JP2002275356A - エポキシ樹脂用充填材及びエポキシ樹脂組成物 - Google Patents

エポキシ樹脂用充填材及びエポキシ樹脂組成物

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JP2002275356A JP2001082537A JP2001082537A JP2002275356A JP 2002275356 A JP2002275356 A JP 2002275356A JP 2001082537 A JP2001082537 A JP 2001082537A JP 2001082537 A JP2001082537 A JP 2001082537A JP 2002275356 A JP2002275356 A JP 2002275356A
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filler
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silane coupling
silica
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Masaya Yoshida
雅矢 吉田
Akio Yoshida
昭夫 吉田
Shojiro Watanabe
祥二郎 渡辺
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Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】シランカップリング剤処理が施されているにも
拘わらずシリカ粒子同士の結合・凝集が著しく少ないエ
ポキシ樹脂用充填材を提供する。 【解決手段】平均粒子径D50が0.3μm以下、10
0%相当径D100が0.5μm以下、シラノール基濃
度が0.5〜5.0個/nm2であり、実質的にストラ
クチャー構造を形成していないシリカ超微粉が、シラン
カップリング剤によって表面処理されていることを特徴
とするエポキシ樹脂用充填材。この充填材が充填されて
なるエポキシ樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エポキシ樹脂組成
物の熱膨張率制御が容易なエポキシ樹脂用充填材及びエ
ポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プリント配線版の高密度実装化の
進展にともない、樹脂基板の低熱膨張化や高ガラス転移
温度化等の諸特性の改良が求めれ、その対応の一例とし
て、熱膨張係数が樹脂に比べて小さいシリカの配合され
たエポキシ樹脂ワニスをガラス不織布に含浸する方法が
ある。しかしながら、低熱膨張化と高ガラス転移温度化
を同時に発現するためにシリカの充填量を多くすると、
樹脂組成物の粘度が上昇して流動性が低下しガラス不織
布への含浸作業が困難となるばかりでなく、シリカ粒子
が二次凝集して樹脂基板内にボイドなどの欠陥が発生す
る。この問題を解決するため、例えば平均粒子径が5〜
10μmで最大粒径が40μm以下のベースシリカと、
平均粒子径1μm以下の微粉シリカの少量とを併用する
ことが提案(特開平9−291160号公報)されてい
る。
【0003】しかしながら、平均粒子径が5〜10μm
のシリカは、エポキシ樹脂ワニスの貯蔵中に沈降してシ
リカ濃度差が発生しやすくなり、再撹拌によってもそれ
を回復させ難く、ガラス不織布表面のシリカ付着量にば
らつきが生じ表面平滑性が損われた。一方、平均粒子が
1μm以下の微粉シリカは、それが有する形態やシラノ
ール基の極性あるいは水素結合などにより凝集しやすい
ので、エポキシ樹脂ワニス中で分散不良を起こし、思っ
たほどにはボイド発生抑止効果を発現せず、むしろ不織
布表面での分布が不均一となった。とくに、形態がスト
ラクチャー構造を形成している超微粉シリカ(たとえ
ば、日本アエロジル社製「アエロジル」)を単独で使用
するとエポキシ樹脂ワニスの急激な粘度上昇によりガラ
ス不織布への含浸性が著しく低下した。
【0004】シリカとエポキシ樹脂との濡れを良くし、
分散性を向上させる方法として、シリカ表面をシランカ
ップリング剤で改質する方法が知られているが、特に形
態がストラクチャー構造を形成している超微粉シリカの
場合、粒子同士が結合・凝集しているので均一な表面処
理を施すことは困難である。粒子同士の結合・凝集が起
きると、不織布表面に粗大粒子が付着して表面平滑性が
悪化するだけでなく、熱的特性(熱膨張率やガラス転移
温度)等も損われてしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑み
てなされたものであり、その目的は、シランカップリン
グ剤処理が施されているにも拘わらずシリカ粒子同士の
結合・凝集が著しく少ないエポキシ樹脂用充填材を提供
することである。本発明の他の目的は、それが充填され
たエポキシ樹脂組成物を提供することであり、エポキシ
樹脂積層板の低熱膨張化や高ガラス転移温度化等の諸特
性の向上を図ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、平
均粒子径D50が0.3μm以下、100%相当径D1
00が0.5μm以下、シラノール基濃度が0.5〜
5.0個/nm2であり実質的にストラクチャー構造を
形成していないシリカ超微粉が、シランカップリング剤
によって表面処理されていることを特徴とするエポキシ
樹脂用充填材である。また、本発明は、上記エポキシ樹
脂用充填材が充填されてなるエポキシ樹脂組成物であ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳しく説明す
る。
【0008】本発明で用いられるシリカ超微粉は、平均
粒子径D50が0.3μm以下で、100%相当径D1
00が0.5μm以下、シラノール基濃度が0.5〜
5.0個/nm2であることが必要である。平均粒子径
D50が0.3μm未満又は100%相当径D100が
0.5μm超であると、シリカ超微粉の比表面積低下に
よってシリカ表面とエポキシ樹脂の相互作用が低下し、
熱的特性の改善効果が不十分となる。一方、シラノール
基濃度が0.5個/nm2未満では、エポキシ樹脂との
濡れを良くして分散性を向上させるシランカップリング
剤が反応する活性サイトが少なくなり、5.0個/nm
2をこえると、改質に必要なカップリング剤量が増え、
粒子同士が結合・凝集を起こしやすくなる。
【0009】このような粒子特性は、アエロジルの例の
ように、平均粒子径D50が0.02μm程度、100
%相当径D100が0.1μm程度、シラノール基濃度
が3.6個/nm2程度と知られているが、本発明で用
いられるシリカ超微粉は、実質的にストラクチャー構造
を形成していない点で特異である。これによって、シラ
ンカップリング剤による表面処理後の粒子同士が強い凝
集を形成しないので、エポキシ樹脂中での分散が良好と
なり、樹脂基板内にボイドなどの欠陥が発生し難く、ガ
ラス不織布表面での分布が均一となる。
【0010】本発明において、「実質的にストラクチャ
ー構造を形成していない」とは、以下に従いTEM観察
された粒子の球形度が0.9以上であると定義される。
具体的には任意に選ばれた20個以上の粒子について画
像解析装置によって取り込み、表示された値が0.9以
上である。画像解析装置としては、例えば日本アビオニ
クス社製「SPICCA−II」が用いられる。
【0011】TEM(透過型電子顕微鏡)観察は、超微
粉シリカを分散させ、所定の倍率(粒子の大きさに応じ
て10万倍〜100万倍)で写真撮影を行い、ストラク
チャーの形成観察と画像解析によって行われる。超微粉
シリカの分散方法としては、例えばアセトン溶媒に極微
量の試料を超音波分散させ、その希薄な溶液をメンブラ
ンフィルターで吸引濾過して粉末を分散状態にして乾燥
する。その後フィルターに付着したままの粉末をTEM
観察する。
【0012】シリカ超微粉の粒子径はレーザー散乱光
法、シラノール基濃度はカールフィッシャー法によって
測定される。それらの機器の一例は、コールター社製粒
度測定器(モデルLS−230型)、三菱化学社製微量
水分測定器(モデルCA−05)である。平均粒子径D
50及び100%相当径D100を測定する場合、分散
媒体には純水やエタノールが用いられ、超音波を付与し
て試料を分散させる。
【0013】カールフィッシャー法にてシラノール基濃
度を測定するには、水分気化装置に超微粉シリカをセッ
トし、電気ヒーターで加熱しながら脱水処理されたアル
ゴンガスを供給し、超微粉シリカから揮発した水蒸気を
測定器に導き、その水分量を測定することによって行わ
れる。本発明においては、加熱温度250℃未満までに
発生した水分を物理的な吸着水とし、加熱温度250℃
から900℃までに発生した水分をシラノール基の脱水
縮合によるものとみなし、それをもとに単位表面積あた
りのシラノール基濃度を求めた。
【0014】シリカ超微粉は、シリコン粒子を化学炎や
電気炉等で形成された高温場に投じて酸化反応させなが
ら球状化する方法(例えば特許第1568168号明細
書)、シリコン粒子スラリーを火炎中に噴霧して酸化反
応させながら球状化する方法などによって製造すること
ができる。四塩化珪素の気相高温加熱分解法は、製造さ
れたシリカ超微粉がストラクチャー構造を有するため、
本発明には適さない。
【0015】シリカ超微粉のシランカップリング剤によ
る表面処理法としては、周知の技術を採用することがで
きる。たとえば、シランカップリング剤を直接噴霧する
スプレー法、シランカップリング剤の希薄水溶液を調製
して含浸処理する水溶液法、シランカップリング剤を有
機溶媒に溶解して含浸処理する方法などである。好まし
くは、シリカ超微粉を製造してから捕集するまでの任意
工程でシランカップリング剤を気流中に噴霧する方法で
あり、これによって二次凝集の発生を著しく抑止するこ
とができる。なお、シランカップリング剤の処理に際し
ては、酸、アルカリを共存させることができる。
【0016】本発明で使用されるシランカップリング剤
としては、特別なものである必要がなく一般品で十分で
ある。それを例示すると、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン
等であり、これらの一種又は二種以上が用いられる。シ
ランカップリング剤の使用量は、シリカ超微粉の表面を
被覆するのに必要な量であり、具体的にはシリカ超微粉
100部(質量部、以下同じ)に対して、0.05〜1
0部である。
【0017】本発明で使用されるエポキシ樹脂について
も特別なものである必要がなく一般品で十分である。そ
れを例示すると、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビ
スフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボクラッ
ク型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等であり、これ
らの一種又は二種以上が用いられる。本発明のエポキシ
樹脂組成物は、ニーダー、3本ロール、プラネタリーミ
キサーなどを用い、本発明の充填材、エポキシ樹脂、硬
化剤、硬化促進剤等を混練することによって製造され
る。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例、比較例をあげて更に
説明する。
【0019】竪型炉の頂部に、内炎と外炎が形成できる
二重管構造のLPG−酸素混合型バーナーが設けられ、
炉底付近から熱処理物をブロワーで捕集系に送給しバグ
フィルターで回収できる装置を用いて本発明のシリカ超
微粉を製造した。上記バーナーの中心部に取り付けられ
た二流体ノズルの中心から水系スラリーが、またその周
囲から酸素が火炎に噴射される。火炎の形成は、バーナ
ーのそれぞれの噴射口の細孔から、外炎形成用と内炎形
成用のLPG−酸素の混合ガスを噴射することによって
行われ、LPGと酸素ガス量の制御によって火炎状態が
調整される。
【0020】実施例1 金属シリコン粉末(平均粒径10.5μm)20部と水
80部からなる水系スラリー(固形分濃度20%)を、
二流体ノズルの中心部から火炎中(温度約1900℃)
に11.0kg/時間の速度で噴射した。
【0021】生成したシリカ超微粉を浮遊させ、捕集系
に空気輸送する間の温度約270℃の配管部において、
シランカップリング剤(信越化学工業社製γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン「KBM−403」)
を噴霧した。シランカップリング剤は、水100部に
2.5部を混合したものを用い、それをシリカ超微粉1
00部あたりシランカップリング剤として0.5部の割
合となるように噴霧した。その後、捕集系に空気輸送さ
れるまでの間で加熱乾燥を行いシランカップリング剤で
処理された本発明のシリカ超微粉をバグフィルターで捕
集した。
【0022】実施例2 シランカップリング剤をN−フェニル−γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM−
573」)に変えたこと以外は、実施例1に準じてシラ
ンカップリング剤で処理されたシリカ超微粉を捕集し
た。
【0023】比較例1 固形分濃度65%の水系スラリーを用いたこと以外は、
実施例1に準じてシランカップリング剤で処理されたシ
リカ超微粉を捕集した。
【0024】比較例2 シランカップリング剤による処理を行わないこと以外
は、実施例1に準じてシリカ超微粉を捕集した。
【0025】比較例3 市販のストラクチャー構造を形成している超微粉シリカ
(日本アエロジル社製「アエロジル130」)をミキサ
ーに入れ、2000rpmで攪拌して流動状態に保持し
ながらシランカップリング剤を噴霧し、次いで150℃
で1時間熱処理を行ったこと以外は、実施例1に準じて
シランカップリング処理された超微粉シリカを製造し
た。
【0026】上記実施例、比較例のシリカ粉末の粒度分
布、シラノール基濃度及びストラクチャー構造の形成を
上記に従い測定した。また、シリカ粉末15部と液状エ
ポキシ樹脂(東都化成社製「YD−128」)85部と
を簡易型混練機(シンキー社製「あわとり練太郎AR−
360M」)を用いて20分間混合して得られたエポキ
シ樹脂組成物の粘度(10rpm時)を測定した。それ
らの結果を表1に示す。
【0027】さらに、エポキシ樹脂用充填材としての性
能を評価するため、液状エポキシ樹脂とシリカ粉末の上
記配合物を、上記簡易型混練機を用い、自転回転数60
0rpm、公転回転数2000rpmで10分間混練し
た。これの20gに硬化剤(4,4’−ジアミノジフェ
ニルメタン:特級試薬)4.88gを加え、超音波をか
けて分散させ、5分間減圧脱法を行い、四フッ化エチレ
ン樹脂製型(5mm×5mm×20mm)に注入した。
その後、150℃で1時間、引き続き200℃で2時間
の硬化を行って得られた成形体の室温から250℃まで
の熱膨張率を測定した。それぞれの成形体のガラス転移
温度までの熱膨張率及びガラス転移温度の結果を表2に
示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】表1〜2の実施例と比較例との対比から明
らかなように、本発明の充填材はシリカ粒子同士の結合
・凝集が起こり難いことから、エポキシ樹脂成形体の低
熱膨張率化が達成されていることがわかる。
【0031】
【発明の効果】本発明のエポキシ樹脂用充填材は、シラ
ンカップリング剤処理が施されているにも拘わらずシリ
カ粒子同士の結合・凝集が著しく少ないものである。そ
の結果、それの充填されたエポキシ樹脂組成物又はその
成形体は、従来品よりも低熱膨張率化等の諸特性の改善
が著しく図られている。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G072 AA38 AA41 BB05 CC16 DD05 DD06 GG02 HH01 HH14 HH28 HH30 JJ11 MM01 QQ06 QQ09 TT01 UU07 UU09 4J002 CD001 CD021 CD051 CD061 DJ016 FA086 FB096 FB136 FB146 FD016

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒子径D50が0.3μm以下、1
    00%相当径D100が0.5μm以下、シラノール基
    濃度が0.5〜5.0個/nm2であり、実質的にスト
    ラクチャー構造を形成していないシリカ超微粉が、シラ
    ンカップリング剤によって表面処理されていることを特
    徴とするエポキシ樹脂用充填材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のエポキシ樹脂用充填材が
    充填されてなることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
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