JP2002146169A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物

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JP2002146169A
JP2002146169A JP2001261112A JP2001261112A JP2002146169A JP 2002146169 A JP2002146169 A JP 2002146169A JP 2001261112 A JP2001261112 A JP 2001261112A JP 2001261112 A JP2001261112 A JP 2001261112A JP 2002146169 A JP2002146169 A JP 2002146169A
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polyester resin
hydrogen bond
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acting
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JP2001261112A
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Kimiya Kato
公哉 加藤
Daisuke Sato
大輔 佐藤
Toru Yamanaka
亨 山中
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高分子鎖間に水素結合により連結構造を形成
させることにより、結晶化速度、弾性率が改善されたポ
リエステル樹脂組成物を得る。 【解決手段】 (A)水素結合アクセプターとして作用
するカルボニル基以外の官能基を有する熱可塑性ポリエ
ステル樹脂と、(B)水素結合ドナーとして作用する官
能基を分子中に2個以上有する化合物とからなることを
特徴とするポリエステル樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子鎖間が水素
結合により連結されたポリエステル樹脂組成物に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】生体中の酵素に代表される生体高分子
は、主としてアミノ酸の重合体であるタンパク質から合
成され、このペプチド連鎖が、常温常圧で精密な分子集
合構造を形成している。このような精密な高次構造を形
成する駆動力となっているのが、水素結合である。
【0003】水素結合を利用した樹脂組成物として、特
開平5−339420号公報、特開平7−331002
号公報等が知られている。これらの樹脂組成物は、3成
分から構成されており、主にマトリックスとなる成分以
外の2つの成分の間に水素結合を形成させ、特性を改良
するものであった。また、前者に関しては、スチレン系
樹脂に限定されていた。さらに、特開昭63−6986
4号公報には、水素結合を利用した形状記憶性樹脂およ
びその使用方法が開示されている。この場合に用いられ
る樹脂は、熱可塑性樹脂に架橋剤を添加して、架橋構造
を形成させた樹脂、あるいは熱硬化性樹脂であり、熱可
塑性樹脂としての使用ではなかった。また、特開平11
−209524号公報には、水素結合により分子間を疑
似架橋したエラストマー組成物が開示されているが、マ
トリックスがエラストマーに限定されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、水素結
合アクセプターとして作用する官能基を導入した熱可塑
性ポリエステル樹脂に、水素結合ドナーとして作用する
官能基を分子中に2個以上有する化合物を作用させて、
高分子鎖間に水素結合による連結構造を形成させること
により、水素結合アクセプターとして作用する官能基を
有するポリエステル樹脂単体と比較して、降温結晶化温
度が高くなるとともに、弾性率が飛躍的に向上すること
を見出し、本発明に到達した。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(1)水素結合アクセプターとして作用するカルボニル
基以外の官能基を有する熱可塑性ポリエステル樹脂と
(B)水素結合ドナーとして作用する官能基を分子中に
2個以上有する化合物からなることを特徴とするポリエ
ステル樹脂組成物、(2)(A)熱可塑性ポリエステル
樹脂が室温(25℃)より高いガラス転移温度を有する
ことを特徴とする(1)記載のポリエステル樹脂組成
物、(3)(A)の水素結合アクセプターとして作用す
る官能基が、第3級アミノ基であることを特徴とする
(1)、(2)いずれか記載のポリエステル樹脂組成
物、(4)(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の水素結合
アクセプターとして作用する官能基が、ピリジル基であ
ることを特徴とする(1)、(2)いずれか記載のポリ
エステル樹脂組成物、(5)(B)化合物の水素結合ド
ナーとして作用する官能基が、水酸基および/またはカ
ルボキシル基を構成するOH基であることを特徴とする
(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステル樹脂組
成物、(6)(B)化合物の水素結合ドナーとして作用
する官能基が、芳香環に直接結合した水酸基および/ま
たはカルボキシル基を構成するOH基であることを特徴
とする(1)〜(4)のいずれかに記載のポリエステル
樹脂組成物、(7)(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の
水素結合アクセプターとして作用する官能基が末端に結
合していることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか
に記載のポリエステル樹脂組成物、および(8)(A)
水素結合アクセプターとして作用する官能基を有する熱
可塑性ポリエステル樹脂の基本骨格が、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート、サーモトロピック液晶性を示すポリ
エステル、およびポリ乳酸から選ばれたポリエステルを
構成する基本骨格で構成されることを特徴とする(1)
〜(7)のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物に
関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0007】(A)水素結合アクセプターとして作用す
る官能基を有する熱可塑性ポリエステル樹脂とは、水素
結合アクセプターとして作用する官能基を有し、かつ加
熱溶融により塑性加工が可能なポリエステル樹脂であ
る。なお、本発明は、弾性率に優れたポリエステル樹脂
を得ようとするものであるので、いわゆるポリエステル
エラストマーは含まない。本発明においては、耐熱性、
剛性、強度に優れたガラス転移温度が室温(25℃)よ
りも高いポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0008】ここで、水素結合アクセプターとして作用
する官能基とは、酸素、窒素、フッ素などの電気陰性度
の大きな原子、あるいはそれを含む官能基を表す。ポリ
エステル樹脂の主鎖骨格には、水素結合アクセプターで
あるカルボニル基が含まれているが、カルボニル基は
(B)成分である水素結合ドナーとの相互作用が弱く、
本発明の効果を満足することができないため、(A)成
分は、カルボニル基以外の水素結合アクセプターを導入
したポリエステル樹脂であることが必要である。水素結
合アクセプターの具体例としては、第3級アミノ基など
が挙げられる。
【0009】(A)成分として使用できる熱可塑性ポリ
エステル樹脂は、ジカルボン酸(あるいはそのエステル
形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成
性誘導体)および/またはヒドロキシカルボン酸(ある
いはそのエステル形成性誘導体)とを主原料として、縮
合反応することにより得られる構造を基本骨格とし、前
記基本骨格に、ポリエステルとの縮合部位と水素結合ア
クセプターとして作用する官能基の両方を有するモノマ
ーが共重合によって導入されたもの、あるいは、熱可塑
性ポリエステル樹脂を変性することにより、水素結合ア
クセプターとして作用する官能基を導入したものが挙げ
られる。
【0010】上記ジカルボン酸成分としては、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、
アントラセンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルエー
テルジカルボン酸、4,4´−ジフェニルジカルボン
酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジ
カルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、
ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−
シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸
およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられ
る。
【0011】また、ジオール成分としては炭素数2〜2
0の脂肪族グリコール、すなわち、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、
シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール
などが挙げられるが、耐熱性、強度、剛性を損なわない
範囲の少量であれば、分子量400〜6000の長鎖グ
リコール、すなわち、ポリエチレングリコール、ポリ−
1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコールなど、およびこれらのエステル形成性誘導体な
どを共重合してもよい。これらの重合体ないしは共重合
体の例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブ
チレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチ
レン(テレフタレート/アジペート)、ポリプロピレン
テレフタレート、ポリプロピレン(テレフタレート/イ
ソフタレート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチ
レン(テレフタレート/アジペート)、ビスフェノール
A(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン
ナフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフ
タレート)、ポリプロピレンナフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフ
タレート、ポリシクロヘキサンジメチレン(テレフタレ
ート/イソフタレート)ポリ(シクロヘキサンジメチレ
ン/エチレン)テレフタレート、ポリ(シクロヘキサン
ジメチレン/エチレン)(テレフタレート/イソフタレ
ート)などが挙げられる。
【0012】その他、芳香族オキシカルボニル単位、芳
香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、エチレン
ジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなるサーモ
トロピック液晶性を示す熱可塑性ポリエステル樹脂を使
用することもできる。
【0013】ここでいう芳香族オキシカルボニル単位と
しては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2
−ナフトエ酸、4´−ヒドロキシジフェニル−4−カル
ボン酸から生成した構造単位を、芳香族ジオキシ単位と
しては、4,4´−ジヒドロキシジフェニル、ハイドロ
キノン、t−ブチルハイドロキノンから生成した構造単
位を、芳香族ジカルボニル単位としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸か
ら生成した構造単位を、芳香族イミノオキシ単位として
は、例えば、4−アミノフェノールから生成した構造単
位を例示することができる。具体例としては、p−オキ
シ安息香酸/ポリエチレンテレフタレート、p−オキシ
安息香酸/6−オキシ−2−ナフトエ酸などのサーモト
ロピック液晶性ポリエステルが挙げられる。
【0014】また、(A)成分の熱可塑性ポリエステル
樹脂としては、乳酸および/またはラクチドを主原料と
して、水素結合アクセプターとして作用する官能基を有
するモノマーを共重合したポリ乳酸、さらには、ポリ乳
酸を変性することによりこれら官能基を導入したものを
使用することも可能である。
【0015】本発明において、上記基本骨格に、ポリエ
ステルとの縮合部位と水素結合アクセプターとして作用
する官能基の両方を有するモノマーを共重合することに
より、ポリエステルに水素結合アクセプターとして作用
する官能基を導入することができる。ポリエステルとの
縮合部位と水素結合アクセプターとして作用する官能基
の両方を有するモノマーとしては、イソニコチン酸、
3,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカ
ルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体、ピリ
ジンメタノールなどが挙げられる。
【0016】本発明において使用する(A)水素結合ア
クセプターとして作用する官能基を有する熱可塑性ポリ
エステル樹脂における熱可塑性ポリエステル樹脂の基本
骨格としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートな
どのポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレン−
2,6−ナフタレート、ポリブチレン−2,6−ナフタ
レートなどのポリアルキレンナフタレート、サーモトロ
ピック液晶性を示すポリエステル、およびポリ乳酸から
選ばれたポリエステルを構成する基本骨格で構成される
ものが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、サ
ーモトロピック液晶性を示すポリエステル、およびポリ
乳酸から選ばれたポリエステルを構成する基本骨格で構
成されるものがより好ましい。
【0017】本発明に使用する(A)水素結合アクセプ
ターとして作用する官能基を有する熱可塑性ポリエステ
ルの製造方法としては、公知の方法が適用可能であり、
例えば「飽和ポリエステル樹脂ハンドブック」(湯木和
男編)等に開示されている方法が使用できる。上記熱可
塑性ポリエステル樹脂を構成する主たる繰り返し単位
が、エチレンテレフタレート単位あるいはブチレンテレ
フタレート単位である場合は、エステル交換法(DMT
法)、直接重合法(直接エステル化法)のいずれの重合
方法も適用可能である。なお、これらの重縮合方法によ
り上記熱可塑性ポリエステル樹脂を製造する場合には、
公知の金属化合物を重合触媒として使用するのが好まし
い。
【0018】また、上記熱可塑性ポリエステル樹脂が、
サーモトロピック液晶性を示すポリエステル樹脂である
場合は、芳香族オキシカルボニル基を構成する芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸、芳香族ジオキシ単位を構成するジ
ヒドロキシ化合物、無水酢酸、芳香族ジカルボニル単位
を構成する芳香族ジカルボン酸、ポリエチレンテレフタ
レートなどのポリエステルのポリマー、オリゴマーまた
は、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど
芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エ
ステルとを脱酢酸重縮合反応によって製造する方法が挙
げられる。上記無水酢酸を添加する代わりに、芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸のアシル化物、芳香族ジヒドロキシ
化合物のジアシル化物を用いてもよい。
【0019】これら、熱可塑性ポリエステル樹脂の製造
時に、ポリエステルとの縮合部位と水素結合アクセプタ
ーとして作用する官能基の両方を有するモノマーのう
ち、イソニコチン酸などのようにポリエステルとの縮合
部位が一分子中に一つ存在するモノマーを共重合すれ
ば、ポリアルキレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエ
ステル樹脂の末端に水素結合アクセプターとして作用す
る官能基を導入できる。また、ポリエステルとの縮合部
位と水素結合アクセプターとして作用する官能基の両方
を有するモノマーのうち、3,5−ピリジンジカルボン
酸、2,6−ピリジンジカルボン酸などのようにポリエ
ステルとの縮合部位が一分子中に複数存在するモノマー
を共重合すれば、ポリマー鎖の途中に水素結合アクセプ
ターとして作用する官能基を導入できる。本発明におい
てはこれらのモノマーを併用することにより、末端およ
びポリマー鎖中の両方に水素結合アクセプターとして作
用する官能基を導入することも可能である。水素結合ア
クセプターとして作用する官能基を、主鎖の途中よりも
末端に導入した方が、水素結合アクセプターを共重合し
たことによる結晶性の低下を、より抑制できるため好ま
しい。
【0020】また、カルボニル基以外の水素結合アクセ
プターが導入されていない熱可塑性ポリエステル樹脂
と、ポリエステルとの縮合部位と水素結合アクセプター
として作用する官能基の両方を有するモノマーを、溶融
混練することにより、(A)水素結合アクセプターとし
て作用するカルボニル基以外の官能基を導入したポリエ
ステル樹脂に変性することが可能である。
【0021】本発明に使用する(B)成分である水素結
合ドナーとして作用する官能基を分子中に2個以上有す
る化合物における、水素結合ドナーとして作用する官能
基とは、酸素、窒素、フッ素など電気陰性度の大きな原
子に結合した水素原子を有する官能基を表す。具体的に
は、カルボキシル基を構成する−OH基、水酸基(−O
H基)、アミノ基(−NH2基、−NH−基)、および
アミド基を構成する−NH−基などが挙げられる。
【0022】本発明の(B)水素結合ドナーとして作用
する官能基を分子内に2個以上有する化合物としては、
その構造中に上記に例示されるような水素結合ドナー部
位が2個以上あることが必要である。また、その化合物
の分子量は1000より小さいことが好ましい。このよ
うな化合物の例としては、4,4´−ジフェニルジカル
ボン酸、4,4´−ジヒドロキシジフェニル、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、2,6−ジヒドロキシナフタ
レン、テレフタル酸、ハイドロキノン、4´−ヒドロキ
シジフェニル−4−カルボン酸、6−ヒドロキシ−2−
ナフトエ酸、p−ヒドロキシ安息香酸、ビス(p−カル
ボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、
4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、アジピン
酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸など
が挙げられる。また、上記の水素結合ドナーとして作用
する官能基が芳香環に直接結合している化合物が特に好
ましい。このような化合物の例としては例えば、4,4
´−ジフェニルジカルボン酸、4,4´−ジヒドロキシ
ジフェニルなどが挙げられる。
【0023】(A)成分に導入されるカルボニル基以外
の水素結合アクセプターとして作用する官能基の数に制
限はないが、(A)成分に対して(B)成分を添加する
場合、(A)成分の水素結合アクセプターとして作用す
る官能基1当量に対して、(B)成分の水素結合ドナー
として作用する官能基が0.01〜1.2当量となるよ
うに(B)成分を添加することが好ましい。少なすぎる
場合は、水素結合の形成量が少なくなるため、該組成物
の特性改良効果が小さくなる傾向にある。また、多すぎ
る場合は、組成物中に水素結合できない水素結合ドナー
が生成し、やはり水素結合形成による特性改良効果が小
さくなる傾向にある。
【0024】本発明のポリエステル樹脂組成物の代表的
な製造方法としては、前記(A)水素結合アクセプター
として作用する官能基を有する熱可塑性ポリエステル樹
脂に、(B)水素結合ドナーとして作用する官能基を分
子中に2個以上有する化合物を溶融混練して製造する方
法が好ましく挙げられる。それ以外に、(A)成分の溶
液中に(B)成分を添加して組成物とする方法、固体状
態の(A)成分に(B)成分を吸着させ、固相で組成物
とする方法などが挙げられるが、(A)成分を重合する
際に(B)成分を添加すると、(B)成分が(A)成分
中に共重合されてしまい、本発明の効果が十分に発揮で
きない可能性がある。
【0025】かくして得られる本発明のポリエステル樹
脂組成物は、上記(A)成分と(B)成分からなるもの
であるが、(A)、(B)両成分が有する官能基の少な
くとも一部は、組成物中において(A)成分中の水素結
合アクセプターとして作用する官能基と、(B)成分中
の水素結合ドナーとして作用する官能基とが水素結合に
より連結構造を形成しているものと考えられる。本発明
においては、このように(A)成分に(B)成分を作用
させ、高分子鎖間に水素結合による連結を形成させるこ
とにより、この連結部位が鎖間で相互作用するため、
(A)水素結合アクセプターとして作用する官能基を有
するポリエステル樹脂単体と比較して、降温結晶化温度
が高くなるとともに、弾性率が飛躍的に向上すると考え
られる。
【0026】本発明における(A)成分中の水素結合ア
クセプターとして作用する官能基としては第3級アミノ
基が好ましく、ピリジル基が最も好ましい。
【0027】また、(B)成分である水素結合ドナーと
して作用する官能基を分子中に2個以上有する化合物の
ドナー部位の構造としては、水酸基、カルボキシル基を
構成するOH基が好ましく、さらに芳香環に結合した水
酸基、またはカルボキシル基を構成するOH基が最も好
ましい。
【0028】さらに、本発明の樹脂組成物には、必要に
応じて本発明の効果を損なわない範囲において、無機充
填剤、耐衝撃性改良剤、有機リン化合物、ポリエーテル
エーテルケトンなどの結晶核剤、次亜リン酸塩などの着
色防止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンな
どの酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色
剤、難燃剤などを添加することができる。
【0029】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定される
ものではない。
【0030】[動的粘弾性]熱プレスにより作成した厚
さ約150μmのフィルムから長さ38mm、幅2mm
の短冊状の試験片を切り出し、オリエンテック製 RH
EO VIBRONDDV−II−EAを用い、周波数1
10Hz、チャック間距離30mm、昇温速度2℃/
分、20℃〜210℃で測定し、30℃、50℃、80
℃、110℃、140℃、170℃、200℃の貯蔵弾
性率(E´)を求めた。
【0031】[DSC(示差走査熱量測定)]セイコー
電子工業製 ロボットDSC RDC220を用い、窒
素雰囲気下、動的粘弾性測定に用いた熱プレスフィルム
から約5mgを採取し、測定した。30℃から250℃
まで20℃/分の昇温速度で昇温したときに観測される
吸熱ピーク温度(Tm1)と吸熱量(ΔHm1)を求
め、これに続いて250℃で5分間保持した後、250
℃から30℃まで20℃/分の降温速度で降温したとき
に観測される発熱ピーク温度(Tc1)と発熱量(ΔH
c1)を求め、さらに、それに続いて、30℃で5分間
保持した後、30℃から250℃まで20℃/分の昇温
速度で昇温したときに観測される吸熱ピーク温度(Tm
2)と吸熱量(ΔHm2)を求めた。
【0032】また、溶融状態から氷水に浸漬して急冷し
た試料を作成し、−40℃から20℃/分の昇温速度で
昇温させ、ガラス転移温度(Tg)を求めた。
【0033】[実施例1]ジメチルテレフタレート(三
菱化学(株)製)194g(1.00mol)、1,4
−ブタンジオール(東ソ−(株)製)180g(2.0
0mol)を仕込み、窒素雰囲気下、140℃まで昇温
して均一溶液とした後、触媒としてオルトチタン酸テト
ラn−ブチル0.176g(0.000549mol)
を添加し、140℃から220℃まで3時間かけて徐々
に昇温し、エステル交換反応を行い、ビスヒドロキシブ
チルテレフタレートを得た。これに、イソニコチン酸
1.23g(0.0100mol)を添加し、250℃
で融解させた後、オルトチタン酸テトラn−ブチル0.
11g(0.000343mol)を添加して、減圧下
(<0.5torr)で重縮合反応を行い、末端にピリ
ジル基を有するポリブチレンテレフタレートを得た。得
られたポリブチレンテレフタレート樹脂のガラス転移温
度は46℃であった。このポリブチレンテレフタレート
を18g(ピリジル基含有量:0.000811mo
l)採取し、250℃で融解させた後、4,4´−ジフ
ェニルジカルボン酸0.0982g(0.000405
mol)を添加して、10分間混練し、ポリブチレンテ
レフタレート樹脂組成物を得た。得られたポリブチレン
テレフタレート樹脂組成物の特性を表1に示した。
【0034】[実施例2]4,4´−ジフェニルジカル
ボン酸の代わりに、4,4´−ジヒドロキシジフェニル
0.0755g(0.000405mol)を用いた以
外は、実施例1に記載した方法と全く同様の方法でポリ
ブチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。
【0035】[実施例3]4,4´−ジフェニルジカル
ボン酸の代わりに、アジピン酸0.0593g(0.0
00406mol)を用いた以外は、実施例1に記載し
た方法と全く同様の方法でポリブチレンテレフタレート
樹脂組成物を得た。
【0036】[比較例1]4,4´−ジフェニルジカル
ボン酸を添加しなかった以外は、実施例1に記載した方
法と全く同様の方法でポリブチレンテレフタレートを得
た。
【0037】[比較例2]イソニコチン酸および4,4
´−ジフェニルジカルボン酸を添加しなかった以外は、
実施例1に記載した方法と全く同様の方法でポリブチレ
ンテレフタレートを得た。
【0038】上記実施例2,3および比較例1,2で得
られたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の特性を
表1に併記した。
【0039】
【表1】 実施例1〜3と比較例1、2との比較により、水素結合
アクセプターとして作用する官能基を導入した熱可塑性
ポリエステル樹脂に、水素結合ドナーとして作用する官
能基を分子中に2個以上有する化合物を作用させ、分子
間に連結構造を形成させた組成物(実施例1〜3)は、
水素結合アクセプターを有する熱可塑性ポリエステル樹
脂単体(比較例1)または通常の熱可塑性ポリエステル
樹脂単体(比較例2)と比較して、降温結晶化温度が高
くなり、また、結晶化度が小さいにもかかわらず(融解
熱ΔHm1から推定)、貯蔵弾性率が飛躍的に向上する
ことから、水素結合による連結構造が形成されているこ
とを確認した。
【0040】
【発明の効果】本発明により、水素結合アクセプターを
有する熱可塑性ポリエステル樹脂単体あるいは通常の熱
可塑性ポリエステル樹脂と比較して、降温結晶化温度が
高くなるとともに、貯蔵弾性率が飛躍的に向上したポリ
エステル樹脂組成物が得られるので、高剛性、高強度材
料として利用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CF061 CF071 CF081 CF131 CF181 CF201 EF116 EJ016 EJ066

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)水素結合アクセプターとして作用
    するカルボニル基以外の官能基を有する熱可塑性ポリエ
    ステル樹脂と、(B)水素結合ドナーとして作用する官
    能基を分子中に2個以上有する化合物とからなることを
    特徴とするポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂が、室
    温(25℃)より高いガラス転移温度を有することを特
    徴とする請求項1記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂の水素
    結合アクセプターとして作用する官能基が、第3級アミ
    ノ基であることを特徴とする請求項1または2記載のポ
    リエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂の水素
    結合アクセプターとして作用する官能基が、ピリジル基
    であることを特徴とする請求項1または2記載のポリエ
    ステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 (B)化合物の水素結合ドナーとして作
    用する官能基が、水酸基および/またはカルボキシル基
    を構成するOH基であることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれか1項記載のポリエステル樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 (B)化合物の水素結合ドナーとして作
    用する官能基が、芳香環に直接結合した水酸基および/
    またはカルボキシル基を構成するOH基であることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のポリエステ
    ル樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂の水素
    結合アクセプターとして作用する官能基が、末端に結合
    していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項
    記載のポリエステル樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 (A)水素結合アクセプターとして作用
    する官能基を有する熱可塑性ポリエステル樹脂の基本骨
    格が、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
    フタレート、ポリエチレンナフタレート、サーモトロピ
    ック液晶性を示すポリエステル、およびポリ乳酸から選
    ばれたポリエステルを構成する基本骨格で構成されるこ
    とを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のポリ
    エステル樹脂組成物。
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