JP2002034472A - 温熱付与剤及びそれを用いた食品並びに加水食品の製法 - Google Patents
温熱付与剤及びそれを用いた食品並びに加水食品の製法Info
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Abstract
に温熱効果が得られる温熱付与剤及びそれを用いた食品
並びに加水食品の製法を提供する。 【解決手段】無水トレハロースを含有することを特徴と
する温熱付与剤によって達成される。
Description
等に温熱を付与する温熱付与剤に関し、また、60℃以
下の水性媒体を接触させるだけで、瞬時に温度が上昇す
るという変化を楽しむことができる食品、及び加水食品
の製法に関するものである。
物に、お湯や水を加え、塊状、餅状或いはペースト状に
して喫食する加水食品は数種存在している。しかしなが
ら、それらの食品は、その調理法や完成品等で様々な欠
点を有している。例えば、葛湯、マッシュポテト、離乳
食等の加水食品は、その素となる粉末にお湯を加えて混
合することにより調理が完了し、そのまま喫食すること
ができるが、お湯を沸かすことのできる設備が備わって
いる場所での喫食が一般的であり、お湯を沸かすことの
できない場所で喫食する場合は、予めお湯を入れたポッ
ト等の携帯等が必須であることから、喫食する場所があ
る程度限定されていたり、簡便性に欠けるものであっ
た。
ることにより調製される粉末菓子類としては、例えば、
糖類無水物に少量の水を加え、短時間放置することによ
り、ラムネ様菓子を調製したり、糖類、水溶性増粘剤、
発泡剤等の混合物に水を加え、ふんわりと膨らんだ餅様
菓子を調製するといった粉末菓子類が出回っている。し
かしながら、得られるラムネ様菓子、餅様菓子等に使用
する溶媒は、常温の水に限定されており、温かい菓子類
を喫食したいときに、お湯を使用すると所望の硬さに固
まらなかったり、膨張が激しすぎて、ふんわりとした餅
様菓子の食感にならなっかたりする。従って、例えば
「温かいラムネ様菓子」、「温かい餅様菓子」等を調製
して楽しむことができないという問題点がある。
情に鑑みなされたものであって、その目的とするところ
は、60℃以下の水性媒体との接触によって、簡単に温
熱効果が得られる温熱付与剤及びそれを用いた食品並び
に加水食品の製法を提供することにある。
ハロースを含有することを特徴とする温熱付与剤によっ
て達成される。
含有することを特徴とする加水用食品によって達成され
る。
60℃以下の水性媒体とを混合することを特徴とする加
水食品の製法によって達成される。
00重量部に対して、60℃以下の水性媒体を0.1〜
15重量部の範囲で混合することを特徴とする加水食品
の製法によって達成される。
品等に温熱を付与することのできる温熱付与剤、及びそ
れを用いた食品について、また、時間や場所を問わずに
60℃以下の水性媒体を加え、混合するだけで手軽に温
かな食品を喫食することができる加水食品の製法につい
て検討を行った。そして、非還元性無水糖質である無水
トレハロースに着目し、無水トレハロースに水性媒体を
加えて混合したときに、無水トレハロースと水性媒体と
が反応、結合し、含水トレハロースに転移する際に発生
する相転移熱を利用すれば、加水食品の温度が上昇する
のではないかと考えた結果、無水トレハロースを含有し
てなる加水用食品に60℃以下の水性媒体を加え、混合
すると、瞬時に加水食品の温度が上昇し、温熱効果を付
与できることを見出し、本発明に到達した。
本発明の温熱付与剤は、無水トレハロースを含有する。
を付与するものである。本発明に用いる水性媒体は、例
えば、水、牛乳、果汁入り飲料、水溶性エキス等の他、
口中の唾液でもよく、これらの中から適宜選択し、単独
もしくは複数組み合わせて用いればよい。これらの中で
も、温熱効果が好適に得られる点で、特に水は好適に用
いられる。また、水性媒体の温度域は、60℃以下であ
る。すなわち、60℃を超えた水性媒体を使用した場合
には、水性媒体の温度が高すぎて無水トレハロースが含
水トレハロースに転移せずに溶解してしまうため、転移
熱を発生しないのである。上記温度域の中でも、好まし
くは10〜 60℃、より好ましくは15〜35℃、更
に好ましくは15〜25℃が、温熱効果が好適に得られ
る点で望ましい。すなわち、10℃未満の水性媒体を使
用した場合には、温度が低すぎて、温熱効果が体感しに
くくなる傾向にある。
ドウ糖2分子が1,1結合で結合した非還元性の糖類で
ある。その結合様式により、α,α−、α,β−、β,
β−の3種の異性体が存在し、それぞれトレハロース、
ネオトレハロース、イソトレハロースと呼ばれており、
非晶質無水トレハロースまたは結晶性無水トレハロース
をいう。この中でも、特に温熱効果が好適に得られる点
で、非晶質無水トレハロースが好適に用いられる。
されるものではないが、例えば、澱粉を高温液化酵素で
液化した後、枝切り酵素(イソアミラーゼ)等を添加す
ると同時に、2種の新規酵素をバランス良く反応させ、
脱色、脱塩処理を行う。そして、晶析し分蜜した後、高
温乾燥することにより無水トレハロースを調製すること
ができる。
レハロースの含有量は、特に限定されるものではなく、
適宜設定すればよい。好ましくは、温熱付与剤全体重量
中50重量%以上、更に好ましくは、90重量%以上で
あることが温熱付与効果を得る点で好適である。また、
本発明の温熱付与剤は、無水トレハロースの他に、本発
明の目的を損なわない範囲で、賦形剤、糖質甘味料、色
素、調味料、香料、乳化剤、安定剤、酸成分及びアルカ
リ成分等の副原料を適宜選択して、単独もしくは複数組
み合わせて添加してもよい。
レハロースの水分含量は、4%以下に設定することが望
ましい。更に好ましくは、無水トレハロースの水分含量
が0%に近いほど、温熱効果を好適に発揮する点で望ま
しい。なお、水分含量の調整方法は、特に限定されるも
のではないが、例えば、真空乾燥、カールフィッシャー
法、もしくは上記無水トレハロースの調製時における乾
燥条件を調整することにより水分含量を適宜設定するこ
とができる。
状、タブレット状等が挙げられる。これらの中でも、特
に粉末状は、水性媒体との反応速度が速く、温熱効果を
即時に得られる点で望ましい。また、この温熱付与剤
は、その粒度を100メッシュ以下の細かい粒子にする
ことが望ましい。これは、粒度分布により100メッシ
ュ以下の粒子が、全粒子中85%以上含まれていること
が望ましいという趣旨である。すなわち、上記粒度分布
とすることにより、水性媒体との反応が良好なものとな
り、温熱効果を付与することができる点で好適である。
にして製造される。すなわち、まず、上記無水トレハロ
ース、また、必要に応じ、副原料を準備する。そして、
これらを粉体ミキサー等を適宜用いて粉体混合すれば、
本発明の温熱付与剤が得られる。
水用食品等の食品原料として好適に用いることができる
他、歯みがき粉、チューインガム等の口腔用製品に用い
ると、口中の少量のだ液に反応して、温熱効果が体感で
き、歯ぐきの血行促進効果に好適である。また、化粧用
パック剤として用い、化粧水等の水性媒体と接触させ
て、顔に施与すると温熱パック効果が得られる。
る。本発明の加水用食品は、無水トレハロースを含有す
る。
て喫食する食品であり、水性媒体を加える前の乾燥物や
粉末菓子等の食品全般を指す。
ースの含有量は、加水用食品全体重量に対して50重量
%以上、より好ましくは90重量%以上が好適である。
すなわち、50重量%未満の場合には、温熱効果を充分
に付与することができない傾向にある。また、本発明の
加水用食品には、上記無水トレハロースの他に、本来の
目的を損なわない範囲で、上記副原料等が適宜含有され
る。
子は例えば次のようにして製造される。すなわち、ま
ず、上記無水トレハロースと、粉末菓子に使用される糖
類、澱粉等の原料とを準備する。そして、これらを粉体
ミキサー等を適宜用いて粉体混合すれば、本発明の加水
用食品である粉末菓子が得られる。
品を製造する際の製造方法について説明する。本発明の
加水食品の製造方法は、無水トレハロースと60℃以下
の水性媒体とを混合することによって加水食品を製造す
るものである。
量は、該食品の形態によって適宜設定すればよいが、好
ましくは、無水トレハロース100重量部に対して、
0.1〜15重量部、より好ましくは、9〜11重量部
が望ましく、この範囲を逸脱すると温熱効果が体感でき
ない傾向にある。
子は例えば次のようにして製造される。すなわち、ま
ず、上記無水トレハロースと、糖類や澱粉等の餅様菓子
原料とを準備し、これらを粉体ミキサー等を適宜用いて
粉体混合する。そして、得られた粉末に60℃以下の水
性媒体を加えて、10〜30秒程度攪拌すれば、本発明
の温熱付与された餅様菓子が得られる。
それを用いた食品は、無水トレハロースを含有している
ので、お湯を用いずとも、60℃以下の水性媒体と混合
させることで、温熱効果を付与することができる。ま
た、本発明は加水食品を製造する際に、無水トレハロー
スと60℃以下の水性媒体とを混合するので、瞬時に食
品の温度が上昇し、温熱効果を付与する効果が得られ
る。また、お湯を沸かすことのできない場所で喫食する
場合にも、お湯を入れたポット等の携帯が不要であり、
60℃以下の水性媒体さえあれば、いつ何時でも場所を
問わず手軽に、温熱性を有する加水食品を得ることがで
きる。
する。 〈実施例1〜9〉表1に示す組成にて、下記のようにし
て加水食品を調製した。
づき原料粉末を準備し、粉体ミキサーにて10分間混合
し、加水用食品を調整した。
調製)次に、上記加水用食品に、表1に示す温度及び分
量の水性媒体を加えて、約10秒間よく攪拌し、温熱性
を有する加水食品の餅様菓子を得た。
〜9と同様に加水食品の餅様菓子を調製した。ただし、
無水トレハロースを使用せずに、加水食品を調製した。
〜9と同様に加水食品の餅様菓子を調製した。ただし、
無水トレハロースの代わりに、含水トレハロースを用い
て加水食品を調製した。
〜9と同様に加水食品の餅様菓子を調製した。ただし、
水温70℃の水性媒体を用いて加水食品を調製した。
ィを得た。すなわち、固形分としてグラニュー糖60
g、酵素水飴40gを混合し、これを150℃に煮詰
め、130℃に冷却した後、クエン酸、香料、色素を少
量添加混合した。こうしてできたキャンディ生地を冷却
盤へ取り出し、100℃に冷却後、治具を取り付け、型
打ち成型を行い、キャンディを得た。
の無水トレハロース(水分含量1%)を20g準備し
た。
につけながら喫食した。
水食品の餅様菓子について、専門パネラー20名によっ
て、温熱効果、及びお湯等を使用せずに、手軽に温熱効
果が付与された食品ができるかどうかの簡便性について
評価した。また、実施例10で得られた温熱付与剤付き
のキャンディについても、同様に評価した。
り、つきたての手作り餅のような温感が体感でき、簡便
性に優れた餅様菓子であった。また、実施例5〜8の加
水食品は、水性媒体の量もしくは温度が好ましくない傾
向にあったため、温熱効果もしくは/及び簡便性がやや
劣る餅様菓子であった。また、実施例9の加水食品は、
水性媒体の温度が低いため、温熱効果を体感し難く、簡
便性にもやや劣る傾向があった。一方、比較例1の加水
食品は、無水トレハロースを使用しなかったため、餅様
菓子は得られるものの、温熱効果が全くなく、温かい餅
様菓子を得るためにはお湯の使用が必須であり、簡便性
についても好ましくなかった。また、比較例2の加水食
品は、含水トレハロースを使用したため、比較例1と同
様に温熱効果がなく、簡便性についても、お湯の使用が
必須であり、好ましくなかった。また、比較例3の加水
食品は、水性媒体の水温が高すぎたため、無水トレハロ
ースが溶解してしまい、液状に溶けた物性となり、餅様
菓子は得られなかった。また、実施例10のキャンディ
は、無水トレハロースが口中の少量の唾液と反応して、
従来にはなかった温熱効果が体感でき、簡便性に優れ、
また、意外性、おもしろさに富んだキャンディであっ
た。
Claims (4)
- 【請求項1】無水トレハロースを含有することを特徴と
する温熱付与剤。 - 【請求項2】無水トレハロースを含有することを特徴と
する加水用食品。 - 【請求項3】無水トレハロースと60℃以下の水性媒体
とを混合することを特徴とする加水食品の製法。 - 【請求項4】無水トレハロース100重量部に対して、
60℃以下の水性媒体を0.1〜15重量部の範囲で混
合することを特徴とする請求項3記載の加水食品の製
法。
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