JP5894742B2 - 表面コート用組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、撥水性、撥油性に優れた表面コート用組成物に関する。
従来より、種々の部材に対して、その表面に撥水性、撥油性を付与したいとの要求が存在する。その時に撥水性などを付与すると共に高い表面硬度や、表面の透明性などが求められる場合もある。
そこで、フッ素化合物を含むシリカ粒子を用い、それらを分散する樹脂と共に混合した組成物である表面コート用組成物を調製し、その組成物を対象となる部材の表面に塗布した後に樹脂を硬化させて製膜する方法を検討した。
ここで、表面コート用組成物中に含まれるシリカとしては非常に粒径が小さいものが求められることがある。例えば、高い透明性が求められる用途や、表面の滑らかさが求められる用途などである。
その場合に粒径が小さなシリカ粒子としてはコロイダルシリカが例示できる。コロイダルシリカは、水ガラスを原料として製造する方法、金属ケイ素粉末を原料として製造する方法、気相合成法等により製造される。水ガラスを原料として製造する方法は、水ガラスを中和したり、イオン交換することで水ガラスを沈殿させることによって微小な粒子を生成する(例えば特許文献1参照)。
このようなシリカ粒子の粒径は、例えばコロイダルシリカでは数nm〜数百nm程度と非常に小さく、このように粒径の小さなシリカ粒子の比表面積は非常に大きい。このため粒径の小さなシリカ粒子は凝集し易い特性を持つ。一旦凝集したシリカ粒子は再分散し難い。このため、粒径の小さなシリカ粒子は取り扱い性に劣る問題がある。
すなわち、シリカ粒子は、液状媒体中における分散性には比較的優れても、乾粉状態になると(すなわち、シリカ粒子が単体で存在する場合には)凝集する。凝集したシリカ粒子は、例えば、高性能の分散機等を用いたとしても解砕し難い。
従って、シリカ粒子を樹脂用のフィラーとして用いる場合、シリカ粒子は乾燥した状態で凝集するために、そのまま樹脂中に混合することは困難である。そのため、シリカ粒子は液状媒体中に分散された状態で液状媒体と共に樹脂材料中に配合することになる。この場合、液状媒体と樹脂材料との相互作用から適用できる組み合わせに制限が生じたり、本来混合が望まれていない液状媒体が樹脂材料中に導入される問題がある。このため、乾燥状態でも取り扱い性に優れるシリカ粒子が望まれている事情がある。
特開2006−45039号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、撥水性及び撥油性共に優れたコート層が形成できる表面コート用組成物及びその製造方法を提供することを解決すべき課題とする。また、粒径の小さなシリカ粒子を混合した、撥水性及び撥油性共に優れたコート層が形成できる表面コート用組成物及びその製造方法を提供することも追加的に解決すべき課題とする。
上記課題を解決する目的で本発明者らが鋭意検討を行った結果、以下の知見を得た。撥水性・撥油性を充分に発揮するためにはフッ素の含有量を向上することが必要である。フッ素はフッ素化合物として添加される。フッ素化合物はシリカ粒子の表面に結合してシリカ粒子の表面にフッ素を導入する。
フッ素の添加量は、フッ素化合物の添加量と、1分子のフッ素化合物に含まれるフッ素原子の量とにより決定される。ここで1分子に含まれるフッ素の量は、撥水性・撥油性の観点から導出される適正値以上にすることにより充分な撥水性・撥油性を発揮でき、溶解性の観点から適正値以下にすることにより充分な溶解性が発揮される。
そして、シリカと反応させるためにはOH基の含有量についても適正な範囲があることが分かった。適正な範囲は前述のフッ素の含有量との関連が認められた。
具体的には適正なフッ素化合物として1100−1300cm−1の範囲内にC−F伸縮振動に基づく吸収ピーク(第1ピーク)があり、3200−3600cm−1の範囲内のOH伸縮振動に基づく吸収ピーク(第2ピーク)があり、前記第1ピークのピーク面積を100としたときの前記第2ピークのピーク面積が10−30の範囲にあり、シリカと相互作用可能なOH基をもつ化合物を採用することにより、撥水性及び撥油性に優れた表面コート用組成物が得られることが判明した。これらの知見に基づき以下の発明を完成した。
すなわち、上記課題を解決する本発明の表面コート用組成物は、1100−1300cm−1の範囲内にある吸収ピーク(第1ピーク)があり、3200−3600cm−1の範囲内にある吸収ピーク(第2ピーク)があり、前記第1ピークのピーク面積を100としたときの前記第2ピークのピーク面積が10−30の範囲にあり、シリカと相互作用可能なOH基をもつフッ素化合物と、
シリカ粒子材料と、
前記フッ素化合物及び前記シリカ粒子を分散し、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、それらの前駆体からなる群から選択される1種又は2種以上の材料であるマトリクス材料とを有し、
前記フッ素化合物は含有する固形分全体の質量を基準として0.001%〜10%であることを特徴とする。
ここで、第1ピーク、第2ピークはそれぞれC−F伸縮振動に由来するもの、OH伸縮振動に由来するものには限定しないことにした。この範囲にあるピークの面積が所定の範囲にあれば高い効果があることが後述する実施例(特に実施例D)により明らかになったからである。
本発明の表面コート用組成物は、下記の(i)〜(v)の何れかを備えることが好ましく、(i)〜(v)の複数を備えることがより好ましい。(i)前記シリカ粒子材料の体積平均粒径が5nm〜200nmである。(ii)前記フッ素化合物は含有する固形分全体の質量を基準として0.001%〜5%である。
(iii)前記シリカ粒子材料は含有する固形分全体の質量を基準として5%〜60%である。(iv)前記マトリクス材料はアクリル樹脂又はアクリル樹脂前駆体である。(v)前記シリカ粒子材料は、式(1):−OSiXで表される官能基及び式(2):−OSiYで表される官能基と、両官能基が表面に結合するシリカ粒子とからなる。(上記式(1)、(2)中;Xはフェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基であり;X、Xは−OSiR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択され;YはRであり;Y、YはR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択される。YはRであり;Y及びYは、R及び−OSiRからそれぞれ独立して選択され;Rは炭素数1〜3のアルキル基から独立して選択される。なお、X、X、Y、Y、Y、及びYの何れかは、近接する官能基のX、X、Y、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合しても良い。)
上記(v)の構成を採用すると非常に小さな粒径をもつシリカ粒子を均一に含有させることができる。この(v)の構成を採用する場合には下記の(vi)〜(viii)の何れかを備えることが好ましく、(vi)〜(viii)の複数を備えることがより好ましい。(vi)前記式(1)で表される官能基と前記式(2)で表される官能基との存在数比が1:12〜1:60である。(vii)前記Xは前記シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたり0.5〜2.5個である。(viii)前記Rは前記シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたり1〜10個である。
上記(i)〜(viii)の構成を採用する場合には下記の(ix)の構成を採用することができる。(ix)前記シリカ材料は、水を含む液状媒体中でシランカップリング剤及びオルガノシラザンによってシリカ粒子を表面処理する表面処理工程をもつ表面処理方法により処理され、
前記シランカップリング剤は、3つのアルコキシ基と、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基と、を持ち、
前記シランカップリング剤と前記オルガノシラザンとのモル比は、前記シランカップリング剤:前記オルガノシラザン=1:2〜1:10である。
上記(ix)の構成を採用すると非常に小さな粒径をもつシリカ粒子を均一に含有させることができる。この(ix)の構成を採用する場合には下記の(x)〜(xiv)の何れかを備えることが好ましく、(x)〜(xiv)の複数を備えることがより好ましい。(x)前記表面処理工程は、
前記シリカ粒子を前記シランカップリング剤で処理する第1の処理工程と、
前記シリカ粒子を前記オルガノシラザンで処理する第2の処理工程と、を持ち、
前記第2の処理工程は、前記第1の処理工程後に行う。(xi)前記第2の処理工程において、3つのアルコキシ基と炭素数1〜3のアルキル基とを持つ第2のシランカップリング剤で前記オルガノシラザンの一部を置き換え、
前記第2の処理工程後に、さらに前記シリカ粒子を前記オルガノシラザンで処理する第3の処理工程を持つ。(xii)前記表面処理工程後に、前記シリカ粒子材料を鉱酸で沈殿させ、沈殿物を水で洗浄・乾燥して、シリカ粒子材料の固形物を得る固形化工程を備える。(xiii)前記シランカップリング剤は、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、エポキシトリメトキシシラン、メタクリルトリメトキシシラン、アミノトリメトキシシラン、ウレイドトリメトキシシラン、メルカプトトリメトキシシラン、イソシアネート、又はアクリルトリメトキシシランから選ばれる少なくとも一種である。(xiv)前記オルガノシラザンは、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザンから選ばれる少なくとも一種である。
実施例1のシリカ粒子材料の粒度分布を表すグラフである。 実施例2のシリカ粒子材料の粒度分布を表すグラフである。 実施例3のシリカ粒子材料の粒度分布を表すグラフである。 実施例4のシリカ粒子材料の粒度分布を表すグラフである。 実施例1〜3及び比較例1のシリカ粒子材料の赤外吸収スペクトルを表すグラフである。 実施例4及び比較例2、3のシリカ粒子材料の赤外吸収スペクトルを表すグラフである。 実施例6のフィラー含有樹脂組成物及び比較例4のフィラー含有樹脂組成物の粘度を表すグラフである。 実施例A、比較例C,D,Eで用いたフッ素化合物について測定したIRスペクトルを示す図である。
本発明の表面コート用組成物について実施形態に基づき以下詳細に説明を行う。本実施形態の表面コート用組成物は表面をコートしたい対象物に塗布した後に固化させることでその対象物の表面をコートする組成物である。例えば、表面の硬度を上げることを目的とした表面コートや、レンズなどの光学分野での表面コート、マイクロレンズアレイ形成用基板のプリントインクなどとして用いることができる。
本実施形態の表面コート用組成物はフッ素化合物とシリカ粒子材料とマトリクス材料とを有する。フッ素化合物は相互作用することでシリカ粒子材料の表面に付着する。マトリクス材料は熱や光などにより固化する材料から構成されており本実施形態の表面コート用組成物を固化させるものである。
・フッ素化合物
フッ素化合物は、1100−1300cm−1の範囲内にある吸収ピーク(第1ピーク:特にC−F伸縮振動に基づくと思われる)があり、3200−3600cm−1の範囲内にある吸収ピーク(第2ピーク:OH伸縮振動に基づくと思われる)がある。フッ素化合物は全体としてフッ素原子を少なくとも含む。
第1ピークのピーク面積は疎水性の大きさに関係するものと考えられる。そして、第2ピークのピーク面積はシリカとの反応性に関係する基(OH基など。例えばシラノールのOH基(SiOH)やその他の基(C−OH、COOH、POOH、SOOH、AlOH)など)の量に関係するものと考えられる。従って、両者のピーク面積の比を規定することにより、疎水性と、シリカに対する反応性との比が規定できる。
シリカに対する反応性(OH基など、シリカと反応や相互作用するもの)と疎水性(フッ素、アルキル基など)との比率が適正な場合に効果的な撥水撥油性が得られる。第1ピークが適正な下限値以上に存在すると充分な撥水性・撥油性を発揮でき、適正な上限値以下にすることで充分に溶解させたり、シリカと反応させたり、マトリクス材料に分散させたりすることができる
フッ素化合物は適正な溶媒に溶解した状態又はそのままの状態でシリカ粒子材料の表面に接触させることにより、シリカ粒子材料との間で相互作用を生じさせる。
第1ピークと第2ピークとのピーク面積の比としては、第1ピークのピーク面積を100としたときに、第2ピークのピーク面積が10−30の範囲(好ましくは10−20の範囲とする)にあるように設定する。このピーク面積の比を調製するにはフッ素化合物がもつフッ素原子、アルキル基などの量とOH基などの量とを増減させることにより行うことができる。また、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)などを加えることにより疎水性基に由来する第1ピークの面積を大きくすることができる。
フッ素化合物は単一の化合物を採用しても良いし、複数種類の化合物の混合物であっても良い。ここで、単一の化合物であるとか複数種類の化合物の混合物であるとかは、前述のピーク面積の比を基準としたものである。すなわち、このピーク面積の比の大きさにより得られる表面コート用組成物の性状が決定されることになる。ここで、単一の化合物から形成して全てのフッ素化合物におけるピーク面積の比が揃っていることが望ましい。つまり、フッ素化合物の1つの分子中にはフッ素原子とOH基との双方をもつことが望ましい。なお、少なくともフッ素化合物としては1つの分子中にフッ素原子とOH基との双方をもつものとOH基をもつもの(フッ素原子はもたないもの)との混合物であることが望ましい。
フッ素化合物の化学構造は前述のピーク面積の比を満たすものであれば充分であるが、その化学構造としてはパーフルオロアルキル基と、−(OSiHOH)−とが結合した骨格をもつ化合物が挙げられる。例えばCF(OSiH(OH))などである。ここでRはアルキル基、二重結合、アクリル基などの重合性基をもつ炭化水素基などが挙げられる。
フッ素化合物の含有量は本実施形態の表面コート用組成物が含有する固形分全体の質量を基準として0.001%〜10%であり、0.001%〜5%であることが望ましい。この範囲内にすることで充分な撥水性及び撥油性を発揮することができ、大量に添加することによる弊害は生じない。
・シリカ粒子材料
シリカ粒子材料はシリカから形成される粒子である。本実施形態のシリカ粒子材料はその表面に前述のフッ素化合物がもつOH基と相互作用(化学反応、物理的吸着など)が可能な状態になっている。
シリカ粒子材料の含有量は表面コート用組成物に求められる性状に応じて適正に選択できる。例えば本実施形態の表面コート用組成物が含有する固形分全体の質量を基準として5%〜60%であることが望ましく、10%〜40%にすることがより望ましい。
シリカ粒子材料の粒径分布は特に限定されない。本実施形態の表面コート用組成物の適用対象により適正に選択される。例えば一定以上の粒径以上の粗粒を除去したりできる。光学的な透明性が必要な場合には透明性が必要な電磁波の波長と比べて小さな粒径をもつように適正に選択する。例えばシリカ粒子材料の体積平均粒径が5nm〜200nmであることが好ましい。
シリカ粒子材料は真球度が高いことが望ましい。真球度を高くすると、表面コート用組成物中に多くのシリカ粒子材料を添加することができる。また、真球度が高いことにより、得られた表面コート用組成物の粘度を低下(流動性の向上)することもできる。真球度としては0.8以上、0.9以上などの値が採用できる。真球度の測定は、SEMで写真を撮り、その観察される粒子の面積と周囲長から、(真球度)={4π×(面積)÷(周囲長)}で算出される値として算出する。1に近づくほど真球に近い。具体的には画像処理装置(シスメックス株式会社:FPIA−3000)を用い、無作為に抽出した100個の粒子について測定した平均値を採用する。
シリカ粒子材料はその表面に対して何らかの表面処理を行うことができる。例えば後述するマトリクス材料との親和性を向上する目的や、シリカ粒子材料自身の性状(分散性、流動性など)を向上するためである。
シリカ粒子材料の表面に施される表面処理としては下記の表面処理を好ましいものとして例示する。これらの表面処理を行うことによりシリカ粒子材料の分散性が向上し、シリカ粒子材料を構成する1つ1つの一次粒子がバラバラに存在することが可能になって、フッ素化合物との相互作用をより均一に生起させることが可能になる。
・表面処理されたシリカ粒子材料(その1)
シリカ粒子材料は、式(1):−OSiXで表される官能基と、式(2):−OSiYで表される官能基とが表面に結合したシリカ粒子材料であることが望ましい。以下、式(1)で表される官能基を第1の官能基と呼び、式(2)で表される官能基を第2の官能基と呼ぶ。
第1の官能基におけるXは、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基である。X、Xは、それぞれ、−OSiR又は−OSiYである。YはRである。Y、Yは、それぞれ、R又は−OSiRである。
第2の官能基におけるYはRである。Y、Yは、それぞれ、−OSiR又は−OSiYである。
第1の官能基及び第2の官能基に含まれる−OSiRが多い程、シリカ粒子材料の表面にRを多く持つ。第1の官能基及び第2の官能基に含まれるR(炭素数1〜3のアルキル基)が多い程、シリカ粒子材料は凝集し難い。
第1の官能基に関していえば、X、Xがそれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最小となる。また、X及びXがそれぞれ−OSiYであり、かつ、Y、Yがそれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最大となる。
第2の官能基に関していえば、Y、Yがそれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最小となる。また、Y及びYがそれぞれ−OSiYであり、かつ、Y、Yがぞれぞれ−OSiRである場合に、Rの数が最大となる。
第1の官能基に含まれるXの数、第1の官能基に含まれるRの数、第2の官能基に含まれるRの数は、RとXとの存在数比や、シリカ粒子材料の粒径や用途に応じて適宜設定すれば良い。
なお、X、X、Y、Y、Y、及びYの何れかは、隣接する官能基のX、X、Y、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合しても良い。例えば、第1の官能基のX、X、Y、及びYの何れかが、この第1の官能基に隣接する第1の官能基のX、X、Y、及びYの何れかと−O−にて結合していても良い。同様に、第2の官能基のY、Y、Y、及びYの何れかが、この第2の官能基に隣接する第2の官能基のY、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合していても良い。さらには、第1の官能基のX、X、Y、及びYの何れかが、この第1の官能基に隣接する第2の官能基のY、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合していても良い。
第1の官能基と第2の官能基との存在数比が1:12〜1:60であれば、シリカ粒子材料の表面にXとRとがバランス良く存在する。このため、第1の官能基と第2の官能基との存在数比が1:12〜1:60であるシリカ粒子材料は、樹脂に対する親和性及び凝集抑制効果に特に優れる。また、Xがシリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたり0.5〜2.5個であれば、シリカ粒子材料の表面に充分な数の第1の官能基が結合し、第1の官能基及び第2の官能基に由来するRもまた充分な数存在する。従ってこの場合にも、樹脂に対する親和性及びシリカ粒子材料の凝集抑制効果が充分に発揮される。
何れの場合にも、シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたりのRは、1個〜10個であるのが好ましい。この場合には、シリカ粒子材料の表面に存在するXの数とRの数とのバランスが良くなり、樹脂に対する親和性及びシリカ粒子材料の凝集抑制効果との両方がバランス良く発揮される。
シリカ粒子の表面に存在していた水酸基の全部が第1の官能基又は第2の官能基で置換されていることが好ましい。第1の官能基と第2の官能基との和が、シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたり2.0個以上であれば、シリカ粒子材料において、シリカ粒子の表面に存在していた水酸基のほぼ全部が第1の官能基又は第2の官能基で置換されているといえる。
シリカ粒子材料は、表面にRを持つ。これは、赤外線吸収スペクトルによって確認できる。詳しくは、シリカ粒子材料の赤外線吸収スペクトルを固体拡散反射法で測定すると、2962±2cm−1にC−H伸縮振動の極大吸収がある。このため、本実施形態の無機粉体混合物がもつシリカ粒子材料であるか否かは、赤外線吸収スペクトルによって確認できる。
また、上述したように本発明の無機粉体混合物がもつシリカ粒子材料は凝集し難い。従って、シリカ粒子材料としては粒径の小さなものに採用できる。例えば、シリカ粒子材料は、平均粒径3nm〜5000nm程度にできる。平均粒径3〜200nmのシリカ粒子材料に適用するのが好ましい。
なお、シリカ粒子材料は、例え僅かに凝集した場合にも、超音波処理することによって再度分散可能である。詳しくは、シリカ粒子材料をメチルエチルケトンに分散させたものに、発振周波数39kHz、出力500Wの超音波を照射することで、シリカ粒子材料を実質的に一次粒子にまで分散できる。このときの超音波照射時間は10分間以下で良い。シリカ粒子材料が一次粒子にまで分散したか否かは、粒度分布を測定することで確認できる。詳しくは、このシリカ粒子材料のメチルエチルケトン分散材料をマイクロトラック装置等の粒度分布測定装置で測定し、シリカ粒子材料の粒度分布があれば、シリカ粒子材料が一次粒子にまで分散したといえる。
このシリカ粒子材料は、凝集し難いため、水やアルコール等の液状媒体に分散されていないシリカ粒子材料として提供できる。また、シリカ粒子材料は凝集し難いために、水で容易に洗浄できる。
・表面処理されたシリカ粒子材料(その2)
その1に示すシリカ粒子材料に代えて、以下に示す表面処理を行ったシリカ粒子材料を採用することもできる。なお、以下の方法によりシリカ粒子材料(その1)を得ることもできるため、その1とその2とは排他的なものではない。
シリカ粒子材料の表面処理方法は、水を含む液状媒体中で、シランカップリング剤及びオルガノシラザンによってシリカ粒子を表面処理する工程(表面処理工程)を持つ。シランカップリング剤は、3つのアルコキシ基と、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基(すなわち上記のX)とを持つ。
シランカップリング剤で表面処理することで、シリカ粒子の表面に存在する水酸基がシランカップリング剤に由来する官能基で置換される。シランカップリング剤に由来する官能基は式(3);−OSiXで表される。式(3)で表される官能基を第3の官能基と呼ぶ。第3の官能基におけるXは式(1)で表される官能基におけるXと同じである。X、Xは、それぞれ、アルキコキシ基である。オルガノシラザンで表面処理することで、第3の官能基のX、Xがオルガノシラザンに由来する−OSiY(式(2)で表される官能基、第2の官能基)で置換される。シリカ粒子の表面に存在する水酸基の全てが第3の官能基で置換されていない場合には、シリカ粒子の表面に残存する水酸基が第2の官能基で置換される。このため、表面処理されたシリカ粒子材料の表面には、式(1):−OSiXで表される官能基(すなわち第1の官能基)と、式(2):−OSiYで表される官能基と(すなわち第2の官能基)が結合する。なお、シランカップリング剤とオルガノシラザンとのモル比は、シランカップリング剤:オルガノシラザン=1:2〜1:10であるため、得られたシリカ粒子材料における第1の官能基と第2の官能基との存在数比は理論上1:12〜1:60となる。
表面処理工程においては、シリカ粒子をシランカップリング剤及びオルガノシラザンで同時に表面処理しても良い。又は、先ずシリカ粒子をシランカップリング剤で表面処理し、次いでオルガノシラザンで表面処理しても良い。又は、先ずシリカ粒子をオルガノシラザンで表面処理し、次いでシランカップリング剤で表面処理し、さらにその後にオルガノシラザンで表面処理しても良い。何れの場合にも、シリカ粒子の表面に存在する水酸基全てが第2の官能基で置換されないように、オルガノシラザンの量を調整すれば良い。なお、シリカ粒子の表面に存在する水酸基は、全てが第3の官能基で置換されても良いし、一部のみが第3の官能基で置換され、他の部分が第2の官能基で置換されても良い。第3の官能基に含まれるX、Xは、全て第2の官能基で置換されるのが良い。
なお、オルガノシラザンの一部を、第2のシランカップリング剤で置き換えても良い。第2のシランカップリング剤としては、3つのアルコキシ基と、1つのアルキル基とを持つものを用いることができる。この場合には、第3の官能基に含まれるX、Xが、第2のシランカップリング剤に由来する第4の官能基で置換される。第4の官能基は式(4);−OSiYで表される。Yは第2の官能基におけるYと同じRであり、X、Xはそれぞれアルコキシ基又は水酸基である。第4の官能基に含まれるX、Xは、オルガノシラザンに由来する第2の官能基で置換されるか、又は、別の第4の官能基で置換される。この場合には、シリカ粒子材料の表面に存在するRの量をさらに多くする事ができる。なお、オルガノシラザンの一部を、第2のシランカップリング剤に置き換える場合、第2のシランカップリング剤で表面処理した後に、再度オルガノシラザンで表面処理する必要がある。第4の官能基に含まれるX、Xを、最終的にはオルガノシラザンに由来する第2の官能基で置換するためである。
オルガノシラザンの一部を第2のシランカップリング剤で置き換える場合、上述した第1の官能基に含まれるX、Xは、オルガノシラザンに由来する第2の官能基で置換されるか、第2のシランカップリング剤に由来する第4の官能基で置換される。X、Xが第4の官能基で置換された場合、第4の官能基に含まれるX、Xは、第2の官能基で置換されるか、別の第4の官能基によって置換される。第4の官能基に含まれるX、Xが別の第4の官能基によって置換された場合、第4の官能基に含まれるX、Xは、第2の官能基で置換される。このため第2のシランカップリング剤は、第1のカップリング剤及びオルガノシラザンのみで表面処理する場合(オルガノシラザンを第2のシランカップリング剤で置き換えなかった場合)に設定されるオルガノシラザンの量(a)molに対して、最大限5a/3mol置き換えることができる。この場合に必要になるオルガノシラザンの量は、8a/3molである。
シランカップリング剤及び第2のシランカップリング剤のアルコキシ基は特に限定しないが、比較的炭素数の小さなものが好ましく、炭素数1〜12であることが好ましい。アルコキシ基の加水分解性を考慮すると、アルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基の何れかであることがより好ましい。
シランカップリング剤として、具体的には、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
オルガノシラザンとしては、シリカ粒子の表面に存在する水酸基及びシランカップリング剤に由来するアルコキシ基を、上述した第2の官能基で置換できるものであれば良いが、分子量の小さなものを用いるのが好ましい。具体的には、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザン等が挙げられる。
第2のシランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
なお、表面処理工程において、シランカップリング剤の重合や第2のシランカップリング剤の重合を抑制するため、重合禁止剤を加えても良い。重合禁止剤としては、3,5−ジブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、p−メトキシフェノール(メトキノン)等の一般的なものを用いることができる。
シリカ粒子材料を得るための表面処理について説明する。本表面処理方法は、表面処理工程後に固形化工程を備えても良い。固形化工程は、表面処理後のシリカ粒子材料を鉱酸で沈殿させ、沈殿物を水で洗浄・乾燥して、シリカ粒子材料の固形物を得る工程である。上述したように、一般的なシリカ粒子材料は非常に凝集し易いため、一旦固形化したシリカ粒子材料を再度分散するのは非常に困難である。しかし、シリカ粒子材料は凝集し難いため、固形化しても凝集し難く、また、例え凝集しても再分散し易い。なお、上述したように、シリカ粒子材料を水で洗浄することで、電子部品等の用途に用いられるシリカ粒子材料を容易に製造できる。なお、洗浄工程においては、シリカ粒子材料の抽出水(詳しくは、シリカ粒子材料を121℃で24時間浸漬した水)の電気伝導度が50μS/cm以下となるまで、洗浄を繰り返すのが好ましい。
固形化工程で用いる鉱酸としては塩酸、硝酸、硫酸、リン酸などが例示でき、特に塩酸が望ましい。鉱酸はそのまま用いても良いが、鉱酸水溶液として用いるのが好ましい。鉱酸水溶液における鉱酸の濃度は0.1質量%以上が望ましく、0.5質量%以上が更に望ましい。鉱酸水溶液の量は、洗浄対象であるシリカ粒子材料の質量を基準として6〜12倍程度にすることができる。
鉱酸水溶液による洗浄は複数回数行うことも可能である。鉱酸水溶液による洗浄はシリカ粒子材料を鉱酸水溶液に浸漬後、撹拌することが望ましい。また、浸漬した状態で1時間から24時間、更には72時間程度放置することができる。放置する際には撹拌を継続することもできるし、撹拌しないこともできる。鉱酸含有液中にて洗浄する際には常温以上に加熱することもできる。
その後、洗浄して懸濁させたシリカ粒子材料をろ取した後、水にて洗浄する。使用する水はアルカリ金属などのイオンを含まない(例えば質量基準で1ppm以下)ことが望ましい。例えば、イオン交換水、蒸留水、純水などである。水による洗浄は鉱酸水溶液による洗浄と同じく、シリカ粒子材料を分散、懸濁させた後、ろ過することもできるし、ろ取したシリカ粒子材料に対して水を継続的に通過させることによっても可能である。水による洗浄の終了時期は、上述した抽出水の電気伝導度で判断しても良いし、シリカ粒子材料を洗浄した後の排水中のアルカリ金属濃度が1ppm以下になった時点としても良いし、抽出水のアルカリ金属濃度が5ppm以下になった時点としても良い。なお、水で洗浄する際には常温以上に加熱することもできる。
シリカ粒子材料の乾燥は、常法により行うことができる。例えば、加熱や、減圧(真空)下に放置する等である。
・マトリクス材料
マトリクス材料は熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などのように硬化可能な樹脂組成物から形成可能である。本実施形態の表面コート用組成物を表面コートの対象に塗布する際にはそのマトリクス材料は流動可能な状態になっている。例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂としては、硬化前の流動性をもつ前駆体を採用したり、熱可塑性樹脂などは加熱して溶融状態になるものを採用したりできる。マトリクス材料は高分子又は低分子の材料であり、更に反応が進行することにより分子量が増大したり、架橋が進行したりして樹脂材料を形成できる材料も採用できる。
樹脂材料前駆体は、エポキシ基、オキセタン基、水酸基、ブロックされたイソシアネート基、アミノ基、ハーフエステル基、アミック基、カルボキシ基、及び炭素-炭素二重結合基を化学構造中に有することが望ましい。これらの官能基は好適な反応条件を設定することで互いに結合可能な官能基(重合性官能基)であり、混合材料の分子量を向上できる。好適な反応条件としては単純に加熱や光照射を行ったり、熱や光照射によりラジカルやイオン(アニオン、カチオン)などの反応性種を生成したり、それらの官能基間を結合する反応開始剤(重合開始剤)を添加して加熱や光照射を行うことなどである。重合反応に際して必要な化合物を硬化剤として添加したり、その反応に対する触媒を添加することもできる。
樹脂材料前駆体としては重合により高分子材料を形成する単量体や、上述したような重合性官能基により修飾した高分子材料が好ましいものとして挙げられる。例えば、硬化前(前駆体を含む)の、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などのプレポリマーが好適である。
樹脂材料前駆体に対してその他の構成要素を混合する場合にはそのまま混合することもできる。樹脂材料として熱可塑性樹脂を採用する場合に、その他の構成要素をその樹脂材料に混合するときには熱可塑性樹脂を加熱により溶融させた後に混合することができる。
以下、本発明の表面コート用組成物について実施例に基づき詳細に説明する。
(本発明の表面コート用組成物が含有するシリカ粒子材料について)
(実施例1)
(材料)
シリカ粒子として、コロイダルシリカの一種であるスノーテックスOS(日産化学工業株式会社製、平均粒径10nm、水中に分散されており固形分濃度20%)を準備した。
アルコールとして、イソプロパノールを準備した。
シランカップリング剤として、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−103)を準備した。
オルガノシラザンとして、ヘキサメチルジシラザン(HMDS、信越化学工業株式会社製、HDMS−1)を準備した。
(表面処理工程)
(1)準備工程
シリカ粒子が20質量%の濃度で水に分散したスラリー100質量部にイソプロパノール60質量部を加え、室温(約25℃)で混合することで、シリカ粒子が液状媒体に分散されてなる分散液を得た。
(2)第1工程
この分散液にフェニルトリメトキシシラン1.8質量部を加え、40℃で72時間混合した。この工程により、シリカ粒子の表面に存在する水酸基をシランカップリング剤で表面処理した。なお、このときフェニルトリメトキシシランは、必要な量の水酸基(一部)が表面処理されず残存するように計算して加えた。
(3)第2工程
次いで、この混合物に、ヘキサメチルジシラザン3.7質量部を加え、40℃で72時間放置した。この工程によって、シリカ粒子が表面処理され、シリカ粒子材料が得られた。表面処理の進行に伴い、疎水性になったシリカ粒子が水及びイソプロパノールの中で安定に存在できなくなり、凝集・沈殿した。なお、フェニルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比は2:5であった。
(固形化工程)
表面処理工程で得られた混合物全量に35%塩酸水溶液を5質量部を加え、シリカ粒子材料を沈殿させた。沈殿物をろ紙(アドバンテック社製 5A)で濾過した。濾過残渣(固形分)を純水で洗浄した後に100℃で真空乾燥して、シリカ粒子材料の固形物を得た。
(実施例2)
実施例2のシリカ粒子の表面処理方法は、フェニルトリメトキシシランにかえてビニルトリメトキシシランを用い、ビニルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比が2:5であったこと以外は、実施例1のシリカ粒子の表面処理方法と同じである。第1工程においては、ビニルトリメトキシシラン1.36質量部を加え、第2工程においてはヘキサメチルジシラザン3.7質量部を加えた。
なおビニルトリメトキシシランとしては、信越化学工業株式会社製 KBM−1003を用いた。
(実施例3)
実施例3のシリカ粒子の表面処理方法は、フェニルトリメトキシシランにかえてビニルトリメトキシシランを用い、ビニルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比が1:5であったこと以外は、実施例1のシリカ粒子の表面処理方法と同じである。第1工程においては、ビニルトリメトキシシラン1.36質量部を加え、第2工程においてはヘキサメチルジシラザン7.41質量部を加えた。
(実施例4)
実施例4のシリカ粒子の表面処理方法においては、シリカ粒子として、コロイダルシリカの一種であるスノーテックスOL(日産化学工業株式会社製、平均粒径50nm、水中に分散されており固形分濃度20%)を用いた。また、第1工程においてシランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、KBM−503)0.48質量部を加えた。さらに、このシランカップリング剤に加えて重合禁止剤(3,5−ジブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、関東化学株式会社製)を0.01質量部加えた。また、第2工程において、ヘキサメチルジシラザン0.78質量部を加えた。さらに、固形化工程においては、表面処理工程で得られた混合物全量に35%塩酸水溶液2.6質量部を加えてシリカ粒子材料を沈殿させた。これ以外は、実施例4のシリカ粒子の表面処理方法は、実施例1のシリカ粒子の表面処理方法と同じであった。なお、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比は2:5であった。
(比較例1)
比較例1のシリカ粒子の表面処理方法は、フェニルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比が1:1であったこと以外は、実施例1のシリカ粒子の表面処理方法と同じである。第1工程においては、フェニルトリメトキシシラン4.5質量部を加え、第2工程においてはヘキサメチルジシラザン3.7質量部を加えた。
(比較例2)
比較例2のシリカ粒子の表面処理方法は、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比が2:1であったこと以外は、実施例4のシリカ粒子の表面処理方法と同じである。第1工程においては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.48質量部を加え、第2工程においてはヘキサメチルジシラザン0.16質量部を加えた。
(比較例3)
比較例3のシリカ粒子の表面処理方法は、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランとヘキサメチルジシラザンとのモル比が1:1であったこと以外は、実施例4のシリカ粒子の表面処理方法と同じである。第1工程においては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.48質量部を加え、第2工程においてはヘキサメチルジシラザン0.31質量部を加えた。
(凝集性評価試験)
実施例1〜4及び比較例1〜3のシリカ粒子材料について、液状媒体中における凝集性を測定した。
詳しくは、実施例1〜3及び比較例1については、シリカ粒子材料10gとメチルエチルケトン40gとの混合物を攪拌し、シリカ粒子材料の分散試料を得た。
実施例4及び比較例2、3については、シリカ粒子材料10gとメチルエチルケトン10gとの混合物を攪拌し、シリカ粒子材料の分散試料を得た。得られた各分散試料に含まれるシリカ粒子材料の粒度分布を、粒祖分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラック)により測定した。凝集性評価試験の結果を図1〜4に示す。なお、図1は実施例1のシリカ粒子材料の粒度分布を表す。図2は実施例2のシリカ粒子材料の粒度分布を表す。図3は実施例3のシリカ粒子材料の粒度分布を表す。図4は実施例4のシリカ粒子材料の粒度分布を表す。
図1〜4に示すように、実施例1〜4のシリカ粒子材料は、凝集のない一次粒子の状態で分散している。これは、図1〜4のグラフにおいて、各シリカ粒子材料の粒度分布(ピーク)が、粒子径10nm程度の位置に一つのみ現れていることから裏付けられる。シリカ粒子材料が二次粒子であれば(すなわち、少しでも凝集があれば)、粒子径100nm以上の位置に少なくとも一つのピークが現れる。このため、実施例1〜4のシリカ粒子材料は、一旦固形化したにもかかわらず、その殆どが一次粒子であり、殆ど凝集していないことがわかる。これに対して、比較例1〜3のシリカ粒子材料は、攪拌するだけでは分散せず、攪拌後に発振周波数39kHz、出力500Wで1時間以上超音波照射しても、肉眼で凝集が確認でき、一次粒子にまで分散しなかった。この結果から、シランカップリング剤とオルガノシラザンとのモル比を1:2〜1:10の範囲にすることで、固形化しても凝集し難いシリカ粒子材料を製造できることがわかる。なお、実施例1のシリカ粒子材料の平均粒径は10nm、実施例2のシリカ粒子材料の平均粒径は10nm、実施例3のシリカ粒子材料の平均粒径は10nm、実施例4のシリカ粒子材料の平均粒径は50nmであった。この結果から、凝集抑制のためには、シランカップリング剤とオルガノシラザンとのモル比を1:5〜2:5の範囲にするのが好ましいことがわかる。
(極大吸収測定試験)
実施例1〜4及び比較例1〜3のシリカ粒子材料を準備し、この試料の赤外線吸収スペクトルを、サーモニコレット社製 FT−IR Avatorを用いた粉体拡散反射法で測定した。このときの測定条件は、分解能4、スキャン回数64であった。極大吸収測定試験の結果を表すグラフを図5〜図6に示す。図5〜図6に示すように、実施例1〜4及び比較例1〜3のシリカ粒子材料の赤外吸収スペクトルは、何れも、2962cm−1にC-H伸縮振動の極大吸収(ピーク)を持つ。このため、実施例1〜4及び比較例1〜3のシリカ粒子材料は、アルキル基を持つこと(すなわち、アルキル基を持つオルガノシラザンで表面処理されていること)がわかる。なお、比較例1〜3のシリカ粒子材料のピーク高さは実施例1〜4のシリカ粒子材料のピーク高さに比べて低かった。この結果は、比較例1〜3のシリカ粒子材料においては、充分な量のアルキル基を持たないことを示唆している。詳しくは、実施例1〜4のシリカ粒子材料の赤外線吸収スペクトルにおいては、シランカップリング剤に由来する各官能基固有のC−Hのピーク高さに対してオルガノシラザンに由来するメチル基(2962cm−1)のピーク高さが3倍以上であった。比較例1〜3のシリカ粒子材料の赤外線吸収スペクトルにおいては、シランカップリング剤に由来する各官能基固有のC−Hのピーク高さに対してオルガノシラザンに由来するメチル基(2962cm−1)のピーク高さが2倍以下であった。上述したように、実施例1〜4のシリカ粒子材料は凝集し難く、比較例1〜3のシリカ粒子材料は凝集し易かった。これらの結果から、シランカップリング剤に由来する各官能基固有のC−Hのピーク高さに対してオルガノシラザンに由来するメチル基(2962cm−1)のピーク高さが3倍以上であるシリカ粒子材料は凝集し難いといえる。
(実施例5)
実1のシリカ材料100質量部とメチルイソブチルケトン100質量部とを混合し、シリカ粒子材料とメチルイソブチルケトンとの混合物を得た。この混合物4質量部にアクリル樹脂(根上工業株式会社製 アートレジン UK904)6質量部を加え混合した。この混合物100質量部に対して5質量部の重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、ダロキュアTPO)を加え、さらに、固形分濃度が30質量%となるようにメチルイソブチルケトンを加えた。この混合物をさらに攪拌して、フィラー含有樹脂組成物(前駆体)を得た。この前駆体は、均一溶液状であった。実施例5のフィラー含有樹脂組成物を、基板に塗布し、実施例5のフィラー含有樹脂組成物(フィルム)を成膜した。
(樹脂に対する親和性評価I)
実施例5のフィラー含有樹脂組成物(フィルム)を目視にて観察したところ、このフィルムは硬く透明であった。実施例5のフィルムが硬いのは、シリカ粒子材料が樹脂材料中に略均一に分散しているためだと考えられる。また、実施例5のフィルムが透明なのは、樹脂材料に対するシリカ粒子材料の親和性に優れるためだと考えられる。すなわち、実施例1のシリカ粒子材料は、凝集し難く、かつ、樹脂に対する親和性に優れていた。また、実施例1のシリカ粒子材料を用いた実施例5のフィラー含有樹脂組成物(前駆体)は硬く透明なフィルムを形成できた。さらに、実施例1のシリカ粒子材料を用いた実施例5のフィラー含有樹脂組成物(フィルム)は、硬く透明であった。
(実施例6)
実施例4のシリカ粒子材料100質量部とイソプロパノール100質量部とを混合し、シリカ粒子材料とイソプロパノールとの混合物を得た。この混合物に、発振周波数39kHz、出力500Wで15分間超音波照射し、シリカ粒子材料含有スラリーを得た。
アドマファイン SE2200(株式会社アドマテックス製、平均粒径約500nmのシリカ粒子材料)をイソプロパノールに等量配合し、シリカ粒子材料を50質量%含むスラリーを準備した。このスラリーをアドマファインスラリーと呼ぶ。
上述したシリカ粒子材料含有スラリーとアドマファインスラリーとをシリカ粒子材料含有スラリー:アドマファインスラリー=1:10(シリカ質量比)となるように混合した。その後、減圧加熱することでこの混合物からイソプロパノールを揮発させ、乾燥させた。この乾燥混合物をエポキシ樹脂(東都化成株式会社製、ZX1059)に加えた。このとき、乾燥混合物とエポキシ樹脂との総量を100質量%として、シリカ濃度が70質量%になるようにした。この混合物を三本ロール機(EXAKT社製、80s)にかけて、実施例4のシリカ粒子材料及びアドマファインをエポキシ樹脂中に略均一に分散させた。以上の工程で、実施例6のフィラー含有樹脂組成物を得た。
(比較例4)
アドマファインスラリーを減圧加熱することで、アドマファインスラリーからイソプロパノールを揮発させ、乾燥させた。この乾燥物をエポキシ樹脂(東都化成株式会社製、ZX1059)に加えた。このとき、乾燥物とエポキシ樹脂との総量を100質量%として、シリカ濃度が70質量%になるようにした。この混合物を三本ロール機(EXAKT社製、80s)にかけて、アドマファインをエポキシ樹脂中に略均一に分散させた。以上の工程で、比較例4のフィラー含有樹脂組成物を得た。
(樹脂に対する親和性評価II)
実施例6のフィラー含有樹脂組成物及び比較例4のフィラー含有樹脂組成物の粘度を、レオメータ(TA Instruments社製、ARES G−2)により測定した。その結果を表すグラフを図7に示す。なお、図7中縦軸は粘度を表し、横軸は剪断速度を表す。
図7に示すように、実施例6のフィラー含有樹脂組成物の粘度は、比較例4のフィラー含有樹脂組成物の粘度に比べて低かった。この結果から、実施例4のシリカ粒子材料を樹脂材料用のフィラーとして用いる場合には、従来のシリカ粒子材料を樹脂材料用のフィラーとして用いる場合に比べて、フィラー含有樹脂組成物の粘度を大幅に低下させ得る事がわかる。これは、実施例4のシリカ粒子材料が凝集なく、かつ、樹脂に対する親和性に優れるためだと考えられる。なお、粘度の低いフィラー含有樹脂組成物は、成形性に優れる。
(炭素量測定試験)
実施例1〜4のシリカ粒子材料及び比較例1〜3のシリカ粒子材料について、シリカ粒子材料の質量あたりに存在する炭素の量(質量%)を測定した。測定には、有機炭素測定装置(HORIBA社製、EMIA−320V)を用いた。
その結果、実施例1のシリカ粒子材料の炭素量は3.5質量%であり、実施例2のシリカ粒子材料の炭素量は2.6質量%であり、実施例3のシリカ粒子材料の炭素量は2.8質量%であり、実施例4のシリカ粒子材料の炭素量は0.96質量%であった。比較例1のシリカ粒子材料の炭素量は4.0質量%であり、比較例2のシリカ粒子材料の炭素量は1.8質量%であり、比較例3のシリカ粒子材料の炭素量は1.0質量%であった。
(X数測定試験)
実施例1〜4のシリカ粒子材料及び比較例1〜3のシリカ粒子材料について、シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたりのXの存在数を測定した。実施例1及び比較例1のシリカ粒子材料におけるXはフェニル基であり、実施例2、3のシリカ粒子材料におけるXはビニル基であり、実施例4及び比較例2、3のシリカ粒子材料におけるXはメタクリロキシ基であった。シリカ粒子材料の表面積(比表面積)は窒素を用いたBET法で測定した。Xの存在数はシリカ粒子材料の炭素量を基に算出した。詳しくは、第1工程後のシリカ粒子を、水で洗浄し遠心分離した後に乾燥して、シランカップリング剤処理後のシリカ粒子試料を得た。この試料の炭素量を、有機炭素測定装置を用いて測定し、測定値を基にX数を算出した。
その結果、実施例1のシリカ粒子材料におけるX数は、約1.2個/nmであった。実施例2のシリカ粒子材料におけるX数は、約1.1個/nmであった。実施例3のシリカ粒子材料におけるX数は、約1.1個/nmであった。実施例4のシリカ粒子材料におけるX数は、約2.0個/nmであった。比較例1のシリカ粒子材料におけるX数は、約1.7個/nmであった。比較例2のシリカ粒子材料におけるX数は、約2.0個/nmであった。比較例3のシリカ粒子材料におけるX数は、約2.0個/nmであった。参考までに、シランカップリング剤処理後のシリカ粒子試料の炭素量は、実施例1のシリカ粒子材料では3.6質量%、実施例2のシリカ粒子材料では1.1質量%、実施例3のシリカ粒子材料では1.1質量%、実施例4のシリカ粒子材料では1.5質量%であった。また、比較例1のシリカ粒子材料では5.0質量%、比較例2のシリカ粒子材料では1.5質量%、比較例3のシリカ粒子材料では1.5質量%であった。
上述したように、シリカ粒子材料の樹脂材料に対する親和性はXの数及び種類によって異なり、実施例1のシリカ粒子材料及び実施例4のシリカ粒子材料は、樹脂材料に対する親和性に優れていた。この結果から、樹脂材料に対して優れた親和性を発揮するためには、シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたりのXは0.5個〜2.5個であるのが好ましく、1.0個〜2.0個であるのがより好ましいといえる。
(表面コート用組成物への応用)
以下に本発明の表面コート用組成物について説明する。
(実施例A)
・調製方法
シリカ粒子材料(アドマナノスラリー(シリカ濃度30質量%):体積平均粒径10nm:株式会社アドマテックス製:メタクリルシランで表面処理)を粉末固形分換算で10質量部をメチルエチルケトン中に分散させた後、フッ素処理剤X-71-1203M(信越化学製)を0.5質量部添加し、固形分濃度が12質量%になるシリカスラリーを作成した。ここにアクリル樹脂(ビスコート150:荒川化学製)をシリカ粒子材料:樹脂が質量比で3:7になるように添加し、重合開始剤として(チバガイギー製)ダロキュアTPOをアクリル樹脂の質量を基準として5%添加してよく混合することにより本実施例の表面コート用組成物とした。この表面コート用組成物をスライドガラス(材質:硼珪酸ガラス)の表面に塗布して表面コートを行った。
・評価方法
撥水性(撥油性)の評価は水滴(エポキシ樹脂)を滴下したときの様子を目視で評価した。いわゆる接触角が50°を超えるときに撥水性(撥油性)であると評価(○)し、50°に至らない場合に撥水性(撥油性)が不十分であると評価(×)した。
更に形成された表面コートの様子を観察し、ひび割れ等の問題があるときには(×)と評価し、一様な表面コートが形成されている場合には(○)と評価した。結果を表1に示す。
(実施例B〜E)
実施例Aの表面コート用組成物に対して、シリカ粒子材料の量をシリカ粒子材料:アクリル樹脂=2:8になるように調製したもの(実施例B)、アクリル樹脂をビスコート150から紫光UV−7600B(日本合成化学工業)に変更したもの(実施例C)、フッ素化合物X−71−1203Mの添加量を1質量部にしたもの(実施例D)、後述する比較例Cに用いたフッ素化合物(単独では本発明の表面コート用組成物に含まれるフッ素化合物ではない)に対してHMDSを添加して、第2ピーク(OH基)を小さくして本発明の表面コート用組成物に含まれるフッ素化合物の範囲に調製したものを採用したもの(実施例E)を調製して実施例Aと同様に評価した。結果を表1に併せて示す。
(比較例A〜D)
実施例Aの表面コート用組成物に対して、シリカ10質量部に対してX−71−1203Mを5質量部になるよう調整したもの(この場合、スラリーに樹脂を足した後でも「シリカ+樹脂(3:7)」の固形分に対して15質量%になる。)(比較例A)、フッ素化合物に相当するものとして第2ピークと比較して第1ピーク(フッ素)が小さいもの(比較例B, D。フッ素の割合は比較例Aの方が多い)、第1ピーク(フッ素)が大きいもの(比較例C、D)について実施例Aと同様に評価を行った。結果を表1に示す。なお、比較例Aでは膜が形成できなかった。
なお、実施例A、比較例C〜Eにて採用したフッ素化合物におけるIRスペクトル(FT−IRにより測定)を参考までに図8に示す。
Figure 0005894742
表1より明らかなように、実施例A〜Eと比較例B〜Dの結果から第2ピークのピーク面積が第1ピークのピーク面積を100としたときに所定範囲(10〜30)にある場合には成膜性が良く、更には撥水性、撥油性にも優れた表面コートが形成されたことが明らかになった。なお、実施例Aと比較してフッ素の含有量が多く本発明の範囲を超えている比較例Aの結果から、フッ素が多すぎる場合には成膜もできず(比較例A)、その他成膜は可能であってもピーク面積の比が所定範囲に無い場合には充分な撥水性撥油性が発揮できないことが分かった。

Claims (14)

  1. 1100−1300cm−1の範囲内にある吸収ピーク(第1ピーク)があり、3200−3600cm−1の範囲内にある吸収ピーク(第2ピーク)があり、前記第1ピークのピーク面積を100としたときの前記第2ピークのピーク面積が10−30の範囲にあり、R(OSiH)nRで表されるフッ素化合物(式中、Rはアルキル基であるか、炭素−炭素二重結合をもつ炭化水素基であるか、又はアクリル基である重合性基であり、Rはパーフルオロアルキル基である。Zはn個の繰り返し単位のそれぞれで任意に選択可能であり、一部が−OSi(CH 基にすることができるOH基である。)と、
    乾燥状態で混合されたシリカ粒子材料と、
    前記フッ素化合物及び前記シリカ粒子材料を分散し、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、それらの前駆体からなる群から選択される1種又は2種以上の材料であるマトリクス材料と、
    を有し、
    前記フッ素化合物は含有する固形分全体の質量を基準として0.001%〜10%であり、
    前記シリカ粒子材料は、式(1):−OSiXで表される官能基及び式(2):−OSiYで表される官能基と、両官能基が表面に結合するシリカ粒子とからなる表面コート用組成物。
    (上記式(1)、(2)中;Xはフェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基であり;X、Xは−OSiR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択され;YはRであり;Y、YはR及び−OSiYよりそれぞれ独立して選択される。YはRであり;Y及びYは、R及び−OSiRからそれぞれ独立して選択され;Rは炭素数1〜3のアルキル基から独立して選択される。なお、X、X、Y、Y、Y、及びYの何れかは、近接する官能基のX、X、Y、Y、Y、及びYの何れかと−O−にて結合しても良い。)
  2. 前記シリカ粒子材料の体積平均粒径が5nm〜200nmである請求項1に記載の表面コート用組成物。
  3. 前記フッ素化合物は含有する固形分全体の質量を基準として0.001%〜5%である請求項1又は2に記載の表面コート用組成物。
  4. 前記シリカ粒子材料は含有する固形分全体の質量を基準として5%〜60%である請求項1〜3の何れか1項に記載の表面コート用組成物。
  5. 前記マトリクス材料はアクリル樹脂又はアクリル樹脂前駆体である請求項1〜4の何れか1項に記載の表面コート用組成物。
  6. 前記式(1)で表される官能基と前記式(2)で表される官能基との存在数比が1:12〜1:60である請求項1〜5の何れか1項に記載の表面コート用組成物。
  7. 前記Xは前記シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたり0.5〜2.5個である請求項1〜6の何れか1項に記載の表面コート用組成物。
  8. 前記Rは前記シリカ粒子材料の単位表面積(nm)あたり1〜10個である請求項6〜7の何れか1項に記載の表面コート用組成物。
  9. 前記シリカ材料は、水を含む液状媒体中でシランカップリング剤及びオルガノシラザンによってシリカ粒子を表面処理する表面処理工程をもつ表面処理方法により処理され、
    前記シランカップリング剤は、3つのアルコキシ基と、フェニル基、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基、又はアクリル基と、を持ち、
    前記シランカップリング剤と前記オルガノシラザンとのモル比は、前記シランカップリング剤:前記オルガノシラザン=1:2〜1:10である
    請求項1〜8の何れか1項に記載の表面コート用組成物を製造する、
    表面コート用組成物の製造方法
  10. 前記表面処理工程は、
    前記シリカ粒子を前記シランカップリング剤で処理する第1の処理工程と、
    前記シリカ粒子を前記オルガノシラザンで処理する第2の処理工程と、を持ち、
    前記第2の処理工程は、前記第1の処理工程後に行う請求項9に記載の表面コート用組成物の製造方法
  11. 前記第2の処理工程において、3つのアルコキシ基と炭素数1〜3のアルキル基とを持つ第2のシランカップリング剤で前記オルガノシラザンの一部を置き換え、
    前記第2の処理工程後に、さらに前記シリカ粒子を前記オルガノシラザンで処理する第3の処理工程を持つ請求項9又は10に記載の表面コート用組成物の製造方法
  12. 前記表面処理工程後に、前記シリカ粒子材料を鉱酸で沈殿させ、沈殿物を水で洗浄・乾燥して、シリカ粒子材料の固形物を得る固形化工程を備える請求項9〜11の何れか1項に記載の表面コート用組成物の製造方法
  13. 前記シランカップリング剤は、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、エポキシトリメトキシシラン、メタクリルトリメトキシシラン、アミノトリメトキシシラン、ウレイドトリメトキシシラン、メルカプトトリメトキシシラン、イソシアネート、又はアクリルトリメトキシシランから選ばれる少なくとも一種である請求項9〜12の何れか1項に記載の表面コート用組成物の製造方法
  14. 前記オルガノシラザンは、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザンから選ばれる少なくとも一種である請求項9〜13の何れか1項に記載の表面コート用組成物の製造方法
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