JP2002060601A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物

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JP2002060601A
JP2002060601A JP2001169603A JP2001169603A JP2002060601A JP 2002060601 A JP2002060601 A JP 2002060601A JP 2001169603 A JP2001169603 A JP 2001169603A JP 2001169603 A JP2001169603 A JP 2001169603A JP 2002060601 A JP2002060601 A JP 2002060601A
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Japan
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polyester resin
hydrogen bond
acting
group
resin composition
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JP2001169603A
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English (en)
Inventor
Kimiya Kato
公哉 加藤
Toru Yamanaka
亨 山中
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高分子鎖間に水素結合により連結構造を形成さ
せることにより、結晶化速度、弾性率が改善されたポリ
エステル樹脂組成物を得る。 【解決手段】(A)水素結合ドナーとして作用する官能
基を有する熱可塑性ポリエステル樹脂と(B)水素結合
アクセプターとして作用する官能基を分子中に2個以上
有する化合物からなることを特徴とするポリエステル樹
脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子鎖間が水素
結合により連結されたポリエステル樹脂組成物に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】生体中の酵素に代表される生体高分子
は、主としてアミノ酸の重合体であるタンパク質から合
成され、このペプチド連鎖が、常温常圧で精密な分子集
合構造を形成している。このような精密な高次構造を形
成する駆動力となっているのが、水素結合である。
【0003】水素結合を利用した樹脂組成物として、特
開平5−339420号公報、特開平7−331002
号公報等が知られている。これらの樹脂組成物は、3成
分から構成されており、主にマトリックスとなる成分以
外の2つの成分の間に水素結合を形成させ、特性を改良
するものであった。また、後者に関しては、スチレン系
樹脂に限定されていた。さらに、特開昭63−6986
4号公報には、水素結合を利用した形状記憶性樹脂およ
びその使用方法が開示されている。この場合に用いられ
る樹脂は、熱可塑性樹脂に架橋剤を添加して、架橋構造
を形成させた樹脂、あるいは熱硬化性樹脂であり、熱可
塑性樹脂としての使用ではなかった。
【0004】樹脂組成物以外では、特開平11−209
524号公報に、エラストマー組成物が開示されてい
る。この組成物は水素結合により分子間を疑似架橋した
エラストマー組成物であるが、マトリックスがエラスト
マーに限定されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、水素結
合ドナーとして作用する官能基を導入した熱可塑性ポリ
エステル樹脂に、水素結合アクセプターとして作用する
官能基を分子中に2個以上有する化合物を作用させ、高
分子鎖間に水素結合による連結を形成させることによ
り、水素結合ドナーとして作用する官能基を有するポリ
エステル樹脂単体と比較して、降温結晶化温度が高くな
るとともに、球晶サイズが微細化され、かつ弾性率が飛
躍的に向上することを見出し、本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(1)(A)水素結合ドナーとして作用する官能基を有
する熱可塑性ポリエステル樹脂と(B)水素結合アクセ
プターとして作用する官能基を分子中に2個以上有する
化合物からなることを特徴とするポリエステル樹脂組成
物、(2)(A)の水素結合ドナーとして作用する官能
基が、水酸基および/またはカルボキシル基を構成する
OH基であることを特徴とする(1)項記載のポリエス
テル樹脂組成物、(3)(A)の水素結合ドナーとして
作用する官能基が、芳香環に結合した水酸基および/ま
たはカルボキシル基を構成するOH基であることを特徴
とする(1)項記載のポリエステル樹脂組成物、(4)
(B)水素結合アクセプターとして作用する官能基を分
子中に2個以上有する化合物が、第3級アミンあるいは
その誘導体であることを特徴とする(1)〜(3)項い
ずれか記載のポリエステル樹脂組成物、(5)(B)水
素結合アクセプターとして作用する官能基を分子中に2
個以上有する化合物が、分子内にカルボキシル基を構成
するカルボニル基を2個以上有するカルボン酸あるいは
その誘導体であることを特徴とする(1)〜(3)いず
れか記載のポリエステル樹脂組成物、(6)(A)の水
素結合ドナーとして作用する官能基が末端に結合してい
ることを特徴とする(1)〜(5)いずれか記載のポリ
エステル樹脂組成物、および(7)(A)水素結合ドナ
ーとして作用する官能基を有する熱可塑性ポリエステル
樹脂の基本骨格が、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、
およびサーモトロピック液晶性を示すポリエステル、ポ
リ乳酸から選ばれたポリエステルを構成する基本骨格で
構成されることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載
のポリエステル樹脂組成物に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0008】(A)水素結合ドナーとして作用する官能
基を有する熱可塑性ポリエステル樹脂とは水素結合ドナ
ーとして作用する官能基を有し、かつ加熱溶融により塑
性加工が可能なポリエステル樹脂である。なお、本発明
は、弾性率に優れたポリエステル樹脂を得ようとするも
のであるので、いわゆるポリエステルエラストマーは含
まない。本発明においては、耐熱性、剛性、強度に優れ
たガラス転移温度が室温(25℃)よりも高いポリエス
テル樹脂であることが好ましい。
【0009】ここで水素結合ドナーとして作用する官能
基とは、酸素、窒素、フッ素などの電気陰性度の大きい
原子に結合した水素原子を有する官能基のことであり、
具体的には、水酸基(−OH基)、アミノ基(−NH2
基、−NH−基)、カルボキシル基を構成する−OH
基、アミド基を構成する−NH−基等である。
【0010】(A)成分として使用できる熱可塑性ポリ
エステル樹脂としては、ジカルボン酸(あるいはそのエ
ステル形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステ
ル形成性誘導体)および/またはヒドロキシカルボン酸
(あるいはそのエステル形成性誘導体)とを主原料と
し、縮合反応により得られ、末端に水酸基および/また
はカルボキシル基を有する重合体ないしは共重合体であ
るか、前記熱可塑性ポリエステルを基本骨格とし、縮合
部位以外に水素結合ドナーとして作用する官能基を有す
るモノマーを共重合したポリエステル樹脂、さらには、
熱可塑性ポリエステル樹脂を変性することにより、これ
ら官能基を導入したものが挙げられる。
【0011】上記ジカルボン酸成分としては、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、
アントラセンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテ
ルジカルボン酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、5
−ナトリウムスルホイソフタル酸、などの芳香族ジカル
ボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデ
カンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シク
ロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸およ
びこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0012】また、ジオール成分としては炭素数2〜2
0の脂肪族グリコール、すなわち、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、
シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール
など、あるいは分子量400〜6000の長鎖グリコー
ル、すなわち、ポリエチレングリコール、ポリ−1,3
−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ルなど、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙
げられる。これらの重合体ないしは共重合体の例として
は、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレ
フタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフ
タレート/アジペート)、ポリプロピレンテレフタレー
ト、ポリプロピレン(テレフタレート/イソフタレー
ト)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(テ
レフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレ
フタレート/アジペート)、ビスフェノールA(テレフ
タレート/イソフタレート)、ポリブチレンナフタレー
ト、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレー
ト)、ポリプロピレンナフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレー
ト、ポリシクロヘキサンジメチレン(テレフタレート/
イソフタレート)ポリ(シクロヘキサンジメチレン/エ
チレン)テレフタレート、ポリ(シクロヘキサンジメチ
レン/エチレン)(テレフタレート/イソフタレート)
などが挙げられる。
【0013】また、芳香族ポリエステル成分にポリエー
テル成分あるいは脂肪族ポリエステル成分を共重合した
共重合体が挙げられる。例えば、ポリブチレンテレフタ
レート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブ
ロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/イソフ
タレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール
ブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ
(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)グリコール
ブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/イソ
フタレート・ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキ
シド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレ
フタレート・ポリブチレンアジペートブロック共重合
体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ−ε−カプロラ
クトンブロック共重合体などが挙げられる。
【0014】その他、芳香族オキシカルボニル単位、芳
香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、エチレン
ジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなるサーモ
トロピック液晶性を示す熱可塑性ポリエステル樹脂を使
用することもできる。
【0015】ここでいう芳香族オキシカルボニル単位と
しては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2
−ナフトエ酸、4´−ヒドロキシジフェニル−4−カル
ボン酸から生成した構造単位を、芳香族ジオキシ単位と
しては、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロ
キノン、t−ブチルハイドロキノンから生成した構造単
位を、芳香族ジカルボニル単位としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸か
ら生成した構造単位を、芳香族イミノオキシ単位として
は、例えば、4−アミノフェノールから生成した構造単
位を例示することができる。具体例としては、p−オキ
シ安息香酸/ポリエチレンテレフタレート、p−オキシ
安息香酸/6−オキシ−2−ナフトエ酸などのサーモト
ロピック液晶性ポリエステルが挙げられる。
【0016】また、(A)成分として使用できる熱可塑
性ポリエステル樹脂として、乳酸および/またはラクチ
ドを主原料として重合して得られる末端に水酸基および
/またはカルボキシル基を有するポリ乳酸ないしはその
共重合体であるか、ポリ乳酸を基本骨格とし、主原料を
構成する官能基以外の水素結合ドナーとして作用する官
能基を有するモノマーを共重合したポリ乳酸、さらに
は、ポリ乳酸を変性することにより、これら官能基を導
入したものを使用することも可能である。
【0017】本発明において使用する(A)成分の水素
結合ドナーとして作用する官能基を有する熱可塑性ポリ
エステル樹脂における熱可塑性ポリエステル樹脂の基本
骨格としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートな
どのポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレン−
2,6−ナフタレート、ポリブチレン−2,6−ナフタ
レートなどのポリアルキレンナフタレート、サーモトロ
ピック液晶性を示すポリエステル、ポリ乳酸から選ばれ
たポリエステルを構成する基本骨格で構成されるものが
好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート、またはサ
ーモトロピック液晶性を示すポリエステル、ポリ乳酸か
ら選ばれたポリエステルを構成する基本骨格で構成され
るものがより好ましい。
【0018】これら、熱可塑性ポリエステル樹脂はその
末端基として、カルボキシル基、水酸基を有することが
知られているが、これらを水素結合ドナーとして作用す
る官能基として利用することができる。また、p−ヒド
ロキシ安息香酸などをポリアルキレンテレフタレート等
のポリエステル樹脂の製造時に共重合すれば、末端にフ
ェノール性の水酸基を導入でき、さらに、4−ヒドロキ
シイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、2,5
−ジヒドロキシテレフタル酸などを共重合すれば、ポリ
マー鎖の途中にフェノール性の水酸基を導入でき、これ
らフェノール性水酸基を水素結合ドナーとして作用する
官能基として利用することが可能である。
【0019】本発明に使用する(A)水素結合ドナーと
して作用する官能基を有する熱可塑性ポリエステルの製
造方法としては、公知の方法が適用可能であり、例えば
「飽和ポリエステル樹脂ハンドブック」(湯木和男編)
等に開示されている方法が使用できる。上記熱可塑性ポ
リエステル樹脂を構成する主たる繰り返し単位が、エチ
レンテレフタレート単位あるいはブチレンテレフタレー
ト単位である場合、エステル交換法(DMT法)、直接
重合法(直接エステル化法)のいずれの重合方法も適用
可能である。なお、これらの重縮合方法により上記熱可
塑性ポリエステル樹脂を製造する場合には、公知の金属
化合物を重合触媒として使用するのが好ましい。
【0020】本発明に使用する(B)成分である水素結
合アクセプターとして作用する官能基を分子中に2個以
上有する化合物における、水素結合アクセプターとして
作用する官能基とは、酸素、窒素、フッ素など電気陰性
度の大きな原子、あるいはそれを含む官能基を表す。具
体的には、第3級アミノ基、(−N=)、カルボニル基
(−CO−)、ニトリル基(−C≡N)、フッ素基(−
F)などが挙げられる。ここで、カルボニル基の中に
は、カルボキシル基を構成するカルボニル基を含む。カ
ルボキシル基は水素結合ドナーであるOH基と水素結合
アクセプターであるC=O基から構成されるため、カル
ボキシル基同士の水素結合に代表されるように、水素結
合ドナーとアクセプター両方として作用する官能基を有
していることになる。本発明の(B)水素結合アクセプ
ターとして作用する官能基を分子内に2個以上有する化
合物としては、その構造中に上記に例示されるような水
素結合アクセプター部位が2個以上あることが必要であ
る。また、その化合物の分子量は1000以下であるこ
とが好ましい。例えば、4,4’−ジピリジル、1,3
−ジ−(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ−(4−
ピリジル)エタン、1,2−ジ−(4−ピリジル)エチ
レン、4,4’−アゾ−ジピリジン、2,4,6−トリ
−(4−ピリジル)−s−トリアジン、2,4−ジ−
(4−ピリジル)−6−メチル−s−トリアジン、2,
4−ジアミノ−6−(4−ピリジル)−s−トリアジ
ン、2,3,4,5−テトラ−(4−ピリジル)チオフ
ェン、2,5−ジ−(4−ピリジル)−s−テトラジ
ン、2,2’−ジピコリルアミン、3,3’−ジピコリ
ルアミン、2−メチルピラジン、メラミン、アセトグア
ナミン、ベンゾグアナミン、1,3,5−トリアジン、
ピリミジン、ピラジン、3−アミノ−1,2,4−トリ
アゾール、および1,4−ベンゾキノン、アントラキノ
ン、1,4−ナフトキノン、シアヌル酸などのカルボニ
ル基(−CO−)を含む化合物、およびテレフタル酸、
イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アント
ラセンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルエーテルジカ
ルボン酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、5−ナト
リウムスルホイソフタル酸などのカルボキシル基を構成
するカルボニル基を含む芳香族ジカルボン酸、アジピン
酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸など
のカルボキシル基を構成するカルボニル基を含む脂肪族
ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸な
どのカルボキシル基を構成するカルボニル基を含む脂環
式ジカルボン酸などが挙げられる。
【0021】(A)成分に導入される水素結合ドナーと
して作用する官能基の数に制限はないが、(A)成分に
対して(B)成分を添加する場合、(A)成分の水素結
合ドナーとして作用する官能基1当量に対して、(B)
成分の水素結合アクセプターとして作用する官能基が
0.01〜1.2当量となるように(B)成分を添加す
ることが好ましい。少なすぎる場合は、水素結合の形成
量が少なくなるため、該組成物の特性改良効果が小さく
なる傾向にある。また、多すぎる場合は、組成物中に水
素結合できない水素結合アクセプターが生成し、水素結
合によって(A)成分を(B)成分で疑似架橋できない
部位が存在するため、特性改良効果が小さくなる傾向に
ある。ただし、(B)成分に水素結合アクセプターとし
て作用する官能基が3つ以上存在し、その官能基の一部
が、水素結合ドナーが近接しても水素結合を形成できな
い立体的に込み合った状態にある場合、(A)成分の水
素結合ドナーして作用する官能基と水素結合を形成でき
る水素結合アクセプターとして作用する官能基を(B)
成分の水素結合アクセプターとして作用する官能基と定
義する。
【0022】本発明のポリエステル樹脂組成物は、上記
(A)成分と(B)成分からなるものであるが、
(A)、(B)成分が有する官能基の少なくとも一部
は、組成物中において(A)成分中の水素結合ドナーと
して作用する官能基と、(B)成分中の水素結合アクセ
プターとして作用する官能基とが水素結合により連結構
造を形成しているものと考えられる。本発明において
は、このように(A)成分に(B)成分を作用させ、高
分子鎖間に水素結合による連結を形成させることによ
り、この連結部位が鎖間で相互作用するため、水素結合
ドナーとして作用する官能基を有するポリエステル樹脂
単体と比較して、降温結晶化温度が高くなるとともに、
弾性率が飛躍的に向上すると考えられる。
【0023】本発明のポリエステル樹脂組成物の代表的
な製造方法としては、前記(A)水素結合ドナーとして
作用する官能基を有する熱可塑性ポリエステル樹脂に
(B)水素結合アクセプターとして作用する官能基を分
子中に2個以上有する化合物を溶融混練して製造する方
法が好ましく挙げられる。それ以外に、(A)成分の重
縮合反応時に、あらかじめ(B)成分を添加して製造す
る方法、(A)成分の溶液中に(B)成分を添加して組
成物とする方法、固体状態の(A)成分に(B)成分を
吸着させ、固相で組成物とする方法などが挙げられる。
ただし、(A)成分の重縮合反応時に、あらかじめ
(B)成分を添加して製造する場合には、(B)成分と
して、(A)成分と共重合しない化合物を使用すること
が必要である。
【0024】本発明における(A)成分中の水素結合ド
ナーとして作用する官能基としては水酸基、カルボキシ
ル基を構成する−OH基が好ましく、芳香環に結合した
水酸基、カルボキシル基を構成する−OH基が最も好ま
しい。
【0025】また、(B)成分である水素結合アクセプ
ターとして作用する官能基を分子中に2個以上有する化
合物のアクセプター部位の構造としては、環状構造とり
わけ、ピリジン環、カルボキシル基を構成するカルボニ
ル基を有する芳香族カルボン酸の構造が最も好ましい。
【0026】(A)成分として、芳香環に結合した水酸
基、またはカルボキシル基を有するポリエステル樹脂、
(B)成分として、4,4’−ジピリジル、または1,
2−ジ−(4−ピリジル)エチレンのようなピリジン環
を有する化合物を選択した場合、これら(A)成分と
(B)成分が水素結合すると、式(1)に示すように、
少なくとも4つの環状構造が連結した剛直構造を形成す
るため、マトリックス樹脂を補強するのに特に有効であ
る。
【0027】
【化1】 さらに、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて本発明
の効果を損なわない範囲において、無機充填剤、耐衝撃
性改良剤、有機リン化合物、ポリエーテルエーテルケト
ンなどの結晶核剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ヒ
ンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸化防止
剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃剤な
どを添加することができる。
【0028】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定される
ものではない。
【0029】[動的粘弾性]熱プレスにより作成した厚
さ約150μmのフィルムから長さ38mm、幅2mm
の短冊状の試験片を切り出し、オリエンテック製 RH
EO VIBRONDDV−II−EAを用い、周波数1
10Hz、チャック間距離30mm、昇温速度2℃/
分、20℃〜210℃で測定し、30℃、50℃、80
℃、110℃、140℃、170℃、200℃の貯蔵弾
性率(E’)を求めた。
【0030】[DSC(示差走査熱量測定)]セイコー
電子工業製 ロボットDSC RDC220を用い、窒素
雰囲気下、動的粘弾性測定に用いた熱プレスフィルムか
ら約5mgを採取し、測定した。30℃から250℃ま
で20℃/分の昇温速度で昇温したときに観測される融
点(Tm1)と融解熱(ΔHm1)を求め、これに続い
て250℃で5分間保持して、試料を完全に融解させた
後、250℃から30℃まで20℃/分の降温速度で降
温したときに観測される結晶化温度(Tc1)と結晶化
熱(ΔHc1)を求め、さらに、それに続いて、30℃
で5分間保持した後、30℃から250℃まで20℃/
分の昇温速度で昇温したときに観測される融点(Tm
2)と融解熱(ΔHm2)を求めた。
【0031】[球晶サイズ測定]卓上小型射出成形機T
M−06B(小宮山技研)を用い、シリンダー温度を2
50℃、金型温度を80℃に設定して、試験片を作成し
た。この試験片から切片を切り出し、偏光顕微鏡を用い
て球晶を観察し、球晶サイズを測定した。
【0032】実施例1 ジメチルテレフタレート(三菱化学(株)製)194g
(1.00mol)、1,4−ブタンジオール(東ソ−
(株)製)180g(2.00mol)を仕込み、窒素
雰囲気下、140℃まで昇温して均一溶液とした後、触
媒としてオルトチタン酸テトラn−ブチル0.176g
(0.000517mol)を添加し、140℃から2
20℃まで3時間かけて徐々に昇温し、エステル交換反
応を行い、ビスヒドロキシブチルテレフタレートを得
た。これに、フェノール性水酸基を有するモノマーとし
て、5−ヒドロキシイソフタル酸ジメチルエステル1
0.5g(0.0500mol)を添加し、250℃で
融解させた後、オルトチタン酸テトラn−ブチル0.1
1g(0.000323mol)を添加して、減圧下
(<0.5torr)で重縮合反応を行い、主鎖中にフ
ェノール性水酸基を有するポリブチレンテレフタレート
を得た。得られたポリブチレンテレフタレートを20g
(フェノール性水酸基含有量:0.00431mol)
採取し、250℃で融解させた後、4,4’−ジピリジ
ル0.337g(0.00216mol)を添加して、
10分間混練し、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成
物を得た。得られたポリブチレンテレフタレート樹脂組
成物の特性を表1に示した。
【0033】実施例2 フェノール性水酸基を有するモノマーとしてp−ヒドロ
キシ安息香酸メチルを0.380g(0.0025mo
l)を用いる以外は実施例1に記載した方法と全く同様
の方法で重縮合反応を行い、末端にフェノール性水酸基
を有するポリブチレンテレフタレート樹脂を得た。得ら
れたポリブチレンテレフタレート樹脂を20g(フェノ
ール性水酸基含有量:0.000217mol)採取
し、250℃で融解させた後、4,4’−ジピリジル
0.0169g(0.000108mol)を添加し
て、10分間混練し、ポリブチレンテレフタレート樹脂
組成物を得た。
【0034】実施例3 フェノール性水酸基を有するモノマー、および4,4’
−ジピリジルを添加しなかった以外は実施例1に記載し
た方法と全く同様の方法でポリブチレンテレフタレート
樹脂を得た。得られたポリブチレンテレフタレート樹脂
を20g(末端カルボキシル基含有量0.000800
mol)採取し、250℃で融解させた後、4,4’−
ジフェニルジカルボン酸0.0969g(0.0004
00mol)を添加して、10分間混練し、ポリブチレ
ンテレフタレート樹脂組成物を得た。
【0035】比較例1 4,4’−ジピリジルを添加しなかった以外は実施例1
に記載した方法と全く同様の方法でポリブチレンテレフ
タレート樹脂を得た。
【0036】比較例2 4,4’−ジピリジルを添加しなかった以外は実施例2
に記載した方法と全く同様の方法でポリブチレンテレフ
タレート樹脂を得た。
【0037】比較例3 フェノール性水酸基を有するモノマー、および4,4’
−ジピリジルを添加しなかった以外は実施例1に記載し
た方法と全く同様の方法でポリブチレンテレフタレート
樹脂を得た。
【0038】比較例4 4,4’−ジピリジルを添加せず、フェノール性水酸基
を有するモノマーの代わりに、共重合成分として4,
4’−ジフェニルジカルボン酸1.07g(0.004
42mol)を添加して重合した以外は実施例1に記載
した方法と全く同様の方法でポリブチレンテレフタレー
ト樹脂を得た。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、水素結合ドナーと
して作用する官能基を導入した熱可塑性ポリエステル樹
脂に、水素結合アクセプターとして作用する官能基を分
子中に2個以上有する化合物を作用させ、分子間に連結
構造を形成させることにより、水素結合ドナーを有する
ポリエステル樹脂単体と比較して、降温結晶化温度が高
くなるとともに、球晶サイズが微細化され、かつ貯蔵弾
性率が飛躍的に向上するという特徴を有する、ポリエス
テル樹脂組成物を製造することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)水素結合ドナーとして作用する官能
    基を有する熱可塑性ポリエステル樹脂と(B)水素結合
    アクセプターとして作用する官能基を分子中に2個以上
    有する化合物からなることを特徴とするポリエステル樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】(A)の水素結合ドナーとして作用する官
    能基が、水酸基および/またはカルボキシル基を構成す
    るOH基であることを特徴とする請求項1記載のポリエ
    ステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】(A)の水素結合ドナーとして作用する官
    能基が、芳香環に結合した水酸基および/またはカルボ
    キシル基を構成するOH基であることを特徴とする請求
    項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】(B)水素結合アクセプターとして作用す
    る官能基を分子中に2個以上有する化合物が、第3級ア
    ミンあるいはその誘導体であることを特徴とする請求項
    1〜3いずれか記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】(B)水素結合アクセプターとして作用す
    る官能基を分子中に2個以上有する化合物が、分子内に
    カルボキシル基を構成するカルボニル基を2個以上有す
    るカルボン酸あるいはその誘導体であることを特徴とす
    る請求項1〜3いずれか記載のポリエステル樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】(A)の水素結合ドナーとして作用する官
    能基が末端に結合していることを特徴とする請求項1〜
    5いずれか記載のポリエステル樹脂組成物。
  7. 【請求項7】(A)水素結合ドナーとして作用する官能
    基を有する熱可塑性ポリエステル樹脂の基本骨格が、ポ
    リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
    ト、ポリエチレンナフタレート、およびサーモトロピッ
    ク液晶性を示すポリエステル、ポリ乳酸から選ばれたポ
    リエステルを構成する基本骨格で構成されることを特徴
    とする請求項1〜6いずれか記載のポリエステル樹脂組
    成物。
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