JP3812084B2 - エンジンの制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空燃比リーン状態での成層燃焼が可能な筒内直噴式ガソリンエンジンの制御装置に関し、特に、排気通路に設けられたNOx 吸蔵型触媒が飽和状態になることを防止するための制御の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のエンジンの制御装置として、例えば国際公開番号W093/07363の公報に開示されるように、エンジンの排気通路に、空燃比が理論空燃比よりもリーン側のときに排気ガス中の窒素酸化物(NOx )を吸蔵する一方、空燃比が理論空燃比よりもリッチ側になったときに吸蔵したNOx を放出して還元浄化するNOx 吸蔵型触媒を有する触媒コンバータを設け、エンジンの加速運転状態及び全負荷運転状態において空燃比をリッチ側に制御する一方、それ以外の運転状態のときに空燃比をリーン側に制御するようにしたものが知られている。
【0003】
また、上記の制御装置においては、例えばエンジンの空燃比リーンでの定常運転状態が長時間継続したときに、NOx 吸蔵量が触媒のNOx 吸蔵キャパシティをオーバーした飽和状態になることを防止するために、所定間隔で空燃比をリッチ状態に切替える制御を行って、上記触媒に吸蔵されているNOx を放出させて還元浄化させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の制御装置では、本来、空燃比リーンで運転可能なときであっても、触媒の飽和を防止するためだけに空燃比をリッチ側に切替えるようにしており、その分だけ燃料が余分に消費されるので、燃費低減という観点からは好ましくない。
【0005】
また、空燃比の切替えはドライバーの運転操作に関係なく行われるので、これに伴いエンジンの運転状態が変化して発生するショックに対し、ドライバーが違和感を感じ易いという不具合もある。
【0006】
さらに、NOx 吸蔵型触媒には、図18に示すように、触媒温度が所定以上(例えば400°C度以上)高くなると、NOx 吸蔵キャパシティーが低下して、空燃比リーン状態でのNOx 浄化率がかなり低下するという温度依存性がある。すなわち、触媒温度が所定以上高くなると、NOx 吸蔵型触媒は飽和し易くなるので、これを抑制するために触媒の温度上昇を抑制する必要もある。
【0007】
本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主たる目的とするところは、還元作用のある一酸化炭素(CO)雰囲気中で、NOx 吸蔵型触媒からNOx が放出され易くなることに着目し、このことを利用して触媒のリフレッシュを促進することで、触媒が飽和状態になることを防止しつつ、燃費の低減を図ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の解決手段では、エンジンの所定の運転状態において、燃料噴射を吸気行程で複数回に分割して実行することで、燃費増大を抑制しつつ、排気ガス中のCO排出量を増大させて、触媒のリフレッシュを促進するようにした。
【0009】
具体的には、請求項1に記載の発明は、気筒の燃焼室に燃料を直接噴射する燃料噴射弁と、エンジンの排気通路に設けられ、空燃比が理論空燃比よりもリーン側にあるときに排気ガス中の窒素酸化物を吸蔵するNOx 吸蔵型触媒とを備え、エンジンの高負荷域又は高回転域では、均一燃焼状態になるように燃料を噴射させる一方、エンジンの定常運転状態の低負荷低回転の領域では、成層燃焼状態になるように燃料を噴射させるようにしたエンジンの制御装置を対象とする。そして、上記エンジンが所定の運転状態にあるときに、燃料噴射弁による燃料噴射を吸気行程において複数回に分割して実行させる噴射分割制御手段を設けた。
【0010】
この構成によれば、エンジンが所定の運転状態にあるときに、噴射分割制御手段による燃料噴射弁の作動制御によって、燃料噴射が吸気行程において複数回に分割して実行される。そして、1サイクル当たりの燃料噴射弁の開弁回数が増え、その分、燃料噴射弁の開弁初期に噴射される粒の荒い燃料の割合が増加して、燃料の気化霧化状態が悪化する。このため、燃焼室全体の混合気分布は略均一化されているものの、微細部における局所的な不完全燃焼により、CO排出量が増大する。そして、排気通路に設けられた触媒は、排気ガス中のCOに包み込まれた状態になって、吸蔵しているNOx を放出し易くなるので、触媒のリフレッシュが促進される。従って、触媒のリフレッシュのための空燃比の切替えの頻度を下げたり、切替時の空燃比のリッチ度合いを低くすることができるので、燃料の気化霧化状態の悪化に伴う燃費増大はあるものの、従来までと比べて燃費の低減が図られ、また、エンジンの運転状態の変化に伴うショックを軽減することができる。
【0011】
また、気筒の吸気行程において、最初に噴射された燃料が燃焼室内で拡散する間に2回目以降の燃料噴射が行われ、燃焼室内における混合気の均一化が促進されるので、燃焼時間の短縮によりエンジンの運転効率を向上させて、分割噴射に伴う局所的な不完全燃焼に起因する燃費増大を抑制することができる。
【0012】
この結果、触媒のリフレッシュのための空燃比の切替えの頻度を下げたり、その切換時の空燃比のリッチ度合いを低くすることができるので、燃料の気化霧化状態の悪化に伴う燃費増大はあるものの、従来までと比べて燃費の低減が図られ、また、エンジンの運転状態の変化に伴うショックを軽減することができる。さらには、燃焼時間の短縮により排気ガス温度が低下するので、触媒の温度上昇に伴うNOx 浄化率の低下が抑制される。
【0013】
請求項2記載の発明では、請求項1に記載の発明における噴射分割制御手段は、エンジンが高負荷低回転の領域にあるとき、燃料噴射弁による燃料噴射を吸気行程において複数回に分割して、少なくとも1回目の燃料噴射が上死点後40度以降から下死点前40度以前までのクランク角範囲内になるように実行させる構成とした。
【0014】
すなわち、一般に、高負荷域ではエンジンの発生する熱量が大きいので触媒温度が高くなり易い。そこで、本発明では、この高負荷域で気筒の吸気行程における燃料噴射の分割制御を実行することで、請求項2記載の発明の如く触媒の温度上昇を抑制するようにしている。その際、少なくとも1回目の燃料噴射を、ピストンスピードの速い上死点後40度以降から下死点前40度以前までのクランク角範囲内で実行することで、燃料及び空気の混合を促進することができる。
【0015】
加えて、低回転域であるため、高回転域に比べてエンジンのサイクルタイムが長くなるので、燃料及び空気の混合状態を均一化させる上で、燃料噴射を複数回に分割することは極めて有効である。
【0016】
請求項3記載の発明では、請求項1に記載の発明における噴射分割制御手段は、エンジンが、中負荷で、かつ低回転又は中回転の領域にあるとき、燃料噴射弁による燃料噴射を吸気行程において複数回に分割して、少なくとも1回目の燃料噴射が上死点後40度以降から下死点前40度以前までのクランク角範囲内になるように実行させる構成とした。
【0017】
すなわち、エンジンは、低負荷低回転の領域では圧縮行程における点火直前の燃料噴射により成層燃焼状態とされる一方、高負荷又は高回転の領域では、少なくとも吸気行程前半での燃料噴射により均一燃焼状態とされるようになっている。そこで、それらが切替わって燃焼状態が変化する、中負荷でかつ低回転又は中回転の領域において、吸気行程における燃料噴射の分割制御を実行することで、エンジンの燃焼状態を、上記均一燃焼状態と成層燃焼状態との中間的な燃焼状態とすることができ、エンジン出力の繋りが良くなる。その上、請求項5に記載の発明と同様、触媒の温度上昇を抑制することができる。
【0018】
請求項4記載の発明では、請求項2又は3に記載の発明における触媒は、温度状態が所定以上高くなると、浄化率が所定以上低下するものである。そして、該触媒の温度状態が上記所定以上に高くなったことを判定する触媒温度判定手段を設けるとともに、噴射分割制御手段は、上記触媒温度判定手段によって、触媒の温度状態が上記所定以上に高いと判定された場合には、吸気行程における上死点後40度以降から下死点前40度以前までのクランク角範囲内で、かつ、最初の燃料噴射と最後の燃料噴射との中間時点が上死点後90度よりも遅くなるように、燃料噴射の分割制御を実行する一方、上記触媒温度判定手段によって、触媒の温度状態が上記所定温度状態よりも低いと判定された場合には、吸気行程における上死点後40度以降から下死点前40度以前までのクランク角範囲内で、かつ、最初の燃料噴射と最後の燃料噴射との中間時点が上死点後90度よりも早くなるように、燃料噴射の分割制御を実行する構成とする。
【0019】
この構成によれば、触媒の温度状態が所定温度(例えば400°C)以上であることが触媒温度判定手段によって判定された場合に、燃料噴射の噴射タイミングを遅角させて吸気行程の後半寄りにさせることで、図10に示すように、噴射タイミングを吸気行程の前半寄りとした場合と比べて、CO排出量を顕著に増大させることができる。つまり、触媒の温度状態が所定以上になってNOx 浄化率が低下しているときに、CO排出量の増大により触媒のリフレッシュ効果を高めることができる。
【0020】
一方、触媒の温度状態が所定以上でないと触媒温度判定手段によって判定された場合には、燃料噴射の噴射タイミングを進角させて吸気行程の前半寄りにさせることで、同図に示すように、噴射タイミングを吸気行程の後半寄りとした場合と比べて、CO排出量がやや減少するるものの、燃費が大幅に低減される。なお、この場合でも、燃料噴射を一括して行う場合と比べれば、CO排出量は十分に増大しており、触媒のリフレッシュが図られる。
【0021】
請求項5記載の発明では、請求項1に記載の発明において、エンジンが、所定負荷以上若しくは所定回転数以上の定常運転状態、又は加速運転状態になっているとき、空燃比を理論空燃比近傍又は理論空燃比よりもリッチ側に制御する空燃比制御手段を設け、噴射分割制御手段は、エンジンが上記のいずれかの運転状態になったとき、少なくとも吸気行程での燃料噴射及び圧縮行程前半での燃料噴射を含むように、燃料噴射を複数回に分割して実行させ、続いて、燃料噴射を吸気行程において複数回に分割して実行させる構成とした。
【0022】
このことで、エンジンが、所定負荷以上若しくは所定回転数以上の定常運転状態、又は加速運転状態になっているときには、エンジンへの要求出力の増大に対応して空燃比がリッチ側に制御され、これに伴い触媒に吸蔵されているNOx が放出されて還元浄化されるので、その際に排気ガス中のCO排出量を増大させることで、触媒のリフレッシュを有効に促進することができるとともに、エンジンが、所定負荷以上若しくは所定回転数以上の定常運転状態、又は加速運転状態になってすぐには、触媒温度はそれほど高くなっていないと予想されるので、圧縮行程前半での燃料噴射を含む複数回の燃料噴射を実行することで、CO排出量の増大による触媒のリフレッシュを優先することができる。一方、エンジンが上記のいずれかの運転状態になって暫くすれば、触媒温度の上昇が予想されるので、この触媒温度の上昇を抑制するために、吸気行程での燃料噴射の分割を実行して、排気ガス温度を低下させることができる。
【0023】
請求項6記載の発明では、請求項1〜5のうちのいずれかに記載の発明において、燃料噴射弁における燃料噴射圧力を変更調整する燃圧調整手段と、噴射分割制御手段による燃料噴射の分割制御が実行されるとき、上記燃圧調整手段によって燃料噴射圧力を低下させる燃圧低下制御手段とを設けた。このことで、燃料噴射圧力を低下させることで、燃料噴射弁から噴射される燃料の粒径が大きくなって燃料の気化霧化状態が悪化するので、このことによってCO排出量が増大し、触媒のリフレッシュが一層促進される。
【0024】
請求項7記載の発明では、請求項6に記載の発明における燃圧調整手段は、燃料ポンプ及び燃料噴射弁を接続する高圧噴射経路の液圧を、エンジン始動時に低下させる液圧調整弁とした。このことで、本来、エンジン始動時の燃料ポンプの負担軽減のために設けられている液圧調整弁を用いることで、システムのコスト低減が図られる。
【0025】
請求項8記載の発明では、請求項6に記載の発明における燃圧調整手段は、燃料噴射弁における燃料噴射圧力を、最低圧の第1圧力設定値、該第1圧力設定値よりも高圧の第2圧力設定値、及び該第2圧力設定値よりも高圧の第3圧力設定値の、少なくとも3段階に変更調整可能に構成され、燃圧制御手段は、噴射分割制御手段による燃料噴射の分割制御が実行されるとき、燃料噴射弁における燃料噴射圧力を、上記第2圧力設定値以上の高い圧力に制御する構成とした。
【0026】
このことで、燃料噴射の分割制御を実行する際の燃料噴射弁における燃料噴射圧力は、エンジン始動時の燃料ポンプの負担を軽減するために設定される第1圧力設定値とは異なる第2圧力設定値に制御することができるので、CO排出量の増大や燃費低減のための最適値に調整することが可能になる。
【0027】
請求項9記載の発明では、請求項8に記載の発明における燃圧制御手段は、噴射分割制御手段により分割された最後の燃料噴射が、吸気行程における下死点前40度以降のクランク角範囲内で実行されるとき、燃料噴射弁における燃料噴射圧力を、第2圧力設定値に制御する一方、上記最後の燃料噴射が上記クランク角範囲内で実行されないとき、燃料噴射圧力を、第3圧力設定値以上の高い圧力値に制御する構成とした。
【0028】
すなわち、分割した最後の燃料噴射を、吸気行程における下死点前40度以降のクランク角範囲で実行するときには、CO排出量の増大による触媒のリフレッシュを優先するために、噴射タイミングを全体として遅角させて燃料の気化霧化状態を悪化させようとしているのであるから、併せて、燃料噴射圧力を第2設定圧力値まで低下させることで、燃料噴射弁から噴射される燃料の粒径を荒くさせて気化霧化状態を一層悪化させることができる。
【0029】
一方、上記最後の燃料噴射を上記クランク角範囲内で実行しないときには、燃費低減のために、噴射タイミングを全体として進角させて燃料の気化霧化状態の悪化を抑制しようとしているのであるから、燃料噴射圧力を第3設定圧力値以上に高めることで、燃料噴射弁から噴射される燃料の微粒化を損なわないようにすることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0031】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るエンジンの制御装置Eを示し、1は直列4気筒4サイクルガソリンエンジンである。このエンジン1は4つのシリンダ2,2,…(1つのみ図示する)を有するシリンダブロック3と、該シリンダブロック3の上面に組付けられたシリンダヘッド4と、各シリンダ2内に往復動可能に嵌装されたピストン5とを備え、上記各シリンダ2内にはピストン5及びシリンダヘッド3により囲まれる燃焼室6が区画形成されている。この燃焼室6の上部には点火プラグ7が臨設され、該点火プラグ7はイグナイタ等を含む点火回路8に接続されている。また、上記燃焼室6の側壁には燃料噴射弁9が設けられていて、この燃料噴射弁9から噴射された燃料は、ピストン5の頂部に設けられた図示しないキャビティにトラップされて、点火プラグ7の近傍に比較的濃い混合気場を形成するようになっている。
【0032】
さらに、10は上記各シリンダ2の燃焼室6に吸気を供給する吸気通路で、この吸気通路10の上流端はエアクリーナ11に接続される一方、下流端は、吸気弁12を介して燃焼室6に連通されている。上記吸気通路10には、エンジン1に吸入される吸入空気量を検出する感熱式エアフローセンサ13と、吸気通路10を絞るスロットル弁14と、サージタンク15とが上流側から順に配設されている。上記スロットル弁14は、アクセルペダルとの機械的な連結が切り離されていて、後述のECU35(Electronic Control Unit )からの信号を受けて動作するアクチュエータ14aにより、スロットル開度が制御されるようになっている。
【0033】
一方、20は上記燃焼室6から排気ガスを排出する排気通路で、その上流端は排気弁21を介して燃焼室6に連通されている。排気通路20の途中には空燃比を検出するためのO2 センサ22と、排気ガスを浄化するための触媒コンバータ23とが上流側から順に配設されている。上記O2 センサ22は、排気ガス中の酸素濃度を基に空燃比を検出するもので、理論空燃比で出力が急変するようになっている。
【0034】
また、上記触媒コンバータ23は、空燃比が理論空燃比よりも大きいリーン状態で排気ガス中のNOx を吸蔵する一方、空燃比が理論空燃比以下のリッチ状態になったときに吸蔵したNOx を放出して還元浄化するものである。
【0035】
すなわち、上記触媒コンバータ23は、図2に示すように、担体23aの上にNOx吸蔵層23bと触媒材層23cとが、前者を内側(図の下側)に、後者を外側(図の上側)にして層状に構成されている。上記担体23aはコージェライト製ハニカム構造体である。NOx吸蔵層23bは、比表面積の大きな活性アルミナに、触媒成分であるPt成分とNOx 吸蔵材であるBa成分とを担持させたNOx吸蔵型触媒材を主成分として構成されている。また、触媒材層23cは、ゼオライトを担持母体として、これにPt成分及びRh成分を担持させてなるNOx 還元型触媒材を主成分として構成されている。
【0036】
なお、上記吸気通路10及び排気通路20は、排気ガスの一部を吸気側に還流させるためのEGR通路24によって連通されていて、このEGR通路24には、排気還流量を調節するEGR弁25が設けられている。
【0037】
また、上記エンジン1には、ウォータジャケットに臨設して冷却水温を検出する水温センサ26が設けられており、この他、図示しないが、電磁ピックアップ等からなるクランク角センサが設けられていて、このクランク角センサから出力されるパルス信号に基づいてエンジン回転数が検出されるようになっている。
【0038】
さらに、27は、燃料タンク28から送られてくる燃料を増圧してインジェクタ9に供給する高圧燃料ポンプであり、29は、該高圧燃料ポンプの吐出圧を変更調整する燃圧調整手段としてのプレッシャコントローラである。このプレッシャコントローラ29は、後述のECU35からの制御信号によりデューティー制御される圧力調整弁からなり、図示しない燃料分配器から上記高圧燃料ポンプ27の上流側に燃料をリターンさせて、インジェクタ9に供給する燃圧を変更調整する。なお、30は、上記燃料タンク28内の燃料を高圧燃料ポンプ27に圧送する低圧燃料ポンプであり、この低圧燃料ポンプ30から吐出された燃料は、低圧プレッシャレギュレータ31で調圧され、燃料フィルタ32を介して高圧燃料ポンプ27に送られる。
【0039】
図1において、35はマイクロコンピュータ等により構成されたエンジンコントロールユニット(ECU)である。このECU35には、エアフローセンサ13、O2 センサ22、クランク角センサ、水温センサ26、アクセル開度センサ34等からの各出力信号が入力される。一方、上記ECU35からは、燃料噴射弁9に対し燃料噴射を制御する信号(パルス信号)が出力されるとともに、点火回路8、スロットル弁14のアクチュエータ14a、プレッシャコントローラ29等に制御信号が出力される。
【0040】
すなわち、上記ECU35は、主として、エンジン1の暖機判定、エンジン1の運転状態の判定、エンジン1の運転領域の判定を行い、これらの判定結果に基づき、電子的に格納されたマップを参照して、燃料噴射弁9の噴射タイミング・噴射パルス幅の制御、燃圧の制御、スロットル弁14の開度制御等を行うものであり、燃料噴射を複数回に分割して実行させる噴射分割制御手段35aと、その際、燃料噴射圧力を、通常の一括燃料噴射時よりも低下させる燃圧制御手段35bと、エンジン1が、所定負荷以上若しくは所定回転数以上の定常運転状態、又は加速運転状態になっているとき、空燃比を理論空燃比近傍又は理論空燃比よりもリッチ側に制御する空燃比制御手段35c(公知)とを有している。
【0041】
具体的には、エンジン1の運転領域は、図3に示す定常運転状態及び図4に示す加速運転状態のそれぞれについて、エンジン回転数とエンジン負荷とに基づいて4つの運転領域に分けられている。上記図3に示すエンジン1の定常運転状態において、運転領域Iは、圧縮行程における点火直前の燃料噴射によりエンジン1を成層燃焼状態にさせて、空燃比リーン(例えばA/F≧22)で運転させる領域であり、それ以外の各運転領域II,III , IV は、いずれも、少なくとも1回目の燃料噴射を吸気行程で実行して、上記エンジン1を均一燃焼状態にさせて、空燃比リッチ(例えばA/F=12〜14)で運転させる領域である。同様に、上記図4に示す加速運転状態の各運転領域XI,XII ,XIII,XIV は、上記エンジン1を均一燃焼状態にさせて、空燃比リッチ(例えばA/F=12〜14)で運転させる領域である。
【0042】
そして、本発明の特徴は、上記噴射分割制御手段35aにより、エンジン1が所定の運転状態にあるとき、燃料噴射を複数回に分割して実行させることで、排気ガス中のCO排出量を増大させて、触媒のリフレッシュを促進するようにしたことである。
(燃料噴射の分割制御)
上記噴射分割制御手段35aによる燃料噴射の分割制御について、具体的に、図5〜図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0043】
図5におけるステップS1では、エンジン回転数、アクセル開度、エアフローセンサの計測値、エンジン水温、スタータ出力等を読込み、続くステップS2ではエンジン1が始動中か否かを判定する。すなわち、スタ−タモータがオフ状態であるか又はエンジン回転数が所定回転数よりも大きければ、始動中でないと判定して後述のステップS5に進む一方、スタータモータがオン状態でかつエンジン回転数が所定回転数以下であれば、始動中であると判定してステップS3に進む。
【0044】
そして、ステップS3で、エンジン始動時に対応する噴射パルス幅TaK 及びその噴射タイミングを、電子的に格納されたマップから読み出す。上記噴射パルス幅TaK は、空燃比をリッチにして良好な始動性を確保するよう大値に設定されている。続くステップS4では、上記始動時の噴射パルス幅TaK を吸気行程での1回目の噴射パルス幅TaK1とし、吸気行程での2回目の燃料噴射パルス幅TaK2、及び、圧縮行程での燃料噴射パルス幅TaK3,TaD は0にする。ここで、上記各噴射パルス幅TaK1,TaK2,TaK3,TaD は、それぞれ略図8に示すような噴射タイミングに設定されている。
【0045】
つまり、エンジン始動時には、図8(d)に示すように、燃料噴射を吸気行程前半での一括噴射とし、図5のステップS29に進んで、後述の如くステップS29〜ステップS39において燃料噴射を実行する。これにより、エンジン1は均一燃焼状態で吹け上がる。
【0046】
一方、上記ステップS2でエンジン始動中でないと判定された場合、ステップS5に進んで、運転状態のエンジン水温がエンジン1の暖機状態に対応する所定温度(例えば70°C〜80°C)以上であるか否かを判定する。そして、上記所定温度よりも低ければ、エンジン冷機状態であるから後述のステップS8に進む一方、上記所定温度以上であればエンジン暖機状態であるから、ステップS6に進んで、エンジン1が加速運転状態になっているか否かを判定する。すなわち、エンジン回転数、エンジン負荷又はアクセル開度が所定以上増大したときに、エンジン1が加速運転状態にあると判定する。そして、加速運転状態でないと判定されれば後述のステップS23(図6参照)に進む一方、加速運転状態であると判定されればステップS7に進み、エンジン回転数及びエンジン負荷に基づいて、エンジン1の運転状態が運転領域XI又は運転領域XIV (図4参照)にあるか否かを判定する。
【0047】
すなわち、エンジン1の加速運転状態において、エンジン回転数が例えば3000rpm以下であって、かつ、エンジン負荷が例えば全負荷の1/2以下であるとき(図4の運転領域XI)、ステップS8に進む。また、エンジン回転数が例えば4000rpm以上であるか、又は、エンジン負荷が例えば全負荷の3/4以上であって、かつ、エンジン回転数が例えば3000rpm以上であるとき(図4の運転領域XIV )、ステップS8に進む。なお、エンジン負荷は、例えば吸気充填効率から求めればよく、この吸気充填効率は、エアフローセンサ出力とエンジン回転数とから演算される。
【0048】
ステップS8では、噴射パルス幅TaK が算出される。ここで、エンジン1が半暖機状態(例えばエンジン水温が40°C〜70°Cの状態)であれば、燃焼安定性の確保及び排気ガス浄化の観点から、空燃比が略理論空燃比になるように上記噴射パルス幅TaK が算出される。また、エンジン1が暖機状態になっていれば、上記噴射パルス幅TaK は、アクセル操作量及びエンジン負荷に基づいて空燃比リッチになるように算出され、このことで、エンジン1の加速運転状態に対応する高出力が得られるようになる。
【0049】
続くステップS9では、算出された噴射パルス幅TaK を、上記ステップS4と同様に吸気行程での1回目の噴射パルス幅TaK1とするとともに、それ以外の各噴射パルス幅TaK2,TaK3,TaD の値を0にして、図8(d)に示すように燃料噴射を吸気行程前半での一括噴射とする。そして、ステップS10に進んで、上記一括噴射の噴射タイミングを算出した後、図7のステップS29〜ステップS39において燃料噴射を実行する。
【0050】
一方、上記ステップS7において、運転領域XI及び運転領域XIV のいずれでもないと判定されれば、図6のステップS11に進み、ステップS7と同様にエンジン回転数及びエンジン負荷に基づいて、エンジン1の運転状態が運転領域XIIIであるか否かを判定する。すなわち、エンジン1の加速運転状態において、高負荷かつ低回転の運転領域(図4の運転領域XIII)にあると判定されれば、後述のステップS20に進む一方、その運転領域にない(即ち同図の運転領域XII にある)と判定されれば、ステップS12に進む。
【0051】
このステップS12ではフラグFlagAck の値が1であるか否かを判定する。そして、1でなければステップS13に進んでフラグFlagAck の値を1とし、続くステップS14でタイマをセットした後に、ステップS16に進む。一方、上記ステップS12においてフラグFlagAck =1であればステップS15でタイマセット中であるか否かを判定し、タイマセット中でなければステップS19に進む一方、セット中であればステップS16に進む。
【0052】
このステップS16では、ステップS8と同様、噴射パルス幅TaK が、アクセル操作量及びエンジン負荷に基づいて空燃比リッチになるように算出され、エンジン1の加速運転状態に対応する高出力が得られるようになる。続くステップS17では、上記ステップS16で算出された噴射パルス幅TaK に基づいて、噴射パルス幅TaK1〜TaK3を求める。すなわち、
TaK1 = (1−a)×TaK
TaK2 = 0
TaK3 = a×TaK
ここで、aは燃料噴射量の分割比を変更するための分割係数で、種々試験結果に基づいて設定されるものであるが、燃費低減のためには、 a≦0.5 とすることが好ましい。また、噴射パルス幅TaD =0とされる。
【0053】
つまり、運転領域XII においては、エンジン1が加速運転状態になってから所定時間が経過するまでの間、図8(c)に示すように、燃料噴射を前後2回に分割して、吸気行程及び圧縮行程で1回づつ実行する。このことで、1サイクル当たりのインジェクタ9の噴射回数が増え、その分、開弁初期に噴射される粒の荒い燃料の割合が増加して、燃料の気化霧化状態が悪化する。このため、混合気の微細部における局所的な不完全燃焼によりCO排出量が増大し、排気通路20に設けられた触媒コンバータ23は、排気ガス中のCOに包み込まれた状態になって、吸蔵しているNOx を放出し易くなるので、触媒のリフレッシュが促進される。特に、2回目の燃料噴射が圧縮行程で実行されるため、この燃料噴射から点火までの時間は極めて短くなり、噴射された燃料は気化霧化が極めて悪い状態で点火されることになるので、CO排出量は極めて多くなる。
【0054】
一方、上記ステップS15でタイマセット中でないと判定された場合、ステップS19に進んでフラグFlagAck をクリアした後、ステップS20に進む。また、上記ステップS11で、エンジン1が運転領域運転領域XIIIにあると判定された場合もステップS20に進む。このステップS20では、ステップS8,S16と同様、アクセル操作量及びエンジン負荷に基づいて噴射パルス幅TaK が算出され、空燃比がリッチになって、エンジン1の加速運転状態に対応する高出力が得られるようになる。続くステップS21では、上記ステップS20で算出された噴射パルス幅TaK に基づいて、各噴射パルス幅TaK1〜TaK3を求める。すなわち、
TaK1 = b×TaK
TaK2 = (1−b)×TaK
TaK3 = 0
ここで、bは燃料噴射量の分割比を変更するための分割係数で、種々試験結果に基づいて設定されるものであるが、燃費低減のためには、 b>0.5 とすることが好ましい。また、噴射パルス幅TaD =0とされる。
【0055】
つまり、運転領域XII において、エンジン1が加速運転状態になってから所定時間が経過した場合、及び、運転領域XIIIにおいては、図8(b)に示すように、燃料噴射を前後2回に分割して、それぞれ吸気行程において実行する。このことで、1サイクル当たりのインンジェクタ9の噴射回数が増えるので、上述の如くCO排出量が増大し、触媒のリフレッシュが促進される上、最初に噴射された燃料が燃焼室6内で拡散する間に2回目の燃料噴射が行われて、燃焼室6内における混合気の均一化が促進されるので、燃焼時間の短縮により、排気ガス温度を低下させて触媒の温度上昇を抑制することができる。また、燃焼時間の短縮によりエンジン1の運転効率を向上させて、分割噴射に伴う局所的な不完全燃焼に起因する燃費増大を抑制することができる。
【0056】
これに対し、上記ステップS6においてエンジン1が加速運転状態にない、即ち定常運転状態になっていると判定された場合は、ステップS23に進んで、エンジン回転数及びエンジン負荷に基づいて、エンジン1の運転状態が高負荷かつ低回転の運転領域(図3の運転領域II)にあるか否かを判定する。
【0057】
すなわち、エンジン1の定常運転状態において、エンジン回転数が所定回転数(例えば3000rpm)以下の低回転域にあって、かつ、エンジン負荷が所定以上(例えば全負荷の2/3以上)の高負荷域にあるときには、エンジン1の運転状態が、高負荷かつ低回転の運転領域IIにあると判定し、上記ステップS20〜S22に進んで、上述の如く燃料噴射を吸気行程おいて前後2回に分割して実行する。
【0058】
つまり、運転領域IIでは、エンジン1に高負荷がかかるので、発生する熱量が大きくなって触媒温度が高くなり易いが、吸気行程における燃料噴射の分割制御により触媒の温度上昇を抑制することができる。また、運転領域IIは、エンジン回転数が低く、高回転運転領域に比べてエンジン1のサイクルタイムが長くなるので、燃料及び空気の混合状態を均一化させる上で、燃料噴射を複数回に分割することは極めて有効である。
【0059】
その際、前後2回の燃料噴射の噴射タイミングを、吸気行程における上死点後40度以降から下死点前40度以前のクランク角範囲内に設定する。このクランク角範囲内では、図9に示すようにピストンスピードが極めて速くなっているので、噴射された燃料と吸気の混合を促進することができる。
【0060】
また、噴射タイミングは、触媒の温度状態に対応させて変更する。すなわち、触媒の温度状態が所定温度(例えば400°C)以上になって、NOx 浄化率が低下しているときには、前後2回の燃料噴射の噴射タイミングを、全体として吸気行程の後半寄りに遅角させることで、図10に示すように、CO排出量を顕著に増大させることができるので、触媒のリフレッシュ効果を高めることができる。一方、触媒の温度状態が上記所定温度以上でなければ、噴射タイミングを全体として吸気行程の前半寄りにさせて、同図に示すように、噴射タイミングを吸気行程の後半寄りとした場合と比べて燃費の低減を図ることができる。この場合でも、燃料噴射を一括して行う場合と比べれば、CO排出量は十分に増大しており、触媒のリフレッシュ効果はある。
【0061】
なお、触媒の温度状態を判定するためには、例えば触媒コンバータ23の内部又はその直前の排気通路20内にガス温度センサを設け、このガス温度センサの検出温度から触媒温度を推定して判定を行うようにすればよい。
【0062】
また、図6のステップS23において、エンジン1の運転状態が運転領域IIにないと判定されたときには、ステップS24に進んで、上記ステップS23と同様にエンジン回転数及びエンジン負荷に基づいて、エンジン1の運転状態が低負荷(例えば全負荷の1/2以下)かつ低回転(例えば3000回転以下)の運転領域(図3の運転領域I)であるか否かの判定を行い、この運転領域でなければ後述のステップS28に進む一方、この運転領域であればステップS25に進む。
【0063】
このステップS25では、噴射パルス幅TaD を、アクセル操作量及びエンジン負荷に基づいて算出する。ここで、上記運転領域Iは、エンジン1を成層燃焼状態で運転させる領域であり、噴射パルス幅TaD は、空燃比がリーンになるよう小値とされる。続くステップS26では、噴射パルス幅TaD 以外の各噴射パルス幅TaK1,TaK2及びTa3 の値を0にして、燃料噴射を圧縮行程における一括噴射とする。そして、ステップS27に進んで噴射タイミングを算出した後、図7のステップS29〜ステップS39において、図8(a)に示すように圧縮行程の点火時期直前での燃料噴射を実行する。これにより、エンジン1は、空燃比リーンで成層燃焼状態とされる。
【0064】
一方、上記ステップS24で、エンジン1の運転状態が運転領域Iにないと判定された場合にはステップS28に進み、上記ステップS24と同様にエンジン回転数及びエンジン負荷に基づいて、エンジン1の運転状態が、成層燃焼状と均一燃焼状との間の過渡的運転領域(図3の運転領域IV)にあるか否かを判定する。この運転領域IVは、第1の運転領域と第2の運転領域とを合わせたもので、第1の運転領域は、中負荷(例えば全負荷の1/2以上で2/3以下)で、かつ、低回転(例えば3000回転以下)又は中回転(例えば3000〜4000回転)の運転領域である。また、上記第2の運転領域は、上記中回転で、かつ、低負荷(例えば全負荷の1/2よりも低負荷)又は上記中負荷の運転領域である。
【0065】
そして、エンジン1の運転状態が上記運転領域IVにあると判定すれば、上述のステップS16〜S18に進んで、図8(c)に示すように、燃料噴射を前後2回に分割して、吸気行程及び圧縮行程で1回づつ実行する。このことで、成層燃焼状態(運転領域I )と均一燃焼状態(運転領域II,III )との間で燃焼状態が変化する過渡的運転領域(運転領域IV)において、エンジン1の燃焼状態を、成層燃焼と均一燃焼の中間的な燃焼状態にすることができ、エンジン出力の繋りが良くなる。なお、上記運転領域IVにおいて、燃料噴射を吸気行程において前後2回に分割して実行するようにしてもよい。
【0066】
一方、上記ステップS28で、エンジン1の運転状態が運転領域IVにないと判定されれば、即ち、運転領域III にあると判定し、上述のステップS8〜S10に進んで、図8(d)に示すように、燃料噴射を吸気行程前半での一括噴射とする。このことで、エンジン1への要求出力が極めて高く、燃料噴射量の増大に対応して噴射時間も長くなる高負荷(例えば全負荷の2/3以上)かつ中高回転(例えば3000回転以上)の運転領域では、燃料噴射を一括して実行することで、エンジン出力の向上が図られる。その際、噴射タイミングを、排気行程から吸気行程にかけての上死点近傍とすれば、燃料噴射量が多くても十分に気化霧化状態を良くすることができ、エンジン出力は一層向上する。
【0067】
なお、上記運転領域III 内の低負荷(例えば全負荷の1/2よりも低負荷)の運転領域では、図8(c)に示すように、燃料噴射を吸気行程及び圧縮行程で1回づつ実行するようにして、CO排出量の増大により触媒のリフレッシュを促進するようにしてもよい。
【0068】
上述のステップS4、S10、S18、S22及びS27に続く、図7のステップS29では、燃料噴射の噴射パルス幅TaK1=0か否か半別し、TaK1=0でなければステップ30に進んで、上記噴射パルスTaK1の噴射タイミングになったことの判定を行い、ステップS3、S10、S18又はS22でそれぞれ算出された噴射パルス幅TaK1の噴射タイミングになれば、ステップS31に進んで燃料噴射を実行する。
【0069】
また、上記ステップS29においてTaK1=0であれば、ステップS32に進み、以下、ステップS32〜S34では、噴射パルス幅TaK2について上記ステップS29〜S31と同様の処理を行い、さらに、続くステップS35〜S39で、上噴射パルス幅TaK3,TaD についても同様の処理を行って、リターンする。
【0070】
なお、スロットル弁14の開度は、図11に示すスロットル開度特性に従い、運転者によるアクセル操作量に対応して制御される。すなわち、加速運転状態では同図のTVAのスロットル開度特性が選択される一方、定常運転状態では同図のTVBのスロットル開度特性が選択される。
(燃圧の制御)
次に、燃圧制御手段35bによる燃料噴射圧力の制御について、具体的に、図12及び図13に基づいて説明する。
【0071】
図12のフローチャートにおけるステップT1では、スタータ信号に基づいてエンジン1が始動中か否かを判定する。すなわち、スタータモータがオン状態でかつエンジン回転数が所定回転数以下であれば、始動中であると判定してステップT2に進み、プレッシャコントローラ29の設定圧を最も低圧の第1の圧力設定値(図13参照)とする。このことで、燃料噴射弁9における燃料噴射圧力は極めて低くなり、エンジン始動時に燃料ポンプ27,30にかかる負担を軽減することができる。
【0072】
一方、上記ステップT1において、スタ−タモータがオフ状態であるか又はエンジン回転数が所定回転数よりも大きければ、始動中でないと判定してステップT3に進み、エンジン1の運転状態が、上述の如き燃料噴射の分割制御を実行する運転領域(分割制御領域)であるか否かを判定する。すなわち、例えば、運転領域I ,III ,XI,XIV (図3及び図4参照)であれば、分割制御領域ではないので後述のステップT6に進む一方、例えば、運転領域II,IV,XII ,XIIIであれば、分割制御領域であると判定して、ステップT4に進む。
【0073】
このステップT4では、分割した最後の燃料噴射が、気筒の吸気行程における下死点前40度以降のクランク角範囲で実行されているか否かを判別する。そして、そのクランク角範囲で実行されていれば、ステップT5に進んで、プレッシャコントローラ29の設定圧を、中間圧の第2の圧力設定値に制御する。この第2の圧力設定値は、通常の燃料噴射圧力である第3の圧力設定値よりも低いため、インジェクタ9から噴射される燃料の粒径が荒くなって燃料の気化霧化状態が悪化するので、このことによってCO排出量が増大し、触媒のリフレッシュが一層促進される。
【0074】
つまり、最後の燃料噴射が、吸気行程における下死点前40度以降のクランク角範囲で実行されている場合には、CO排出量の増大による触媒のリフレッシュのために噴射タイミングを全体として遅角させているのであるから、併せて燃圧を低下させることで、CO排出量をより一層増大させるようにする。
【0075】
一方、上記ステップT4で、分割した最後の燃料噴射が、気筒の吸気行程における下死点前40度以降のクランク角範囲で実行されていなければ、即ち、燃費の低減のために噴射タイミングを全体として進角させているのであるから、ステップT6に進んで、プレッシャコントローラ29の設定圧を、通常の燃料噴射圧力である第3の圧力設定値に制御する。このことで、インジェクタ9から噴射される燃料の微粒化を損なわないようにして、燃費低減を図るようにする。
【0076】
次に、上記実施形態1の作用効果を説明する。
【0077】
この実施形態1では、エンジン負荷及びエンジン回転数に基づいてエンジン1の運転領域(運転状態)を判定し、各運転領域においてそれぞれ異なる燃料噴射の分割制御を行うことによって、CO排出量の増大による触媒のリフレッシュ、燃費低減及び触媒の温度上昇の抑制を、併せて実現することができる。
【0078】
すなわち、エンジン1の定常運転状態における高負荷かつ低回転の運転領域(運転領域II)において、燃料噴射を吸気行程で前後2回に分割して実行するようにしたので、エンジン1からのCO排出量の増大により、触媒のリフレッシュを促進することができ、これにより、触媒のリフレッシュのための空燃比の切替えの頻度を下げたり、そのときの空燃比のリッチ度合いを低くすることができるようになるので、燃料の気化霧化状態の悪化に伴う燃費増大はあるものの、従来までと比べて燃費の低減が図られ、また、エンジン1の運転状態の変化に伴うショックを軽減することができる。
【0079】
さらに、上記運転領域IIでは、高負荷のためエンジン1の発熱量が大きくなって触媒温度が高くなり易いが、吸気行程における前後2回の燃料噴射により、燃焼時間を短縮させて、排気ガス温度を低下させることができるので、触媒の温度上昇を抑制することができる。また、運転領域IIは、エンジン回転数が低く、高回転運転領域に比べてエンジンのサイクルタイムが長くなるので、燃料及び空気の混合状態を均一化させる上で、燃料噴射を複数回に分割することは極めて有効である。
【0080】
また、エンジン1の定常運転状態における、成層燃焼状態の運転領域(運転領域I )と均一燃焼状態の運転領域(運転領域II,III )との間の過渡的運転領域(運転領域IV)において、燃料噴射を前後2回に分割して実行するようにしたので、成層燃焼状態と均一燃焼状態との間で切換わるときのエンジン1の燃焼状態を、それらの中間的な燃焼状態にすることができ、エンジン出力の繋りを良くすることができる。
【0081】
しかも、その際、燃料噴射を、吸気行程及び圧縮行程で1回づつ実行するようにしたため、2回目の燃料噴射から点火までの時間は極めて短くなり、このときに噴射された燃料は気化霧化が極めて悪い状態で点火されることになるので、CO排出量の増大による触媒のリフレッシュ効果も極めて高い。
【0082】
さらに、エンジン1の加速運転状態における運転領域XII では、加速運転状態になってから所定時間が経過するまでの間、燃料噴射を吸気行程及び圧縮行程で1回づつ実行することで、上述の如くCO排出量の増大による触媒のリフレッシュ効果を極めて高くさせることができる一方、上記所定期間が経過して、触媒温度の上昇が予測されるようになれば、燃料噴射を吸気行程で分割して実行することで、上述の如く排気ガス温度を低下させて、触媒の温度上昇を抑制することができる。
【0083】
加えて、燃料噴射の分割によりCO排出量を増大させるときに(運転領域II,IV,XII ,XIII)、燃料噴射圧力を、通常の燃料噴射圧力である第3の圧力設定値よりも低い第2の圧力設定値に制御するようにしたので、燃圧の低下によりインジェクタ9から噴射される燃料の粒径を荒くさせて燃料の気化霧化状態を悪化させることによって、CO排出量の増大による触媒のリフレッシュ効果を高めることができる。
(実施形態2)
図14及び図15は、本発明の実施形態2に係るエンジンの制御装置Eを示す(尚、図1、図5、図6及び図7と同様の部分については、同一符号を付してその説明は省略する)。この実施形態は、実施形態1と同様の構成であるが、さらに、触媒の浄化率状態を判定する浄化率判定手段36を設け、この浄化率判定手段36によって触媒の浄化率の所定以上の低下が判定されたとき、燃料噴射を前後2回に分割して実行させるようにしたものである。
【0084】
すなわち、図14において、ステップS1〜S5は、それぞれ実施形態1のステップS1〜S5と同じであるが、ステップS5に続くステップS51において、触媒温度が設定温度以上であるか否かを判別する。そして、該設定温度以上でなければ、ステップS6以降に進んで上記実施形態1と同様の制御を実行する一方、触媒温度が上記設定温度以上であれば、浄化率が所定以上低下していると判定して図15のステップS20に進み、ステップS20〜S22において、吸気行程における前後2回の分割噴射制御を実行する。
【0085】
なお、触媒の温度状態を判定するためには、例えば触媒コンバータ23の内部又はその直前の排気通路20内にガス温度センサを設け、このガス温度センサの検出温度から触媒温度を推定して判定を行うようにすればよい。
【0086】
また、図15において、ステップS12〜S24は、それぞれ実施形態1のステップS12〜S24と同じであるが、ステップS24に続くステップS241において、エンジン1の運転状態が設定時間以上継続して運転領域Iにあるか否かを判別する。そして、該設定時間以上でなければ、ステップS25以降に進んで上記実施形態1と同様の制御を実行する一方、上記設定時間以上継続して運転領域Iになっていれば、空燃比リーン運転の継続により触媒のNOx 吸蔵量が増えていて、NOx 吸蔵キャパシティーの低下に伴い浄化率が所定以上低下していると判定して、ステップS16に進み、ステップS16〜S18において、吸気行程と圧縮行程における前後2回の分割噴射制御を実行する。
【0087】
上記図14及び図15において、ステップ51及びステップ241が、浄化率判定手段36を構成している。
【0088】
したがって、この実施形態2では、上記実施形態1と同様の作用効果が得られる上、触媒の温度状態や成層燃焼状態の継続時間に基づいて触媒の浄化率状態を判定することができるため、触媒の浄化率の所定以上の低下が判定されたときに燃料噴射の分割制御を実行して、CO排出量の増大による触媒のリフレッシュを実行することができるので、触媒が飽和状態になることを防止しつつ、分割噴射に起因する燃費増大を抑制することができる。
【0089】
なお、浄化率判定手段としては、例えば図16に示すように、排気通路20における触媒コンバータ23の下流側に、上流側に設けられている空燃比フィードバック制御のためのO2 センサ22と同一のO2 センサ33を設けて、それらの出力に基づいて、浄化率判定手段37により直接的に触媒の浄化率状態を判定するようにしてもよい。
【0090】
すなわち、例えばエンジン1が半暖機状態(エンジン水温が40°C〜70°Cの状態)になっているとき、ECU35により、空燃比が理論空燃比になるようにO2 センサ22の出力に基づくフィードバック制御が行われるが、このとき、該O2 センサ22の出力は、図17(a)に示すようになり、一方,触媒コンバータ23の下流側のO2 センサ33からの出力は、触媒の浄化率の変化に対応して、同図の(b)又は(c)に示すようになる。
【0091】
具体的には、空燃比が略理論空燃比になっているとき、触媒の浄化率が高ければ、排気ガス中の未燃炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)が窒素酸化物(NOx )や酸素(O2 )と反応することで、触媒コンバータ23の下流の排気ガス中では、酸素濃度が低下するので、下流側のO2 センサ33の出力は、同図(b)に示すように、上流側のO2 センサ22の出力に比べて、反転回数が極めて少ないものになる。一方、触媒の浄化率の低下に伴い下流側のO2 センサ33の出力は、同図(c)に示すように反転回数が増えて、上流側のO2 センサ22の出力に近付く。このことから、浄化率判定手段37により、上流側のO2 センサ22と下流側のO2 センサ33とに基づいて触媒の浄化率の所定以上の低下を判定することができる。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明におけるエンジンの制御装置によれば、噴射分割制御手段により、燃料噴射を吸気行程において複数回に分割して実行することで、CO排出量を増大させて触媒のリフレッシュを促進することができ、また、燃焼室内における混合気の均一化を促進して、分割噴射に伴う燃費増大を抑制することができる。
【0093】
このため、触媒のリフレッシュのための空燃比の切替えの頻度を下げたり、そのときの空燃比のリッチ度合いを低くすることができるので、燃料の気化霧化状態の悪化に伴う燃費増大はあるものの、従来までと比べて燃費の低減が図られ、また、エンジンの運転状態の変化に伴うショックを軽減することができるとともに、燃焼時間の短縮により排気ガス温度が低下するので、触媒の温度上昇に伴うNOx 浄化率の低下が抑制される。
【0094】
請求項2記載の発明では、エンジンの高負荷低回転の領域で、吸気行程における燃料噴射の分割制御を実行することで、高負荷であっても触媒の温度上昇を抑制することができる。また、少なくとも1回目の燃料噴射をピストンスピードの速いクランク角範囲内で実行することで、燃料及び空気の混合を促進することができる。
【0095】
請求項3記載の発明によれば、成層燃焼状態と均一燃焼状態とが切替わるときのエンジンの燃焼状態を、それらの中間的な燃焼状態とすることができ、エンジン出力の繋りが良くなる。また、請求項5に記載の発明と同様、触媒の温度上昇を抑制することができる。
【0096】
請求項4記載の発明によれば、CO排出量の増大による触媒のリフレッシュと燃費低減とを、触媒の温度状態に応じて高次元で両立することができる。
【0097】
請求項5記載の発明によれば、エンジンへの要求出力の増大に対応するとともに、触媒のリフレッシュを有効に促進することができる。また、触媒温度がそれほど高くない間は、CO排出量の増大による触媒のリフレッシュを優先する一方、触媒温度の上昇が予想されるときには、排気ガス温度を低下させて触媒の温度上昇の抑制を優先することができる。
【0098】
請求項6記載の発明では、燃料噴射の分割制御に併せて、燃料噴射圧力の低下により噴射される燃料の粒径を荒くさせることで、CO排出量の増大による触媒のリフレッシュを一層促進することができる。
【0099】
請求項7記載の発明によれば、従来からの液圧調整弁を用いることで、システムのコスト低減が図られる。
【0100】
請求項8記載の発明によれば、燃料噴射の分割制御を実行する際の燃料噴射圧力を、CO排出量の増大や燃費低減のための最適値に調整することができる。
【0101】
請求項9記載の発明によれば、CO排出量の増大による触媒のリフレッシュを優先するときには、燃料噴射圧力を第2圧力設定値まで低下させて、気化霧化状態を一層悪化させることができる一方、燃費低減を優先するときには、燃料噴射圧力を第3圧力設定値以上に高めることで、燃料噴射弁から噴射される燃料の微粒化を損なわないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1を示す全体構成図である。
【図2】 触媒コンバータの構成を示す断面図である。
【図3】 エンジンの定常運転状態における、エンジン回転数及びエンジン負荷に対応して設定されるエンジンの運転領域を示す説明図である。
【図4】 エンジンの加速運転状態における図3相当図である。
【図5】 エンジン始動時、エンジン冷気時、及び運転領域III ,XI,XIV における燃料噴射の分割制御の具体的な手順を示すフローチャート図である。
【図6】 運転領域I ,II,IV,XII ,XIIIにおける燃料噴射の分割制御の具体的な手順を示すフローチャート図である。
【図7】 燃料噴射制御の具体的な手順を示すフローチャート図である。
【図8】 運転領域毎の燃料噴射タイミングの概略を示す説明図である。
【図9】 気筒の吸気行程及び圧縮行程におけるピストンスピードを示すグラフ図である。
【図10】 吸気行程における燃料噴射タイミングと、CO排出量、燃費及び排気ガス温度との相関関係データを示すグラフ図である。
【図11】 アクセル開度に応じたストットル開度特性を示す特性図である。
【図12】 燃料噴射圧力の制御手順を示すフローチャート図である。
【図13】 設定された第1、第2及び第3の圧力設定値を示す説明図である。
【図14】 実施形態2に係る図5相当図である。
【図15】 実施形態2に係る図6相当図である。
【図16】 実施形態2の変形例に係る図1相当図である。
【図17】 触媒の上流側及び下流側のそれぞれに設けたO2 センサの出力例を示す説明図である。
【図18】 触媒のNOx 浄化率の、触媒温度への依存性を示す特性図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 シリンダ(気筒)
6 燃焼室
9 インジェクタ(燃料噴射弁)
20 排気通路
23 触媒コンバータ(NOX 吸蔵型触媒)
35a 噴射分割制御手段
35b 燃圧制御手段
35c 空燃比制御手段
36,37 浄化率判定手段
27,30 燃料ポンプ
29 プレッシャコントローラ(燃圧調整手段)
Claims (9)
- 気筒の燃焼室に燃料を直接噴射する燃料噴射弁と、エンジンの排気通路に設けられ、空燃比が理論空燃比よりもリーン側にあるときに排気ガス中の窒素酸化物を吸蔵するNOx 吸蔵型触媒とを備え、エンジンの高負荷域又は高回転域では、均一燃焼状態になるように燃料を噴射させる一方、エンジンの定常運転状態の低負荷低回転の領域では、成層燃焼状態になるように燃料を噴射させるようにしたエンジンの制御装置において、
上記エンジンが所定の運転状態にあるときに、燃料噴射弁による燃料噴射を吸気行程において複数回に分割して実行させる噴射分割制御手段を設けた
ことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
噴射分割制御手段は、エンジンが高負荷低回転の領域にあるとき、燃料噴射弁による燃料噴射を吸気行程において複数回に分割して、少なくとも1回目の燃料噴射が上死点後40度以降から下死点前40度以前までのクランク角範囲内になるように実行させるように構成されている
ことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
噴射分割制御手段は、エンジンが、中負荷でかつ低回転又は中回転の領域にあるとき、燃料噴射弁による燃料噴射を吸気行程において複数回に分割して、少なくとも1回目の燃料噴射が上死点後40度以降から下死点前40度以前までのクランク角範囲内になるように実行させるように構成されている
ことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項2又は3のいずれかにおいて、
触媒は、温度状態が所定以上高くなると、浄化率が所定以上低下するものであり、
上記触媒の温度状態が上記所定以上に高くなったことを判定する触媒温度判定手段を設け、
噴射分割制御手段は、
上記触媒温度判定手段によって、触媒の温度状態が上記所定以上に高いと判定された場合には、吸気行程における上死点後40度以降から下死点前40度以前までのクランク角範囲内で、かつ、最初の燃料噴射と最後の燃料噴射との中間時点が上死点後90度よりも遅くなるように、燃料噴射の分割制御を実行する一方、上記触媒温度判定手段によって、触媒の温度状態が上記所定温度状態よりも低いと判定された場合には、吸気行程における上死点後40度以降から下死点前40度以前までのクランク角範囲内で、かつ、最初の燃料噴射と最後の燃料噴射との中間時点が上死点後90度よりも早くなるように、燃料噴射の分割制御を実行するように構成されている
ことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項1において、
エンジンが、所定負荷以上若しくは所定回転数以上の定常運転状態、又は加速運転状態になっているとき、空燃比を理論空燃比近傍又は理論空燃比よりもリッチ側に制御する空燃比制御手段を設け、
噴射分割制御手段は、エンジンが上記のいずれかの運転状態になったとき、少なくとも吸気行程での燃料噴射及び圧縮行程前半での燃料噴射を含むように、燃料噴射を複数回に分割して実行させ、続いて、燃料噴射を吸気行程において複数回に分割して実行させるように構成されている
ことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項1〜5のうちのいずれか1つにおいて、
燃料噴射弁における燃料噴射圧力を変更調整する燃圧調整手段と、
噴射分割制御手段による燃料噴射の分割制御が実行されるとき、上記燃圧調整手段によ って燃料噴射圧力を低下させる燃圧制御手段とを設けた
ことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項6において、
燃圧調整手段は、燃料ポンプ及び燃料噴射弁を接続する高圧噴射経路の液圧を、エンジン始動時に低下させる液圧調整弁である
ことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項6において、
燃圧調整手段は、燃料噴射弁における燃料噴射圧力を、最低圧の第1圧力設定値、該第1圧力設定値よりも高圧の第2圧力設定値、及び該第2圧力設定値よりも高圧の第3圧力設定値の、少なくとも3段階に変更調整可能に構成され、
燃圧制御手段は、噴射分割制御手段による燃料噴射の分割制御が実行されるとき、燃料噴射弁における燃料噴射圧力を、上記第2圧力設定値以上の高い圧力に制御するように構成されている
ことを特徴とするエンジンの制御装置。 - 請求項8において、
燃圧制御手段は、
噴射分割制御手段により分割された最後の燃料噴射が、吸気行程における下死点前40度以降のクランク角範囲内で実行されるとき、燃料噴射弁における燃料噴射圧力を、第2圧力設定値に制御する一方、
上記最後の燃料噴射が上記クランク角範囲内で実行されないとき、燃料噴射圧力を、第3圧力設定値以上の高い圧力値に制御するように構成されている
ことを特徴とするエンジンの制御装置。
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