JP2002037972A - 高重合度塩化ビニル系樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

高重合度塩化ビニル系樹脂組成物及びその成形体

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JP2002037972A
JP2002037972A JP2000229329A JP2000229329A JP2002037972A JP 2002037972 A JP2002037972 A JP 2002037972A JP 2000229329 A JP2000229329 A JP 2000229329A JP 2000229329 A JP2000229329 A JP 2000229329A JP 2002037972 A JP2002037972 A JP 2002037972A
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vinyl chloride
weight
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chloride resin
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JP2000229329A
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English (en)
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Toshifumi Sanji
敏文 三二
Hideshi Matsumoto
英志 松本
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性に優れ、かつ、疲労強度等の耐久性
に優れた塩化ビニル系樹脂組成物及びその成形体を提供
することである。 【解決手段】 単独重合体の二次転移温度が−140〜
−20℃であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー
を50重量%以上含有するアクリル系モノマー成分10
0重量部と多官能性モノマー成分0.01〜30重量部
とを共重合せしめたアクリル系共重合体に、アクリル系
共重合体含有量が4〜20重量%となるように平均重合
度2000〜4000の塩化ビニル系重合体をグラフト
共重合してなる塩化ビニル系樹脂100重量部に対し
て、熱安定剤0.5〜7重量部、滑剤0.2〜5重量
部、及び加工助剤0.5〜7重量部を配合してなる塩化
ビニル系樹脂組成物、及び上記組成物からなる成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ビニル系樹脂
組成物及びその成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル樹脂は、機械的強度、耐候
性、耐薬品性等において優れた材料であるので、建築部
材、管工機材、住宅資材等に広く用いられている。これ
らの塩化ビニル樹脂成形体においては、機械強度や耐衝
撃性が、また、長期性能としては疲労強度等の耐久性が
必要となることが多い。一般に塩化ビニル樹脂は、耐衝
撃性が劣るため、種々の改質方法が提案されている。例
えば、耐衝撃性を向上させる方法としては、塩化ビニル
樹脂に、塩素化ポリエチレン(CPE)、メタクリル酸
メチルーブタジエンースチレン共重合体(MBS)、ア
クリルゴム等のゴム系樹脂を耐衝撃性強化剤として配合
して成形する方法が一般的である。
【0003】しかし、耐衝撃性強化剤を配合した塩化ビ
ニル樹脂組成物を成形する場合、塩化ビニルとゴム成分
の界面の強度が不十分なため、疲労強度等の耐久性に劣
る。一方、特願平8−335747号公報には、特定の
アクリル系共重合体に塩化ビニルをグラフト重合させ
て、塩化ビニルとゴム成分の界面をグラフト結合させて
耐衝撃性を損なわずに、かつ、耐久性に優れた塩化ビニ
ル系樹脂成形体を得ることができる技術が開示されてい
る。しかし、より、長期耐久性を必要とする用途に対し
ては必ずしも十分ではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題に鑑み、耐衝撃性に優れ、かつ、疲労強度等の
耐久性に優れた塩化ビニル系樹脂組成物及びその成形体
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の塩化ビニル系樹
脂組成物は、単独重合体の二次転移温度が−140〜−
20℃であるアルキル(メタ)アクリレートモノマーを
50重量%以上含有するアクリル系モノマー成分100
重量部と多官能性モノマー成分0.01〜30重量部と
を共重合せしめたアクリル系共重合体に、アクリル系共
重合体含有量が4〜20重量%となるように平均重合度
2000〜4000の塩化ビニル系重合体をグラフト共
重合してなる塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、
熱安定剤0.5〜7重量部、滑剤0.2〜5重量部、及
び加工助剤0.5〜7重量部を配合してなることを特徴
とする塩化ビニル系樹脂組成物。
【0006】上記アルキル(メタ)アクリレートモノマ
ーとしては、単独重合体の二次転移温度が−140〜−
20℃であれば特に限定されず、例えば、エチルアクリ
レート、n−プロピルアクリレート、イソブチルアクリ
レート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアク
リレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキ
シルアクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレー
ト、イソオクチルアクリレート、n−デシル(メタ)ア
クリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノ
ニルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチル琥珀
酸等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2
種類以上併用してもよい。
【0007】上記その他のアクリル系モノマーとしては
特に限定されず、例えば、アクリル酸フェニル、アクリ
ル酸2−クロロエチル、メチルメタクリル酸フェニル、
ヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。
【0008】上記アクリル系モノマー成分中の、単独重
合体の二次転移温度が−140〜−20℃であるアルキ
ル(メタ)アクリレートモノマーの割合は、50重量%
未満の場合は耐衝撃性の改善効果が不十分なので50重
量%以上である。
【0009】上記多官能性モノマーしては、上記アルキ
ル(メタ)アクリレートモノマーと共重合可能なもので
あれば特に限定されず、例えば、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート等の多官能アクリレート類、ジアリルフタレ
ート、ジアリルマレート、トリアリルイソシアヌレート
等の多官能アリル化合物、ブタジエン等の不飽和化合物
等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種
類以上併用してもよい。
【0010】上記アクリル系共重合体としては、上記ア
クリル系モノマー成分100重量部に対して多官能性モ
ノマー0.01〜30重量部添加されたものである。上
記多官能性モノマーの添加量が0.01重量部未満であ
ると、最終的に得られる成形体の耐久性が低下し、30
重量部を超えると、耐衝撃性が低下する。
【0011】上記アクリル系共重合体の形態や構造とし
ては特に限定されないが、例えば、共重合体粒子の内部
(コア部)と表層部(シェル部)のモノマー組成が異な
るコアーシェル構造は、狙いとする性能に応じ、コア部
とシェル部に相異する機能を持たせることが可能となる
ので好ましい。上記コア部に用いられるアルキル(メ
タ)アクリレートモノマーとしては、成形体の耐衝撃性
向上を考えた場合、ガラス転移温度の低いものを用いる
ことが好ましく、例えば、2−エチルヘキシルアクリレ
ートが好適に使用され、シェル部には、上記アクリル系
共重合体のハンドリング性向上の点から、n−ブチルア
クリレートが用いられるのが好ましい。
【0012】上記アクリル系共重合体の塩化ビニル系樹
脂中の含有量は、4〜20重量%の範囲である。含有量
が4重量%未満の場合、耐衝撃性が十分に発現しない場
合があり、含有量が20重量%を越えると、疲労強度等
の耐久性や力学強度が低下してしまう恐れがある。
【0013】上記塩化ビニル系重合体としては、塩化ビ
ニル単量体の単独重合体であってもよいし、塩化ビニル
単量体と、該塩化ビニル単量体と共重合可能な他の単量
体との共重合体であってもよい。
【0014】上記塩化ビニルと共重合可能な他の単量体
としては、例えば、エチレン、プロピレン、塩化アリ
ル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、
メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、無水マレイン酸、
アクリロニトリル等の単量体が挙げられ、これらは単独
で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。
【0015】上記塩化ビニル系重合体はJISK672
1に記載の方法で測定された平均重合度が2000〜4
000の範囲のものである。平均重合度が、2000未
満になると、疲労強度等の耐久性が十分に発現せず、4
000を超えると、成形が困難となる。
【0016】上記アクリル系共重合体を得る方法として
は特に限定されず、例えば、乳化重合法、懸濁重合法等
が挙げられる。耐衝撃性の発現性を考慮すると、乳化重
合法が好ましい。乳化重合法では、上記アルキル(メ
タ)アクリレートモノマーの乳化液中での分散安定性を
向上させ、重合を効率的に行う目的で、乳化分散剤が添
加される。上記乳化分散剤としては特に限定されず、例
えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサル
フェート(市販品、第一工業製薬社製、商品名「ハイテ
ノールN−08」)等のアニオン系界面活性剤、ノニオ
ン系界面活性剤、部分ケン化ポリビニルアルコール、セ
ルロース系分散剤、ゼラチン等が挙げられる。
【0017】また、乳化重合法では、重合開始剤が使用
される。重合開始剤としては特に限定されず、例えば、
過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水の
水溶性重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロ
イルパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブ
チロニトリル等のアゾ系開始剤等が挙げられる。さら
に、必要に応じて、pH調整剤、酸化防止剤等が添加さ
れていてもよい。
【0018】上記乳化重合法としては特に限定されず、
モノマーの添加方法の違いから、例えば、一括重合法、
モノマー滴下法、エマルジョン滴下法等が挙げられる。
一括重合法は、例えば、ジャケット付重合反応器内に、
純水、乳化分散剤、重合開始剤及びモノマーを一括して
添加し、窒素気流による酸素除去及び窒素雰囲気下の条
件において、撹拌により充分乳化した後、器内をジャケ
ットにより加熱することで重合する方法である。
【0019】モノマー滴下法は、例えば、ジャケット付
重合反応器内に純水、乳化分散剤、重合開始剤を入れ、
窒素気流下による酸素除去及び窒素雰囲気下において、
まず器内をジャケットにより加熱した後、上記モノマー
を一定量ずつ滴下することにより徐々に重合する方法で
ある。
【0020】エマルジョン滴下法は、例えば、上記混合
モノマー、乳化分散剤、純水を撹拌により充分乳化する
ことにより予め乳化モノマーを調整し、ついでジャケッ
ト付重合反応器内に純水、重合開始剤を入れ、窒素気流
下による酸素除去及び窒素雰囲気下において、まず器内
をジャケットにより加熱した後、上記乳化モノマーを一
定量ずつ滴下することにより重合する方法である。
【0021】上記アクリル系共重合体がコアーシェル構
造を有している場合においても、その形成方法は特に限
定されないが、例えば、まず、コア部を構成するモノマ
ー、純水及び乳化剤から調製した乳化モノマーに重合開
始剤を加えて重合反応を行い、コア部の樹脂粒子を形成
し、次いで、シェル部を構成するモノマー、純水及び乳
化剤から調製した乳化モノマーを添加し、上記コア部に
シェル部をグラフト共重合させる方法等が挙げられる。
【0022】このようにして得られたアクリル系共重合
体は、上記コア部の表面を上記シェル部が三次元的に覆
い、上記シェル部を構成する共重合体と上記コア部を構
成する共重合体とが部分的に共有結合し、上記シェル部
が三次元的な架橋構造を形成している。上記方法におい
て、上記シェル部のグラフト共重合は、上記コア部の重
合と同一の重合工程で連続して行ってもよい。
【0023】上記コア部と上記シェル部の割合は、上記
乳化重合法において、コア部を形成するモノマーとシェ
ル部を形成するモノマーとの割合を調整することによっ
て調節可能であり、必要に応じて適決定される。
【0024】本発明の塩化ビニル系樹脂としては、上記
の方法で得られるアクリル系共重合体を用い、このアク
リル系共重合体に、塩化ビニル、又は、塩化ビニルと塩
化ビニルと共重合可能な他の単量体からなる塩化ビニル
系重合体がグラフト共重合されてなるものが使用され
る。
【0025】上記塩化ビニル系樹脂を得る方法としては
特に限定されず、例えば、乳化重合法、懸濁重合法等が
挙げられる。なかでも、懸濁重合法が好ましい。懸濁重
合法では、上記アクリル系共重合体の分散安定性を向上
させ、塩化ビニル又は塩化ビニルと、塩化ビニルと共重
合可能な他の単量体との混合物のグラフト共重合を効率
的に行う目的で、分散剤及び油溶性重合開始剤を使用す
る。
【0026】上記分散剤としては特に限定されず、例え
ば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポ
リ酢酸ビニルの部分ケン化物、ゼラチン、ポリビニルピ
ロリドン、デンプン、無水マレイン酸−スチレン共重合
体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2
種類以上併用してもよい。
【0027】上記油溶性重合開始剤としては、グラフト
共重合に有利な点から、ラジカル重合開始剤が好適に用
いられる。本発明で用いられる重合開始剤としては例え
ば、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピル
パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオ
デカノエート、α−クミルパーオキシネオデカノエー
ト、イソブチリルパーオキサイド、α、α' −ビス(ネ
オデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、
1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデ
カノエート等の有機パーオキサイド類、2,2−アゾビ
ス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等
が挙げられる。これら重合開始剤は必要に応じて適宜選
択して使用される。
【0028】上記塩化ビニル系樹脂を構成する塩化ビニ
ル系重合体の重合度は2000〜4000の範囲である
が、前記重合度のものを得るためには重合温度の制御が
重要となり、例えば、高重合度にするためには重合温度
を低くする必要がある。したがって、目的とする重合度
に応じて重合温度は適宜選択される。
【0029】上記の懸濁重合法では、必要に応じて、p
H調整剤、酸化防止剤等が添加されていてもよい。
【0030】上記懸濁重合法においては、具体的には、
例えば、撹拌機及びジャケットを備えた反応容器に、純
水、上記アルキル(メタ)アクリレート樹脂、分散剤、
油溶性重合開始剤、及び、必要に応じて、重合調整剤を
投入し、その後、真空ポンプで重合器内の空気を排出し
次に窒素を導入して窒素雰囲気とした後、撹拌条件下で
塩化ビニル、及び、必要に応じて、他のビニルモノマー
を投入した後、反応容器内をジャケットにより加熱し、
塩化ビニルのグラフト共重合を行う。
【0031】上記塩化ビニルのグラフト共重合は、ジャ
ケット温度を変えることにより反応容器内の温度を制御
することができる。反応終了後は、未反応の塩化ビニル
を除去してスラリー状の塩化ビニル系樹脂の懸濁液を
得、更に脱水乾燥することにより塩化ビニル系樹脂を製
造することができる。以上の製造方法により製造された
塩化ビニル系樹脂は、アクリル系共重合体に塩化ビニル
系重合体をグラフト共重合して得られるので、耐衝撃性
に優れた塩化ビニル系樹脂成形体を成形することができ
る。
【0032】本発明においては、上記塩化ビニル系樹脂
100重量部に対して、熱安定剤0.5〜7重量部、滑
剤0.2〜5重量部、及び加工助剤0.5〜7重量部を
配合してなる塩化ビニル系樹脂組成物が得られる。
【0033】上記熱安定剤としては特に限定されず、例
えば、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプ
ト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブ
チル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオ
クチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、ジ
ブチル錫ラウレートポリマー等の有機錫系安定剤、ステ
アリン酸鉛、二塩基性亜燐酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の鉛
系安定剤、カルシウム−亜鉛系安定剤、バリウム−亜鉛
系安定剤、バリウム−カドミウム系安定剤等が挙げられ
る。これらは単独で使用してもよく、2種以上併用して
もよい。
【0034】上記熱安定剤の添加量は、上記塩化ビニル
系樹脂100重量部に対して、熱安定剤0.5〜7重量
部である。0.5重量部未満であると、熱安定性が低下
し、成形が難しくなり、逆に7重量部を超えると、耐衝
撃性及び耐熱性が低下するので、上記範囲に限定され
る。好ましくは、0.7〜5重量部である。さらに好ま
しくは、1〜4重量部である。
【0035】上記滑剤としては、特に限定されず、例え
ば、ポリエチレンワックス、パラフィン系ワックス等の
炭化水素系、ステアリン酸等の脂肪酸系、脂肪酸のアル
コールエステル、リン酸エステル等のエステル系、脂肪
アルコール、ポリグリセロール等のアルコール系等が挙
げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を
併用してもよい。
【0036】上記滑剤の添加量は、上記塩化ビニル系樹
脂100重量部に対して0.2〜5重量部である。0.
2重量部未満であると、得られる成形体の外観が良くな
く、逆に5重量部を超えると、耐熱性が低下するので、
上記範囲に限定される。好ましくは0.5〜4重量部で
ある。さらに好ましくは1〜3重量部である。
【0037】上記の加工助剤としては、特に限定され
ず、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の
(メタ)アクリレート系モノマーの単独重合体、上記
(メタ)アクリレート系モノマーから選ばれた2種以上
のモノマーの共重合体、(メタ)アクリレートとスチレ
ン、ビニルトルエン、アクリロニトリル等のビニルノモ
マーとの共重合体等が挙げられる。なお、上記加工助剤
の中でも、成形時、金属との密着性を高める効果が強
く、成形体の外観が良くなる傾向の強い、平均分子量が
100万〜500万のアクリル樹脂系加工助剤が好まし
い。
【0038】上記の加工助剤の添加量は、上記塩化ビニ
ル系樹脂100重量部に対して、0.5〜7重量部であ
る。0.5重量部未満であると、樹脂のゲル化を促進さ
せることが難しくなり、また得られる成形体の外観が良
くなく、逆に7重量部を超えると成形時の負荷が大きく
なり好ましくないので、上記範囲に限定される。好まし
くは0.7〜5重量部である。さらに好ましくは1〜4
重量部である。
【0039】なお、上記塩化ビニル系樹脂には、必要に
応じて、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定
剤、帯電防止剤、充填剤、顔料等の添加剤が添加されて
もよい。
【0040】上記に示した各種配合剤を上記塩化ビニル
系樹脂に混合する方法としては特に限定されず、例え
ば、ホットブレンドによる方法、コールドブレンドによ
る方法等が挙げられる。また、本発明の塩化ビニル系樹
脂組成物の成形方法としては、特に限定されないが、高
重合度樹脂であることを考慮すると押出成形法またはプ
レス成形法等が好ましい。
【0041】
【発明の実施の形態】以下に実施例を揚げて本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限
定されるものではない。
【0042】実施例1 〔アクリル系共重合体の作製〕2−エチルヘキシルアク
リレート50重量部、トリメチロールプロパントリアク
リレート(TMPTA)0. 1重量部、ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテルアンモニウムサルフェート
0. 5重量部、純水35重量部を混合してコア層用乳化
モノマー混合液を調整し、n−ブチルアクリレート30
重量部、TMPTA1. 5重量部、ポリオキシエチレン
ノニルフェニルエーテルアンモニウムサルフェート0.
3重量部、純水25重量部を混合してシェル層用モノマ
ー混合液を調整した。次に、攪拌機及び還流冷却器を備
えた反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレート20
重量部、TMPTA0. 04重量部、ポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテルアンモニウムサルフェート
0. 2重量部、純水180重量部を入れ、容器内の酸素
を窒素により置換した後、攪拌条件下で反応容器を70
℃に昇温した。昇温終了後、反応器に過硫酸アンモニウ
ム(重合開始剤)0. 1重量部を加えて反応させ、次に
コア層形成用乳化モノマーを滴下し重合させた。コア層
形成用乳化モノマーの滴下が終了次第、シェル層形成用
の乳化モノマーを滴下した。すべての乳化モノマーの滴
下を3時間で終了し、その後、1時間の熟成期間をおい
た後、重合を終了して固形分濃度30重量%のアクリル
系共重合体を得た。
【0043】〔塩化ビニル系樹脂の作製〕次いで、攪拌
機及びジャケットを備えた反応容器に、純水100重量
部、上記アクリル系共重合体4. 95重量部、部分ケン
化ポリビニルアルコール(クラレポバールL−8、クラ
レ社製)の3%水溶液(PVAと略称する)0. 2重量
部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズ
60SH50、信越化学社製)の3%水溶液(セルロー
ス水溶液と略称する)0. 1重量部、α−クミルパーオ
キシネオデカノエート(重合開始剤)0. 1重量部を一
括投入し、その後、真空ポンプで重合器内の空気を排出
し、更に、攪拌条件下で塩化ビニル100重量部を投入
した後、30分間攪拌することにより、塩化ビニルを均
一に混合し、ジャケット温度の制御により重合温度3
9. 0℃にて重合を開始した。反応器内の圧力が0.5
7MPa の圧力まで低下することで反応終了を確認
し、消泡剤(東レシリコンSH5510、東レ社製)を
加圧添加した後に反応を停止した。その後、未反応の塩
化ビニルを除去し、更に脱水乾燥することにより上記ア
クリル系共重合体の含有量が5.3重量%の塩化ビニル
系樹脂を得た。
【0044】〔重合度測定〕得られた塩化ビニル系樹脂
500mgをニトロベンゼン100mlに溶解した後、
200メッシュの金網で濾過して不溶成分を除去した。
不要分を除去した塩化ビニル系樹脂について、JISK
6721に準拠して重合度を測定した。
【0045】〔アクリル系共重合体含有量測定〕得られ
た塩化ビニル系樹脂をJIS K7229に記載の方法
で樹脂中の塩素の含有量を測定することにより、樹脂に
含有される第2成分量を計算しアクリル系共重合体含有
量を求めた。
【0046】〔塩化ビニル系樹脂成形体の作製〕作製し
た塩化ビニル系樹脂100重量部に表1に示す配合剤を
添加し、ヘンシェルミキサーで混合したのち、SLM5
0押出機(長田製作所製)を用いて、押出樹脂温度21
9℃、スクリュー回転数25rpmで押出成形を行い、
外径20mm、厚さ3mmのパイプ状成形体を作製し
た。得られた成形体は目視により外観を確認し、耐衝撃
性及び疲労強度の評価を行った。結果を表1に示す。
【0047】〔評価〕得られた成形体について下記の方
法により、外観の観察、耐衝撃性及び疲労強度の評価を
行った。結果を表1に示す。 (外観)目視により、表面状態(光沢及び平滑性)を評
価した。 (耐衝撃性)JIS K 7111に準拠して、上記サ
ンプルから切削して作製したノッチ付きの試験片を用
い、23℃と0℃でシャルピー衝撃試験を実施した。 (疲労強度)JIS K 7113記載の1号形ダンベ
ル試験片(厚さ3mm)を用いて、23℃、最大応力2
9.4MPa 、周波数5Hzの条件で繰り返し引張り
荷重(29.4MPa → 0MPa → 29.4M
Pa)をかけ、破断するまでの繰り返し回数を測定し
た。
【0048】実施例2 塩化ビニル系樹脂成形体を作製する際の添加剤を表1に
示すとおりにしたこと以外は実施例1と同様の方法でパ
イプ状成形体を作製した。得られた成形体について、実
施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0049】比較例1 塩化ビニル系樹脂を作製する際の重合温度を53.6℃
とし、重合開始剤としてα−クミルパーオキシネオデカ
ノエートとジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネー
トを併用したこと以外は実施例1と同様の方法で塩化ビ
ニル系樹脂を作製した後、該塩化ビニル系樹脂100重
量部に表1に示す配合剤を添加し、ヘンシェルミキサー
で混合したのち、SLM50押出機(長田製作所製)を
用いて、押出樹脂温度194℃、スクリュー回転数1
9.5rpmで押出成形を行い、外径20mm、厚さ3
mmのパイプ状成形体を作製した。得られた成形体につ
いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示
す。
【0050】比較例2 塩化ビニル系樹脂成形体を作製する際の添加剤を表1に
示すとおりにしたこと以外は実施例1と同様の方法でパ
イプ状成形体を作製した。得られた成形体について、実
施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、上
述の構成よりなり、特定のアクリル系共重合体に特定量
の塩化ビニル重合体をグラフト重合させた特定重合度の
塩化ビニル樹脂を用い、これに特定量の熱安定剤、滑剤
及び加工助剤を配合してなる塩化ビニル樹脂系組成物で
あり、これを用いて成形体を作製することにより、表面
状態(光沢や平滑性)や耐衝撃性に優れ、かつ、疲労強
度を大幅に向上させることができ、建築部材、管工機
材、住宅資材等で特に耐衝撃性や耐久性を必要とする用
途に好適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA24 AA24X AA33 AA33X AA77 AE05 AE11 AH03 BB06 BC05 4J002 AE032 BB032 BG043 BG053 BG063 BN111 BN121 DG046 DH036 EC037 EF037 EG046 EH037 EW047 EZ046 EZ076 FD066 FD172 FD177 GL00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単独重合体の二次転移温度が−140〜
    −20℃であるアルキル(メタ)アクリレートモノマー
    を50重量%以上含有するアクリル系モノマー成分10
    0重量部と多官能性モノマー成分0.01〜30重量部
    とを共重合せしめたアクリル系共重合体に、アクリル系
    共重合体含有量が4〜20重量%となるように平均重合
    度2000〜4000の塩化ビニル系重合体をグラフト
    共重合してなる塩化ビニル系樹脂100重量部に対し
    て、熱安定剤0.5〜7重量部、滑剤0.2〜5重量
    部、及び加工助剤0.5〜7重量部を配合してなること
    を特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂組成
    物からなることを特徴とする塩化ビニル系樹脂成形体。
JP2000229329A 2000-07-28 2000-07-28 高重合度塩化ビニル系樹脂組成物及びその成形体 Withdrawn JP2002037972A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014173003A (ja) * 2013-03-08 2014-09-22 Takiron Co Ltd 耐tmah性を有する塩化ビニル系樹脂成形体

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