JPH1072358A - 植物抽出物 - Google Patents

植物抽出物

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JPH1072358A
JPH1072358A JP8227089A JP22708996A JPH1072358A JP H1072358 A JPH1072358 A JP H1072358A JP 8227089 A JP8227089 A JP 8227089A JP 22708996 A JP22708996 A JP 22708996A JP H1072358 A JPH1072358 A JP H1072358A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 IgEのIgEレセプターへの結合を阻害す
ることにより、アレルギー症状を包括的に改善できる医
薬、化粧品、食品等を提供する。 【解決手段】 バラ科バラ属又はアオギリ科に属する植
物から抽出されて成る植物抽出物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、バラ科バラ属又
はアオギリ科等の植物から抽出される抗アレルギー作用
を有する抽出物、及びこれを含有する医薬、化粧品、食
品等に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、抗アレルギー活性を有する化
合物は種々知られており、代表的なものとしては、ジソ
ジウムクロモグリケート、ヨモギ抽出物に含まれるカフ
ェー酸等を挙げることができる。
【0003】一方、アレルギー反応は、アレルゲンの侵
入により産生されたIgEの好塩基球、肥満細胞上のI
gEレセプターへの結合が引き金となって、これらの細
胞よりヒスタミン、ロイコトリエン等の化学伝達物質が
放出されることにより引き起こされる。従って、IgE
のIgEレセプターへの結合を阻害することができれ
ば、これらの化学伝達物質の放出を阻止することがで
き、アレルギー疾患に対する有効な治療となり得る(日
医雑誌、第114巻、第9号(1995)、日本医師学
会;実験医学増刊号、12巻、17号(1994)、洋
土社)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ジソジウムクロモグリケートは抗ヒスタミン活性を通じ
て抗アレルギー作用を発揮するものであり、又、カフェ
ー酸は、5−リポキシゲナーゼ阻害活性により、アラキ
ドン酸からのロイコトリエンの生合成を阻害することに
より抗アレルギー作用を発揮するものであることから、
アレルギー症状の包括的な改善という観点からは不十分
なものであった。なお、特開平2−53717号公報に
は、バラ科ノイバラ又はその近縁植物の偽果又は果実
(エイジツ、営実)がヒアルロニダーゼ阻害活性を有す
ることが開示され、抗アレルギー作用を有することが示
唆されているが、ここに示唆されている抗アレルギー作
用は、ヒスタミン遊離阻害のみであり、同様にアレルギ
ー症状の包括的な改善という観点からは不十分なもので
ある。
【0005】一方、近年におけるアトピー性皮膚炎、花
粉症をはじめとするアレルギー疾患の増加に伴い、化粧
品、食品等に、抗アレルギー作用を付与する試みが行わ
れている。
【0006】しかしながら、上記の化合物はいずれも医
薬品として用いられるものであり、一定量以上を摂取す
ると肝臓等の障害を引き起こすとともに、眠気等の副作
用もあることから食品等へ添加するのには適さないとい
う問題があった。
【0007】従って、本発明は、IgEのIgEレセプ
ターへの結合を阻害することにより、アレルギー症状を
包括的に改善できる医薬、化粧品、食品等を提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明によれば、
バラ科バラ属又はアオギリ科に属する植物から抽出され
て成る植物抽出物が提供される。この植物抽出物は抗ア
レルギー作用を有するものであるが、本発明において、
上記バラ科バラ属に属する植物はバラであることが好ま
しい。又、上記アオギリ科に属する植物はコーラ属に属
する植物であることが好ましく、コラノキであることが
より好ましい。
【0009】又、本発明によれば、上記の植物抽出物を
有効成分とする抗アレルギー性医薬が提供される。
【0010】又、本発明によれば、上記の植物抽出物を
含有する化粧品、医薬部外品、食品等が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の植物抽出物は、IgEレ
セプターへの親和性が大きいため、IgEのIgEレセ
プターへの結合を競争的に阻害することにより抗アレル
ギー作用を示す。従って、好塩基球、肥満細胞からのヒ
スタミン、ロイコトリエン等の放出を阻止することがで
き、アレルギー症状を包括的に改善することが可能とな
る。
【0012】本発明の植物抽出物は、バラ科バラ属又は
アオギリ科に属する植物から抽出されるが、これらの植
物から抽出したものであれば、茎、根、葉、花、種子の
いずれからの抽出物であってもよい。
【0013】抽出に用いる植物は、バラ科バラ属に属す
る植物としてはバラ(Rosa spp.)が好ましく、具体的
には、ロサ・ガリカ(Rosa gallica)、ロサ・モスカタ
Rosa moschata)、ロサ・フォエティダ(Rosa foetid
a)、ロサ・ギガンテア(Rosa gigantea)、ノイバラ
Rosa multiflora)、テリハノイバラ(Rosa wichurai
ana)等の野生種、又はこれらを交配して得られた園芸
種の花、葉又は茎を用いることが好ましい。
【0014】又、アオギリ科に属する植物としてはコー
ラ属に属する植物を用いることが好ましく、具体的には
コラノキ(Cola vera)の種子(コーラナッツ)を用い
ることがより好ましい。
【0015】抽出には、水又は水とメタノール若しくは
アセトン等の極性溶媒との混合溶媒が用いられ、抽出温
度は室温から溶媒の沸点までの温度から適宜選択される
が、50〜70℃程度の熱水を用いることがより好まし
い。本発明の植物抽出物は、具体的には、例えば、以下
のように製造される。洗浄後、乾燥した原料を熱水と混
合して破砕し、そのまま浸漬及び圧搾、又は加熱還流し
ながら抽出し、次いで減圧濃縮等により水を留去した
後、遠心分離及び濾過、又は有機溶媒(ヘキサン、クロ
ロホルム等)による分配及び濾過を行い、清澄抽出液を
得る。
【0016】この清澄抽出液は適宜に濃縮して液体抽出
物としてもよく、又、濃縮乾固して固体抽出物としても
よい。さらには、デキストリン等の粉末助剤を添加し、
噴霧乾燥又は凍結乾燥を行なうことにより、粉末抽出物
としてもよい。
【0017】本発明の植物抽出物は、医薬の成分として
好適に用いることができるとともに、食品、化粧品等に
添加することにより、これらに抗アレルギー機能を付与
することができる。
【0018】又、近年、肥満細胞からのヒスタミンの遊
離に際し、ヒアルロニダーゼが関与していることが示唆
されており、又、上記酵素は炎症反応をも促進すること
が示されている。本発明の植物抽出物は、IgEレセプ
ター阻害活性に加えて、ヒアルロニダーゼ阻害活性をも
有することから、IgEレセプターをブロックするのと
は異なる機作によってもアレルギー反応を抑えることが
でき、さらに抗炎症作用をも兼ね備えている。
【0019】又、ヒアルロニダーゼ阻害活性を有するこ
とから、化粧品に添加した場合には、保水構造を有する
ヒアルロン酸の分解が阻止され、皮膚の水分含量を維持
することが期待できる。さらに、食品に添加した場合に
は、老化に伴う体内のヒアルロン酸含量の低下を防止す
ることができ、血管の水分含量の維持を通じて、血管の
柔軟性を保つことが期待できる。
【0020】さらに、本発明の植物抽出物は抗酸化作用
をも有するため、医薬、食品等に添加した場合、酸化防
止によりそれらの品質を維持できるという効果を有す
る。
【0021】さらに、本発明の植物抽出物は強い抗菌作
用を有するため、化粧品に抗菌作用を付与することがで
き、さらに、食品に添加すればその腐敗を抑えることが
できる。又、化膿の原因菌であるStaphylococcus aureu
sの増殖を効果的に抑えることから、傷口の化膿を防止
することができ、傷口の化膿止め用の軟膏、噴霧剤等と
して用いることもできる。又、アトピー性皮膚炎などの
皮膚のアレルギー症状は、細菌によって引き起こされる
場合があるため、抗菌作用を通じて、細菌に起因するア
レルギー症状を抑えることができる。
【0022】上記の作用を有することから、本発明の植
物抽出物は、抗アレルギー剤、抗炎症剤若しくは消毒剤
として医薬に用いることができる。上記抽出物を含有す
る医薬は、抽出物をそのまま、あるいは公知の医薬用担
体と共に製剤化することにより調製され、錠剤、散剤、
細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤等の経口剤、
坐剤、軟膏、噴霧剤、注射剤等の非経口剤とすることが
できる。
【0023】錠剤、散剤等の経口投与のための固体組成
物の調製においては、上記の抽出物が不活性な希釈剤、
例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビ
ニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等
と混合される。
【0024】組成物は、常法に従って、例えばステアリ
ン酸マグネシウムのような潤滑剤や繊維素グリコール酸
カルシウムのような崩壊剤、ラクトースのような安定化
剤、グルタミン酸またはアスパラギン酸のような溶解補
助剤を含有していてもよい。錠剤は必要によりショ糖、
ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロースフタレートなどの糖衣、又は
胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよ
い。
【0025】シロップ剤等の経口投与のための液体組成
物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シ
ロップ剤、エリキシル剤等を含んでもよく、一般的に用
いられる不活性な希釈剤、例えば精製水、エタノールを
含んでもよい。さらに、湿潤剤、懸濁剤のような補助
剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していても
よい。
【0026】注射剤には、無菌の水性又は非水性の、溶
液剤、懸濁剤、及び乳濁剤を包含する。水性の溶液剤、
懸濁剤としては、例えば注射剤用蒸留水及び生理食塩水
が含まれる。非水溶性の溶液剤、懸濁剤としては、例え
ばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オ
リーブ油のような植物油、エタノールのようなアルコー
ル類、ポリソルベート80(商品名)の様な界面活性剤
等がある。このような組成物は、さらに防腐剤、湿潤
剤、乳化剤、分散剤、安定化剤(例えば、ラクトー
ス)、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギ
ン酸)のような補助剤を含んでもよい。これらは例えば
バクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合、
又は紫外線若しくは放射線の照射によって無菌化され
る。これらはまた無菌の固体組成物を製造し、使用前に
無菌水または無菌の注射用溶媒に溶解して使用すること
もできる。
【0027】又、本発明の植物抽出物は、飲料を含む、
広く食品一般に添加して用いることができ、具体例とし
ては、炭酸飲料、果実飲料、コーヒー、紅茶、茶、乳酸
菌飲料、ヨーグルト、アイスクリーム、飴、ガム、菓
子、パン、麺類等に好適に用いられる。
【0028】本発明の植物抽出物が添加される化粧品と
しては、具体的には、石鹸、洗顔料、クリーム、乳液、
化粧水、オーデコロン、ひげそり用クリーム、ひげそり
用ローション、化粧油、日焼け・日焼け止めローショ
ン、日焼け・日焼け止めオイル、おしろいパウダー、フ
ァンデーション、香水、パック、爪クリーム、エナメ
ル、エナメル除去液、眉墨、ほお紅、アイクリーム、ア
イシャドー、マスカラ、アイライナー、口紅、リップク
リーム及び浴用化粧品等の皮膚化粧料、シャンプー、リ
ンス、染毛料及び頭髪用化粧品等の毛髪化粧料、並びに
歯みがき等が挙げられる。又、薬用化粧品、薬用歯みが
き類、浴用剤等の医薬部外品にも好適に用いることがで
きる。
【0029】なお、石鹸には浴槽に投入して使用される
ものを含む。又、ひげそり用クリーム及びひげそり用ロ
ーションには、ひげそり時のみならずひげそり後に使用
するものを含む。浴用化粧品とは、身体を清潔にする、
香りを楽しむ等の目的で浴槽に投入され、又はこれに類
する用法で使用されるものをいう。
【0030】本発明の植物抽出物を含有する化粧品に
は、更に必要に応じて通常の化粧品に用いられる水性成
分、粉末、界面活性剤、油剤、保湿剤、アルコール類、
pH調整剤、防腐剤、色素、酸化防止剤、増粘剤、香料
等を適宜配合することができ、乳液、クリーム、化粧
水、パック、軟膏、分散剤、洗浄料等の剤形とすること
ができる。
【0031】本発明の植物抽出物を用いて化粧品を調製
する場合には、他の抗炎症剤、抗アレルギー成分、例え
ば、グリチルリチン酸等の甘草抽出成分、塩酸ジフェン
ヒドラミン、アズレン、ビタミンB2及びB6等と併用す
ることにより、その効果を高めることができる。
【0032】又、エラスチン、コラーゲン、レシチン、
スクワレン等の他の保湿・美肌性化粧品成分と併用する
ことにより、その保湿効果を一層高めることができる。
【0033】さらに、本発明の植物抽出物は、IgEレ
セプターに拮抗的に結合することにより、IgEのIg
Eレセプターへの結合を阻害することから、医学や生化
学等の分野における学術実験、医薬等の開発のための実
験等において試薬として用いることができる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるも
のではない。
【0035】(実施例1) バラの花、葉、茎及びコラ
ノキの種子(コーラナッツ)より抽出物を調製した。ま
ず、各試料5gを破砕して50〜70℃の熱水、100
mlにて30分間抽出した。次に、濾過により抽出液を
分離し、50℃にて10〜40分間、加熱濃縮した後、
凍結乾燥して抽出物を得た。
【0036】(実施例2) (IgEレセプター阻害活性)実施例1で得た抽出物の
IgEレセプター阻害活性をELISA法にて調べた。
IgEレセプターを固着させたウェルに、最終濃度が
1、0.1、0.01%(w/v)となるように調製し
た試料及び最終濃度が0.4μg/mlとなるようにヒ
トIgEを加えてインキュベーションを行った後、洗浄
を行い、遊離の試料及びヒトIgEを除去した。次に、
西洋ワサビパーオキシダーゼ(HRP)を結合した抗ヒ
トIgE抗体を濃度が0.4μg/mlとなるように加
えてインキュベーションを行った後、洗浄を行い、遊離
の抗ヒトIgE抗体を除去した。次に、HRPの基質と
してo−フェニレンジアミン二塩酸塩(OPD)を各ウ
ェルに注いでHRPと反応させ、発色させた後、各ウェ
ルの吸光度をプレートリーダーにて測定した。得られた
吸光度の値に基づいてIgEレセプター阻害活性を算出
した。ヒトIgEを添加しなかった場合の吸光度を発色
率0%、ヒトIgEのみを添加して試料を加えなかった
場合の吸光度を発色率100%として各試料の発色率を
算出し、各試料の発色率を100から差し引いた値をI
gEレセプター阻害率(%)とした。
【0037】結果を表1に示す。なお、ニンジンの抽出
物について、同様の方法にてIgEレセプター阻害活性
を測定した値を併記する。
【0038】
【表1】
【0039】バラの花、葉、茎及びコラノキの種子から
得た抽出物は、いずれも1%及び0.1%の濃度におい
て、IgEのIgEレセプターへの結合を効果的に阻害
した。
【0040】(実施例3) (FACS)実施例1で得た抽出物のIgEレセプター
阻害活性をFACSにて解析した。ヒトIgEレセプタ
ー発現組換えCHO細胞に、FITCで標識したヒトI
gE及び各種濃度に調製した試料を加え、FACS解析
装置にて分析を行った。なお、ニンジンからの熱水抽出
物についても同様の分析を行った。結果を図1に示す。
ニンジンからの熱水抽出物はIgEレセプター阻害活性
を示さなかったのに対し、バラの花及びコラノキの種子
から得た抽出物は、0.05%(w/v)及び0.00
5%(w/v)の濃度においてIgEのIgEレセプタ
ーへの結合を効果的に阻害した。又、いずれの植物から
の抽出物も細胞毒性は示さなかった。
【0041】(実施例4) (ヒスタミン遊離阻害活性)実施例1で得た抽出物のヒ
スタミン遊離阻害活性を調べた。常法によりヒト抹消血
より分離した好塩基球に、TBS−HSAに溶解した試
料を0.1%(w/v)の濃度となるように加えた後、
濃度が1μg/mlとなるようにヒトIgEを加えて好
塩基球を感作した。TBS−HSAにて洗浄し、遊離の
ヒトIgEを除去した後、濃度が3μg/mlとなるよ
うに抗ヒトIgE抗体を加えて、37℃で40分間イン
キュベーションを行った。上清を回収して過塩素酸で処
理した後、HPLCにて上清中のヒスタミン量を測定し
た。ヒスタミン遊離阻害活性の大きさ(%)は、次の式
により算出した。 {1−(SR−C)/(R−C)}×100 なお、式中、Cは未処理の細胞より遊離されるヒスタミ
ンの量を、Rは試料を加えずにヒトIgE及び抗ヒトI
gE抗体により刺激した場合に遊離したヒスタミンの量
を、SRは試料の存在下で抗ヒトIgE抗体により刺激
した場合に遊離したヒスタミンの量を表す。結果を表2
に示す。
【0042】
【表2】
【0043】バラの花及びコラノキの種子から得た抽出
物は、いずれも好塩基球からのヒスタミンの遊離を効果
的に阻害した。
【0044】(実施例5) (ヒアルロニダーゼ阻害活性)実施例1で得た抽出物の
ヒアルロニダーゼ阻害活性を調べた。ヒアルロニダーゼ
を溶解した酢酸緩衝液に、1%及び0.1%(w/v)
の濃度の試料を加え、37℃で20分間インキュベーシ
ョンを行った。次に、酵素を活性化する目的で、酢酸緩
衝液に溶解した塩化カルシウム・2水和物を加え、37
℃で20分間インキュベーションを行った。次に、酢酸
緩衝液に溶解した0.8mg/mlのヒアルロン酸溶液
を加え、さらに、37℃で40分間インキュベーション
を行った。0.4Nの水酸化ナトリウム溶液及び0.1
Nのホウ酸カリウム溶液を加えて、沸騰水中に3分間放
置することにより酵素反応を終了させ、さらに、p−ジ
メチルアミノベンズアルデヒド溶液を加えて、37℃で
20分間インキュベーションを行った。585nmで吸
光度を測定して、その値から、下式によりヒアルロニダ
ーゼ阻害率を算出した。 ヒアルロニダーゼ阻害率(%)={1−(試料の値−ブラ
ンク(試料)の値)/(対照の値−ブランク(対照)の
値)}×100 なお、ブランク(試料)の値は上記の操作においてヒア
ルロン酸溶液を加えなかった場合の値を、対照の値は上
記の操作において試料を加えなかった場合の値を、又、
ブランク(対照)の値は上記の操作において試料及びヒ
アルロン酸溶液を加えなかった場合の値を用いた。
【0045】結果を図2に示す。なお、高いヒアルロニ
ダーゼ阻害活性を有することが確認されているインター
ル(クロモグリク酸ナトリウム)について、同様の方法
により測定したヒアルロニダーゼ阻害率の値を併記す
る。
【0046】バラの花及びコラノキの種子から得た抽出
物は、いずれも1%及び0.1%の濃度にて、高いヒア
ルロニダーゼ阻害活性を示した。
【0047】(実施例6) (抗酸化作用)実施例1で得た抽出物の抗酸化作用を調
べた。エタノールにリノール酸を4%の濃度で溶解した
基質溶液5mlに、4mlの0.1Mリン酸緩衝液(p
H7.0)及び試料の最終濃度が100、10ppmと
なるように1mlの試料液を加えた反応液を密栓試験管
中で混和した。反応開始後7日目に反応液0.1mlを
採取し、4.7mlの75%エタノール、0.1mlの
30%チオシアン酸アンモニウム水溶液及び0.1ml
の0.02M塩化第一鉄溶液(3.5%塩酸で溶解)を
加え、3分経過後に500nmにおける吸光度を測定し
た。結果を図3に示す。なお、上記の操作において、試
料の代わりに同容量のエタノールを加えた場合の測定値
をコントロールとした。又、高い抗酸化作用を有するこ
とが確認されているBHAについて、同様の方法により
測定した値を併記する。
【0048】バラの花及びコラノキの種子から得た抽出
物は、100、10ppmのすべての濃度において抗酸
化作用を示した。特に、バラの花から得た抽出物は、い
ずれの濃度においてもBHAよりも強い作用を示し、コ
ラノキの種子の抽出物は、100ppmの濃度において
BHAよりも強い作用を示した。
【0049】(実施例7) (抗菌作用)アトピー性皮膚炎に関連があるとされるCo
rynebacterium属の菌、Staphylococcus epidermidis
及びStaphylococcus aeruginosaについて、実施例1で
得た抽出物の抗菌作用を調べた。0、0.01、0.
1、0.5、1.5%(w/v)の濃度で試料を含有す
る寒天培地をプレート中に調製し、各プレート当たり
1.0×104個の菌をまいた。なお、寒天培地は、水
1l当たり30gの寒天粉末を用い、ペプトン20g、
酵母エキス10g、NaCl10gを加えて調製した。
30℃で48時間保存した後、菌の生育状況を目視にて
観察し、以下の3段階による評価を行った。 + 菌の生育が阻害された。 ± 菌の生育がやや阻害された。 − 菌の生育は阻害されなかった。 結果を表3に示す。なお、ニンジンからの抽出物につい
て、同様の方法により抗菌作用を測定した結果を併記す
る。
【0050】
【表3】
【0051】ニンジンからの抽出物は、抗菌作用をほと
んど示さなかったのに対し、バラの花及びコラノキの種
子から得た抽出物は、いずれも、0.1乃至0.5%以
上の濃度で上記の菌の生育を阻害し、特にバラの花の抽
出物は、強い抗菌作用を示した。
【0052】
【発明の効果】本発明の植物抽出物は、抗アレルギー作
用を有し、医薬の成分としてのみならず、化粧品、食
品、浴用剤等にも好適に用いることができ、これらに抗
アレルギー作用を付与することができる。又、IgEの
IgEレセプターへの結合を阻害することにより抗アレ
ルギー作用を発揮するため、アトピー性皮膚炎、花粉症
等のアレルギー症状の包括的な改善が可能である。
【0053】さらに、抗菌作用、抗酸化作用を有するこ
とから、傷口の化膿止め用の軟膏等、あるいは、食品の
酸化、腐敗を抑える用途にも用いることができる。
【0054】又、ヒアルロニダーゼ阻害作用を有するこ
とから、食品、化粧品に添加した場合には、血管等の組
織、肌等の保湿効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の植物抽出物のIgEレセプター
阻害活性を示すFACS解析グラフである。
【図2】 本発明の植物抽出物のヒアルロニダーゼ
阻害活性を示すグラフである。
【図3】 本発明の植物抽出物の抗酸化作用を示す
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 7/48 A61K 7/48 (72)発明者 羅 智靖 千葉県千葉市花見川区花園2−14−13 (72)発明者 渋谷 一郎 千葉県柏市増尾字松山967 (72)発明者 塙 正義 千葉県柏市増尾字松山967 (72)発明者 平井 光雄 千葉県柏市増尾字松山967

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バラ科バラ属又はアオギリ科に属する植
    物から抽出されて成ることを特徴とする植物抽出物。
  2. 【請求項2】 抗アレルギー作用を有する請求項1に記
    載の植物抽出物。
  3. 【請求項3】 該バラ科バラ属に属する植物がバラであ
    る請求項1又は2に記載の植物抽出物。
  4. 【請求項4】 該アオギリ科に属する植物がコーラ属に
    属する植物である請求項1又は2に記載の植物抽出物。
  5. 【請求項5】 該コーラ属に属する植物がコラノキであ
    る請求項4に記載の植物抽出物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の植物抽
    出物を有効成分とすることを特徴とする抗アレルギー性
    医薬。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の植物抽
    出物を含有することを特徴とする化粧品。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれかに記載の植物抽
    出物を含有することを特徴とする医薬部外品。
  9. 【請求項9】 請求項1〜5のいずれかに記載の植物抽
    出物を含有することを特徴とする食品。
  10. 【請求項10】 請求項1〜5のいずれかに記載の植物
    抽出物を含有することを特徴とする試薬。
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