JP6976040B2 - シリカ粒子材料及びその製造方法、並びに樹脂組成物 - Google Patents

シリカ粒子材料及びその製造方法、並びに樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、シリカ粒子材料、および、シリカ粒子を表面処理してシリカ粒子材料を得るための表面処理方法に関する。
シリカ粒子の一種であるコロイダルシリカは、水ガラスを原料として製造する方法、金属ケイ素粉末を原料として製造する方法、気相合成法等により製造される。水ガラスを原料として製造する方法は、水ガラスを中和したり、イオン交換することで水ガラスを沈殿させたりすることによって微小な粒子を生成する。
このようなシリカ粒子の粒径は、例えばコロイダルシリカでは数nm〜数百nm程度と非常に小さい。粒径の小さなシリカ粒子は種々の用途に供される。その一方で粒径の小さなシリカ粒子の比表面積は非常に大きい。このため粒径の小さなシリカ粒子は凝集し易い特性を持つ。一旦凝集したシリカ粒子は再分散し難い。このため、粒径の小さなシリカ粒子は取り扱い性に劣る問題がある。
そこで出願人は小さなシリカ粒子であっても凝集が抑制できる技術を開発している(例えば特許文献1参照)。
特開2011−213514号公報
ところで、シリカ粒子の表面に導入する官能基として、フェニルアミン(−NHPh、−R−NHPh:Rはプロピレンなどのアルキレン)が注目されている。フェニルアミンを特許文献1の方法にてシリカ粒子材料に導入しようとすると、その導入の比率や量によっては好ましいシリカ粒子材料にならない場合もあった。
更に、本発明者らは以上の検討を行った際にN−フェニル−アミノアルキル基(Ph−NH−C2n)−:nは2〜5:Phはフェニル基)を導入したシリカ粒子をフィラーとして含む樹脂組成物がその他の官能基をもつシリカ粒子と比べて銅材料との間の密着性に優れることを発見した。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、フェニルアミンを導入し且つ取り扱い性に優れるシリカ粒子材料及びその製造方法、並びに樹脂組成物を提供することを目的とする。
(A)上記課題を解決する本発明のシリカ粒子材料を得るために採用される表面処理方法は、水を含む液状媒体中でN−フェニル−アミノアルキル基(アルキル基は炭素数が2〜5)がケイ素原子に結合したシランカップリング剤およびオルガノシラザンによってシリカ粒子を表面処理する表面処理工程を持ち、
該シランカップリング剤と該オルガノシラザンとのモル比は、該シランカップリング剤:該オルガノシラザン=1:2〜1:10であり、
前記表面処理工程後に、塩化合物を添加して行う塩析により前記シリカ粒子を沈殿させ、沈殿物を水で洗浄・乾燥して、シリカ粒子材料の固形物を得る固形化工程を備える。
表面処理を行った後に塩析を行うことにより表面処理が為されたシリカ粒子材料の凝集が効果的に抑制できる。
塩化合物としてはシリカ粒子材料が沈殿するものであれば充分であるが、特に無機塩化合物であることが好ましい。また、前記塩化合物は塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、プロピオン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、マレイン酸ナトリウム、アジピン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ピリジン塩酸塩、トリエチルアミン塩酸塩、塩化テトラメチルアンモニウム、及び、ドデシル硫酸ナトリウムからなる群より選択される1以上の物質であることが好ましい。特にアンモニウム塩、炭酸塩、および炭酸アンモニウム塩から選択することが更に好ましい。
上記した(A)の方法に対して以下に記載の(B)〜(D)のうちの何れか1つ以上の構成を加えることができる。
(B)前記表面処理工程は、
前記シリカ粒子を前記シランカップリング剤で処理する第1の処理工程と、
前記シリカ粒子を前記オルガノシラザンで処理する第2の処理工程と、を持ち、
該第2の処理工程は、該第1の処理工程後に行う。
(C)前記第2の処理工程において、3つのアルコキシ基と炭素数1〜3のアルキル基とを持つ第2のシランカップリング剤で前記オルガノシラザンの一部を置き換え、
前記第2の処理工程後に、さらに前記シリカ粒子を前記オルガノシラザンで処理する第3の処理工程を持つ。
(D)前記オルガノシラザンは、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザンから選ばれる少なくとも一種である。
(E)上述の表面処理方法にて製造されうるシリカ粒子材料は、式(1):−OSiXで表される官能基と、式(2):−OSiYで表される官能基とがシリカ粒子の表面に結合しており、乾燥状態を経ても一次粒子にまで分離している。(上記式(1)、(2)中;XはN−フェニル−アミノアルキル基(アルキル基は炭素数が2〜5)であり;X、Xは−OSiR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択され;YはRであり;Y、YはR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択される。YはRであり;Y及びYは、R及び−OSiRからそれぞれ独立して選択され;Rは炭素数1〜3のアルキル基から独立して選択される。なお、X、X、Y、Y、Y、及びYの何れかは、隣接する官能基のX、X、Y、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合しても良い。)
上記した(E)のシリカ粒子材料は以下に記載の(F)〜(I)のうちの何れか1つ以上の構成を加えることができる。
(F)前記式(1)で表される官能基と前記式(2)で表される官能基との存在数比が1:12〜1:60である。(G)前記Xは前記シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたり0.5〜2.5個である。(H)前記Rは前記シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたり1〜10個である。(I)平均粒子径(体積基準、以下同じ)が3〜200nmである。
(J)上記課題を解決する本発明のシリカ粒子材料は、樹脂材料中に分散させてフィラーとして用いるものであり、粒子径3〜200nmでありシリカを主成分とする粒子材料と、その表面に導入されたN−フェニル−アミノアルキル基(アルキル基は炭素数が2〜5)からなる官能基とをもつシリカ粒子材料である。そして、樹脂材料中に分散して樹脂組成物として銅材料からなる部材に接した状態で硬化した後の密着性に優れるとの特徴をもつ。
ここで、密着性に優れるとはフェニルアミノ基を表面にもつこと以外は同条件で作成したシリカ粒子材料と比べてピール強度が高いことを意味する。
特に密着性の程度としては、前記樹脂組成物の硬化物とその表面に密着させた前記部材との間のピール強度をA、前記樹脂材料のみの硬化物とその表面に密着させた前記部材との間のピール強度をBとしたときに、A÷Bが0.6以上であることが好ましい。
本発明のシリカ粒子の表面処理方法によると、N−フェニル−アミノをもつ官能基と、上式(2)で表されるオルガノシラザン由来の官能基とを、をシリカ粒子の表面に結合することができる。その後、塩析により沈殿させることで得られた表面処理済みのシリカ粒子材料は凝集が抑制されることになる。塩析を行うことでフェニルアミンに生じる電荷を適正に制御できるために凝集が抑制できるものと推測できる。
そして、シランカップリング剤とオルガノシラザンとのモル比が1:2〜1:10の範囲内であれば、上式(1)で表される官能基と上式(2)で表される官能基とを、シリカ粒子材料の表面にバランス良く存在させ得る。
本発明のシリカ粒子材料は、X(N−フェニル−アミノアルキル基)と、R(炭素数1〜3のアルキル基)とを表面に持つ。Rすなわち炭素数1〜3のアルキル基は疎水性が高いために、互いに反発し合う。したがって、本発明のシリカ粒子材料は炭素数1〜3のアルキル基同士の反発力により凝集し難い。
つまり、本発明のシリカ粒子材料は、N−フェニル−アミノアルキル基とアルキル基とを共存させることで、N−フェニル−アミノ基に由来する効果と、凝集抑制効果とが両立できる。
また、シリカ粒子材料の表面にRが多く存在するほど凝集抑制効果が向上するが、その一方で、樹脂に対する親和性が低下する。シリカ粒子材料の表面にXが多く存在するほどN−フェニル−アミノ基に由来する効果が向上するが、その一方で、Rの数が少なくなり凝集抑制効果が低減する。したがって、RとXとの存在数比には、好ましい範囲が存在する。式(1)で表される官能基と式(2)で表される官能基との存在数比が1:12〜1:60の範囲内であれば、樹脂に対する優れた親和性と優れた凝集抑制効果とを両立することができる。また、Xがシリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたり0.5〜2.5個であれば、樹脂に対する優れた親和性と優れた凝集抑制効果とを両立することができる。
実施例1のシリカ粒子材料の粒度分布を表すグラフである。 実施例6のシリカ粒子材料の粒度分布を表すグラフである。 実施例7のシリカ粒子材料の粒度分布を表すグラフである。 実施例1のシリカ粒子材料の表面の赤外吸収スペクトルを表すグラフである。 実施例6のシリカ粒子材料の表面の赤外吸収スペクトルを表すグラフである。 実施例7のシリカ粒子材料の表面の赤外吸収スペクトルを表すグラフである。
本願発明のシリカ粒子材料の用途は特に限定しない。樹脂(又は樹脂組成物)中に分散させて樹脂組成物を構成したり、その他の材料に含有させてその材料が形成する隙間に挿入したりすることができる。樹脂組成物は半導体封止材、アンダーフィル、構造材料などに用いることができる。また、その他のフィラー(マイクロメートルオーダーの、繊維や粒子)も分散させることもできる。
特に銅材料からなる部材に接するように用いられることが好ましい。例えば、表面や内部に配線(銅材料からなる部材)が配設されている基板材料を構成する樹脂組成物のフィラーに採用することが好ましい。特に配線に接触する部位に用いる樹脂組成物のフィラーにすることが望ましい。例えば配線が表面に形成される場合には基板の表面に、内部に形成される場合には内部に配設された配線の周囲に用いる樹脂組成物に用いることができる。基板を被覆する被覆材に採用したり、複数の基板を接着する接着層に採用したりできる。
樹脂組成物中に本発明のシリカ粒子材料を含有させるときにはフィラーの全てとして用いることができるほか、フィラーの一部として用いることもできる。
本実施形態のシリカ粒子材料は以下の(A)又は(B)に開示の材料である。
(A)本発明のシリカ粒子材料は、式(1):−OSiXで表される官能基と、式(2):−OSiYで表される官能基とが表面に結合したシリカ粒子材料である。以下、式(1)で表される官能基を第1の官能基と呼び、式(2)で表される官能基を第2の官能基と呼ぶ。
第1の官能基におけるXは、N−フェニル−アミノアルキル基(アルキル基は炭素数が2〜5。特にn−プロピル基であって3位に窒素原子が結合するN−フェニル−アミノプロピル基が好ましい)である。X、Xは、それぞれ、−OSiR又は−OSiYである。YはRである。Y、Yは、それぞれ、R又は−OSiRである。
第2の官能基におけるYはRである。Y、Yは、それぞれ、−OSiR又は−OSiYである。
第1の官能基および第2の官能基に含まれる−OSiRが多い程、シリカ粒子材料の表面にRを多く持つ。第1の官能基および第2の官能基に含まれるR(炭素数1〜3のアルキル基)が多い程、本発明のシリカ粒子材料は凝集し難い。
第1の官能基に関していえば、X、Xがそれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最小となる。また、XおよびXがそれぞれ−OSiYであり、かつ、Y、Yがそれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最大となる。
第2の官能基に関していえば、Y、Yがそれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最小となる。また、YおよびYがそれぞれ−OSiYであり、かつ、Y、Yがそれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最大となる。
第1の官能基に含まれるXの数、第1の官能基に含まれるRの数、第2の官能基に含まれるRの数は、RとXとの存在数比や、シリカ粒子材料の粒径や用途に応じて適宜設定すれば良い。
なお、X、X、Y、Y、Y、及びYの何れかは、隣接する官能基のX、X、Y、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合しても良い。例えば、第1の官能基のX、X、Y、及びYの何れかが、この第1の官能基に隣接する第1の官能基のX、X、Y、及びYの何れかと−O−にて結合していても良い。同様に、第2の官能基のY、Y、Y、及びYの何れかが、この第2の官能基に隣接する第2の官能基のY、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合していても良い。さらには、第1の官能基のX、X、Y、及びYの何れかが、この第1の官能基に隣接する第2の官能基のY、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合していても良い。
本発明のシリカ粒子材料において、第1の官能基と第2の官能基との存在数比が1:12〜1:60であれば、シリカ粒子材料の表面にXとRとがバランス良く存在する。このため、第1の官能基と第2の官能基との存在数比が1:12〜1:60であるシリカ粒子材料は、樹脂に対する親和性および凝集抑制効果に特に優れる。また、Xがシリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたり0.5〜2.5個であれば、シリカ粒子材料の表面に充分な数の第1の官能基が結合し、第1の官能基および第2の官能基に由来するRもまた充分な数存在する。したがってこの場合にも、樹脂に対する親和性およびシリカ粒子材料の凝集抑制効果が充分に発揮される。
何れの場合にも、シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたりのRは、0.5個〜10個、さらには1個〜10個であるのが好ましい。この場合には、シリカ粒子材料の表面に存在するXの数とRの数とのバランスが良くなり、樹脂に対する親和性およびシリカ粒子材料の凝集抑制効果との両方がバランス良く発揮される。
本発明のシリカ粒子材料においては、シリカ粒子の表面に存在していた水酸基のほぼ全部が第1の官能基または第2の官能基で置換されているのが好ましい。第1の官能基と第2の官能基との和が、シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたり2.0個以上であれば、本発明のシリカ粒子材料において、シリカ粒子の表面に存在していた水酸基のほぼ全部が第1の官能基または第2の官能基で置換されているといえる。
本発明のシリカ粒子材料は、表面にRを持つ。これは、赤外線吸収スペクトルによって確認できる可能性がある。詳しくは、本発明のシリカ粒子材料の赤外線吸収スペクトルを固体拡散反射法で測定すると、2962±2cm−1にC−H伸縮振動の極大吸収がある。このため、本発明のシリカ粒子材料であるか否かは、赤外線吸収スペクトルによって確認できる。但し、フェニルアミン由来の赤外吸収がブロードなピークであるために判別が困難である場合も多いため、その他の方法としては炭素原子の存在を測定したり、炭素原子・水素原子・窒素原子などの原子の組成比を算出して推測したりできる。
また、上述したように本発明のシリカ粒子材料は凝集し難い。したがって、本発明のシリカ粒子材料は粒径の小さなシリカ粒子材料に適用できる。例えば、本発明のシリカ粒子材料は、粒径3nm〜5000nm程度にできる。平均粒径3〜200nmのシリカ粒子材料に適用するのが好ましい。
なお、本発明のシリカ粒子材料は、乾燥状態を経ても一次粒子にまで分離している。「乾燥状態を経ても一次粒子にまで分離している」かどうかは、超音波処理することによって再度分散可能であることで判断できる。つまり、乾燥状態を経ても簡単に一次粒子にまで分離できれば「乾燥状態を経ても一次粒子にまで分離している」である。具体的には、本発明のシリカ粒子材料をメチルエチルケトンに分散させたものに、発振周波数39kHz、出力500Wの超音波を照射することで、本発明のシリカ粒子材料を実質的に一次粒子にまで分散できる。このときの超音波照射時間は10分間以下で良い。本発明のシリカ粒子材料が一次粒子にまで分散したか否かは、粒度分布を測定することで確認できる。詳しくは、このシリカ粒子材料のメチルエチルケトン分散材料をマイクロトラック装置等の粒度分布測定装置で測定し、シリカ粒子材料の一次粒子に相当する粒度分布が観測され、凝集物の粒度分布が観測されなければ(例えば凝集物の割合が体積基準で5%以下(更には1%以下))、本発明のシリカ粒子材料が一次粒子にまで分散したといえる。
本発明のシリカ粒子材料は、凝集し難いため、水やアルコール等の液状媒体に分散されていないシリカ粒子材料として提供できる。この場合、液状媒体の持ち込みがないために、樹脂材料用のフィラーとして好ましく用いられる。
また、本発明のシリカ粒子材料は凝集し難いために、水で容易に洗浄できる。このため、本発明のシリカ粒子材料は、電子部品用のシリカ粒子材料に適用できる。
本発明のシリカ粒子の表面処理方法は、水を含む液状媒体中で、シランカップリング剤およびオルガノシラザンによってシリカ粒子を表面処理する工程(表面処理工程)を持つ。シランカップリング剤は、N−フェニル−アミノアルキル基(アルキル基は炭素数が2〜5:すなわち上記のXをSiに結合する官能基としてもつ)がケイ素原子に結合したシランカップリング剤である。特にN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランが例示できる。
シランカップリング剤で表面処理することで、シリカ粒子の表面に存在する水酸基がシランカップリング剤に由来する官能基で置換される。シランカップリング剤に由来する官能基は式(3);−OSiXで表される。式(3)で表される官能基を第3の官能基と呼ぶ。第3の官能基におけるXは式(1)で表される官能基におけるXと同じである。X、Xは、それぞれ、アルキコキシ基である。オルガノシラザンで表面処理することで、第3の官能基のX、Xがオルガノシラザンに由来する−OSiY(式(2)で表される官能基、第2の官能基)で置換される。シリカ粒子の表面に存在する水酸基の全てが第3の官能基で置換されていない場合には、シリカ粒子の表面に残存する水酸基が第2の官能基で置換される。このため、表面処理されたシリカ粒子材料の表面には、式(1):−OSiXで表される官能基(すなわち第1の官能基)と、式(2):−OSiYで表される官能基と(すなわち第2の官能基)が結合する。なお、シランカップリング剤とオルガノシラザンとのモル比は、シランカップリング剤:オルガノシラザン=1:2〜1:10であるため、得られたシリカ粒子材料における第1の官能基と第2の官能基との存在数比は理論上1:12〜1:60となる。
表面処理工程においては、シリカ粒子をシランカップリング剤及びオルガノシラザンで同時に表面処理しても良い。または、先ずシリカ粒子をシランカップリング剤で表面処理し、次いでオルガノシラザンで表面処理しても良い。または、先ずシリカ粒子をオルガノシラザンで表面処理し、次いでシランカップリング剤で表面処理し、さらにその後にオルガノシラザンで表面処理しても良い。何れの場合にも、シリカ粒子の表面に存在する水酸基全てが第2の官能基で置換されないように、オルガノシラザンの量を調整すれば良い。なお、シリカ粒子の表面に存在する水酸基は、全てが第3の官能基で置換されても良いし、一部のみが第3の官能基で置換され、他の部分が第2の官能基で置換されても良い。第3の官能基に含まれるX、Xは、全て第2の官能基で置換されるのが良い。
なお、オルガノシラザンの一部を、第2のシランカップリング剤で置き換えても良い。第2のシランカップリング剤としては、3つのアルコキシ基と、1つのアルキル基とを持つものを用いることができる。この場合には、第3の官能基に含まれるX、Xが、第2のシランカップリング剤に由来する第4の官能基で置換される。第4の官能基は式(4);−OSiYで表される。Yは第2の官能基におけるYと同じRであり、X、Xはそれぞれアルコキシ基または水酸基である。第4の官能基に含まれるX、Xは、オルガノシラザンに由来する第2の官能基で置換されるか、または、別の第4の官能基で置換される。この場合には、シリカ粒子材料の表面に存在するRの量をさらに多くする事ができる。なお、オルガノシラザンの一部を、第2のシランカップリング剤に置き換える場合、第2のシランカップリング剤で表面処理した後に、再度オルガノシラザンで表面処理する必要がある。第4の官能基に含まれるX、Xを、最終的にはオルガノシラザンに由来する第2の官能基で置換するためである。
オルガノシラザンの一部を第2のシランカップリング剤で置き換える場合、上述した第1の官能基に含まれるX、Xは、オルガノシラザンに由来する第2の官能基で置換されるか、第2のシランカップリング剤に由来する第4の官能基で置換される。X、Xが第4の官能基で置換された場合、第4の官能基に含まれるX、Xは、第2の官能基で置換されるか、別の第4の官能基によって置換される。第4の官能基に含まれるX、Xが別の第4の官能基によって置換された場合、第4の官能基に含まれるX、Xは、第2の官能基で置換される。このため第2のシランカップリング剤は、第1のカップリング剤及びオルガノシラザンのみで表面処理する場合(オルガノシラザンを第2のシランカップリング剤で置き換えなかった場合)に設定されるオルガノシラザンの量(a)molに対して、最大限5a/3mol置き換えることができる。この場合に必要になるオルガノシラザンの量は、8a/3molである。
シランカップリング剤および第2のシランカップリング剤のアルコキシ基は特に限定しないが、比較的炭素数の小さなものが好ましく、炭素数1〜12であることが好ましい。アルコキシ基の加水分解性を考慮すると、アルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基の何れかであることがより好ましい。
オルガノシラザンとしては、シリカ粒子の表面に存在する水酸基およびシランカップリング剤に由来するアルコキシ基を、上述した第2の官能基で置換できるものであれば良いが、分子量の小さなものを用いるのが好ましい。具体的には、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザン等が挙げられる。
第2のシランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
なお、表面処理工程において、シランカップリング剤の重合や第2のシランカップリング剤の重合を抑制するため、重合禁止剤を加えても良い。重合禁止剤としては、3,5−ジブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、p−メトキシフェノール(メトキノン)等の一般的なものを用いることができる。
本発明のシリカ粒子の表面処理方法は、表面処理工程後に固形化工程を備えても良い。固形化工程は、表面処理工程後に塩化合物を添加することでシリカ粒子材料を沈殿させる工程である。塩化合物を添加することで塩析が進行する。本明細書中において塩析が進行しているかどうかの判断は、実際に沈殿が生じるかどうかで判断できるほか、塩化合物を反応系内に添加することのみをもっても、塩析が進行しているものとして判断できる。また、塩化合物の濃度が2mmol/L以上(好ましくは10mmol/L以上、より好ましくは15mmol/L以上)にまで添加することでも塩析が進行しているものとして扱うことができる。
得られた沈殿物は水で洗浄・乾燥等して、シリカ粒子材料の固形物を得ることができる。上述したように、一般的なシリカ粒子材料は非常に凝集し易いため、一旦固形化したシリカ粒子材料を再度分散するのは非常に困難である。しかし、本発明のシリカ粒子材料は凝集し難いため、固形化しても凝集し難く、また、例え凝集しても再分散し易い。なお、上述したように、シリカ粒子材料を水で洗浄することで、電子部品等の用途に用いられるシリカ粒子材料を容易に製造できる。なお、洗浄工程においては、シリカ粒子材料の抽出水(詳しくは、シリカ粒子材料を121℃で24時間浸漬した水)の電気伝導度が50μS/cm以下となるまで、洗浄を繰り返すのが好ましい。
塩化合物としては特に限定しないが、無機塩化合物を添加する方法が簡易で有り好ましい。塩化合物としては、例えば塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、アンモニア(水)、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、プロピオン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、マレイン酸ナトリウム、アジピン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ピリジン塩酸塩、トリエチルアミン塩酸塩、塩化テトラメチルアンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウムが挙げられる。特に50〜300℃程度の加熱により揮発するような物質を採用することが望ましい。塩化合物はそのまま用いても良いが、水溶液などのような溶液(塩化合物溶液)として用いるのが好ましい。塩化合物溶液における塩化合物の濃度は0.1質量%以上が望ましく、0.5質量%以上が更に望ましい。塩化合物溶液の量は、洗浄対象であるシリカ粒子材料の質量を基準として6〜12倍程度にすることができる。
塩化合物溶液による処理(接触させること。塩析が進行する)は複数回数行うことも可能である。シリカ粒子材料を塩化合物溶液に浸漬後、撹拌することが望ましい。また、浸漬した状態で1時間から24時間、更には72時間程度放置することができる。放置する際には撹拌を継続することもできるし、撹拌しないこともできる。塩化合物溶液中にて処理する際には常温以上に加熱することもできる。
その後、処理により懸濁させたシリカ粒子材料をろ取した後、水にて洗浄する。使用する水はアルカリ金属などのイオンを含まない(例えば質量基準で1ppm以下)ことが望ましい。例えば、イオン交換水、蒸留水、純水などである。水による洗浄シリカ粒子材料を分散、懸濁させた後、ろ過することもできるし、ろ取したシリカ粒子材料に対して水を継続的に通過させることによっても可能である。水による洗浄の終了時期は、上述した抽出水の電気伝導度で判断しても良いし、シリカ粒子材料を洗浄した後の排水中のアルカリ金属濃度が1ppm以下になった時点としても良いし、抽出水のアルカリ金属濃度が5ppm以下になった時点としても良い。なお、水で洗浄する際には常温以上に加熱することもできる。
シリカ粒子材料の乾燥は、常法により行うことができる。例えば、加熱や、減圧(真空)下に放置する等である。
乾燥以外でシリカ粒子材料を脱水する方法として、含水しているシリカ粒子材料に対して、水よりも沸点が高い水系有機溶媒を添加後、その水系有機溶媒に溶解可能な混合材料を混合し、水を除去する方法を用いることができる。水系有機溶媒としてはプロピレングリコールモノメチルエーテル(プロピレングリコール−1−メチルエーテル、沸点119℃程度;プロピレングリコール−2−メチルエーテル、沸点130℃程度)、ブタノール(沸点117.7℃)、N−メチル−2−ピロリドン(沸点204℃程度)、γ−ブチロラクトン(沸点204℃程度)などが例示できる。
混合材料は、水系有機溶媒よりも沸点が高い有機化合物である。沸点が水系有機溶媒及び水よりも高いので、最終的にシリカ粒子材料と共に残存することになる。混合材料はそのまま、又は、反応することで高分子にすることもできる。混合材料は、シリカ粒子材料を分散するマトリクスを形成することもできる。混合材料は、含水したシリカ粒子材料に対して水系有機溶媒を添加した状態で、分散乃至溶解できる化合物である。混合材料は高分子であっても低分子であっても良い。混合材料は、エポキシ基、オキセタン基、水酸基、ブロックされたイソシアネート基、アミノ基、ハーフエステル基、アミック基、カルボキシ基、及び炭素-炭素二重結合基を化学構造中に有することが望ましい。これらの官能基は好適な反応条件を設定することで互いに結合可能な官能基(重合性官能基)であり、混合材料の分子量を向上できる。好適な反応条件としては単純に加熱や光照射を行ったり、熱や光照射によりラジカルやイオン(アニオン、カチオン)などの反応性種を生成したり、それらの官能基間を結合する反応開始剤(重合開始剤)を添加して加熱や光照射を行うことなどである。重合反応に際して必要な化合物を硬化剤として添加したり、その反応に対する触媒を添加したりできる。
混合材料としては重合により高分子材料を形成する単量体や、上述したような重合性官能基により修飾した高分子材料が好ましいものとして挙げられる。例えば、硬化前の、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などのプレポリマーが好適である。
水(更には水系有機溶媒も)を除去することで、混合材料中にシリカ粒子材料が混合乃至分散した状態とすることができる。
(B)本実施形態のシリカ粒子材料は、樹脂材料中に分散させて樹脂組成物とするためにフィラーとして用いるものである。樹脂材料としては特に限定しないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂が例示できる。樹脂材料は硬化の前後どちらでも良い。
本実施形態のシリカ粒子材料は粒子材料とその表面に導入された官能基とからなる。粒子材料は粒子径が3〜200nmでありシリカを主成分とする。官能基はN−フェニル−アミノアルキル基(アルキル基は炭素数が2〜5)からなる官能基。粒子材料の表面に官能基を導入する方法は特にて限定しないが、上記した官能基をもつシランカップリング剤を粒子材料の表面に接触させる方法が例示できる。
本実施形態のシリカ粒子材料をフィラーとして含有させた樹脂組成物は金属材料からなる部材との密着性に優れる。金属材料とは通常の金属、例えば純銅、純金、純銀のほか、銅、金、銀などの金属元素を全体の質量を基準として50質量%以上含有するものであってもよい。基板に配設される配線とする場合には薄膜状で用いられることが多い。密着性の測定はピール強度の測定により行う。ピール強度は以下に記載するJIS K 6854−1(接着剤−はく離接着強さ試験方法−第1部:90度はく離)に準拠した方法で測定することで行う。測定装置は万能材料試験機5582型を用い、試験温度は23℃、試験速度は50mm/分、引きはがし幅は10mmとする。
以下、本発明のシリカ粒子材料および本発明のシリカ粒子の表面処理方法を具体的に説明する。
(試験1:製造条件の検討)
・実施例1
(1)準備工程
シリカ粒子としてのコロイダルシリカ(Si−80P:日揮触媒化成株式会社製、平均粒子径80nm、固形分濃度40%)を固形分濃度が20%になるようイオン交換水で希釈したスラリーを調製した。
(2)第1工程
シリカ粒子が20質量%の濃度で水に分散したスラリー100質量部にイソプロパノール40質量部、12N塩酸0.3質量部を加え混合して分散液とした。この分散液にN−フェニル−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量部を加え40℃で72時間混合した(混合液)。この工程により、シリカ粒子の表面に存在する水酸基をシランカップリング剤で表面処理した。なお、このときN−フェニル−アミノプロピルトリメトキシシランは必要な量の水酸基(一部)が表面処理されずに残存するように計算して加えた。
(3)第2工程
次いで、混合液にヘキサメチルジシラザン0.5質量部を加えた。塩化合物溶液として5質量%炭酸アンモニウム水溶液を6質量部加え40℃で72時間放置した。表面処理の進行に伴い、疎水性になったシリカ粒子が水、及びイソパノール中で安定に存在できなくなり凝集・沈殿した。なお、N−フェニル−アミノプロピルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比は2:5だった。
(4)固形化工程
表面処理の工程(第1及び第2工程)で得られた混合物全量をろ紙(アドバンテック製
5A)でろ別した。濾過残渣(固形分)を純水で洗浄したのちに105℃で乾燥して、シリカ粒子固形分が得られた。得られたシリカ粒子固形分(シリカ粒子材料に相当、以下同じ)を本実施例の試験試料とした。
・実施例2
第2工程で塩化合物溶液を5質量%塩化アンモニウム水溶液に変更したこと以外は実施例1と同様の方法にて本実施例の試験試料を得た。
・実施例3
第2工程で塩化合物溶液を5質量%炭酸水素ナトリウム水溶液に変更したこと以外は実施例1と同様の方法にて本実施例の試験試料を得た。
・実施例4
第2工程で塩化合物溶液を5質量%炭酸カリウム水溶液に変更したこと以外は実施例1と同様の方法にて本実施例の試験試料を得た。
・実施例5
第2工程で塩化合物溶液に変えて、12N塩酸水溶液0.2質量部、28%アンモニア水溶液0.1質量部を加えて、反応系内で塩酸アンモニウム塩とした以外は実施例1と同様の方法にて本実施例の試験試料を得た。
・実施例6
(1)準備工程シリカ粒子として、コロイダルシリカ(スノーテックスOL:日産化学工業株式会社製、平均粒子径50nm、固形分濃度20%)を準備した。
(2)第1工程
シリカ粒子が20質量%の濃度で水に分散したスラリー100質量部にイソプロパノール40質量部、28質量%アンモニア水2質量部を加え混合した。この分散液にN−フェニル−アミノプロピルトリメトキシシラン0.5質量部を加え40℃で72時間混合した。
(3)第2工程
次いで、イオン交換水を180質量部、ヘキサメチルジシラザン0.8質量部を加えた。塩化合物水溶液として5質量%炭酸アンモニウム水溶液を6質量部加え40℃で72時間放置した。表面処理の進行に伴い、疎水性になったシリカ粒子が水、及びイソパノール中で安定に存在できなくなり凝集・沈殿した。なお、N−フェニル−アミノプロピルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比は2:5だった。
(4)固形化工程
表面処理の工程で得られた混合物全量をろ紙(アドバンテック製 5A)でろ別した。濾過残渣(固形分)を純水で洗浄したのちに105℃で乾燥して、得られたシリカ粒子固形分を本実施例の試験試料とした。
・実施例7
(1)準備工程シリカ粒子として、コロイダルシリカ(スノーテックスOS:日産化学工業株式会社製、平均粒子径10nm、固形分濃度20%)を準備した。
(2)第1工程
シリカ粒子が20質量%の濃度で水に分散したスラリー100質量部にイソプロパノール40質量部、28質量%アンモニア水2質量部を加え混合した。この分散液にN−フェニル−アミノプロピルトリメトキシシラン3質量部を加え40℃で72時間混合した。
(3)第2工程
次いで、イオン交換水を180質量部、ヘキサメチルジシラザン4質量部を加えた。塩化合物溶液として5質量%炭酸アンモニウム水溶液6質量部加え40℃で72時間放置した。表面処理の進行に伴い、疎水性になったシリカ粒子が水、及びイソパノール中で安定に存在できなくなり凝集・沈殿した。なお、N−フェニル−アミノプロピルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比は2:5だった。
(4)固形化工程
表面処理の工程で得られた混合物全量をろ紙(アドバンテック製 5A)でろ別した。濾過残渣(固形分)を純水で洗浄したのちに105℃で乾燥して、得られたシリカ粒子固形分を本実施例の試験試料とした。
・実施例8
第2工程で塩化合物溶液を5質量%トリエチルアミン塩酸水溶液5質量部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法にて本実施例の試験試料を得た。
・実施例9
第2工程で塩化合物溶液を5質量%ピリジン塩酸水溶液5質量部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法にて本実施例の試験試料を得た。
・実施例10
第2工程で塩化合物溶液を5質量%酢酸アンモニウム塩酸水溶液5質量部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法にて本実施例の試験試料を得た。
・比較例1
第2工程で塩化合物溶液を添加せず代わりに塩化合物ではない35%塩酸水溶液を5質量部加えた以外は実施例1と同様の方法にて処理を行った。第2工程で凝集沈殿が生じなかったため固形化工程でろ別出来ず、固形物は得られなかった。
・比較例2
第2工程でヘキサメチルジシラザンを添加しない以外は実施例1と同様の方法にて処理を行った。第2工程で凝集沈殿が生じなかったため固形化工程でろ別出来ず、固形物は得られなかった。
・比較例3
第1工程で各試薬を配合後、40℃で72時間混合(シランカップリング剤の反応を完了させなかった)せず、すぐに第2工程を実施した以外は同様の方法にて処理を行った。第2工程で凝集沈殿が生じなかったため固形化工程でろ別出来ず、固形物は得られなかった。
・比較例4
第2工程で塩化合物溶液を添加せず代わりにノニオン性高分子凝集剤SS−200(ハイモ株式会社製)の0.1%水溶液を5質量部加えた以外は実施例1と同様の方法にて処理を行った。得られたシリカ粒子固形分を本比較例の試験試料とした。
(凝集性評価試験)
実施例1−10、比較例4の試験試料について、液状媒体中における凝集性を評価した。
実施例1−10のシリカ粒子材料10gとメチルエチルケトンを15gとの混合物を撹拌し各シリカ材料分散液を得た。比較例4は同様の操作を行ったが、分散せず凝集沈殿したままだった。得られた各分散試料に含まれるシリカ粒子材料の粒度分布を、粒度分布測定装置(日機装株式会社製 マイクロトラック)により測定した。凝集性評価試験の結果を表1に、粒度分布を図1(実施例1)、図2(実施例6)、図3(実施例7)に示す。
Figure 0006976040
表1及び図1−3に示すように実施例の試験試料では凝集の無い一次粒子の状態で分散していることが分かった。図1〜3より明らかなように、それぞれ用いたコロイダルシリカの粒径に対応した粒径付近においてシャープな粒度分布を示し、一次粒子にまで分散されていることが分かった。
従って、塩化合物を添加することによりシリカ粒子材料が一次粒子にまで分離可能な状態で分離することができた。
(表面の官能基の評価)
実施例1、6及び7の試験試料についてFT−IRにて表面に存在する官能基を評価した。具体的には実施例1、6、7の試験試料(シリカ粒子材料)を準備し、この試料の赤外線吸収スペクトルをFT−IR(サーモニコレット社製、FT−IR Avator)を用いた粉体拡散反射法で測定した。測定条件は分解能4、スキャン回数64で行った。極大吸収測定試験の結果を表すグラフを図4(実施例1)、図5(実施例6)、図6(実施例7)に示す。何れも3058cm−1、3027cm−1に芳香環のC−H伸縮振動、3413cm−1にアミノ基のN−H伸縮振動にそれぞれ相当するピークが観測された。このため、実施例1、6及び7の試験試料は表面にフェニルアミノ基が導入されていることが分かった。
(試験2:ピール強度の評価)
・実施例A−1
(ワニス作成)
実施例の1と同様の方法で体積平均粒径が50nmの試験試料(以下、「試験試料A−1」と称する。表面にN−フェニル−アミノプロピル基を導入したもの)を得た。この試験試料150質量部をエチルメチルケトン(MEK)150質量部に湿式混合し、分散液300質量部を得た。この分散液300質量部にMEK150質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製:YDCN−704)100質量部、フェノールノボラック型樹脂(群栄化学工業株式会社製:PSM−4261)50質量部、イミダゾール系硬化促進剤(四国化成工業株式会社製:キュアゾール2E4MZ)0.1質量部を加え混合し本実施例の試験試料としてのワニス600質量部を得た。
(ピール強度測定用サンプル試作)
得られたワニスをガラスクロスに含浸させ、自然乾燥したのち、130℃の熱風循環オーブンで10分間、さらに150℃で3分加熱し半硬化させたプリプレグを得た。このプリプレグを8枚重ね合わせて、さらにそれらを銅箔二枚で挟み真空プレスを下記条件で実施した。
プレス装置(真空プレスIMC−1AEA型)を用い、成形圧力は約2MPa、成形温度は50℃から170℃に昇温速度5℃/分で昇温し、昇温後に170℃、20分保持した。
さらに、これを熱風循環オーブンで170℃、5時間ポストキュアした。得られた銅張積層版は10mm幅の銅箔を残してエッチング(塩化第二鉄溶液を使用)した。
(ピール強度測定)
この樹脂付銅箔を90°引きはがし強さを下記条件で、JIS K 6854−1に準拠したピール強度測定した結果、1.3kN/mだった。
測定装置として万能材料試験機5582型を用い、試験温度が23℃、試験速度が50mm/分、引きはがし幅が10mmで測定を行った。結果を表2に示す。
・比較例A−1
試験試料A−1の試験試料を添加しない以外は実施例A−1と同様にして本比較例の試験試料(ワニス)を調製し、ピール強度を測定した。
・比較例A−2
試験試料A−1に代えて表面にフェニル基を導入したシリカ(アドマテックス製:YA050C−SP3)を用いた以外は実施例A−1と同様にして本比較例の試験試料(ワニス)を調製し、ピール強度を測定した。
・比較例A−3
試験試料A−1に代えて表面にビニル基を導入したシリカ(アドマテックス製:YA050C−SV1)を用いた以外は実施例A−1と同様にして本比較例の試験試料(ワニス)を調製し、ピール強度を測定した。
・比較例A−4
試験試料A−1に代えて表面にメタクリル基を導入したシリカ(アドマテックス製:YA050C−SM1)を用いた以外は実施例A−1と同様にして本比較例の試験試料(ワニス)を調製し、ピール強度を測定した。
Figure 0006976040
表より明らかなように、N−フェニル−アミノプロピル基を表面に導入したシリカを用いた実施例の試験試料では比較例A−2〜A−4と比べてピール強度が高くなることが分かった。
最もピール強度が高いのはシリカを入れていない比較例A−1の試験試料であるがそのピール強度の値を基準として実施例の試験試料では0.81と高い値を示すことが分かった。シリカ表面のフェニルアミノ基がエポキシ樹脂のグリジシル基と反応することにより、シリカの樹脂への相溶性が向上していると考えられる。

Claims (9)

  1. 樹脂材料中に分散させて樹脂組成物を形成するフィラーとして用いるシリカ粒子材料であって、
    前記樹脂組成物は金属材料からなる部材に密着させて用い、
    式(1):−OSiXで表される官能基と、式(2):−OSiYで表される官能基とがシリカ粒子の表面に結合しており、乾燥状態を経ても一次粒子にまで分離しており、
    前記式(1)で表される官能基と前記式(2)で表される官能基との存在数比が1:12〜1:60であり、
    下記ピール強度試験に基づく、A÷Bが0.6以上である、
    前記樹脂材料中に分散させてフィラーとして用いるシリカ粒子材料。(上記式(1)、(2)中;XはN−フェニル−アミノアルキル基(アルキル基は炭素数が2〜5)であり;X、Xは−OSiR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択され;YはRであり;Y、YはR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択される。YはRであり;Y及びYは、R及び−OSiRからそれぞれ独立して選択され;Rは炭素数1〜3のアルキル基から独立して選択される。なお、X、X、Y、Y、Y、及びYの何れかは、隣接する官能基のX、X、Y、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合しても良い。)
    (ピール強度試験)
    前記金属材料からなる部材に接した状態で、
    前記樹脂材料中に分散した前記樹脂組成物を硬化させた硬化物と前記部材との間のピール強度をA、
    前記樹脂材料のみを硬化させた硬化物と前記部材との間のピール強度をBとする。
  2. 前記Xは前記シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたり0.5〜2.5個である請求項1に記載のシリカ粒子材料。
  3. 前記Rは前記シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたり0.5〜10個である請求項1又は2に記載のシリカ粒子材料。
  4. 平均粒子径が3〜200nmである請求項1〜3の何れか一つに記載のシリカ粒子材料。
  5. N−フェニル−アミノアルキル基(アルキル基は炭素数が2〜5)がケイ素原子に結合したシランカップリング剤と、オルガノシラザンとを水を含む液状媒体中でシリカ粒子の表面に、前記N−フェニル−アミノアルキル基が前記シリカ粒子の単位表面積(nm)あたり0.5〜2.5個になるように反応させる表面処理工程を持ち、
    該シランカップリング剤と該オルガノシラザンとのモル比は、該シランカップリング剤:該オルガノシラザン=1:2〜1:10であり、
    前記表面処理工程後に、塩化合物及び/又は前記塩化合物を生成する化合物を添加して行う塩析により前記シリカ粒子を沈殿させ、沈殿物を水で洗浄・乾燥して、シリカ粒子材料の固形物を得る固形化工程を備え、
    前記塩化合物は塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、酢酸アンモニウム、トリエチルアミン塩酸塩、及び炭酸水素ナトリウムからなる群より選択される1以上の物質であるシリカ粒子材料の製造方法。
  6. 前記表面処理工程は、
    前記シリカ粒子を前記シランカップリング剤で処理する第1の処理工程と、
    前記シリカ粒子を前記オルガノシラザンで処理する第2の処理工程と、を持ち、
    該第2の処理工程は、該第1の処理工程後に行う請求項5に記載のシリカ粒子材料の製造方法。
  7. 前記第2の処理工程において、3つのアルコキシ基と炭素数1〜3のアルキル基とを持つ第2のシランカップリング剤で前記オルガノシラザンの一部を置き換え、
    前記第2の処理工程後に、さらに前記シリカ粒子を前記オルガノシラザンで処理する第3の処理工程を持つ請求項6に記載のシリカ粒子材料の製造方法。
  8. 前記オルガノシラザンは、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザンから選ばれる少なくとも一種である請求項5〜7の何れか1項に記載のシリカ粒子材料の製造方法。
  9. 請求項1〜4のうちの何れか1項に記載のシリカ粒子材料と、
    前記シリカ粒子材料を分散する前記樹脂材料とを有する樹脂組成物。
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