JP2002048286A - 塩化ビニル系樹脂管継手 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂管継手

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JP2002048286A
JP2002048286A JP2000233309A JP2000233309A JP2002048286A JP 2002048286 A JP2002048286 A JP 2002048286A JP 2000233309 A JP2000233309 A JP 2000233309A JP 2000233309 A JP2000233309 A JP 2000233309A JP 2002048286 A JP2002048286 A JP 2002048286A
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vinyl chloride
chloride resin
acrylate
monomer
meth
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JP2000233309A
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English (en)
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Takeo Morikawa
岳生 森川
Noriki Fujii
紀希 藤井
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性及び長期耐久性に優れた塩化ビニル
系樹脂管継手を提供することを目的とする。 【解決手段】 JIS K 7110に準拠した0℃で
のアイゾット衝撃値が10kJ/m2以上であり、且
つ、測定温度23℃、周波数5Hz、印加応力0〜20
MPaの条件下での繰返し引張疲労試験において、破断
に至るまでの引張回数が80000回以上であることを
特徴とする塩化ビニル系樹脂管継手。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性及び長期
耐久性に優れた塩化ビニル系樹脂管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系樹脂は、機械的強度、耐候
性、耐薬品性等において優れた材料であるので、建築部
材、管工機材、住宅資材等に広く用いられている。しか
し、一般に塩化ビニル系樹脂は、耐衝撃性が劣るため、
種々の改質方法が提案されている。
【0003】例えば、耐衝撃性を向上させる方法として
は、塩化ビニル系樹脂に、塩素化ポリエチレン(CP
E)、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重
合体(MBS)、アクリルゴム等のゴム系樹脂を耐衝撃
性強化剤として配合して使用する方法が一般的である。
【0004】しかし、このような耐衝撃性強化剤として
ゴム系樹脂を配合した塩化ビニル系樹脂組成物の成形体
に、繰り返し引張応力を印加すると、塩化ビニル系樹脂
中に分散したゴム粒子近傍から疲労破壊を生じやすいと
いう欠点があった。そのため、上記塩化ビニル系樹脂組
成物を成形して得られる塩化ビニル系樹脂管継手を、例
えば、上水道用配管に用いた場合、破壊水圧以下である
にも関わらず脈動水圧によって疲労破壊を起こしやす
く、長期耐久性に劣るという問題があった。
【0005】特開平9−003291号公報には、アク
リル系共重合体に塩化ビニルをグラフト共重合した塩化
ビニル系樹脂組成物を用いた塩化ビニル系樹脂管継手が
開示されている。この塩化ビニル系樹脂組成物では、ゴ
ム粒子に直接塩化ビニル樹脂が結合しているため粒子界
面での疲労破壊が起こりにくく、また、ゴム粒子自体も
多官能性モノマーによって架橋されているため破壊が起
こりにくいという特徴があり、従来のゴム系樹脂を配合
した塩化ビニル系樹脂管継手に比べて長期耐久性に優れ
ている。しかし、近年、上水道等の蛇口にシングルレバ
ー弁等の短時間で開閉できるものが用いられるようにな
ったため、配管にかかる負荷が増大する傾向にあり、更
に長期耐久性に優れた材料が必要とされてきている。
【0006】一方、塩化ビニル系樹脂の長期耐久性を改
善するためには、塩化ビニル系樹脂の重合度を上昇させ
ることが効果的であることは公知である。しかしなが
ら、塩化ビニル系樹脂の重合度を上昇させると、溶融粘
度が増大するため、主に射出成形法で成形される管継手
においては非常に成形が困難となり、特に、耐衝撃性強
化剤としてMBS粒子等を配合した塩化ビニル系樹脂組
成物の場合は、流動性の悪化や金属への付着などの問題
があり、重合度を上昇させるのは非常に困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決するために、耐衝撃性及び長期耐久性に優れた
塩化ビニル系樹脂管継手を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
(以下、発明1という)による塩化ビニル系樹脂管継手
は、JIS K 7110に準拠した0℃でのアイゾッ
ト衝撃値が10kJ/m 2以上であり、且つ、測定温度
23℃、周波数5Hz、印加応力0〜20MPaの条件
下での繰返し引張疲労試験において、破断に至るまでの
引張回数が80000回以上であることを特徴とする。
【0009】また、請求項2に記載の発明(以下、発明
2という)による塩化ビニル系樹脂管継手は、上記発明
1による塩化ビニル系樹脂管継手において、ホモポリマ
ーのガラス転移温度が−60℃未満のアルキル(メタ)
アクリレートモノマーと多官能性モノマーとからなるモ
ノマー混合物を重合することにより得られる共重合体
に、ホモポリマーのガラス転移温度が−55℃以上の
(メタ)アクリレートモノマーと多官能性モノマーとか
らなるモノマー混合物をグラフト共重合することにより
得られるアクリル系共重合体に、塩化ビニルを懸濁重合
にてグラフト共重合することにより得られる、塩化ビニ
ル部分の平均重合度が1000〜1500である塩化ビ
ニル系樹脂を主成分とすることを特徴とする。以下、本
発明を詳細に説明する。
【0010】発明2において、ホモポリマーのガラス転
移温度が−60℃未満のアルキル(メタ)アクリレート
モノマーは、得られるアクリル系共重合体の中央部(以
下、コア部という)の主成分をなし、氷点付近において
も充分なゴム弾性を有するため、塩化ビニル系樹脂の低
温での耐衝撃性を発現させる目的で使用され、例えば、
n−ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレー
ト、2−メチルヘプチルアクリレート、2−エチルヘキ
シルアクリレート、n−ノニルアクリレート、2−メチ
ルオクチルアクリレート、2−エチルヘプチルアクリレ
ート、n−デシルアクリレート、2−メチルノニルアク
リレート、2−エチルオクチルアクリレート等が挙げら
れる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用
してもよい。なお、このガラス転移温度は、培風館発
行、高分子学会編「高分子データハンドブック(基礎
編)」等によった。また、本明細書において、上記(メ
タ)アクリレートは、アクリレート及びメタクリレート
を総称するものとする。
【0011】上記ホモポリマーのガラス転移温度が−6
0℃未満のアルキル(メタ)アクリレートモノマーに
は、塩化ビニル系樹脂の低温での耐衝撃性をさらに向上
させる目的で、ホモポリマーのガラス転移温度が−60
℃未満の重合性モノマーが添加されてもよく、例えば、
ブタジエン、イソプレン等のジエン類;エチレン、1−
オクテン等のアルケン類;n−ペンチルビニルエーテ
ル、n−ヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類
等が挙げられる。
【0012】また、発明2において、ホモポリマーのガ
ラス転移温度が−55℃以上の(メタ)アクリレートモ
ノマーは、得られるアクリル系共重合体の外殻部(以
下、シェル部という)の主成分をなし、コア部を被覆し
てアクリル系共重合体の粘着性を低下させると同時にア
クリル系共重合体の粒子形状を保持する目的で使用さ
れ、例えば、メチルアクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプ
ロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アク
リレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−
ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアクリレー
ト、クミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メ
タ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト、n−ヘプチルメタクリレート、n−オクチルメタク
リレート、2−メチルヘプチルメタクリレート、2−エ
チルヘキシルメタクリレート、n−ノニルメタクリレー
ト、2−メチルオクチルメタクリレート、2−エチルヘ
プチルメタクリレート、n−デシルメタクリレート、2
−メチルノニルメタクリレート、2−エチルオクチルメ
タクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリス
チル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリ
レート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル
(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等
が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種
以上を併用してもよい。
【0013】上記ホモポリマーのガラス転移温度が−5
5℃以上の(メタ)アクリレートモノマーには、塩化ビ
ニル系樹脂の機械的強度、耐候性、耐薬品性、透明性、
耐脈動性を向上させる目的で、ホモポリマーのガラス転
移温度が−55℃以上の重合性モノマーが添加されても
よく、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香
族ビニルモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニト
リル等の不飽和ニトリル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニル等のビニルエステル等が挙げられる。
【0014】また、発明2のアクリル系共重合体におい
て、上記ホモポリマーのガラス転移温度が−60℃未満
のアルキル(メタ)アクリレートモノマーと上記ホモポ
リマーのガラス転移温度が−55℃以上のアルキル(メ
タ)アクリレートモノマーとの重量比は特に限定されな
いが、ホモポリマーのガラス転移温度が−60℃未満の
アルキル(メタ)アクリレートモノマー20〜90重量
%及びホモポリマーのガラス転移温度が−55℃以上の
モノマー80〜10重量%であることが好ましい。ホモ
ポリマーのガラス転移温度が−60℃未満のアルキル
(メタ)アクリレートモノマーが20重量%未満である
と、耐衝撃性が得られにくくなることがあり、90重量
%を超えると、得られる成形品の外観が悪化することが
ある。ホモポリマーのガラス転移温度が−60℃未満の
アルキル(メタ)アクリレートモノマー40〜80重量
%及びホモポリマーのガラス転移温度が−55℃以上の
アルキル(メタ)アクリレートモノマー60〜20重量
%であることがより好ましい。
【0015】発明2において、多官能性モノマーは、コ
ア部のポリマーを架橋して塩化ビニル系樹脂の耐衝撃性
を向上させるだけではなく、シェル部のポリマーをも架
橋してアクリル系共重合体の粘着性を低下させて形状を
保持すると共に、アクリル系共重合体と塩化ビニルとの
グラフト共重合反応を助け、耐衝撃性を向上させる目的
で使用され、例えば、エチレングリコージ(メタ)アク
リレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ト
リメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のジ
(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メ
タ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレ
ート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネート、ト
リアリルイソシアヌレート等のジアリル化合物及びトリ
アリル化合物;ジビニルベンゼン、ブタジエン等のジビ
ニル化合物等が挙げられる。これらは、単独で使用して
もよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】上述したように発明2において使用される
アクリル系共重合体は、ホモポリマーのガラス転移温度
が−60℃未満のアルキル(メタ)アクリレートモノマ
ーと多官能性モノマーとからなるモノマー混合物を重合
することにより得られる共重合体からなるコア部と、ホ
モポリマーのガラス転移温度が−55℃以上の(メタ)
アクリレートモノマーと多官能性モノマーとからなるモ
ノマー混合物をコア部にグラフト共重合することにより
なるシェル部とから形成されるコア−シェル型2重構造
をもつことを特徴としている。
【0017】上記アクリル系共重合体を得る方法として
は特に限定されず、例えば、乳化重合法、懸濁重合法等
が挙げられる。耐衝撃性の発現性を考慮すると、乳化重
合法が好ましく、上記アクリル系共重合体粒子を合成す
る場合には、まずホモポリマーのガラス転移温度が−6
0℃未満のアルキル(メタ)アクリレートモノマーと多
官能性モノマーとからなるモノマー混合物を重合するこ
とによりコア部を合成し、次に、このコア(重合体)部
の存在下で、ホモポリマーのガラス転移温度が−55℃
以上の(メタ)アクリレートモノマーと多官能性モノマ
ーとからなるモノマー混合物を添加して重合することに
よりシェル部を合成し、コア−シェル型2重構造を形成
せしめる。
【0018】上記乳化重合法では、上記アクリル系混合
モノマーの乳化液中での分散安定性を向上させ、重合を
効率的に行う目的で、乳化分散剤が添加される。上記乳
化分散剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテルサルフェート(第一工
業製薬社製、商品名「ハイテノールN−08」)等のア
ニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、部分ケン
化ポリビニルアルコール、セルロース系分散剤、ゼラチ
ン等が挙げられる。
【0019】また、上記乳化重合法では、重合開始剤が
使用される。重合開始剤としては特に限定されず、例え
ば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素
水等の水溶性重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、
ラウロイルパーオキサイド等の有機系過酸化物;アゾビ
スイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤等が挙げられ
る。さらに、必要に応じて、pH調整剤、酸化防止剤等
が添加されていてもよい。
【0020】上記乳化重合法としては特に限定されず、
モノマーの添加方法の違いから、例えば、一括重合法、
モノマー滴下法、エマルジョン滴下法等が挙げられる。
上記一括重合法は、例えば、ジャケット付重合反応器内
に、純水、乳化分散剤、重合開始剤、上記アクリル系混
合モノマー及び上記多官能性モノマーからなる混合モノ
マーを一括して添加し、窒素気流による酸素除去及び加
圧の条件下において、撹拌により充分乳化した後、器内
をジャケットにより加熱することで重合する方法であ
る。
【0021】上記モノマー滴下法は、例えば、ジャケッ
ト付重合反応器内に純水、乳化分散剤、重合開始剤を入
れ、窒素気流下による酸素除去及び加圧の条件下におい
て、まず器内をジャケットにより加熱した後、上記混合
モノマーを一定量ずつ滴下することにより徐々に重合す
る方法である。
【0022】上記エマルジョン滴下法は、例えば、上記
混合モノマー、乳化分散剤、純水を撹拌により充分乳化
することにより予め乳化モノマーを調整し、次いでジャ
ケット付重合反応器内に純水、重合開始剤を入れ、窒素
気流下による酸素除去及び加圧の条件下において、まず
器内をジャケットにより加熱した後、上記乳化モノマー
を一定量ずつ滴下することにより重合する方法である。
【0023】発明2においては、上記の方法で得られる
アクリル系共重合体に、塩化ビニルを懸濁重合にてグラ
フト共重合することにより塩化ビニル系樹脂を得る。こ
の懸濁重合法では、上記アクリル系共重合体の分散安定
性を向上させ、塩化ビニルのグラフト共重合を効率的に
行う目的で、分散剤及び油溶性重合開始剤を使用する。
【0024】上記分散剤としては特に限定されず、例え
ば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポ
リ酢酸ビニルの部分ケン化物、ゼラチン、ポリビニルピ
ロリドン、デンプン、無水マレイン酸−スチレン共重合
体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2
種以上を併用してもよい。
【0025】上記油溶性重合開始剤としては、グラフト
共重合に有利な点から、ラジカル重合開始剤が好適に用
いられる。このラジカル重合開始剤としては特に限定さ
れず、例えば、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチル
パーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカ
ーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、t
−ブチルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパー
オキシネオデカノエート等の有機パーオキサイド類;
2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビ
ス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等
が挙げられる。上記懸濁重合法では、必要に応じて、p
H調整剤、酸化防止剤等が添加されていてもよい。
【0026】上記懸濁重合法としては、具体的には、例
えば、撹拌機及びジャケットを備えた反応容器に、純
水、上記アクリル系共重合体、分散剤、油溶性重合開始
剤、及び、必要に応じて、重合度調整剤を投入し、その
後、真空ポンプで重合器内の空気を排出し、更に撹拌条
件下で塩化ビニル、及び、必要に応じて、他のビニルモ
ノマーを投入した後、反応容器内をジャケットにより加
熱し、塩化ビニルのグラフト共重合を行う。
【0027】上記塩化ビニルのグラフト共重合は、発熱
反応であるので、ジャケット温度を変えることにより反
応容器内の温度を制御することができる。反応終了後
は、未反応の塩化ビニルを除去してスラリー状にし、更
に脱水乾燥することにより塩化ビニル系樹脂を製造する
ことができる。
【0028】発明2における塩化ビニル系樹脂の塩化ビ
ニル部分の平均重合度は1000〜1500であり、1
100〜1400が好ましい。平均重合度が1000未
満であると、十分な長期耐久性が得られないことがあ
り、逆に、1500を超えると、成形加工が非常に困難
となることがある。
【0029】発明2における塩化ビニル系樹脂中のアク
リル系共重合体の含有量は特に限定されないが、3〜1
5重量%が好ましく、5〜12重量%がより好ましい。
含有量が3重量%未満であると、耐衝撃性が十分に発現
しないことがあり、逆に、15重量%を超えると、引張
強度等の機械的物性や引張疲労強度等の長期耐久性が低
下することがある。
【0030】本発明においては、必要に応じて、上記塩
化ビニル系樹脂に、安定剤、滑剤、加工助剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、顔料等の添加剤
が添加されていてもよい。
【0031】上記安定剤としては特に限定されず、例え
ば、熱安定剤、安定化助剤等が挙げられる。上記熱安定
剤としては特に限定されず、例えば、ジブチル錫メルカ
プト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプ
ト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマ
ー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリ
マー、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポ
リマー等の有機錫系安定剤;ステアリン酸鉛、二塩基性
亜りん酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の鉛系安定剤;カルシウ
ム−亜鉛系安定剤;バリウム−亜鉛系安定剤;バリウム
−カドミウム系安定剤等が挙げられる。これらは単独で
使用してもよく、2種以上を併用してもよい。上記安定
化助剤としては特に限定されず、例えば、エポキシ化大
豆油、りん酸エステル等が挙げられる。これらは単独で
使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】上記滑剤としては、内部滑剤、外部滑剤が
挙げられる。上記内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の
流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用され
る。上記内部滑剤としては特に限定されず、例えば、ブ
チルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルア
ルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレー
ト、ステアリン酸、ビスアミド等が挙げられる。これら
は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑
り効果を上げる目的で使用される。上記外部滑剤として
は特に限定されず、例えば、パラフィンワックス、ポリ
オレフィンワックス、エステルワックス、モンタン酸ワ
ックス等が挙げられる。これらは単独で使用してもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0033】上記加工助剤としては特に限定されず、例
えば、重量平均分子量10万〜200万のアルキルアク
リレート−アルキルメタクリレート共重合体等のアクリ
ル系加工助剤等が挙げられる。上記アクリル系加工助剤
としては特に限定されず、例えば、n−ブチルアクリレ
ート−メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキ
シルアクリレート−メチルメタクリレート−ブチルメタ
クリレート共重合体等が挙げられる。これらは単独で使
用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】上記酸化防止剤としては特に限定されず、
例えば、フェノール系抗酸化剤等が挙げられる。
【0035】上記光安定剤としては特に限定されず、例
えば、ヒンダードアミン系等の光安定剤等が挙げられる
【0036】上記紫外線吸収剤としては特に限定され
ず、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン
系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の
紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0037】上記充填剤としては特に限定されず、例え
ば、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
【0038】上記顔料としては特に限定されず、例え
ば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ
系等の有機顔料;酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫
化物・セレン化物系、フェロシアニン化物系等の無機顔
料等が挙げられる。
【0039】また、上記塩化ビニル系樹脂には、成形時
の加工性を向上させる目的で、可塑剤が添加されていて
もよい。上記可塑剤としては特に限定されず、例えば、
ジブチルフタレート、ジ−2―エチルヘキシルフタレー
ト、ジ−2―エチルヘキシルアジペート等が挙げられ
る。
【0040】これらの添加剤を上記塩化ビニル系樹脂に
混合する方法としては特に限定されず、例えば、ホット
ブレンドによる方法、コールドブレンドによる方法等が
挙げられる。
【0041】本発明の塩化ビニル系樹脂管継手を成形す
る方法としては特に限定されないが、射出成形法を用い
るのが一般的である。従来、射出成形法を用いて管継手
を成形する場合、溶融粘度が低い方が成形に有利である
ため、一般に平均重合度1000未満の塩化ビニル系樹
脂が主成分とされてきた。しかし、本発明においては塩
化ビニル部分の平均重合度が1100〜1500である
塩化ビニル系樹脂を主成分としていることが好ましい。
発明2において、アクリル系共重合体3〜15重量%
に、塩化ビニル97〜85重量%を懸濁重合にてグラフ
ト共重合することにより得られる塩化ビニル系樹脂は、
従来のMBSなどのゴム粒子を添加した塩化ビニル系樹
脂に比べて金属付着性が低いため、スクリュ混練時の負
荷が低く抑えられ、また金型充填時の圧力も低く抑える
ことができる。そのため、平均重合度を上昇させたこと
により溶融粘度が増大したとしても、市販の射出成形機
で十分成形可能となるのである。ただし、金属付着性が
低いためスクリュ混練による混練効果が不足することが
懸念されるが、適切な加工助剤や滑剤を選定することで
混練不足を解消することが可能となる。また、上述した
ように、本発明における塩化ビニル系樹脂は、同じ平均
重合度の塩化ビニル系樹脂にMBSなどのゴム粒子を添
加したものに比べて長期耐久性に優れているため、同等
の長期耐久性を発現させるための平均重合度の増加を低
く抑えることができ、従来なし得なかった高い長期耐久
性と耐衝撃性を兼ね備えた塩化ビニル系樹脂管継手を成
形することが可能となるのである。
【0042】
【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明するた
め以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみ
に限定されるものではない。
【0043】(実施例1〜4、比較例1〜3)表1及び
2に示した配合組成及び重合条件に従い、下記の操作手
順でアクリル系共重合体及び塩化ビニル系樹脂組成物を
得た。 (1)アクリル系共重合体の作製 まず、所定量のイオン交換水、乳化分散剤AS(ハイテ
ノールN−08、第一工業製薬社製)、コアモノマーと
して2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)と
トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPT
A)とを混合、撹拌し、コア用乳化モノマーを調製し
た。また、別に所定量のイオン交換水、乳化分散剤A
S、シェルモノマーとしてn−ブチルアクリレート(n
−BA)とTMPTAとを混合、撹拌し、シェル用乳化
モノマーを調製した。一方、攪拌機及び還流冷却器を備
えた重合容器に所定量のイオン交換水を入れ攪拌を開始
し、重合容器内を減圧して容器内の脱酸素を行なった
後、窒素により圧戻しをして置換し、重合容器を70℃
まで昇温した。昇温が完了した重合容器に、過硫酸アン
モニウム(APS)及び上記コア用乳化モノマーの20
重量%をシードモノマーとして一括して投入し、重合を
開始した。続いてコア用乳化モノマーの残りを滴下し
た。続いてシェル用乳化モノマーを滴下し、全ての乳化
モノマーの滴下を3時間で終了した。その後、1時間の
熟成期間を置いた後、重合を終了して固形分濃度約30
重量%、樹脂粒子の平均粒子径0.10μmのアクリル
系共重合体ラテックス(以下、単にラテックスという)
を得た。ここで、得られたラテックス中の樹脂粒子の平
均粒子径は、動的光散乱測定器(大塚電子社製、商品名
「DLS7000」)で測定した。
【0044】(2)塩化ビニル系樹脂の作製 攪拌機及びジャケットを備えた重合容器に、イオン交換
水、上記ラテックス、部分ケン化ポリビニルアルコール
PVA(クラレポバールL−8、クラレ社製)の3%水
溶液、ヒドロキシプロピルメチルセルロースMPS(メ
トローズ60SH50、信越化学社製)の3%水溶液、
t−ブチルパーオキシネオデカノエート(BPON
D)、α−クミルパーオキシネオデカノエート(QPO
ND)を一括投入し、その後、真空ポンプで容器内の空
気を排出し、更に、攪拌条件下で塩化ビニルを投入した
後、30分間攪拌することにより、塩化ビニルを均一に
混合し、ジャケット温度の制御により所定の重合温度に
て重合を開始した。容器内が所定の圧力まで降下するこ
とで反応終了を確認し、消泡剤(東レシリコンSH55
10、東レ社製)を加圧添加した後に反応を停止した。
その後、未反応の塩化ビニルを除去し、更に脱水乾燥す
ることにより塩化ビニル系樹脂を得た。
【0045】(3)塩化ビニル系樹脂組成物の作製 (2)で得られた塩化ビニル系樹脂100重量部に対し
て、有機錫系安定剤(三共有機合成社製、商品名「ON
Z−6F」)1.5重量部、滑剤(理研ビタミン社製、
商品名「OPL−01」)0.5重量部、滑剤(日本油
脂社製、商品名「モノグリMB」)1.0重量部、滑剤
(コグニス社製、商品名「LoxiolG−21」)
0.5重量部、加工助剤(三菱レーヨン社製、商品名
「P−551A」)1.0重量部をスーパーミキサー
(100L、カワタ社製)にて撹拌混合し、塩化ビニル
系樹脂組成物を得た。
【0046】(比較例4)平均重合度1300の塩化ビ
ニル樹脂(大洋塩ビ社製、商品名「TH1300」)1
00重量部に対して、MBS系衝撃改質剤(鐘淵化学社
製、商品名「M−511」)6重量部と上記と同じ安定
剤、滑剤及び加工助剤とをスーパーミキサーにて攪拌混
合して、塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
【0047】(4)塩化ビニル系樹脂管継手の成形 (3)で得られた塩化ビニル系樹脂組成物を押出成形機
(プラスチック工学研究所社製、商品名「BT50」)
に投入し、スクリュ回転数30rpm、樹脂温度170
℃の条件下にて押出成形して、回転ペレタイザーを用い
塩化ビニル系樹脂ペレットを得た。得られたペレットを
射出成形機(東芝機械社製、商品名「IS−350
E」)に投入し、樹脂温度200℃、射出圧力10MP
aの条件下にて射出成形して、呼び径30mmのソケッ
ト形の塩化ビニル系樹脂管継手を得た。
【0048】(5)塩化ビニル系樹脂の性能評価 上記(2)で得られた塩化ビニル系樹脂の性能を以下の
方法で評価した。その結果は表1及び2に示すとおりで
あった。 ・平均重合度 JIS K 6721に準拠した方法で求めた極限粘度
から算出した。 ・平均粒子径 粒度分布計(堀場製作所社製、商品名「LA−91
0」)を用いて平均粒子径を測定した。 ・アクリル系共重合体含有量 JIS K 7229に準拠した方法で塩化ビニル系樹
脂中の塩素含有量を測定し、塩化ビニルとアクリル系共
重合体の重量比から算出した。
【0049】(6)塩化ビニル系樹脂管継手の性能評価 上記(4)で得られた塩化ビニル系樹脂管継手の性能を
以下の方法で評価した。その結果は表1及び2に示すと
おりであった。 ・耐衝撃性 JIS K 7110に準拠して、塩化ビニル系樹脂管
継手から切削して作成したノッチ付きの試験片を対象
に、0℃でのアイゾット衝撃試験を実施し、アイゾット
衝撃値(単位はkJ/m2)で評価した。 ・繰返し引張疲労強度 塩化ビニル系樹脂管継手から切削して作成した試験片を
対象に、繰返し引張疲労試験機(島津製作所社製、商品
名「EHF−ED1×4−40L」)を用いて、測定温
度23℃、周波数5HZ、印加応力0〜20MPaの条
件下において繰返し引張疲労試験を実施し、破断に至る
までの引張回数を測定した。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】表1及び2から明らかなように、本発明に
よる実施例の塩化ビニル系樹脂管継手は、いずれも耐衝
撃性及び長期耐久性に優れるている。これに対し、比較
例の塩化ビニル系樹脂管継手は、耐衝撃性もしくは長期
耐久性が劣っている。
【0053】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の塩化ビニル
系樹脂管継手は、耐衝撃性と長期耐久性の両方に優れて
いるため、頻繁に圧力変動のおきる宅地内の上水道配管
などに好適に用いることができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 3H019 FA16 4F071 AA24 AA24X AA33X AA77 AA81 AF15 AF15Y AF23 AF23Y AF57 AH03 BA01 BB05 BC05 BC10 4J026 AA45 AA46 AC15 AC18 BA10 BA27 BA28 BB03 DB03 GA08

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 JIS K 7110に準拠した0℃で
    のアイゾット衝撃値が10kJ/m2以上であり、且
    つ、測定温度23℃、周波数5Hz、印加応力0〜20
    MPaの条件下での繰返し引張疲労試験において、破断
    に至るまでの引張回数が80000回以上であることを
    特徴とする塩化ビニル系樹脂管継手。
  2. 【請求項2】 ホモポリマーのガラス転移温度が−60
    ℃未満のアルキル(メタ)アクリレートモノマーと多官
    能性モノマーとからなるモノマー混合物を重合すること
    により得られる共重合体に、ホモポリマーのガラス転移
    温度が−55℃以上の(メタ)アクリレートモノマーと
    多官能性モノマーとからなるモノマー混合物をグラフト
    共重合することにより得られるアクリル系共重合体に、
    塩化ビニルを懸濁重合にてグラフト共重合することによ
    り得られる、塩化ビニル部分の平均重合度が1000〜
    1500である塩化ビニル系樹脂を主成分とすることを
    特徴とする請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂管継手。
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