JP2002038028A - 光硬化性樹脂組成物 - Google Patents

光硬化性樹脂組成物

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JP2002038028A
JP2002038028A JP2000226155A JP2000226155A JP2002038028A JP 2002038028 A JP2002038028 A JP 2002038028A JP 2000226155 A JP2000226155 A JP 2000226155A JP 2000226155 A JP2000226155 A JP 2000226155A JP 2002038028 A JP2002038028 A JP 2002038028A
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Yoshinori Yamada
芳範 山田
Fuminori Kasuga
文則 春日
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Toagosei Co Ltd
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】シリカと樹脂との界面の密着性が良好で、樹脂
硬化物において十分な強度や耐湿性が得られる光硬化性
樹脂組成物を提供する。 【解決手段】平均粒子径が1〜30μmの球状であり、
下式で表わされる粒度分布の幾何標準偏差σが1.5以
下であり、なおかつシラノール基を6μmol/g以上2mmo
l/g以下有する球状シリカを含む光硬化性樹脂組成物。 【数1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光硬化性樹脂組成物
に関し、特定の球状シリカからなるフィラーを混ぜるこ
とにより、硬化物の接着強度、曲げ強度などが従来に比
べて飛躍的に高くなる組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】光硬化性樹脂は、硬化に加熱が必要な
く、環境に有害な溶剤を使用せずに、迅速に硬化できる
などの良好な作業性を持ち、接着剤や封止剤、充填剤、
インキ、コーティング剤、成形品、封止剤、歯科用レジ
ンなどに幅広く用いられている。その硬化システムとし
ては、ラジカル付加型、ヒドロシリル反応型、ラジカル
重合型,カチオン重合型等が知られており、樹脂原料と
してもアクリル系、エポキシ系、不飽和ポリエステル系
などの様々な樹脂系が実用化されている。また、目的に
応じた様々な波長域で働く光開始剤を用いることによ
り、可視光硬化、紫外線硬化型樹脂組成物などが提案さ
れ、改良が重ねられている。
【0003】しかし、その一方で、光硬化性樹脂の欠点
として、高熱による応力緩和がないため硬化収縮による
応力が残留しやすく、接着強度が低くなることや、樹脂
層が比較的薄いものでないと深部まで十分な光が届かな
いために硬化不良が起きやすいこと、あるいは複雑な形
状の場合、光を照射しても影になる部分に十分な光が当
たらず硬化しないなどの問題点が挙げられてきた。
【0004】これらの問題に対して、例えば光硬化性樹
脂組成物に屈折率1.54〜1.56のシリカ粉末を配
合することにより、光を良く透過すると共に硬化収縮率
を低くして応力の発生を抑制する方法が特開平6−57
103号報に開示されているが、当該屈折率は結晶シリ
カの屈折率であり、粉末シリカとしては破砕形状のもの
しか有り得なかった。しかし、実際には屈折率を樹脂に
近づけても、破砕形状では光が乱反射するため光の通り
が悪く、部分的な硬化不良を引き起こす問題は解決され
なかった。
【0005】これに対して、球状の溶融シリカを用いる
ことにより、光を良く通し、尚且つ低応力を達成する樹
脂組成物が特開平11−199651に開示されている
が、球状溶融シリカは破砕状シリカを火炎中で溶融して
製造する物であり、高熱にさらされてシリカ表面は平滑
になり、シラノール基も皆無になっているために、樹脂
との密着性が悪く、シリカと樹脂との界面での剥離や湿
気の浸入があるために樹脂硬化物の強度は上がらず、耐
湿性も悪かった。当該公開特許公報にはシランカップリ
ング剤を併用することも開示されているが、溶融シリカ
にはカップリング剤と反応できるシラノール基がないた
め、せいぜいカップリング剤同士の架橋によって樹脂部
分の強度が若干上がる程度であり、強度も耐湿性も不十
分であった。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】光硬化性樹脂組成物
において、光を良く透過して硬化不良がなく、応力を減
らして接着強度を上げるために溶融球状シリカを添加す
ることは公知であったが、シリカと樹脂との界面の密着
性が悪いために、十分な強度や耐湿性が得られないとい
う問題点があった。本発明は上記の問題を解決し、シリ
カと樹脂との界面の密着性が良好で、樹脂硬化物におい
て十分な強度や耐湿性が得られる光硬化性樹脂組成物を
提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の問題について検討
した結果、本発明者らは、一定範囲の量のシラノール
基、特にIRで3740cm-1に吸収波長を持つ孤立シラ
ノール基のみを持った球状シリカを用いた場合、光の透
過拡散性が良くて複雑な形状でも硬化不良がなく、その
上樹脂とシリカとの界面密着性が高いために硬化物の強
度や接着強度が高まることを見出して本発明を完成させ
た。すなわち、本発明は、平均粒子径が1〜30μmの
球状であり、下式で表わされる粒度分布の幾何標準偏差
σが1.5以下であり、なおかつシラノール基を6μmo
l/g以上2mmol/g以下有する球状シリカを含むことを特
徴とする光硬化性樹脂組成物である。
【0008】
【数2】
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
光硬化性樹脂組成物は、特定の球状シリカを含む他は通
常の光硬化性樹脂組成物の組成からなる。
【0010】○球状シリカ 本発明における球状シリカを含めて光硬化性樹脂組成物
に使用するフィラー粒子については、その形状が破砕片
状の形状の場合、平らな破砕面で光が強く反射してしま
ったり、あるいは逆に影が生じたりするので、球状の方
が好ましく、球形の内でも楕円では粒子の配向等によっ
て光の拡散方向に異方性が出る恐れがあるので、通常は
真球状の形状であることが好ましい。粒度分布はあまり
広すぎると、粒子間での光の反射が複雑になり、全光線
透過率が低くなるため好ましくないので狭い分布に集中
したシャープな分布形態をもつ方が好ましい。より具体
的には下式で表わされる粒度分布の幾何標準偏差σが
1.5以下である物が好ましく用いられる。
【0011】
【数3】
【0012】このような形状と粒度をもつシリカ粒子の
製造方法としては、スチーバ法と呼ばれる、アルコール
中でアルコキシシランを加水分解する方法が有名である
が、他にエマルジョン法と呼ばれる方法も好ましく用い
られる。エマルジョン法は、油中水型、水中油型、油中
油型等のエマルジョンの液中粒子形状を利用して、例え
ば油中水型の場合、水粒子の中でシリカゲルが生成する
ような条件でゾルゲル反応を起こす事により、球状のシ
リカゲルを得る方法である。これらの方法は、基本的に
液体中で合成反応をお行うため湿式法と総称される。
【0013】本発明における球状シリカの製造方法の一
例としては、湿式法によって合成されたシリカゲルを精
密な温度管理下に一定温度で焼成する方法がある。湿式
法によるシリカゲルの製造方法の例としては以下の方法
があり、いずれの方法も公知である。具体的には水ガラ
スや珪酸ナトリウムなどのアルカリ金属ケイ酸塩の水溶
液を硫酸、硝酸、リン酸、塩酸等の無機酸や、硫酸アン
モニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、塩
化アンモニウム等の無機酸のアンモニウム塩水溶液で中
和する方法や、メチルシリケート、エチルシリケート、
イソプロピルシリケート等のアルキルシリケートを塩酸
や酢酸等の酸触媒やアンモニア水等の塩基触媒の存在下
で水により加水分解する方法で製造できる。一般的に不
純物の含有量が少ないアルキルシリケートを原料にする
方が粒子自体の屈折率が一定になり、望ましくない光吸
収を生じないので好ましい。金属ケイ酸塩の水溶液を原
料とした場合でも、シリカゲルのくり返し洗浄や、原料
溶液をイオン交換などによって精製することにより、シ
リカの中の不純物を少なくすることができる。
【0014】湿式法シリカは湿式のプロセスを経るた
め、合成したシリカは通常スラリーとして得られる 、
このスラリーからシリカを分離、乾燥、焼成等の工程を
行うことでシリカが製造される。分離、乾燥については
例えばスラリーをろ過した後、アルコールやアセトン
等、合成に使用した有機溶媒を溶解する溶剤で洗浄した
り、高温で溶媒分を蒸発させたり、燃焼させて脱脂焼成
したりすることも可能である。分離、乾燥等のプロセス
は工業的に数多くの方法が行われており、これらのいず
れの方法でも好ましく用いる事ができる。
【0015】湿式法の他には、乾式法と呼ばれるシリカ
の製造法も知られている。例えば天然あるいは合成のシ
リカを粉砕し、火炎中などで高温にさらして溶融して球
状にした溶融シリカや、塩化ケイ素やアルキルシリケー
ト、金属珪素等の珪素源を高温で反応させる方法、金属
珪素を爆発燃焼させる方法などがある。これらを総称し
て乾式法シリカと呼ぶが、いずれの方法も高温のプロセ
スである事が共通しており、湿式法と異なって得られた
シリカは非孔質になり、シラノール基が残っていないた
め、たとえシランカップリング剤を併用したとしてもシ
リカとシランカップリング剤との反応がほとんど起き
ず、界面の密着力が得難いという欠点があった。しか
し、このようなシリカであっても、表面に酸、アルカ
リ、フッ化水素、あるいは水などを作用させることによ
りシラノール基を生成させることは可能である、そして
例えば生成したシラノール基を湿式法のシリカと同様な
方法で処理することにより、特定量の孤立シラノール基
を持つようにすれば、湿式法で製造された球状シリカと
同様の効果を持つ球状シリカを得ることは可能である。
【0016】6μmol/g以上2mmol/g以下の孤立シラノ
ール基を得る方法としては、乾式法シリカを化学処理し
た物や、湿式法シリカのように多量のシラノールを持つ
シリカを1050℃以下の温度で温度コントロールを精密に
行って一定時間焼成する方法がある。従来のシリカ製造
法では、それよりも高い温度で短時間の熱処理を行う方
法が一般的であったが、高温短時間焼成の方法はすべて
のシラノール基を一様になくしてしまうのに対して、10
50℃以下の温度で比較的長時間焼成した場合は、3400cm
-1に赤外吸収を持つ吸湿水に由来するシラノール基はな
くなり、3740cm-1に赤外吸収を持つ孤立シラノール基を
適当量得ることができる。
【0017】この場合の好ましい焼成時間は、最高温度
および昇温、降温速度とも関係するため一概には言えな
いが一般的には最高温度での保持時間が30分以上、さ
らには1時間であることが好ましく、経済的な理由から
24時間以下が好ましい。さらに好ましくは2時間以上
8時間以下である。また、室温から上記の好ましい焼成
温度に達するまでの昇温過程における昇温速度は、大き
すぎると内部のシラノール基を残したまま細孔が閉塞さ
れてしまい、孤立シラノール基以外のシラノール基が残
留する恐れがある。一方、昇温速度が小さすぎると昇温
に長時間がかかりすぎ経済的でないため、好ましい昇温
速度は1℃/分以上20℃/分以下、より好ましくは2
℃/分以上8℃/分以下である。また、好ましい降温速
度は0.1℃/分以上40℃/分以下である。昇降温は
必ずしも連続一様である必要はなく、段階的な温度変化
も可能であり、この場合は上記昇降温速度以外でも好ま
しく実施できる。
【0018】焼成に用いる装置に関しては1050℃未満の
温度を維持できる装置であれば形状大きさは問わず、ま
た熱源は電気によるジュール熱、石油やガス等の燃焼熱
でも構わない。具体的にはロ−タリーキルンやシャトル
炉等の装置が用いられる。これらの炉には何らかの温度
制御方法が備えられている事が好ましい。
【0019】好ましい焼成条件としては、付着水分を除
き、シリカの強度を出すために焼成温度が300℃以上で
ある事が好ましく、6μmol/g以上2mmol/g以下の孤立
シラノール基を得るためには1050℃以下である事が好ま
しい。さらに好ましくは700℃以上1000℃以下の範囲で
ある。焼成雰囲気としては空気、不活性ガス、還元雰囲
気、酸化雰囲気、水蒸気雰囲気等があり、いずれも好ま
しく使用できるが、有機物の残留の恐れがないという点
で空気中、水蒸気中等の酸化雰囲気が特に好ましい。焼
成後のシリカのシラノール量、特に孤立シラノールと吸
着水由来のシラノールを区別して定量するためには赤外
線吸光分光法や近赤外線吸光分光等が有効であり、具体
的な測定方法としては拡散反射法、多重反射(ATR)
法、ヌジョール法、溶剤希釈法、KBr錠剤法などを用
いることができるが、これらのうちKBr法は雰囲気中
の水分の影響を受けやすいためあまり好ましくなく、拡
散反射法は試料の調製が容易な点で特に好ましく用いら
れる。これらの測定方法を用いて、孤立シラノールの絶
対量を求めるためには、あらかじめ、当該シリカに孤立
シラノールだけしかないことを確かめた上で、杓熱減
量、滴定、シランカップリング剤との反応量などの既知
の定量方法でシラノール量を定量したり、そうして得ら
れた検量線を用いて、赤外吸収ピークの大きさから孤立
シラノールの量を決めることができる。
【0020】こうして得られる球状シリカの好ましいシ
ラノール基の量としては、シラノール基が樹脂自体とあ
るいはシランカップリング剤と反応して化学結合をもた
らし、界面の密着力を高めるので多い方が好ましく、そ
の値は6μmol/g以上である。一方であまりシラノール
基の密度が高くなると、たとえ樹脂やシランカップリン
グ剤と反応させても反応しきれないシラノールが多量に
残り、樹脂組成物の硬化体の吸湿性が高くなるため、耐
候性や電子材料の信頼性などの面で好ましくない。好ま
しいシラノール量の下限値は6μmol/g以上であり、1
0μmol/gあればさらに効果が大きくなり好ましい。上
限値としては2mmol/g以下であるが、さらに好ましくは
0.5mmol/g以下、最も好ましくは0.05mmol/g以下
である。
【0021】該球状シリカのシラノール基は、それ自体
ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂と反応する
事ができる他、シランカップリング剤などの界面改質剤
と反応して界面の密着力を高める事ができる。シランカ
ップリング剤を用いることができる。例えば、光硬化性
樹脂に、アクリル系の樹脂を用いる場合には、エポキシ
系、アミノ系などのカップリング剤が好ましく、その
他、メタクリロキシ系など公知のものから選択すること
ができる。また、いわゆるシランカップリング剤以外で
もシラノール基を持ったシリコーンをシリカのシラノー
ル基に縮合反応で結合させたりする方法も行う事ができ
る。
【0022】該球状シリカとシランカップリング剤等の
処理方法は、樹脂及びシリカを混合する時にシランカッ
プリング剤を同時に添加・混合するインテグラルブレン
ド法や、樹脂との混合前に予めシリカを処理をする前処
理法などがあるが任意の方法を選択することができる。
カップリング処理の効果を得やすくするためには前処理
法の方が好ましい。処理量はシラノール基と当量以上で
あれば良いが、過剰に添加すると凝集の可能性があるた
め、シラノール基と当量の1〜5倍、好ましくは1〜3
倍が良い。
【0023】また、当該シリカの製造工程中の任意の時
期に、粉砕、解砕、混合やふるい、気流分級、乾燥等の
一般的な粉体工業的手法を用いて粒度や凝集度の調整を
行うことは公知であり、差し支えない。こうして得られ
た特定のシラノールを持つ球状シリカを光硬化性樹脂に
含ませる濃度については、一般的に大きければ大きいほ
ど硬化物の強度は高くなり、耐湿性は高まり、光の透過
性は良くなるが、一方で濃度を高くすると未硬化の樹脂
の粘度が高くなるので、あまり濃度を高くしすぎると流
動性や取り扱いの面で制約ができてしまう。そこで好ま
しい濃度としては、樹脂組成物全体の0.01%から9
0%、さらに好ましくは1%から80%である。
【0024】○ベースレジン 好ましいベースレジンとして、例えばアクリル系と呼ば
れるポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレー
ト、ポリエーテルアクリレート、エポキシサクリレー
ト、ポリブタジエンアクリレート、シリコーンアクリレ
ート等のアクリルオリゴマーや、アルキルアクリレート
その他のアクリルモノマーなどがあり、また、いわゆる
アクリル系以外でも、主鎖および側鎖に不飽和結合を持
つ液状ポリブタジエン化合物、及びその末端アクリル変
成物、不飽和ポリエステル化合物、ポリエンーポリチオ
ール化合物や、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合
物、オキセタン化合物、フラン化合物、ラクトン化合
物、オキサゾリン化合物、スチレン誘導体、環状シロキ
サン等のカチオン重合性化合物、アミノアルキッド樹脂
などがある。
【0025】○光重合開始剤 光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、オルトベンゾ
イル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジ
フェニルサルファイド等のベンゾフェノン誘導体、チオ
キサントン、ベンゾインエーテル、ベンジルジメチルケ
タール、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−アミノ
アルキルフェノン、アシルフォスフィンオキサイド、各
種ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルフォニ
ウム塩、アリールジアゾニウム塩、鉄アレーン錯体及び
これらの誘導体など、通常知られているものがいずれも
好ましく用いられる。
【0026】○所望成分 光硬化性樹脂組成物として、上記以外の成分として、フ
ィラー、樹脂、モノマー、増感剤、離型剤、分散剤、難
燃剤、滑剤、安定剤等の通常用いられる添加物を加える
ことは差し支えなく、その配合組成も本発明の効果を妨
げない限りで任意に設定できる。
【0027】本発明で特定のシラノール基を持つ球状シ
リカを樹脂組成物に添加する際の分散方法には、加熱、
加圧、減圧しながらの混合、溶剤を使って樹脂を溶解し
ての混合、樹脂モノマーへの混合、樹脂オリゴマーへの
練り込み等の通常の方法のいずれも好ましく用いること
ができる。光硬化性樹脂組成物としての使用方法も、塗
布、印刷、キャスト等の他、あらゆる公知の加工技術と
機械によって任意の形状、用途に応用することができ
る。光照射面に対する板厚あるいは層厚には特に限定は
ないが、硬化物の表面を平滑に保つためには少なくとも
練りこんだシリカ粒子の直径よりも厚いことが好まし
い。
【0028】一方で樹脂組成物の厚さが厚くなるほど途
中で光が吸収されるために、一般的に深部での光硬化が
し難くなるが、本発明の構成要件である特定のシラノー
ルをもつシリカを混合した光硬化性樹脂組成物では、真
球状のシリカが、光を効率よく透過し、深部や影になっ
て照射光が直接当たらない所で再拡散させるため、厚い
層や複雑な形状でもまんべんなく光硬化をさせることが
できる。その理由は、真球状のシリカがレンズ状の働き
をする上に、従来公知の球状シリカに比べて樹脂との界
面の密着性が著しく良いため、界面での微小な隙間によ
る光のロスがなく、入射した光は樹脂組成物中のシリカ
を次々に透過して深部や複雑な形状の部分でもまんべん
なく分配されるからである。また、樹脂とシリカとの密
着性が高い結果、硬化物の曲げ強度や接着強度等は従来
の光硬化性樹脂硬化物に比べて著しく高くなることが特
徴である。
【0029】
【実施例】以下に実施例によって、本発明を具体的に説
明するが、本発明はこの実施例によって何等限定される
ものではない。 [実施例1]200L反応器にキシレン90kg、乳化
剤(SPAN−80)0.8kg、純水30kgおよ
び、安息香酸0.1kgを仕込み、液温を45℃に保持
して100rpmで攪拌しつつテトラメトキシシランオリ
ゴマー(コルコート(株)製 メチルシリケート51)2
7kgを60分かけて供給した。その後、45℃で2時間保
持した後、110℃まで加温した。そして、反応液をろ別
し、シャトル炉に入れて3℃/分で900℃まで昇温
し、900℃±20℃で6時間保持した後、4℃/分で
常温に戻して白色粉末を得た。粉末を走査型電子顕微鏡
で観察したところそれぞれ独立した真球状であった。
【0030】この粉末を純水に分散してレーザー回折式
粒度分布計によって粒度分布を測定した所、平均粒径は
5.7μmでσは1.37であり、赤外吸光分光計(F
T−IR)により拡散反射法によってシラノール基量を
測定した所3400cm-1の吸収ピークは認められず、3
740cm-1の孤立シラノールの吸収のみが認められたの
で、この粉末を以降の試験に用いた。念のため、このシ
リカ1kgを1200℃で12時間焼成したところ、37
40cm-1の吸収ピークは消失した。またその時の灼熱減
量からこの粉末の孤立シラノールの量を0.11mmol/g
と求めた。次にこの粉末をヘンシェルミキサーに入れ、
常温で攪拌しつつシラノール基の反応当量の倍量、すな
わち当該粉末に対して0.22mmol/gのγ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシシランを投入して20分間攪
拌した後、100℃で1時間乾燥してカップリング剤処
理を完結させた。
【0031】こうして得られた孤立シラノール基を持つ
球状シリカ200重量部に、エポキシアクリレート樹脂
ビスコート540(大阪有機化学製)70重量部、トリ
メチロールプロパントリアクリレート30重量部、イル
ガキュア184(チバガイギー製)5重量部を混ぜて3
本ロールで混練し、光硬化性組成物を得た。この組成物
を厚さ3mmの銅板の上に厚さ100μmに成膜し、膜厚
30μmのポリイミドフィルムを載せて80W/cm2
の高圧水銀灯を15cmの高さから1分間照射して硬化
させた。
【0032】そして、JIS−K6854に基づくポリ
イミドフィルムの剥離接着試験をおこなった。試験は5
枚の試験片は全て凝集剥離を示しその剥離強度を平均し
た結果は2.6N/mmだった。また、同じ方法で作製
した試験片を、プレッシャークッカー試験機により、1
21℃相対湿度100%の環境下に200時間置いた後
で取り出して剥離強度を測定した結果は5枚の平均で
2.3N/mmと、強度の低下はわずかだった。
【0033】[比較例1]実施例1で使用した孤立シラ
ノールを持つシリカの代わりに、一般に広く用いられて
いる破砕状シリカ(株式会社龍森製ヒューズレックスR
D−8)を使用した他は実施例1と同じ方法で剥離接着
試験片を作り、剥離接着試験を行った。剥離接着強度試
験の結果5枚の試験片は全て凝集剥離で剥離し、剥離強
度の平均値は2.0N/mmだった。また、実施例1と
同様にプレッシャークッカー試験にかけた後の剥離接着
強度は1.2N/mmと大きく強度が低下していた。実
施例1と比較例1の結果を比較すると、当発明の光硬化
性樹脂組成物では、破砕状シリカを特定のシラノールを
持つ球状シリカに変えることにより約3割の剥離接着強
度向上が得られ、さらに耐湿試験ではその優位性がより
顕著になったことから当該組成物の強度、耐湿性の向上
効果が示されたと考えられる。
【0034】[実施例2]JIS−K6850の引っ張
りせん断接着強さ試験において、試験片を100mm×
25mm厚さ3mmの銅片とし、接着層の厚さが0.5
mmになるように接着部分の長手方向2辺両端に厚さ
0.5mmのテフロン(登録商標)テープをかませたも
のに実施例1と同じ光硬化性樹脂組成物を充填した。そ
して、接着部分のテープの張ってない2方向から80W
/cm2の高圧水銀灯を15cmの距離から1分間照射
し、接着部分の光硬化性樹脂組成物を硬化させた。テー
プを取り除いた後、JIS−K6850に従って5個の
試験片の引っ張りせん断強さを測定した結果、5個の平
均で2.7N/mmだった。剥離後の接着面はすべて凝
集剥離を示しており、樹脂組成物は中心部まで完全に硬
化していた。
【0035】[比較例2]比較例1と同じ樹脂組成物を
用いて、実施例2と同じ厚さ0.5mmの接着層による
引っ張りせん断接着強さの試験を行った。結果は5個の
平均で0.9N/mmだった。剥離後の接着面は光照射
面の近傍約1mmは凝集剥離を示していたが、中心部は
すべて界面剥離で、尚且つ樹脂が未硬化だった。実施例
2と比較例2の結果を比較すると、当発明の光硬化性樹
脂組成物は、光の透過性が良く、厚い樹脂層の深部まで
容易に硬化させることができることが示されされたと考
えられる。
【0036】
【発明の効果】実施例の結果から明らかなように、本発
明の光硬化性樹脂組成物は、機械的強度、耐湿性が高
く、光の損失が少なくて効率よく光硬化ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AA001 AC021 AC031 AC111 BC001 BE041 BG041 CD001 CD191 CF011 CF191 CF211 CF271 CH031 CH051 CK021 CM011 CN011 CP031 CP161 DJ016 FA086 GH00 GJ01 GJ02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒子径が1〜30μmの球状であり、
    下式で表わされる粒度分布の幾何標準偏差σが1.5以
    下であり、なおかつシラノール基を6μmol/g以上2mmo
    l/g以下有する球状シリカを含むことを特徴とする光硬
    化性樹脂組成物。 【数1】
  2. 【請求項2】請求項1記載の球状シリカにおけるシラノ
    ール基が実質上孤立シラノールのみであることを特徴と
    する光硬化樹脂組成物。
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