JP2002105134A - 光ファイバ鞘材用重合体、これを用いたプラスチック光ファイバ、光ファイバケーブル及びプラグ付き光ファイバケーブル - Google Patents

光ファイバ鞘材用重合体、これを用いたプラスチック光ファイバ、光ファイバケーブル及びプラグ付き光ファイバケーブル

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JP2002105134A
JP2002105134A JP2000294164A JP2000294164A JP2002105134A JP 2002105134 A JP2002105134 A JP 2002105134A JP 2000294164 A JP2000294164 A JP 2000294164A JP 2000294164 A JP2000294164 A JP 2000294164A JP 2002105134 A JP2002105134 A JP 2002105134A
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polymer
incident
core
sheath material
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JP2000294164A
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Yoshihiro Uozu
吉弘 魚津
Yasushi Kawarada
泰 川原田
Toshinori Sumi
敏則 隅
Kikue Irie
菊枝 入江
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温高湿下における光伝送特性の劣化が抑え
られた鞘材用重合体、および耐湿熱性に優れたプラスチ
ック光ファイバを提供する。 【解決手段】 フルオロアルキルメタクリレート単位と
メチルメタクリレート単位を有する屈折率が1.470
以下の共重合体であって、該共重合体に化学結合してい
る硫黄原子の含有量が10ppm以上5000ppm以
下であり、化学結合していない硫黄原子の含有量が50
ppm以下である重合体を鞘材に用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性、耐湿熱性
に優れた光ファイバ鞘材用重合体に関し、またこの鞘材
用重合体を用いたプラスチック光ファイバ、特に多芯プ
ラスチック光ファイバに関するものであり、並びにこれ
らの光ファイバを用いた光ファイバケーブル及びプラグ
付き光ファイバケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】芯−鞘構造を有するプラスチック光ファ
イバにおいて、芯にメチルメタクリレート系重合体(以
下「MMA系重合体」という)を用いた場合の鞘材とし
ては、透明性や、耐湿熱性、屈折率、芯材との接着性、
機械的強度などの点から種々の材料が提案され、一般に
フッ素化アルキルメタクリレート系重合体とフッ化ビニ
リデン系重合体が知られている。
【0003】例えば特公平7−11605号公報には、
フッ素化アルキルメタクリレート系重合体として、長鎖
フルオロアルキルメタクリレートと短鎖フルオロアルキ
ルメタクリレートとメタクリル酸メチルから実質的にな
る鞘材用ポリマーが開示されている。
【0004】また、フッ化ビニリデン系重合体として
は、一般に、ビニリデンフルオライドとテトラフルオロ
エチレンとの共重合体(共重合体組成比が80/20
(モル比)の2元共重合体)がよく知られている。ま
た、特公昭62−3401号公報には、フッ化ビニリデ
ン(ビニリデンフルオライド)とテトラフルオロエチレ
ンと不飽和重合性化合物とからなる共重合体が開示さ
れ、特開平11−95044号公報には、ビニリデンフ
ルオライドとテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロ
プロペンとの3元共重合体やビニリデンフルオライドと
ヘキサフルオロプロペンとの2元共重合体が開示されて
いる。
【0005】一方、従来、芯材用のMMA系重合体の特
性の改善については多くの提案がなされてきている。国
際公開WO99/44083号公報には、耐熱分解性の
向上や加熱による着色を抑制する点から、芯材中の、
(共)重合体に結合している硫黄原子の含有量が200
ppm以上1000ppm以下であり、かつ該芯材中
の、(共)重合体に結合していない硫黄原子の含有量が
5ppm以下である光ファイバが開示されている。その
好適な例として、実施例では、芯材用のポリメチルメタ
クリレート(PMMA)の製造時に、重合開始剤として
ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネー
ト)が用いられ、連鎖移動剤としてn−ブチルメルカプ
タンが用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来、鞘材用のフッ素
化アルキルメタクリレート系重合体は、塊状重合や懸濁
重合といったラジカル重合により製造されている。この
ようにして得られたフッ素化アルキルメタクリレート系
重合体を鞘材として用いた光ファイバは、高温多湿(例
えば80℃、95%RH)環境下において、光の透過量
(伝送特性)が低下しやすく、その低下は特に短波長域
500〜600nmにおいて著しい。また、特に、多芯
光ファイバにおいては、現在、実際に使用する波長域6
50nmにおいても伝送特性が劣化しやすく、85℃耐
熱性が要求される車載用途には適用が困難であった。
【0007】一方、フッ化ビニリデン系重合体、特にビ
ニリデンフルオライド単位とテトラフルオロエチレン単
位を有する共重合体に関しては、比較的高い結晶性を有
しているために、長期的に湿熱下で透明性が低下しやす
い。また、MMA系重合体からなる芯を有する光ファイ
バの鞘材として用いた場合、これら芯材と鞘材間では相
溶性が良いことから、芯−鞘界面にポリマーブレンドの
相溶層が形成され、長期的に湿熱下で重合体が結晶化し
やすく、透明性が一層低下しやすくなる。
【0008】また、特開平11−95044号公報に
は、ビニリデンフロライド成分が40〜62モル%、テ
トラフルオロエチレン成分が28〜40モル%、ヘキサ
フルオロプロペン成分が8〜22モル%からなる3元共
重合体が好ましい鞘材として記載されている。しかしな
がら、このような鞘材用の3元共重合体は、屈折率を低
くできるものの、同公報の発明の効果の欄にも記載され
ているように硬度および耐熱性が低く、鞘材として満足
できる特性を有してはいない。
【0009】そこで本発明の目的は、高温高湿下におけ
る光伝送特性の劣化が抑えられた鞘材用重合体、並び
に、耐湿熱性に優れたプラスチック光ファイバ、光ファ
イバケーブル及びプラグ付き光ファイバケーブルを提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】従来、プラスチック光フ
ァイバの耐湿熱特性の改善は、芯材を検討することによ
り行われていたが、鞘材に関する検討はほとんど行われ
ていなかった。本発明者らは、長期の耐湿熱特性は鞘材
の特性の微小な変化に起因するものと想定し、プラスチ
ック光ファイバの耐湿熱特性の向上を目指し鋭意検討を
行った。結果、特定の鞘材においては、含有される硫黄
原子の残存量に起因する鞘材の特性変化により、光ファ
イバの伝送特性が変化することを見い出し、本発明を完
成するに至った。
【0011】本発明は、フルオロアルキルメタクリレー
ト単位とメチルメタクリレート単位を有する屈折率が
1.470以下の共重合体であって、該共重合体に化学
結合している硫黄原子の含有量が10ppm以上500
0ppm以下であり、化学結合していない硫黄原子の含
有量が50ppm以下であることを特徴とする光ファイ
バ鞘材用重合体に関する。
【0012】また本発明は、上記本発明のプラスチック
光ファイバの外周に樹脂を被覆してなる光ファイバケー
ブルに関する。
【0013】また本発明は、上記本発明の光ファイバケ
ーブルの少なくともいずれか一方の端にプラグが設置さ
れてなるプラグ付き光ファイバケーブルに関する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のプラスチック光ファイバ
鞘材用重合体は、その屈折率が1.470以下であり、
フルオロアルキルメタクリレート単位とメチルメタクリ
レート単位を有するものであり、芯材に、メチルメタク
リレート単独重合体(PMMA)又はメチルメタクリレ
ート単位を主成分とする共重合体(以下、PMMAを含
めて「MMA系重合体」という。)を用いたプラスチッ
ク光ファイバの鞘材として好適である。
【0015】本発明の鞘材用重合体としては、フルオロ
アルキルメタクリレート(フッ素化アルキルメタクリレ
ート)とメチルメタクリレートとの2元共重合体や、フ
ルオロアルキルメタクリレートとメチルメタクリレート
とこれらに共重合可能な他の単量体との共重合体が挙げ
られる。
【0016】本発明の鞘材用重合体を構成するフルオロ
アルキルメタクリレート単位の割合は21質量%以上で
あることが好ましく、メチルメタクリレート単位の割合
は79質量%以下であることが好ましい。フルオロアル
キルメタクリレート単位の割合が少なすぎ、メチルメタ
クリレート単位の割合が多すぎると、屈折率が高くなり
すぎてMMA系重合体を芯材として用いた場合、有効な
プラスチック光ファイバを形成することが困難となる。
また、プラスチック光ファイバの機械的強度を高めるた
めには、フルオロアルキルメタクリレートの割合は85
重量%以下であることが好ましく、メチルメタクリレー
トの割合は15重量%以上であることが好ましい。本発
明の鞘材用重合体にはフルオロアルキルメタクリレート
とメチルメタクリレート以外にたとえば柔軟性、耐熱性
といった鞘材の特性の改善のため他の単量体を共重合さ
せることができる。この場合、鞘材用共重合体に占める
他の単量体単位の割合が多すぎると鞘材の透明性が悪く
なったり、機械的強度が低下したり、耐熱性が悪化した
りするおそれがあるため、他の単量体単位の割合は50
質量%以下とすることが好ましく、35質量%以下とす
ることがより好ましく、20質量%以下とすることが特
に好ましい。
【0017】本発明の鞘材用重合体の製造に用いられる
フルオロアルキルメタクリレートとしては、2,2,3
−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3
−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,
3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタクリレート、
2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチルメタク
リレート、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリ
フルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3,4,
4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート、
1,1,2,2−テトラヒドロパーフルオロデシルメタ
クリレート、1,1,2,2−テトラヒドロパーフルオ
ロオクチルメタクリレート、1,1,2,2−テトラヒ
ドロパーフルオロドデシルメタクリレート等が挙げられ
る。
【0018】本発明の鞘材用重合体の製造に用いられ
る、フルオロアルキルメタクリレートとメチルメタクリ
レートに共重合可能な単量体としては、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸
ベンジル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル
類、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタ
クリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタク
リル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル等のメタクリル
酸エステル類、イソプロピルマレイミド、フェニルマレ
イミド等のマレイミド類、アクリル酸、メタクリル酸、
スチレン等が挙げられ、これらの中から1種以上を適宜
選択して共重合させることができる。
【0019】本発明の鞘材用重合体は、ラジカル重合に
より得られるが、重合物の透明性および純度の点から、
塊状重合または懸濁重合により製造することが好まし
い。特に、溶剤を用いない或いはその使用量が少なく、
懸濁等のための重合助剤を必要としない塊状重合がより
好ましい。
【0020】本発明の鞘材用重合体の製造において使用
する重合開始剤としては、ジブチルパーオキサイド等の
過酸化物系開始剤、アゾビスイソブチロニトリル等のア
ルキルアゾ系開始剤、ジメチル2,2'−アゾビス(2
−メチルプロピオネート)等のアゾエステル系開始剤を
挙げることができる。過酸化物系開始剤は、重合反応後
に開始剤残渣が残留するため、得られた重合体が長期的
な高温環境下で着色しやすい。これに対してアルキルア
ゾ系またはアゾエステル系の開始剤は、このようなこと
がないため、より好適に用いることができ、特に、ジメ
チル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)
が好ましい。ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチル
プロピオネート)を開始剤として用いた重合では、開始
剤に起因する重合体末端構造がメチルメタクリレートと
同じ構造を有するため、開始剤による異なる分子構造に
起因する光吸収および光散乱の影響を受けることなく優
れた透光性能を発揮させることができる。また、開始剤
の分解により発生したラジカルが再結合した場合、その
ほとんどは本発明で使用するメチルメタクリレート単量
体を生成するため、単量体以外の不純物が極めて少ない
重合体が製造できる。
【0021】本発明の鞘材用重合体の製造には、光ファ
イバとして賦形する際に適当な溶融粘度を得ること等を
目的として、重合体の分子量を調整するためにメルカプ
タン系連鎖移動剤を使用する。用いた連鎖移動剤のう
ち、連鎖移動反応によって重合体と結合した硫黄成分
は、加熱した場合の光吸収損失や加湿した場合の散乱損
失を大きくすることはなく、かえって耐熱分解性を高め
る。一方、結合しない状態で重合体中に残存しているフ
リーのメルカプタンやジスルフィド化合物は、加熱によ
り重合体を着色しやすく、紡糸加工工程における熱履歴
により着色が起こりやすくなる。また、紡糸加工された
光ファイバにおいても、フリーのメルカプタンやジスル
フィド化合物が、高温下における吸収損失の増大や高湿
下における散乱損失を誘起する。
【0022】そのため、本発明の鞘材用重合体は、耐湿
熱性を高めるために、重合体に化学結合している硫黄原
子の含有量が10ppm以上5000ppm以下であ
り、かつ、重合体に化学結合していない硫黄原子の含有
量が50ppm以下である。化学結合している硫黄原子
の含有量は、200ppm以上800ppm以下である
ことが好ましく、共重合体に化学結合していない硫黄原
子の含有量は、20ppm以下であることが好ましい。
【0023】本発明の鞘材用重合体の製造に用いられる
メルカプタン系連鎖移動剤としては、沸点の低いメルカ
プタンを使用することが好ましい。そのようなメルカプ
タンとしては、n−ブチルメルカプタン、tert−ブ
チルメルカプタン等が挙げられる。通常、鞘材用重合体
の製造においては、真空乾燥を行ったり、脱揮押し出し
機により重合体を溶融状態としながら減圧したりして、
残存モノマー、ダイマー、メルカプタン、ジスルフィド
化合物等の低分子化合物を除去する工程が実施される。
沸点が低いメルカプタンを用いることにより、真空乾燥
や脱揮による低分子化合物の除去工程において、メルカ
プタンの除去のために温度や真空度を過度に高くする必
要がなくなり、装置や処理操作の簡略化とともに重合体
の熱分解を抑えることができる。
【0024】本発明の鞘材用重合体を鞘材に用いてプラ
スチック光ファイバを製造することにより、得られた光
ファイバは、85℃、95%RH湿熱条件下に長期間放
置しても、伝送特性の劣化が抑えられ、特に600nm
以下の短波長域での伝送特性の劣化を抑えることができ
る。現在のプラスチック光ファイバの光源の使用波長は
主に650nmであるが、本発明によれば、将来的に光
源波長として期待される500〜600nmの波長領域
において特に優れた耐湿熱性を有するプラスチック光フ
ァイバを提供することができる。
【0025】伝送特性の長期的な高温高湿下での劣化
は、一の光ファイバの中に複数の芯が配置された多芯プ
ラスチック光ファイバにおいて特に顕著に起こり、現在
の実使用波長域である650nmにおいてもその劣化の
程度は大きい。その理由は、多芯光ファイバは、単芯光
ファイバに比べて、各々の芯の断面積が小さく、芯内を
進む光が鞘材に反射する回数が増すための現象であると
考えられる。本発明によれば、このような多芯光ファイ
バにおいても優れた耐湿熱性を付与することができる。
【0026】本発明の鞘材用重合体は、そのメルトフロ
ーレートが5以上200以下[g/10分]であること
が好ましい。
【0027】本発明の鞘材用重合体が鞘材として用いら
れた光ファイバとしては、一の鞘の中に一の芯が配置さ
れた構造をもつ単芯光ファイバと、一の光ファイバの中
に複数の芯が配置された構造をもつ多芯光ファイバが挙
げられる。
【0028】単芯光ファイバの場合は、芯―鞘の2層構
造、あるいは芯―鞘の2層構造にさらに保護層が形成さ
れた3層以上で構成することができる。なお、本発明に
おいて、プラスチック光ファイバの鞘を2層以上から構
成することもでき、この場合、少なくともいずれか一つ
の層の鞘には比較的屈折率の小さい本発明の鞘材用重合
体が用いられる。芯と直接接する鞘に本発明の鞘材用重
合体を用いることが好ましく、全ての層に用いることが
より好ましい。
【0029】一方、多芯光ファイバの場合は、その断面
において、複数の島部が海部によって互いに隔てられた
海島構造を有する構成をとることが好ましい。この島部
は、芯のみ、芯−鞘の2層構造、または芯―鞘の2層構
造にさらに保護層が形成された3層以上で構成すること
ができる。島部が芯−鞘構造を有する場合は、これらを
構成する材料は、上記単芯光ファイバの場合と同様な材
料を用いることができる。芯−鞘構造を有さず芯が島部
自体である場合は、この島部に直接接する海部に、本発
明の鞘材用重合体を用いることができる。
【0030】本発明において、プラスチック光ファイバ
は、単芯および多芯のいずれの構成においても、芯の屈
折率が中心から外周に向かって連続的に変化するグレー
デッドインデックス型(GI型)光ファイバや、芯が多
層構造を有しその中心から外周に向かって屈折率が段階
的に変化する多層型光ファイバであってもよい。
【0031】本発明において、プラスチック光ファイバ
を製造する際には、公知の方法が使用可能である。ステ
ップインデックス型(SI型)、GI型、及び多層型光
ファイバを製造するには、複数の材料を同心円状に積層
して吐出する複合紡糸ノズルを用いて紡糸することが好
ましい。また、芯材のみ溶融紡糸し、その外周に鞘材を
溶融塗布やソルベントコーティングすることによっても
製造できる。
【0032】プラスチック光ファイバの芯材用重合体と
しては透明性に優れたMMA系重合体が好ましく用いら
れる。メチルメタクリレートと他の単量体の共重合体を
用いる場合、メチルメタクリレートと共重合可能な単量
体は特に限定されず、例えばフルオロアルキルメタクリ
レート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレ
ート、メチルアクリレートなどの各種(メタ)アクリレ
ート系単量体及びスチレンなどが好ましく用いられる。
MMA系重合体の透明性を維持するためにはメチルメタ
クリレート以外の単量体単位の含有量は50重量%以下
とすることが好ましく、20重量%以下とすることがよ
り好ましい。
【0033】本発明においては、耐屈曲性を向上させる
ために鞘の外周に柔軟性に優れた材料で保護層を配設し
てもよい(海島型の場合は海部の外周部に配設する)。
この保護層は、芯と直接接しないので、結晶化により透
明性が低下しても特に問題は生じない。そのため、ビニ
リデンフルオライドとテトラフルオロエチレンとの2元
共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体、これらのフッ
化ビニリデン系重合体とMMA系重合体とのブレンドに
よる重合体組成物などを用いることができる。特に、ビ
ニリデンフルオライドとテトラフルオロエチレンとの2
元共重合体は一般的にプラスチック光ファイバの鞘材と
して用いられているものであり、安価であるというメリ
ットがある。
【0034】また、本発明において、プラスチック光フ
ァイバは、耐久性、耐環境特性を良好なものとするため
に、最外周に樹脂を被覆し、光ファイバケーブルとして
用いることができる。
【0035】この被覆層に用いられる材料としては、各
種の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、形状
記憶樹脂、金属微粉末や金属短繊維、金属長繊維等を含
んだ樹脂等が使用できる。
【0036】熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン
12、その他のポリアミド、ポリアミドエラストマー、
ポリ塩化ビニル、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポ
リエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、ポリ塩化ビニルとエチレン−酢酸ビニル共
重合体のブレンド重合体を用いることができる。中で
も、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルと
エチレン−酢酸ビニル共重合体のブレンド重合体等の弾
性率の小さい樹脂がより好ましく用いられる。また、光
ファイバケーブルに難燃性及び耐熱性を付与するために
は、ナイロン12などのポリアミド系樹脂を用いること
が好ましい。また、これら被覆層を構成する樹脂に可塑
剤を添加してもよく、ポリ塩化ビニルの場合、例えばジ
オクチルフタレート、トリオクチルトリメリテート、ト
リクレジルフォスフェート等が用いられる。可塑剤の添
加に際しては、添加された可塑剤が光ファイバへ移行し
て光ファイバの光学性能や機械特性に支障を来すことの
ないように、適宜選択し、必要量を用いることが好まし
い。
【0037】また、被覆層に用いられる熱硬化性樹脂と
しては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、
不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン
樹脂等を用いることができる。また、被覆層に用いられ
る光硬化性樹脂としては、例えば、少なくとも架橋剤成
分および/又はオリゴマー成分を含む(メタ)アクリレ
ート系単量体混合物に光重合開始剤を含有させたものを
用いることができる。また、被覆層に用いられる形状記
憶樹脂としては、アクリル樹脂、トランスイソプレン、
ポリウレタン、ポリノルボンネル、スチレン−ブタジエ
ン共重合体等が使用できる。
【0038】本発明のプラスチック光ファイバケーブル
は、信号源である光源や、検知器の組み込まれたユニッ
トのハウジングや、別のプラスチック光ファイバケーブ
ル等との接合のために、このケーブル端の少なくともい
ずれか一方にプラグを取り付けたプラグ付き光ファイバ
ケーブルとして使用することができる。このプラグは、
プラグ本体と、プラグ本体に装着されて光ケーブルを固
定するためのストッパーとを備え、公知のものが使用可
能である。
【0039】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。
【0040】(共重合体の組成)本実施例中における共
重合体の組成に関してはNMR及び元素分析により行っ
た。
【0041】(共重合体の屈折率)共重合体の屈折率
は、約0.1mmの厚みのフィルムを形成し、アッベの
屈折計を用いナトリウムD線に対する屈折率を測定し
た。
【0042】(メルトフローインデックス)メルトフロ
ーレートは、日本工業規格JIS K7210に準じて
測定した。すなわち、試験温度:230℃、試験荷重:
49N(5kg)、ダイスの長さ:8.0±0.025
mm、内径:2.095±0.005mm、試料充填
量:5g、試料採取時間:30秒で測定を行った。
【0043】(重合体に化学結合している硫黄原子の含
有量の測定)ドーマン微量電量滴定装置MCTS−13
0を用いて測定した。予め硫黄原子濃度既知の標準試料
を測定して検量線を作成した。次に、芯材に用いた重合
体をその10倍量のアセトンに溶解させ、その溶液をメ
タノール中に滴下して重合体を沈殿させ、重合体のみを
分離回収して乾燥させて重合体試料とした。その重合体
試料を測定し、検量線から読みとった値を重合体単位量
当たりに換算した数値を重合体に化学結合している硫黄
原子の含有量とした。
【0044】(重合体に化学結合していない硫黄原子の
含有量の測定)装置はHP社製ガスクロマトグラフ58
90SERIES IIを用い、カラムはジーエルサイエ
ンス(株)製TC−WAX長さ30m、内径0.53m
m、膜厚1.0μmのものを用いた。検出器は、硫黄に
高い感度を有する炎光光度検出器を使用し、重合体中に
残存するメルカプタン、及びメルカプタン同士の反応に
より生じるジスルフィド化合物の定量分析を行った。定
量分析は、溶媒をアセトンとし、予め濃度既知の標準液
を測定して検量線を作成した後、重合体濃度約13wt
/vol%で溶解した試料溶液を測定し、検量線から得
られた定量値を硫黄原子換算した値を重合体に化学結合
していない硫黄原子の含有量とした。
【0045】(耐湿熱性の評価)耐熱性試験として80
℃、95%RHの湿熱オーブンに1000時間放置し、
この試験後の伝送特性をカットバック法により測定する
ことにより耐湿熱性を評価した。
【0046】(実施例1)メタクリル酸1,1,2,2
−テトラヒドロパーフルオロデシル(17FM)50.
7質量%、メタクリル酸ベンジル(BzMA)30.8
質量%、メタクリル酸メチル(MMA)18.5質量%
からなるモノマー溶液に、ジメチル2,2'−アゾビス
(2−メチルプロピオネート)(和光純薬V−601、
純度99質量%)を0.15質量%、n−ブチルメルカ
プタンを0.015質量%の割合で添加した混合物を、
窒素バブリングにより溶存酸素を十分に除去した後、6
0℃にて8時間重合した。重合終了後、生成した重合物
を粉砕し、180℃で10時間真空乾燥を行い鞘材用重
合体を得た。
【0047】ガスクロマトグラフ法により測定した得ら
れた重合体の残存単量体含有率は17FMが0.13質
量%、BzMAが0.14質量%、MMAが0.05質
量%であった。この重合体中に化学結合している硫黄原
子の含有量は600ppmであり、化学結合していない
硫黄原子の含有量は0.7ppmであった。この重合体
のメルトフローレートは31g/10分であり、225
℃にて作製したプレスフィルムの25℃における屈折率
は1.402であった。
【0048】この鞘材用重合体と別途製造したPMMA
を225℃の紡糸ヘッドに供給し、同心円状複合紡糸ノ
ズルを用いて紡糸した後、150℃の熱風加熱炉中で繊
維軸方向に2倍に延伸し、直径1mm、鞘厚み10μm
のPMMAを芯材とする芯−鞘構造を有するプラスチッ
ク光ファイバを得た。
【0049】この光ファイバの25m−5mのカットバ
ック法により求めた伝送損失は、波長650nmにおい
て入射NA=0.1で116dB/km、入射NA=
0.65で126dB/kmであった。波長570nm
においては、入射NA=0.1で80dB/kmであ
り、入射NA=0.65では90dB/kmであった。
このように入射NAが0.65においても優れた伝送性
能を示した。
【0050】この光ファイバをケーブル化工程へ送り、
黒色ポリエチレンで被覆し、直径2.2mmのプラスチ
ック光ファイバケーブルを得た。このプラスチック光フ
ァイバケーブルの伝送損失は、波長650nmにおいて
入射NA=0.1で119dB/kmであり、入射NA
=0.65では128dB/kmであった。波長570
nmにおいては、入射NA=0.1で82dB/kmで
あり、入射NA=0.65では92dB/kmであっ
た。
【0051】このプラスチック光ファイバケーブルの耐
湿熱性試験後の伝送損失は、波長650nmにおいて入
射NA=0.1で120dB/kmであり、波長570
nmにおいて入射NA=0.1で84dB/kmであ
り、伝送損失の増加はほとんど無かった。
【0052】このプラスチック光ファイバケーブルの端
部にプラグを取り付けて信号伝送用ケーブルとして用
い、安定に信号を送れることを確認した。
【0053】(実施例2)保護材としてビニリデンフル
オライド/テトラフルオロエチレン共重合体(モル比:
78/22)を併せて紡糸ヘッドに供給し、鞘の外周に
保護層を形成した以外は、実施例1と同様にして、直径
1mm、鞘の厚み5μm、保護層の厚み5μmの光ファ
イバを作製した。
【0054】この光ファイバの25m−5mのカットバ
ック法により得られた伝送損失は、波長650nmにお
いて入射NA=0.1で120dB/km、入射NA=
0.65で127dB/kmであった。波長570nm
においては、入射NA=0.1で80dB/kmであ
り、入射NA=0.65では91dB/kmであった。
【0055】この光ファイバをケーブル化工程へ送り、
黒色ポリエチレンで被覆し、直径2.2mmのプラスチ
ック光ファイバケーブルを得た。このプラスチック光フ
ァイバケーブルの伝送損失は、波長650nmにおいて
入射NA0.1で122dB/kmであり、入射NA=
0.65では129db/kmであった。波長570n
mにおいては、入射NA=0.1で82dB/kmであ
り、入射NA=0.65では94dB/kmであった。
【0056】このプラスチック光ファイバケーブルの耐
湿熱性試験後の伝送損失は、波長650nmにおいて入
射NA=0.1で124dB/kmであり、波長570
nmにおいて入射NA=0.1で85dB/kmであ
り、伝送損失の増加はほとんど無かった。
【0057】また、このプラスチック光ファイバケーブ
ルの端部にプラグを取り付けて信号伝送用ケーブルとし
て用い、安定に信号を送れることを確認した。
【0058】(実施例3)本実施例では、光ファイバの
断面において、複数の島部が海部によって互いに隔てら
れた海島構造を有し、この芯部が芯−鞘構造を有する多
芯の光ファイバを作製した。
【0059】芯材と鞘材はそれぞれ実施例1において用
いたものと同じものを用い、芯−鞘構造をもつ島部を取
り巻く海材としては、実施例2で用いたものと同じビニ
リデンフルオライド/テトラフルオロエチレン共重合体
を用いた。
【0060】これらの材料を紡糸ヘッドに供給し、芯−
鞘構造を有する複数の島部が海部によって互いに隔てら
れた海島構造を形成可能な多芯複合紡糸ノズルを用いて
紡糸を行った後、実施例1と同様にして延伸を行ない、
芯−鞘構造をもつ37個の島部が海部によって互いに隔
てられるように配置された海島構造をもつ多芯光ファイ
バを作製した。
【0061】得られた多芯光ファイバは、ファイバの直
径が1mm、各芯の直径が約135μm、各芯を被覆し
ている鞘の厚みが約5μm、各島部の最小隙間が約5μ
mであった。
【0062】この光ファイバの25m−5mのカットバ
ック法により求めた伝送損失は、波長650nmにおい
て入射NA=0.1で124dB/km、入射NA=
0.65では132dB/kmであった。波長570n
mにおいては、入射NA=0.1で88dB/km、入
射NA=0.65で99dB/kmであった。このよう
に入射NA=0.65においても優れた伝送特性を示し
た。
【0063】この光ファイバをケーブル化工程へ送り、
黒色ポリエチレンで被覆し、直径2.2mmのプラスチ
ック光ファイバケーブルを得た。このプラスチック光フ
ァイバケーブルの伝送損失は、波長650nmにおいて
入射NA=0.1で126dB/kmであり、入射NA
=0.65では135dB/kmであった。波長570
nmにおいては、入射NA=0.1で89dB/kmで
あり、入射NA=0.65では102dB/kmであっ
た。
【0064】このプラスチック光ファイバケーブルの耐
湿熱性試験後の伝送損失は、波長650nmにおいて入
射NA=0.1で128dB/km、波長570nmに
おいて入射NA=0.1で91dB/kmであり、伝送
損失の増加はほとんど無かった。
【0065】このプラスチック光ファイバケーブルの端
部にプラグを取り付けて信号伝送用ケーブルとして用
い、安定に信号を送れることを確認した。
【0066】(実施例4)開始剤を2,2'−アゾビス
イソブチロニトリル0.15質量%に変更した以外は実
施例1と同様にして鞘材用重合体を作製し、この重合体
を鞘材として用いて実施例1と同様にして光ファイバを
作製した。
【0067】鞘材用重合体の残存単量体含有率は17F
Mが0.14質量%、BzMAが0.14質量%、MM
Aが0.06質量%であった。鞘材用重合体に化学結合
している硫黄原子の含有量は550ppmであり、化学
結合していない硫黄原子の含有量は1.0ppmであっ
た。この重合体のメルトフローレートは31g/10分
であり、225℃にて作製したプレスフィルムの25℃
における屈折率は1.402であった。
【0068】この光ファイバの25m−5mのカットバ
ック法により求めた伝送損失は、波長650nmにおい
て入射NA=0.1で116dB/km、入射NA=
0.65では126dB/kmであった。波長570n
mにおいては、入射NA=0.1で80dB/km、入
射NA=0.65では91dB/kmであった。このよ
うに入射NAが0.65においても優れた伝送性能を示
した。
【0069】この光ファイバをケーブル化工程へ送り、
黒色ポリエチレンで被覆し、直径2.2mmのプラスチ
ック光ファイバケーブルを得た。このプラスチック光フ
ァイバケーブルの伝送損失は、波長650nmにおいて
入射NA0.1で119dB/kmであり、入射NA=
0.65では128dB/kmであった。波長570n
mにおいては、入射NA=0.1で82dB/kmであ
り、入射NA=0.65では94dB/kmであった。
【0070】このプラスチック光ファイバケーブルの耐
湿熱性試験後の伝送損失は、波長650nmにおいて入
射NA=0.1で120dB/kmであり、波長570
nmにおいて入射NA=0.1で83dB/kmであ
り、伝送損失の増加はほとんど無かった。
【0071】また、このプラスチック光ファイバケーブ
ルの端部にプラグを取り付けて信号伝送用ケーブルとし
て用い、安定に信号を送れることを確認した。
【0072】(実施例5)17FM 35.0質量%、
メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル(3F
M)38.5質量%、メタクリル酸ブチル(BMA)
5.0質量%、MMA21.5質量%からなるモノマー
溶液に対してジメチル2,2’−アゾビス(2−メチル
プロピオネート)(和光純薬V−601、純度99重量
%)を0.15質量%、n−ブチルメルカプタンを0.
013質量%の割合で添加し、実施例1と同様にして鞘
材用重合体を作製した。
【0073】得られた重合体の残存単量体含有率は17
FMが0.10質量%、3FMが0.07質量%、BM
Aが0.10質量%、MMAが0.05質量%であっ
た。この重合体中に化学結合している硫黄成分の含有量
は555ppmで、化学結合していない硫黄成分含有量
は0.6ppmであった。この重合体のメルトフローレ
ートは25g/10分、屈折率は1.399であった。
この重合体とPMMAを用い、実施例1と同様の条件
で、直径750μm、鞘厚み8μmのプラスチック光フ
ァイバを得た。
【0074】この光ファイバの25m−5mのカットバ
ック法により求めた650nmでの伝送損失は入射NA
=0.1で115dB/km、入射NA=0.65で1
24dB/kmであった。波長570nmにおいては、
入射NA=0.1で79dB/kmであり、入射NA=
0.65で89dB/kmであり、入射NA=0.65
においても非常に良好な伝送特性を示した。
【0075】さらに、この光ファイバをケーブル化工程
へ送り、黒色ポリエチレンで被覆し、直径2.2mmの
プラスチック光ファイバケーブルを得た。このプラスチ
ック光ファイバケーブルの伝送損失は、波長650nm
において入射NA=0.1で116dB/kmであり、
入射NA=0.65で126dB/kmであった。波長
570nmにおいては入射NA=0.1で81dB/k
mであり、入射NA=0.65では90dB/kmであ
った。
【0076】また、このプラスチック光ファイバケーブ
ルの耐湿熱性試験後の伝送損失は、波長650nmにお
いて入射NA=0.1で118dB/km、波長570
nmにおいて入射NA=0.1で83dB/kmであ
り、伝送損失の増加はほとんど無かった。
【0077】また、このプラスチック光ファイバケーブ
ルの端部にプラグを取り付けて信号伝送用ケーブルとし
て用い、安定に信号を送れることを確認した。
【0078】(実施例6)実施例5で用いた鞘材を用い
た点を除いて実施例3と同様にして多芯光ファイバを得
た。
【0079】この光ファイバの25m−5mのカットバ
ック法により求めた伝送損失は波長650nmにおいて
入射NA=0.1で123dB/km、入射NA=0.
65で132dB/kmであった。波長570nmにお
いては入射NA=0.1で87dB/kmであり、入射
NA=0.65で97dB/kmであった。この光ファ
イバは入射NA=0.65においても非常に良好な伝送
特性を示した。
【0080】さらに、この光ファイバをケーブル化工程
へ送り、黒色ポリエチレンで被覆し、直径2.2mmの
プラスチック光ファイバケーブルを得た。このプラスチ
ック光ファイバケーブルの伝送損失は波長650nmに
おいて入射NA=0.1で125dB/km、入射NA
=0.65で133dB/kmであった。波長570n
mにおいては入射NA=0.1で88dB/kmであ
り、入射NA=0.65で101dB/kmであった。
【0081】また、このプラスチック光ファイバケーブ
ルの耐湿熱性試験後の伝送損失は、波長650nmにお
いて入射NA=0.1で127dB/km、波長570
nmにおいて入射NA=0.1で91dB/kmであ
り、伝送損失の増加はほとんど無かった。
【0082】また、このプラスチック光ファイバケーブ
ルの端部にプラグを取り付けて信号伝送用ケーブルとし
て用い、安定に信号を送れることを確認した。
【0083】(比較例1)n−ブチルメルカプタンに代
えて、n−オクチルメルカプタン0.02質量%を用い
た以外は、実施例1と同様にして鞘材用重合体を作製し
た。
【0084】得られた重合体の残存モノマー含有率は1
7FMが0.13質量%、BzMAが0.14質量%、
MMAが0.05質量%であった。この重合体に化学結
合している硫黄原子の含有量は600ppmで、化学結
合していない硫黄原子の含有量は200ppmであっ
た。この重合体のメルトフローレートは31g/10分
であり、225℃にて作製したプレスフィルムの25℃
における屈折率は1.402であった。
【0085】この鞘材用重合体を鞘材として用い、実施
例1と同様にしてプラスチック光ファイバを作製した。
【0086】この光ファイバの25m−5mのカットバ
ック法により求めた伝送損失は、波長650nmにおい
て入射NA=0.1で116dB/km、入射NA=
0.65では126dB/kmであった。波長570n
mにおいては、入射NA=0.1で80dB/kmであ
り、入射NA=0.65では90dB/kmであった。
入射NA=0.65においても良好な伝送性能を示し
た。
【0087】この光ファイバをケーブル化工程へ送り、
黒色ポリエチレンで被覆し、直径2.2mmのプラスチ
ック光ファイバケーブルを得た。このプラスチック光フ
ァイバケーブルの伝送損失は、波長650nmにおいて
入射NA=0.1で119dB/kmであり、入射NA
=0.65では128dB/kmであった。波長570
nmにおいては、入射NA=0.1で82dB/kmで
あり、入射NA=0.65では92dB/kmであっ
た。
【0088】このプラスチック光ファイバケーブルの耐
湿熱性試験後の伝送損失は、波長650nmにおいて入
射NA=0.1で120dB/kmであり、波長570
nmにおいて入射NA=0.1で115dB/kmであ
り、570nmの波長においては伝送損失が大きく増加
した。
【0089】(比較例2)比較例1で用いた鞘材用重合
体と同じ重合体を鞘材として用いた以外は実施例3と同
様の方法で同様な構造を持つ多芯光ファイバを製造し
た。
【0090】この多芯光ファイバの25m−5mのカッ
トバック法により求めた伝送損失は、波長650nmに
おいて入射NA=0.1で124dB/kmであり、入
射NA=0.65では132dB/kmであった。波長
570nmにおいては、入射NA=0.1で88dB/
kmであり、入射NA=0.65では99dB/kmで
あった。入射NA=0.65においても良好な伝送性能
を示した。
【0091】この光ファイバをケーブル化工程へ送り、
黒色ポリエチレンで被覆し、直径2.2mmのプラスチ
ック光ファイバケーブルを得た。このプラスチック光フ
ァイバケーブルの伝送損失は、波長650nmにおいて
入射NA=0.1で126dB/kmであり、入射NA
=0.65では135dB/kmであった。波長570
nmにおいては、入射NA=0.1で89dB/kmで
あり、入射NA=0.65では102dB/kmであっ
た。
【0092】このプラスチック光ファイバケーブルの耐
湿熱性試験後の伝送損失は、波長650nmにおいて入
射NA=0.1で170dB/km、波長570nmに
おいては、入射NA=0.1で139dB/kmであ
り、伝送損失の著しい増加が見られた。
【0093】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明に
よれば、重合体中の硫黄原子の含有量を特定の範囲に制
御された鞘材用重合体を用いてプラスチック光ファイバ
を作製することで、85℃95%RHの高温高湿環境下
においても長期間、光伝送特性の劣化が抑えられ、耐湿
熱性に優れたプラスチック光ファイバ及び光ファイバケ
ーブルを提供することができる。特に、多芯のプラスチ
ック光ファイバ及び光ファイバケーブルにおいて優れた
耐湿熱性を発揮させることができる。
【0094】また、本発明によれば、600nm以下の
短波長域においても高温高湿下での伝送特性の劣化を抑
えることができるため、現在、使用されている波長65
0nmに比較してより良好な透過特性を示す短波長域5
00〜600nmでの光ファイバの使用を可能とするも
のである。
【0095】また、このように耐湿熱性に優れた本発明
のプラスチック光ファイバ及び光ファイバケーブルは、
耐湿熱性が要求される車載用途に好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 隅 敏則 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 入江 菊枝 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 2H046 AA62 AZ03 AZ08 2H050 AB43Z AB44Z AC01 AC71 BB02W 4J100 AL03Q AL08P BB10P BB18P CA04 CA05 JA35 4L041 BA02 BA03 BA04 BA05 BA21 BA24 BC06 CA35 DD01 DD15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フルオロアルキルメタクリレート単位と
    メチルメタクリレート単位を有する屈折率が1.470
    以下の共重合体であって、該共重合体に化学結合してい
    る硫黄原子の含有量が10ppm以上5000ppm以
    下であり、化学結合していない硫黄原子の含有量が50
    ppm以下であることを特徴とする光ファイバ鞘材用重
    合体。
  2. 【請求項2】 芯材としてメチルメタクリレート単独重
    合体またはメチルメタクリレート単位を主成分とする共
    重合体が用いられ、鞘材として請求項1記載の鞘材用重
    合体が用いられていることを特徴とするプラスチック光
    ファイバ。
  3. 【請求項3】 一の光ファイバの中に複数の芯が配置さ
    れた構造を有する請求項2記載のプラスチック光ファイ
    バ。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3記載のプラスチック光フ
    ァイバの外周に樹脂を被覆してなる光ファイバケーブ
    ル。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の光ファイバケーブルの少
    なくともいずれか一方の端にプラグが設置されてなるプ
    ラグ付き光ファイバケーブル。
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