JP4196471B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素過剰雰囲気でNOxを吸収して酸素濃度が減少するに伴いNOxを放出するNOx触媒を排気通路に備えたエンジンの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、特定運転領域でリーン運転を行なうエンジン、例えば燃焼室に直接燃料を噴射するインジェクタを備えて低負荷低回転域で成層燃焼によりリーン運転を行なうようにしたエンジンにおいて、酸素過剰雰囲気でNOxを吸収して酸素濃度が減少するに伴いNOxを放出するNOx触媒を排気通路に設け、リーン運転状態のときに排気中のNOxがNOx触媒に吸収され、空燃比がリッチ側に変化したときにNOxがNOx触媒から放出されて還元されるようにしたものが知られている。このようなNOx触媒によると、NOxを還元により浄化することが困難なリーン運転時にも、NOxを吸蔵することにより外部へのNOxの排出を防止することができる。
【0003】
このようなNOx触媒を備えるエンジンにおいて、リーン運転状態が長時間続いてNOx触媒のNOx吸蔵量が増大した場合に、所定時間だけ空燃比を理論空燃比以下に変更することにより、NOx触媒からNOxを放出させて還元し、NOx触媒をリフレッシュすることは従来から行われている。
【0004】
例えば特開平10−274085号に示される装置では、触媒のリフレッシュ制御時に、成層燃焼のための主噴射以外に膨張行程中に追加噴射を行うことにより、排ガス中の還元材としてのCOの量を増加させ、これによりNOx触媒からのNOxの放出、還元を促進するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種のNOx触媒を備えたエンジンでは、通常、リーン運転領域にある状態においてNOx吸蔵量が増大したときに上記のようなリフレッシュ制御が行われ、そのリフレッシュ制御終了後は成層燃焼等によるリーン運転状態に戻る。そして、リフレッシュ制御からリーン運転に移行したときは即座にNOxを吸収が良好に行われる状態となることが望ましい。
【0006】
しかし、リフレッシュ制御からリーン運転に移行するときの触媒の温度はリフレッシュ制御中やそれ以前の運転状態によって種々異なり、その触媒温度によっては必ずしもNOx吸収性能が良好に発揮されない場合がある。すなわち、NOx触媒のリーン運転状態におけるNOx吸収性能は、触媒温度が特定温度域(250〜400°C)にあるときに高く、この特定温度域より低温側でも高温側でもNOx吸収性能は低下する。従って、リフレッシュ制御後も触媒温度が上記特定温度より低い場合や、リフレッシュ制御前から触媒温度が比較的高くて、リフレッシュ制御中に触媒温度がさらに上昇して上記特定温度域より高くなった場合等に、リーン運転への移行直後のNOx吸収性能が悪くなるおそれがある。
【0007】
本発明は、これらの事情に鑑み、NOx触媒のリフレッシュ制御中に適切に触媒温度を調節し、リフレッシュ制御からリーン運転状態への移行直後におけるNOx吸収性能を高く維持することができるエンジンの制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、酸素過剰雰囲気でNOxを吸収して酸素濃度が減少するに伴いNOxを放出するNOx触媒をエンジンの排気通路に具備するとともに、所定のリーン運転領域で空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比に制御するようになっているエンジンの制御装置において、NOx触媒の温度状態を直接または間接的に検出する触媒温度検出手段と、排ガス温度に関係する燃焼制御パラメータを制御するとともに、上記リーン空燃比での運転状態から所定のNOx放出還元制御条件が成立する状態となったとき、NOx触媒からNOxを放出させて還元するNOx放出還元制御を実行する制御手段とを備え、この制御手段は、NOx放出還元制御実行時にNOx触媒の温度状態に応じ、リーン空燃比でのNOx吸収性能が所定値以上となる特定温度域内の基準温度に対して触媒低温状態の場合には、空燃比を略理論空燃比もしくはそれ以下とするとともに排ガス温度上昇方向に上記燃焼制御パラメータを制御し、上記基準温度に対して触媒高温状態の場合には、空燃比を略理論空燃比もしくはそれ以下とするとともに排ガス温度低下方向に上記燃焼制御パラメータを制御するようになっており、燃焼室に直接燃料を噴射するインジェクタを備え、上記制御手段はこのインジェクタの燃料噴射形態を燃焼制御パラメータとし、NOx放出還元制御実行時において触媒低温状態の場合には、上記インジェクタからの燃料噴射を、吸気行程から圧縮行程前半までにわたる期間内の早期噴射と圧縮行程後期の期間内の後期噴射とに分割して行なわせるように制御し、上記制御手段は、NOx放出還元制御実行時においてNOx触媒の温度が上記特定温度域の下限温度よりも低い状態にある場合、上記早期噴射及び上記後期噴射に加え、膨張行程の期間内にも燃料噴射を行なわせるようにインジェクタを制御するもの(請求項1)である。
【0009】
この装置によると、リーン空燃比での運転状態から所定のNOx放出還元制御条件が成立する状態となったとき、空燃比が略理論空燃比もしくはそれ以下に変更されて、NOx触媒からのNOxの放出、還元が行なわれる。そして、このようなNOx放出還元制御が実行されつつ、上記触媒低温状態の場合は排ガス温度が上昇するように、また上記触媒高温状態の場合は排ガス温度が低下するように、燃焼制御パラメータが制御されることにより、NOx放出還元制御中に触媒温度が上記特定温度域となるように制御され、NOx放出還元制御の終了後にリーン空燃比の運転状態に移行したとき、即座にNOx吸収性能が高い状態が得られる。
【0011】
このようにすると、触媒低温状態にある場合のNOx放出還元制御実行時に、空燃比が理論空燃比もしくはそれ以下とされつつ、吸気行程から圧縮行程前半までにわたる期間内の早期噴射と圧縮行程後期の期間内の後期噴射とからなる分割噴射が行なわれることにより、NOx触媒からのNOxの放出、還元に有用な排気ガス中のCOが増加するとともに、排ガス温度を高める作用が得られる。
【0012】
このようにすると、NOx触媒の温度が著しく低い場合に、排ガス温度を高める作用がより強められる。
【0013】
上記の請求項1に記載の発明において、さらに上記制御手段は点火時期を燃焼制御パラメータの1つとし、NOx放出還元制御実行時において触媒低温状態の場合には上記点火時期をリタードさせるように制御するものであること(請求項2)が好ましい。このような点火時期のリタードによっても、排ガス温度を高める作用が得られる。
【0014】
また、上記の請求項1に記載の発明において、排気ガスの一部を吸気系に還流させるEGR手段を備えるエンジンにあっては、上記制御手段はEGR手段によるEGR率と点火時期とを燃焼制御パラメータとし、NOx放出還元制御実行時において触媒低温状態の場合には上記EGR率を減少させ、かつ点火時期をリタードさせるように制御すること(請求項3)も好ましい。
【0015】
このようにEGRを減少させ、その分、点火時期のリタードさせることで排ガス温度を高める作用が得られる。
【0016】
なお、この明細書においていうEGR率とは、次式で求められる値である。
【0017】
(InCO2−AtCO2)/(ExCO2−InCO2)
InCO2:吸気中のCO2濃度
AtCO2:大気中のCO2濃度
ExCO2:排気中のCO2濃度
大気中のCO2濃度を近似的に0とすれば、EGR率は次のようになる。
【0018】
InCO2/(ExCO2−InCO2)
また、上記目的を達成するため、本発明は、酸素過剰雰囲気でNOxを吸収して酸素濃度が減少するに伴いNOxを放出するNOx触媒をエンジンの排気通路に具備するとともに、所定のリーン運転領域で空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比に制御するようになっているエンジンの制御装置において、NOx触媒の温度状態を直接または間接的に検出する触媒温度検出手段と、排ガス温度に関係する燃焼制御パラメータするとともに、上記リーン空燃比での運転状態から所定のNOx放出還元制御条件が成立する状態となったとき、NOx触媒からNOxを放出させて還元するNOx放出還元制御を実行する制御手段とを備え、この制御手段は、NOx放出還元制御実行時にNOx触媒の温度状態に応じ、リーン空燃比でのNOx吸収性能が所定値以上となる特定温度域内の基準温度に対して触媒低温状態の場合には、空燃比を略理論空燃比もしくはそれ以下とするとともに排ガス温度上昇方向に上記燃焼制御パラメータを制御し、上記基準温度に対して触媒高温状態の場合には、空燃比を略理論空燃比もしくはそれ以下とするとともに排ガス温度低下方向に上記燃焼制御パラメータを制御するようになっており、上記制御手段は、NOx触媒の温度が上記特定温度域の下限温度よりもさらに低い状態にある場合、NOx放出還元制御実行時に触媒低温状態の場合の制御を行なうことに加え、NOx放出還元制御の後にリーン運転域となっても、空燃比を略理論空燃比もしくはそれ以下とするとともに排ガス温度上昇方向に上記燃焼制御パラメータを制御する状態を、触媒温度が上記特定温度域内となるまで持続するようになっているもの(請求項4)である。
【0019】
このようにすると、触媒温度が著しく低くて、NOx放出還元制御実行中の燃焼制御パラメータの制御によってもNOx放出還元制御の終了時点で上記特定温度域内にまで上昇しきれない場合に、空燃比が略理論空燃比もしくはそれ以下の状態に保たれることでNOx触媒によるNOx還元作用が維持され、かつ、排ガス温度を上昇させる制御が引き続き行なわれる。
【0020】
上記の請求項4に記載の発明において、上記制御手段は、燃焼室に直接燃料を噴射するインジェクタの燃料噴射形態と点火時期とを燃焼制御パラメータとし、NOx触媒の温度が上記特定温度域の下限温度よりもさらに低い状態にある場合、NOx放出還元制御実行時の燃焼制御パラメータの制御としては、上記インジェクタからの燃料噴射を吸気行程から圧縮行程前半までにわたる期間内の早期噴射と圧縮行程後期の期間内の後期噴射とに分割して行なわせるとともに、点火時期をリタードし、NOx放出還元後に触媒温度が上記特定温度域内となるまでの燃焼制御パラメータの制御としては、上記インジェクタからの燃料噴射を吸気行程の期間内に分割して行なわせるとともに点火時期をリタードするものであること(請求項5)が好ましい。
【0021】
このようにすると、触媒温度が低い場合に、NOx放出還元制御実行中には、そのNOx放出、還元に有用な排気ガス中のCOが増加される状態とされつつ排ガス温度が上昇するように制御され、NOx放出還元制御の終了後において触媒温度が上記特定温度域内へ上昇するまでは、排気ガス中のCOが減少する状態とされつつ排ガス温度が上昇するように制御される。
【0022】
また、燃焼室に直接燃料を噴射するインジェクタを備えたエンジンに本発明を適用する場合に、上記制御手段はこのインジェクタの燃料噴射形態を燃焼制御パラメータとし、NOx放出還元制御実行時において触媒高温状態の場合には、インジェクタからの燃料噴射を分割し、かつ、吸気行程を3等分した前期、中期、後期のうちの前期から中期にかけての期間内に各噴射が開始されるように制御するものであること(請求項6)が好ましい。
【0023】
このようにすると、触媒高温状態にある場合のNOx放出還元制御実行時に、空燃比が理論空燃比もしくはそれ以下とされつつ、吸気行程の前期から中期にかけての期間内に分割噴射が行なわれることにより、燃焼効率が高められて、排ガス温度を低下させる作用が得られる。また、この噴射形態によると燃焼安定性が高められることから、次に述べるようなEGR率増加の許容度も高められる。
【0024】
上記の請求項6に記載の発明において、排気ガスの一部を吸気系に還流させるEGR手段を備え、上記制御手段はEGR手段によるEGR率を燃焼制御パラメータの1つとし、NOx放出還元制御実行時において触媒高温状態の場合には上記EGR率を増大させるものであること(請求項7)が好ましい。
【0025】
また、上記の請求項6又は7に記載の発明において、上記制御手段は点火時期を燃焼制御パラメータの1つとし、NOx放出還元制御実行時において触媒高温状態の場合には上記点火時期をアドバンスさせるものであること(請求項8)が好ましい。
【0026】
上記のようなEGR率の増大や点火時期のアドバンスによっても、排ガス温度を高める作用が得られる。
【0027】
また、上記の請求項6乃至8のいずれかに記載の発明において、上記制御手段は、NOx触媒の温度が上記特定温度域の上限温度よりもさらに高い状態にある場合、NOx放出還元制御実行時に触媒高温状態の場合の制御を行なうことに加え、NOx放出還元の後にリーン運転域となっても、空燃比を略理論空燃比もしくはそれ以下とするとともに排ガス温度低下方向に上記燃焼制御パラメータを制御する状態を、触媒温度が上記特定温度域内となるまで持続するようになっているもの(請求項9)であってもよい。
【0028】
このようにすると、触媒温度が著しく高くて、NOx放出還元制御実行中の燃焼制御パラメータの制御によってもNOx放出還元制御の終了時点で上記特定温度域内にまで低下しきれない場合に、空燃比が略理論空燃比もしくはそれ以下の状態に保たれることでNOx触媒によるNOx還元作用が維持され、かつ、排ガス温度を低下させる制御が引き続き行なわれる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
図1は本発明が適用される直噴エンジンの全体構造を概略的に示したものである。この図において、エンジン本体10は複数の気筒12を有し、各気筒12には、そのシリンダボアに挿入されたピストン14の上方に燃焼室15が形成されており、この燃焼室15には吸気ポート及び排気ポートが開口し、これらのポートは吸気弁17及び排気弁18によってそれぞれ開閉されるようになっている。
【0031】
上記燃焼室15の中央部には点火プラグ20が配設され、そのプラグ先端が燃焼室15内に臨んでおり、この点火プラグ20に、点火コイル等からなる点火回路21が接続されている。また、燃焼室15内には側方からインジェクタ22の先端部が臨み、このインジェクタ22から燃焼室15内に直接燃料が噴射されるようになっている。上記インジェクタ22には図外の高圧燃料ポンプ、プレッシャレギュレータ等を具備する燃料回路が接続され、各気筒のインジェクタ22に燃料が供給されるとともにその燃圧を圧縮行程における筒内圧力よりも高い所定圧力となるように燃料回路が構成されている。
【0032】
上記エンジン本体10には吸気通路24及び排気通路34が接続されている。上記吸気通路24には、その上流側から順に、エアクリーナ25、吸気流量を検出するエアフローセンサ26、モータ27により駆動されるスロットル弁28及びサージタンク30が設けられている。
【0033】
また、上記排気通路34には、NOx触媒35が配設されている。このNOx触媒35は、空燃比が理論空燃比よりもリーンなリーン運転状態でもNOx浄化性能を有するものであって、酸素過剰雰囲気で排気ガス中のNOxを吸収し、空燃比がリッチ側に変化して酸素濃度が低下したとき、吸収していたNOxを放出するとともに、雰囲気中に存在するCO等の還元材によりNOxを還元させるようになっている。
【0034】
より詳しく説明すると、上記NOx触媒35は、コージェライト製ハニカム構造体等からなる担体の上にNOx吸収材層と触媒材層とが前者を下(内側)、後者を上(外側)にして層状に形成されたものである。上記NOx吸収材層は、比表面積の大きな活性アルミナにPt成分とNOx吸収材としてのBa成分とを担持させたものを主成分として構成されている。また、触媒材層は、ゼオライトを担持母材としてこれにPt成分及びRh成分を担持させてなる触媒材を主成分として構成されている。なお、上記触媒材層の上にセリア層を形成してもよい。
【0035】
さら排気通路34と吸気通路24との間には、排気ガスの一部を吸気系に還流させるEGR手段が設けられ、このEGR手段は、排気通路34と吸気通路24とを接続するEGR通路37と、このEGR通路37に介設されたEGR弁38とを備えている。上記EGR弁38はアクチュエータ(図示せず)により駆動されて開閉作動するようになっている。上記EGR通路37の途中には、この通路37を通るガスを冷却するEGRクーラー39(還流ガス冷却手段)が設けられている。
【0036】
このエンジンには、上記エアフローセンサ26の他、サージタンク30内の吸気負圧を検出するブーストセンサ40、スロットル開度を検出するスロットル開度センサ41、エンジンのクランク角を検出するクランク角センサ42、アクセル開度(アクセル操作量)を検出するアクセル開度センサ43、吸気温を検出する吸気温センサ44、大気圧を検出する大気圧センサ45、エンジン冷却水温を検出する水温センサ46、排気ガス中の酸素濃度の検出によって空燃比を検出するO2センサ47等のセンサ類が装備され、これらセンサの出力信号(検出信号)がECU(コントロールユニット)50に入力されている。
【0037】
上記ECU50は、インジェクタ22からの燃料噴射量及び噴射タイミングを制御するとともに、スロットル弁28を駆動するモータ27に制御信号を出力することによりスロットル弁28の制御を行ない、また、点火回路21に制御信号を出力することにより点火時期を制御し、さらに、EGR弁38の制御も行なうようになっている。
【0038】
当実施形態の筒内噴射式エンジンの基本的な制御としては、上記インジェクタ22からの燃料噴射時期及び空燃比等が異なる各種運転モードが選択可能とされ、運転領域によって運転モードが変更されるようになっており、例えば温間時には図2に示すようなマップに基づいて運転領域に応じた運転モードの選択が行われる。すなわち、低負荷低回転側の特定運転領域が成層燃焼領域、それ以外の領域が均一燃焼領域とされる。
【0039】
そして、図3中に示すように、成層燃焼領域では、上記インジェクタ22から圧縮行程の後期に燃料が噴射されることにより、点火プラグ20付近に混合気が偏在する成層状態で燃焼が行なわれるような成層燃焼モードとされ、この場合、スロットル弁28の開度が大きくされて吸入空気量が多くされることにより燃焼室全体の空燃比としては大幅なリーン状態(例えば30以上)とされる。一方、均一燃焼領域では、上記インジェクタ22から吸気行程の前期に燃料が噴射されることにより、燃焼室15全体に均一に混合気が拡散する状態で燃焼が行なわれる均一燃焼モードとされる。この均一燃焼モードでは空気過剰率λがλ=1、つまり理論空燃比(A/F=14.7)とされる。なお、均一燃焼領域のうち、アクセル全開域やその付近の高負荷域及び高回転域では、空燃比を理論空燃比よりもリッチ(λ<1)に設定しておいてもよい。
【0040】
さらに上記ECU50は、触媒温度検出手段51と、NOx吸蔵量検出手段52と、NOx放出還元制御のための制御手段53とを備えている。
【0041】
上記触媒温度検出手段51は、NOx触媒35の温度を直接または間接的に検出し、例えば水温やエンジンの運転状態等に基づいて触媒温度を推定するようになっている。また、NOx吸蔵量検出手段52は、例えば、成層燃焼領域においてリーン空燃比で運転されているときの単位時間当りのNOx吸収量をエンジン回転数及びエンジン負荷等に応じて推定し、これを累積加算することによりNOx吸蔵量を求めるようになっている。
【0042】
また、上記制御手段53は、成層燃焼領域においてリーン空燃比で運転されている状態から所定のリフレッシュ制御条件(NOx放出還元制御条件)が成立したとき、例えば成層燃焼領域において上記NOx吸収量が所定値以上に大きくなることをリフレッシュ制御条件としてこの条件が成立したときに、NOx触媒からNOxを放出させて還元するリフレッシュ制御(NOx放出還元制御)を実行する。
【0043】
この制御手段53は、空燃比制御手段54及び燃焼制御パラメータ制御手段55を含んでおり、リフレッシュ制御時に、スロットル弁28の制御による吸入空気量の調整及び燃料噴射量の制御により、空燃比を理論空燃比もしくはそれ以下(λ≦1)とするように制御するとともに、排ガス温度に関連する燃焼制御パラメータをNOx触媒の温度状態に応じて制御するようになっている。
【0044】
上記燃焼制御パラメータは、例えばインジェクタ22の燃料噴射形態、点火時期、EGR手段によるEGR率等である。そして、リフレッシュ制御時のNOx触媒の温度状態に応じた燃焼制御パラメータの制御としては、リーン空燃比でのNOx吸収性能が所定値以上となる特定温度域内の基準温度に対して触媒低温状態の場合は排ガス温度上昇方向に燃焼制御パラメータを制御し、上記基準温度に対して触媒高温状態の場合は排ガス温度低下方向に燃焼制御パラメータを制御する。
【0045】
具体的に説明すると、λ>1のリーン運転状態にあるときのNOx吸収率と触媒温度との関係は図4に実線で示すようになって、特定温度域(250〜400°C程度)にあるときにNOx吸収率が高く、この特定温度域より低温側では触媒温度の低下につれてNOx吸収率が低くなり、特定温度域より高温側では触媒温度の上昇につれてNOx吸収率が低くなる。なお、図4中の一点鎖線は、λ≦1のときのNOx触媒の還元作用によるNOx浄化率と触媒温度との関係を示すもので、λ≦1のときは所定温度以上の暖機状態で還元作用により高い浄化率が得られる。
【0046】
そこで、上記特定温度域内に基準温度Tsを設定し、触媒温度が上記基準温度Tsより低い低温域Aある場合と基準温度Ts以上の高温域Bにある場合とで制御パラメータが変更される。
【0047】
例えば、インジェクタ22の燃料噴射形態の制御としては、図3中に示すように、リフレッシュ制御時において触媒温度が上記低温域Aにある場合に、インジェクタ22からの燃料噴射が早期噴射と後期噴射とに分割され、かつ、早期噴射は吸気行程から圧縮行程前半までにわたる期間内(通常は吸気行程の期間内)に開始され、後期噴射は圧縮行程後期の期間内に開始されるように制御される。以下、この燃料噴射形態を吸気圧縮分割噴射と呼ぶ。
【0048】
また、リフレッシュ制御時において触媒温度が上記高温域Bにある場合に、インジェクタ22からの燃料噴射が早期噴射と後期噴射とに分割して行なわれ、かつ、吸気行程を3等分した前期、中期、後期のうちの前期から中期にかけての期間内に各噴射が開始されるように制御される。以下、この燃料噴射形態を吸気行程分割噴射と呼ぶ。
【0049】
触媒温度が低い低負荷低回転でのリーン運転状態からλ≦1での分割噴射に移行した場合の触媒温度の変化は、燃料噴射形態が吸気圧縮分割噴射である場合は図5中の線a、吸気行程分割噴射である場合は図5中の線bのようになる。つまり、後にも詳述するように、吸気圧縮分割噴射とした場合は排ガス温度を高めらることで比較的急速に触媒温度が上昇し、吸気行程分割噴射の場合は排ガス温度が低くなって触媒温度の上昇が抑制される。
【0050】
また、リフレッシュ制御時における上記点火時期の制御としては、触媒温度が上記低温域Aにある場合には運転状態に応じた基本点火時期よりもリタードされ、上記高温域Bにある場合には運転状態に応じた基本点火時期とされる。リフレッシュ制御時における上記EGR率の制御としては、触媒温度が上記低温域Aにある場合にはEGR率が小さくされ、上記高温域Bにある場合にはEGR率が大きくされる。
【0051】
上記ECU50による制御の具体例を、図6のフローチャートによって説明する。
【0052】
このフローチャートに示す処理がスタートすると、先ずステップS1でアクセル開度、クランク角信号の周期によって計測されるエンジン回転数、エアフローセンサ26の計測値及び水温等の信号が入力される。続いてステップS2で、触媒温度Tcが水温及び運転状態等に基づいて計算される。さらにステップS3で、NOx吸蔵量が計算により推定される。このNOx吸蔵量の推定の仕方としては、例えば、エンジン回転数及び負荷に応じてマップから単位期間当りのNOx吸収量が求められ、これが累計される。あるいは、成層燃焼領域でのリーン運転の持続時間、走行距離等に基づいて推定することもできる。
【0053】
次に、ステップS4で、エンジンの運転状態が図2中の成層燃焼領域にあるか否かが判定される。そして、成層燃焼領域にないとき、つまり図2中の均一燃焼領域にあるときは、空燃比が理論空燃比もしくはそれ以下とされるとともに、インジェクタ22から吸気行程で燃料が噴射されることにより、均一燃焼が行なわれる(ステップS5)。
【0054】
ステップS4で成層燃焼領域にあることが判定されたときは、ステップS6でNOx触媒35のNOx吸蔵量が所定値より大となったか否かが判定される。
【0055】
そして、ステップS6での判定がNOの場合、つまりNOx吸蔵量が所定値に達していない場合は、空燃比が理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とされるとともに、インジェクタ22から圧縮行程で燃料が噴射されることにより、成層燃焼が行なわれる(ステップS7)。
【0056】
ステップS6でNOx触媒35のNOx吸蔵量が所定値より大となったことが判定された場合は、ステップS8以降のリフレッシュ制御に移行する。
【0057】
リフレッシュ制御としては、ステップS8で空燃比が理論空燃比(つまりλ=1)に設定されるとともに、ステップS9でリフレッシュ制御開始時点の触媒温度Tcが基準値Tsより低い低温域Aにあるか否かが判定される。
【0058】
そして、低温域Aにあれば、吸気圧縮分割噴射が行われる(ステップS10)とともに、点火時期が運転状態に応じた基本点火時期(通常はMBT)よりもリタードされる(ステップS11)。また、成層燃焼領域内では、本来、成層燃焼が行なわれることによりリーン空燃比での燃焼安定性が高められて、多量のEGRが許容されることから、EGR率が比較的大きくなっているが、リフレッシュ制御時の低温域ではEGR率が通常の運転状態に応じた値よりも小さくされる(ステップS12)。
【0059】
リフレッシュ制御開始時点の触媒温度Tcが基準値Ts以上の高温域Bにあれば、吸気行程分割噴射が行われる(ステップS13)とともに、EGR率が成層燃焼領域での通常の運転状態に応じた値と同程度もしくはそれ以上に大きい値とされる(ステップS14)。
【0060】
ステップS9の判定に応じたステップS10〜S12またはステップS13,S14の処理に続き、ステップS15で、リフレッシュ開始からの経過時間の計測等によりNOx吸蔵量が充分に減少したか否かが判定され、NOx吸蔵量が充分に減少するまではリフレッシュ制御(ステップS8〜S14)が繰り返され、NOx吸蔵量が充分に減少すればリターンされる。
【0061】
以上のような当実施形態の制御装置を備えた筒内噴射式エンジンによると、基本的な制御としては、運転状態が高負荷側や高回転側の均一燃焼領域にあるとき、空燃比が理論空燃比もしくはそれよりリッチとされつつ吸気行程で燃料が噴射されて均一燃焼が行われる。一方、運転状態が低負荷低回転側の成層燃焼領域にあるとき、空燃比がリーンとされつつ圧縮行程で燃料が噴射されて成層燃焼が行われることにより燃費が改善される。この成層燃焼領域内での成層燃焼によるリーン運転中には、上記NOx触媒35によって排気ガス中のNOxが吸収される。
【0062】
また、リーン運転中にNOx吸蔵量が所定値より大きくなれば、NOx触媒35からNOxを放出させて還元するリフレッシュ制御が行われ、このリフレッシュ制御中に、排ガス温度に関係する制御パラメータであるインジェクタ22の燃料噴射形態、点火時期及びEGRが、触媒温度に応じて制御される。このような制御を、図7及び図8のタイムチャートによってさらに更に具体的に説明する。
【0063】
図7及び図8にも示すように、成層燃焼領域内で空燃比がリーンとされつつ圧縮行程で燃料が噴射されて成層燃焼状態(リーン運転状態)が持続すると、NOx触媒35のNOx吸蔵量が次第に増加する。そして、NOx触媒35のNOx吸蔵量が限界に近づくとNOx吸収能力が低下するため、成層燃焼領域でのリーン運転中にNOx吸蔵量が所定値より大きくなった時点t1で、リフレッシュ制御が行なわれる。
【0064】
このリフレッシュ制御においては、空燃比がリーンから理論空燃比(λ=1)に変更されることにより、リーン運転中にNOx触媒35に吸蔵されていたNOxが放出され、かつ、排気ガス中のCO等の還元材の存在により、NOx触媒35の還元作用でNOxが還元されて浄化される。そして、このNOxの放出、還元によりNOx触媒35のNOx吸蔵量が充分に減少した時点t2でリフレッシュ制御が終了され、このリフレッシュ制御後は成層燃焼によるリーン運転状態に復帰する。
【0065】
上記リフレッシュ制御が行われているときに、リフレッシュ制御開始時点t1の触媒温度が低温域Aにある場合は、図7に示すように、インジェクタ22からの燃料噴射形態が吸気圧縮分割噴射に変更されるとともに、点火時期がリタードされ、かつ、EGR率がリフレッシュ制御前の成層燃焼時と比べて少なくされ、これらの作用で適度に触媒温度が高められる。
【0066】
すなわち、上記吸気圧縮分割噴射によると、後の噴射により点火プラグ付近に局部的にリッチな混合気が形成されて、着火直後の燃焼速度は速くなるが、酸素が少ないことからその燃焼によりCOが発生し易くなり、また、先の噴射により燃焼室周辺部に均一でリーンな混合気が形成されて、燃焼期間の後半において燃焼が緩慢になるので、点火時期をリタードとさせたのと同様の効果が得られて、排ガス温度が高められる。なお、上記吸気圧縮分割噴射によると、還元材としてのCOの量の増加によってNOx触媒35からのNOxの放出、還元を促進する作用も得られる。
【0067】
さらに、EGR弁開度の補正によってEGR量が少なくされることと、点火時期がリタードされることとによっても排ガス温度が高められる。
【0068】
これらの作用で排ガス温度が上昇することに伴い、NOx触媒35が排ガスで加熱されて触媒温度が上昇する。従って、NOx触媒35のNOx還元浄化に適した温度と比べて触媒温度が低すぎるというような事態を解消してリフレッシュ制御中のNOxの放出、還元を良好に行なわせることができるとともに、リーン運転でのNOx吸収に適した温度域に対しても触媒温度が低くなる傾向が是正され、リフレッシュ制御終了後にリーン運転へ移行したときに、NOx触媒35のNOx吸収性能が良好に発揮される。
【0069】
また、リフレッシュ制御開始時点t1の触媒温度が高温域Bにある場合は、図8に示すように、インジェクタ22からの燃料噴射形態が吸気行程分割噴射に変更されるとともに、EGR率が多くされ、かつ、点火時期はこのときの運転状態に応じた最適点火時期(MBT)までアドバンスされ、これらの作用で適度に触媒温度が引き下げられる。
【0070】
すなわち、λ=1とする場合の噴射形態として、吸気行程分割噴射によると、噴射燃料の拡散、均一化及び空気とのミキシングが良好に行なわれることにより、吸気圧縮分割噴射や吸気行程一括噴射と比べて燃焼効率が高められ、この燃焼効率の向上に伴い、排気ガス温度が低くなる。
【0071】
また、この吸気行程分割噴射により燃焼安定性が高められるため、EGR量を増量することが可能となり、リフレッシュ制御が行われる運転領域が比較的低負荷低回転の領域(本来の成層燃焼領域A)であるために、例えばEGR率を30%以上としても燃焼安定性が充分に確保される。そして、このようにEGR率を大きくすることによっても、燃焼温度及び排気ガス温度を下げる作用が得られる。なお、EGR率を大きくすると燃焼室からのNOx排出量が少なくなるので、リフレッシュ制御中のCOの量に対するNOxの割合を少なくすることでNOx触媒35からのNOxの放出、還元を促進する作用も得られる。
【0072】
このようにして、触媒温度が高い場合はリフリッシュ制御中に排ガス温度が低くされることにより、それに伴って触媒温度が引き下げられる。従って、リーン運転でのNOx吸収に適した温度域に対して触媒温度が高くなりすぎる傾向が是正され、リフレッシュ制御終了後にリーン運転へ移行したときに、NOx触媒35のNOx吸収性能が良好に発揮される。
【0073】
なお、本発明の具体的構成は上記実施形態に限定されず、種々変更可能であり、以下に他の実施形態を説明する。
【0074】
▲1▼ 図6のフローチャート中、リフレッシュ制御時における触媒温度に応じた制御(ステップS9〜S14)は、図9のように変更してもよい。
【0075】
すなわち、図9に示す例では、ステップS9で触媒温度Tcが基準値Tsより低い低温域にあることが判定された場合に、さらにステップS100で、触媒温度Tcが、リーン運転状態でのNOx吸収率が所定値以上に高い特定温度域の下限値T1より低いか否かが判定される。
【0076】
そして、この判定がNOの場合、つまり、触媒温度Tcが基準値Tsより低いが上記特定温度域の下限値T1より高い場合は、吸気圧縮分割噴射、点火時期のリタード、及びEGR小という制御が行われて適度に排ガス温度の上昇とそれに伴う触媒温度の上昇が行われる。また、触媒温度Tcが上記下限値T1よりさらに低い温度域A1にある場合は、ステップS101で、図3中に破線で示すように吸気圧縮分割噴射に膨張行程の噴射を加えた吸気圧縮膨張噴射が行われるとともに、点火時期リタード、EGR小といった制御が行われる。
【0077】
上記吸気圧縮膨張噴射によると、膨張行程での噴射が専ら排ガス温度の上昇に寄与するため、図5中に破線cで示すように、排ガス温度上昇及びそれに伴う触媒温度の上昇がさらに促進される。従って、触媒温度Tcが上記下限値T1より低い温度域A1にある場合に、より急速に触媒温度が上昇する。
【0078】
リフレッシュ制御時において触媒温度Tcが基準値Tsより高い場合の処理等は図3に示す例と同様である。
【0079】
▲2▼ 図6に示すような制御に加え、ステップS15での判定がYESとなるリフレッシュ制御終了時点で、さらに図10のステップS201〜S208の処理を行なうようにしてもよい。
【0080】
すなわち、リフレッシュ制御が行われてからステップS15でNOx吸蔵量が充分に減少したことが判定されたとき、さらにステップS201で、その時点の触媒温度Tcが計算されて(ステップS200)、この触媒温度Tcが上記特定温度域の下限値T1より低いか否かが判定され(ステップS201)、その判定がNOであれば、さらに、触媒温度Tcが上記特定温度域の上限値T2より高いか否かが判定される。
【0081】
そして、触媒温度Tcが上記特定温度域の下限値T1より低い温度域A1にある場合には、リフレッシュ終了後も空燃比を理論空燃比(λ=1)とする(ステップS203)とともに、排ガス温度を上昇させる制御を持続する。ただし、リフレッシュ終了後は排気ガス中のCOの量を少なくするため、インジェクタ22からの燃料噴射形態としては吸気行程分割噴射とされる(ステップS204)が、点火時期のリタード(ステップS205)によって排ガス温度の上昇が図られる。
【0082】
また、触媒温度Tcが上記特定温度域の上限値T2より高い温度域B1にある場合には、リフレッシュ終了後も空燃比を理論空燃比(λ=1)とする(ステップS206)とともに、排ガス温度を低下させるべく、吸気行程分割噴射とし、かつEGR率を大きくする制御(ステップS207,S208)が持続される。
【0083】
触媒温度Tcが上記特定温度域内となったとき(ステップS201,S202がともにNOのとき)は、リターンする。
【0084】
このようにすると、リフレッシュ制御中に触媒温度Tcに応じて排ガス温度が調整されるように燃焼制御パラメータが制御されること(図6)に加え、この制御によってもリフレッシュ終了時点で触媒温度が上記特定温度域内とならなかったとき、リフレッシュ終了後も触媒温度が低すぎる場合は排ガス温度を上昇させ、触媒温度が高すぎる場合は排ガス温度を低下させる制御が持続されて、触媒温度が適正化される。そして、触媒温度が上記特定温度域内となるまでは、空燃比が理論空燃比とされて、NOx触媒35のNOx還元作用が発揮される状態が維持されるので、NOx浄化作用が良好に保たれる。
【0085】
▲3▼ 図6のフローチャート中のステップS8では空燃比を理論空燃比(λ=1)としているが、これよりリッチ(λ<1)としてもよい。図10中のステップS203及びステップS206でも同様である。
【0086】
▲4▼ 図6のフローチャートでは運転状態等に基づき触媒温度を間接的に計算により推定しているが、NOx触媒の直上流の排ガス温度の検出に基づいて触媒温度を推定してもよく、また、NOx触媒の温度を直接検出するセンサを設けるようにしてもよい。
【0087】
【発明の効果】
以上のように本発明は、リーン空燃比での運転状態からNOx触媒のNOx放出還元制御が実行される状態になったとき、空燃比を略理論空燃比もしくはそれ以下とするとともに、リーン空燃比でのNOx吸収性能が所定値以上となる特定温度域内の基準温度に対して触媒低温状態の場合には排ガス温度上昇方向に燃焼制御パラメータを制御し、上記基準温度に対して触媒高温状態の場合には排ガス温度低下方向に燃焼制御パラメータを制御するようにしているため、NOx触媒からNOxを放出させて還元する制御を実行しつつ、そのNOx放出還元制御中に触媒温度が上記特定温度域となるように制御することができる。従って、NOx放出還元制御の終了後にリーン空燃比の運転状態に移行したとき、速やかにNOx触媒のNOx吸収性能を高め、NOxの浄化を良好に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の一実施形態を示す全体概略図である。
【図2】燃料噴射の制御等のための運転領域の設定を示す説明図である。
【図3】成層燃焼領域、均一燃焼領域及びリフレッシュ制御時における燃料噴射のタイミング等を示す説明図である。
【図4】触媒温度とNOx吸収率との関係を示すグラフである。
【図5】各種の燃料噴射形態による触媒温度の時間的変化を示す説明図である。
【図6】制御の具体例を示すフローチャートである。
【図7】リフレッシュ制御によるNOx吸蔵量、触媒温度、空燃比及び各種燃焼制御パラメータの時間的変化を、リフレッシュ制御開始時に触媒低温状態にある場合について示すタイムチャートである。
【図8】リフレッシュ制御によるNOx吸蔵量、触媒温度、空燃比及び各種燃焼制御パラメータの時間的変化を、リフレッシュ制御開始時に触媒高温状態にある場合について示すタイムチャートである。
【図9】制御の別の例を示す要部フローチャートである。
【図10】制御のさらに別の例を示す要部フローチャートである。
【符号の説明】
10 エンジン本体
15 燃焼室
20 点火プラグ
21 点火装置
22 インジェクタ
35 NOx触媒
37 EGR通路
38 EGR弁
50 ECU
51 触媒温度検出手段
53 制御手段
Claims (9)
- 酸素過剰雰囲気でNOxを吸収して酸素濃度が減少するに伴いNOxを放出するNOx触媒をエンジンの排気通路に具備するとともに、所定のリーン運転領域で空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比に制御するようになっているエンジンの制御装置において、NOx触媒の温度状態を直接または間接的に検出する触媒温度検出手段と、排ガス温度に関係する燃焼制御パラメータを制御するとともに、上記リーン空燃比での運転状態から所定のNOx放出還元制御条件が成立する状態となったとき、NOx触媒からNOxを放出させて還元するNOx放出還元制御を実行する制御手段とを備え、この制御手段は、NOx放出還元制御実行時にNOx触媒の温度状態に応じ、リーン空燃比でのNOx吸収性能が所定値以上となる特定温度域内の基準温度に対して触媒低温状態の場合には、空燃比を略理論空燃比もしくはそれ以下とするとともに排ガス温度上昇方向に上記燃焼制御パラメータを制御し、上記基準温度に対して触媒高温状態の場合には、空燃比を略理論空燃比もしくはそれ以下とするとともに排ガス温度低下方向に上記燃焼制御パラメータを制御するようになっており、
燃焼室に直接燃料を噴射するインジェクタを備え、上記制御手段はこのインジェクタの燃料噴射形態を燃焼制御パラメータとし、NOx放出還元制御実行時において触媒低温状態の場合には、上記インジェクタからの燃料噴射を、吸気行程から圧縮行程前半までにわたる期間内の早期噴射と圧縮行程後期の期間内の後期噴射とに分割して行なわせるように制御し、
上記制御手段は、NOx放出還元制御実行時においてNOx触媒の温度が上記特定温度域の下限温度よりも低い状態にある場合、上記早期噴射及び上記後期噴射に加え、膨張行程の期間内にも燃料噴射を行なわせるようにインジェクタを制御することを特徴とするエンジンの制御装置。 - 上記制御手段は点火時期を燃焼制御パラメータの1つとし、NOx放出還元制御実行時において触媒低温状態の場合には上記点火時期をリタードさせるように制御することを特徴とする請求項1記載のエンジンの制御装置。
- 排気ガスの一部を吸気系に還流させるEGR手段を備え、上記制御手段はEGR手段によるEGR率と点火時期とを燃焼制御パラメータとし、NOx放出還元制御実行時において触媒低温状態の場合には上記EGR率を減少させ、かつ点火時期をリタードさせるように制御することを特徴とする請求項1記載のエンジンの制御装置。
- 酸素過剰雰囲気でNOxを吸収して酸素濃度が減少するに伴いNOxを放出するNOx触媒をエンジンの排気通路に具備するとともに、所定のリーン運転領域で空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比に制御するようになっているエンジンの制御装置において、NOx触媒の温度状態を直接または間接的に検出する触媒温度検出手段と、排ガス温度に関係する燃焼制御パラメータを制御するとともに、上記リーン空燃比での運転状態から所定のNOx放出還元制御条件が成立する状態となったとき、NOx触媒からNOxを放出させて還元するNOx放出還元制御を実行する制御手段とを備え、この制御手段は、NOx放出還元制御実行時にNOx触媒の温度状態に応じ、リーン空燃比でのNOx吸収性能が所定値以上となる特定温度域内の基準温度に対して触媒低温状態の場合には、空燃比を略理論空燃比もしくはそれ以下とするとともに排ガス温度上昇方向に上記燃焼制御パラメータを制御し、上記基準温度に対して触媒高温状態の場合には、空燃比を略理論空燃比もしくはそれ以下とするとともに排ガス温度低下方向に上記燃焼制御パラメータを制御するようになっており、
上記制御手段は、NOx触媒の温度が上記特定温度域の下限温度よりもさらに低い状態にある場合、NOx放出還元制御実行時に触媒低温状態の場合の制御を行なうことに加え、NOx放出還元制御の後にリーン運転域となっても、空燃比を略理論空燃比もしくはそれ以下とするとともに排ガス温度上昇方向に上記燃焼制御パラメータを制御する状態を、触媒温度が上記特定温度域内となるまで持続することを特徴とするエンジンの制御装置。 - 上記制御手段は、燃焼室に直接燃料を噴射するインジェクタの燃料噴射形態と点火時期とを燃焼制御パラメータとし、NOx触媒の温度が上記特定温度域の下 限温度よりもさらに低い状態にある場合、NOx放出還元制御実行時の燃焼制御パラメータの制御としては、上記インジェクタからの燃料噴射を吸気行程から圧縮行程前半までにわたる期間内の早期噴射と圧縮行程後期の期間内の後期噴射とに分割して行なわせるとともに、点火時期をリタードし、NOx放出還元後に触媒温度が上記特定温度域内となるまでの燃焼制御パラメータの制御としては、上記インジェクタからの燃料噴射を吸気行程の期間内に分割して行なわせるとともに点火時期をリタードすることを特徴とする請求項4記載のエンジンの制御装置。
- 燃焼室に直接燃料を噴射するインジェクタを備え、上記制御手段はこのインジェクタの燃料噴射形態を燃焼制御パラメータとし、NOx放出還元制御実行時において触媒高温状態の場合には、インジェクタからの燃料噴射を分割し、かつ、吸気行程を3等分した前期、中期、後期のうちの前期から中期にかけての期間内に各噴射が開始されるように制御することを特徴とする請求項1記載のエンジンの制御装置。
- 排気ガスの一部を吸気系に還流させるEGR手段を備え、上記制御手段はEGR手段によるEGR率を燃焼制御パラメータの1つとし、NOx放出還元制御実行時において触媒高温状態の場合には上記EGR率を増大させることを特徴とする請求項6記載のエンジンの制御装置。
- 上記制御手段は点火時期を燃焼制御パラメータの1つとし、NOx放出還元制御実行時において触媒高温状態の場合には上記点火時期をアドバンスさせることを特徴とする請求項6又は7記載のエンジンの制御装置。
- 上記制御手段は、NOx触媒の温度が上記特定温度域の上限温度よりもさらに高い状態にある場合、NOx放出還元制御実行時に触媒高温状態の場合の制御を行なうことに加え、NOx放出還元の後にリーン運転域となっても、空燃比を略理論空燃比もしくはそれ以下とするとともに排ガス温度低下方向に上記燃焼制御パラメータを制御する状態を、触媒温度が上記特定温度域内となるまで持続することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のエンジンの制御装置。
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