JP4038989B2 - 筒内噴射型内燃機関 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒内噴射型内燃機関、特に排気バルブ及び/又は吸気バルブの開閉タイミングを調整しうる筒内噴射型内燃機関における触媒の昇温技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の内燃機関に備えられる触媒は、排気ガス中の有害成分(HC,CO,NOx等)を浄化する効果を有している。しかしながら、この排ガス浄化効果を得るためには触媒が所定の活性化温度に達していることが必要であり、冷態始動時のように触媒温度が低い状態では十分な効果を得ることはできない。この点については近年実用化されている筒内噴射型内燃機関でも同様であるが、筒内噴射型内燃機関では、燃料噴射時期を任意に制御できるという特性を生かした種々の触媒昇温技術が提案されている。
【0003】
例えば、特開2000−240485号公報には、触媒の昇温が要求される時、空燃比が理論空燃比近傍になるように燃料を圧縮行程中に噴射して成層燃焼を行わせる技術が開示されている。この技術は、成層燃焼によって空燃比がリッチな領域とリーンな領域とを局部的に生じさせ、リッチ空燃比領域では不完全燃焼により多量のCO,H2を発生させ、リーン空燃比領域では多量の余剰O2を発生させるようにしたものである。つまり、この技術によれば、多量のCO,H2及びO2を触媒に同時に供給することができ、触媒上でのCO,H2とO2との酸化反応による反応熱によって触媒を効率的に昇温させることができる。
【0004】
また、筒内噴射型内燃機関においては、主燃料の噴射後の膨張行程中に追加燃料を噴射することによって触媒を昇温させる技術も知られている。膨張行程中に噴射された追加燃料は内燃機関の出力には寄与せず、そのエネルギの多くは熱となって排気温度を高めることになるので、この技術によれば、高温の排気ガスを触媒に供給して触媒を効率的に昇温させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術は、何れも、燃料噴射時期を任意に制御できるという筒内噴射型内燃機関の特性を生かし、燃料噴射時期によって内燃機関の燃焼状態を制御して触媒の昇温を図っている。しかしながら、内燃機関の燃焼状態を制御するためのパラメータとしては、上記の燃料噴射時期のほかに、点火時期や排気バルブ及び吸気バルブの開閉タイミング等がある。したがって、燃料噴射時期だけでなくこれらの燃料噴射時期以外の制御パラメータも用いて内燃機関の燃焼状態を制御すれば、より効率的な触媒の昇温制御が可能になると考えられる。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑み創案されたもので、触媒を効率的に昇温させることを可能にした筒内噴射型内燃機関を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の筒内噴射型内燃機関は、排気通路に設けられ排気ガスの浄化を行う触媒の昇温が要求されるときには、制御手段により以下の昇温制御を実行することを特徴としている。すなわち、上記触媒の昇温が要求されるときには、まず、燃料噴射手段を駆動して空燃比が理論空燃比近傍若しくは理論空燃比よりも若干希薄空燃比になるように燃料を圧縮行程中に燃焼室内に直接噴射するとともに、バルブタイミング調整手段を駆動して排気バルブの閉時期を排気上死点前に設定し、且つ、点火手段による点火時期を通常運転時よりも遅角させる第1昇温制御を実行する。
【0008】
通常、点火時期を遅角させると後燃え燃焼による排気温度の上昇が期待できるが、点火時期が遅いと燃焼が不安定になってトルク変動等のドライバビリティの悪化を招いてしまう虞がある。しかしながら、本発明の筒内噴射型内燃機関では、圧縮行程中に燃料を噴射することによって燃焼速度の速い成層燃焼を実現し、これにより燃焼安定性を高めている。また、排気バルブの閉時期を排気上死点前に設定することによって吸気バルブと排気バルブの開弁期間のオーバラップ(バルブオーバラップ)を減少させているので、内燃機関の内部EGRが低減し、これによっても燃焼安定性を高めている。したがって、上記のように点火時期を遅角させた場合でも安定した後燃え燃焼の確保によって排気温度は確実に高められ、圧縮行程噴射により生成されるCO,H2と余剰O2の触媒上での反応と相俟って触媒を効率よく昇温させることができる。
【0009】
さらに、内燃機関内のシリンダ壁,ピストン壁,或いはピストントップランド部のクエンチングゾーン(消炎領域)で発生した未燃燃料(未燃HC)は、通常、ピストンの上昇によって排気通路(排気ポート)に押し出されるが、上記のように排気バルブの閉時期を排気上死点前に設定することによって未燃HCを排気通路に押し出すことなく上記燃焼室内に閉じ込められることになる。したがって、未燃HCは上記燃焼室内で再燃焼させられることになり、制御開始直後の上記触媒が十分に昇温されていないときであっても、外部への未燃HCの排出を抑制することができる。
【0010】
なお、上記触媒の昇温が要求されるときとしては、内燃機関の冷態始動時の他、アイドリングやリーン運転がある程度の時間にわたって継続したときのように上記触媒の温度が活性化温度以下まで低下したり或いは低下しそうな状況にあるとき等が挙げられる。昇温要求の有無の判定は、例えば、触媒温度を直接検出したり、或いは高温センサにより検出できる排気温度から触媒温度を推定したりして、検出或いは推定した触媒温度が所定温度以下のときに昇温要求が有ると判定してもよい。また、内燃機関の冷却水温(或いは油温)が所定温度まで低下したら昇温要求があると判定してもよい。なお、上記触媒の種類には限定はなく、三元触媒の他、吸蔵型NOx触媒や選択還元型NOx触媒等も適用できる。また、上記触媒の配設位置にも限定はなく、床下触媒でもよいし近接触媒でもよい。
【0011】
上記昇温制御時の空燃比(A/F)は、リッチ過ぎる場合には不完全燃焼の度合いが高すぎて未燃燃料が多量に発生するとともに、上記点火手段としての点火プラグのくすぶりの要因となり、スモークを発生させる虞がある。逆にリーン過ぎる場合にはCOの生成量が不足するとともに、燃費の悪化やドライバビリティの低下を招いてしまう。したがって、上記昇温制御時の空燃比(A/F)は、14〜18の範囲に設定するのが好ましく、より好ましくは14.5〜16の範囲に設定する。同様に上記点火手段の周囲に局所的に生成されるリッチ領域の空燃比については8〜10の範囲になるのが好ましい。また、空燃比の制御はオープンループ制御でもよいが、より好ましくは、上記触媒の上流側に設置されるO2センサが活性化した時点で空燃比のフィードバック制御を行うようにする。
【0012】
また、上記昇温制御における圧縮行程噴射においては、好ましくは、同負荷,同回転速度で比較したときの通常運転時の圧縮行程噴射における噴射時期よりも圧縮行程の範囲内で噴射時期を進角する。このように噴射時期を進角することで、燃焼室空間が比較的広いときに燃料を噴射することができ、燃料の拡散を促進して燃焼安定性をより向上させることが可能になる。また、噴射された燃料の霧化時間が十分に確保されることにより、スモークの発生を抑制することもできる。
【0013】
また、上記点火時期は、少なくとも通常運転時よりも遅角していればよいが、好ましくは上死点後に設定する。具体的には、上死点から上死点後30度の範囲に設定するのが好ましく、より好ましくは、上死点後5〜20度の範囲に設定する。このような範囲内に点火時期を設定することで、燃費の悪化やドライバビリティの低下を招くことなく排気温度を上昇させることができる。
【0014】
そして、本発明の筒内噴射型内燃機関は、上記第1昇温制御の開始後の第1の所定時点で上記排気バルブの閉時期を排気上死点前から通常制御時の閉時期に変更(空燃比,燃料噴射時期及び点火時期については、上記第1昇温制御の設定を維持)する第2昇温制御を実行するように上記制御手段を構成する。上記のように排気バルブの閉時期を排気上死点前に変更した場合には、未燃HCを燃焼室内に閉じ込めることができるものの、内燃機関の出力は低下する。また、触媒温度が昇温していくにつれ,触媒の未燃HCの浄化能力も次第に向上していく。そこで、このように触媒がある程度活性化したと判定できる第1の所定時点で排気バルブの閉時期を排気上死点前から通常制御時の閉時期に変更することによって、内燃機関の出力の低下を防止することができるとともに、COや余剰O2等とともに未燃HCも触媒へ供給して触媒上での酸化反応を促進させ、触媒をより効率よく昇温させることもできるようになる。
そして、本発明の筒内噴射型内燃機関は、上記第2昇温制御の開始後の第2の所定時点で上記第2昇温制御を終了し、上記バルブタイミング調整手段による上記排気バルブの閉時期に加えて、上記燃料噴射手段による空燃比及び燃料噴射時期と上記点火手段による点火時期とについても通常運転時の制御を実行するように上記制御手段を構成する。
【0015】
排気弁の閉時期の設定を切り換える上記所定期間は、触媒温度が所定温度に達するまでの期間とするのが好ましい。触媒温度は触媒から直接検出してもよく、或いは高温センサにより検出できる排気温度から推定してもよい。さらに、内燃機関の水温(或いは油温)から触媒温度を推定してもよい。また、上記昇温制御の開始からの経過時間と触媒温度との関係を予め実験等で求めておき、タイマで上記昇温制御の開始からの経過時間を計測し、タイマの計測値が所定値に達したらバルブオーバラップや点火時期の設定を切り換えるようにしてもよい。
【0016】
なお、上記バルブタイミング調整手段におけるバルブタイミングの調整機構としては、切換式,位相切換式,偏芯式或いは電磁弁式等、少なくとも2つのバルブタイミングに変更可能なものであればよい。好ましくは、ベーン式のタイミング可変機構のように連続的にバルブタイミングを変更できる機構とする。この場合、排気弁の閉時期は、触媒温度(或いは排気温度,水温,油温等)の上昇度に応じて、或いは上記昇温制御の開始からの経過時間に応じて排気上死点前から通常制御時の閉時期へ次第に遅角していくのが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明の一実施形態にかかる筒内噴射型内燃機関の概要について説明すると、本筒内噴射型内燃機関は、吸気,圧縮,膨張及び排気の各行程を一作動サイクル中に備える4サイクル機関であって、火花点火式で、且つ、燃焼室内に燃料を直接噴射可能に構成されている。より具体的には、本筒内噴射式内燃機関は図1の概略構成図に示すように構成されている。
【0018】
図1に示すように、本筒内噴射式内燃機関(以下、エンジンという)1のシリンダヘッド2には、吸気通路4および排気通路5が燃焼室3に連通しうるように接続されている。吸気通路4と燃焼室3とは吸気バルブ6によって連通制御されるとともに、排気通路5と燃焼室3とは排気バルブ7によって連通制御されるようになっている。このうち排気バルブ7には、排気バルブ7の開閉タイミングを可変調整するバルブタイミング調整装置10が備えられている。バルブタイミング調整装置(バルブタイミング調整手段)10の機構は公知であるのでここでは詳細な説明は省略するが、例えばタイミングベルトを介してクランク軸に連結されるタイミングプーリのハウジング内にベーンロータを回動可能に設け、このベーンロータに排気カム軸を連結することによって構成される。そして、ベーンロータに作用させる油圧を制御することでタイミングプーリに対する排気カム軸の位相を調整し、排気バルブ7の開閉タイミングを連続的に調整できるようになっている。
【0019】
また、シリンダヘッド2には、気筒毎に燃料噴射弁(燃料噴射手段)9が備えられている。燃料噴射弁9は、燃焼室3内に燃料を直接噴射できるように、その開口を燃焼室3に臨ませるように配置されている。この燃料噴射弁9には、図示しない低圧燃料ポンプ及び高圧燃料ポンプにより加圧された燃料が供給されるようになっている。さらに、シリンダヘッド2の各気筒の燃焼室3の頂部中央には、点火プラグ(点火手段)8が備えられている。
【0020】
吸気通路4には、各気筒の燃焼室3内に吸入空気を導入するための吸気マニホールド11が備えられている。シリンダヘッド2には、吸気ポートが気筒毎に燃焼室3に対して比較的直立して設けられており、吸気マニホールド11は各吸気ポートと連通するようにシリンダヘッド2に接続されている。吸気マニホールド11の上流には、吸入空気量を調整するためのスロットルバルブ12が設けられている。
【0021】
一方、排気通路5には、各気筒の燃焼室3から排出された排ガスを一つに集合させる排気マニホールド17が備えられている。シリンダヘッド2には、排気ポートが気筒毎に比較的水平方向に設けられており、排気マニホールド17は各排気ポートと連通するようにシリンダヘッド2に接続されている。排気マニホールド17としては、各気筒の燃焼室3から排出される排気ガスの干渉を防止してエンジン出力の向上を図るためデュアルタイプの排気マニホールドが採用されている。また、排気マニホールド17の下流側で車両床下には触媒装置18および図示しないマフラ (消音器)が設けられている。触媒装置18は、排気ガス中の有害成分(CO,未燃HC,NOx)を浄化する装置であり、吸蔵型NOx触媒18Aの上下流に三元触媒18B,18Cを配置した構造になっている。
【0022】
さらに、車室内には、エンジン1を制御する制御手段としての電子制御ユニット(ECU)30が備えられている。ECU30は、入出力装置,ROM,RAM,CPU及びタイマカウンタ等から構成されており、入力側に接続された種々のセンサからの検出情報に基づいてエンジン1の総合制御を行っている。
ECU30の入力側に接続されるセンサとして、まず吸気通路4には、そのスロットルバルブ12の配設部分に、スロットルバルブ12の開度θthを検出するためのスロットルポジションセンサ(TPS)20が付設されている。また、排気通路5には、触媒装置18の上流部分にO2センサ21と高温センサ22とが配設されている。O2センサ21は、排気ガス中の酸素濃度を検出するセンサであり、理論空燃比(ストイキオ)を境としてその出力が大きく変化するような特性を有している。高温センサ22は排気ガスの温度を検出するセンサである。さらに、その他のセンサとして、エンジン1の冷却水の水温WTを検出する水温センサ23や、クランクシャフトの回転に同期して信号を出力するクランク角センサ24や、図示しないアクセル開度センサやエアフローセンサ等が設けられている。なお、クランク角センサ24からの信号はエンジン回転速度Neの算出に用いられる。
【0023】
一方、ECU30の出力側には、点火プラグ8,燃料噴射弁9及びバルブタイミング調整装置10等が接続されている。ECU30は、上記の各種センサ20〜24からの検出情報に基づいて、点火プラグ8の点火時期や、燃料噴射弁9からの燃料噴射時期及び燃料噴射量や、バルブタイミング調整装置10による排気バルブ7の開閉タイミング等を制御している。
【0024】
なお、本実施形態にかかるエンジン1の燃料噴射の態様(燃料噴射モード)としては、吸気行程中に燃料を噴射して予混合燃焼を行う吸気行程噴射モードと、圧縮行程中に燃料を噴射して成層燃焼を行う圧縮行程噴射モードの燃料噴射時期の異なる2つのモードが設けられている。より詳しくは、吸気行程噴射モードとして、O2センサ21からの信号を用いて空燃比がストイキオになるようにフィードバック制御する吸気O2−F/Bモード、ストイキオよりも希薄な空燃比(リーン空燃比)となるようオープンループ制御する吸気リーンモード、及び、ストイキオよりも過濃な空燃比(リッチ空燃比)となるようオープンループ制御する吸気O/Lモードが設けられている。一方、圧縮行程噴射モードとしては、吸気リーンモードよりもさらに希薄な空燃比となるようオープンループ制御する圧縮リーンモード、ストイキオよりも若干リーンなスライトリーン空燃比(A/F=15〜16)となるようオープンループ制御する圧縮スライトリーンモード(圧縮S/Lモード)が設けられている。
【0025】
上記の噴射モードのうち、各吸気行程噴射モードと圧縮リーンモードとは、通常時の燃料噴射制御に用いられ、ECU30は、アクセル開度とエンジン回転速度Neとで決まるエンジン1の運転状態に応じて適宜の燃料噴射モードを選択するようになっている。一方、圧縮S/Lモードは、後述する昇温制御時の燃料噴射制御に用いられる。昇温制御は、触媒装置18の昇温が要求される場合、すなわち触媒18A〜18Cの温度が低下しているような状況で選択されるエンジン1の制御方法であり、本実施形態にかかるエンジン1では、ECU30は、上記の燃料噴射モードに加え、点火プラグ8の点火時期と、バルブタイミング調整装置10による排気バルブ7の開閉タイミングとを総合制御することによって実現している。
【0026】
以下、本発明の一実施形態にかかる昇温制御について、図2のフローチャート及び図3のタイムチャートを用いて説明する。触媒装置18の昇温が要求されるときとしては、エンジン1の冷態始動時の他、アイドリングやリーン運転(特にリーン化の度合いが大きい圧縮リーン運転)が比較的長時間継続したときのように、活性化していた触媒装置18(触媒18A〜18C)の温度が活性化温度以下に低下したとき或いは低下しそうなとき等も挙げられるが、本実施形態では、代表して、エンジン1を冷態始動させる場合の昇温制御について説明する。
【0027】
まず、ステップS10では、ECU30は、始動スイッチ(例えばイグニションキー)が操作されてオン状態とされた場合、すなわちエンジン1が始動したと判定された場合に、本制御ルーチンで用いるタイマの値Tを0にリセットしてカウントを開始する〔すなわちタイマオン、図3(d)参照〕。そして、ステップS20において、エンジン回転速度Neが所定値Ne0(Ne0>アイドル回転速度)に達したと判定され、始動判定が完了したら次のステップS30に進む。なお、図3(a)に示すように、エンジン1の始動後、エンジン回転速度Neが所定値Ne0に達するまでは、始動に十分な燃料を供給すべく燃料噴射モードは吸気O/Lモードが選択される。
【0028】
ステップS30では、ECU30は、昇温制御を実行してもよいか否かを判定する。具体的には、水温(冷却水温)WT,エンジン回転速度Ne,目標平均有効圧Pe(アクセル開度とエンジン回転速度Neとから推定),車速Vがそれぞれ対応する所定値WT1,Ne1,Pe1,V1以下であるか否かを判定する〔図3(e)〜図3(h)参照〕。エンジン回転速度Ne,目標平均有効圧Pe,車速Vのいずれかが高い条件では、エンジン1の運転状態は圧縮行程噴射領域を外れており、排気温度が高い通常走行状態とみなすことができるので、昇温制御を用いなくても触媒装置18を昇温することができ、逆に昇温制御を実行すると排気浄化触媒装置18の過昇温を招く虞がある。また、水温センサ23により検出された冷却水温WTが、所定値、すなわちエンジン1が暖機したとみなせる暖機温度WT1以下であるか否かを判定するのは、排気浄化触媒装置18の過昇温を防止するためである。
【0029】
したがって、水温WT,エンジン回転速度Ne,目標平均有効圧Pe,車速Vのいずれかが対応する所定値WT1,Ne1,Pe1,V1よりも大きい場合(Noルート)には、ECU30は、昇温制御を実行することなく、ステップS40において通常時の制御を実行する。つまり、エンジン1の運転状態に応じた燃料噴射モード,点火時期,及び排気バルブ7の開閉タイミングを選択する。一方、水温WT,エンジン回転速度Ne,目標平均有効圧Pe,車速Vのいずれもが対応する所定値WT1,Ne1,Pe1,V1以下の場合(Yesルート)には、次のステップS50に進み、ステップS50の第1段階の昇温制御(第1昇温制御)を実行する。
【0030】
昇温制御は、上述したように燃料噴射モード,点火時期,及び排気バルブ7の開閉タイミングの総合制御によって実現される。具体的には、ステップS50の第1昇温制御では、ECU30は、燃料噴射モードとして圧縮S/Lモードを選択し、点火時期は圧縮上死点後に設定し、排気バルブ7の開閉タイミングは図4に示すように排気バルブ7の閉時期が排気上死点前にくるように設定する〔図3(a)〜図3(c)参照〕。
【0031】
冷態始動時のように触媒温度が低く触媒装置18の浄化能力が低いときには、空燃比は燃焼が悪化しない範囲で極力リーン化したほうが未燃HCの低減に効果がある。その際、吸気行程噴射よりも圧縮行程噴射のほうが成層燃焼のため燃焼が早く、燃焼安定性に優れており、ドライバビリティも良好となる。加えて、空燃比をストイキオ近傍或いはストイキオよりも若干リーン寄りのスライトリーン空燃比に制御して圧縮行程噴射を行った場合には、局部的に極めて燃料濃度の濃いリッチ領域と燃料濃度の薄いリーン領域とが燃焼室3内に形成される。そして、リッチ領域では局部的に酸素が不足するために不完全燃焼が生起されて比較的多量のCO,H2が発生し、リーン領域では燃焼に寄与しないO2が余剰O2として多く存在することになる。
【0032】
したがって、上述のように燃料噴射モードとして圧縮S/Lモードが選択されることにより、反応性に富むCO,H2と余剰O2とを排気通路5を経て触媒装置18へ同時供給することができ、排気通路5及び触媒装置18内での酸化反応によるCO,H2とO2との反応熱によって触媒装置18の昇温が図られることになる。なお、空燃比がリッチ過ぎる場合には不完全燃焼の度合いが高すぎて未燃HCが多量に発生するとともに、点火プラグ8のくすぶりの要因となり、スモークを発生させる虞がある。逆に空燃比がリーン過ぎる場合にはCO,H2の生成量が不足するとともに、燃費の悪化やドライバビリティの低下を招いてしまう。したがって、昇温制御における空燃比は、14〜18の範囲に設定されるのが好ましく、より好ましくは14.5〜16の範囲とする。また、点火プラグ8の周りに局所的に生成されるリッチ領域の空燃比については8〜10の範囲が好ましい。
【0033】
また、ECU30は、燃料噴射モードとして圧縮S/Lモードを選択すると同時に、点火時期を圧縮上死点後まで遅角している。このように点火時期が遅角されることによって、膨張行程での十分な後燃えが可能になり、後燃えによる排気温度の上昇によってより速やかに触媒装置18の昇温が図られることになる。特に、CO,H2とO2との反応熱のみでは、触媒18A〜18Cが全く活性していない場合や活性化度合いが低い場合、触媒18A〜18Cが活性化するまでに時間がかかるが、上記のように点火時期が遅角されることによって排気温度を高めることができ、触媒18A〜18C(特に18B)を十分に加熱して活性化させることができる。その結果、圧縮S/Lモードでの燃料噴射により供給されるCO,H2及びO2を触媒18A〜18C(特に18B)上で有効に反応させることができ、その反応熱によって触媒18A〜18C(特に18B)のさらなる早期活性化が図られることになる。
【0034】
また、上述のように点火時期が大きく遅角される場合、通常であれば燃焼が不安定になってトルク変動等のドライバビリティの悪化を招いてしまうことになるが、ECU30は、点火時期を遅角させるとともに、燃焼安定性の高い圧縮行程噴射を行っている。そして、さらに、上述のように排気バルブ7の閉時期を排気上死点前に設定して排気バルブ7と吸気バルブ6との開弁期間のオーバラップを通常運転時よりも減少させ、これによってエンジン1の内部EGRを低減させることによっても燃焼安定性を高めている。したがって、点火時期を大きく遅角させた場合でも、燃焼安定性の低下によってドライバビリティが悪化することがない。また、開弁期間のオーバラップを小さくすることによる燃焼安定性の向上は、リーン化に伴なう燃焼安定性の悪化を補うので、より容易にリーン化を図ることも可能になる。
【0035】
さらに、通常の排気バルブ7の開閉タイミングの設定では、図4に示すようにピストン(図示略)が上死点に到達してから排気バルブ7が閉じるため、シリンダ壁,ピストン壁,或いはピストントップランド部のクエンチングゾーンで発生した未燃HCは、ピストンの上昇によって排気通路(排気ポート)5に押し出されてしまう。エンジン1の始動直後は触媒装置18の活性化度は低いため、排気通路5に排出された未燃HCは触媒装置18の浄化されずに外部に放出されてしまう。しかしながら、本実施形態では、上記のように排気バルブ7の閉時期を排気上死点前に設定しているので、未燃HCは排気通路5に押し出されることなく燃焼室3内に閉じ込められ、燃焼室3内で再燃焼させられる。
【0036】
つまりステップS50の第1昇温制御によれば、空燃比がストイキオ近傍若しくはスライトリーン空燃比になるように燃料を圧縮行程中に噴射することと、点火時期を遅角することと、排気バルブ7の閉時期を排気上死点前に設定することの相乗効果によって、外部への未燃HCの排出を抑制しながら触媒装置18を効率的に昇温することができるという効果が得られる。
【0037】
次に、ECU30は、ステップS60において、タイマが所定タイマ時間T1をカウントしたか否かを判定する。所定タイマ時間T1は、予め実験等により、例えば、冷態始動後、ステップS50の第1昇温制御の実行により未燃HCがある程度浄化される程度までに触媒温度が上昇したと推定される時間に設定されている。そして、タイマが所定タイマ時間T1に達していない場合(Noルート)には、ECU30は、ステップS30の処理を経てステップS50の第1昇温制御を継続し、タイマが所定タイマ時間T1をカウントした場合(Yesルート)には、次のステップS70の処理を行う。
【0038】
ステップS70では、ECU30は、第2段階の昇温制御(第2昇温制御)を実行してもよいか否かを判定する。具体的には、ステップS30と同様に、水温WT,エンジン回転速度Ne,目標平均有効圧Pe,車速Vがそれぞれ各対応する所定値WT1,Ne1,Pe1,V1以下であるか否かを判定する〔図3(e)〜図3(h)参照〕。そして、水温WT,エンジン回転速度Ne,目標平均有効圧Pe,車速Vのいずれかが対応する所定値WT1,Ne1,Pe1,V1よりも大きい場合(Noルート)には、ECU30は、第2昇温制御を実行することなく、ステップS80において通常時の制御を実行する。一方、水温WT,エンジン回転速度Ne,目標平均有効圧Pe,車速Vのいずれもが対応する所定値WT1,Ne1,Pe1,V1以下の場合(Yesルート)には、次のステップS90に進み、第2昇温制御を実行する。なお、ここでは第1昇温制御の開始判定で用いた所定値WT1,Ne1,Pe1,V1を第2昇温制御の開始判定でも用いているが、第1昇温制御とは異なる所定値WT2,Ne2,Pe2,V2を用いてもよい。
【0039】
ステップS90の第2昇温制御では、ECU30は、燃料噴射モードとして圧縮S/Lモードを選択して点火時期を遅角したまま、図4に示すように排気バルブ7の閉時期を通常運転時の閉時期まで遅角する〔図3(a)〜図3(c)参照〕。このように排気バルブ7の閉時期が排気上死点前から通常制御時の閉時期に変更されることによって、エンジン出力の低下は防止され、また、圧縮行程噴射により生成されるCOや余剰O2等とともに未燃HCも触媒装置18へ供給されることになり、触媒装置18上での酸化反応が促進され、点火時期の遅角による排気温度の上昇と相俟って触媒装置18のさらなる早期活性化が図られることになる。
【0040】
つまりステップS90の第2昇温制御によれば、空燃比がストイキオ近傍若しくはスライトリーン空燃比になるように燃料を圧縮行程中に噴射することと、点火時期を遅角することと、排気バルブ7の閉時期を通常運転時の閉時期に変更することの相乗効果によって、触媒装置18をさらに効率的に昇温することができるという効果が得られる。特に、本実施形態にかかる床下配置の触媒装置18はエンジン1本体から遠いため排気ガスが触媒装置18に到達する前に排気温度が下がりやすく、また、デュアルタイプ排気マニホールド17は排気干渉が少ない分、排気マニホールド17内での反応が少なく、且つ熱容量が大きいと同時に表面積(放熱面積)が大きいために排気温度が下がりやすい。しかしながら、このように排気温度の維持に不利な構造であっても、触媒装置18を早期に活性化温度まで上昇させ、有害物質(HC,CO及びNOx)の浄化効率を速やかに上昇させることができる。
【0041】
以上のように昇温制御を実行して触媒装置18の昇温を実施したら、ECU30は、次にステップS100の処理を行う。ステップS100では、ECU30は、タイマが所定タイマ時間T2をカウントしたか否か、即ち上記の第1,第2昇温制御の通算継続時間が所定タイマ時間T2を超えたか否かを判定する。所定タイマ時間T2は、予め実験等により、例えば、冷態始動後、昇温制御の実行により触媒装置18が活性化温度に近い所定温度にまで昇温したと推定されるまでの時間に設定されている。そして、タイマが所定タイマ時間T2に達していない場合(Noルート)には、ECU30は、ステップS70の処理を経て再びステップS90において第2昇温制御を継続する。一方、タイマが所定タイマ時間T2をカウントした場合(Yesルート)には、次のステップS110の処理を行う。すなわち、ステップS110では、ECU30は、昇温制御を終了し〔図3(a)〜図3(c)参照〕、エンジン1の運転状態に応じた燃料噴射モード,点火時期,及び排気バルブ7の開閉タイミングを選択して再び通常の制御を行う。
【0042】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施しうるものである。例えば、上述の実施形態では、点火時期を圧縮上死点後まで遅角しているが、少なくとも通常制御時の点火時期よりも遅角すれば、後燃えによる排気温度の上昇により触媒装置18を昇温させることができ、本発明の目的とする効果を達成することができる。
【0043】
また、上記の昇温制御においてO2センサ21が活性化状態に達した後は、O2センサ21からの信号を用いて空燃比がストイキオ近傍或いはスライトリーン空燃比になるようにフィードバック制御を行うようにしてもよい。このように空燃比がストイキオ近傍或いはスライトリーン空燃比になるようにフィードバック制御しながら圧縮行程噴射を実行することにより、圧縮S/Lモードを選択した場合と同様に成層燃焼によって比較的多量のCO,H2及び余剰O2を生成することができる。さらに、フィードバック制御であることから、圧縮S/Lモードにおけるオープンループ制御に比較して空燃比を正確に設定することができ、制御精度を高めることが可能になる。また、圧縮行程噴射では、成層燃焼に伴う局部的な不完全燃焼により排気ガス中に比較的多量のH2が発生するが、このH2はO2よりもO2センサ21のPt電極を覆うコート層を拡散する速度が速いため、O2濃度が実際よりも小さく検出されてO2センサ21の出力はややリッチ寄りとなる。したがって、ストイキオを目標空燃比としてフィードバック制御を行った場合でも、実際の空燃比は自然にストイキオよりも若干リーン寄りのスライトリーン空燃比に制御されることになる。
【0044】
また、図1ではO2センサ21は触媒装置18の上流側に配置しているが、O2センサ21を触媒装置18の下流側に配置してもよく、さらに上下流両側に配置してもよい。さらに、O2センサ21として、リニア空燃比センサを用いることもできる。この場合には、任意の空燃比を目標空燃比としてフィードバック制御を実行することができる。
【0045】
また、昇温制御における圧縮行程噴射(圧縮S/Lモード)の噴射時期は、通常運転時における圧縮行程噴射の噴射時期より進角してもよい。このように噴射時期を進角することで、燃焼室3の空間が比較的広い時に燃料を噴射することができ、燃料の拡散を促進して燃焼安定性をより向上させることができる利点がある。また、噴射された燃料の霧化時間が十分に確保されることにより、スモークの発生を抑制することができる利点もある。
【0046】
また、スロットルバルブ12が電子制御式の場合には、点火時期の遅角度合いに応じてスロットルバルブ12を開き、吸入空気量を増加してもよい。点火時期を遅角させると出力が低下するので、このようにスロットルバルブ12を制御することで点火時期の遅角による出力の低下を補うことができる利点がある。
また、上述の実施形態のエンジン1は、出力の向上を図るために排気干渉の少ないデュアルタイプの排気マニホールド17を備えているが、放熱面積及び熱容量が少なく排気温度の低下防止に有利で且つ低コストのシングルタイプの排気マニホールド17を備えてもよい。さらに、積極的に排気干渉をさせるための容積部を有するクラムシェルタイプの排気マニホールド(反応型排気マニホールド)を備えてもよい。このタイプの排気マニホールドによれば、排気マニホールド内部での排気干渉に伴なう未燃成分の反応によって排気温度をさらに高めることができる。
【0047】
また、上述の実施形態では、タイマを用いて第1昇温制御から第2昇温制御への切り換え時期を計測しているが、高温センサ22で検出された触媒装置18の直上流の排気温度から触媒温度Texを推定し、推定した触媒温度Texが所定温度(触媒がある程度まで活性化したと判断できる温度)Tex1に達したら制御を切り換えるようにしてもよい。同様に、昇温制御の終了時期についても、推定した触媒温度Texが所定温度(触媒が十分に活性化したと判断できる温度)Tex2に達したら昇温制御を終了するようにしてもよい。なお、触媒温度Texは、例えば、排気温度と触媒温度Texとの関係を記憶したマップを参照したり、排気温度をパラメータとする所定の計算式を用いたりすることによって推定したり、エンジン負荷,エンジン回転速度,車速,空燃比等に基づいて推定してもよい。また、排気温度から触媒温度Texを推定する代わりに、水温センサ23で検出された冷却水の水温WT(或いは油温)を用いてもよい。
【0048】
さらに、上述の実施形態では、所定のタイマ時間T1が経過した時点で排気バルブ7の閉時期をステップ状に切り換えているが、触媒温度(或いは排気温度,水温,油温等)の上昇度に応じて排気上死点前から通常制御時の閉時期へ次第に遅角していくようにしてもよい。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の筒内噴射型内燃機関によれば、排気弁の閉時期を上死点前に設定する事による未燃HCの燃焼室内での再燃焼の実現によって外部への未燃HCの排出を抑制することができるとともに、圧縮行程噴射による成層燃焼の実現と排気バルブと吸気バルブとの開弁期間のオーバラップが減少することによる内部EGRの低減とによって燃焼安定性を高めながら、点火時期を通常運転時よりも遅角させることによる排気温度の上昇と圧縮行程噴射により生成されるCO,H2及び余剰O2の触媒上での反応との相乗効果によって触媒を効率よく昇温させることができるという効果がある。
【0050】
また、第1昇温制御の開始後の第1の所定時点で排気バルブの閉時期を排気上死点前から通常制御時の閉時期に変更することにより、圧縮行程噴射により生成されるCOや余剰O2等とともに未燃HCも触媒へ供給することができるので、触媒上での酸化反応が促進され、点火時期の遅角による排気温度の上昇と相俟って触媒をさらに効率よく昇温させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる筒内噴射型内燃機関の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる冷態始動時の昇温制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】図2に示す昇温制御の制御内容を示すタイムチャートであり、タイマ値(d)、水温(e)、エンジン回転速度(f)、目標有効圧力(g)、車速(h)の各時間変化と、対応する燃料噴射モード(a)、点火時期(b)、排気バルブの閉時期(c)の各設定を示したものである。
【図4】本発明の一実施形態にかかる開弁期間の排気バルブの閉時期の設定を示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン(筒内噴射型内燃機関)
2 シリンダヘッド
4 吸気通路
5 排気通路
6 吸気バルブ
7 排気バルブ
8 点火プラグ(点火手段)
9 燃料噴射弁(燃料噴射手段)
10 バルブタイミング調整装置(バルブタイミング調整手段)
12 スロットルバルブ
18 触媒装置
18A 吸蔵型NOx触媒
18B,18C 三元触媒
20 スロットルポジションセンサ
21 O2センサ
22 高温センサ
23 水温センサ
24 クランク角センサ
30 ECU(制御手段)
Claims (1)
- 排気通路に設けられ排気ガスの浄化を行う触媒と、
燃料を燃焼室内に直接噴射しうる燃料噴射手段と、
排気バルブの開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整手段と、
上記燃焼室内の混合気に点火しうる点火手段と、
上記触媒の昇温が要求されるとき、まず、上記燃料噴射手段を駆動して空燃比が理論空燃比近傍若しくは理論空燃比よりも若干希薄空燃比になるように燃料を圧縮行程中に噴射するとともに、上記バルブタイミング調整手段を駆動して上記排気バルブの閉時期を排気上死点前に設定し、且つ、上記点火手段による点火時期を通常運転時よりも遅角させる第1昇温制御を実行し、
上記第1昇温制御の開始後の第1の所定時点で、上記空燃比が理論空燃比近傍若しくは理論空燃比よりも若干希薄空燃比になるように燃料を圧縮行程中に噴射することと、上記点火時期を通常運転時よりも遅角させることとを継続するとともに、上記バルブタイミング調整手段を駆動して上記排気バルブの閉時期を排気上死点前から通常運転時の閉時期に戻す第2昇温制御を実行し、
上記第2昇温制御の開始後の第2の所定時点で、上記第2昇温制御を終了し、上記バルブタイミング調整手段による上記排気バルブの閉時期に加えて、上記燃料噴射手段による空燃比及び燃料噴射時期と上記点火手段による点火時期とについても通常運転時の制御を実行する制御手段とを備えた
ことを特徴とする、筒内噴射型内燃機関。
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