JP6300261B2 - ポリシロキサン多孔体とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリシロキサン多孔体とその製造方法に関する。より具体的に本発明は、撥液性、すなわち撥水および撥油の双方の特性、ならびに柔軟性を有するポリシロキサン多孔体と、その製造方法とに関する。
撥水性および撥油性の双方の特性を示す(撥液性を示す)表面に対する研究、開発が進んでいる。このような表面は、例えば、電子デバイスの筐体表面あるいはタッチパネル面の防汚性、耐指紋性の実現につながるなど、様々な応用が期待される。また、このような表面は自己洗浄機能(self-cleaning effect)を有しており、例えば、塵や油性の汚れによる太陽電池パネルの出力低下が抑制できるといった効果も期待される。
自然界には、水の接触角が150°以上となる強い撥水性(超撥水性)を示す表面が存在する。例えば、蚊の目あるいは蓮の葉の表面がこれに相当し、当該表面の微細構造が超撥水性の発現に寄与していることがわかっている。ただし、残念ながらこれらの表面は、水より表面張力が低い有機物質を弾く特性(撥油性)は示さず、油性の汚れの付着による微細構造の乱れにより、その撥水性も低下する。このため、これら表面の人工的な模倣による撥液性の実現は困難である。一方、非特許文献1には、パーフルオロアルキル基の利用によって、フィルムの表面に撥液性を付与する技術が開示されている。
表面の撥水性および撥油性とは関係ないが、特許文献1に、ポリシロキサンから構成される骨格とマクロ孔との共連続構造を有するモノリス多孔体が開示されている。
特開平7-41374号公報
S. R. Coulson et al., "Ultralow Surface Energy Plasma Polymer Film", Chemistry of Materials, 12(7), pp. 2031-2038 (2000)
非特許文献1に記載の技術、およびパーフルオロアルキル基を有する化合物を物品の表面にコーティングするといった従来の技術では、当該物品の形態が、膜、フィルムまたは繊維に限られる。また、これらの技術では、水の接触角が150°以上となる超撥水性はともかく、水より表面張力が低い有機物質に対してもその接触角が150°以上となる超撥油性の実現は困難である。さらに、これら従来の技術では、塵や汚れの付着、あるいは物体の接触、摩擦などによるコーティングの脱落によって、容易に撥液性が失われる。
一方、特許文献1のモノリス多孔体は、ポリシロキサンから構成される骨格が剛直であるため、その用途が限定される。また、当該多孔体は撥液性を示さない。
本発明は、ポリシロキサンから構成される骨格を有しながらも柔軟であるとともに、撥水性および撥油性の双方の特性を兼ね備え(すなわち、撥液性を示し)、物体の接触、摩擦などによっても撥液性が失われ難く、超撥油性の実現(すなわち、超撥液性の実現)も可能なポリシロキサン多孔体と、その製造方法の提供を目的とする。
本発明のポリシロキサン多孔体の製造方法は:加水分解性の官能基を分子内に2つ有する2官能性ケイ素化合物と、前記官能基を分子内に3以上有する多官能性ケイ素化合物とを含み、前記2官能性ケイ素化合物および前記多官能性ケイ素化合物から選ばれる少なくとも1つの化合物が、撥液性基を有する化合物が結合しうる反応性基を有する溶液系において、ゾル−ゲル法による前記ケイ素化合物の加水分解および重合ならびに前記系の相分離を進行させることにより、前記ケイ素化合物の重合体であって、前記反応性基を有するポリシロキサンに富む骨格相と、前記系の溶媒に富む溶液相とから構成されるとともに、前記骨格相および溶液相の共連続構造を有するゲルを形成するゲル化工程と;前記ゲルを乾燥させて、前記骨格相を骨格とし、前記溶液相をマクロ孔として、前記骨格およびマクロ孔の共連続構造を有するポリシロキサン多孔体とする乾燥工程と;前記ポリシロキサンが有する前記反応性基と、撥液性基を有する化合物とを化学反応させて、前記ポリシロキサンに前記撥液性基を結合させる反応工程と;を含む。
本発明のポリシロキサン多孔体は、ポリシロキサンから構成された骨格と、マクロ孔との共連続構造を有し、前記ポリシロキサンに撥液性基としてフルオロアルキル基が結合しており、前記骨格の表面において、当該表面を構成する原子のうち40原子%以上がフッ素原子である。
別の側面から見た本発明のポリシロキサン多孔体は、ポリシロキサンから構成された骨格と、マクロ孔との共連続構造を有するポリシロキサン多孔体であって、前記ポリシロキサンに撥液性基が結合しており、前記多孔体の表面におけるn−ヘキサデカンの接触角が150°以上である。
本発明によれば、ポリシロキサンから構成される骨格を有しながらも柔軟であるとともに、撥水性および撥油性の双方の特性(撥液性)を兼ね備え、物体の接触、摩擦によっても撥液性が失われ難く、超撥液性の実現も可能なポリシロキサン多孔体と、その製造方法が提供される。
実施例で作製したポリシロキサン多孔体(サンプル1)に対する繰り返し曲げ試験を説明するための図である。 実施例で作製したポリシロキサン多孔体(サンプル1)について、(a)は一軸方向に力を加えた場合の応力−歪み曲線(SS曲線)を、(b)は3点支持の繰り返し曲げ試験の結果を、それぞれ示す図である。 実施例で作製したポリシロキサン多孔体(サンプル1)に対する29Si固体核磁気共鳴(NMR)の測定結果を示す図である。 実施例で作製したポリシロキサン多孔体について、(a)は反応工程を実施する前(サンプル1)の走査型電子顕微鏡(SEM)像を、(b)は反応工程を実施した後(サンプル2)のSEM像を、それぞれ示す図である。 実施例で作製したポリシロキサン多孔体(サンプル2)に対するX線光電子分光(XPS)の測定結果を示す図である。 実施例で作製したポリシロキサン多孔体(サンプル1,2)に対するフーリエ変換赤外分光(FTIR)の測定結果を示す図である。 実施例で作製したポリシロキサン多孔体(サンプル1,2)に対する13C固体NMRの測定結果を示す図である。 (a)は、実施例で作製したポリシロキサン多孔体であるサンプル1の超撥水性およびサンプル2の超撥液性を示す図であり、(b)および(c)はサンプル2の超撥液性を示す図である。 実施例で作製したポリシロキサン多孔体(サンプル2)に対する熱重量−示差熱分析(TG−DTA)の測定結果を示す図である。
本明細書において「マクロ孔」とは、IUPACによる提唱に従い、孔径(細孔径)が50nm以上の細孔を意味し、「メソ孔」とはマクロ孔とミクロ孔(孔径が2nm未満の細孔)との中間、すなわち孔径が2nm以上50nm未満の範囲にある細孔を意味する。細孔の孔径および平均孔径は、予想される当該孔径および平均孔径の大きさに基づいて選択される一般的な細孔分布測定、例えば、マクロ孔について水銀圧入法による細孔分布測定、メソ孔について窒素ガス吸着法による細孔分布測定により、求めることができる。
[ポリシロキサン多孔体の製造方法]
本発明の製造方法は、加水分解性の官能基を有するケイ素化合物を含む溶液系において、ゾル−ゲル法による当該ケイ素化合物の加水分解および重合(重縮合)ならびに当該溶液系の相分離を進行させることにより、骨格相と溶液相とから構成されるゲルを形成する工程(ゲル化工程)を含む。ゲル化工程において形成するゲルの骨格相は、上記ケイ素化合物の重合体(加水分解物の重縮合体)に富んでいる。溶液相は上記溶液系の溶媒に富んでおり、溶液相における上記重合体の濃度は骨格相における濃度に比べて相対的に低い。相分離は、ケイ素化合物の加水分解および重合と同時に進行する相分離、典型的にはスピノーダル相分離であり、このような相分離過程を経て生じた骨格相および溶液相は、それぞれ連続した3次元の網目構造を有するとともに互いに絡み合っている。すなわち、ゲル化工程において形成するゲルは骨格相および溶液相の共連続構造を有する。また、骨格相を構成する上記重合体は、ゾル−ゲル反応による上記ケイ素化合物の加水分解およびその加水分解物の重合により形成されたシロキサン結合(−Si−O−Si−)のネットワークを有するポリシロキサンである。すなわち、ゲル化工程において形成するゲルは、ポリシロキサンゲルである。
本発明の製造方法は、ゲル化工程において形成したゲルを乾燥させて(溶液系の溶媒を除去して)、骨格相を骨格とし、溶液相をマクロ孔として、当該骨格およびマクロ孔の共連続構造を有するポリシロキサン多孔体とする乾燥工程を含む。乾燥工程を経て、ポリシロキサンから構成される骨格を有するポリシロキサン多孔体が得られる。ポリシロキサン多孔体は、キセロゲル(乾燥ゲル)の一種である。
ゲル化工程において溶液系は、ケイ素化合物として、加水分解性の官能基を分子内に2つ有する2官能性ケイ素化合物と、加水分解性の官能基を分子内に3以上有する多官能性ケイ素化合物とを含む。溶液系がこの2種類のケイ素化合物を含むことによって、ポリシロキサンから構成される骨格を有しながらも柔軟性を示すポリシロキサン多孔体が得られる。
加水分解性の官能基を分子内に有するケイ素化合物は、ゾル−ゲル反応による加水分解および加水分解物の重合を経て、シロキサン結合のネットワークを形成する。このとき、3以上のシロキサン結合の「手」を形成する多官能性ケイ素化合物からは、乾燥後、キセロゲルの状態で剛直なネットワークが形成される。例えば、特許文献1に開示の方法では多官能性ケイ素化合物のみが使用されており、このネットワークに基づいた剛直性を示すポリシロキサン骨格、および当該骨格を有する剛直なモノリス多孔体が形成される。一方、本発明の製造方法のように2官能性ケイ素化合物が溶液系に存在していると、ゾル−ゲル反応時に当該化合物からはシロキサン結合の手が2つしか生じないために、シロキサン結合のネットワーク中に、より平面的な結合が生じることになる。これを別の側面から見ると、多官能性ケイ素化合物に由来する立体的かつ剛直なネットワーク中に、より自由度
の高い線状の架橋構造が多数生じることになる。このような線状の架橋構造の存在により、乾燥後においても、ポリシロキサンから構成される骨格を有しながら柔軟性を示すポリシロキサン多孔体が形成される。
溶液系に2官能性ケイ素化合物が含まれることは、後の乾燥工程および反応工程を経て得られたポリシロキサン多孔体が撥液性、場合によっては超撥液性、を示すことにも寄与する。ポリシロキサンにおけるシロキサン結合のネットワーク中に上記自由度の高い線状の架橋構造が多数生じると、当該部分において、ケイ素化合物が有する疎水性基がシロキサン結合の鎖を「覆う」ことになり、これはポリシロキサン骨格の表面が疎水性基によって「覆われる」ことにつながる。これに加えて、多孔体の表面が(ポリシロキサン骨格の表面が)、撥液性あるいは超撥液性を示すのに適した微細構造を有するようになる。
実際、後述の実施例に示すように、撥液性基を有する化合物を用いた反応工程を行う前の時点で、既に、本発明の製造方法におけるゲル化工程および乾燥工程を経て得たポリシロキサン多孔体は超撥水性を示す。この超撥水性は、第一に疎水性基による上記被覆効果と、これに加えて「ピン止め効果」ともいわれる形状効果を誘起する上記微細構造の実現とによると考えられる。ただし、反応工程なしには、ポリシロキサン多孔体は撥液性を示さない。
本発明の製造方法では、これに加えて、溶液系に含まれる2官能性ケイ素化合物および多官能性ケイ素化合物から選ばれる少なくとも1つのケイ素化合物が、撥液性基を有する化合物が結合しうる反応性基を有する。このような溶液系に対して相分離を伴うゾル−ゲル反応を進行させると、反応性基が分布したポリシロキサンにより構成される骨格相を有するゲル、すなわち、骨格相に反応性基が分布したゲルが形成される。そして、本発明の製造方法は、ポリシロキサンが有する反応性基と、撥液性基を有する化合物とを化学反応させて、ポリシロキサンに撥液性基を結合させる反応工程を含む。これにより、撥液性基が分布したポリシロキサンにより構成される骨格を有するポリシロキサン多孔体が得られる。
反応工程では、骨格相との共連続構造を有する溶液相、あるいは骨格との共連続構造を有するマクロ孔を介して、撥液性基を有する化合物が反応性基と接触する。このため、ゲル化工程、乾燥工程および反応工程を経て得たポリシロキサン多孔体は、骨格の表面に撥液性基を有する。当該ポリシロキサン多孔体は、多孔体表面(ポリシロキサン骨格の表面)の上記微細構造と、当該表面に結合した撥液性基による表面エネルギーの低下とによって、そして撥水性に関しては上記被覆効果も合わさって、撥液性、さらには超撥液性を示す。なお、撥液性(超撥液性)は、加水分解性の官能基とともに撥液性基を有するケイ素化合物を溶液系に加えてゲル化工程および乾燥工程を実施した場合には得られない(後述の比較例を参照)。
さらに注目すべき点は、ゲル化工程において、骨格相および溶液相の共連続構造を有するゲルが形成されるときに、2官能性ケイ素化合物に由来する上記線状の架橋構造が当該ゲルの表面だけではなく、内部にも多数形成されることである。また同様に、反応性基が当該ゲルの表面だけではなく、内部にも多数分布していることである。すなわち、ゲル化工程後の乾燥工程および反応工程を経て得たポリシロキサン多孔体では、上記微細構造がその内部(より具体的には、多孔体の内部に位置する骨格の表面)に潜在的に存在するとともに、撥液性基がその内部(より具体的には、多孔体の内部に位置する骨格の表面)に分布しており、物体の接触、摩擦などにより多孔体の表面が削られて新たな表面が露出すると、その露出面も撥液性または超撥液性を示す。すなわち、物体の接触、摩擦などによっても撥液性が失われ難いポリシロキサン多孔体となる。
また、ゾル−ゲル反応では、形成するゲルの形状の自由度が高い。このため本発明の製造方法では、膜、フィルムおよび繊維に限られることなく、より形状の自由度が高い成形体としてポリシロキサン多孔体を得ることができる。得られたポリシロキサン多孔体についても、その柔軟性に基づき、切断、切削などの機械的加工によって形状を比較的容易に変化させることができる。
本発明の製造方法により得たポリシロキサン多孔体が撥液性を示すか、超撥液性を示すかは、撥液性基の種類、当該基を有する化合物の種類、ケイ素化合物が有する反応性基の種類、および反応工程において撥液性基を結合させる程度(多孔体の表面における撥液性基の分布密度)などによる。また、有機物質、典型的には20℃での表面張力がおよそ40mN/m以下の有機液体、の接触角が150°以上となる表面の状態を超撥油性(超撥液性)というが、当該物質の種類によっても接触角が変化するため、同じ表面を有するポリシロキサン多孔体であっても、物質の種類によって撥液性となったり、超撥液性となったりしうる。本発明の製造方法により得たポリシロキサン多孔体では、極性が非常に低く、表面張力が非常に小さいn−ヘキサデカンの接触角が150°以上となる超撥液性も十分に実現しうる。しかも、この超撥液性は、ポリシロキサン多孔体を変形させたり、表面を削ったりした場合にも維持される。なお、20℃での表面張力がおよそ40mN/m以下の有機物質の接触角が40°以上150°未満、好ましくは90°以上150°未満となる表面の状態を撥油性(撥液性)という。なお、20℃での水の表面張力は73mN/mである。
本発明の製造方法における乾燥工程および反応工程を実施する順序は限定されない。いずれの工程を先に行ってもよい。
乾燥工程を先に行う場合、反応工程では、乾燥工程で形成したポリシロキサン多孔体におけるポリシロキサン骨格が有する反応性基と、撥液性基を有する化合物とを化学反応させて、当該骨格のポリシロキサンに撥液性基を結合させる。
一方、反応工程を先に行う場合、ゲル化工程で形成したゲルにおけるポリシロキサン骨格相が有する反応性基と、撥液性基を有する化合物とを化学反応させて、当該骨格相のポリシロキサンに撥液性基を結合させる。そして、骨格相に撥液性基を結合させたゲルを乾燥させて、当該骨格相を骨格とし、溶液相をマクロ孔として、骨格およびマクロ孔の共連続構造を有するポリシロキサン多孔体を得る。
反応性基と、撥液性基を有する化合物との化学反応を安定して進行させることができることから、乾燥工程を先に行う、すなわち、ゲル化工程、乾燥工程および反応工程の順に実施することが好ましい。
本発明の効果が得られる限り、本発明の製造方法は、ゲル化工程、乾燥工程および反応工程以外の任意の工程を含むことができる。当該工程は、例えば、洗浄工程である。
以下、各工程の詳細を説明する。
(ゲル化工程)
2官能性ケイ素化合物および多官能性ケイ素化合物が有する加水分解性の官能基は、例えば、アルコキシ基、アセトキシ基、ハロゲン化物基、ヒドロシリル基である。アルコキシ基は、例えば、炭素数1〜4の基であり、より具体的な例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基である。加水分解反応および当該反応により形成された加水分解物の重合の速度および安定性の観点からは、加水分解性の官能基がメトキシ基またはエトキシ基であることが好ましい。
2官能性ケイ素化合物は、例えば、炭素数1〜4のアルコキシ基を加水分解性の官能基として分子内に2つ有するジアルコキシシランである。分子内のアルコキシ基は同一であっても、互いに異なっていてもよい。ゾル−ゲル反応の制御の容易さの観点からは、ジアルコキシシランが有する2つのアルコキシ基が同一であることが好ましい。具体的なアルコキシ基の例は、上述のとおりである。
2官能性ケイ素化合物は、撥液性基を有する化合物が結合しうる反応性基を有することが好ましい。反応性基は、例えば、ビニル基、メルカプト基、アミン基、エポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アジド基、およびグリシドキシ基から選ばれる少なくとも1種であり、撥液性基を有する化合物との化学反応を安定して進行させることができることから、ビニル基が好ましい。また、ビニル基は、チオール−エンクリック反応による、撥液性基およびチオール基を有する化合物との化学反応に供することもできる。チオール−エンクリック反応は、比較的容易に、例えば混合するだけで反応を進行させることができるクリック反応の1種である。このような反応の利用により、ケイ素化合物などの原材料から一つの反応容器内でポリシロキサン多孔体を得ること(いわゆるワンポットリアクションの実施)も可能となる。
2官能性ケイ素化合物は、加水分解性の官能基としてアルコキシ基を、反応性基としてビニル基を有するビニルジアルコキシシランが好ましく、なかでもアルコキシ基としてメトキシ基を分子内に2つ有するビニルジメトキシシランが好ましい。
2官能性ケイ素化合物は、上述した被覆効果をより確実に得るために、加水分解性の官能基とは別に疎水性基を有することが好ましい。疎水性基は、例えば、アルキル基であり、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。2官能性ケイ素化合物は、例えば、ビニルメチルジアルコキシシラン、ビニルエチルジアルコキシシランであり、ビニルメチルジメトキシシラン(VMDMS)が好ましい。
多官能性ケイ素化合物は、加水分解性の官能基を分子内に3つ有する3官能性ケイ素化合物であっても、それ以上の官能性、例えばケイ素(Si)原子の4つの手に当該官能基が結合した4官能性、あるいは−Si−X−Si−結合(Xは、単結合、アルキル基など)の存在により5官能性以上の多官能性を有するケイ素化合物であってもよいが、典型的には、3官能性ケイ素化合物である。
3官能性ケイ素化合物は、例えば、炭素数1〜4のアルコキシ基を加水分解性の官能基として分子内に3つ有するトリアルコキシシランである。分子内のアルコキシ基は同一であっても、互いに異なっていてもよい。ゾル−ゲル反応の制御の容易さの観点からは、トリアルコキシシランが有する3つのアルコキシ基が同一であることが好ましい。具体的なアルコキシ基の例は、上述のとおりである。
3官能性ケイ素化合物は、撥液性基を有する化合物が結合しうる反応性基を有することが好ましい。反応性基は、例えば、ビニル基、メルカプト基、アミン基、エポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アジド基、およびグリシドキシ基から選ばれる少なくとも1種であり、撥液性基を有する化合物との化学反応を安定して進行させることができることから、ビニル基が好ましい。また、ビニル基は、チオール−エンクリック反応による、撥液性基およびチオール基を有する化合物との化学反応に供することもできる。
3官能性ケイ素化合物は、加水分解性の官能基としてアルコキシ基を、反応性基としてビニル基を有するビニルトリアルコキシシランが好ましく、なかでもアルコキシ基としてメトキシ基を分子内に3つ有するビニルトリメトキシシラン(VTMS)が好ましい。
2官能性ケイ素化合物が有する加水分解性の官能基と、多官能性ケイ素化合物が有する加水分解性の官能基とは、同一であっても異なっていてもよい。
2官能性ケイ素化合物および多官能性ケイ素化合物の双方が反応性基を有することが好ましく、このとき、超撥油性(超撥液性)の実現がより確実となる。また、この場合、2官能性ケイ素化合物が有する反応性基と、多官能性ケイ素化合物が有する反応性基とは、同一であっても異なっていてもよい。
2官能性ケイ素化合物および多官能性ケイ素化合物のいずれか一方が反応性基を有する場合、2官能性ケイ素化合物が反応性基を有することが好ましい。このとき、上記被覆効果がより強固となる。
溶液系は、2種以上の2官能性ケイ素化合物を含んでいてもよいし、2種以上の多官能性ケイ素化合物を含んでいてもよい。ゾル−ゲル反応の制御の容易さの観点からは、1種の2官能性ケイ素化合物と、1種の多官能性ケイ素化合物とを溶液系が含むことが好ましい。
ゲル化工程におけるゲルの形成は、溶液系が2官能性ケイ素化合物と多官能性ケイ素化合物とを含むとともに、少なくともいずれか一方のケイ素化合物が、撥液性基を有する化合物が結合しうる反応性基を有することを除き、従来の相分離過程を併用したゾル−ゲル法に基づくゲル化工程と同様に実施することができる。
溶液系に含まれる2官能性ケイ素化合物と多官能性ケイ素化合物との混合比は特に限定されないが、得られたポリシロキサン多孔体が上述した各特性を十分に示すためには、モル比にして、例えば2官能性ケイ素化合物:多官能性ケイ素化合物=0.5:9.5〜7:3であり、2:8〜5:5が好ましく、3:7〜4.5:5.5がより好ましい。溶液系が含むケイ素化合物に占める2官能性ケイ素化合物の割合が大きくなるにつれて、得られたポリシロキサン多孔体の骨格径が増大するとともに、柔軟性が強くなる傾向がある。
溶液系の溶媒は、典型的には水である。水の量は、例えば、溶液中のケイ素に対してモル比(水/ケイ素)で2.0〜40.0であり、3.0〜20.0が好ましく、5.0〜10.0がより好ましい。過剰な水は、ゲルの形成を阻害する。
溶液系は、相分離を伴うゾル−ゲル反応が進行する限り、2官能性ケイ素化合物および多官能性ケイ素化合物と、当該化合物の溶媒(分散媒)以外の材料を含むことができる。当該材料は、例えば、従来のゲル化工程において溶液系に含まれる材料であり、より具体的な例は、相分離制御剤、ならびにケイ素化合物の加水分解および重合を制御する材料である。
相分離制御剤は、例えば、界面活性剤である。すなわち、溶液系は界面活性剤をさらに含んでもよい。界面活性剤は、カチオン性であっても、アニオン性であっても、非イオン性であってもよいが、重合体との相互作用および親水性が相分離の制御にとって良好であることから、カチオン性界面活性剤が好ましい。カチオン性界面活性剤は、四級アンモニウム塩などの親水部と主にアルキル基からなる疎水部とを有する界面活性剤が好ましい。その具体例は、ハロゲン化アルキルアンモニウムである。相分離制御剤は、溶液系の溶媒に均一に溶解する物質が好ましい。
相分離制御剤を加える場合、溶液系における相分離制御剤の添加量は、例えば、溶液中のケイ素1モルに対して、0.001モル〜溶液系における溶解限度であり、0.005
〜0.02モルが好ましい。相分離制御剤の添加量が多くなるほど、得られたポリシロキサン多孔体の柔軟性が向上する傾向がある。
ケイ素化合物の加水分解および重縮合を制御する材料は、例えば、酸および塩基性物質である。酸は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などの鉱酸、および酢酸、クエン酸などの有機酸である。ケイ素化合物の均一な加水分解のために、酸は比較的弱い酸であることが好ましく、酢酸が好ましい。塩基性物質は、例えば、尿素、ヘキサメチレンテトラミン、アンモニア、有機アンモニウム塩、有機アミン、ならびに水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどの金属水酸化物である。例えば、ケイ素化合物の加水分解により形成されたシラノール化合物の重縮合を、環状シロキサンおよびかご状シロキサンの生成を抑制しながら進行させることができることから、塩基性物質は尿素が好ましい。
溶液系は酸性であり、かつ塩基性物質をさらに含んでいてもよく(酸−塩基加水分解系であってもよく)、この場合、ケイ素化合物の均一な加水分解、および加水分解により形成された加水分解物の重縮合を、環状シロキサンおよびかご状シロキサンの生成を抑制しながら進行させることができる。これにより骨格径およびマクロ孔の孔径を制御して、得られたポリシロキサン多孔体の柔軟性の制御、あるいは形状効果に基づく撥液性の制御が期待される。溶液系は、例えば、酸として酢酸を含み、塩基性物質として尿素を含む、酢酸−尿素加水分解系であってもよい。
溶液系が酸−塩基加水分解系である場合、溶液系に含まれる酸の量は、一例として酸が酢酸であるときに水からなる溶媒を基準として1〜100mMが好ましく、5〜10mMがより好ましい。ここで、M=mol/Lである。溶液系に含まれる塩基性物質の量は、一例として塩基性物質が尿素であるときに水からなる溶媒を基準として1〜15Mが好ましく、2〜7Mがより好ましい。
相分離過程を伴うゾル−ゲル反応は、これらの材料の混合による溶液系の完成により進行する。必要に応じて、溶液系を加熱してもよい。加熱条件は、例えば、40〜100℃で2〜48時間であり、60〜80℃で4〜12時間が好ましい。
(乾燥工程)
乾燥工程では、ゲルを乾燥させて、骨格相を骨格とし、溶液相をマクロ孔として、骨格およびマクロ孔の共連続構造を有するポリシロキサン多孔体を得る。乾燥は、溶液系に含まれていた溶媒がゲルから取り除かれるとともにポリシロキサンが分解されない条件で実施すればよい。溶媒を取り除くことにより、骨格相および溶液相の共連続構造を有する上記ゲルは、骨格およびマクロ孔の共連続構造を有するポリシロキサン多孔体となる。
乾燥条件は、例えば、室温〜120℃で24時間以下である。
(反応工程)
反応工程では、ポリシロキサン多孔体の骨格またはゲルの骨格相を構成するポリシロキサンが有する反応性基と、撥液性基を有する化合物とを化学反応させて、上記ポリシロキサンに撥液性基を結合させる。この結合は、例えば、イオン性結合および水素結合のような電気的な結合でありうるが、安定した撥液性を得る観点からは、共有結合による結合が好ましい。
反応工程で行う化学反応の詳細は、ポリシロキサンに撥液性基が結合される限り限定されない。撥液性基を有する化合物の全体がポリシロキサンに結合する反応であってもよいし、当該化合物の一部(この一部は撥液性基を含む)がポリシロキサンに結合する反応であってもよい。また、ポリシロキサンに当該化合物またはその一部が直接結合する反応で
あってもよいし、他の化合物を介して間接的に結合する反応であってもよい。
撥液性基は、例えば、フルオロアルキル基である。フルオロアルキル基は、撥液性基としての安定性が高く、多孔体表面の表面エネルギーを低下させる作用が強い。なかでも、パーフルオロアルキル基が好ましい。フルオロアルキル基およびパーフルオロアルキル基における炭素数は、例えば6〜18であり、当該基は直鎖であっても分岐を有していてもよい。フルオロアルキル基の具体例は、例えば、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカン基、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル基である。
撥液性基を有する化合物は、ポリシロキサンが有する反応性基と化学結合可能な結合基を有しうる。結合基は、2官能性および/または多官能性ケイ素化合物が有する反応性基との化学反応性、および化学反応時の安定性などに応じて選択することができる。一例として、反応性基がビニル基である場合、結合基は、例えば、チオール基、アミノ基およびエポキシ基から選ばれる少なくとも1種であり、チオール−エンクリック反応を利用できることから、反応性基がビニル基であり、結合基がチオール基である組み合わせが好ましい。換言すれば、反応性基がビニル基であり、撥液性基を有する化合物がチオール基を有し、反応工程において、当該反応性基と当該化合物との化学反応をチオール−エンクリック反応により進行させることが好ましい。反応性基と結合基との好ましい組み合わせの他の一例は、反応性基がメルカプト基、結合基がアリル基の組み合わせである。
反応工程の詳細は、ポリシロキサンに撥液性基が結合し、撥液性基を有する骨格(骨格相)が形成される限り、特に限定されない。クリック反応を利用する場合、ポリシロキサン多孔体または乾燥前のゲルと、撥液性基を有する化合物とを、一定の温度範囲で混合することにより、ポリシロキサンへの撥液性基の結合が進行する。
反応工程では、主として骨格(骨格相)の表面に撥液性基が結合する。表面に比べて骨格(骨格相)の内部には撥液性基は結合しづらいが、表面のみに撥液性基が結合した場合においても、得られたポリシロキサン多孔体は撥液性を示す。ただし、超撥液性を示すには、ある程度以上の撥液性基が結合していることが必要である。超撥液性を得るためには、例えば、撥液性基としてフルオロアルキル基を用いて得たポリシロキサン多孔体について、その骨格の表面を構成する原子のうち40原子%以上がフッ素原子であることが好ましく、45原子%以上がフッ素原子であることがより好ましい。各工程の条件によっては、骨格の表面を構成する原子のうち50原子%以上をフッ素原子とすることも視野に入れることができる。骨格の表面を構成する原子に対するフッ素原子の割合は、X線光電子分光(XPS)測定および元素分析により求めることができる。
反応工程で行われる撥液性基の結合は、これまで一般的に行われている撥液性物質のコーティングとは全く異なる。撥液性物質のコーティングでは、コーティング対象物品の表面に存在する親水性基を足がかりとして、撥液性物質が付着する。しかし、ポリシロキサン多孔体の骨格の表面は疎水性基によって覆われているため、このようなコーティングの実施は不可能である。
本発明の製造方法により、例えば、以下に示す本発明のポリシロキサン多孔体が製造される。
[ポリシロキサン多孔体]
本発明のポリシロキサン多孔体は、ポリシロキサンから構成された骨格と、マクロ孔との共連続構造を有する。当該骨格を構成するポリシロキサンは、加水分解性の官能基を分子内に2つ有する2官能性ケイ素化合物と、加水分解性の官能基を分子内に3つ以上有する多官能性ケイ素化合物とを含む溶液系において、これらケイ素化合物の加水分解および
加水分解物の重縮合により形成されたポリシロキサンである。このポリシロキサンは、上記直線状の架橋構造を有しているため、本発明のポリシロキサン多孔体は柔軟性を有する。
柔軟性の程度は、例えば、ヤング率にして100kPa以下である。このような高い柔軟性と、マクロ孔の存在による光の散乱のため無着色の状態で白色であることから、本発明のポリシロキサン多孔体は、いわばマシュマロのような外観および触感を有しうる。
上記直線状の架橋構造が骨格に多数存在することによる表面の微細構造(微細な凹凸)の形状効果、および上記被覆効果によって、本発明のポリシロキサン多孔体は超撥水性を示す。これに加えて、骨格を構成するポリシロキサンに結合した撥液性基による表面エネルギーの低下が相まって、本発明のポリシロキサン多孔体はさらに撥油性を、すなわち撥液性を示す。撥液性基の種類およびその分布密度などによっては、当該多孔体は超撥油性、すなわち超撥液性を示す。極性が非常に小さく、表面張力が非常に低い有機物質であるn−ヘキサデカンの接触角が150°以上となる超撥液性とすることも可能である。
また、上述したように、この撥液性(超撥液性)は、物体との接触、摩擦などによって多孔体の表面が削れた場合においても維持される。このような特性は、撥液性物質の単なるコーティングによっては得られない。
これに加えて、本発明のポリシロキサン多孔体では、マクロ孔の孔径の均一性が高い。相分離過程を併用するゾル−ゲル反応を経て、骨格との共連続構造を有するマクロ孔が形成されるためである。このような構造は、発泡剤による発泡過程を経て得た多孔体の構造(このような多孔体では、発泡による独立した空孔が多数形成される)とは全く異なる。
骨格の平均径は、例えば500nm〜10μmである。マクロ孔の平均孔径は、例えば500nm〜200μmであり、ポリシロキサン多孔体に液体を浸透させる場合は1μm以上が好ましい。骨格の平均径およびマクロ孔の平均孔径は、溶液系の制御、例えば、相分離制御剤の添加および添加量により制御できる。
本発明のポリシロキサン多孔体の空孔率は、レーザー共焦点顕微鏡による測定値にして、例えば75〜98%であり、90%以上の高い空孔率とすることも可能である。
本発明のポリシロキサン多孔体は、骨格がポリシロキサンから構成されることに由来して、幅広い温度領域において安定である。例えば、液体窒素温度(−196℃)から、ポリシロキサンが分解される温度(およそ320℃)に至るまで、その柔軟性を保つことができる。また、例えば、液体窒素温度から撥液性基が分解される温度(フルオロカーボン基の場合、およそ170℃)に至るまで、その撥液性(超撥液性)を保つことが可能である。
本発明のポリシロキサン多孔体の一例は、ポリシロキサンから構成された骨格と、マクロ孔との共連続構造を有し、ポリシロキサンには撥液性基としてフルオロアルキル基が結合しており、骨格の表面において、当該表面を構成する原子のうち40原子%以上がフッ素原子である、ポリシロキサン多孔体である。
本発明のポリシロキサン多孔体の別の一例は、ポリシロキサンから構成された骨格と、マクロ孔との共連続構造を有するポリシロキサン多孔体であって、ポリシロキサンに撥液性基が結合しており、多孔体の表面におけるn−ヘキサデカンの接触角が150°以上である、ポリシロキサン多孔体である。
本発明のポリシロキサン多孔体の形状は限定されない。当該形状は、塊状でありうるし、膜、シート、フィルムでもありうる。また、その柔軟性に基づき、本発明のポリシロキサン多孔体を変形および復元させることも可能である。
本発明のポリシロキサン多孔体の用途は特に限定されない。例えば、その撥液性(超撥液性)およびマクロ孔による通気性、通液性を利用して、ガスセンサーのような油性の汚れを嫌うセンサーの保護層としての使用が考えられる。また、その多孔構造に基づく吸音性、防振性の利用、ポリシロキサンに基づく生体親和性の利用も考えられ、他の材料との複合材料、例えば繊維の混入により機械的特性を向上させた繊維強化材料、としての利用も考えられる。
本発明のポリシロキサン多孔体は、例えば、上述した本発明の製造方法により製造できる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
(実施例)
相分離制御剤としてカチオン性界面活性剤であるn−ヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩化物(CTAC;東京化成工業製)1.0gと、塩基性物質として尿素(林純薬工業製)5.0gと、濃度5mMの酢酸(林純薬工業製)水溶液15mLとを、ガラス製の反応容器内で混合した。次に、これらの混合物に、ビニルトリメトキシシラン(VTMS;信越化学工業製)0.025モル(3.71g)およびビニルメチルジメトキシシラン(VMDMS;信越化学工業製)0.010モル(1.32g)を、室温および強い攪拌下において同時に加え、溶液が均一となるまで60分間攪拌し続けた。このようにして得たゾルを密閉容器に移し、80℃に保持した熱対流炉に9時間保持して、相分離過程を伴うゾル−ゲル反応によるゲル化および形成したゲルの熟成を行った。次に、得られたゲルをメタノールに浸漬し、ゲルが吸収したメタノールを手で絞ることを数回繰り返すことで当該ゲルを洗浄して、ゲルに残留した界面活性剤および他の未反応化合物を取り除いた。次に、洗浄後のゲルを室温で乾燥させて、キセロゲル(乾燥ゲル)の一種であるポリシロキサン多孔体(サンプル1)を得た。
次に、作製した多孔体のうち0.5g(6.2ミリモル)を、撥液性基を有する化合物として1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンチオールを10体積%の濃度で18ミリモル含むとともに、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を触媒量含む2−プロパノール溶液50mLに浸漬し、60℃で10時間保持した。これにより、多孔体の骨格を構成するポリシロキサンのビニル基(VTMSおよびVMDMSのビニル基に由来)に、チオール−エンクリック反応により、パーフルオロデカン基を結合させた。このようにして得たゲルを2−プロパノールを用いて数回洗浄し、室温で乾燥させて、撥液性基であるパーフルオロデカン基がポリシロキサン骨格に結合したポリシロキサン多孔体(サンプル2)を得た。作製したサンプル1、サンプル2は、ともに白色であるとともに柔軟性を有しており、その手触りはマシュマロ様であった。また、手で容易に曲げることや表面を押し込むことができ、表面を押し込んだ場合、押し込む手を離すと形状が復元した。曲げ、押し込み、復元の様子に、サンプル1と2との間で大きな差は見られなかった(具体的には、若干、サンプル2の方が曲げ時に折れやすくなったが、ヤング率など、その機械的特性の測定値には明確な差が生じなかった)。
サンプル1について、一軸方向に力を加えた場合のSS曲線(応力−歪み曲線)の評価と、3点支持による繰り返し曲げ試験とを、材料試験装置(島津製作所製、EZGrap
h)を用いて実施した。具体的に、SS曲線の評価は、サンプル1を15mm×15mm×10mmの形状に切断して得た試験片に対し、5kNのロードセルを用いて0.5mm/分の速度で圧縮方向に力を加えた後、同速度で力を抜くことにより行った。繰り返し曲げ試験は、サンプル1を直径8mm、長さ40mmの円柱に加工し、その両端を30mmの間隔をおいて配置された一対の固定具にそれぞれ固定した後、側面上方から、角度60°の楔状の先端を有する直径30mmの押圧子を5mm/分の速度で5Nのロードセルを用いて繰り返し押し当てることにより行った(図1を参照。図1の左側がサンプルの解放時、右側がサンプルの曲げ時であり、繰り返し曲げ試験ではサンプルの解放と曲げとを繰り返す)。これらの評価結果を図2に示す。図2(a)は、一軸方向に力を加えた場合のサンプル1のSS曲線を示しており、当該曲線から、サンプル1において80%程度の圧縮率が達成可能であること、およびこのような高い圧縮率の圧縮から形状の復元がなされることが確認された。図2(b)は、繰り返し曲げ試験の結果を示しており、100サイクルの曲げ試験においても、変形量に対する力(応力)はサイクルを重ねるごとに若干減少する傾向にあるものの、サンプル1は元の形状を保持することが確認された。
サンプル1の表面に蒸留水を滴下したところ、153°の接触角が実現した。すなわち、サンプル1は超撥水性を有していた。次に、サンプル1の表面に、表面の撥液性を評価するために使用される標準的な液体であるn−ヘキサデカン、ジヨードメタン、1−ブロモナフタレン、フォルムアミド、エチレングリコールをそれぞれ滴下したところ、極性を有し、表面張力が比較的大きいフォルムアミド(20℃における表面張力58mN/m)およびエチレングリコール(20℃における表面張力48mN/m)を除き、いずれもサンプル1の内部に速やかに吸収され、表面にこれらの物質の液滴は観察されなかった。すなわち、サンプル1は撥油性を有していなかった。なお、サンプル1および2の表面における各液体の接触角は、接触角計(協和界面科学製、Drop Master DM−561Hi)を用いて、体積3μLの液体を表面に滴下してから2秒後の接触角を測定して求めた。フォルムアミドおよびエチレングリコール以外の上記物質は、全て、その20℃における表面張力が40mN/m以下である。
次に、サンプル1について、CP(cross polarization)法/MAS(magic angle spinning)法を用いた29Si固体核磁気共鳴(NMR)測定を行った。NMR測定は、後述の13C固体NMR測定を含めて、NMR測定装置(ブルカー製、Avance III 800)を用い、18.8Tの静的磁場で実施した。29Si固体NMR測定(CP/MAS)に際しては、交差分極(cross polarization)との接触時間を5.5ミリ秒に固定し、試料のスピンレートを15Hzにセットした。また、29Siの化学シフトの値は、外部参照としてのヘキサメチルシクロトリシロキサン結晶の−9.66ppm共鳴線を用いたテトラメチルシラン(Me4Si)に対する値とした。測定の結果、図3に示すように、D1、T1およびT2種は無視できる量のみが測定され、これにより、サンプル1(および反応処理後のサンプル2)では、親水性のシラノール基のうち幾何学的に反応可能な位置にあるものはほぼ全てがシロキサン結合を形成しており、ポリシロキサンのよく発達したネットワークが形成されていることが確認された。シラノール基が最小限しか存在しないことも、サンプル1が超撥水性を示すことに寄与していると推定される。
次に、双方のサンプル1,2の表面の構造を、走査型電子顕微鏡(SEM;JEOL製、JSM−6060S)を用いて評価した。各サンプルのSEM像を図4に示す。図4(a)はサンプル1、図4(b)はサンプル2である。図4に示すように、反応工程の前後において、ポリシロキサン多孔体としての骨格/マクロ孔の構造はそのまま維持されていた。また、図4に示すような表面の微細構造が、サンプル1の超撥水性およびサンプル2の超撥液性に寄与していると考えられる。SEM像から見積もったサンプル1,2の骨格の平均径は3μmであった。熱伝導率測定から見積もったサンプル1,2のマクロ孔の平均孔径は40μm程度であった。
次に、サンプル2に対して、X線光電子分光(XPS)測定を行った。XPS測定は、XPS測定装置(アルバックファイ製、MT−5500)を用いて、MgKα線(1253.6eV)により行った。その際、コアレベルは、284.6eVに設定した炭素原子の1sコアピークの第一成分を参照することにより較正した。XPS測定の結果、図5に示すように、フッ素原子(F1S:688.6eV)および硫黄原子(S2P:163.8eV)の存在が確認された。また、元素分析装置(ヤナコ製、MT−3およびMT−6)によりサンプル2の元素分析を行ったところ、サンプル2の表面において、当該表面を構成する原子の50原子%程度がフッ素原子であることが確認された。このことから、撥液性基がポリシロキサンのビニル基に十分に結合しており、サンプル2のマクロ孔の表面を覆っていることが確認された。
次に、サンプル2に対して、フーリエ変換赤外分光(FTIR)測定およびDD(dipole decoupling)法/MAS(magic angle scanning)法を用いた13C固体NMR測定を行ったところ、未反応のビニル基が検出された。FTIR測定は、赤外分光測定装置(島津製作所製、IRAffinity−1)を用いて、全反射(ATR)法により行った。FTIRの測定は、予め80℃で1日乾燥させたサンプルに対し、解像度4cm-1で計100回行った。13C固体NMR測定(DD/MAS)に際しては、待ち時間(recycle delay)を25秒に固定し、試料のスピンレートを15Hzにセットした。また、13Cの化学シフトの値は、外部参照としてのグリシンの176.46ppm共鳴線を用いたテトラメチルシラン(Me4Si)に対する値とした。FTIRの測定結果を図6に、13C固体NMRの測定結果を図7に、それぞれ示す。FTIRの結果では、「=CH2」の縦揺れが波数970cm-1に、「C=C」のねじれが波数1000cm-1に、「=CH2」のはさみが波数1400cm-1に、「C=C」の伸縮振動が波数1600cm-1に、それぞれ対応する。13C固体NMRの結果では、「Si−C*3」および「Si−C*2」が0.38ppm(図7中の「4」)に、「CF2−C*2」が22.77−32.57ppmに、「OC*3」が50.41ppmに、「C*3」および「C*2」が109.17−118.33ppm(図7中の「3」)に、「CH=C*2」が131.76ppm(図7中の「2」)に、「C*H=CH2」が136.31ppm(図7中の「1」)に、それぞれ対応する。
次に、サンプル1および2の比重を測定したところ、サンプル1について0.122g/cm3、サンプル2について0.157g/cm3であった。この比重の変化から求めた、サンプル1のポリシロキサンが有するビニル基のうち反応工程において反応したビニル基の割合は、およそ3〜5モル%であった。元素分析の結果を併せて考慮すると、ポリシロキサン多孔体(サンプル2)の骨格の表面(マクロ孔の壁面)に撥液性基が結合していることが確認された。
次に、蒸留水および1,3,5−トリメチルベンゼンをビーカーに入れて、下層が蒸留水、上層が1,3,5−トリメチルベンゼンの二層に完全に相分離するまで静置し、ここに、立方体に切断加工したサンプル1および2を投入した。結果、図8(a)に示すように、サンプル1(図8(a)に確認される2つの立方体のうち下側のもの)は1,3,5−トリメチルベンゼンを速やかに吸収して沈み、両層の界面の1,3,5−トリメチルベンゼン側で停止した(蒸留水に対してサンプル1は浮いていた)。一方、サンプル2(図8(a)に確認される2つの立方体のうち上側のもの)は、1,3,5−トリメチルベンゼン層の上に浮き、1週間以上経過してもサンプル1,2はこの状態を保持した。この現象は、サンプル1が有する超撥水性(撥液性は有さず)と、サンプル2が有する超撥液性とに由来する。
次に、サンプル2の表面に対する蒸留水およびn−ヘキサデカンの接触角を評価したと
ころ、それぞれ160°および151°であった。サンプル2の表面におけるn−ヘキサデカンの液滴の状態を図8(b)に示す。次に、サンプル2の表面に、n−ヘキサデカン、ジヨードメタン、1−ブロモナフタレン、フォルムアミド、およびエチレングリコールをそれぞれ滴下したところ、いずれも、サンプル2の表面において接触角150°以上の状態で液滴となった(図8(c))。また、サンプル2を任意に切断して新たに露出させた表面についても、同様の結果が得られた。なお、図8(c)において、“1”はn−ヘキサデカン、“2”はジヨードメタン、“3”は1−ブロモナフタレン、“4”はフォルムアミド、“5”はエチレングリコール、“6”は蒸留水である。
次に、サンプル2に対して、熱重量−示差熱分析(TG−DTA)を実施した。分析は、差動型示差熱天秤(リガク製、ThermoPlusTG8120)を用いて、エアーを100mL/分で常時供給しながら昇温速度5℃/分で実施した。図9に示すように、およそ170℃に至るまでサンプル2は安定であった。
(比較例)
VTMSおよびVMDMSの代わりに、メチルトリメトキシシラン0.021モル、ジメチルジメトキシシラン0.0070モル、および3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン0.070モルを用いた以外は実施例と同様にして、ポリシロキサン多孔体(サンプル3)を得た。
作製したサンプル3の表面に蒸留水を滴下したところ、150°以上の接触角が実現した。すなわち、サンプル3は超撥水性を有していた。次に、サンプル3の表面に、n−ヘキサデカン、ジヨードメタン、および1−ブロモナフタレンをそれぞれ滴下したところ、いずれもサンプル1の内部に速やかに吸収され、これらの物質の液滴は観察されなかった。すなわち、サンプル3は撥油性(撥液性)を有していなかった。
本発明のポリシロキサン多孔体および本発明の製造方法により得たポリシロキサン多孔体は、3次元的な撥液性または超撥液性を有する材料として、例えば、自己洗浄機能および防汚性を有する表面、ガス透過性隔壁、医療/生体材料などの種々の用途に使用することができる。また、その形状の自由度の高さによっても、種々の用途への応用を図ることができる。

Claims (17)

  1. ポリシロキサンから構成された骨格と、マクロ孔との共連続構造を有するポリシロキサン多孔体であって、
    前記ポリシロキサンに撥液性基が結合しており、
    前記撥液性基は、前記撥液性基を有する化合物と結合しうる反応性基(シラノール基を除く)に由来する分子構造を介して、前記ポリシロキサンと結合している、ポリシロキサン多孔体。
  2. ポリシロキサンから構成された骨格と、マクロ孔との共連続構造を有するポリシロキサン多孔体であって、
    前記ポリシロキサンに撥液性基が結合しており、
    前記ポリシロキサンは、前記撥液性基を有する化合物と結合しうる反応性基(シラノール基を除く)を有する、ポリシロキサン多孔体。
  3. 前記ポリシロキサンがアルキル基を有する、請求項1または2に記載のポリシロキサン多孔体。
  4. 前記撥液性基がフルオロアルキル基である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリシロキサン多孔体。
  5. 前記フルオロアルキル基が、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカン基、および1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチル基から選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載のポリシロキサン多孔体。
  6. 前記骨格の表面において、当該表面を構成する原子のうち40原子%以上がフッ素原子である、請求項4または5に記載のポリシロキサン多孔体。
  7. 前記反応性基が、ビニル基、メルカプト基、アミン基、エポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アジド基、およびグリシドキシ基から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれかに記載のポリシロキサン多孔体。
  8. 前記多孔体の表面におけるn−ヘキサデカンの接触角が150°以上である、請求項1〜7のいずれかに記載のポリシロキサン多孔体。
  9. 加水分解性の官能基を分子内に2つ有する2官能性ケイ素化合物と、前記官能基を分子内に3以上有する多官能性ケイ素化合物とを含み、前記2官能性ケイ素化合物および前記多官能性ケイ素化合物から選ばれる少なくとも1つの化合物が、撥液性基を有する化合物が結合しうる反応性基を有する溶液系において、
    ゾル−ゲル法による前記ケイ素化合物の加水分解および重合ならびに前記系の相分離を進行させることにより、
    前記ケイ素化合物の重合体であって、前記反応性基を有するポリシロキサンに富む骨格相と、前記系の溶媒に富む溶液相とから構成されるとともに、前記骨格相および溶液相の共連続構造を有するゲルを形成するゲル化工程と;
    前記ゲルを乾燥させて、前記骨格相を骨格とし、前記溶液相をマクロ孔として、前記骨格およびマクロ孔の共連続構造を有するポリシロキサン多孔体とする乾燥工程と;
    前記ポリシロキサンが有する前記反応性基と、撥液性基を有する化合物とを化学反応させて、前記ポリシロキサンに前記撥液性基を結合させる反応工程と;
    を含む、ポリシロキサン多孔体の製造方法。
  10. 前記2官能性ケイ素化合物が、炭素数1〜4のアルコキシ基を前記加水分解性の官能基として有するジアルコキシシランである、請求項に記載のポリシロキサン多孔体の製造方法。
  11. 前記多官能性ケイ素化合物が、前記加水分解性の官能基を分子内に3つ有する3官能性ケイ素化合物である、請求項または10に記載のポリシロキサン多孔体の製造方法。
  12. 前記3官能性ケイ素化合物が、炭素数1〜4のアルコキシ基を前記加水分解性の官能基として有するトリアルコキシシランである、請求項11に記載のポリシロキサン多孔体の製造方法。
  13. 前記反応性基が、ビニル基、メルカプト基、アミン基、エポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アジド基、およびグリシドキシ基から選ばれる少なくとも1種である、請求項12のいずれかに記載のポリシロキサン多孔体の製造方法。
  14. 前記撥液性基がフルオロアルキル基である、請求項13のいずれかに記載のポリシロキサン多孔体の製造方法。
  15. 前記溶液系が酸性であり、かつ塩基性物質をさらに含む、請求項14のいずれかに記載のポリシロキサン多孔体の製造方法。
  16. 前記溶液系が界面活性剤をさらに含む、請求項15のいずれかに記載のポリシロキサン多孔体の製造方法。
  17. 前記反応性基がビニル基であり、
    前記撥液性基を有する化合物がチオール基を有し、
    前記反応工程において、前記反応性基と前記化合物との化学反応をチオール−エンクリック反応により進行させる、請求項16のいずれかに記載のポリシロキサン多孔体の製造方法。
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