JP2002054487A - ディーゼルエンジンの燃料噴射装置 - Google Patents

ディーゼルエンジンの燃料噴射装置

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JP2002054487A JP2000239951A JP2000239951A JP2002054487A JP 2002054487 A JP2002054487 A JP 2002054487A JP 2000239951 A JP2000239951 A JP 2000239951A JP 2000239951 A JP2000239951 A JP 2000239951A JP 2002054487 A JP2002054487 A JP 2002054487A
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 直噴式ディーゼルエンジンのNOx吸収還元
タイプの触媒22からNOxを放出させるにあたり、燃
費悪化やスモーク急増を避ける。 【解決手段】 燃料噴射量の増量補正を行なうことによ
り排気中の酸素濃度を低下させて触媒22からNOxを
放出させるようにする一方、当該増量補正前に排気温度
を上昇させて触媒温度を高めるべく圧縮行程上死点付近
で燃料を複数回に分けて噴射する分割噴射を採用し、さ
らに増量補正中も分割噴射を採用し、増量補正中の分割
噴射では増量補正前よりもその分割数を少なくするか噴
射休止間隔を短めに設定することにより、増量補正に伴
って燃料噴射の終了時期が遅くなることを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼルエンジ
ンの排気通路に酸素過剰雰囲気の排気中のNOxを吸収
するNOx吸収材を配設するとともに、このNOx吸収
材からNOxを放出させるときには、排気中の酸素濃度
が低下するように燃料噴射量等を制御するようにした燃
料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種のディーゼルエンジン
の燃料噴射制御装置として、例えば特開平6−2129
61号公報に開示されるように、気筒の圧縮行程上死点
付近で通常の燃料噴射を行う他に、所定の運転状態では
膨張行程中期から排気行程にかけて少量の燃料(軽油)
を追加供給して、排気中の還元剤成分の濃度を高めるこ
とにより、排気通路に設けたNOx吸収材の機能を回復
(リフレッシュ)させるようにしたものが知られてい
る。
【0003】すなわち、ディーゼルエンジンは通常、空
燃比がかなりリーンな状態(例えばA/F≧18くらい
で、排気中の酸素濃度が4%以上)で運転されるが、そ
のリーンな状態の排気中でNOxを還元浄化することは
極めて難しいので、排気中の酸素濃度が高いときにNO
xを吸収する一方、酸素濃度が減少すればNOxを放出
するいわゆるNOx吸収材を用いる技術がある。
【0004】そして、上記NOx吸収材はNOxの吸収
量が増えるに連れて吸収性能が低下する性質を有するの
で、上記従来の燃料噴射装置では、NOx吸収材の吸収
性能が大きく低下する前に、気筒の膨張行程で追加の燃
料を噴射し、この燃料の燃焼(後燃え)により排気中の
酸素を消費させて酸素濃度を例えば0.5%以下に低下
させるとともに、排気中のCOやHC等の還元剤成分の
濃度を高めて、その還元剤成分によりNOx吸収材から
のNOxの放出を促し、かつそのNOxを十分に還元浄
化して、NOx吸収材の吸収性能を回復させるようにし
ている。
【0005】また、圧縮行程上死点付近で燃料を一括し
て噴射するのではなく、複数回に分けて噴射する分割噴
射の技術が知られている。例えば特開平9−20986
6号公報には、圧縮行程上死点を起点として分割噴射を
開始すること、各回の噴射量を後の回になるほど多くす
ることが記載されている。燃焼室での熱発生率を広範に
且つ適切に制御せんとするものである。特開平10−1
22084号公報には、少量の燃料を噴射する前噴射を
行なうことにより燃焼室での着火を惹起し、続く主噴射
を複数回に分けて噴射することにより、スモーク及びN
Ox(窒素酸化物)の発生量を抑えることが記載されて
いる。特開平11−200933号公報には、圧縮行程
上死点付近の主噴射の直後に後噴射を行なうことにより
スモーク放出量を低減させることが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
なNOx吸収材は、NOxを吸収したり放出したりする
作用が温度状態に依存することが知られており、一例を
挙げれば、NOx吸収材による排気中のNOx浄化率
は、例えば図3(a)に示すように所定の温度範囲では
十分に高いものの、温度が低くなると急速に低下すると
いう特性を有する。しかし、熱効率に優れるディーゼル
エンジンではガソリンエンジンに比べて排気温度が低く
なりやすいので、エンジンの運転状態によってはNOx
吸収材の温度が上記所定の温度範囲よりも低くなってし
まい、NOxの吸収及び放出作用を十分に発揮させるこ
とができないという問題がある。
【0007】これに対して、本発明者は圧縮行程上死点
付近での燃料の分割噴射が排気温度の上昇、従って、N
Ox吸収材の昇温に有利になることを見いだしたが、分
割噴射をするとそれだけ燃料の噴射終了時期が遅くなる
ことから、燃料の燃焼性が悪化し、スモークの低減、燃
費率の低減に不利になる。
【0008】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、ディーゼルエンジン
の排気通路にNOx吸収材を配置して、酸素過剰雰囲気
の排気中のNOxを浄化するようにしたものにおいて、
燃料の分割噴射を工夫し、燃費の悪化やスモークの急増
を招くことなく、NOx吸収材の温度状態を高めて、N
Oxの放出等を促進することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明では、図
1に示すように、エンジン1の気筒2内の燃焼室4に燃
料を直接噴射供給する燃料噴射弁5と、エンジン1の排
気通路20に配設され、酸素濃度の高い酸素過剰雰囲気
の排気中のNOxを吸収する一方、酸素濃度の低下に伴
い上記吸収したNOxを放出するNOx吸収材22と、
エンジンの運転状態に応じて上記燃料噴射弁5による燃
料噴射量を決定する噴射量決定手段36と、上記NOx
吸収材22のNOx吸収量が所定値以上となったときで
且つ該NOx吸収材22からNOxを放出させるとき
に、排気中の酸素濃度が低下するように上記エンジンの
運転状態に応じて決定された燃料噴射量を増量補正する
噴射量補正手段37と、気筒の圧縮行程上死点付近にお
いて上記燃料噴射弁5により燃料を複数回に分割噴射す
べく、該燃料噴射弁5を、閉弁状態になる所定の噴射休
止間隔を挟んで断続的に開弁させる燃料噴射制御手段3
8とを備えたディーゼルエンジンの燃料噴射装置Aを前
提とする。そうして、上記燃料噴射制御手段38は、上
記噴射量補正手段37による燃料噴射量の増量補正期間
は上記NOx吸収材22のNOx吸収量が上記所定値未
満のときよりも、圧縮行程上死点付近における分割噴射
の開始から終了までの分割噴射期間が短くなるように、
燃料噴射の分割数及び上記噴射休止間隔の少なくとも一
方を変更することを特徴とする。
【0010】上記の構成により、エンジン1の運転中に
上記NOx吸収材22のNOx吸収量が所定値以上とな
って該NOx吸収材22からNOxを放出させるときに
は、噴射量補正手段37により燃料噴射量が増量補正が
なされるが、この増量補正前から分割噴射が実行されて
いるから、NOx吸収材の昇温が図れ、その後の燃料噴
射量の増量補正によるNOxの放出が効率良く行なわれ
ることになる。すなわち、本発明者は分割噴射を行なう
と、排気温度が上昇する傾向にあることを確認してお
り、本発明はこのことを利用してNOx吸収材の事前昇
温をが図るものであり、また、分割噴射により燃料噴射
量の増量補正中のNOx吸収材の温度維持、NOx生成
量の低減を図るものである。
【0011】一方、上記増量補正中に圧縮行程上死点付
近の主噴射を分割噴射にすると、一括噴射に比べて主噴
射の終了が遅くなる。そこで、本発明は、燃料噴射量の
増量補正期間は上記NOx吸収材22のNOx吸収量が
上記所定値未満のときよりも、圧縮行程上死点付近にお
ける分割噴射の開始から終了までの分割噴射期間が短く
なるように、燃料噴射の分割数及び上記噴射休止間隔の
少なくとも一方を変更するようにしたものである。具体
的には、燃料噴射量の増量補正期間は上記NOx吸収材
22のNOx吸収量が上記所定値未満のときよりも、燃
料噴射の分割数を少なくするか又は上記噴射休止間隔を
短くすることになる。
【0012】従って、圧縮行程上死点付近で噴射する主
噴射量を増量補正するやり方を採用した場合でも、該主
噴射の分割噴射によって該主噴射の終了時期が過度に遅
角されてしまうことを避けることができ、燃費の悪化や
スモーク発生量の増大を防止する上で有利になる。ま
た、主噴射量はそのままにして主噴射後の膨張行程で増
量分を後噴射するやり方を採用する場合でも、分割数の
低減又は噴射休止間隔の短縮によって主噴射の終了時期
が早くなるから、後噴射時期を過度に遅角する必要がな
くなり、燃費の悪化やスモーク量の増大を防止する上で
有利になる。
【0013】請求項2の発明は、請求項1に記載されて
いるディーゼルエンジンの燃料噴射装置において、さら
に、上記NOx吸収材の温度を検出する温度検出手段3
9と、上記燃料噴射量の増量補正前に上記温度検出手段
39によって検出される上記NOx吸収材22の温度が
所定値以下であるときに当該増量補正開始まで該NOx
吸収材の温度を上昇させるための昇温期間を設ける昇温
期間設定手段40とを備え、上記燃料噴射制御手段38
は、上記増量補正期間、昇温期間及び該昇温期間の前の
いずれにおいても燃料の分割噴射を実行し、且つ上記増
量補正期間は上記昇温期間よりも燃料噴射の分割数を少
なくすることを特徴とする。
【0014】従って、増量補正期間前の昇温期間に分割
噴射が採用され且つ増量補正期間は昇温期間よりも燃料
噴射の分割数が少ないから、請求項1の発明と同様にN
Ox吸収材の昇温が図れてNOxの放出に有利であると
ともに、燃費の悪化やスモーク発生量の増大が防止さ
れ、しかも、分割噴射を昇温期間前にも行なうから、こ
の分割噴射を利用してエミッション性の向上、燃費率の
低減、NOx吸収材の昇温を図ることができるようにな
る。
【0015】請求項3の発明は、請求項2に記載されて
いるディーゼルエンジンの燃料噴射装置において、上記
燃料噴射制御手段38は、上記増量補正期間は上記昇温
期間前よりも燃料噴射の分割数を少なくすることを特徴
とする。
【0016】換言すれば、上記昇温期間前は燃料噴射の
分割数を多くするものであり、これにより、NOx発生
量の低減、排気の昇温によるNOx吸収材の昇温に有利
になる。
【0017】請求項4の発明は、請求項1に記載されて
いるディーゼルエンジンの燃料噴射装置において、さら
に、上記NOx吸収材の温度を検出する温度検出手段3
9と、上記燃料噴射量の増量補正前に上記温度検出手段
39によって検出される上記NOx吸収材の温度が所定
値以下であるときに当該増量補正開始まで該NOx吸収
材の温度を上昇させるための昇温期間を設ける昇温期間
設定手段40とを備え、上記燃料噴射制御手段38は、
上記増量補正期間、昇温期間及び該昇温期間の前のいず
れにおいても燃料の分割噴射を実行し、且つ上記増量補
正期間は上記昇温期間よりも燃料噴射の噴射休止間隔を
短くすることを特徴とする。
【0018】この発明の場合も請求項2の発明と同様に
NOx吸収材の昇温によるNOx放出性の向上、燃費の
悪化やスモーク発生量の増大の防止、昇温期間前の分割
噴射によるエミッション性の向上、燃費率の低減、NO
x吸収材の昇温に有利になる。
【0019】請求項5の発明は、請求項4に記載されて
いるディーゼルエンジンの燃料噴射装置において、上記
増量補正期間は上記昇温期間前よりも燃料噴射の噴射休
止間隔が短いことを特徴とする。
【0020】この発明の場合も請求項3の発明と同様に
NOx発生量の低減、排気の昇温によるNOx吸収材の
昇温に有利になる。
【0021】請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5
のいずれか一に記載されているディーゼルエンジンの燃
料噴射装置において、上記燃料噴射制御手段38は、上
記増量補正開始から所定期間は当該増量補正期間の残り
の期間よりも燃料噴射の分割数を多くするか又は噴射休
止間隔を長くすることを特徴とする。
【0022】すなわち、燃料噴射量の増量はNOx吸収
材に多量のNOxが吸収されている状態で行なわれるか
ら、燃料噴射量が増量されると暫くはNOxが多量に放
出され、その後その放出量が漸減していくが、NOxが
一度に多量に放出されるとこれを還元浄化するための還
元剤が不足気味になる。これに対して、本発明者は燃料
噴射の分割数を多くするか又は噴射休止間隔を長くすれ
ば、排気中のHCやCOの量が増大することを確認して
いる。そこで、本発明では、燃料噴射量の増量補正開始
から暫くは燃料噴射の分割数を多くするか又は噴射休止
間隔を長くすることによって排気中のHCやCOの量を
増やし、NOxを確実に還元浄化できるようにしている
ものである。
【0023】請求項7の発明は、エンジンの気筒内燃焼
室に燃料を直接噴射供給する燃料噴射弁5と、エンジン
の排気通路に配設され、酸素濃度の高い酸素過剰雰囲気
の排気中のNOxを吸収する一方、酸素濃度の低下に伴
い先に吸収したNOxを放出するNOx吸収材22と、
エンジンの運転状態に応じて燃料噴射量を決定する噴射
量決定手段36と、上記NOx吸収材からNOxを放出
させるとき、排気中の酸素濃度が低下するように上記エ
ンジンの運転状態に応じて決定された燃料噴射量を増量
補正する噴射量補正手段37と、気筒の圧縮行程上死点
付近において上記燃料噴射弁5により燃料を複数回に分
割噴射すべく、該燃料噴射弁5を、閉弁状態になる所定
の噴射休止間隔を挟んで断続的に開弁させる燃料噴射制
御手段38とを備えたディーゼルエンジンの燃料噴射制
御装置において、上記燃料噴射制御手段38は、上記噴
射量補正手段37による燃料噴射量の増量補正期間にお
けるその増量補正開始から所定期間は当該増量補正期間
の残りの期間よりも燃料噴射の分割数を多くするか又は
噴射休止間隔を長くすることを特徴とする。
【0024】これにより、燃料噴射量が増量されると暫
くはNOxが多量に放出されるが、このとき、燃料噴射
の分割数が多くなるか又は噴射休止間隔が長くなるた
め、排気中のHCやCOの量が増え、NOxを確実に還
元浄化できるようになる。
【0025】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明によれば、
上記NOx吸収材のNOx吸収量が所定値以上となった
ときで且つ該NOx吸収材からNOxを放出させるとき
に、噴射量補正手段によって燃料噴射量の増量補正を行
なうが、該増量補正期間は上記NOx吸収材のNOx吸
収量が上記所定値未満のときよりも、圧縮行程上死点付
近における分割噴射の開始から終了までの分割噴射期間
が短くなるように、燃料噴射の分割数及び上記噴射休止
間隔の少なくとも一方を変更するから、事前にNOx吸
収材の温度を高めてNOxの放出性を良くすることがで
きるとともに、燃料噴射の終了時期が過度に遅くなるこ
とを避けることができ、燃費の悪化やスモーク発生量の
増大を防止することができる。
【0026】請求項2の発明によれば、NOx吸収材の
温度が所定値以下であるときに燃料噴射量の増量補正開
始まで該NOx吸収材の温度を上昇させるための昇温期
間を設けるようにし、この増量補正期間、昇温期間及び
該昇温期間の前のいずれにおいても燃料の分割噴射を実
行するようにし、しかも上記増量補正期間は上記昇温期
間よりも燃料噴射の分割数を少なくしたから、請求項1
の発明と同様にNOx放出性の向、燃費の悪化防止やス
モーク発生量の増大防止を図りながら、燃料の分割噴射
を有効に利用してエミッション性の向上、燃費率の低
減、NOx吸収材の昇温を図ることができるようにな
る。
【0027】請求項3の発明によれば、上記増量補正期
間は上記昇温期間前よりも燃料噴射の分割数を少なくし
たから、換言すれば、上記昇温期間前は燃料噴射の分割
数を多くするようにしたから、NOx発生量の低減、排
気の昇温によるNOx吸収材の昇温に有利になる。
【0028】請求項4の発明によれば、NOx吸収材の
温度が所定値以下であるときに燃料噴射量の増量補正開
始まで該NOx吸収材の温度を上昇させるための昇温期
間を設けるようにし、この増量補正期間、昇温期間及び
該昇温期間の前のいずれにおいても燃料の分割噴射を実
行するようにし、しかも上記増量補正期間は上記昇温期
間よりも分割噴射の噴射休止間隔を短くしたから、請求
項1の発明と同様にNOx放出性の向、燃費の悪化防止
やスモーク発生量の増大防止を図りながら、燃料の分割
噴射を有効に利用してエミッション性の向上、燃費率の
低減、NOx吸収材の昇温を図ることができるようにな
る。
【0029】請求項5の発明によれば、上記増量補正期
間は上記昇温期間前よりも分割噴射の噴射休止間隔を短
くしたから、換言すれば、上記昇温期間前は噴射休止間
隔を長くしたから、NOx発生量の低減、排気の昇温に
よるNOx吸収材の昇温に有利になる。
【0030】請求項6の発明や請求項7の発明によれ
ば、燃料噴射量の増量補正開始から所定期間は当該増量
補正期間中のその後の期間よりも燃料噴射の分割数を多
くするか又は噴射休止間隔を長くするから、燃料噴射量
が増量されてNOxが一度に多量に放出されるときに排
気中のHCやCOの量を増えることになり、NOxを確
実に還元浄化する上で有利になる。
【0031】
【発明の実施の形態】(全体構成)図2は本発明の実施
形態に係るディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置Aの
全体構成を示し、1は車両に搭載された多気筒ディーゼ
ルエンジンである。このエンジン1は複数の気筒2,
2,…(1つのみ図示する)を有し、その各気筒2内に
往復動可能にピストン3が嵌挿されていて、このピスト
ン3によって各気筒2内に燃焼室4が区画されている。
また、燃焼室4の上面の略中央部には、インジェクタ
(燃料噴射弁)5が先端部の噴孔を燃焼室4に臨ませて
配設され、各気筒毎の所定の噴射タイミングで開閉作動
されて、燃焼室4に燃料を直接、噴射供給するようにな
っている。
【0032】上記各インジェクタ5は燃料を高圧状態で
蓄えるためのコモンレール6に接続されている。このコ
モンレール6には、内部の燃圧(コモンレール圧)を検
出する圧力センサ6aが配設されているとともに、クラ
ンク軸7により駆動される高圧供給ポンプ8が接続され
ていて、この高圧供給ポンプ8の作動によりコモンレー
ル6内の燃圧を所定値以上に保持するようになってい
る。また、クランク軸7の回転角度を検出する電磁ピッ
クアップからなるクランク角センサ9が設けられてい
る。このクランク角センサ9は、クランク軸7端に配設
された被検出用プレート(図示せず)の外周に相対向す
るように配置され、該被検出用プレートの外周部に形成
された突起部の通過に対応して、パルス信号を出力す
る。
【0033】エンジン1の一側(図の左側)には、各気
筒2の燃焼室4に対し図外のエアクリーナで濾過した吸
気(空気)を供給する吸気通路10が接続されており、
この吸気通路10の下流端部は、図示しないサージタン
クを介して気筒毎に分岐し、それぞれ吸気ポートにより
各気筒2の燃焼室4に連通されている。また、サージタ
ンク内で各気筒2に供給される過給圧力を検出する吸気
圧センサ10aが設けられている。上記吸気通路10に
は上流側から下流側に向かって順に、エンジン1に吸入
される吸気流量を検出するホットフィルム式エアフロー
センサ11と、後述のタービン21により駆動されて吸
気を圧縮するブロワ12と、このブロワ12により圧縮
した吸気を冷却するインタークーラ13と、吸気通路1
0の断面積を絞る吸気絞り弁14とがそれぞれ設けられ
ている。この吸気絞り弁14は、全閉状態でも吸気が流
通可能なように切り欠きが設けられたバタフライバルブ
からなり、後述のEGR弁24と同様、ダイヤフラム1
5に作用する負圧の大きさが負圧制御用の電磁弁16に
より調節されることで、弁の開度が制御されるようにな
っている。
【0034】一方、エンジン1の他側(図の右側)に
は、各気筒2の燃焼室4から排気を排出する排気通路2
0が接続され、この排気通路20の上流端部は分岐し
て、それぞれ図示しない排気ポートにより各気筒2の燃
焼室4に連通されており、その排気通路の20の集合部
に排気中の酸素濃度を検出するためのO2センサ17が
配設されている。また、エンジン1のウォータジャケッ
トに臨んで冷却水温度(エンジン水温)を検出する水温
センサ18が配設されている。さらに、上記排気通路2
0には上流側から下流側に向かって順に、排気流により
回転されるタービン21と、排気中の有害成分を浄化す
る排気浄化用触媒22とが配設されている。上記タービ
ン21及びブロワ12からなるターボ過給機25は、詳
しくは図示しないが、タービン21の全周を囲むように
配設された複数のフラップを有し、その各フラップの回
動によりノズル断面積を変化させて、タービン21への
排気流速を調整するようにしたVGT(バリアブルジオ
メトリーターボ)である。
【0035】また、上記触媒22は、軸方向(排気の流
れ方向)に沿って互いに平行に延びる多数の貫通孔を有
するハニカム構造のコージェライト製担体(担体部材)
を有し、その各貫通孔壁面に触媒層を2層に形成したも
のである。具体的には、内側触媒層には白金Pt等の貴
金属とNOx吸収材であるバリウムBaとが、多孔質材
料であるアルミナやセリアをサポート材として担持され
ており、一方、外側触媒層には白金Pt及びロジウムR
hとBaとが多孔質材料であるゼオライトをサポート材
として担持されている。
【0036】この触媒22は、排気中の酸素濃度が高い
とき、即ち燃焼室4の空燃比がリーンな状態のときにN
Oxを吸収する一方、燃焼室4の空燃比が略理論空燃比
付近か又はそれよりもリッチな状態になって排気中の酸
素濃度が低下すると、吸収していたNOxを放出して還
元浄化する吸収還元タイプのものである。ここで、バリ
ウムBaによるNOxの吸収及び放出作用は温度状態に
依存し、例えば図3(a)に示すように、排気中のNO
xを吸収することによる触媒22の浄化率は約250℃
〜約400℃の温度範囲で極めて高くなるものの、それ
よりも温度状態の低い未暖機状態では、温度の低下とと
もに急速に低下してしまう。また、温度状態が400℃
以上になると、NOx浄化率は温度上昇とともに低下す
る。さらに、白金Pt等の貴金属の触媒活性も温度状態
が低いときには低下するので、同図(b)に示すよう
に、バリウムBaから放出されたNOxを還元浄化する
ときの浄化率も250℃未満では急速に低下している。
【0037】尚、上記触媒22において、バリウムBa
に代えてそれ以外のアルカリ土類金属やナトリウムNa
等のアルカリ金属、又は希土類金属のうちの少なくとも
一種を用いるようにしてもよい。また、上記内側触媒層
のサポート材としてゼオライトを用いてもよく、その場
合には上記外側触媒層のサポート材として、アルミナ又
はセリアを用いてもよい。さらに、上記触媒22として
は、担体の壁表面にアルミナやセリアがサポート材とし
て担持された触媒層を形成し、このサポート材に、白金
Pt、ロジウムRh、パラジウムPd等の貴金属と、カ
リウムK等のアルカリ金属やバリウムBa等のアルカリ
土類金属とを担持した1層コートタイプのものを用いて
もよい。
【0038】上記排気通路20は、タービン21よりも
上流側の部位で、排気の一部を吸気側に還流させる排気
還流通路23(以下、EGR通路という)の上流端に分
岐接続されている。このEGR通路23の下流端は吸気
絞り弁14よりも下流側の吸気通路10に接続されてお
り、そのEGR通路23の途中の下流端寄りには負圧作
動式の排気還流量調節弁24(以下、EGR弁という)
が配設されていて、排気通路20の排気の一部をEGR
弁24により流量調節しながら吸気通路10に還流させ
る排気還流手段を構成している。すなわち、上記EGR
弁24はその開度をリニアに調節可能なものであり、弁
体を作動させるダイヤフラム26が負圧通路27により
バキュームポンプ(負圧源)29に接続されていて、そ
の負圧通路27に介設された電磁弁28の作動によりE
GR弁駆動負圧が調節されることによって、開閉作動さ
れる。
【0039】尚、上記ターボ過給機25のフラップにも
EGR弁24と同様にダイヤフラム30が取り付けられ
ていて、負圧制御用の電磁弁31によりダイヤフラム3
0に作用する負圧が調節されることで、フラップの作動
量が調節されるようになっている。
【0040】上記各インジェクタ5、高圧供給ポンプ
8、吸気絞り弁14、EGR弁24、ターボ過給機25
のフラップ等はコントロールユニット(Engine Contoro
l Unit:以下ECUという)35からの制御信号によっ
て作動するように構成されている。一方、このECU3
5には、上記圧力センサ6aからの出力信号と、クラン
ク角センサ9からの出力信号(クランク角信号)と、エ
アフローセンサ11からの出力信号と、O2センサ17
からの出力信号と、水温センサ18からの出力信号と、
車両の運転者による図示しないアクセルペダルの操作量
(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ32か
らの出力信号とが少なくとも入力されている。
【0041】そして、インジェクタ5の作動による燃料
噴射制御が行われて、燃料噴射量及び燃料噴射時期がエ
ンジン1の運転状態に応じて制御されるとともに、高圧
供給ポンプ8の作動によるコモンレール圧力、即ち燃量
噴射圧の制御が行われる。また、EGR弁24の作動に
より排気の還流量が調節されて、各気筒内燃焼室4の空
燃比がエンジン1の運転状態に応じて制御されるように
なっており、これに加えて、吸気絞り弁14の作動によ
る吸入空気量の制御とターボ過給機25のフラップの作
動制御とが行われる。
【0042】(燃料噴射制御)上記ECU35のメモリ
には、エンジン1の目標トルク、吸入空気量及びエンジ
ン回転数の変化に応じて実験的に決定した基本的な燃料
噴射量Qのマップが電子的に格納されており、アクセル
開度センサ32からの出力信号とクランク角センサ9か
らの出力信号に基づいて求めたエンジン回転数とに基づ
いて目標トルクを求め、この黙秘用トルクとエアフロー
センサ11からの出力信号に基づいて吸入空気量とエン
ジン回転数とに基づいて、エンジン1の要求出力に対応
する基本燃料噴射量Qbaseを求める。そして、その要求
出力に対応する分量の燃料が基本的には各気筒2の圧縮
行程上死点(TDC)付近で噴射され(以下、主噴射と
いう)、エンジン1は燃焼室4の空燃比がかなりリーン
な状態で運転される。
【0043】また、上記ECU35のメモリには、上記
燃料噴射量マップと同様に目標トルクとエンジン回転数
とに応じて、気筒2の圧縮行程上死点付近における燃料
の噴射形態を設定した噴射形態マップが電子的に格納さ
れており、エンジン1の目標トルクとエンジン回転数と
に基づいて、上記噴射形態マップから最適な噴射形態が
選択される。すなわち、図4(a)に示すように燃料を
圧縮行程上死点付近で一括して噴射するか(以下、一括
噴射という)、或いは、同図(b)に示すように2回に
分割して噴射するか(2分割噴射という)、同図(c)
に示すように3回に分割して噴射するか(3分割噴射と
いう)のいずれかが選択されるとともに、そのように2
回又は3回に分割して噴射させる場合には、その途中の
閉弁状態となる噴射休止間隔Δtを変更して、エンジン
1の燃費性能や排気特性等が最適なものになるよう、燃
焼状態を変化させるようにしている。なお、図4には3
分割噴射形態までを例示しているが、必要に応じて4分
割以上にすること、例えば4分割噴射ないしは7分割噴
射にするようにしてもよい。
【0044】一方、排気通路20の触媒22におけるN
Ox吸収量が所定以上に大きくなってNOx吸収性能の
低下が予想されるときには(吸収過剰状態)、詳しくは
後述するが、主に燃料噴射量の増量補正により一時的に
燃焼室4の空燃比を略理論空燃比付近か或いはそれより
もリッチな状態に制御することにより、排気中の酸素濃
度を低下させかつ還元剤成分濃度を高めて、触媒22か
ら吸収したNOxを放出させて十分に還元浄化させるよ
うにしている(以下、NOx放出制御という)。その場
合の噴射形態としては、図4(d)に示すように、燃料
の一部(例えば増量補正分)を主噴射後の膨張行程にお
いて後噴射するか、図4(e)に示すように、主噴射に
おける各分割噴射量を増量する噴射形態を採用すること
ができる。燃料噴射量の増量補正分を吸気行程初期から
圧縮行程中程までの間での前噴射によって噴射供給する
ようにしてもよい。
【0045】尚、上記図4の(a)〜(e)にそれぞれ
示す燃料噴射形態において、インジェクタ5の実際の励
磁時間(開弁時間)は、燃料噴射量だけではなく、圧力
センサ6aにより検出されたコモンレール圧を加味して
決定される。
【0046】ここで、上記のように気筒2の圧縮行程上
死点付近での主噴射を分割して行ったときの燃焼状態に
ついて説明すると、気筒2の圧縮行程上死点付近でイン
ジェクタ5により燃料を噴射する場合、該インジェクタ
5の噴孔から噴射された燃料は、全体として円錐形状の
噴霧を形成しながら燃焼室4に広がるとともに、空気と
の摩擦により分裂して微小な油滴になり(燃料の微粒
化)、それらの油滴の表面から燃料が蒸発して燃料蒸気
が生成される(燃料の気化霧化)。このとき、燃焼室4
内の空気は極めて高圧で粘性の高い状態になっているの
で、上記図4(a)に示すように、燃料を一括して噴射
する場合にその噴射量が多いと、そのうちの先に噴出し
た燃料油滴に後続の燃料油滴が追いついて再結合してし
まい、燃料の微粒化ひいては気化霧化が阻害されること
がある。
【0047】これに対し、上記図4(b)〜(e)に示
すように燃料を複数回に分割して噴射するようにすれ
ば、先のインジェクタ5の開弁により噴出した燃料油滴
に、次の開弁により噴出した燃料油滴が追いつくことが
少なくなり、油滴同士の再結合に起因して燃料の微粒化
が阻害されることを概ね回避できる。また、燃料の噴射
圧力をさらに高めて、燃料の微粒化をより一層、促進す
ることも可能になり、こうすれば、燃焼室における燃料
噴霧の分布の均一化や空気利用率の向上度合いをさらに
高めることができる。そして、このような分割噴射によ
る燃料噴霧と空気との混合状態の変化は、燃料噴射量、
噴射時期、噴射率、燃料圧力、分割噴射回数、噴射休止
間隔等の種々のパラメータ及びそれら相互の関係によっ
ても変化し、これに伴い燃焼状態が変化することで、エ
ンジン1の燃費性能や排気温度、或いは排気中のCO,
HC,NOx等のガス成分の濃度が変化すると考えられ
る。
【0048】この実施形態のものと同様の4気筒ディー
ゼルエンジン(排気量は約2000cc)を比較的低負
荷かつ低回転状態で運転し、一括噴射、2分割噴射及び
3分割噴射のそれぞれについて、インジェクタ5の噴射
休止間隔Δtを350〜900マイクロ秒(μs)の範
囲で適宜変更しながら、これに伴い変化する噴射終了時
のクランク角度と、燃費率やCO濃度との関係を計測し
た実験結果の一例を、図5〜図10に示す。
【0049】まず、図5にCO濃度について示すよう
に、2分割噴射では、Δt=350,400,550,
700,900μsのときの値をそれぞれプロットし、
また、3分割噴射では、Δt=400,550,70
0,900μsのときの値をそれぞれプロットした。同
図によれば、排気中のCO濃度は、上記2分割及び3分
割噴射のいずれの場合も、インジェクタ5の噴射休止間
隔Δtが短いときに低減する一方、噴射休止間隔Δtが
長くなるに連れて増大する傾向がある。図6に示すよう
に、排気中のHC濃度については上記CO濃度と同様の
傾向がある。図7に示すように、排気中のNOx濃度は
CO濃度とは反対に噴射休止間隔Δtが長いほど低減で
きることが分かる。また、スモーク量については、図8
に示すように、2分割及び3分割噴射のいずれの場合
も、インジェクタ5の噴射休止時間Δtが短いときはス
モーク量を低減できる一方、噴射休止時間Δtが長くな
るに連れてスモーク量が増大することが分かる。
【0050】一方、このときのエンジンの燃費率の変化
は図9に示すようになり、一括噴射よりも2分割噴射の
方が燃費率が改善される反面、3分割噴射では、噴射休
止間隔Δtが短いときには燃費率がやや改善されるが、
噴射休止間隔Δtが長くなるに連れて燃費率が悪化する
傾向がある。言い換えると、燃料噴射総量を変えずに噴
射回数及び噴射休止間隔Δtを増やせば、エンジンの出
力トルクは低下することになる。そして、このときの排
気温度の変化は図10に示すようになり、一括噴射より
も2分割噴射の方が排気温度が高く、その2分割噴射よ
りも3分割噴射の方がさらに排気温度が高くなることが
分かる。このことから、例えばNOx放出制御を行うに
先立って主噴射の分割制御を行うことにより、触媒22
の温度を高めてそのリフレッシュを促進することができ
ると考えられる。
【0051】そこで、この実施形態の燃料噴射制御で
は、エンジン1の運転中に触媒22のNOx吸収材がN
Ox吸収過剰状態になってリフレッシュする必要がある
ときに、該触媒22が未暖機状態になっていれば、主噴
射の分割制御によって触媒22の温度(NOx吸収材の
温度でもある)を速やかに高め、かつ排気中のCO,H
C濃度を徐々に増大させる。続いて、燃料噴射量を増量
補正することで、排気中の酸素濃度を低下させるととも
に、CO,HCの濃度を十分に増大させて、触媒22の
リフレッシュを最大限に促進するようにしている。
【0052】以下に、具体的な燃料噴射制御の処理手順
について図11〜図16に示すタイムチャート及びフロ
ーチャートに沿って説明する。尚、この制御は各気筒毎
にクランク角信号に同期して実行される。
【0053】−制御例1− この制御では触媒22のNOx吸収材がNOx吸収過剰
状態になってNOx放出制御を行なうべきとき、触媒2
2の温度(NOx吸収材の温度)がNOx放出性が悪い
低温状態にあれば、図11に示すように、昇温期間が設
定される。以下、具体的に説明する。
【0054】図12に示すフローのスタート後のステッ
プA1において、クランク角信号、エアフローセンサ出
力、O2センサ出力、アクセル開度、エンジン水温等の
データを入力し、続くステップA2において、アクセル
開度とエンジン回転数Neとから求めた目標トルクとエン
ジン回転数Neと吸入空気量とに基づいて、燃料噴射量マ
ップから基本燃料噴射量Qbaseを読み込むとともに、そ
の噴射時期Ibaseを予め設定したマップから読み込む。
この噴射時期のマップには、エンジン水温Tw及びエンジ
ン回転数Neに対応する最適な噴射時期が実験的に求めら
れて記録されており、例えば、エンジン水温Twやエンジ
ン回転数Neが異なれば燃料噴霧の着火遅れ時間が異なる
ので、このことに対応して基本的な噴射時期Ibaseが設
定されている。
【0055】続いて、ステップA3では、エンジン水温
Twが設定水温Tw0よりも低いか否か判別する。この設定
水温Tw0は、エンジン1の冷間始動時における触媒22
の未暖機状態に対応する水温であり、エンジン水温Twが
設定水温Tw0よりも低いYESであれば、ステップA4に進
んで、触媒22の暖機(昇温)を促進するために主噴射
の分割制御を行うことを示すフラグFpをオンにして
(Fp=1)、図13のステップA20に進む。つま
り、エンジン1の冷間始動時に触媒22の暖機が完了し
ていなければ、主噴射の分割制御により排気温度を高め
て、触媒22の昇温を図るようにしている。一方、エン
ジン水温Twが設定水温Tw0以上になっていれば(ステッ
プA3でNO)、触媒22は暖機完了と判定して、ステッ
プA5に進む。
【0056】このステップA5では、触媒22における
NOxの吸収量を推定する。この推定は、例えば車両の
走行距離とその間の燃料の総噴射量とを積算し、その積
算値に基づいて行うようにすればよい。或いは、エンジ
ン1の運転時間とその間の燃料の総噴射量とを積算し、
さらにエンジン1の運転状態に基づいてその積算値を修
正して、その修正後の積算値に基づいてNOx吸収量を
推定するようにしてもよい。そして、続くステップA6
において、NOx吸収量の推定値が所定値以上か否か判
別し、推定値が所定値(触媒22の飽和NOx吸収量よ
りも少し小さい値に設定されている)よりも小さければ
ステップA17に進む一方、推定値が所定値以上でYES
ならばステップA7に進み、このステップA7で、NO
x放出制御を行う期間であることを示すフラグF1をオ
ンにし(F1=1)、推定値をキャンセルしてステップ
A8に進む。
【0057】このステップA8では、触媒22の温度状
態(触媒温度Tc)を推定する。この推定は、例えば現在
までの所定期間におけるエンジン水温Twの履歴とその間
のエンジン回転数や車速等に基づいて行うようにすれば
よく、或いは、触媒22の付近の排気通路20に温度セ
ンサを設けて、このセンサからの出力に基づいて直接的
に推定するようにしてもよい。続いて、ステップA9に
おいて、推定した触媒温度Tcが触媒22のNOx除去性
能の低くなる第1設定温度Tc1(例えば250℃)より
も低いか否か判別する。この判別がYESであれば、触媒
22のNOx吸収又は放出作用がかなり低下しているの
で、ステップA10に進んで、フラグFpをオン状態に
し(Fp=1)、図13のステップA20に進む。
【0058】つまり、NOx吸収量が多くなり触媒22
の浄化性能が低下すると考えられる場合であっても、触
媒22の温度が低いときには、NOxの放出による触媒
22のリフレッシュを十分に促進することはできず、ま
た、放出されたNOxを十分に還元浄化することもでき
ないので、このときには、後述の如き主噴射の分割制御
によって、触媒22の昇温を図るようにする。
【0059】また、上記ステップA9の判別結果がNOで
あれば、ステップA11に進んでフラグFpをクリア
し、続くステップA12では、NOx放出制御の経過時
間を計測するためのタイマ値T1(初期値は零)をイン
クリメントする。続いて、ステップA13において、タ
イマ値T1が予め設定したしきい値T10以上になった
か否か判別する。このしきい値T10は、予め設定した
NOx放出制御の期間に対応する値なので、判別結果が
NOであればステップA14に進み、燃焼室4の空燃比が
略理論空燃比付近になるように基本燃料噴射量Qbaseを
増量補正する燃料増量補正量Qc(Qc=R1)を決定
して、図13のステップA20に進む。
【0060】すなわち、例えばエアフローセンサ11の
出力から求められる吸入空気量に基づいて、この吸入空
気量に対して空燃比が略理論空燃比付近になるような燃
料噴射量を演算して、燃料増量補正量Qcを決定する。
一方、上記ステップA13の判別結果がYESであれば、
NOx放出制御を行う期間は終了したので、ステップA
15で燃料増量補正量Qcを零にし(Qc=0)、ステ
ップA16でフラグF1をクリアして(Fp=0)、図
13のステップA20に進む。
【0061】つまり、NOx吸収量が多くなり触媒22
の浄化性能が低下すると考えられる場合であって、かつ
触媒22の温度がある程度高くなっていれば、NOx放
出制御を行って該触媒22からNOxを放出させかつ還
元浄化することで、触媒22のリフレッシュを図るよう
にしている。
【0062】また、上記ステップA6において、NOx
吸収量の推定値が所定値よりも小さいと判定されたとき
は、ステップA17に進んでフラグF1の状態によりN
Ox放出制御中か否かを判別する。フラグF1=1とし
たときはNOx吸収量の推定値をキャンセルしているた
め、放出制御中でもステップA6の判別がNOとなるため
である。ステップA17の判別がYESならば(F1=
1)、NOx放出制御の途中なので上記ステップA8に
進む一方、オフ状態でNOならば(F1=0)、NOx放
出制御を行う期間ではないので、続くステップA18で
第1タイマ値T1をリセットし(T1=0)、続くステッ
プA19でフラグFpをクリアして(Fp=0)、図1
3のステップA20に進む。
【0063】以上において、触媒温度Tcの推定ステップ
A8は触媒(NOx吸収材)の温度検出手段を構成して
いるということができる。そうして、ステップA6でN
Ox吸収量が所定値以上であると判別され、ステップA
9で触媒温度Tcが低いと判別されたときは、ステップA
10でフラグFp=1として触媒22の昇温促進のため
の分割噴射制御(後述する。)に入り、触媒温度Tcが高
くなるとステップA9の判別がNOとなってステップA1
1でFp=0とされて、後述の燃料噴射量の増量補正の
ための分割噴射制御に移行するものである。従って、ス
テップA6〜A11は、上記燃料噴射量の増量補正前に
上記温度検出手段によって検出される上記NOx吸収材
の温度が所定値以下であるときに当該増量補正開始まで
該NOx吸収材の温度を上昇させるための昇温期間を設
ける昇温期間設定手段を構成している。
【0064】上記ステップA4,A10,A14,A1
6,A19に続くフローは図13に示されている。すな
わち、ステップA20では、フラグFpがオン状態か否
か判別する。この判別結果がNOであればステップA21
に進んでフラグF1がオン状態か否かを判別する。この
判別結果がNOであればステップA22,A23に進む。
すなわち、フラグFp及びF1が共にオフということ
は、触媒22の暖機は完了しているが、NOx吸収過剰
状態ではないということである(触媒昇温期間前の通常
の運転状態)。この場合は、分割数が多い分割噴射形態
ないしは噴射休止間隔Δtが短めの分割噴射形態を設定
する。具体的には、ステップA22で基本燃料噴射量Q
baseを3等分し(3分割噴射)、ステップA23で分割
された各燃料Q1a、Q2a、Q3aの噴射時期I1
a、I2a、I3aを設定して、各噴射時期に至った時
にインジェクタ5を作動させて燃料噴射を実行する(ス
テップA24)。最初の噴射時期I1aは先に設定され
た基本噴射時期Ibaseであり、2回目以降の噴射時期I
2a、I3aは噴射休止間隔Δtが200〜400μs
となるようにエンジンの運転状態に応じて設定する。
【0065】分割数を多くするのは図7に示すようにN
Ox発生量を少なくすることができ、また、図10に示
すように排気温度を高めることができ、触媒22を比較
的高い温度状態(例えば250℃以上の温度)に維持す
る上で有利になるためである。また、噴射休止間隔Δt
を短めに設定するのは、図5、図6、図8に示すように
CO量、HC量及びスモーク量の低減が図れ、図9に示
すように燃費率の低減が図れるためである。
【0066】ステップA20でフラグFpがオン(Fp
=1)と判別されたときは、ステップA25、A26に
進んで先の場合と同様に分割数が多めの3分割噴射(Q
base→Q1b,Q2b,Q3b)を設定するが、この場
合は噴射休止間隔Δtが400〜1000μsというよ
うに長めになるようにエンジンの運転状態に応じて各噴
射時期I1b,I2b,I3bを設定する。なお、I1
b=Ibaseである。
【0067】すなわち、フラグFpがオンということ
は、エンジン水温が低くて触媒温度Tcが低い状態にある
か、NOx吸収過剰状態にあるが触媒温度Tcが低い状態
にあるということである。後者は燃料噴射量の増量補正
を行なう前の触媒昇温期間ということになる。そこで、
触媒22の昇温を図ることができるように分割噴射形態
を設定するものである。この場合は、3分割噴射である
から排気温度を高めて触媒22を昇温させる上で有利に
なり、また、噴射休止間隔Δtが長めであるから同じく
排気温度を高めて触媒22を昇温させる上で有利になる
ものである(図10参照)。また、噴射休止間隔Δtが
長くなることにより、NOx浄化用還元剤としてのHC
及びCOが増え(図5,図6参照)、NOx自体は少な
くなる(図7参照)。
【0068】ステップA20でフラグFpがオフ(Fp
=0)で且つステップA21でフラグF1がオン(F1
=1)であるならば、ステップA27に進み、基本燃料
噴射量Qbaseに燃料増量補正量Qcを加えて、総燃料噴
射量Qtを演算する。すなわち、フラグFp=0で且つ
F1=1ということは、触媒22はNOx放出に支障が
ない程度に昇温され且つNOx吸収過剰状態にある(又
はNOx放出制御中である)ということである。そこ
で、NOxの放出を促すべく燃焼室4の平均的空燃比が
略理論空燃比になるように燃料噴射量の増量補正を行な
うものである。
【0069】続いて、ステップA28において、後噴射
の燃料噴射量Qp及び噴射時期Ipをそれぞれ設定す
る。すなわち、後噴射量Qpはエンジン1の運転状態に
対応する最適値がマップとして記録されていて、このマ
ップから読み込まれるようになっており、その噴射割合
は、例えば主噴射の5〜60%の範囲に設定される。上
記燃料増量補正量Qcを後噴射量Qpとしてもよい。こ
のようにすれば、制御の演算を簡略化できる。また、後
噴射時期Ipは燃焼安定性の確保、スモーク量、HC量
の低減の観点から膨張行程の前半、特に圧縮行程上死点
後35゜CAぐらいまで後噴射が完了するように設定さ
れている。
【0070】続いて、ステップA29、A30において
燃料噴射量の増量補正期間用の分割噴射を設定する。す
なわち、この分割噴射では昇温期間前及び昇温期間中の
分割噴射よりも分割数が少な目になるように設定する。
すなわち、上記総燃料噴射量Qtから後噴射量Qpを減
算した後に2等分して2分割噴射{(Qt−Qp)→Q
1c,Q2c}とし、各々の噴射時期I1c,I2cを
噴射休止間隔Δtが100〜400μs又は400〜7
00μsとなるように設定する。なお、I1c=Ibase
である。
【0071】この増量補正期間の分割数を少な目に設定
するのは、分割数が多いとそれだけ当該主噴射の終了が
遅くなり、それに伴って後噴射時期が遅くなって燃焼性
が悪化しスモーク量、HC量が増大することから、これ
を避けるためである。また、分割数が少ない方が燃費率
が低くなる利点がある(図9参照)。噴射休止期間Δt
に関しては、エンジンの運転状態に応じて設定するが、
HC量、CO量、スモーク量の低減をねらいとする場合
はΔtを短め(100〜400μs)に設定し(図5,
6,8参照)、NOxの低減をねらいとする場合はΔt
を長め(400〜700μs)に設定する(図7参
照)。Δtを短めに設定すると、後噴射の終了を早める
上でも有利になる。
【0072】上記図12,図13に示すフローにおい
て、ステップA2が噴射量決定手段36を構成し、ステ
ップA6〜A16,A21,A27が噴射量補正手段3
7を構成し、ステップA20〜A30(A27を除く)
が燃料噴射制御手段38を構成している。
【0073】従って、この実施形態に係るディーゼルエ
ンジンの燃料噴射装置Aによれば、通常の運転状態で
は、噴射休止間隔Δtを短めの200〜400μsとし
た3分割噴射が行なわれることにより、エンジン1は燃
焼室4の平均的空燃比がリーンな状態で運転され、H
C、CO、NOx、スモーク、燃費率の低減、触媒温度
の維持が図られる。燃焼に伴い生成するNOxが触媒2
2のNOx吸収材に吸収されて、その吸収量が過剰な状
態になると、該触媒22からNOxを放出させて還元浄
化するNOx放出制御が行われる。
【0074】このとき、例えばエンジン1が長時間、所
定の低回転運転状態とされ、触媒22が未暖機状態に対
応する低温状態になっていれば、昇温期間設定手段40
により触媒22の温度Tcを上昇させる期間が設けら
れ、噴射休止間隔Δtを長めの400〜1000μsと
した3分割噴射が行なわれる。これにより、エンジン1
は燃焼室4の平均的空燃比がリーンな状態の運転が継続
されるが、噴射休止間隔Δtが長めになることにより、
燃料噴霧の空気との混合状態がさらに改善され、空気利
用率も向上して燃焼による熱発生率が増大するととも
に、燃焼の終了が遅角側にずれることで排気温度が上昇
し、これにより、排気通路20の触媒22の温度を速や
かに高めることができる。
【0075】触媒22の温度TcがNOxの放出に適し
た温度(Tc1以上)になると、昇温期間から燃料噴射量
の増量補正期間に移行し、燃料噴射量の増量補正(Qt
←Qbase+Qc)が行なわれるとともに、その燃料の一
部が後噴射に回され、残りの燃料は主噴射として2分割
噴射される。これにより、排気中の酸素濃度が低下しか
つCOやHC等の還元剤成分の濃度が十分に高められる
ので、上記のように昇温されている触媒22から速やか
にNOxを放出させ、かつ十分に還元浄化することがで
きる。しかも、後噴射時期が過度に遅くなることが避け
られ、スモーク量、HC量の増大が防止されるととも
に、燃費率が低くなる。
【0076】また、燃料噴射量を増量補正する前に昇温
用の分割噴射により、排気中のHC,CO濃度が高まる
ので、その後の燃料噴射量の増量補正によって一時的に
NOxの生成が盛んになっても、生成されたNOxがC
O,HCと反応することになり、大気中へのNOx排出
量が急増することが避けられる。
【0077】そして、上記のように触媒22を極めて効
率よくリフレッシュできる結果として、エンジン1の運
転中にNOx放出制御を行う時間を相対的に短くするこ
とができるので、燃料噴射量の増量に伴う燃費悪化を抑
制することができる。しかも、主噴射の分割制御によっ
て、上記のように燃焼状態が極めて良好なものになり、
また、噴射終了時期は相対的に遅くなるものの、その
間、燃焼室4の圧力が相対的に長く十分に高い状態に維
持され、いわゆる等容度の向上により機械効率も高めら
れて、燃費改善が図られる。
【0078】なお、エンジン始動時は筒内温度が低いた
め燃焼安定性確保の観点から一括噴射を採用する。
【0079】−制御例2− この制御例2は、図14に示すように増量補正期間T10
を排気中のHC、COの量を増やす前側の所定期間(F
11=1)と残りの期間(F11=0)とに分け、この両期
間の分割噴射形態を異なるものにした点に特徴がある。
以下、図15及び図16に示すフローに従って具体的に
説明する。
【0080】ステップB1〜B12は制御例1のステッ
プA1〜A12と同じである。ステップB12に続くス
テップB13では、NOx放出制御の経過時間を計測す
るためのタイマ値T1が予め設定したしきい値T11以上
になったか否か判別する。このしきい値T11は、排気中
のHC、COの量を増やす期間に対応する値であり、こ
の期間は増量補正期間の例えば1/4〜2/3程度とする。こ
の判別結果がNOであれば、すなわち、しきい値T11を経
過していなければ、ステップB14に進んで排気中のH
C、COの量を増やす前側の所定期間であることを示す
フラグF11をオン(F11=1)とし、さらにステップB
15に進んで燃焼室4の空燃比が略理論空燃比付近にな
るように基本燃料噴射量Qbaseを増量補正する燃料増量
補正量Qc(Qc=R1)を決定して、図16のステッ
プB23に進む。
【0081】ステップB13でタイマT1がしきい値T
11以上になったと判別されたときはステップB16に進
んでタイマ値T1が予め設定したしきい値T10以上にな
ったか否かを判別する。T10以上になっていなければ、
残り期間であるとしてステップB17に進んでフラグF
11をオフ(F11=0)にし、ステップB15に進む。ス
テップB16でタイマT1がしきい値T10以上になった
と判別されたときはステップB18に進んで燃料増量補
正量Qcを零とし、さらにステップB19に進んでフラ
グF1及びF11をオフにする。
【0082】なお、図15のステップB20〜B22は
制御例1のステップA17〜A19と同じである。
【0083】図16のフローにおいて、ステップB23
〜B31は制御例1のステップA20〜A28と同じで
ある。この制御例2では、ステップB31に続くステッ
プB32においてフラグF11のオン・オフを判別し、オ
ン(F11=1のYES)であれば、排気中のHC、COの量
を増やす前側の所定期間であるとしてステップB32、
B33に進み、燃料噴射量の増量補正期間前側の排気中
のHC、COの量を増やす分割噴射を設定する。すなわ
ち、この分割噴射では昇温期間前及び昇温期間中の分割
噴射よりも分割数が少な目になるように設定するととも
に、噴射休止間隔Δtを長めに設定する。具体的には、
総燃料噴射量Qtから後噴射量Qpを減算した後に2等
分して2分割噴射{(Qt−Qp)→Q1c,Q2c}
とし、各々の噴射時期I1c,I2cを噴射休止間隔Δ
tが400〜1000μs又は700〜1000μsと
なるように設定する。なお、I1c=Ibaseである。
【0084】一方、ステップB32のフラグF11の判別
がNO(F11=0)であれば、当該増量補正期間の残り期
間であるとしてステップB35,B36に進み、2分割
噴射とするが、噴射時期I1c,I2cについては噴射
休止間隔Δtが上記前側所定期間(F11=1)よりも短
めになるように設定する。すなわち、上記前側所定期間
(F11=1)のΔtが400〜1000μsであれば、
残期間のΔt=100〜400μsとし、上記前側所定
期間(F11=1)のΔtが700〜1000μsであれ
ば、残期間の又は400〜700μsとするものであ
る。但し、I1c=Ibaseである。
【0085】以上のように、この制御例2の場合は、燃
料噴射量を増量すべき期間に入ったとき、その増量開始
から所定期間(F11=1)は噴射休止間隔Δtが長めに
設定されるから、その間は図5、図6に示すように排気
中のCO量及びHC量が増大することになる。従って、
燃料噴射量を増量したとき暫くは触媒22のNOx吸収
材からNOxが多量に放出されるが、このとき排気中の
HC量及びCO量が増大するから、NOx浄化用の還元
剤が不足気味になることが避けられ、NOxが多量に放
出されてもこれを確実に還元浄化できることになる。
【0086】なお、上記制御例1,2の分割噴射におい
ては、燃料噴射量の増量補正期間の分割数を昇温期間の
分割数よりも少な目にすることによって、後噴射時期が
過度に遅くなることを避け、スモーク量、HC量の増大
防止、燃費率の低減を図ったが、分割数は同じにして噴
射休止間隔Δtを短めにした場合にも同様の効果が得ら
れ、分割数の低減と噴射休止間隔Δtの短縮の双方を実
行するようにすると、さらに高い効果が得られる。ま
た、後噴射を行なわず、主噴射量を増量補正することに
よってNOxの放出を促すことができるが、その場合で
も上記分割数の低減又は噴射休止間隔Δtの短縮により
同様の効果を得ることができる。
【0087】また、燃料噴射量の増量補正期間と昇温期
間前の期間、即ち、通常運転期間との関係においても、
上記制御例1,2では前者の分割数を後者の分割数より
も少なくしたが、前者の噴射休止間隔Δtを後者よりも
短めに、換言すれば後者の噴射休止間隔Δtを前者より
も長めにしてもよい。これにより、通常運転期間中のN
Ox発生量の低減を図ることができる。
【0088】また、上記制御例2では燃料噴射量の増量
開始から所定期間(F11=1)の噴射休止間隔Δtを残
期間(F11=0)よりも長めに設定したが、所定期間
(F11=1)の分割数を残期間(F11=0)よりも多め
に設定するようにしてもよい。その場合でも噴射休止間
隔Δtが同じであれば、所定期間(F11=1)に排気中
のHC量及びCO量を増やすことができる(図5,図6
参照)。
【0089】また、上記実施形態では2分割噴射と3分
割噴射とを例示したが、分割数2〜7の範囲で上記各期
間に応じた分割数を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示す説明図。
【図2】実施形態に係るディーゼルエンジンの燃料噴射
装置の全体構成を示す図。
【図3】NOx吸収材によるNOx吸収浄化性能(a)
及び触媒金属によるNOx還元浄化性能(b)の温度依
存性を表すグラフ図。
【図4】燃料噴射形態の説明図。
【図5】燃料噴射の分割回数及び噴射休止間隔をそれぞ
れ変化させたときの、排気中のCO濃度の変化特性を示
すグラフ図。
【図6】燃料噴射の分割回数及び噴射休止間隔をそれぞ
れ変化させたときの、排気中のHC濃度の変化特性を示
すグラフ図。
【図7】燃料噴射の分割回数及び噴射休止間隔をそれぞ
れ変化させたときの、排気中のNOx濃度の変化特性を
示すグラフ図。
【図8】燃料噴射の分割回数及び噴射休止間隔をそれぞ
れ変化させたときの、排気中のスモーク量の変化特性を
示すグラフ図。
【図9】燃料噴射の分割回数及び噴射休止間隔をそれぞ
れ変化させたときの燃費率の変化特性を示すグラフ図。
【図10】燃料噴射の分割回数及び噴射休止間隔をそれ
ぞれ変化させたときの、排気温度の変化特性を示すグラ
フ図。
【図11】本発明の制御例1の各期間の説明図。
【図12】同制御例のフローの前半部分の図。
【図13】同制御例のフローの後半部分の図。
【図14】本発明の制御例2の増量補正期間の説明図。
【図15】同制御例のフローの前半部分の図。
【図16】同制御例のフローの後半部分の図。
【符号の説明】
A ディーゼルエンジンの燃料噴射装置 1 ディーゼルエンジン 2 気筒 4 燃焼室 5 インジェクタ(燃料噴射弁) 20 排気通路 22 触媒(NOx吸収材) 35 ECU 36 噴射量決定手段 37 噴射量補正手段 38 燃料噴射制御手段 39 温度検出手段 40 昇温期間設定手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F01N 3/28 F01N 3/28 F02D 41/04 375 F02D 41/04 375 41/14 330 41/14 330Z 41/20 375 41/20 375 F02M 45/02 F02M 45/02 (72)発明者 小林 明宏 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3G066 AA07 AA11 AA13 AB02 AC09 AD12 BA17 BA25 BA26 CD25 CD26 CD28 DA01 DA04 DA09 DC04 DC05 DC09 DC11 DC14 DC18 DC19 DC24 3G091 AA10 AA11 AA18 AA28 AB06 AB09 BA14 BA15 BA19 CB02 CB03 DB04 DB06 DB08 DB10 DC03 EA00 EA01 EA05 EA07 EA08 EA09 EA16 EA18 EA19 EA20 EA34 FB10 FB11 FB12 GA06 GB02Y GB03Y GB04Y GB05W GB06W GB09X GB10X GB17X HA36 3G301 HA02 HA04 HA06 HA11 HA13 JA02 JA25 JA26 LB11 MA01 MA11 MA18 MA27 NA03 NA06 NA08 NC02 ND02 NE13 NE14 NE15 NE23 PA01Z PA07Z PB03A PB03Z PB05Z PB08Z PD02A PD02Z PD12Z PD15Z PE01Z PE03Z PE08Z PF03Z

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの気筒内燃焼室に燃料を直接噴
    射供給する燃料噴射弁と、 エンジンの排気通路に配設され、酸素濃度の高い酸素過
    剰雰囲気の排気中のNOxを吸収する一方、酸素濃度の
    低下に伴い先に吸収したNOxを放出するNOx吸収材
    と、 エンジンの運転状態に応じて燃料噴射量を決定する噴射
    量決定手段と、 上記NOx吸収材のNOx吸収量が所定値以上となった
    ときで且つ該NOx吸収材からNOxを放出させるとき
    に、排気中の酸素濃度が低下するように上記エンジンの
    運転状態に応じて決定された燃料噴射量を増量補正する
    噴射量補正手段と、 気筒の圧縮行程上死点付近において燃料を複数回に分割
    噴射すべく、上記燃料噴射弁を、閉弁状態になる所定の
    噴射休止間隔を挟んで断続的に開弁させる燃料噴射制御
    手段とを備えたディーゼルエンジンの燃料噴射装置にお
    いて、 上記燃料噴射制御手段は、上記噴射量補正手段による燃
    料噴射量の増量補正期間は上記NOx吸収材のNOx吸
    収量が上記所定値未満のときよりも、圧縮行程上死点付
    近における分割噴射の開始から終了までの分割噴射期間
    が短くなるように、燃料噴射の分割数及び上記噴射休止
    間隔の少なくとも一方を変更することを特徴とするディ
    ーゼルエンジンの燃料噴射装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載されているディーゼルエ
    ンジンの燃料噴射装置において、 上記NOx吸収材の温度を検出する温度検出手段と、 上記燃料噴射量の増量補正前に上記温度検出手段によっ
    て検出される上記NOx吸収材の温度が所定値以下であ
    るときに当該増量補正開始まで該NOx吸収材の温度を
    上昇させるための昇温期間を設ける昇温期間設定手段と
    を備え、 上記燃料噴射制御手段は、上記増量補正期間、昇温期間
    及び該昇温期間の前のいずれにおいても燃料の分割噴射
    を実行し、且つ上記増量補正期間は上記昇温期間よりも
    燃料噴射の分割数を少なくすることを特徴とするディー
    ゼルエンジンの燃料噴射装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載されているディーゼルエ
    ンジンの燃料噴射装置において、 上記燃料噴射制御手段は、上記増量補正期間は上記昇温
    期間前よりも燃料噴射の分割数を少なくすることを特徴
    とするディーゼルエンジンの燃料噴射装置。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載されているディーゼルエ
    ンジンの燃料噴射装置において、 上記NOx吸収材の温度を検出する温度検出手段と、 上記燃料噴射量の増量補正前に上記温度検出手段によっ
    て検出される上記NOx吸収材の温度が所定値以下であ
    るときに当該増量補正開始まで該NOx吸収材の温度を
    上昇させるための昇温期間を設ける昇温期間設定手段と
    を備え、 上記燃料噴射制御手段は、上記増量補正期間、昇温期間
    及び該昇温期間の前のいずれにおいても燃料の分割噴射
    を実行し、且つ上記増量補正期間は上記昇温期間よりも
    燃料噴射の噴射休止間隔を短くすることを特徴とするデ
    ィーゼルエンジンの燃料噴射装置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載されているディーゼルエ
    ンジンの燃料噴射装置において、 上記燃料噴射制御手段は、上記増量補正期間は上記昇温
    期間前よりも燃料噴射の噴射休止間隔を短くすることを
    特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射装置。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれか一に記
    載されているディーゼルエンジンの燃料噴射装置におい
    て、 上記燃料噴射制御手段は、上記増量補正開始から所定期
    間は当該増量補正期間の残りの期間よりも燃料噴射の分
    割数を多くするか又は噴射休止間隔を長くすることを特
    徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射装置。
  7. 【請求項7】 エンジンの気筒内燃焼室に燃料を直接噴
    射供給する燃料噴射弁と、 エンジンの排気通路に配設され、酸素濃度の高い酸素過
    剰雰囲気の排気中のNOxを吸収する一方、酸素濃度の
    低下に伴い先に吸収したNOxを放出するNOx吸収材
    と、 エンジンの運転状態に応じて燃料噴射量を決定する噴射
    量決定手段と、 上記NOx吸収材からNOxを放出させるとき、排気中
    の酸素濃度が低下するように上記エンジンの運転状態に
    応じて決定された燃料噴射量を増量補正する噴射量補正
    手段と、 気筒の圧縮行程上死点付近において燃料を複数回に分割
    噴射すべく、上記燃料噴射弁を、閉弁状態になる所定の
    噴射休止間隔を挟んで断続的に開弁させる燃料噴射制御
    手段とを備えたディーゼルエンジンの燃料噴射制御装置
    において、 上記燃料噴射制御手段は、上記噴射量補正手段による燃
    料噴射量の増量補正期間におけるその増量補正開始から
    所定期間は当該増量補正期間の残りの期間よりも燃料噴
    射の分割数を多くするか又は噴射休止間隔を長くするこ
    とを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012121299A1 (ja) * 2011-03-10 2012-09-13 株式会社豊田自動織機 燃焼制御装置
CN113167158A (zh) * 2018-12-10 2021-07-23 株式会社电装 控制装置
CN114033569A (zh) * 2021-10-09 2022-02-11 东风越野车有限公司 特种柴油发动机烟度控制系统及控制方法
CN114941579A (zh) * 2022-05-09 2022-08-26 潍柴动力股份有限公司 一种发动机烟度的控制方法、装置、设备及存储介质

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