JP2002105563A - 水素吸蔵合金およびそれを用いたニッケル−水素二次電池 - Google Patents
水素吸蔵合金およびそれを用いたニッケル−水素二次電池Info
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Abstract
元素とする水素吸蔵合金の大きな水素吸蔵量、および高
率充放電特性に優れるという特性を維持した上で、水素
の吸蔵・放出に伴う可逆的水素吸蔵量の低下を抑制す
る。Ni−水素二次電池については、高容量と長寿命を
両立させる。 【解決手段】 Mg、NiおよびR元素(R元素はYを
含む希土類元素、Zr、HfおよびCaから選ばれる少
なくとも1種の元素)を主要構成元素とする水素吸蔵合
金であって、面間隔が0.58〜0.67nmである結晶格子面を
存在させた水素吸蔵合金である。ニッケル−水素二次電
池は、上記した水素吸蔵合金を負極材料として有する。
Description
ッケルおよびR元素(R元素:Yを含む希土類元素、Z
r、HfおよびCaから選ばれる少なくとも1種)を主
要構成元素とする水素吸蔵合金、およびそれを用いたニ
ッケル−水素二次電池、さらにはニッケル−水素二次電
池の応用装置に関する。
は、CaCu5型結晶を主相とする希土類−Ni系金属
間化合物であるLaNi5系の水素吸蔵合金、あるいは
Ti、Zr、VおよびNiを構成元素として含有するラ
ーベス相を主相とする水素吸蔵合金を含む負極を備えた
構造のものが実用化されている。
5系以外にも多数存在としている。例えば、希土類元素
をAB5型よりも多量に含む金属間化合物が、AB5型
よりも常温付近で多量の水素を吸蔵する合金として知ら
れている。また、希土類−Ni系合金の希土類元素の一
部をMgで置換した組成を有するMg−Ni−希土類系
合金は、多量の水素ガスを吸蔵することが報告されてい
る。
ち、例えばLa1-xMgxNi2系合金は水素との安定性
が高いために、水素の放出速度が非常に小さいという問
題を有している。また、特開平11-217643号公報には、
Mg2LaNi9組成でPuNi3型結晶構造を有する水
素吸蔵合金が記載されているが、このMg−Ni−希士
類系合金も水素吸蔵量は多いものの、水素の放出速度が
非常に小さいという問題を有している。
g、Niおよび希土類元素を主要構成元素とし、LaN
i5系水素吸蔵合金に比べて体積および質量当りの水素
吸蔵量がいずれも多く、かつラーベス相系水素吸蔵合金
より活性化が速く、高率充放電特性に優れている水素吸
蔵合金が記載されている。このような水素吸蔵合金を含
む負極材料を用いることによって、LaNi5系水素吸
蔵合金を含む負極を備えた二次電池に比べて高容量で、
しかもラーベス相系水素吸蔵合金を含む負極を備えた二
次電池よりも優れた高率充放電特性を有する二次電池
(Ni−水素二次電池)を製造することが可能となる。
た従来のMg、Niおよび希土類元素を主要構成元素と
する水素吸蔵合金(特開平11-323469号公報記載の水素
吸蔵合金)は、大きな水素吸蔵量を有するものの、水素
の吸蔵・放出を繰り返すと可逆的水素吸蔵量が低下する
という問題を有しており、例えばNi−水素二次電池の
負極材料として用いた際に、充電容量の経時的な低下を
招いてしまう。
次電池などに比べて電池容量の点で優れていることか
ら、ハイブリッド自動車(ハイブリッドカー)や電気自
動車などの駆動電源として期待されており、一部で実用
化されている。これらNi−水素二次電池の応用装置に
ついては、駆動電源の高容量化と高寿命化を両立させる
ことが強く望まれている。
なされたもので、Mg、Niおよび希土類元素を主要構
成元素とする合金の大きな水素吸蔵量、および高率充放
電特性に優れるという特性を維持した上で、水素の吸蔵
・放出に伴う可逆的水素吸蔵量の低下を抑制することを
可能にした水素吸蔵合金を提供することを目的としてお
り、またそのような水素吸蔵合金を負極材料として用い
ることによって、高い電池容量と充放電の繰り返しに耐
え得る寿命特性を共に満足させたNi−水素二次電池、
およびそれを駆動電源とする応用装置(ハイブリッド自
動車や電気自動車など)を提供することを目的としてい
る。
は、請求項1に記載したように、マグネシウム、ニッケ
ルおよびR元素(ただし、R元素はYを含む希土類元
素、Zr、HfおよびCaから選ばれる少なくとも1種
の元素を示す)を主要構成元素とする水素吸蔵合金であ
って、前記合金の結晶の格子面群は面間隔が0.58〜0.67
nmである格子面を有することを特徴としている。
間隔が0.58〜0.67nmという格子面に基づいて周期的な配
列規則性を有している。このような周期的な配列規則性
によって、可逆水素吸蔵量を増加させることができ、か
つ水素の吸蔵・放出に伴う結晶格子の膨張・収縮を抑
え、合金の微粉化を低減することで、経時的な可逆的水
素吸蔵量の低下を抑制することが可能となる。すなわ
ち、本発明の水素吸蔵合金は、高容量特性と長寿命特性
を両立させたものである。
0.58〜0.67nmである格子面は、X線回折などにより確認
することができる。すなわち、X線回折パターンにおい
て、周期的な配列規則性に起因する回折線が観察され
る。本発明の水素吸蔵合金においては、請求項2に記載
したように、上記した格子面からの回折線のピーク強度
I1と全ピーク内の最強線のピーク強度I2との比(I1
/I2)を0.01以上とすることが好ましい。このような
場合に、特に容量特性と寿命特性の向上効果を顕著に得
ることができる。
求項4に記載したように、 一般式:(Mg1-xRx)(Ni1-yTy)z (式中、RはYを含む希土類元素、Zr、HfおよびC
aから選ばれる少なくとも1種の元素を、TはCo、M
n、Fe、Al、Ga、Zn、Sn、Cu、Si、C
r、Ti、V、NbおよびBから選ばれる少なくとも1
種の元素を示し、x、yおよびzはそれぞれ0<x<1、
0<y<0.9、3.0<z<4.5を満足する数である)で実質
的に表される組成を有する合金に対して特に効果を示
す。
した水素吸蔵合金を負極材料として有するものであっ
て、請求項5に記載したように、水素吸蔵合金を含む負
極と、前記負極とセパレータを介して配置され、ニッケ
ル酸化物を含む正極と、前記負極、セパレータおよび正
極を収容する電池缶と、前記電池缶内に充填される電解
液とを具備するニッケル−水素二次電池において、前記
負極は上記した本発明の水素吸蔵合金を含むことを特徴
とするものである。
応用装置、すなわちハイブリッド自動車は請求項6に記
載したように、駆動電源を有する電気駆動手段と、燃焼
駆動手段とを具備するハイブリッド自動車において、前
記駆動電源は上記した本発明のニッケル−水素二次電池
を有することを特徴としている。本発明の電気自動車は
請求項7に記載したように、駆動電源として二次電池を
有する電気自動車において、前記二次電池は上記した本
発明のニッケル−水素二次電池からなることを特徴とす
るものである。
態について説明する。
(Mg)、ニッケル(Ni)およびR元素(ただし、R
元素はYを含む希土類元素、Zr、HfおよびCaから
選ばれる少なくとも1種の元素を示す)を主要構成元素
として含む合金からなるものであり、特にその母結晶が
Ce2Ni17型結晶相、Gd2Co7型結晶相、PuNi3
型結晶相、および類似の結晶構造を有する相から選ばれ
る少なくとも1つの結晶相を含む構造を有する合金であ
ることが好ましい。なお、ここで言う類似の結晶構造と
は、X線回折パターンにおいて各結晶系の面指数で指数
付けが可能な結晶構造を意味する。
結晶構造もしくは類似の結晶構造は六方晶系に属するも
のであり、またGd2Co7型の結晶構造やPuNi3型
の結晶構造、もしくはこれらに類似の結晶構造は菱面体
晶系に属するものである。そして、Mg−Ni−R系合
金の母結晶が上記したような結晶構造を有する場合に、
特に良好な水素吸蔵量を得ることができる。
i−R系合金は、例えば以下に示す合金組成を有するこ
とが好ましい。好ましい合金組成としては、 一般式:(Mg1-xRx)(Ni1-yTy)z …(1) (式中、RはYを含む希土類元素、Zr、HfおよびC
aから選ばれる少なくとも1種の元素を、TはCo、M
n、Fe、Al、Ga、Zn、Sn、Cu、Si、C
r、Ti、V、NbおよびBから選ばれる少なくとも1
種の元素を示し、x、yおよびzはそれぞれ0<x<1、
0<y<0.9、3.0<z<4.5を満足する数である)で実質
的に表される組成が挙げられる。
蔵能を担い、かつNiおよびその置換元素(T元素)と
水素の吸蔵・放出を行うのに適した結晶構造を形成する
ものである。R元素としてはYを含む希土類元素、Z
r、HfおよびCaから選ばれる少なくとも1種の元素
を用いることができるが、特に希土類元素を使用するこ
とが好ましい。
で、R元素にはLa、Ce、Pr、NdおよびYから選
ばれる少なくとも1種の元素を用いることが好ましい。
また、希土類元素はその単体に限らず、希土類混合物で
あるミッシュメタルを用いることができ、これにより水
素吸蔵合金の低コスト化などを図ることができる。この
ようなミッシュメタルとしては、例えばCeリッチなミ
ッシュメタル(Mm)やLaリッチなミッシュメタル
(Lm)などを挙げることができる。
未満の範囲とする。R元素による置換量xをこのような
範囲にすることによって、Mg−Ni−R系合金の水素
吸蔵・放出量を高めると共に、初期活性化を向上させる
ことができる。置換量xは0.5〜0.95の範囲とすること
がより好ましく、さらに好ましくは0.6〜0.9の範囲であ
る。
面での触媒作用を高める成分である。Ni成分の一部を
上記したT元素、すなわちCo、Mn、Fe、Al、G
a、Zn、Sn、Cu、Si、Cr、Ti、V、Nbお
よびBから選ばれる少なくとも1種の元素で置換するこ
とによって、合金の水素吸蔵・放出速度を向上させるこ
とができる。これは、T元素が発熱的に水素と反応しな
い元素、すなわち自発的に水素化物を作りにくい元素で
あることから、T元素の添加により水素吸蔵合金の吸蔵
・放出が容易になることなどに起因するものと推測され
る。
量yが0を超える範囲から得ることができる。ただし、
Ni成分のT元素による置換量yが0.9以上となると、
Mg−Ni−R系合金の結晶構造が著しく変化して、合
金本来の特性が損われるおそれがある。従って、置換量
yは0を超え0.9未満の範囲とする。置換量yは0.005〜
0.8の範囲とすることがより好ましく、さらに好ましく
は0.01〜0.6の範囲である。
系合金において、NiとT元素の合計含有量z(原子
比)は3.0を超え4.5未満の範囲とする。このように、N
iとT元素の合計含有量zを、3.0を超え4.0未満の範囲
とすることによって、合金の水素吸蔵・放出量、初期活
性化などの水素吸蔵・放出特性を十分に向上させること
が可能になる。NiとT元素の合計含有量zは3.2〜3.8
の範囲とすることがより好ましい。
Mg−Ni−R系合金の結晶格子面群において、面間隔
が0.58〜0.67nmの周期的な配列規則性を有する格子面を
存在させたものである。このように、Mg−Ni−R系
合金の少なくとも1つの結晶格子面が面間隔0.58〜0.67n
mという周期性を有することによって、可逆水素吸蔵量
を増加させることができると共に、水素の吸蔵・放出に
伴う結晶格子の膨張・収縮を抑え、合金の微粉化を低減
することで、経時的な可逆的水素吸蔵量の低下を抑制す
ることが可能となる。
ると、可逆的水素吸蔵量の経時劣化を抑制する効果を十
分に得ることができず、一方面間隔が0.67nmを超える格
子面は実現すること自体が難しい。このような面間隔が
0.58〜0.67nmの格子面は、X線回折などにより確認する
ことができる。すなわち、X線回折パターンにおいて、
周期的な配列規則性に起因する回折線が観察される。M
g−Ni−R系合金に周期性を持たせる格子面の面間隔
は0.60〜0.65nmの範囲であることがより好ましく、さら
に好ましくは0.60〜0.62nmの範囲である。
の一例を図1に示す。図1は(Mg 0.22La0.77)(N
i0.93Co0.06Al0.01)3.4組成のMg−Ni−R系
合金の粉末X線回折パターンである。なお、X線回折の
測定条件は、X線源:Cu−Kα(50kV-100mA)、ステ
ップ幅:0.02deg/min、走査速度:2deg/min、発散スリ
ット:1deg、散乱スリット:1deg、受光スリット:0.15
mmである。
i−R系合金は、母結晶構造がCe 2Ni7型であり、2
θ=14.48degに回折線が存在している。すなわち、面間
隔が0.611nm(2θ=14.48deg)の周期的な配列規則性が
形成されていることが分かる。このような周期的な配列
規則性を形成することによって、可逆水素吸蔵量の増加
とその経時的な劣化の抑制を図ることができる。すなわ
ち、水素吸蔵合金の容量特性と寿命特性を共に向上させ
ることが可能となる。
上記した格子面からの回折線のピーク強度I1と全ピー
ク内の最強線のピーク強度I2との比(I1/I2)を0.0
1以上とすることが好ましい。このような場合に、特に
容量特性と寿命特性の向上効果を顕著に得ることができ
る。例えば、図1のX線回折パターンにおいて、上記格
子面からの回折線のピーク強度I1は163cps、全ピーク
内の最強線のピーク強度I2は3531cpsであり、これらの
強度比I1/I2は0.05である。
る格子面は、合金組成を最適化すると共に、合金内部の
均質性を高めることにより得ることができる。合金組成
は上記した通りである。また、合金内部の均質性に関し
ては、鋳造時のMgなどの偏析を抑制することが重要で
あり、このためには例えば鋳造時の冷却速度を増加させ
ることなどが有効である。例えば、鋳造時から800℃ま
での冷却速度を3℃/sec以上とすることによって、周期
的な配列規則性を有する格子面を得ることができる。鋳
造時の冷却速度は5℃/sec以上とすることがより好まし
い。
て、本発明の水素吸蔵合金の製造方法について、以下に
述べる。
を所望の組成比となるように秤量し、例えばアルゴンガ
ス雰囲気のような不活性ガス雰囲気中でマグネシアるつ
ぼなどを用いて高周波誘導加熱により溶解し、この溶湯
を金型などに鋳造することによりMg−R系母合金を作
製する。
よびR元素などを用いて、これらを所望のMg−Ni−
R系合金組成となるように秤量し、これを鋳造して合金
化する。鋳造にあたっては、まずNiのみを真空中で高
周波誘導加熱により溶解した後、炉内をアルゴンガス雰
囲気のような不活性ガス雰囲気中とし、Mg−R系母合
金やR元素を添加して溶解し、この合金溶湯を金型など
に鋳造することによりMg−Ni−R系合金を作製す
る。
却速度を、例えば上述したように800℃まで3℃/sec以上
とすることによって、周期的な配列規則性を得ることが
できる。鋳造時の冷却速度は、鋳込み厚さを薄くするこ
とや水冷鋳型を採用することで増加させることができ、
特に合金内部の偏析を抑制する上で水冷回転鋳型などを
用いることが好ましい。このような構成を採用すること
によって、鋳造時から800℃までの冷却速度を3℃/sec以
上とすることができる。鋳造時の冷却速度は5℃/sec以
上とすることがより好ましい。
g−Ni−R系合金溶湯を100℃/sec以上の速度で冷却
して凝固させる急冷法を適用することも可能である。具
体的には、Mg−Ni−R系合金をその溶融状態から高
速移動する冷却体上に射出して、板厚10〜300μm程度の
薄帯を得る方法が挙げられる。このような急冷法として
は、単ロール法や双ロール法が挙げられる。これらの方
法では溶湯温度、冷却ロールの材質や表面性、冷却ロー
ルの回転数、冷却ロールの冷却水温、ノズル径、ガス圧
などの条件を適宜設定することによって、合金を安定し
て製造することができる。また、単ロール法や双ロール
法以外に、ガスアトマイズ法などの手法を用いてもよ
い。
−Ni−R系合金には、鋳造後の均質化や所望の結晶構
造を得るための熱処理を施すことが好ましい。ここで、
所望の結晶構造とは、合金主相が前述したCe2Ni17
型、Gd2Co7型、PuNi3型、もしくは類似の結晶
構造から選ばれる少なくとも1つの結晶構造を有する相
を含む構造である。
は、真空中あるいは不活性雰囲気中にて、300℃以上で
かつ合金の融点未満の温度で行うことが好ましい。この
熱処理温度が300℃未満の場合には、均質化効果および
結晶構造制御効果を十分に得ることが困難となる。一
方、熱処理温度が合金の融点以上となると、R元素の酸
化やMgの蒸発による組成変動などを引き起こすことに
なる。
g−Ni−R系合金を真空熱処理炉に投入し、1×10-4P
a程度まで真空排気した後に、例えば300℃まで昇温して
炉内にアルゴンガスを導入する。アルゴンガスによる雰
囲気圧はMgの蒸発を抑制するために、0.1MPa程度とす
ることが好ましい。その後、炉内を処理温度まで昇温し
て、所定時間保持することにより熱処理する。
範囲に設定することが好ましく、さらには800〜1000℃
の範囲とすることが好ましい。また、熱処理時間が10分
未満の場合には合金内部の歪の緩和が不十分であり、一
方10時間を超えると合金表面の酸化、Mg蒸発による組
成変動が大きくなるおそれがあることから、熱処理時間
は10分から10時間までの範囲とすることが好ましく、よ
り好ましくは5〜10時間の範囲である。さらに、熱処理
中のMgの蒸発を抑制すために、グラファイト製タイト
ボックスなどを用いることが好ましい。
粉砕し、この合金粉末に対して表面処理を施すことによ
って、電極特性などを改善することができる。表面処理
には、酸処理、アルカリ処理、フッ化処理、メッキ処理
などを適用することができ、特にKOH溶液やNaOH
溶液を用いたアルカリ処理を適用することが好ましい。
表面処理時の温度は最高で処理液の沸点であり、また処
理時間は5〜24時間とすることが好ましい。このような
表面処理は、得られた合金そのものの形状に対して行っ
てもよいし、また粉砕した後に実施してもよい。
形態について説明する。図2は本発明のNi−水素二次
電池を円筒型Ni−水素二次電池に適用した実施形態の
構成を一部断面で示す斜視図である。同図において、1
は例えばステンレスからなる有底円筒状の容器(電池
缶)である。なお、容器1の形状は有底円筒状に限られ
るものではなく、有底角筒状などを適用してもよい。本
発明は円筒形二次電池および角型二次電池のいずれにも
適用することができ、さらにコイン型やボタン型などへ
の適用も可能である。
な容器1内に発電要素として電極群2が収納されてい
る。電極群2は、水素吸蔵合金を含む負極3とセパレー
タ4とニッケル酸化物を含む正極5とを、この順序で積
層した帯状物を負極3が外側に位置するように、例えば
渦巻き状に巻回した構造を有している。電極群3は渦巻
き型に限らず、負極3、セパレータ4および正極5を、
この順序で複数積層したものであってもよい。
カリ電解液などの電解液が収容されている。容器1内の
電極群2の上方には、中央部に孔6が設けられた封口板
7が配置されている。封口板7と容器1の上部開口部内
面との間には、絶縁性ガスケット8が配置されている。
封口板7は、容器1の上部開口部を内側に縮径するカシ
メ加工することにより、絶縁性ガスケット8を介して容
器1の上部開口部に気密固定されている。
続された正極リード9の他端部が接続されている。封口
板7の上には、帽子形状を有する正極端子10が取り付
けられており、この正極端子10の突起部内にはゴム製
の安全弁11が、封口板7の孔6を覆うように配置され
ている。正極端子10は押え板12を介して絶縁チュー
ブ13により固定されている。
3、セパレータ4および正極5とアルカリ電解液につい
て、さらに詳しく述べる。
含むものであり、ペースト式および非ペースト式のいず
れであってもよい。ペースト式負極(水素吸蔵合金電
極)は、前述した本発明の水素吸蔵合金の粉末と高分子
結着剤と必要に応じて添加される導電性粉末とを混合し
てペースト状とし、このペーストを集電体である導電性
基板に塗布、充填、乾燥した後、ローラープレスなどを
施すことにより作製されるものである。
極)は、前述した本発明の水素吸蔵合金の粉末と高分子
結着剤と必要に応じて添加される導電性粉末とを撹拌
し、これを集電体である導電性基板に散布した後、ロー
ラープレスなどを施すことにより作製されるものであ
る。
前述した通りである。高分子結着剤としては、例えばポ
リアクリル酸ソーダ、ポリテトラフルオロエチレン(P
TFE)、カルボキシルメチルセルロース(CMC)、
ポリビニルアルコール(PVA)などを用いることがで
きる。これらの高分子結着剤は、質量比で水素吸蔵合金
粉末100部に対して0.1〜5部の範囲で配合することが好
ましい。非ペースト式負極を作製する場合には、撹拌に
より繊維化して、水素吸蔵合金粉末や必要に応じて添加
される導電性粉末を三次元状(網目状)に固定すること
が可能なポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用
いることが好ましい。
末、ケッチェンブラックなどのカーボン粉末、あるいは
Ni、Cu、Coなどの金属粉末を使用することができ
る。このような導電性粉末は、質量比で水素吸蔵合金粉
末100部に対して0.1〜5部の範囲で配合することが好ま
しい。
ル、エキスパンドメタル、金網などの二次元基板、ある
いは発泡メタル基板、網目状焼結繊維基板、不織布に金
属をメッキしたフェルトメッキ基板などの三次元基板な
どが用いられる。非ペースト式負極を作製する場合に
は、水素吸蔵合金粉末を含む合剤を散布することから、
二次元基板を使用することが好ましい。
合される正極5は、ニッケル酸化物を含むものであり、
例えば以下に示すような非焼結式ニッケル電極などが用
いられる。非焼結式ニッケル電極は、例えば水酸化ニッ
ケルと必要に応じて添加される水酸化コバルト(Co
(OH)2)、一酸化コバルト(CoO)、金属コバル
トなどとの混合物に、ポリアクリル酸ソーダやカルボキ
シルメチルセルロース(CMC)などのポリアクリル酸
塩を適宜配合してペースト化し、このペーストを上記し
たような三次元基板に充填して乾燥した後、ローラープ
レスなどを施すことにより作製されるものである。
リエチレン製多孔質フィルム、ポリプロピレン製多孔質
フィルムなどを用いることができる。高分子繊維不織布
としては、例えばナイロン、ポリプロピレン、ポリエチ
レンなどの単体高分子繊維、あるいはこれら高分子繊維
を混紡した複合高分子繊維などを用いたものが挙げられ
る。さらに、アルカリ水電解液としては、例えば6規定
から9規定の濃度を有する水酸化カリウム溶液やこれに
水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどを混合したもの
が使用される。
次電池においては、負極3の構成材料として本発明の水
素吸蔵合金、すなわち可逆水素吸蔵量を増加させると共
に、その経時的な劣化を抑制した水素吸蔵合金を用いて
いることから、電池容量の増大とサイクル特性の向上を
図ることが可能となる。すなわち、本発明によれば、高
い電池容量と充放電の繰り返しに耐え得る寿命特性を共
に満足させたNi−水素二次電池を提供することができ
る。
途に使用することができるが、特に電池容量の大きさを
生かしてハイブリッド自動車や電気自動車などの駆動電
源として好適である。本発明のハイブリッド自動車や電
気自動車は、上述したような本発明のNi−水素二次電
池を駆動電源として具備するものである。
は、駆動電源を有する電気駆動手段と、外燃機関や内燃
機関からなる燃焼駆動手段とを具備するものであって、
電気駆動手段の駆動電源として上述した本発明のNi−
水素二次電池を有するものである。ここで、ハイブリッ
ド自動車には、外燃機関や内燃機関で発電機を駆動し、
発電した電力と二次電池からの電力により車輪を駆動す
るものと、電気駆動手段と燃焼駆動手段の双方の駆動力
を使い分けて車輪を駆動するものとがあり、本発明はこ
れらのいずれにも適用可能である。
して二次電池を有するものであって、この二次電池に上
述した本発明のNi−水素二次電池を用いたものであ
る。このような本発明のハイブリッド自動車や電気自動
車によれば、Ni−水素二次電池の高容量特性や長寿命
特性に基づいて、燃費などの走行性能や信頼性の向上を
図ることができる。
価結果について述べる。
成となるように、それぞれMg−R系合金とR元素とニ
ッケルとT元素を秤量した。まず、Niのみを真空中で
高周波誘導加熱により溶解し、炉内をアルゴンガス雰囲
気とした後、各合金組成に応じてMg−R系母合金やR
元素やT元素を添加して溶解した。これらの合金溶湯を
十分に撹拌した後に、水冷鋳型に鋳造することによっ
て、それぞれMg−Ni−R系合金を作製した。
冷却水量により制御した。また、冷却速度は、注湯から
800℃までの温度変化を放射温度計によりモニタし、そ
の時間から算出した。各実施例の鋳造時の冷却速度を表
1に示す。
ァイト製タイトボックス内に収容し、アルゴン雰囲気中
で熱処理した。各熱処理条件は表1に示す通りである。
なお、表1中のLaリッチなミッシュメタル(Lm)
は、La75質量%、Ce1質量%、Pr6質量%およびN
d18質量%からなるものである。また、Ceリッチなミ
ッシュメタル(Mm)は、Ce50質量%、La42質量
%、Pr2質量%およびNd6質量%からなるものであ
る。
後、ハンマーミルにより微粉砕し、得られた合金粉を篩
に通して32μm以下に分級して、それぞれ粉末X線回折
用試料とした。そして、これら各試料について粉末X線
回折を実施した。X線回折は、Cu−Kα(50kV-100m
A)を用いて、ステップ幅0.02deg/min、走査速度2deg/m
inの条件下で行った。
面間隔が0.58〜0.67nmに相当する回折線の有無を確認し
た。このような回折線が存在する場合には、その格子面
の面間隔を回折角(2θ)からブラッグの式を用いて求
めた。さらに、この格子面のピーク強度I1と全ピーク
内の最強線のピーク強度I2とを測定し、これらから強
度比(I1/I2)を求めた。上記した格子面の面間隔と
強度比I1/I2を、各合金の母結晶相と共に表1に示
す。
に分級した後、各合金粉末の可逆水素吸蔵特性として、
ジーベルツ法(JIS H 7201)に基づいて、60℃で10気圧
未満の水素圧下で圧力−組成等温線を測定し、1サイク
ル目の水素吸蔵量([H/M]1)および1サイクル目と
10サイクル目の水素吸蔵量の比([H/M]10/[H/
M]1)を求めた。これらの値も併せて表1に示す。さ
らに、10サイクル後の各合金粉末の比表面積をBET1
点法で測定した。この値についても表1に併記する。
金との比較として掲げたものであり、本発明の範囲外の
水素吸蔵合金について、同様な測定を行った結果を示し
たものである。
吸蔵合金は、比較例1〜4に比べて可逆水素吸蔵量が多
く、さらに水素の吸蔵・放出に伴う合金の微粉化が抑制
されていることが分かる。比較例1〜3の合金は、いず
れも本発明の構成を得る上で好適な合金組成から外れて
いると共に、面間隔が0.58〜0.67nmの格子面も存在して
いないことから、可逆水素吸蔵量が少なく、かつ微粉化
も進んでいることが分かる。また、比較例4は本発明の
好適な合金組成を満足しているものの、鋳造時の冷却速
度が遅いことから合金内部の母結晶の配列規則性が不十
分であり、これにより面間隔が0.58〜0.67nmの格子面が
出現していないため、可逆水素吸蔵量が少なく、かつ微
粉化も進んでいることが分かる。
吸蔵合金を、実施例1と同様にして作製した。作製時の
条件は表2に示す通りである。得られた各合金粉末の粉
末X線回折を実施例1と同様にして実施し、母結晶相、
面間隔が0.58〜0.67nmの格子面の実際の面間隔、ピーク
強度比(I1/I2)を求めた。これらの値を表2に示
す。
84による各水素吸蔵合金の電池材料としての特性を評
価するために、以下に示すような手順で各水素吸蔵合金
を用いた電極を作製し、それら各電極の放電容量と充放
電サイクル寿命を測定した。
1:1の割合で混合し、この混合体1gを錠剤成形機(内径1
0mm)を用いて、約1000MPaの圧力で5分間加圧すること
によりペレットをそれぞれ作製した。これら各ペレット
をNi製網体で挟み込み、周囲をスポット溶接すると共
に、Niのリード線をスポット溶接することにより、合
金電極(負極)をそれぞれ作製した。
式ニッケル電極と共に、8規定の水酸化カリウム水溶液
に浸漬して負極容量規制の電池をそれぞれ構成した。こ
れらを25℃の恒温槽中で、水素吸蔵合金1g当たり200mA
の電流(200mA/g)で3時間充電し、10分間休止した後、
水素吸蔵合金1g当たり100mAの電流で酸化水銀電極に対
して-0.5Vになるまで放電を行う、充放電サイクル試験
を行い、最大放電容量をそれぞれ測定した。この値を表
2に示す。
ン粉末とを、それぞれ質量比で95.5%、4.0%、0.5%と
なるように秤量し、これらを混練圧延して各電極シート
を作製した。これら電極シートを所定の大きさに切り出
してNi製集電体に圧着し、水素吸蔵合金電極(負極)
をそれぞれ作製した。
ルト10質量%の混合物に、少量のCMCと水を添加し、
これを十分に撹拌して混合してペーストを調製した。こ
のペーストを三次元構造を有するNi多孔体に充填して
乾燥させた後、ローラープレスで圧延することによっ
て、Ni電極(正極)を作製した。
極)とNi電極(正極)とを組合せて、前述した実施形
態で示したNi−水素二次電池(4/3Aサイズ、4000mA
h)を組立てて寿命評価を行った。ここで、電解液とし
ては8規定の水酸化カリウム水溶液を使用した。電池寿
命(サイクル寿命)は、各電池について4Aの電流で1.1
時間充電した後、電池電圧が0.9Vになるまで1Aの電流で
放電する充放電サイクルを繰り返し、電池容量が初期容
量の80%になるまでのサイクル数を45℃の恒温槽内で評
価した。これらの測定結果を表2に併記する。
蔵合金を負極に用いたNi−水素二次電池は、比較例5
〜8に比べて高容量でかつ長寿命であることが分かる。
比較例5〜7のNi−水素二次電池は、いずれも水素吸
蔵合金の組成が本発明の好適組成から外れていると共
に、面間隔が0.58〜0.67nmの格子面が存在していないこ
とから、容量や寿命特性が劣っている。また、比較例8
のNi−水素二次電池は、水素吸蔵合金が本発明の好適
組成を満足しているものの、鋳造時の冷却速度が遅いこ
とから合金内部の母結晶の配列規則性が不十分であり、
これにより面間隔が0.58〜0.67nmの格子面が出現してい
ないため、容量や寿命特性が劣っている。
きな水素吸蔵量と高率充放電特性を有すると共に、水素
の吸蔵・放出に伴う可逆的水素吸蔵量の低下を抑制した
水素吸蔵合金を提供することができる。また、このよう
な水素吸蔵合金を負極材料として用いたNi−水素二次
電池によれば、高い電池容量と充放電の繰り返しに耐え
得る寿命特性を共に満足させることが可能となる。
一例を示す図である。
構成を一部断面で示す斜視図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 マグネシウム、ニッケルおよびR元素
(ただし、R元素はYを含む希土類元素、Zr、Hfお
よびCaから選ばれる少なくとも1種の元素を示す)を
主要構成元素とする水素吸蔵合金であって、 前記合金の結晶の格子面群は、面間隔が0.58〜0.67nmで
ある格子面を有することを特徴とする水素吸蔵合金。 - 【請求項2】 請求項1記載の水素吸蔵合金において、 前記合金のX線回折パターンを測定した際に、前記面間
隔が0.58〜0.67nmである格子面からの回折線のピーク強
度I1と全ピーク内の最強線のピーク強度I2との比(I
1/I2)が0.01以上であることを特徴とする水素吸蔵合
金。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の水素吸蔵
合金において、 前記合金の母結晶は、Ce2Ni17型結晶相、Gd2Co
7型結晶相、PuNi3型結晶相、および類似の結晶構造
を有する相から選ばれる少なくとも1つの結晶相を含む
構造を有することを特徴とする水素吸蔵合金。 - 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれか1項
記載の水素吸蔵合金において、 前記合金は、 一般式:(Mg1-xRx)(Ni1-yTy)z (式中、RはYを含む希土類元素、Zr、HfおよびC
aから選ばれる少なくとも1種の元素を、TはCo、M
n、Fe、Al、Ga、Zn、Sn、Cu、Si、C
r、Ti、V、NbおよびBから選ばれる少なくとも1
種の元素を示し、x、yおよびzはそれぞれ0<x<1、
0<y<0.9、3.0<z<4.5を満足する数である)で実質
的に表される組成を有することを特徴とする水素吸蔵合
金。 - 【請求項5】 水素吸蔵合金を含む負極と、前記負極と
セパレータを介して配置され、ニッケル酸化物を含む正
極と、前記負極、セパレータおよび正極を収容する電池
缶と、前記電池缶内に充填される電解液とを具備するニ
ッケル−水素二次電池において、 前記負極は請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載
の水素吸蔵合金を含むことを特徴とするニッケル−水素
二次電池。 - 【請求項6】 駆動電源を有する電気駆動手段と、燃焼
駆動手段とを具備するハイブリッド自動車において、 前記駆動電源は、請求項5記載のニッケル−水素二次電
池を有することを特徴とするハイブリッド自動車。 - 【請求項7】 駆動電源として二次電池を有する電気自
動車において、 前記二次電池は、請求項5記載のニッケル−水素二次電
池からなることを特徴とする電気自動車。
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