JP2002101596A - 電動機の固定子 - Google Patents

電動機の固定子

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智明 及川
Yasuyoshi Tajima
庸賀 田島
Osamu Kazama
修 風間
Koji Masumoto
浩二 増本
Hiroyuki Akita
裕之 秋田
Takakimi Miyajima
卓仁 宮島
Toshio Arai
利夫 荒井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固定子サイズを大きくすることなく、渡り線
の絶縁のための絶縁紙や絶縁スリーブが不要な安価で生
産性に優れた電動機の固定子を提供すること。 【解決手段】 バックヨークとこのバックヨークから突
出した複数のティースとを有する固定子コアと、ティー
スに絶縁物を介して直接巻回された巻線と、を備えた電
動機の固定子において、バックヨークの端面上に設けら
れたリード線側絶縁物に複数の溝を外周面に形成し、こ
の複数の溝に各相毎に渡り線を収納し、複数の溝のうち
渡り線からリード線へ立ち上げるティースにあたるリー
ド線側絶縁物の溝にもその相と同相の他ティースからの
渡り線を収納し、その後外周面から内周面に向けてその
相の渡り線を折り返してリード線として立ち上げたもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は、圧縮機等に用い
られる電動機の固定子に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】図７は、例えば特開平１０−３０４６１
５号公報に開示された従来の電動機の固定子における渡
り線の処理の方法を示す図である。図５に示すように、
固定子コア１はバックヨーク１３と、このバックヨーク
１３の一方の側面より延出した複数個のティース１４と
で構成され、固定子は固定子コア１と、ティース１４に
巻回されたコイル１５と、絶縁物３０とで構成されてい
る。
【０００３】絶縁物３０は、固定子コア１とコイル１５
との間に配置され、図８に示すように絶縁物３０の外周
には複数の溝４が設けられ、渡り線５が溝４からはみ出
さないように収納され、渡り線５の電気絶縁、収納、断
線防止などを行っている。
【０００４】図９は、例えば特開平７−５９２８７号公
報に開示された従来の電動機の固定子における渡り線の
処理の他の方法を示す図である。図において、固定子の
外周部に設けられた絶縁物３０と渡り線５を示され、絶
縁物３０に溝はないものの、渡り線５Ｕ、５Ｖ、５Ｗは
絶縁物３０の高さの異なる異なる位置で配線されるため
接触することがない。また、渡り線５Ｕ、５Ｖ、５Ｗが
交差する箇所は配線用突片１６の凹部１７の内部と、そ
の配線用突片１６の外周部を通るため、接触することが
ない。従って各相間に特別に絶縁処理を施す必要がな
い。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】従来の電動機の固定子
における渡り線の処理の方法は以上のようになされてい
るので、以下に示す問題点があった。特開平１０−３０
４６１５号公報に開示された渡り線の処理の方法は、絶
縁物３０の溝４に挿入されている部分の渡り線５は絶縁
されているが、絶縁物３０から渡り線５が外れている部
分１８は、異相との接触の恐れがあり、その部分に絶縁
紙や絶縁スリーブを被せる必要があり、生産性とコスト
が犠牲になっていた。
【０００６】図１０に同様の問題点がある絶縁物と渡り
線の配置の例を示す。図に示すように、渡り線５のリー
ド線として立ち上がり、絶縁物から渡り線５が外れてい
る部分１９が他相と接触の恐れがあり、その部分に絶縁
紙や絶縁スリーブを被せる必要があり、生産性とコスト
が犠牲になっていた。
【０００７】特開平７−５９２８７号公報に開示された
渡り線の処理の方法は、図９のように絶縁物３０に異相
との接触を回避するような構造のものであるが、配線用
突片１６の分だけ固定子サイズが大きくなってしまうと
いう問題点があった。
【０００８】この発明は、上記のような問題点を解消す
るためになされたもので、固定子サイズを大きくするこ
となく、渡り線の絶縁のための絶縁紙や絶縁スリーブが
不要な安価で生産性に優れた電動機の固定子を提供する
ことを目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】この発明に係る電動機の
固定子は、バックヨークとこのバックヨークから突出し
た複数のティースとを有する固定子コアと、ティースに
絶縁物を介して直接巻回された巻線と、を備えた電動機
の固定子において、バックヨークの端面上に設けられた
リード線側絶縁物に複数の溝を外周面に形成し、この複
数の溝に各相毎に渡り線を収納し、複数の溝のうち渡り
線からリード線へ立ち上げる部分にあたるリード線側絶
縁物のリード線として立ち上げる相の溝にもその相の渡
り線を収納し、その後外周面から内周面に向けてその相
の渡り線を折り返してリード線として立ち上げたもので
ある。
【００１０】また、複数の溝の間の相絶縁部を、横方向
へ突出させたものである。
【００１１】また、バックヨークの端面上に設けられた
絶縁物に、リード線を固定するリード固定穴を設け、こ
のリード固定穴に縛り糸を通しリード線を固定したもの
である。
【００１２】また、バックヨークの端面上に設けられた
絶縁物に、リード線の線径よりも細い入口で、内部はリ
ード線径よりも太い溝を設け、この溝にリード線を差し
込んで固定したものである。
【００１３】
【発明の実施の形態】実施の形態１．以下、この発明の
実施の形態１を図に基づいて説明する。図１〜４は実施
の形態１を示す図で、図１は固定子を展開し固定子を外
周側から見た電動機の固定子の渡り線配置図、図２は図
１におけるＡ−Ａ線断面図、図３、４は電動機の固定子
鉄心の例を示す図である。
【００１４】本実施の形態では、３相、６極のものにつ
いて説明する。図において、１は固定子コアであり、上
下にリード側絶縁物２と反リード側絶縁物３が配置さ
れ、リード側絶縁物２には複数の溝４が設けられ、渡り
線５が溝４に挿入されている。絶縁物は各ティース毎に
独立しており本実施の形態の場合は９ティースであるの
で、絶縁物もリード側、反リード側それぞれ９個使用し
ている。
【００１５】また、リード側絶縁物２のうち３ヶ所から
は、渡り線５が引き出され、電源のリード線とされてい
る。
【００１６】また、反リード側絶縁物３には複数の溝は
設けられてないが、中性点接続を複数ヶ所に分けて行っ
ているので異相が接触することのない構造となってい
る。
【００１７】ここで複数の絶縁物のうち、リード線とし
て立ち上げる場所にあたる絶縁物の、リード線として立
ち上げる相の溝４のみに２本の渡り線５を収納し、その
２本の渡り線５はお互い逆方向からとりまわし、リード
側絶縁物２の外周面から内周面に向けて渡り線５を折り
返しまとめたのでリード側絶縁物２の溝４から外れて出
さなければならない渡り線部分においても、他相の渡り
線と接触しない構造となっている。
【００１８】図２は図１におけるＡ−Ａ線断面図であ
り、他相の渡り線５と接触しない構造をわかりやすくす
るため側面から見たものである。なお複数の溝４の間の
相絶縁部７を図１のように横方向へ突出させれば、他相
の渡り線５との絶縁をより確実なものとすることができ
る。
【００１９】引き出された渡り線のまとめ方として、お
互い逆方向からとりまわされた渡り線２本のみでもよい
し、図１のようにリード線立ち上げティースの口出し線
８は渡り線としてリード側絶縁物２の溝４を這わさず、
直接お互い逆方向からとりまわされた２本の渡り線と合
わせて３本まとめてリード線としても良い。このまとめ
方はティース数、結線方法によって適宜最適なものを選
択すればよい。ちなみに図１の場合は９ティースで３／
／Ｙ結線の場合である。
【００２０】電動機の種類によっては、渡り線からリー
ド線へ立ち上げる部分にあたるリード線側絶縁物のリー
ド線として立ち上げる相の溝に収納されるその相の渡り
線の本数は様々に変わる。本実施の形態は、３相、６
極、９ティースで３／／Ｙ結線の場合を取り上げたの
で、上記のような構成となる。
【００２１】複数の溝のうち渡り線からリード線へ立ち
上げる部分にあたるリード線側絶縁物のリード線として
立ち上げるティースの溝にもその相と同相の他ティース
からの渡り線を収納し、その後外周面から内周面に向け
てその相の渡り線を折り返してリード線として立ち上げ
たことが特徴である。
【００２２】本実施の形態によれば、リード側絶縁物２
にの複数の溝４を外周面に形成し、この複数の溝４に各
相毎に渡り線５を収納し、複数の溝４のうち渡り線５か
らリード線へ立ち上げる場所にあたるリード側絶縁物２
の、リード線として立ち上げる相の溝４に、その相の渡
り線５を２本お互い逆方向からはわし、リード側絶縁物
２の外周面から内周面に向けて渡り線５を折り返し、ま
とめてリード線として、又はリード線立ち上げティース
の口出し線８と３本まとめてリード線として立ち上げた
ので、モータサイズを大きくすることなく、渡り線５の
絶縁を完全に行うことができる。また従来必要だった、
絶縁紙や絶縁スリーブが不要となりコストの削減が可能
となる。
【００２３】なお、本実施の形態は、固定子鉄心の構造
にかかわらず効果を成すものであるが、図３のように複
数のティース１４が分割され、コイル１５を巻線後にテ
ィース１４を繋ぐバックヨーク１３に設けられた薄肉部
２０を折り曲げるタイプのものや、図４ような、ティー
ス１４を繋ぐ連結部として、鉄心のコア凸部２１および
コア凹部２２を嵌合させたもので、やはり巻線後にティ
ースを折り曲げコアを環状にするタイプのものは、折り
曲げ工程において、渡り線５がたるみやすいため、特に
本実施の形態が有効になる。
【００２４】実施の形態２．以下、この発明の実施の形
態２を図に基づいて説明する。図５は実施の形態２を示
す図で、電動機の固定子の展開側面図である。図に示す
ように、リード側絶縁物２にリード固定穴９を設け、リ
ード固定穴９に縛り糸１０を通し、リード線６を固定し
ている。これによってリード線６が引っ張られても縛り
糸１０で固定された箇所で保持され、渡り線５の折り返
し部１１にストレスが加わらず、断線や溝４から外れて
絶縁を損なうといったことを無くすことができる。
【００２５】実施の形態３．以下、この発明の実施の形
態３を図に基づいて説明する。図６は実施の形態３を示
す図で、電動機の固定子の絶縁物の拡大図である。図に
示すように、実施の形態２のリード固定穴９の代わり
に、リード線６の線径よりも細い入口で、内部はリード
線６の線径よりも太いリード線固定溝１２を設け、この
リード線固定溝１２にリード線６を差し込んで固定した
ものである。実施の形態２に比べてリード線６の固定力
は若干弱くなるものの、リード線固定溝１２にリード線
６をはめ込むだけで固定することができるので作業性が
極めて良好となる。
【００２６】
【発明の効果】この発明に係る電動機の固定子は、バッ
クヨークの端面上に設けられたリード線側絶縁物に複数
の溝を外周面に形成し、この複数の溝に各相毎に渡り線
を収納し、複数の溝のうち渡り線からリード線へ立ち上
げるティースにあたるリード線側絶縁物の溝にもその相
と同相の他ティースからの渡り線を収納し、その後外周
面から内周面に向けてその相の渡り線を折り返してリー
ド線として立ち上げたので、モータサイズを大きくする
ことなく、渡り線の絶縁を完全に行うことができる。ま
た従来必要だった、絶縁紙や絶縁スリーブが不要となり
コストの削減が可能となる。
【００２７】また、複数の溝の間の相絶縁部を、横方向
へ突出させることにより、他相の渡り線との絶縁をより
確実なものとすることができる。
【００２８】また、バックヨークの端面上に設けられた
絶縁物に、リード線を固定するリード固定穴を設け、こ
のリード固定穴に縛り糸を通しリード線を固定したこと
により、渡り線にストレスをかけることなく、断線や絶
縁もれのない信頼性の高いものとなる。
【００２９】また、バックヨークの端面上に設けられた
絶縁物に、リード線の線径よりも細い入口で、内部はリ
ード線径よりも太い溝を設け、この溝にリード線を差し
込んで固定したことにより、固定の作業性も改善するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 実施の形態１を示す図で、電動機の固定子の
渡り線配置図である。
【図２】 実施の形態１を示す図で、図１におけるＡ−
Ａ線断面図である。
【図３】 実施の形態１を示す図で、電動機の固定子鉄
心の一例である。
【図４】 実施の形態１を示す図で、電動機の固定子鉄
心の他の例である。
【図５】 実施の形態２を示す図で、電動機の固定子の
展開側面図である。
【図６】 実施の形態３を示す図で、電動機の固定子の
絶縁物の拡大図である。
【図７】 従来の電動機の固定子の横断面図である。
【図８】 従来の電動機の固定子の縦断面図である。
【図９】 従来の電動機の固定子の絶縁物構造図であ
る。
【図１０】 従来の電動機固定子の絶縁物と渡り線配置
図である。
【符号の説明】
１ 固定子コア、２ リード側絶縁物、３ 反リード側
絶縁物、４ 溝、５渡り線、６ リード線、７ 相絶縁
部、８ 口出し線、９ リード固定穴、１０縛り糸、１
１ 渡り線の折り返し部、１２ リード線固定溝、１３
バックヨーク、１４ ティース、１５ コイル、１６
配線用突片、１７ 凹部、１８，１９ 絶縁物から渡
り線が外れている部分、２０ 薄肉部、２１ コア凸
部、２２ コア凹部、３０ 絶縁物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 風間 修 東京都千代田区丸の内二丁目２番３号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 増本 浩二 東京都千代田区丸の内二丁目２番３号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 秋田 裕之 東京都千代田区丸の内二丁目２番３号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 宮島 卓仁 東京都千代田区丸の内二丁目２番３号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 荒井 利夫 東京都千代田区丸の内二丁目２番３号 三 菱電機株式会社内 Ｆターム(参考） 5H002 AA07 AB01 AB05 AC06 AE01 5H603 AA03 AA04 AA09 BB01 BB05 BB12 CA01 CA05 CB03 CB04 CB18 CB25 CB26 CC11 CD01 CD21 CD34 CE01 EE11 EE12 EE13 FA06 5H604 AA05 AA08 BB01 BB08 BB14 CC01 CC05 CC16 PB03 PB04 PC03 QB01 QB14 QB17

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 バックヨークとこのバックヨークから突
    出した複数のティースとを有する固定子コアと、前記テ
    ィースに絶縁物を介して直接巻回された巻線と、を備え
    た電動機の固定子において、 前記バックヨークの端面上に設けられたリード線側絶縁
    物に複数の溝を外周面に形成し、この複数の溝に各相毎
    に渡り線を収納し、前記複数の溝のうち渡り線からリー
    ド線へ立ち上げるティースにあたるリード線側絶縁物の
    溝にもその相と同相の他ティースからの渡り線を収納
    し、その後外周面から内周面に向けて前記その相の渡り
    線を折り返してリード線として立ち上げたことを特徴と
    する電動機の固定子。
  2. 【請求項２】 複数の溝の間の相絶縁部を、横方向へ突
    出させたことを特徴とする請求項１記載の電動機の固定
    子。
  3. 【請求項３】 前記バックヨークの端面上に設けられた
    絶縁物に、リード線を固定するリード固定穴を設け、こ
    のリード固定穴に縛り糸を通しリード線を固定したこと
    を特徴とする請求項１記載の電動機の固定子。
  4. 【請求項４】 前記バックヨークの端面上に設けられた
    絶縁物に、リード線の線径よりも細い入口で、内部はリ
    ード線径よりも太い溝を設け、この溝にリード線を差し
    込んで固定したことを特徴とする請求項１記載の電動機
    の固定子。
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