極活物質および負極活物質の少なくとも一
方が、還元状態で硫黄ラジカルとなる化合物を含有する
ことを特徴とする。
【0013】また、硫黄ラジカル化合物は、芳香族基と
結合した硫黄原子上にラジカルを有するものであること
が望ましい。また、硫黄ラジカル化合物は、チアントレ
ン誘導体の硫黄原子上にラジカルを有するものであるこ
とが望ましい。また、硫黄ラジカル化合物のスピン濃度
は、1021spins/g以上であることが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の電池の一例を示す正面図であり、図2
は、図1の断面図である。この電池1は負極端子2が接
続された負極集電体3および負極層4からなる負極5
と、正極端子6が接続された正極集電体7および正極層
8からなる正極9とを、電解質を含むセパレータ10を
介して重ね合わせて積層体とし、この積層体を、負極端
子と正極端子とが外部に露出した状態でラミネートフィ
ルムからなる外装材11によって封止したものである。
そして、負極5および正極9の少なくとも一方に、電極
活物質の主たる成分として、ラジカル化合物が含まれて
いる。
【0015】本発明の電池は、電極活物質の主たる成分
としてラジカル化合物、特にホウ素ラジカル化合物また
は硫黄ラジカル化合物を用いることを特徴とする。ま
た、一般的に電極活物質は、出発状態と、電極反応によ
って酸化または還元された状態との二つの状態を取る
が、本発明の電池においては、電極活物質が出発状態、
および酸化または還元された状態のいずれかの状態で、
ラジカル化合物を含んでいることを特徴としている。本
発明の電池の充放電メカニズムとしては、電極活物質中
のラジカルが電極反応によってラジカルの状態とイオン
の状態に可逆的に変化して電荷を蓄積するものが考えら
れるが、詳細は明らかではない。
【0016】ホウ素ラジカル化合物とは、不対電子を有
するホウ素原子を含む化合物であり、硫黄ラジカル化合
物とは、不対電子を有する硫黄原子を含む化合物であ
る。一般的にラジカルは反応性に富んだ化学種であり、
周囲の物質との相互作用によって、ある程度の寿命をも
って消失するものが多いが、共鳴効果や立体障害、溶媒
和の状態によっては安定なものとなる。これら安定なラ
ジカル化合物では、電子スピン共鳴分析で測定されたス
ピン濃度が長時間にわたって、1019から1023spi
ns/gの範囲内にあるものもある。
【0017】統計力学的に見れば、室温ではどのような
化学物質でもラジカル状態の原子種が存在すると考えら
れる。一般にラジカル濃度は電子スピン共鳴スペクトル
で測定される。本発明のラジカル化合物のスピン濃度は
特に限定されないが、通常の非ラジカル化合物でも10
16spins/g程度のスピン濃度を示すことを考慮す
ると、平衡状態におけるスピン濃度が1019spins
/g以上であり、通常は1021spins/g以上であ
る。容量の点からもスピン濃度が1021spins/g
以上に保たれていることが好ましい。また、電池の安定
性の面から安定ラジカル化合物であることが好ましい。
ここで、安定ラジカル化合物とは、ラジカルの寿命が長
い化合物のことである。
【0018】本発明に用いるホウ素ラジカル化合物とし
ては、分子構造においてホウ素原子上にラジカルを有す
るものであれば特に限定されないが、ラジカルの安定性
の面から芳香族基、またはアルキル基と結合したホウ素
原子上にラジカルを有する化合物であることが好まし
く、特に下記式(1)で示される構造を有する化合物で
あることが好ましい。さらに下記式(2)で示されるジ
メシチルホウ素ラジカルであることが好ましい。
【0019】
【化3】
【0020】(式中、Rは、それぞれ独立に水素または
置換若しくは無置換の炭化水素基である。)
【0021】
【化4】
【0022】本発明に用いる硫黄ラジカル化合物として
は、分子構造において硫黄原子上にラジカルを有するも
のであれば特に限定されないが、ラジカルの安定性の面
から芳香族基と結合した硫黄原子上、またはチアントレ
ン誘導体の硫黄原子上にラジカルを有する化合物である
ことが好ましい。なお、S−Sなるジスルフィド結合の
電極反応による開裂、再結合に伴って生成される硫黄ラ
ジカル化合物は、硫黄原子の拡散によるサイクル特性の
低下を生ずるため、電池の安定性の面から好ましくな
く、本発明の硫黄ラジカル化合物には含まない。
【0023】本発明の電池において、電極活物質の主た
る成分であるラジカル化合物は、固体状態、または溶液
に溶解した状態でも動作の点からは特に限定されない
が、固体状態で用いる場合には、電解液への溶解による
電池容量の低下を抑制するため、電解液に対して不溶
性、または低溶解性であることが好ましい。また、本発
明におけるラジカル化合物の分子量は、特に限定されな
い。本発明におけるラジカル化合物は、単独、または2
種類以上を組み合わせて用いることができる。さらに、
他の活物質と組み合わせて用いてもよい。
【0024】本発明の電池は、正極活物質または負極活
物質の少なくとも一方に、ラジカル化合物が主たる成分
として含有されていることを特徴とし、ラジカル化合物
をどちらか一方に用いた場合には、もう一方の電極活物
質として従来公知のものが利用できる。例えば、負極活
物質の主たる成分としてラジカル化合物を用いる場合に
は、正極活物質として、遷移金属酸化物粒子、ジスルフ
ィド化合物、または導電性高分子化合物等が用いられ
る。遷移金属酸化物としては、例えば、LiMnO2
LixMn24(0<x<2)等のマンガン酸リチウ
ム、スピネル構造を有するマンガン酸リチウム、MnO
2、LiCoO2、LiNiO2、Lix25(0<x<
2)等が挙げられる。ジスルフィド化合物としては、例
えば、ジチオグリコール、2,5−ジメルカプト−1,
3,4−チアジアゾール、S−トリアジン−2,4,6
−トリチオール等が挙げられる。導電性高分子化合物と
しては、例えば、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポ
リアニリン、ポリピロール等が挙げられる。本発明では
これらの正極活物質材料を単独、または組み合わせて用
いることもできる。また、従来公知の活物質とラジカル
化合物とを混合して複合活物質として用いてもよい。
【0025】一方、正極活物質の主たる成分としてラジ
カル化合物を用いる場合には、負極活物質として、グラ
ファイトや非晶質カーボンのようなリチウムイオンの吸
蔵および放出が可能な炭素材料、リチウム金属やリチウ
ム合金のような金属材料、導電性高分子化合物のような
有機化合物等が用いられる。これらの形状としては特に
限定されず、例えば、リチウム金属では薄膜状、バルク
状、繊維状、フレーク状、粉末を固めたもの等であって
もよい。
【0026】このように、本発明の電池においては、正
極または負極における電極反応にラジカル化合物が直接
寄与することを特徴とするため、電極活物質の主たる成
分としてラジカル化合物を、正極または負極のいずれに
も用いることができる。ただし、エネルギー密度の観点
から、特に正極活物質の主たる成分としてラジカル化合
物を用いることが好ましい。さらに安定性の観点から、
正極における放電時の電極反応が、ラジカル化合物を反
応物とする電極反応であることが特に好ましい。しか
も、この反応の生成物が後述の電解質塩のカチオンとの
結合を形成する反応であれば、さらなる安定性の向上が
期待される。本発明ではこれら電解質塩のカチオンは特
に限定されないが、容量の点から特にリチウムイオンが
好ましい。
【0027】本発明の電池においては、ラジカル化合物
を含む電極層を形成する際に、インピーダンスを低下さ
せる目的で、導電補助材やイオン伝導補助材を混合させ
ることもできる。導電補助材としては、グラファイト、
カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒
子、またはポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェ
ン、ポリアセチレン、ポリアセン等の導電性高分子化合
物が挙げられ、イオン伝導補助材としては、高分子ゲル
電解質、高分子固体電解質等が挙げられる。
【0028】本発明の電池においては、電極の各構成材
料間の結びつきを強めるために、結着剤を用いることも
できる。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ
化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フ
ッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、ス
チレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリ
エチレン、ポリイミド、各種ポリウレタン等の樹脂バイ
ンダーが挙げられる。
【0029】本発明の電池においては、電極反応をより
潤滑に行うために、酸化還元反応を助ける触媒を用いる
こともできる。触媒としては、ポリアニリン、ポリピロ
ール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリアセン等
の導電性高分子化合物、ピリジン誘導体、ピロリドン誘
導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘
導体、アクリジン誘導体等の塩基性化合物、金属イオン
錯体等が挙げられる。
【0030】本発明の電池においては、電極集電体とし
て、ニッケル、アルミニウム、銅、銀、金、アルミニウ
ム合金、ステンレス等の金属や炭素材等を用いることが
できる。これらの形状は特に限定されず、箔、平板、メ
ッシュ状等を用いることができる。また、集電体に触媒
効果を持たせたり、活物質と集電体とを化学結合させた
りしてもよい。また、上記の正極および負極の接触を防
止するため、多孔質フィルムからなるセパレータや不織
布を用いることもできる。
【0031】本発明における電解質は、電極間の荷電担
体輸送を担うものであり、一般的に室温で10-5から1
-1S/cmのイオン伝導性を有している。本発明にお
ける電解質としては、例えば、電解質塩を溶媒に溶解し
た電解液を利用することができる。本発明における電解
質塩としては、例えば、LiClO4、LiPF6、Li
BF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、Li
N(C25SO22、LiC(CF3SO23、LiC
(C25SO23等のリチウム塩のような金属塩を用い
ることができる。また、溶媒としては、例えば、エチレ
ンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカ
ーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカー
ボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、
ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の
有機溶媒を用いることができる。また、これらの溶媒を
単独または2種類以上混合して用いることもできる。
【0032】さらに、本発明における電解質として、高
分子電解質を用いることもできる。高分子電解質に用い
られる高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデン、
フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデ
ン−モノフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン
−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−
テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−
ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン
−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン
三元共重合体等のフッ化ビニリデン系高分子化合物、ア
クリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アク
リロニトリル−エチルメタクリレート共重合体、アクリ
ロニトリル−メチルアクリレート共重合体、アクリロニ
トリル−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリ
ル−メタクリル酸共重合体、アクリロニトリル−アクリ
ル酸共重合体、アクリロニトリル−ビニルアセテート共
重合体等のアクリルニトリル系高分子化合物、ポリエチ
レンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキ
サイド共重合体、またはこれらのアクリレート体やメタ
クリレート体の高分子化合物等が挙げられる。これら高
分子化合物に電解液を含ませてゲル状にしたものを用い
ても、高分子のみを用いてもよい。
【0033】本発明の電池の外装材、およびその形状は
特に限定されず、従来公知のものが用いられる。外装材
としては、例えば、金属ケース、樹脂ケース、またはア
ルミニウム箔等の金属箔と合成樹脂フィルムからなるラ
ミネートフィルム等が挙げられる。また、形状として
は、例えば、円筒型、角型、コイン型、またはシート型
等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0034】本発明の電池の製造方法は、特に限定され
ず、材料に応じて様々な方法を用いることができる。例
えば、電極層構成材料と溶媒とを混合し、スラリー状に
したものを電極集電体上に塗布して電極を形成後、対
極、セパレータを挟んで積層、または巻回して外装材で
包み、電解液を注入して封止するといった方法が挙げら
れる。電池を製造する際には、ラジカル化合物そのもの
を用いて電池を製造する場合と、電池反応によってラジ
カル化合物に変化する化合物を用いて電池を製造する場
合とがある。このような電池反応によってラジカル化合
物に変化する化合物の例としては、ラジカル化合物を還
元したアニオンのリチウム塩やナトリウム塩等が挙げら
れる。本発明においては、このように電池反応の結果ラ
ジカル化合物に変化する化合物を用いて電池を製造する
こともできる。
【0035】本発明において、電極からの端子の取り出
し方法、外装方法等のその他の製造条件は、従来公知の
方法の条件を用いることができる。本発明では、電極の
積層方法は特に限定されず、正極および負極が対向する
ように重ね合わせたものを多層積層する方法、重ね合わ
せたものを巻回す方法等が利用できる。
【0036】本発明は、ラジカル化合物、特にホウ素ラ
ジカル化合物、または硫黄ラジカル化合物が電極活物質
の主たる成分として利用できることを見出したものであ
り、ラジカル化合物が炭素や水素、または酸素等の質量
の小さい元素のみから構成される場合には、質量当たり
のエネルギー密度の高い電池を得ることができる。さら
に、本発明の電池はラジカル部位のみが反応に寄与する
ため、サイクル特性が活物質の拡散に依存せず、安定性
に優れる。また、ラジカル化合物では電極活物質として
反応する不対電子がラジカル原子に局在化して存在する
ため、反応部位であるラジカルの濃度を増大させること
ができ、エネルギー密度の高い電池となる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の詳細について実施例により具
体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。 (実施例1)アルゴンガス雰囲気下のグローブボックス
内にて、ジメシチルホウ素ラジカルを含むジメトキシエ
タン溶液と導電補助材としてグラファイト粉末とをジメ
シチルホウ素ラジカルとグラファイト粉末の混合比(重
量比)が2:1となるように混合し、全体を均一とした
後、予め電極端子を接続したアルミニウム箔上に混合液
を塗布し、ジメトキシエタンを乾燥により除去し、電極
を形成した。
【0038】次にフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプ
ロピレン共重合体をテトラヒドロフランに溶解させた
後、この溶液とLiPF6を1mol/l含むエチレン
カーボネート−プロピレンカーボネート混合溶媒とを、
該混合溶媒とフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体との混合比(重量比)が2:1となるよう
に、混合し、全体を均一とした後、ガラス板上に混合液
を塗布し、テトラヒドロフランを乾燥により除去し、高
分子電解質層を形成した。次にホウ素ラジカルを含む電
極、高分子電解質層、及び予め電極端子を接続したリチ
ウム貼り合わせ銅箔を各々所定の形状に切り出し、ホウ
素ラジカルを含む電極層とリチウムが高分子電解質層を
介して対向するように積層した後、ラミネートフィルム
を外装材として封止を行い、電池を作製した。
【0039】以上のように作製した電池は、ホウ素ラジ
カルを含む電極が正極、リチウム貼り合わせ銅箔が負極
となり、0.1mA/cm2の電流密度にて放電、充電
を繰り返したところ、10サイクルまで充放電可能な電
池として動作することを確認した。また、本電池に用い
るジメシチルホウ素ラジカルを含むジメトキシエタン溶
液の電子スピン共鳴スペクトルを測定したところ、スピ
ン濃度は1021spins/g以上であることを確認し
た。
【0040】(実施例2)アルゴンガス雰囲気下のグロ
ーブボックス内にて、p−ビス(メチルチオ)ベンゼン
ラジカルを含むアセトニトリル溶液と導電補助材として
グラファイト粉末とをp−ビス(メチルチオ)ベンゼン
ラジカルとグラファイト粉末の混合比(重量比)が2:
1となるように混合し、全体を均一とした後、予め電極
端子を接続したアルミニウム箔上に混合液を塗布し、ア
セトニトリルを乾燥により除去し、電極を形成した。
【0041】次にフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプ
ロピレン共重合体をテトラヒドロフランに溶解させた
後、この溶液とLiPF6を1mol/l含むエチレン
カーボネート−プロピレンカーボネート混合溶媒とを、
該混合溶媒とフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体との混合比(重量比)が2:1となるよう
に、混合し、全体を均一とした後、ガラス板上に混合液
を塗布し、テトラヒドロフランを乾燥により除去し、高
分子電解質層を形成した。次に硫黄ラジカルを含む電
極、高分子電解質層、及び予め電極端子を接続したリチ
ウム貼り合わせ銅箔を各々所定の形状に切り出し、硫黄
ラジカルを含む電極層とリチウムが高分子電解質層を介
して対向するように積層した後、ラミネートフィルムを
外装材として封止を行い、電池を作製した。
【0042】以上のように作製した電池は、硫黄ラジカ
ルを含む電極が正極、リチウム貼り合わせ銅箔が負極と
なり、0.1mA/cm2の電流密度にて放電、充電を
繰り返したところ、10サイクルまで充放電可能な電池
として動作することを確認した。また、本電池に用いる
p−ビス(メチルチオ)ベンゼンラジカルを含む濃硫酸
溶液の電子スピン共鳴スペクトルを測定したところ、ス
ピン濃度は1021spins/g以上であることを確認
した。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電池は、
正極、負極および電解質を備えた電池において、正極活
物質および負極活物質の少なくとも一方が、ホウ素ラジ
カル化合物を含有するので、エネルギー密度が高く、か
つ安定性および安全性に優れる。また、本発明の電池
は、正極、負極および電解質を備えた電池において、正
極活物質および負極活物質の少なくとも一方が、酸化状
態でホウ素ラジカルとなる化合物を含有するので、エネ
ルギー密度が高く、かつ安定性および安全性に優れる。
また、本発明の電池は、正極、負極および電解質を備え
た電池において、正極活物質および負極活物質の少なく
とも一方が、還元状態でホウ素ラジカルとなる化合物を
含有するので、エネルギー密度が高く、かつ安定性およ
び安全性に優れる。
【0044】また、ホウ素ラジカル化合物が、芳香族基
またはアルキル基と結合したホウ素原子上にラジカルを
有するものであれば、電池の安定性がさらに向上する。
また、ホウ素ラジカル化合物が、上記式(1)で示され
るものであれば、電池の安定性がさらに向上する。ま
た、ホウ素ラジカル化合物が、ジメシチルホウ素ラジカ
ルであれば、電池の安定性がさらに向上する。また、ホ
ウ素ラジカル化合物のスピン濃度が、1021spins
/g以上であれば、得られる電池が高容量となる。
【0045】また、本発明の電池は、正極、負極および
電解質を備えた電池において、正極活物質および負極活
物質の少なくとも一方が、硫黄ラジカル化合物を含有す
るので、エネルギー密度が高く、かつ安定性および安全
性に優れる。また、本発明の電池は、正極、負極および
電解質を備えた電池において、正極活物質および負極活
物質の少なくとも一方が、酸化状態で硫黄ラジカルとな
る化合物を含有するので、エネルギー密度が高く、かつ
安定性および安全性に優れる。また、本発明の電池は、
正極、負極および電解質を備えた電池において、正極活
物質および負極活物質の少なくとも一方が、還元状態で
硫黄ラジカルとなる化合物を含有するので、エネルギー
密度が高く、かつ安定性および安全性に優れる。
【0046】また、硫黄ラジカル化合物が、芳香族基と
結合した硫黄原子上にラジカルを有するものであれば、
電池の安定性がさらに向上する。また、硫黄ラジカル化
合物が、チアントレン誘導体の硫黄原子上にラジカルを
有するものであれば、電池の安定性がさらに向上する。
また、硫黄ラジカル化合物のスピン濃度が、1021sp
ins/g以上であれば、得られる電池が高容量とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電池の構成の一例を示す正面図であ
る。
【図2】 図1のII−II断面図である。
【符号の説明】
1…電池、5…負極、9…正極、10…電解質を含むセ
パレータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森岡 由紀子 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 (72)発明者 岩佐 繁之 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 (72)発明者 佐藤 正春 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 Fターム(参考) 5H029 AJ03 AJ12 AK03 AK15 AL06 AL07 AL08 AL12 AL15 AM00 AM03 AM04 AM05 AM07 AM16 BJ04 HJ02 5H050 AA08 AA15 CA07 CA19 CB07 CB08 CB09 CB12 CB19 DA13 EA23 EA24 EA28 HA02

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極、負極および電解質を備えた電池に
    おいて、正極活物質および負極活物質の少なくとも一方
    が、ホウ素ラジカル化合物を含有することを特徴とする
    電池。
  2. 【請求項2】 正極、負極および電解質を備えた電池に
    おいて、正極活物質および負極活物質の少なくとも一方
    が、酸化状態でホウ素ラジカルとなる化合物を含有する
    ことを特徴とする電池。
  3. 【請求項3】 正極、負極および電解質を備えた電池に
    おいて、正極活物質および負極活物質の少なくとも一方
    が、還元状態でホウ素ラジカルとなる化合物を含有する
    ことを特徴とする電池。
  4. 【請求項4】 ホウ素ラジカル化合物が、芳香族基また
    はアルキル基と結合したホウ素原子上にラジカルを有す
    るものであることを特徴とする請求項1ないし3いずれ
    か一項に記載の電池。
  5. 【請求項5】 ホウ素ラジカル化合物が、下記式(1)
    で示されるものであることを特徴とする請求項1ないし
    4いずれか一項に記載の電池。 【化1】 (式中、Rは、それぞれ独立に水素、または置換若しく
    は無置換の炭化水素基である。)
  6. 【請求項6】 ホウ素ラジカル化合物が、ジメシチルホ
    ウ素ラジカルであることを特徴とする請求項1ないし5
    いずれか一項に記載の電池。
  7. 【請求項7】 ホウ素ラジカル化合物のスピン濃度が、
    1021spins/g以上であることを特徴とする請求
    項1ないし6いずれか一項に記載の電池。
  8. 【請求項8】 正極、負極および電解質を備えた電池に
    おいて、正極活物質および負極活物質の少なくとも一方
    が、硫黄ラジカル化合物を含有することを特徴とする電
    池。
  9. 【請求項9】 正極、負極および電解質を備えた電池に
    おいて、正極活物質および負極活物質の少なくとも一方
    が、酸化状態で硫黄ラジカルとなる化合物を含有するこ
    とを特徴とする電池。
  10. 【請求項10】 正極、負極および電解質を備えた電池
    において、正極活物質および負極活物質の少なくとも一
    方が、還元状態で硫黄ラジカルとなる化合物を含有する
    ことを特徴とする電池。
  11. 【請求項11】 硫黄ラジカル化合物が、芳香族基と結
    合した硫黄原子上にラジカルを有するものであることを
    特徴とする請求項8ないし10いずれか一項に記載の電
    池。
  12. 【請求項12】 硫黄ラジカル化合物が、チアントレン
    誘導体の硫黄原子上にラジカルを有するものであること
    を特徴とする請求項8ないし10いずれか一項に記載の
    電池。
  13. 【請求項13】 硫黄ラジカル化合物のスピン濃度が、
    1021spins/g以上であることを特徴とする請求
    項8ないし12いずれか一項に記載の電池。
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