JP2016088857A - アミロイド形成阻害作用を呈するネルボン酸誘導体及びその製造方法 - Google Patents

アミロイド形成阻害作用を呈するネルボン酸誘導体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アミロイド形成阻害作用を呈するネルボン酸誘導体及びその製造方法の提供。【解決手段】ネルボン酸とチロシンが結合している誘導体である式(1)で表されるネルボン酸誘導体。ネルボン酸誘導体は発酵による酵素反応により生成され、アミロイドの形成を抑制する。製造方法はルリジサの種子及び大豆粉末に納豆本舗製の納豆菌と紅麹本舗製のベニコウジ菌を添加して発酵させた発酵液をプロテアーゼ処理する工程からなる。得られた式(1)で示されるネルボン酸誘導体は優れた効果を呈し、化粧料、食品製剤、医薬品として応用される。特に、化粧料に利用した場合、メラニン形成を抑制する美白化粧料に応用される。【選択図】なし

Description

この発明はアミロイド形成阻害作用を呈するネルボン酸誘導体及びその製造方法に関するものである。
アミロイドは変性したタンパク質の集合体であり、タンパク質の老廃物の塊と表現されている。その分子量は数百万から数千万にもなり、巨大な分子を形成する。
通常、タンパク質はプロテアーゼにより分解されるが、アミロイドはプロテアーゼによる分解から免れて巨大化する。そのメカニズムには酸化物質や糖質の関与が考えられている。
アミロイドの蓄積は老化とともに増加することが知られており、老化による身体の衰えや皮膚の色素沈着にも関与している。
また、脳神経においてはアミロイドの蓄積はアルツハイマー病や老年性認知症の一因と考えられている。特に、老人班といわれる蓄積物は神経細胞の障害にも関与している。
さらに、血管に蓄積したアミロイドは血管の弾性を低下させ、高血圧や動脈硬化を引き起こす。
骨や関節に蓄積したアミロイドは関節の変形を引き起こすと考えられている。
このように、アミロイドは全身で種々の疾患の原因になることから、アミロイドを減少させる治療法や医薬品の開発が進められている。
アミロイドの減少に関する発明としては、アミロイドーシス関連疾患の治療のための医療品又は食料品の製造における、DHAを含有する脂肪酸組成物の使用がある(例えば、特許文献1参照。)
また、アスパルチルプロテアーゼインヒビターを使用して神経変性障害を処置する方法がある(例えば、特許文献2参照。)
さらに、キレート作用を利用してアミロイド結合性金属キレート剤の発明がある(例えば、特許文献3参照。)
しかし、具体的な物質の同定には至っておらず、産業への利用は限定される。
特表2008−528475 特表2002−539260 特表2006−515630
既存の物質によるアミロイド形成阻害作用は軽度であり、産業上への利用が限定されるという課題があり、また、化学合成された物質では安全性に問題があり、利用が限られている。
そこで、副作用が弱く優れたアミロイド形成阻害作用を呈する天然物及びそれを効率良く製造する製造方法が望まれている。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は下記の式(1)で示されるアミロイド形成阻害作用を有するネルボン酸誘導体に関するものである。
Figure 2016088857
上記の目的を達成するために、請求項2に記載の発明はアミロイド形成阻害作用を有するネルボン酸誘導体の製造方法に関するものである。
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載のネルボン酸誘導体はアミロイド形成阻害作用に優れている。
請求項2に記載の製造方法によれば、効率良くネルボン酸誘導体を製造することができる。
以下、この発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
アミロイド形成阻害作用を呈するネルボン酸誘導体とは、下記の式(1)で示される構造からなるものである。
Figure 2016088857
前記の式(1)のようにネルボン酸の1分子にチロシン1分子がペプチド結合している。チロシンはL型である。
ネルボン酸とはシス型の二重結合を1つ有する不飽和脂肪酸の一つであり、n−9に分類され、化学式はC24H46O2、分子量366.62である。
すなわち、炭素は24個、水素が46個、酸素が2個よりなる不飽和脂肪酸である。このネルボン酸は植物の種子、樹皮、種子に含有されている。このうち、ルリジサの種子、種子、花には豊富に含まれている。ネルボン酸は抗酸化作用に優れており、遺伝子に対する作用が確認されている。
このネルボン酸誘導体はネルボン酸の1分子にチロシン結合している。すなわち、ネルボン酸のカルボキシル基とチロシンのアミノ基がペプチド結合している。
このネルボン酸誘導体の構造は有機化学的分析により解析される。たとえば、400MHzのH−NMR解析により、0.8〜1.2、1.6〜2.0、2.3〜3.4、5.3〜6.7、7.05及び7.1ppmあたりにピークを呈することが化学的合成された標準品で確認される。また、IR分析や質量分析により構造を解析することは好ましい。
これらの物質は全て天然由来であり、その安全性は確認されている。さらに、このネルボン酸誘導体の過剰量と人が接触した場合、または飲んだ場合には、体内のエステラーゼなどの酵素により分解されて、ネルボン酸とチロシンに分解されることから安全性が高い。このネルボン酸誘導体は土壌中の微生物により分解されやすく、環境に対する負担もなく、蓄積性もないことから好ましい。
このネルボン酸誘導体は細胞膜を通過し、さらに、核膜を通過してアミロイド形成分子に働くことから、その作用が直接的で効率的であることから好ましい。また、このネルボン酸誘導体はプロテアーゼを活性化してアミロイドの原因となる変性タンパク質の分解を促進する。
このネルボン酸誘導体は皮膚のメラニン細胞のアミロイド形成に働き、メラニンとアミロイドの複合体の形成を阻害する。メラニンの蓄積を阻害することにより美白作用を呈することは好ましい。
このネルボン酸誘導体は骨細胞のプロテアーゼ活性を亢進させてアミロイドの分解を促すことから好ましい。また、皮膚の基底層の幹細胞の自己増殖に対する働きは皮膚を保護できることから好ましい。
このネルボン酸誘導体は神経細胞のターンオーバーを活性化し、アミロイドの形成を抑制することから好ましい。また、神経組織の再生をもたらすことから、より好ましい。得られたネルボン酸誘導体を医薬品素材として利用する場合、目的とするネルボン酸誘導体を分離精製することは、目的とするネルボン酸誘導体の純度が高まり、不純物を除去できる点から好ましい。
医薬品として、注射剤または経口剤または塗布剤などの非経口剤として利用され、医薬部外品としては、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、石鹸、塗布剤、ゲル剤、歯磨き粉等に配合されて利用される。特に、アルツハイマー病や老年性認知症の治療薬として期待される。
経口剤としては、錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、ドリンク剤等が挙げられる。前記の錠剤及びカプセル剤に混和される場合には、結合剤、賦形剤、膨化剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤等とともに用いることができる。前記の錠剤は、シェラックまたは砂糖で被覆することもできる。
また、前記のカプセル剤の場合には、上記の材料にさらに油脂等の液体担体を含有させることができる。前記のシロップ剤及びドリンク剤の場合には、甘味剤、防腐剤、色素香味剤等を添加することができる。
非経口剤としては、軟膏剤、クリーム剤、水剤等の外用剤の他に、注射剤が挙げられる。外用剤の基材としては、ワセリン、パラフィン、油脂類、ラノリン、マクロゴールド等が用いられ、通常の方法によって軟膏剤やクリーム剤等とすることができる。
注射剤には、液剤があり、その他、凍結乾燥剤がある。これは使用時、注射用蒸留水や生理食塩液等に無菌的に溶解して用いられる。
食品製剤としてアミロイド形成阻害と美容を目的とした健康食品、美容食品などに利用される。また、保健機能食品として、栄養機能食品や特定保健用食品に利用することは好ましい。
得られた食品製剤をイヌやネコなどのペットや家畜動物に利用する場合、老化を防止し、健康を維持する目的として飼料やサプリメントとして利用される。
化粧料として常法に従って界面活性化剤、溶剤、増粘剤、賦形剤等とともに用いることができる。例えば、クリーム、毛髪用ジェル、洗顔剤、美容液、化粧水等の形態とすることができる。
化粧料の形態は任意であり、溶液状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、ジェル状、固形状または粉末状として用いることができる。得られた化粧料はアミロイド形成阻害により、シワの改善やタルミの防御、アトピー性皮膚炎の皮膚バリア形成に利用される。また、骨粗しょう症の治療にも応用できる。
次に、ルリジサの種子、大豆粉末と納豆本舗製の納豆菌を添加して発酵させた発酵液をさらに紅麹本舗製のベニコウジ菌で発酵させ、さらに、プロテアーゼ処理する工程からなるアミロイド形成阻害作用を呈するネルボン酸誘導体の製造方法について説明する。
ここでいうネルボン酸誘導体とはネルボン酸1分子とチロシン1分子から、前述の誘導体である。このネルボン酸誘導体は生体内で酵素により分解されて排泄されるため安全性が高い。
このネルボン酸誘導体のネルボン酸は天然に存在し、食経験も豊富であり、安全性が認められていることから好ましい。
この誘導体は種々の組織に働き、アミロイド形成を抑制し、神経ではアルツハイマーや認知症に働き、骨では骨粗しょう症に対して効果を発揮し、皮膚ではメラニン形成を抑制して美白作用を発揮する。
この製造方法とはルリジサの種子、大豆粉末と納豆本舗製の納豆菌を添加して発酵させた発酵液を、さらに、紅麹本舗製のベニコウジ菌により発酵させた後に、プロテアーゼ処理する工程からなる。
原料となる物質はルリジサの種子、大豆粉末、納豆菌、ベニコウジ菌とプロテアーゼである。ルリジサは学名Borago officinalisであり、ムラサキ科のハーブであり、和名はルリヂサ、ルリヂシャとも称される。ルリジサの花や種子はスープやサラダの付け合わせに用いられる。
ルリジサの種子にはポリフェノールやネルボン酸が含有されていることからこの誘導体の原料として好ましい。
ルリジサの種子は日本、中国なとのアジア、ブラジル産などの南米産、アメリカ産などいずれの国の由来でも良い。また、低農薬や減農薬で生産されたものは好ましい。
ルリジサの種子は乾燥され、粉末化されることが好ましく、発酵の前にオートクレーブ滅菌されることは発酵をスムーズに行うることから好ましい。
3マイクロメーター以下の粒子サイズの粉末が発酵の工程を実施しやすくすることから好ましい。
原料となる大豆粉末は、日本産、中国産、アメリカ産、ロシア産などいずれの産地の大豆でも利用できるが、トレーサビリティーが確実であり、生産者が明確である日本産が好ましい。
このうち、有機栽培や無農薬で栽培された大豆は有害な農薬や金属を含有しないことから、さらに好ましい。
大豆は使用に際して、株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20、中山技術研究所製DM−6などの粉砕機で粉砕される。これにより発酵の工程が効率的に進行されやすい。
さらに、ルリジサの種子と大豆は粉砕後、オートクレーブなどにより滅菌されることは雑菌の繁殖を防御できることから好ましい。
用いる納豆本舗製の納豆菌は学名バチルス サブチリスで日本では納豆の製造に汎用され、食経験が豊富で有用な食用菌である。沖縄や鹿児島などの日本産、中国や台湾の東南アジア原産の菌種が用いられる。用いる納豆菌は納豆本舗製であり、高い発酵性を呈する。
この納豆菌はルリジサの種子と大豆からなるネルボン酸と核酸の塩基を同時に発酵させることによりネルボン酸と塩基が結合する。
前記の発酵に関するそれぞれの添加量はルリジサの種子の乾燥粉末1重量に対し、大豆粉末は0.01〜6重量及び納豆本舗製の納豆菌は0.002〜0.07重量が好ましい。納豆菌は発酵される前に、前培養することは、発酵の初発時間を短縮し、発酵時間が短縮されることから好ましい。
前記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、滅菌された水道水により前記の材料を混合することは好ましい。
また、この発酵は37〜43℃に加温され、発酵は2日間から30日間行われる。目的とするネルボン酸誘導体をHPLCやTLCにより定量することならびに、菌体の増殖性を確認することにより、発酵の工程管理を実施することは好ましい。
得られたバチルス発酵液は引き続き、紅麹本舗製のベニコウジ菌によって発酵される。このベニコウジ菌による発酵によりネルボン酸誘導体が分離され、吸収も促進される。
用いる紅麹本舗製のベニコウジ菌は学名Monascuc purpureusの糸状菌であり、古くから日本、中国や台湾において紅酒や豆腐ようなどの発酵食品に利用されている。また、沖縄や鹿児島などの日本産、中国や台湾の東南アジア原産の菌種が用いられる。紅麹本舗製のベニコウジ菌は発酵効率に優れている。
前記の発酵に関するそれぞれの添加量は前記の発酵物1重量に対してベニコウジ菌は0.0002〜0.008重量が好ましい。紅麹本舗製のベニコウジ菌は発酵される前に、前培養することは、発酵の初発時間を短縮し、発酵時間が短縮されることから好ましい。
前記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、滅菌された水道水により前記の材料を混合することは好ましい。
また、この発酵は35〜44℃に加温され、発酵は1日間から30日間行われる。
この発酵の工程によってネルボン酸の2量体が形成される。
プロテアーゼはタンパク質を分解し、ペプチドやアミノ酸を生成する加水分解の酵素であり、食用としても利用されている。アマノ製薬のプロテアーゼNは酵素活性が高いことから好ましい。
前記の発酵物にプロテアーゼを添加して加温することによりネルボン酸とタンパク質が分解され、ペプチド型のネルボン酸誘導体になる。
発酵物の1重量に対してプロテアーゼの添加量は0.002〜0.06重量が好ましい。加温温度は33〜45℃が好ましい。加温時間は1時間から8時間が好ましい。
前記のプロテアーゼ処理した分解物は含水エタノールで抽出されることは、生成物を効率良く回収でき、プロテアーゼを失活でき、次の工程が実施しやすいことから、好ましい。
また、得られた発酵物を超音波処理することは、生成物が分離しやすいことから、好ましい。また、凍結乾燥などにより、濃縮することは、以下の工程が短時間に実施できることから好ましい。
前記の還元反応物から、目的とするネルボン酸誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
例えば、分離用担体または樹脂により分離され、分取されることにより目的とするネルボン酸誘導体が得られる。分離用担体または樹脂としては、表面が後述のようにコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。0.1〜300μmの粒度を有するものが好ましく、粒度が細かい程、精度の高い分離が行なわれるが、分離時間が長い欠点がある。
例えば、逆相担体または樹脂として表面が疎水性化合物でコーティングされたものは、疎水性の高い物質の分離に利用される。陽イオン物質でコーティングされたものは陰イオン性に荷電した物質の分離に適している。また、陰イオン物質でコーティングされたものは陽イオン性に荷電した物質の分離に適している。特異的な抗体をコーティングした場合には、特異的な物質のみを分離するアフィニティ担体または樹脂として利用される。
アフィニティ担体または樹脂は、抗原抗体反応を利用して抗原の特異的な調製に利用される。分配性担体または樹脂は、シリカゲル(メルク社製)等のように、物質と分離用溶媒の間の分配係数に差異がある場合、それらの物質の単離に利用される。
これらのうち、製造コストを低減することができる点から、吸着性担体または樹脂、分配性担体または樹脂、分子篩用担体または樹脂及びイオン交換担体または樹脂が好ましい。さらに、分離用溶媒に対して分配係数の差異が大きい点から、逆相担体または樹脂及び分配性担体または樹脂はより好ましい。
分離用溶媒として有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒に耐性を有する担体または樹脂が用いられる。また、医薬品製造または食品製造に利用される担体または樹脂は好ましい。
これらの点から吸着性担体としてダイヤイオン(三菱化学(株)社製)及びXAD−2またはXAD−4(ロームアンドハース社製)、分子篩用担体としてセファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)、分配用担体としてシリカゲル、イオン交換担体としてIRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体としてDM1020T(富士シリシア社製)がより好ましい。
これらのうち、ダイヤイオン、セファデックスLH−20及びDM1020Tはさらに好ましい。
得られた抽出物は、分離前に分離用担体または樹脂を膨潤化させるための溶媒に溶解される。その量は、分離効率の点から抽出物の重量に対して1〜35倍量が好ましく、4〜25倍量がより好ましい。分離の温度としては物質の安定性の点から4〜30℃が好ましく、10〜25℃がより好ましい。
分離用溶媒には、水、または、水を含有する低級アルコール、親水性溶媒、親油性溶媒が用いられる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが用いられるが、食用として利用されているエタノールが好ましい。
セファデックスLH−20を用いる場合、分離用溶媒には低級アルコールが好ましい。シリカゲルを用いる場合、分離用溶媒にはクロロホルム、メタノール、酢酸またはそれらの混合液が好ましい。
ダイヤイオン及びDM1020Tを用いる場合、分離用溶媒はメタノール、エタノール等の低級アルコールまたは低級アルコールと水の混合液が好ましい。
ネルボン酸誘導体を含む画分を採取して乾燥または真空乾燥により溶媒を除去し、目的とするネルボン酸誘導体を粉末または濃縮液として得ることは溶媒による影響を除外できることから、好ましい。
また、最終抽出を食用油や化粧料に用いる油脂で実施することは、得られるネルボン酸誘導体が安定に維持されることから好ましい。例えば、大豆油、米ぬか油、グレープシード油、オリーブ油、ホホバ油で抽出することは好ましい。
また、このネルボン酸誘導体を粉末化することは防腐の目的から好ましい。
以下、前記実施形態を実施例及び試験例を用いて具体的に説明する。なお、これらは一例であり、素材、原料や検体の違いに応じて常識の範囲内で条件を変更させることが可能である。
ブラジルで減農薬栽培されたルリジサの種子を用いた。種子を採取した後、水道水で水洗後、天日で乾燥させ、粉砕機(株式会社奈良機械製作所製のスーパー自由ミル)にて粉砕し、ルリジサの種子の乾燥粉末粉砕物を1.1kg得た。
北海道産の大豆をミキサー(クイジナート)に供し、大豆の粉砕物1.1kgを得た。前記のルリジサの種子と大豆の粉砕物をオートクレーブに供し、121℃、20分間、滅菌した。
これらを清浄な発酵タンク(滅菌された発酵用丸形40リットルタンク)に入れ、滅菌された水道水11kgを添加し、攪拌した。
これとは別に、納豆本舗製の粉末納豆菌の11gを小型発酵タンクに供し、滅菌した大豆粉末と前培養させた培養液を用意した。
前記の前培養した納豆菌の溶液を前記のルリジサの種子の乾燥粉末と大豆を入れた発酵タンクに添加し、攪拌後、40〜42℃の温度範囲で加温し、発酵させた。
発酵過程では、通気によりバブリングと攪拌を行いつつ、発酵液のサンプリングを行った。
このバチルスによる発酵物1kgに対して紅麹本舗製のベニコウジ菌の10gを添加し、37℃で3日間発酵させた。
得られた発酵物1kgに対してアマノ製薬のプロテアーゼNを10g添加し、40℃で2時間加温した。
この処理物を加温し、エタノールを添加して目的とするネルボン酸誘導体含有エキス355gを得た。
前述のネルボン酸誘導体含有エキスの300gに6%エタノール含有精製水1Lを添加し、ダイアイオン(三菱化学製)300gを6%エタノール液に懸濁して充填したカラムに供した。
これに3Lの6%エタノール液を添加して清浄し、さらに、60%エタノール液を1L添加して目的とするネルボン酸誘導体を溶出させ、精製した。精製されたネルボン酸誘導体を減圧蒸留により、エタノール部分を除去し、水溶液とした。これをネルボン酸誘導体の検体1とした。
以下に、ネルボン酸誘導体の構造解析に関する試験方法及び結果について説明する。
(試験例1)
上記のように得られた検体1をエタノールに溶解し、質量分析器付き高速液体クロマトグラフィ(HPLC、島津製作所)で分析した。
さらに、核磁気共鳴装置(NMR、ブルカー製、400MHz)で解析した。構造解析の結果、検体1からネルボン酸とL−チロシンが検出された。また、ネルボン酸1分子にチロシンが1分子の結合が確認された。
すなわち、0.88、1.26、1.63、2.01、2.34、2.76、3.08、3.43、5.35、6.71、6.73、7.05及び7.10ppmにピークを呈した。
また、IR及び質量分析による構造解析によりこのネルボン酸誘導体の構造が同定された。
すなわち、ネルボン酸1分子のカルボキシル基とチロシンのアミノ基がペプチド結合して脱水反応されていた。その他の水酸基、カルボキシル基や2重結合には変化はなかった。
以下に、ヒト神経細胞を用いたアミロイド形成の抑制試験について述べる。
(試験例2)
コスモ・バイオ株式会社より購入したヒト神経細胞(SCR製)を用いた。培養液として5%牛胎児血清含有MEM培地(Sigma製)を用いて培養した。
この1000個の細胞を35mm培養シャーレに播種し、5%炭酸ガス下、37℃で培養した。培養3日目に、細胞の状態を確認後、酸化物質としてアルブミン酸化物質としてCML−BSA(コスモ・バイオ株式会社)の10μLを添加した。
このCML−BSAは強い酸化力を示す老廃物で神経細胞に入り込み、細胞の老化をもたらし、アミロイドの形成を促進する。
これに、前記の実施例1で得られた検体1及び対照としてNGF(神経細胞増殖因子)の0.1mg/mlの最終濃度で添加した。これを48時間培養した。
希釈の溶媒として生理食塩液を用いた。また、溶媒対照として生理食塩液を用いた。
細胞を剥離後、細胞数を計数した後、細胞懸濁液を調製した。細胞内のアミロイド量をβアミロイドELISAキット(和光純薬)によりELISA法にて定量した。なお、シャーレは5枚を用いてその平均値を算出した。
その結果、検体1の0.1mg/mlの添加により神経細胞数は溶媒対照の値に比して平均値として336%に増加した。NGFでは199%の増加であり検体1の方が優れていた。
アミロイド量については検体1により対照群に比して35%に減少した。NGFでは97%となり、減少は認められなかった。
以下に、マウスメラノーマ細胞を用いたメラニン形成の抑制試験について述べる。
(試験例3)
ATCC(American Type Culture Collection)より購入したマウスメラノーマ細胞株B16を用いた。培養液として5%牛胎児血清含有MEM培地(Sigma製)を用いて培養した。
この1000個の細胞を35mm培養シャーレに播種し、5%炭酸ガス下、37℃で培養した。培養3日目に、細胞の状態を確認後、紫外線照射装置により紫外線を2時間照射した。
これに、前記の実施例1で得られた検体1及び対照としてビタミンCの0.1mg/mlの最終濃度で添加した。これをさらに48時間培養した。
希釈の溶媒として生理食塩液を用いた。また、溶媒対照として生理食塩液を用いた。
培養終了後、細胞を剥離し、細胞数を計数した後、細胞懸濁液を調製した。細胞内のメラニン量をHPLC法(島津製作所製)により定量した。なお、シャーレは5枚を用いてその平均値を算出した。
その結果、検体1の0.1mg/mlの添加により細胞1000個あたりのメラニン量は溶媒対照の値に比して平均値として71%に減少した。対照としてビタミンCでは89%になり、軽度の減少が認められた。
本発明で得られるネルボン酸誘導体はセラミドを増加させることにより、細胞の組織を保護し、組織を保護することから国民の健康維持に貢献する。
本発明で得られるネルボン酸誘導体は認知症などの神経障害や骨粗しょう症などの治療に利用され、医療分野の進歩に貢献する。
また、化粧料としてメラニン形成を抑制する美白化粧料に利用され、化粧品業界の発展に寄与する。
本発明で得られるネルボン酸誘導体は食品としても利用でき、疲労や老化に対するサプリメントとして食品業界の発展に寄与する。

Claims (2)

  1. 下記の式(1)で示されるアミロイド形成阻害作用を呈するネルボン酸誘導体。
    Figure 2016088857
  2. ルリジサの種子、大豆粉末と納豆本舗製の納豆菌を添加して発酵させた発酵液をさらに紅麹本舗製のベニコウジ菌で発酵させ、さらに、プロテアーゼ処理する工程からなるアミロイド形成阻害作用を呈するネルボン酸誘導体の製造方法。
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