JP2002071609A - 液体展開用シート - Google Patents

液体展開用シート

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JP2002071609A JP2000266934A JP2000266934A JP2002071609A JP 2002071609 A JP2002071609 A JP 2002071609A JP 2000266934 A JP2000266934 A JP 2000266934A JP 2000266934 A JP2000266934 A JP 2000266934A JP 2002071609 A JP2002071609 A JP 2002071609A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】血液、尿等生体液の濡れ性・展開性が良好で、
測定精度に優れた液体展開用シートを提供する。 【解決手段】基材の少なくとも片面に、液体受容層を設
けてなる液体展開用シートにおいて、液体受容層が少な
くとも非イオン系界面活性剤を含有する液体展開用シー
トであり、その液体受容層の表面抵抗値が1×1012Ω
以下であり、臨界表面張力は35mN/m以上であるこ
とが好ましく、また、液体受容層の付着量は0.1〜5
g/m2であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体、例えば、血
液や尿等の生体液の特定成分を検査・定量する際に好適
に用いられる生体液展開用シート、特に血液検査、さら
には血糖値検査用に用いられる検査シート用の液体展開
用シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、血糖値などの検査には、数滴の血
液を測定器の先の試験紙に付けて、光学的な方法で測定
されていた。
【0003】しかしながら、この光学方式は測定精度の
バラツキが大きく、かつ血液(検体)量が多く必要で、
さらに試験紙への血液の濡れ性が悪い等の問題を有して
いた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題
点を解決し、少量の検体量で測定でき、検体吸収速度が
速く、検体の濡れ性も良好で、この結果測定精度の高い
バイオセンサ用の生体液展開用シートを提供することを
目的とし、特に電極方式(電気伝導度測定)の検査シー
トにおいて、検査シートの吸引孔から血液が素早く導入
・展開し、かつ電気伝導性に優れた生体液展開用シート
を提供することを目的とするものである。
【0005】電極方式の検査シートは、通常、測定極・
対極/スペーサー/カバーから構成されている(特開平
3−54447号公報、特開平10−227755号公
報、特開平11−42098号公報等)。本発明の他の
目的は、この検査シートカバー用等に用いられる液体展
開用シートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】これらの目的を達成する
本発明の液体展開用シートは、基材の少なくとも片面に
液体受容層を設けてなる液体展開用シートにおいて、該
液体受容層が少なくとも非イオン系界面活性剤を含有す
ることを特徴とする液体展開用シートである。
【0007】また、本発明の液体展開用シートにおいて
は、液体受容層の表面抵抗値が1×1012Ω以下である
こと、液体受容層の臨界表面張力が35mN/m以上で
あること、液体受容層の付着量が0.1〜5g/m2
あること、液体が血液や尿等の生体液であることが好ま
しい態様として含まれている。
【0008】また、本発明の液体展開用シートの液体受
容層は、有機系バインダーや無機系バインダー等を主と
した膜からなり、中でもバインダーと界面活性剤の混合
物からなることが好ましく、特に、非イオン系界面活性
剤を含有する液体受容層が好適である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の液体展開用シートは、基
材の少なくとも片面に非イオン系界面活性剤を含有する
液体受容層を設けてなる液体展開用シートであり、かつ
該液体受容層は、有機系バインダーや無機系バインダー
等を主体とした膜で構成されている。
【0010】本発明の液体受容層に用いられるバインダ
ーとしては、例えば、ポリエステル樹脂、エチレン−酢
酸ビニル共重合樹脂、アイオノマ−樹脂、ウレタン樹
脂、ナイロン樹脂、エチレン−アクリル酸共重合樹脂、
エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂、エチレン−ア
クリル酸メチル共重合樹脂、エチレン−メタクリル酸共
重合樹脂、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合樹脂、ポ
リビニルブチラ−ル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアル
キレンオキシド樹脂、ゼラチン等の有機系バインダー、
ジルコニウム、珪素、アルミニウム、チタン原子等を含
む無機系バインダーが挙げられるが、中でもポリエステ
ル樹脂が基材との接着力や、生体液の塗れ・展開性から
好ましく用いられる。
【0011】さらに、本発明においては、これらのバイ
ンダーに、表面抵抗値、臨界表面張力調整剤、液体の濡
れ・展開剤として、非イオン系界面活性剤を添加する。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、「実用プラス
チック事典 材料編」((株)産業調査会 1996
年)や「13398の化学商品」(化学工業日報社 1
998年)に記載の非イオン系界面活性剤が挙げられ
る。
【0012】中でも好ましく用いられる非イオン系界面
活性剤としては、脂肪酸アルキロールアミド、ポリオキ
シエチレンアルキルアミン、脂肪酸グリセリンエステ
ル、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エステル、ソ
ルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸
エステル、ポリオキシエチレナルキルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられ
る。中でも特に、脂肪酸とアルキロールアミン等とアミ
ド化した高級脂肪酸アミド系界面活性剤が電気伝導性、
生体液の塗れ・展開性から好ましく用いられる。
【0013】かかる高級脂肪酸アミド系界面活性剤とし
ては、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、ステアリ
ン酸アミド等が挙げられ、さらに、高級アルコール、ア
ルキルフェノール、脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂
肪族アミン等のエチレンオキサイド付加物も用いること
が出来る。
【0014】液体受容層中の非イオン系界面活性剤の含
有量は、通常0.1〜20部であり、好ましくは0.5
〜10部、より好ましくは1〜7部である。
【0015】非イオン系界面活性剤の含有量が上記範囲
より多いと、基材との接着性が低下したり、ブロッキン
グしやすくなったりして好ましくない。また、非イオン
系界面活性剤の含有量が上記範囲より少ないと、所望の
表面抵抗値が得ら難く、また液体の濡れ性・展開性が悪
化し、電気伝導性が低くなり測定精度の低下や測定時間
が長くなったりして好ましくない。
【0016】本発明で用いられる基材としては、プラス
チックフィルム、合成紙、紙または表面処理が施された
複合シートが好ましく用いられるが、中でも寸法安定性
や耐久性等の点からプラスチックフィルムが好ましい。
【0017】プラスチックフィルムの材質としては、ポ
リエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステ
ルアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミ
ド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ−ρ−フェ
ニレンスルフィド、ポリエーテルエステル、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
また、これらの共重合体やブレンド物やさらに架橋した
化合物を用いることもできる。
【0018】さらに、上記プラスチックフィルムの中で
も、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン2,6−ナフタレート、ポリエチレン
α,β−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン4,4’
−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレートな
どからなるフィルムが好ましく、これらの中で機械的特
性、作業性などの品質、経済性などを総合的に勘案する
と、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルムが特
に好ましく用いられる。
【0019】基材の厚みは特に限定されないが、通常1
0μm〜500μm、好ましくは20μm〜300μ
m、より好ましくは30μm〜200μmであることが
望ましい。
【0020】本発明の液体展開用シートにおいて、液体
受容層の表面抵抗値は1×1012Ω以下であり、好まし
くは5×1011Ω以下である。表面抵抗値が上記範囲よ
り高いと、液体の濡れ性・展開性の悪化や、電気伝導性
の低下による測定精度の低下や測定時間が長くなったり
して好ましくない。
【0021】表面抵抗値は低い程良いが、バインダーと
界面活性剤を用いる場合は、表面抵抗値の下限は1×1
4Ω程度である。表面抵抗値をこれ以上低くするには
多量の界面活性剤を必要とし、基材との密着性低下やブ
ロッキングが生じたりして好ましくない。
【0022】また、液体受容層の臨界表面張力は35m
N/m以上であることが好ましく、より好ましくは40
mN/m以上である。臨界表面張力が上記範囲より低い
と、液体の濡れ性・展開性が悪化し、液体が測定極まで
浸透せずに値が測定できなくなり好ましくない。また、
臨界表面張力は高い程良いが、通常、上限値は100m
N/m程度である。
【0023】また、液体受容層の付着量は0.1〜5g
/m2であることが好ましく、より好ましくは0.5〜
5g/m2である。付着量が上記範囲より少ないと加工
時の擦り傷等により付着層の脱落や、ピンホールが発生
し易くなり測定精度が低下し好ましくない。また、付着
量が上記範囲より多くなると作業性が悪くなったり、ブ
ロッキングを生じやすくなり好ましくない。
【0024】本発明の液体展開用シートの液体受容層
は、有機系バインダーや無機系バインダー等を、塗布、
貼着した塗膜で構成される。
【0025】本発明の液体受容層は、例えば、液体受容
層を構成する成分を含む塗布液を基材に塗布し塗膜とす
ることで形成することができる。塗布液は、例えば、バ
インダーと界面活性剤を混合して、トルエンやメチルエ
チルケトン(MEK)等の有機溶剤や水等の溶媒で所望
の濃度に希釈して得ることができる。
【0026】塗布液の塗布方法は特に限定されないが、
グラビアコート法、リバースコート法、キスコート法、
ダイコート法、およびバーコート法などの方法を用いる
ことができる。この際、基材上には塗布液を塗布する前
に、必要に応じて空気中あるいはそのほかの雰囲気中で
のコロナ放電処理や、プライマー処理などの表面処理を
施すことによって、塗布性が良化するのみならず、液体
受容層をより強固に基材上に形成することができる。な
お、塗布液濃度、塗膜乾燥条件は特に限定されるもので
はないが、塗膜乾燥条件は基材の諸特性に悪影響を及ぼ
さない範囲で行なうことが望ましい。一般的に、塗布液
濃度は1〜50%、塗膜乾燥条件は70〜160℃/1
0秒から5分程度とすることが好ましい。
【0027】また、本発明の液体受容層は、また上記塗
布液で予め膜状物を作り、それを基材に貼着することで
形成することができる。貼着する場合は、Si等の離型
フィルムに塗布液を塗工し、基材に転写する方法が採用
される。
【0028】本発明の液体展開用シートは、血液や尿等
の生体試料や食品工業における原料や製品、果汁等の試
料中に含まれる特定成分の検査・定量する際に用いら
れ、中でも好適には、血液や尿等の生体液の特定成分を
検査・定量する際に用いられる生体液展開用シートとし
て用いられる。
【0029】
【実施例】本発明における特性の評価方法について次に
説明する。
【0030】(1)表面抵抗値 東京電気(株)製のHI−レジスタンス テスター モ
デル TR−2)(HI−RESISTANCE TE
STER MODEL TR−2)を用いて測定した。
【0031】(2)臨界表面張力 JIS−K6768に準じ、濡れ指数標準液(和光純薬
工業(株)製)を用いて測定した。
【0032】(3)付着量 塗布液を塗布した基材100cm2の重量を測定し
(A)、次に塗布前の基材100cm2の重量を測定し
(B)、(A−B)×100で付着量(g/m2)を算
出した。
【0033】(4)液体の濡れ性・展開性 ライフ テクノロジーズ(LIFE TECHNOLO
GIES)社製の牛胎児血清0.05mlを液体受容層
面に滴下し、滴下5秒後の血清の広がり状態で血液の濡
れ性・展開性を判定した。判定基準は次のとおりであ
る。 血清の広がり10mm以上 : ○ 血清の広がり 9mm以下 : × (実施例1)東レ(株)製ポリエチレンテレフタレート
フィルム“ルミラー”(タイプ100T60、厚さ10
0μm)を基材とし、また、塗布液として、ポリエステ
ル樹脂(バインダー)(高松油脂(株)製 ペスレジン
S140)と高級脂肪酸アミド系界面活性剤(三洋化成
工業(株)製 ケミスタット2500)を、固形分比で
100/5の割合で調合し、トルエンで15%に希釈し
たものを用意した。15%に希釈した塗布液をグラビア
コータにて基材に塗布し、120℃で30秒乾燥して本
発明の液体展開用シ−トを得た。乾燥後の付着量は1.
5g/m2であった。得られた液体展開用シートの特性
は、表1に示したとおり、液体の濡れ性・展開性(血清
の広がり13mm)が優れたものであった。
【0034】(実施例2)実施例1において、高級脂肪
酸アミド系界面活性剤の代わりにポリオキシエチレンア
ルキルエーテル系界面活性剤(三洋化成工業(株)製
サンノニック SS−120)を用いた以外は、同様に
して、本発明の液体展開用シ−トを得た。乾燥後の付着
量は1.5g/m2であった。得られた液体展開用シー
トの特性は表1に示したとおり、液体の濡れ性・展開性
(血清の広がり11mm)が優れたものであった。
【0035】(比較例1)東レ(株)製ポリエチレンテ
レフタレートフィルム“ルミラー”(タイプ100T6
0、厚さ100μm)を基材とし、塗布液として、ポリ
エステル樹脂(高松油脂(株)製 ペスレジンS14
0)をトルエンで15%に希釈したものを用意した。1
5%に希釈した塗布液をグラビアコータにて基材に塗布
した。120℃で30秒乾燥した。乾燥後の付着量は
1.5g/m2であった。得られたシートの特性は表1
に示したとおり、血清の広がりが5mmであり、液体の
濡れ性・展開性が劣るものであった。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】本発明の液体展開用シ−トは、液体の濡
れ性・展開性が非常に優れたものであり、特に血液や尿
等生体液の検査用として好ましく用いられる。さらに
は、食品の原料や製品中の特定成分の検査用などの用途
においても好ましく用いることができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の少なくとも片面に液体受容層を設
    けてなる液体展開用シートにおいて、該液体受容層が少
    なくとも非イオン系界面活性剤を含有することを特徴と
    する液体展開用シート。
  2. 【請求項2】 液体受容層の表面抵抗値が1×1012Ω
    以下であることを特徴とする請求項1記載の液体展開用
    シート。
  3. 【請求項3】 液体受容層の臨界表面張力が35mN/
    m以上であることを特徴とする請求項1または2記載の
    液体展開用シート。
  4. 【請求項4】 液体受容層の付着量が0.1〜5g/m
    2であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の液体展開用シート。
  5. 【請求項5】 液体受容層が、非イオン系界面活性剤を
    0.1〜20部含有することを特徴とする請求項1〜4
    のいずれかに記載の液体展開用シート。
  6. 【請求項6】 液体が生体液であることを特徴とする請
    求項1〜5のいずれかに記載の液体展開用シート。
  7. 【請求項7】 液体展開用シートが生体液展開用シート
    であることを特徴とする請求項6の液体展開用シート。
  8. 【請求項8】 生体液展開用シートが血液あるいは尿検
    査用シートであることを特徴とする請求項7記載の液体
    展開用シート。
  9. 【請求項9】 基材がプラスチックフィルムであること
    を特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の液体展開
    用シート。
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