JP2020143034A - メイラード反応阻害剤およびAGEs架橋切断促進剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 メイラード反応を阻害し、AGEs蓄積を抑制することができる新たな剤を提供する。【解決手段】 本発明は、ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属、サンザシ属、フクギ属およびサクラ属からなる群より選択される1種類または複数種類の植物の抽出物を有効成分として含有するメイラード反応阻害剤を提供する。また本発明は、ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属、サンザシ属、フクギ属およびサクラ属からなる群より選択される1種類または複数種類の植物の抽出物を有効成分として含有するAGEs架橋切断促進剤を提供する。【選択図】 なし
Description
本発明は、メイラード反応阻害剤およびAGEs架橋切断促進剤、ならびにそれらを配合した経口用組成物、外用組成物および食品組成物に関する。
メイラード反応は、還元糖のカルボニル基と、タンパク質またはアミノ酸などのアミノ化合物のアミノ基との非酵素的反応であり、糖化反応とも呼ばれる。メイラード反応は、食品の加工および貯蔵などにおいて起こることが知られているが、生体内でも起こり得る。非酵素的かつ非可逆的な反応により、還元糖とアミノ化合物とが縮合してシッフ塩基を形成し、アマドリ転位の後、様々な中間体を経て最終糖化産物(Advanced Glycation End products:AGEs)を形成する。このAGEsが生体内に蓄積されると、白内障、軟骨および皮膚の弾力低下、皮膚のたるみおよびしわなどを引き起こすことが知られている。
このため、近年では、AGEsの体内での蓄積を防止するために、糖の吸収抑制および中間体産生抑制などによるAGEsの蓄積を防止する試みが行われている。たとえば、特許文献1には、ラッカセイ、ローズマリー、タデ、リーフレタス、スイートバジル、タイム、スペアミント、レモンバーム、シソおよびルバーブからなる群から選択された少なくとも1種類の抽出物を含むAGEs分解剤が開示されている。
しかし、AGEs産生は不可逆的な反応であり、一度産生および蓄積されたAGEsを分解および排出することは困難である。そのため、AGEsの分解および/または排出を促進する新たな手段の開発が強く望まれている。
本発明の目的は、メイラード反応を阻害し、AGEs蓄積を抑制することができる新規な剤および組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、種々の植物エキスの特定の組み合わせが優れたメイラード反応阻害作用を有することを見出した。本発明者らはまた、この組み合わせがAGEs架橋切断作用をも有することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属、サンザシ属、フクギ属およびサクラ属からなる群より選択される1種類または複数種類の植物の抽出物を有効成分として含有する、メイラード反応阻害剤を提供する。
本発明はまた、ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属、サンザシ属、フクギ属およびサクラ属からなる群より選択される1種類または複数種類の植物の抽出物を有効成分として含有する、AGEs架橋切断促進剤を提供する。
本発明はまた、上記メイラード反応阻害剤または上記AGEs架橋切断促進剤を含有する、経口用組成物を提供する。
本発明はまた、上記メイラード反応阻害剤または上記AGEs架橋切断促進剤を含有する、外用組成物を提供する。
本発明はまた、ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属、サンザシ属、フクギ属およびサクラ属からなる群より選択される1種類または複数種類の植物の抽出物を有効成分として含有する、メイラード反応阻害用食品組成物を提供する。
本発明はまた、ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属、サンザシ属、フクギ属およびサクラ属からなる群より選択される1種類または複数種類の植物の抽出物を有効成分として含有する、AGEs架橋切断促進用食品組成物を提供する。
さらに、本発明は、ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属およびサンザシ属の植物の抽出物を有効成分として含有する、メイラード反応阻害剤を提供する。
さらに、本発明は、ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属およびサンザシ属の植物の抽出物を有効成分として含有する、AGEs架橋切断促進剤を提供する。
本発明によれば、メイラード反応を阻害し、AGEs蓄積を抑制することができる新規な剤および組成物を提供することができる。本発明の剤および組成物は、植物エキスを有効成分として含有するため、副作用が少なく安全に摂取できるという効果を奏する。
本発明は、ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属、サンザシ属、フクギ属およびサクラ属からなる群より選択される1種類または複数種類の植物の抽出物を有効成分として含有する、メイラード反応阻害剤を提供する。
また、本発明は、ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属、サンザシ属、フクギ属およびサクラ属からなる群より選択される1種類または複数種類の植物の抽出物を有効成分として含有する、AGEs架橋切断促進剤を提供する。
本明細書においてメイラード反応とは、還元糖のカルボニル基と、アミノ化合物のアミノ基との非酵素的反応であり、糖化反応ともいう。メイラード反応により、還元糖とアミノ化合物とが縮合してシッフ塩基を形成し、アマドリ転位の後、様々な中間体を経て最終糖化産物(Advanced Glycation End products:AGEs)が形成される。本明細書においてメイラード反応の阻害は、メイラード反応の抑制、AGEs生成の阻害および抑制ならびにAGEs蓄積の阻害および抑制を含む。
本明細書においてAGEsとは、メイラード反応(糖化反応)による生成物の総称である。AGEsには、たとえばNε-カルボキシメチルリシン(CML)、Nε-カルボキシエチルリシン(CEL)、アルグピリミジン、ペントシジン、ピラリン、クロスリン、GA-ピリジン、Nω-カルボキシメチルアルギニン(CMA)、フロイルフラニルイミダゾール(2-(2-furoyl)-4(5)-(2-furanyl)-1H-imidazole)およびグルコスパンなどが含まれる。
本明細書において、AGEs架橋とは、AGEs同士、あるいはAGEsとタンパク質などの化合物との間に形成された架橋構造をいう。本発明におけるAGEs架橋は、たとえばAGEsのαジケトンのC-C結合を意味してもよい。AGEs架橋の切断には、AGEsが関連する架橋構造の切断または分解が含まれる。AGEs架橋切断の促進は、AGEs架橋切断の亢進ならびにAGEs蓄積量の抑制および減少を含む。
ヒシ属(Trapa)には、たとえばミソハギ科(ヒシ科)ヒシ属に属する植物、たとえばツノナシビシ(Trapa acornis Nakano)、ヒメビシ(Trapa incisa Sieb. Et Zuc.)、ヒシ(Trapa japonica Flerov)、トウビシ(Trapa bispnosa Roxb.)、トラパ・ナタンス(Trapa natans L.)およびオニビシ(Trapa natans L. var. japonica Nakai)などが含まれる。本発明において用いるヒシ属として、たとえばヒシ、トウビシまたはオニビシを用いてもよい。
ローマカミツレ属(Chamaemaium)には、たとえばキク科アンテミス属に属する植物、たとえばローマカミツレ(Anthemis nobilis L.(Compositae nobile))などが含まれる。
ブドウ属(Vitis)には、たとえばブドウ科ブドウ属に属する植物、たとえばブドウ(Vitis vinifera L.)、アメリカブドウ(Vitis labrusca L.)アマヅル(V. flexuosa Makino)、エビヅル(V. coiguetiae Pulliat)および欧・米雑種ブドウ(V. labruscana Bailey)などが含まれる。
ドクダミ属(Houttuynia)には、たとえばドクダミ科ドクダミ属(Saururaceae Houttuynia)に属する植物、たとえばドクダミ(Houttuynia cordata Thunberg)などが含まれる。
サンザシ属(Crataegus)には、たとえばバラ科サンザシ属(Rosaceae Crataegus)に属する植物、たとえばセイヨウサンザシ(Crataegus oxyacantha L.)およびサンザシ(C. Cuneate Sieb.et Zucc.)などが含まれる。
フクギ属(Garcinia)には、たとえばフクギ科フクギ属に属する植物、たとえばマンゴスチン(Garcinia mangostana L.)、ゴラカ(Garcinia cambogia Desr.)、ムムンジン(Garcinia dioica Blume)、グルグル(Garcinia atroviridis Griff. ex T. Anderson)、オオバマンゴスチン(Garcinia dulcis(Roxb.)Kurz)、インドマンゴスチン(Garcinia indica Choisy)、フクギ(Garcinia subelliptica Merr.)およびタマゴノキ(Garcinia xanthochymus Hook. F. wxt. Anders.)などが含まれる。本発明において用いるフクギ属として、たとえばマンゴスチンを用いてもよい。
サクラ属(Prunus)には、たとえばヤマザクラ群、エドヒガン群、マメザクラ群、チョウジザクラ群およびシナミザクラ群などに属する桜が含まれる。本発明において用いるサクラ属として、たとえばヤエザクラ(カンザン)を用いてもよい。
本発明において用いる植物の部位は特に限定されず、花、花穂、果皮、果実、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根茎、根皮、根、種子、種皮もしくは全草またはこれらの組み合わせを用いることができる。
本発明のメイラード反応阻害剤およびAGEs架橋切断促進剤は、ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属、サンザシ属、フクギ属またはサクラ属のいずれか1種類の植物の抽出物を有効成分として含有してもよい。たとえば、本発明のメイラード反応阻害剤およびAGEs架橋切断促進剤は、ヒシ属に属する植物の抽出物のみを有効成分として含有してもよい。
本発明のメイラード反応阻害剤およびAGEs架橋切断促進剤は、ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属、サンザシ属、フクギ属およびサクラ属からなる群より選択される2種類以上の植物の抽出物を有効成分として含有してもよい。たとえば、本発明のメイラード反応阻害剤およびAGEs架橋切断促進剤は、ヒシ属に属する植物の抽出物と、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属、サンザシ属、フクギ属およびサクラ属からなる群より選択される1種類の植物の抽出物とを有効成分として含有してもよい。また、本発明のメイラード反応阻害剤およびAGEs架橋切断促進剤は、ヒシ属に属する植物の抽出物、フクギ属に属する植物の抽出物およびサクラ属に属する植物の抽出物を有効成分として含有してもよい。たとえば、本発明のメイラード反応阻害剤およびAGEs架橋切断促進剤は、ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属およびサンザシ属の植物の抽出物を有効成分として含有してもよい。
本明細書において植物の抽出物(エキス)とは、植物からその成分が抽出されたものであればよく、特に限定されない。植物の抽出には、上述した植物の各種部位をそのまま用いてもよいし、これらの部位の粉砕物を用いてもよい。抽出方法には、植物体またはその粉砕物の圧搾、粉砕、加熱、酵素分解、発酵、加水分解および溶媒抽出などの手法を用いることができ、植物の種類および部位などにより適宜選択することができる。
溶媒抽出に用いる溶媒として、たとえば水、アルコール類、ケトン類、エステル類、ジエチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、キシレン、ベンゼンおよびクロロホルムなどを用いることができる。アルコール類としては、たとえばメタノール、無水エタノール、エタノールなどの低級アルコール、ならびにプロピレングリコールおよび1,3-ブチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いることができる。ケトン類としては、たとえばアセトンなどを用いることができ、エステル類としては、たとえば酢酸エチルエステルなどを用いることができる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、抽出物は、溶媒により抽出された状態で用いてもよいし、溶媒を含んだ抽出物からさらに精製工程を経た後に用いてもよい。抽出物の精製は、たとえば蒸留、濾過、クロマトグラフィおよび乾燥などの手法を用いて行うことができる。本発明において用いる抽出物の形態は、溶液状、ペースト状、ゲル状および粉末状などであることができる。
本発明において、抽出物は、メイラード反応を阻害する効果を有する量およびAGEs架橋切断を促進する量であれば、任意の量で含有することができる。各種エキス・抽出物の原料となる植物は、天然物である。したがって、本発明に含まれる抽出物は、使用される植物、抽出方法、製造ロットおよび溶媒などに応じて、メイラード反応を阻害する効果を有する量およびAGEs架橋切断を促進する量以上の量を、適宜組成物中に含有させることができる。
本発明はまた、上述したメイラード反応阻害剤またはAGEs架橋切断促進剤を含有する経口用組成物を提供する。本発明の経口用組成物は、メイラード反応を阻害するための、またはAGEs架橋切断を促進するための経口用組成物であることができる。
本発明の経口用組成物は、メイラード反応阻害剤またはAGEs架橋切断促進剤のほかに、経口用組成物に通常用いられる基剤、界面活性剤、増粘剤、保存剤、pH調整剤、キレート剤、安定化剤、刺激軽減剤、防腐剤、着色剤、分散剤、香料、油脂、甘味料、乳化剤、分散剤、懸濁化剤および酸化防止剤などをさらに含有してもよい。
本発明の経口用組成物は、たとえば液状、シロップ状、ペースト状、ゲル状、ゼリー状、クリーム状、エマルション状、スプレー状、ムース状、ローション状、粉末状、顆粒状、粒状、タブレット状、チュアブル状、カプセル状およびソフトカプセル状などであることができる。
本発明の経口用組成物は、たとえば医薬品、医薬部外品および食品の形態であることができる。食品には、たとえば機能性表示食品、保健機能食品(特定保健用食品および栄養機能食品を含む)、健康食品、栄養補助食品(バランス栄養食およびサプリメントを含む)および加工食品などが含まれる。
本発明の経口用組成物は、特に限定されないが、老化に伴って生じる様々な現象、たとえば軟骨の弾力低下、皮膚の老化、皮膚の弾力低下、しわおよびたるみの原因となるコラーゲンの架橋形成ならびに肌のくすみの原因となる色素沈着等の抑制または改善のために用いることができる。
本発明はまた、上述したメイラード反応阻害剤またはAGEs架橋切断促進剤を含有する外用組成物を提供する。本発明の外用組成物は、メイラード反応を阻害するための、またはAGEs架橋切断を促進するための外用組成物であることができる。
本発明の外用組成物は、メイラード反応阻害剤またはAGEs架橋切断促進剤のほかに、外用組成物に通常用いられる基剤、界面活性剤、増粘剤、保存剤、pH調整剤、キレート剤、安定化剤、刺激軽減剤、防腐剤、着色剤、分散剤および香料などをさらに含有してもよい。
本発明の外用組成物は、たとえば化粧料、洗浄料、医薬品、医薬部外品および入浴剤などの形態であってもよい。化粧料には、たとえば化粧水、乳液、ジェル、クリーム、美容液、パック、マスク、ハンドクリーム、ボディローション、ボディークリーム、日焼け止め用化粧料およびメイクアップ化粧料などが含まれる。洗浄料には、洗顔料、メイク落とし、ボディーシャンプー、シャンプー、リンスおよびトリートメントなどが含まれる。
本発明の外用組成物は、特に限定されないが、老化に伴って生じる様々な現象、たとえば軟骨の弾力低下、皮膚の老化、皮膚の弾力低下、しわおよびたるみの原因となるコラーゲンの架橋形成ならびに肌のくすみの原因となる色素沈着等の抑制または改善のために用いることができる。
本発明はまた、ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属、サンザシ属、フクギ属およびサクラ属からなる群より選択される1種類または複数種類の植物の抽出物を有効成分として含有する、メイラード反応阻害用食品組成物を提供する。
本発明はまた、ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属、サンザシ属、フクギ属およびサクラ属からなる群より選択される1種類または複数種類の植物の抽出物を有効成分として含有する、AGEs架橋切断促進用食品組成物を提供する。
本発明の食品組成物は、メイラード反応阻害剤またはAGEs架橋切断促進剤のほかに、食品組成物に通常用いられる基剤、界面活性剤、増粘剤、保存剤、pH調整剤、キレート剤、安定化剤、刺激軽減剤、防腐剤、着色剤、分散剤、香料、油脂、甘味料、乳化剤、分散剤、懸濁化剤および酸化防止剤などをさらに含有してもよい。
本発明の食品組成物は、たとえば液状、シロップ状、ペースト状、ゲル状、ゼリー状、クリーム状、エマルション状、スプレー状、ムース状、ローション状、粉末状、顆粒状、粒状、タブレット状、チュアブル状、カプセル状およびソフトカプセル状などの形態であることができる。
本発明の食品組成物は、たとえば機能性表示食品、保健機能食品(特定保健用食品および栄養機能食品を含む)、健康食品、栄養補助食品(バランス栄養食およびサプリメントを含む)および加工食品などの態様であることができる。また、本発明の食品組成物は、たとえば飲料、乳製品、菓子類、パン類、麺類およびレトルト食品などの一般的な飲食品に添加されてもよい。
本発明の食品組成物は、特に限定されないが、老化に伴って生じる様々な現象、たとえば軟骨の弾力低下、皮膚の老化、皮膚の弾力低下、しわおよびたるみの原因となるコラーゲンの架橋形成ならびに肌のくすみの原因となる色素沈着等の抑制または改善のために用いることができる。
(植物エキスの調製)
ヒシ、ブドウ葉、ローマカミツレ、ドクダミ、セイヨウサンザシ、桜の花およびマンゴスチンからエキスを抽出した。ヒシエキスは、ヒシの果皮から、熱水抽出し、その後乾燥させて粉末を得た。ブドウ葉エキスは、ブドウの葉から、熱水抽出し、その後乾燥させて粉末を得た。ローマカミツレエキスは、ローマカミツレの頭状花から、熱水抽出し、その後乾燥させて粉末を得た。ドクダミエキスは、ドクダミの地上部から、熱水抽出し、その後乾燥させて粉末を得た。セイヨウサンザシエキスは、セイヨウサンザシの果実から、熱水抽出し、その後乾燥させて粉末を得た。桜の花エキスは、桜の花びらから、含水エタノール抽出し、その後乾燥させて粉末を得た。マンゴスチンエキスは、マンゴスチンの果皮から、熱水抽出し、その後乾燥させて粉末を得た。なお、ブドウ葉、ローマカミツレ、ドクダミ、セイヨウサンザシからなる混合ハーブ抽出物を使用することができる。
ヒシ、ブドウ葉、ローマカミツレ、ドクダミ、セイヨウサンザシ、桜の花およびマンゴスチンからエキスを抽出した。ヒシエキスは、ヒシの果皮から、熱水抽出し、その後乾燥させて粉末を得た。ブドウ葉エキスは、ブドウの葉から、熱水抽出し、その後乾燥させて粉末を得た。ローマカミツレエキスは、ローマカミツレの頭状花から、熱水抽出し、その後乾燥させて粉末を得た。ドクダミエキスは、ドクダミの地上部から、熱水抽出し、その後乾燥させて粉末を得た。セイヨウサンザシエキスは、セイヨウサンザシの果実から、熱水抽出し、その後乾燥させて粉末を得た。桜の花エキスは、桜の花びらから、含水エタノール抽出し、その後乾燥させて粉末を得た。マンゴスチンエキスは、マンゴスチンの果皮から、熱水抽出し、その後乾燥させて粉末を得た。なお、ブドウ葉、ローマカミツレ、ドクダミ、セイヨウサンザシからなる混合ハーブ抽出物を使用することができる。
植物エキスを下記の表1に示す配合により混合し、植物エキス末A〜Cを得た。混合ハーブエキスは、ブドウ葉、ローマカミツレ、ドクダミ、セイヨウサンザシを含む混合エキス末である。表1において、植物エキス末A〜Cに含まれる材料を●で示した。
各植物エキス末は、精密天秤にて秤量後、蒸留水で20mg/mLになるよう調製し、適宜希釈して試験試料とした。各試料を蒸留水に溶解すると濁りが生じたが、本試験では、成分全体について評価するため、試験試料水溶液を十分に攪拌し、均一に懸濁した後に採取して用いた。
(実施例1:メイラード反応阻害作用)
植物エキス末A〜Cのメイラード反応阻害作用(AGEs生成阻害作用)を評価した。AGEs(糖化最終生成物)は、糖化反応における最終生成物の総称であり、その特徴の一つとして蛍光性を有する。蛍光性を有するAGEsには、クロスリンおよびピロピリジンなどが知られている。本実施例では、毛髪より抽出した溶液中の蛍光性AGEsについて評価した。クロスリンおよびピロピリジンなどの蛍光性AGEsについて、370nmの励起波長を照射したときの蛍光を440nmにおいて測定した。
植物エキス末A〜Cのメイラード反応阻害作用(AGEs生成阻害作用)を評価した。AGEs(糖化最終生成物)は、糖化反応における最終生成物の総称であり、その特徴の一つとして蛍光性を有する。蛍光性を有するAGEsには、クロスリンおよびピロピリジンなどが知られている。本実施例では、毛髪より抽出した溶液中の蛍光性AGEsについて評価した。クロスリンおよびピロピリジンなどの蛍光性AGEsについて、370nmの励起波長を照射したときの蛍光を440nmにおいて測定した。
0.1mol/L NaH2PO4-Na2HPO4リン酸緩衝液(pH7.4)、8mg/mLヒト血清アルブミン(HSA;Sigma-Aldrich)および0.2moL/Lグルコースを含む糖化反応液中に、調製した被験試料を1/10濃度になるように添加し、60℃で40時間インキュベートした。コントロールとしては、試験試料の代わりに蒸留水を添加したものを用いた。糖化反応抑制作用のポジティブコントロールとして、糖化反応阻害剤の一種であるアミノグアニジンを用いた。
糖化反応終了後、反応液中に生成した蛍光性AGEsを、マイクロプレートリーダー(Varioscan Flash;サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を用いて測定した(励起波長370nm/蛍光波長440nm)。
AGEsの生成阻害率(%)は、被験試料を添加したもの(A)、グルコース水溶液の代わりに蒸留水を添加したもの(B)、被験試料を添加しない溶液のみを添加してインキュベートしたもの(C)、ブランクとしてグルコースの代わりに蒸留水を添加したもの(D)の各測定値を用いて、下記の式に従って算出した。
AGEs生成阻害率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
AGEs生成阻害率(%)={1−(A−B)/(C−D)}×100
AGEs生成阻害率の測定結果を表2に示す。AGEs生成阻害率は、独立した3回の測定値から平均値および標準偏差を求めた。平均値は整数値により表記し、標準偏差は小数第一位まで表記した。また、メイラード反応阻害作用(糖化阻害作用)の評価のために、IC50を算出し、小数第三位まで表記した。IC50の値が小さいほど、メイラード反応阻害作用が強いことを示している
蛍光性AGEsの生成阻害作用
表2に示すように、植物エキス末A〜Cは、いずれも蛍光性AGEs生成阻害作用を有していた。植物エキス末AおよびCは、植物エキス末Bと比較して強いAGEs生成阻害作用およびメイラード反応阻害作用が認められた。
(実施例3:AGEs架橋切断作用)
AGEsが関連する架橋構造を分解する化合物として、N-フェナシルチアゾリウムブロミド(N-phenacylthiazolium bromide:PTB)が報告されている。PTBは、αジケトン構造のC-C結合を切断分解することにより、血管内のAGEsの蓄積を抑制し、糖尿病性血管合併症の治療に寄与する可能性が示唆されている。そのため、この作用は、糖化ストレスの治療的なアプローチとして注目されている。本実施例では、αジケトン構造を有する1-フェニル-1,2-プロパンジオン(1-phenyl-1,2-propanedione:PPD)をモデル基質とした反応系を用いて、AGEs架橋切断作用を評価した。ポジティブコントロールとしてPTBを用いた。
AGEsが関連する架橋構造を分解する化合物として、N-フェナシルチアゾリウムブロミド(N-phenacylthiazolium bromide:PTB)が報告されている。PTBは、αジケトン構造のC-C結合を切断分解することにより、血管内のAGEsの蓄積を抑制し、糖尿病性血管合併症の治療に寄与する可能性が示唆されている。そのため、この作用は、糖化ストレスの治療的なアプローチとして注目されている。本実施例では、αジケトン構造を有する1-フェニル-1,2-プロパンジオン(1-phenyl-1,2-propanedione:PPD)をモデル基質とした反応系を用いて、AGEs架橋切断作用を評価した。ポジティブコントロールとしてPTBを用いた。
試験試料または10mmol/L PTBと、10mmol/L PPDと、0.2mol/Lリン酸緩衝液(pH7.4)とを、5:1:4の割合で混合し、37℃で8時間反応させた(n=3)。反応終了後、エン酸を加えて反応を停止させた。
反応液を4℃、13,000×gで10分間遠心分離し、上清中の安息香酸量を逆相HPLCで分析した。反応液中の安息香酸量は、別途測定した試料中の安息香酸量を差し引いて求めた。1molのPPDは1molの安息香酸を生成することから、以下の式により架橋切断率(%)を算出した。
架橋切断率(%)={(A−B−C)/D}×100
A:反応液中の安息香酸量
B:試料中の安息香酸量
C:試料の代わりに蒸留水を添加して反応させたときの安息香酸量
D:反応に供したPPD量(基質量)
架橋切断率(%)={(A−B−C)/D}×100
A:反応液中の安息香酸量
B:試料中の安息香酸量
C:試料の代わりに蒸留水を添加して反応させたときの安息香酸量
D:反応に供したPPD量(基質量)
測定結果を表3に示す
AGEs架橋切断作用
表3に示すように、植物エキス末A〜Cは、いずれもAGEs架橋切断作用を有していた。植物エキス末AおよびCは、植物エキス末Bと比較して強い架橋切断作用が認められた。
本発明は、メイラード反応を阻害し、AGEs蓄積を抑制するための化粧料、医薬品および食品に好適に利用可能である。
Claims (8)
- ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属、サンザシ属、フクギ属およびサクラ属からなる群より選択される1種類または複数種類の植物の抽出物を有効成分として含有する、メイラード反応阻害剤。
- ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属、サンザシ属、フクギ属およびサクラ属からなる群より選択される1種類または複数種類の植物の抽出物を有効成分として含有する、AGEs架橋切断促進剤。
- 請求項1に記載のメイラード反応阻害剤または請求項2に記載のAGEs架橋切断促進剤を含有する、経口用組成物。
- 請求項1に記載のメイラード反応阻害剤または請求項2に記載のAGEs架橋切断促進剤を含有する、外用組成物。
- ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属、サンザシ属、フクギ属およびサクラ属からなる群より選択される1種類または複数種類の植物の抽出物を有効成分として含有する、メイラード反応阻害用食品組成物。
- ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属、サンザシ属、フクギ属およびサクラ属からなる群より選択される1種類または複数種類の植物の抽出物を有効成分として含有する、AGEs架橋切断促進用食品組成物。
- ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属およびサンザシ属の植物の抽出物を有効成分として含有する、請求項1に記載のメイラード反応阻害剤。
- ヒシ属、ローマカミツレ属、ブドウ属、ドクダミ属およびサンザシ属の植物の抽出物を有効成分として含有する、請求項2に記載のAGEs架橋切断促進剤。
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JP2019042713A JP2020143034A (ja) | 2019-03-08 | 2019-03-08 | メイラード反応阻害剤およびAGEs架橋切断促進剤 |
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2019
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2022080275A (ja) * | 2020-11-17 | 2022-05-27 | 株式会社ニコリオ | 組成物 |
CN114271489A (zh) * | 2021-11-29 | 2022-04-05 | 北京思维晶格科技有限公司 | 一种抗糖化保健食品组合物 |
CN114271489B (zh) * | 2021-11-29 | 2023-11-24 | 未名太研生物科技(绍兴)有限公司 | 一种抗糖化保健食品组合物 |
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