JP2002037740A - 発酵組成物、並びに該発酵組成物を含有する抗アレルギー性組成物及び抗酸化性組成物 - Google Patents
発酵組成物、並びに該発酵組成物を含有する抗アレルギー性組成物及び抗酸化性組成物Info
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Abstract
該発酵組成物を含有する抗アレルギー性組成物及び抗酸
化性組成物に関する。 【解決手段】 ELISA法を用いて、ヒトIgE−I
gEレセプター結合阻害率を調べたところ、試料濃度が
0.01%では、熱水抽出物である試料1で32%なの
に対し、本発明のバラ発酵抽出物を含む試料3で66
%、試料5で59%本発明のバラ発酵抽出物と米糠・大
豆発酵抽出物を含む試料4で75%、試料6で68%
と、優れた値を示した。更に、試料濃度0.001%で
は、試料1で0%なのに対し、試料3で15%、試料4
で22%、試料5で18%、試料6で25%と更に優れ
ていた。以上より、バラ発酵抽出物を含む試料3〜6
は、単なるバラ抽出物を含んでいるだけの試料1より
も、低濃度でヒトIgE−IgEレセプター結合阻害作
用を有し、抗アレルギー作用に優れていることが分か
る。
Description
ラ抽出物を発酵して得られるバラ発酵抽出物を含有し、
或いは、該バラ発酵抽出物やバラ及び/又はバラ抽出物
に米糠・大豆発酵抽出物を追加して得られる発酵組成物
に関する。また、本発明は、バラ及びバラ抽出物のうち
の少なくとも一方、米糠類、大豆類及び炭素源を発酵し
て得られる発酵組成物に関する。更に、本発明は、該発
酵組成物を含有することを特徴とする抗アレルギー性組
成物及び抗酸化性組成物に関する。本発明は、食品、化
粧品、医薬品等に利用される。
異物から身体を守る免疫機能を備えている。そして、体
内に侵入した異物に対して過剰な免疫反応を起こし、身
体に有害な形で現れる場合の一つがアレルギーである。
アレルギーはプロセスによってI〜IV型に分類される
が、このうちI型のアレルギーを即時型といい、免疫グ
ロブリン抗体のうちのIgE抗体と抗原の反応が引き金
になって起こる。詳しく言えば、体内にカビ、花粉等の
抗原が侵入すると、これに対する特異的な抗体であるI
gE抗体が作られ、このIgE抗体のFc部分が肥満細
胞や好塩基球表面のIgEレセプター結合に付着する
(ヒトIgE−IgEレセプター結合)。そして、再び
同一の抗原が体内に侵入すると、これが細胞表面のIg
E抗体のFab部分にある抗原結合基と結合し、その結
果、数個のIgEを橋渡しする形となる。かかる橋渡し
により刺激された肥満細胞等から、ヒスタミン、ロイコ
トリエン等の種々のケミカルメディエーターが放出さ
れ、これらの働きによりアレルギーを引き起こす。この
ようなアレルギーによって引き起こされるアレルギー疾
患の代表的なものには、花粉症、蕁麻疹、アトピー性皮
膚炎及び気管支喘息等がある。そして、今日、これらの
アレルギー疾患に苦しむ人々の数は増加傾向にあり、そ
の予防方法及び改善方法が社会で注目されている。
れる化合物が各種報告されているが、そのほとんどが合
成医薬品である。例えば、クロモグリク酸ナトリウム、
トラニラスト、副腎皮質コルチコステロイド(プレドニ
ゾロン等)、テオフィリン、マレイン酸クロルフェニラ
ミン、塩酸ジフェンヒドラミン、及び塩酸シプロヘプタ
ジン等が現在、アレルギー疾患の治療に用いられてい
る。しかし、このような合成医薬品にはいずれも眠気等
の副作用がある点で問題がある。また、従来の抗アレル
ギー化合物は、テオフィリンやβ2受容体作用薬(塩酸
プロカテロール、サルブタモール等)のように、発作後
の症状改善を目的としたり、あるいは、抗ヒスタミンH
1薬(マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒ
ドラミン、塩酸シプロヘプタジン等)やプランカルスト
のように、肥満細胞や好塩基球から放出されるケミカル
メディエーターの作用に拮抗するものが中心である。ア
レルギー疾患の予防という観点から見れば、肥満細胞や
好塩基球からケミカルメディエーターが放出された後、
それにより引き起こされる反応を抑えるより、むしろ、
それ以前のIgE−IgEレセプター結合反応や、ケミ
カルメディエーターの放出を抑制する作用を有すること
が好ましい。このような観点から、生体内において比較
的安全であると共に、ケミカルメディエーターが放出さ
れる前の段階の反応を抑制し、アレルギー性疾患の予防
に好適な抗アレルギー剤の開発が求められている。
下、SODという。)は、酸素分子の1電子還元で生成
するスーパーオキシドラジカル(O2 -)の不均化反応
(下式)を拡散律速に近い速さで触媒し、細胞内のO2 -
濃度を低下させる酵素である。 2O2 -+2H+→H2O2+O2 O2 -に代表される活性酸素種は、通常、生体内において
活性化されたマクロファージなどの食細胞から産生さ
れ、殺菌作用や殺腫瘍作用を示す。しかし、これらの活
性酸素種には選択毒性がなく、正常細胞にも作用できる
結果、生体に対して種々の障害も引き起こすことが知ら
れている。例えば、脂質の過酸化による膜の損傷、タン
パク質の酸化修飾によるタンパク質の構造変化、DNA
の切断等の結果、細胞に障害作用を示し、様々な疾病の
原因ともなることが明らかにされている。
生体を活性酸素種から守るために存在するものであり、
この活性酸素種を起因として生じると考えられる病気等
に有効であるとの観点から、近年、その反応機構、生理
機構等が研究されている〔「活性酸素−生物での生成・
消去・作用の分子機構」(新装版2刷、共立出版株式会
社発行、中野稔ら編著)223〜230頁)〕。また、
癌細胞ではSOD活性が低いという事実があり、更に、
SODと発癌との直接因果関係は明らかではないが、S
OD又はSOD様物質を癌細胞に注入すると、増殖を抑
えるという報告もある(同64頁)。安全で且つSOD
作用(活性酸素濃度を減少させる作用のみならず、これ
に起因して生じると考えられる種々の病気の予防、改善
の作用をも含む。)を有し、食品等に用いられるものが
あれば、人の健康及び美容にとって非常に有用であり、
その必要性は極めて大きい。従来、このような観点か
ら、生体内において安全な天然物を主成分としたものが
日々研究されている。SOD作用と同様の作用を有し、
血圧上昇を抑制するものとして、例えば、米糠・大豆発
酵抽出物に緑茶抽出エキスを添加した活性酸素抑制組成
物及び血圧抑制剤が開発されている(特公平8−40号
公報)。そして、現在もなお、より優れた生体内抗酸化
作用、活性酸素除去効果を奏するとともに、安全性の高
い抗酸化剤の開発が望まれている。
鑑みてなされたものであり、バラ及び/又はバラ抽出物
を発酵して得られるバラ発酵抽出物を含有し、或いは、
該バラ発酵抽出物やバラ及び/又はバラ抽出物に米糠・
大豆発酵抽出物を追加して得られる発酵組成物を提供す
ることを目的とする。また、本発明は、バラ及びバラ抽
出物のうちの少なくとも一方、米糠類、大豆類及び炭素
源を発酵して得られる発酵組成物を提供することを目的
とする。更に、本発明は、該発酵組成物を含有すること
を特徴とする抗アレルギー性組成物及び抗酸化性組成物
を提供することを目的とする。
題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、バラ抽出物を発
酵させて得られるバラ発酵抽出物が、従来より抗アレル
ギー作用を奏することが知られているバラ抽出物(特開
平10−72358号公報)そのものよりも抗アレルギ
ー作用及び抗酸化作用に優れていること、及び従来より
SOD様作用を奏することで知られている米糠・大豆発
酵抽出物を添加したり、或いは、バラ及びバラ抽出物の
うちの少なくとも一方、米糠類、大豆類及び炭素源を発
酵して得られる発酵組成物が、更に抗アレルギー作用及
び抗酸化作用を増強させることができることを見出して
本発明を完成するに至った。
抽出物のうちの少なくとも一方を含む培地に微生物を接
種し、発酵培養して得られたバラ発酵抽出物を含有する
ことを特徴とする。
は、バラ科バラ属に属するバラ(Rosa spp.)
が好ましく、具体的には、ロサ・ガリカ(Rosa g
allica)、ロサ・モスカタ(Rosa mosc
hata)、ロサ・フォエティダ(Rosa foet
ida)、ロサ・ギガンテア(Rosa gigant
ea)、ノイバラ(Rosa multiflor
a)、テリハノイバラ(Rosa wichuraia
na)等の野生種、又はこれらを交配して得られた園芸
種が挙げられる。また、本第1発明において上記「バ
ラ」の使用部位については特に限定はなく、花、花び
ら、葉、茎、根及び種子等のどの部分を使用してもよ
い。
とは、上記バラを原料として抽出することにより得られ
るものである。また、上記「バラ抽出物」としては、上
記バラを原料として抽出することにより得られる抽出液
を、タンナーゼ等の酵素を用いて酵素処理したものも含
まれる。更に、上記「バラ抽出物」としては、抽出液を
濾過したままの液でもよいし、これを濃縮した濃縮液で
もよい。その他にも、凍結乾燥等の公知の方法により溶
媒を除去した固形物や粉末化した粉末物でもよい。
法、抽出条件については特に限定はない。例えば、原料
であるバラは未粉砕でも、粉砕したものでもよく、抽出
物の品質を維持できる限り、不純物除去等の前処理をし
てもよい。また、抽出溶媒としては、水又は熱水の他、
エタノール、酢酸エチル、n−ヘキサン等の有機溶媒
や、これらの有機溶媒と水又は熱水との混合溶媒等を用
いることができ、このうち、特に熱水が好ましい。熱水
の温度は、通常、40〜100℃、好ましくは50〜8
0℃、更に好ましくは50〜70℃である。また、抽出
の際の抽出溶媒のpHは通常3〜7、好ましくは4〜
6、更に好ましくは4〜5である。pHが7を超える
と、バラ及びバラ抽出物に含まれているポリフェノール
類が不安定となることから好ましくない。抽出温度は特
に制限されないが、常温又は加熱抽出が好ましい。
条件については、抗アレルギー作用及び抗酸化作用を奏
するものが得られる限り特に限定はない。発酵培養は通
常、通気攪拌を行うことにより行われる。また、培養を
行うための培地についても、微生物、特に納豆菌、枯草
菌やSaccharomyces属に属する酵母が増殖
できるものであれば特に制限はなく、通常は液体培地で
あるが、固形培地であってもかまわない。また、培地の
pHは通常4〜7、好ましくは5〜7、更に好ましくは
6〜7である。このpHが7を超えると、上記のように
バラ及びバラ抽出物に含まれるポリフェノール類が不安
定となることから好ましくない。更に、培養温度につい
ても、発酵が行われる限り特に制限はなく、通常40〜
45℃程度である。
に用いる上記「微生物」については、バラ又はバラ抽出
物を原料として発酵することにより、抗アレルギー作用
及び抗酸化作用を有する発酵組成物を産出する性質を失
わない限り特に限定はないが、通常は、上記第4発明に
示すように、細菌や酵母が用いられ、この中で、本第5
発明に示すように、納豆菌、枯草菌、或いはSacch
aromyces属に属する酵母が好ましく用いられ
る。上記「Saccharomyces属に属する酵
母」としては、Saccharomyces cere
visiae、Saccharomyces uvar
um、Saccharomyces bayanus、
Saccharomyces diastaticus
及びSaccharomyces rouxii種等の
酵母が挙げられ、この中で特にZygosacchar
omyces rouxiiが好適に用いられる。
びバラ抽出物のうちの少なくとも一方を含む培地に微生
物を接種し、発酵培養して得られたバラ発酵抽出物、又
はバラ抽出物と、(2)米糠類、大豆類及び炭素源を含
む培地に微生物を接種し、発酵培養して得られた米糠・
大豆発酵抽出物と、を含有することを特徴とする。
抽出物」及び「バラ発酵抽出物」は、上記第1発明と同
義である。また、上記「米糠類」とは、米胚芽、脱脂米
胚芽、米糠、脱脂米糠等をいい、上記「大豆類」とは、
脱脂大豆、キナ粉、大豆粉、大豆カス、これらの加水分
解物等をいう。更に、上記「炭素源」としては、通常用
いられるものを使用でき、例えば、グルコース、デキス
トリン、乳糖及びデンプン等の1種又は2種以上を用い
ることができる。
ラ発酵抽出物又は上記バラ抽出物と、米糠・大豆発酵抽
出物とを含有するものである。本第2発明における上記
「米糠・大豆発酵抽出物」とは、上記米糠類、大豆類及
び炭素源を含む培地に微生物を接種し、発酵培養して得
られる抽出物である。上記「バラ発酵抽出物」や上記
「米糠・大豆発酵抽出物」を得るための上記「微生物」
としては、通常は細菌や酵母が用いられ、この中で、本
第5発明に示すように、納豆菌、枯草菌、或いはSac
charomyces属に属する酵母が好ましく用いら
れる。上記「Saccharomyces属に属する酵
母」としては、Saccharomyces cere
visiae、Saccharomyces uvar
um、Saccharomyces bayanus、
Saccharomyces diastaticus
及びSaccharomyces rouxii種等の
酵母が挙げられ、この中で特にZygosacchar
omyces rouxiiが好適に用いられる。
めの発酵培養条件については、発酵が行われる限り特に
制限はない。通常、発酵培養は通気攪拌を行うことによ
り行われ、培養温度は40〜45℃程度であり、pHは
7.5〜10、好ましくは8.5〜10である。培地の
pHを調節する場合は、アルカリ剤として炭酸水素ナト
リウム等を用いることができる。尚、培地原料としては
プロテアーゼを用いることができる。この場合は、大豆
ペプチドを更に分解するので有用である。
抽出物のうちの少なくとも一方、米糠類、大豆類及び炭
素源を含む培地に微生物を接種し、発酵培養して得られ
ることを特徴とする。
「バラ抽出物」は、上記第1発明と同義であり、上記
「米糠類」、「大豆類」及び「炭素源」は上記第2発明
と同義である。本第3発明の発酵組成物は、バラ発酵抽
出物の原料となる上記バラ及びバラ抽出物のうちの少な
くとも一方と、米糠・大豆発酵抽出物の原料となる上記
米糠類、大豆類及び炭素源を含有する培地に微生物を接
種し、発酵培養して得られるものである。
の発酵条件については、抗アレルギー作用及び抗酸化作
用を奏するものが得られる限り特に限定はない。発酵培
養は通常、通気攪拌を行うことにより行われる。また、
培地のpHは通常4〜7、好ましくは5〜7、更に好ま
しくは6〜7である。このpHが7を超えると、上記の
ようにバラ及びバラ抽出物に含まれるポリフェノール類
が不安定となることから好ましくない。更に、培養温度
は、発酵が行われる限り特に制限はなく、通常40〜4
5℃程度である。尚、本第2発明の場合と同様に、培地
原料としてはプロテアーゼを用いることができる。この
場合は、大豆ペプチドを更に分解するので有用である。
原料を含み、微生物、特に納豆菌、枯草菌やSacch
aromyces属に属する酵母が増殖できるものであ
れば特に制限はなく、通常は液体培地であるが、固形培
地であってもかまわない。更に、上記「バラ発酵抽出
物」を得るために用いる上記「微生物」についても、バ
ラ及びバラ抽出物のうちの少なくとも一方、米糠類、大
豆類及び炭素源を原料として発酵することにより、抗ア
レルギー作用及び抗酸化作用を有する発酵組成物を産出
する性質を失わない限り特に限定はないが、通常は、上
記第4発明に示すように、細菌や酵母が用いられ、この
中で、本第5発明に示すように、納豆菌、枯草菌、或い
はSaccharomyces属に属する酵母が好まし
く用いられる。上記「Saccharomyces属に
属する酵母」は、上記第1発明及び第2発明と同様のも
のが使用できる。
記「納豆菌」、「枯草菌」及び「Saccharomy
ces属に属する酵母」は、市販されている一般的なも
のを用いるのが通常であるが、自然的、又はニトロソグ
アニジン等の化学物質、X線、紫外線等により人為的変
異手段により得られ、菌学的性質が変異した変異株であ
っても、抗アレルギー作用及び抗酸化作用を有する発酵
組成物を産出する性質を失わない限り利用することがで
きる。また、本第1発明〜第3発明の各発酵抽出物の形
態については特に限定はなく、それぞれ培養して得られ
た培養発酵液を濾過したままの液でもよいし、これを脱
色等の後処理をした液でもよいし、又はこれを濃縮した
濃縮液でもよい。その他にも、凍結乾燥等の公知の方法
により溶媒を除去した固形物や粉末化した粉末物でもよ
い。
抗アレルギー性及び抗酸化性という効果を奏するととも
に、天然素材を使用しているので、従来の合成アレルギ
ー剤と比較して安全性も高い。よって、本第6発明に示
すように抗アレルギー性組成物としたり、或いは本第7
発明に示すように抗酸化性組成物として利用することが
できる。本第4発明の抗アレルギー性組成物及び本第5
発明の抗酸化性組成物に含まれる発酵組成物の量(固形
分換算、W/V)は、通常0.0001%以上、好まし
くは0.0005〜1%更に好ましくは、0.001〜
0.5%、最も好ましくは0.01〜0.05%であ
る。本第4発明の抗アレルギー性組成物及び本第5発明
の抗酸化性組成物に含まれる発酵組成物の量が0.00
01%未満では、抗アレルギー作用及び抗酸化作用が減
弱するので好ましくない。また、1%を超える量を添加
しても、抗アレルギー作用及び抗酸化作用は頭打ちとな
るので、経済的に好ましくない。
的に説明する。 (実施例) (1)酵母液の調製 酵母(Zygosaccharomyces roux
ii、理化学研究所、JCM No2325)1アンプ
ルを滅菌水1mlに懸濁後、全量を下記に示す組成のY
M寒天培地にて、25℃で7日間培養した。培養後、酵
母を白金耳でかき取り、滅菌水25mlに懸濁させて酵
母液とした。 [YM寒天培地の組成] Glucose 2.0g Peptone 1.0g Yeast extract 0.6g Malt extract 0.6g Agar 4.0g H2O 200.0g
70℃の熱水500mlで30分間抽出後、濾過(濾過
助剤としてパーライト使用)した。次いで減圧濃縮後、
凍結乾燥をし、試料1(熱水抽出物)とした。 試料2(酵素処理抽出物) 乾燥バラ(ロサ・ガリカ)の花びら(粉砕品)20gを
70℃の熱水500mlで30分間抽出後、冷却し、p
H5.5に調整し、タンナーゼ(キッコーマン株式会社
製、商品名:「タンナーゼ「キッコーマン」−KTF
H」)12mgを添加して40℃にて90分間攪拌し
た。その後90℃にて10分間加熱し酵素を失活させ、
濾過(濾過助剤としてパーライト使用)し、この濾液を
減圧濃縮後、凍結乾燥し、試料2(酵素処理抽出物)と
した。 試料3(発酵組成物(R)) 乾燥バラ(ロサ・ガリカ)の花びら(粉砕品)20gに
水500mlを加えて90℃にて10分間加熱後、冷却
した。pH6.0〜7.0に調整後、納豆菌(高橋祐蔵
研究所製、商品名:「納豆素」)5mlを添加し、特に
強制通気はせず40℃にて18時間攪拌した。その後9
0℃にて10分間加熱し、冷却後濾過(濾過助剤として
パーライト使用)した。この濾液を減圧濃縮後、凍結乾
燥し、試料3(発酵組成物(R))とした。 試料4(発酵組成物(R−G)) 乾燥バラ(ロサ・ガリカ)の花びら(粉砕品)20g、
脱脂米糠30g、脱脂大豆5g及び炭素源であるグルコ
ース0.5gに水500mlを加えて90℃にて10分
間加熱後、冷却した。pH6.0〜7.0に調整後、納
豆菌(高橋祐蔵研究所製、商品名:「納豆素」)5ml
を添加した。以下、と同様の操作により試料4(発酵
組成物(R−G))を得た。 試料5(発酵組成物(R2)) 乾燥バラ(ロサ・ガリカ)の花びら(粉砕品)20gに
水500mlを加えて90℃にて10分間加熱後、冷却
した。pH6.0〜7.0に調整後、上記(1)で調製
した酵母液10mlを添加し、特に強制通気はせず25
℃にて10日間攪拌した。その後90℃にて10分間加
熱し、冷却後濾過(濾過助剤としてパーライト使用)し
た。この濾液を減圧濃縮後、凍結乾燥し、試料5(発酵
組成物(R2))を得た。 試料6(発酵組成物(R2−G)) 乾燥バラ(ロサ・ガリカ)の花びら(粉砕品)20g、
脱脂米糠30g、脱脂大豆5g及び炭素源であるグルコ
ース0.5gに水500mlを加えて90℃にて10分
間加熱後、冷却した。pH6.0〜7.0に調整後、上
記(1)で調製した酵母液10mlを添加した。以下、
と同様の操作により試料6(発酵組成物(R2−
G))を得た。
阻害活性 (3−1)ELISA法による方法 ELISA法を用いて、ヒトIgE−IgEレセプター
結合阻害活性を次のように調べた。96穴マイクロプレ
ートの各ウェルにIgEレセプター(FcεRIα鎖)
を固定吸着させ、次いで最終濃度が0.001〜1.0
%(w/v)となるように調製した上記(2)の試料1
〜6を加えた後、最終濃度が0.4μg/mlとなるよ
うにヒトIgE抗体を加えてインキュベーションした。
その後、各ウェルを洗浄して遊離の試料1〜6及びヒト
IgE抗体を除去した。
g/mlとなるように西洋ワサビパーオキシダーゼ(H
RP)標識した抗ヒトIgE抗体を加えてインキュベー
ションした後、再度各ウェルを洗浄して遊離の抗ヒトI
gE抗体を除去した。その後、HRPの基質としてO−
フェニレンジアミン二塩酸塩(OPD)を各ウェルに加
えて反応させ、発色させた後、各ウェルの470nmに
おける吸光度をプレートリーダーにて測定した。また、
ヒトIgE及び試料を添加しなかった場合の吸光度を
(A)、ヒトIgEのみを添加して試料を加えなかった
場合の吸光度を(B)、試料のみを添加してヒトIgE
を加えなかった場合の吸光度を(C)、更にヒトIgE
及び試料を添加した場合の吸光度を(D)として測定
し、以下の式によりヒトIgE−IgEレセプター結合
阻害率(%)を求めた。その結果を表1及び図1に示
す。 阻害率(%)=[1−(D−C)/(B−A)]×10
0
合阻害活性を次のように調べた。ヒトIgEレセプター
(FcεRIα鎖)発現組換えCHO細胞に、0.00
5%及び0.05%に希釈した上記試料1〜4及びFI
TC標識ヒトIgEを加えて競合反応をさせた。その
後、遊離の試料1〜4及びFITC標識ヒトIgEを洗
浄除去し、反応後の細胞をセルソーターにて解析した。
尚、比較のため、CHO細胞のみ、CHO細胞に
0.05%の上記試料1〜4を加えて反応させたもの、
及びCHO細胞にFITC標識ヒトIgEを加えて反
応させたものについても、同様に反応後の細胞をセルソ
ーターにて解析した。その測定結果を図2(a)〜
(d)に示す。
ーに結合しているIgEを乳酸緩衝液により除去し、上
記試料1〜6を0.01%及び0.1%(w/v)とな
るように添加した後、ヒトIgEを1μg/mlとなる
ように加えて好塩基球を感作させた。その後遊離のヒト
IgEを洗浄除去し、抗ヒトIgE抗体を濃度が3μg
/mlとなるように加えて、37℃にて40分間インキ
ュベーションした。更に、遠心分離後、オンカラム誘導
体化法によるHPLCにより上清中のヒスタミン濃度を
測定し、次式よりヒスタミン遊離阻害率を算出した。そ
の結果を表2及び図3に示す。 阻害率(%)=[1−(C−A)/(B−A)]×10
0 A:未処理(試料、ヒトIgE、抗ヒトIgE抗体とも
に添加せず)のコントロール細胞より遊離されるヒスタ
ミン量 B:試料は添加せずヒトIgEと抗ヒトIgE抗体によ
り刺激した場合に遊離されるヒスタミン量 C:試料の存在下でヒトIgEと抗ヒトIgE抗体によ
り刺激した場合に遊離されるヒスタミン量
定した。密栓試験管に4%(w/v)リノール酸溶液5
ml、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)4ml及び
上記(2)で調製した試料1〜6を各試料の最終濃度が
10及び100ppmとなるように入れて混合し、45
℃に放置した。反応開始7日後にこの各反応液0.1m
lを採取し、75%(w/v)エタノール4.7ml、
30%(w/v)チオシアン酸アンモニウム0.1ml
を加えた。この各混合液に3.5%塩酸で調製した0.
02M塩化第一鉄0.1mlを添加して発色させ、3分
後に500nmにおける吸光度を測定した。尚、対照と
して試料を加えないものを用い、同様の方法を行って吸
光度を測定した。その結果を表3及び図4に示す。
%では、ヒトIgE−IgEレセプター結合阻害活性は
全ての抽出物においてほぼ100%近い値であった。一
方、試料濃度が0.01%では、試料1(熱水抽出物)
で32%であるのに対し、試料2(酵素処理抽出物)で
45%と、若干阻害率が向上していることから、酵素処
理をすることにより、ヒトIgE−IgEレセプター結
合阻害活性が向上することが判る。また、試料3(発酵
組成物(R))では66%、試料4(発酵組成物(R−
G))では75%、試料5(発酵組成物(R2))では
59%、試料6(発酵組成物(R2−G))では68%
と、試料1よりも27%以上優れたヒトIgE−IgE
レセプター結合阻害活性が認められた。
及び試料2において0%であるのに対し、試料3におい
ては15%、試料4においては22%、試料5において
は18%、試料6においては25%と更に優れていた。
以上より、バラ発酵抽出物を含む試料3〜6は、単なる
バラ抽出物含んでいるだけの試料1及び2よりも、低濃
度でヒトIgE−IgEレセプター結合阻害作用を有
し、抗アレルギー作用に優れていることが判る。また、
バラ発酵抽出物のみの試料3及び5よりも、米糠及び大
豆と共に、バラを発酵して得られた試料4及び6の方が
阻害活性が高かったことから、バラ、米糠及び大豆成分
間の発酵による相乗作用により、抗アレルギー作用を更
に増強できることが判る。
1〜4では、いずれも濃度が高くなるに従い、蛍光強度
のピークがFITC標識ヒトIgE無添加細胞側にシフ
トしており、阻害活性が認められたことが判る。また、
この阻害活性は、試料1及び試料2よりも、試料3及び
試料4の方が高く、試料3よりも試料4の方が高かった
ことから、細胞を用いた実験においても、上記ELIS
A法による試験の場合と同様の結論となることが判る。
%では、各抽出物のすべてがほぼ完全にヒト好塩基球か
らのヒスタミン遊離を阻害し、抗アレルギー作用のある
ことが認められた。一方、試料濃度が0.01%では、
試料1(熱水抽出物)が約24.7%、試料2(酵素処
理抽出物)は約35.6%であるのに対し、試料3(発
酵組成物(R))は約51.1、試料4(発酵組成物
(R−G))は約56.4%、試料5(発酵組成物(R
2))は約55.3%、試料6(発酵組成物(R2−
G))は約63.7%と、試料1(熱水抽出物)及び試
料2(酵素処理抽出物)より高かった。以上の結果よ
り、ヒトIgE−IgEレセプター結合阻害活性と同様
にヒスタミン遊離阻害活性も、バラ抽出物を酵素処理又
は発酵処理することでより高くなることが判る。更に、
バラ発酵抽出物のみの試料3及び5よりも、米糠及び大
豆とともに、バラを発酵して得られた試料4及び6の方
がヒスタミン遊離阻害活性が高かったことから、バラ、
米糠及び大豆成分間の発酵による相乗効果により、ヒス
タミン遊離阻害活性も向上することが判る。
100ppmの濃度において、吸光度は試料1(熱水抽
出物)の0.116に対して、試料2(酵素処理抽出
物)は0.084、試料3(発酵組成物(R))は0.
077、及び試料4(発酵組成物(R−G))は0.0
81、試料5(発酵組成物(R2))は0.071、試
料6(発酵組成物(R2−G))は0.066と、強い
抗酸化作用を示していることが判る。また、10ppm
の濃度においては、試料1の0.254より試料2は
0.169と高く、試料3は0.142、試料4は0.
121、試料5は0.135、試料6は0.119と更
に強い抗酸化作用を示していることが判る。以上の結果
より、抗酸化作用もバラ抽出物を酵素処理又は発酵処理
することでより高くなることが分かる。更に、バラ発酵
抽出物のみの試料3及び5よりも、米糠及び大豆ととも
に、バラを発酵して得られた試料4及び6の方が抗酸化
作用が高かったことから、バラ、米糠及び大豆成分間の
発酵による相乗効果により、抗酸化作用も向上すること
が判る。
に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、
上記組成物の形態は、通常、水溶液若しくは原液等の液
状であるが、これに限らず、この抽出物を吸液性粉末に
含浸させた粉末品、造粒した造粒品、増量剤等他の粉末
成分を配合した錠剤、又はマイクロカプセル等とするこ
とができる。また、これらの水溶液、粉末品等を所定容
器に充填してなる商品形態、またこれ単独で使用するか
他剤(水溶液のもの、油性液のもの若しくは粉末を問わ
ない。)に配合して使用するかについても特に限定され
ず、例えば、ポーション型でもよいし、他形状容器に充
填してもよいし、粉末品をスティック状容器(袋)に充
填したものでもよい。更に、従来の清涼飲料水、ドリン
ク剤、乳製品、油剤化製品等に配合、分散して使用して
もよい。尚、この分散は油中水型、水中油型を問わな
い。また、他の栄養成分(例えば、各種ビタミン類、カ
ルシウムイオン成分、鉄イオン成分等)、薬効成分、調
味成分、匂い成分等を配合してもよい。これらのうち、
特に水溶性成分が好ましい。均一に溶解した商品とする
ことができるからである。
又はバラ抽出物を発酵して得られるバラ発酵抽出物を含
有することにより、バラ抽出物よりも優れた抗アレルギ
ー作用及び抗酸化作用を奏する。また、本第2発明の発
酵組成物のように、バラ発酵抽出物やバラ及び/又はバ
ラ抽出物に米糠・大豆発酵抽出物を追加することによ
り、或いは、本第3発明の発酵組成物のように、バラ及
びバラ抽出物のうちの少なくとも一方、米糠類、大豆類
及び炭素源を発酵することにより、バラ抽出物やバラ発
酵抽出物単独よりも更に抗アレルギー作用及び抗酸化作
用を向上させることができる。また、本第1発明〜第3
発明において、微生物として、本第4発明のように細菌
又は酵母を用い、特に第5発明に示すように、納豆菌、
枯草菌、或いはSaccharomyces属に属する
酵母を用いると、優れた抗アレルギー作用及び抗酸化作
用を有する発酵組成物が得られる。更に、本第1発明〜
第3発明の各発酵組成物は天然成分であることから、生
体内において安全である。よって、本第6発明に示す抗
アレルギー性組成物や第7発明に示すように抗酸化性組
成物として用いることができる。
(1〜6)のヒトIgE−IgEレセプター結合阻害活
性を示すグラフである。
(1〜4)のヒトIgE−IgEレセプター結合阻害活
性を示すグラフである。
阻害活性を示すグラフである。
すグラフである。
Claims (7)
- 【請求項1】 バラ及びバラ抽出物のうちの少なくとも
一方を含む培地に微生物を接種し、発酵培養して得られ
たバラ発酵抽出物を含有することを特徴とする発酵組成
物。 - 【請求項2】 (1)バラ及びバラ抽出物のうちの少な
くとも一方を含む培地に微生物を接種し、発酵培養して
得られたバラ発酵抽出物、又はバラ抽出物と、(2)米
糠類、大豆類及び炭素源を含む培地に微生物を接種し、
発酵培養して得られた米糠・大豆発酵抽出物と、を含有
することを特徴とする発酵組成物。 - 【請求項3】 バラ及びバラ抽出物のうちの少なくとも
一方、米糠類、大豆類及び炭素源を含む培地に微生物を
接種し、発酵培養して得られることを特徴とする発酵組
成物。 - 【請求項4】 上記微生物が細菌又は酵母である請求項
1乃至3のいずれかに記載の発酵組成物。 - 【請求項5】 上記微生物が納豆菌、枯草菌、或いはS
accharomyces属に属する酵母である請求項
1乃至3のいずれかに記載の発酵組成物。 - 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の発酵
組成物を含有することを特徴とする抗アレルギー性組成
物。 - 【請求項7】 請求項1乃至5のいずれかに記載の発酵
組成物を含有することを特徴とする抗酸化性組成物。
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JP2000224127A JP4841718B2 (ja) | 2000-07-25 | 2000-07-25 | 抗アレルギー剤及び抗酸化剤 |
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