JP2000159648A

JP2000159648A - 口腔用組成物

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Publication number: JP2000159648A
Application number: JP11217180A
Authority: JP
Inventors: Yoshitaka Yano; 義▲高▼ 矢納; Kazushi Oshino; 一志押野; Hidenori Yoshida; 秀徳吉田; Eigo Fujinaka; 英剛藤中; Yoshinori Murakami; 義徳村上; Shigeto Kayane; 滋人茅根
Original assignee: Kao Corp
Current assignee: Kao Corp
Priority date: 1998-09-25
Filing date: 1999-07-30
Publication date: 2000-06-13
Anticipated expiration: 2019-07-30
Also published as: JP3503880B2

Abstract

(57)【要約】【解決手段】 (A)歯周組織に作用する薬効剤又は殺菌
剤、及び(B)発熱体又は水溶性高分子を含有し、水分量
が５重量％以下である口腔用組成物。【効果】薬効剤等の口中での吸着率が高く、歯周疾患
を予防・治療する効果に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、薬効剤又は殺菌剤
の口中粘膜での吸着率が高く、歯周疾患を予防・治療す
る効果に優れた口腔用組成物に関する。

【０００２】

【従来の技術】口腔用組成物には、歯周疾患を予防、治
療する目的で、種々の薬効剤が配合されている。配合さ
れた薬効剤は、口腔粘膜に吸着され、有効に作用するこ
とが望まれるが、すすぎ時に薬効成分が排出してしま
い、粘膜に吸着するものは少なかった。また、十分な歯
周疾患の予防・治療効果も得られなかった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、薬効
剤又は殺菌剤の口腔粘膜への吸着率が高く、歯周疾患の
予防・治療効果に優れた口腔用組成物を提供することに
ある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、薬効剤又
は殺菌剤と、発熱体又は水溶性高分子を組合わせるとと
もに、口腔用組成物中の水分量を５重量％以下にすれ
ば、配合された薬効剤又は殺菌剤の口腔粘膜への吸着率
が高くなり、優れた歯周病の予防・治療効果が得られる
ことを見出した。

【０００５】本発明は、(A)歯周組織に作用する薬効剤
又は殺菌剤、及び(B)発熱体又は水溶性高分子を含有
し、水分量が５重量％以下である口腔用組成物を提供す
るものである。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明で用いる成分(A)のうち、
歯周組織に作用する薬効剤としては、血行促進剤、抗炎
症剤、止血剤、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、更にこれらの
作用を有する植物エキス等が挙げられる。血行促進剤と
しては、例えばビタミンＥ、ニコチン酸dl−α−トコフ
ェロール、塩化ナトリウム等が挙げられ；抗炎症剤とし
ては、例えばアラントイン、β−グリチルレチン酸、グ
リチルリチン酸、エピジヒドロコレステリン、ジヒドロ
コレステロール、ε−アミノカプロン酸、ヒノキチオー
ル、塩化リゾチーム、インドメタシン、イブプロフェン
等が挙げられ；止血剤としては、例えばトラネキサム
酸、トロンビン、アスコルビン酸、ルチン等が挙げら
れ；鎮痛剤としては、例えばアスピリン、アセトアミノ
フェン、サリチル酸メチル等が挙げられ；抗ヒスタミン
剤としては、例えばシメチジン、マレイン酸クロルフェ
ニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸プロメタジン
等が挙げられ；植物エキスとしては、例えばウイキョウ
エキス、ウコンエキス、オウゴンエキス、オトギリソウ
エキス、カモミラエキス、クマザサエキス、シソエキ
ス、セージエキス、チョウジエキス、ニンジンエキス、
ハマメリスエキス、ヒバマタエキス、マロニエエキス、
モモ葉エキス、ローズマリーエキス、ユーカリエキス等
が挙げられる。また、殺菌剤としては、例えば塩化ベン
ゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、トリクロサン、塩
化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノー
ル、塩化デカリニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグ
リシン等が挙げられる。

【０００７】成分(A)は１種以上を用いることができ、
全組成中に０．１〜５重量％、特に０．０１〜１重量％
配合するのが好ましい。

【０００８】本発明で用いる成分(B)のうち、発熱体と
しては、口腔内での水和反応によって発熱する発熱物質
が挙げられる。発熱体は、発生温度が３８〜５０℃、特
に４０〜４５℃となるように用いるのが好ましく、具体
的には、無水ゼオライト、無水硫酸マグネシウム、メタ
リン酸ナトリウム、塩化カルシウム、デキストリン等が
挙げられる。発熱体は、１種以上を用いることができ、
全組成中に５〜５０重量％、特に２０〜３０重量％配合
するのが好ましい。

【０００９】また、成分(B)のうち、水溶性高分子とし
ては、例えばキサンタンガム、デキストリン、カラギー
ナン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース等が挙げられる。これらのうち、本発明の
ように水分含量が５重量％以下の場合には、キサンタン
ガムが最も好ましい。水溶性高分子は、１種以上を用い
ることができ、全組成中に０．１〜２重量％、特に０．
２〜０．８重量％配合するのが好ましい。成分(B)とし
ては、発熱体と水溶性高分子を併用することもできる。

【００１０】成分(B)として発熱体を用いる場合には、
使用時に温熱効果が得られる。このような温熱効果のあ
る口腔用組成物を用いて歯ぐきをマッサージすると、歯
ぐきのリンパ機能が顕著に改善され、歯周病の予防や治
療に有用である。また、成分(A)として、歯周組織に作
用する薬効剤を用いれば、組織液の供給と回収のバラン
スを修正し、歯ぐきの浮腫を早く回復、予防するため、
さらに有用である。更に、温熱効果のある口腔用組成物
を用いることで、冷水等が歯にしみる知覚過敏症の人が
使用してもしみにくく、優しい使い心地になる。

【００１１】本発明の口腔用組成物は、水分含量が５重
量％以下、好ましくは３重量％以下である。こうするこ
とにより、前記薬効剤等の口腔粘膜への吸着率を高め、
歯周疾患の予防・治療効果を高めることができる。

【００１２】本発明の口腔用組成物には、更にアルカリ
土類金属塩を配合でき、温度変化による組成物の粘度変
化を抑えることができる。すなわち、水分含量の少ない
ペースト等は、高温に曝されると粘度が低くなり、室温
に戻しても元の粘度にはならず、使用感を損ねる場合が
あるが、アルカリ土類金属塩を配合すれば、高温に曝さ
れても組成物の粘度は低下せず、一定の粘度が保持され
る。アルカリ土類金属塩としては、前記の発熱体に含ま
れるものであっても良く、それ以外のものとしては、例
えば塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、乳酸マグ
ネシウム、酸化マグネシウム、硝酸マグネシウム、リン
酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等のマグネ
シウム塩；硫酸カルシウム、硝酸カルシウム、水酸化カ
ルシウム、グルコン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウ
ム、乳酸カルシウム、メタリン酸カルシウム、ステアリ
ン酸カルシウム等のカルシウム塩；塩化バリウム、硝酸
バリウム、ステアリン酸バリウム等のバリウム塩などが
挙げられる。

【００１３】アルカリ土類金属塩は、１種以上を用いる
ことができ、粘度の安定化のためには、全組成中に０．
０１〜１重量％、特に０．０５〜０．８重量％、更に
０．１〜０．５重量％配合するのが好ましい。

【００１４】本発明の口腔用組成物には、液状ビヒクル
として、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチ
レングリコール、トリグリセライド、ジグリセライド、
流動パラフィン等を配合できる。これらの液体ビヒクル
は、１種以上を用いることができ、全組成中に３０〜８
０重量％、特に４０〜６０重量％配合するのが好まし
い。本発明の口腔用組成物は、これら液状ビヒクルを用
いて、ゲル状、液状、ペースト状の剤形にするのが好ま
しい。

【００１５】また、本発明の口腔用組成物には、前記水
溶性高分子以外に、増粘性シリカ（無水ケイ酸）等の増
粘剤を配合して粘度を調整できる。これらを用いて、２
５℃における組成物のヘリパス型粘度が３０００〜１５
０００dPa・s、特に４０００〜１００００dPa・sとなる
ように調整するのが好ましい。本発明において、ヘリパ
ス型粘度は、ヘリカルスタンドコントローラー付きＢ８
Ｒ型粘度計（ローターＥ、回転速度２．５r／min、１分
測定）を用いて測定した値である。

【００１６】本発明の口腔用組成物には、更に口腔用組
成物に通常用いられる成分、例えば界面活性剤、研摩
剤、甘味料、香料、保存剤、美白剤、湿潤剤、粘結剤等
を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合できる。

【００１７】本発明の口腔用組成物は、通常の方法によ
り製造される。また、通常の方法により、口腔内に適用
でき、これを用いて歯ぐきをマッサージすることもでき
る。特に、練歯磨とするのが好ましい。

【００１８】

【発明の効果】本発明の口腔用組成物は、薬効剤等の口
腔粘膜への吸着率が高く、歯周疾患の予防・治療効果に
優れたものである。歯ぐきのマッサージにも好適に使用
できる。

【００１９】

【実施例】実施例１表１に示す組成の歯磨を常法により製造した。得られた
歯磨は、薬効剤の口腔粘膜への吸着率が高く、歯周疾患
の予防・治療効果に優れていた。また、本発明品１〜３
では、温熱効果も得られ、より優れた効果が得られた。

【００２０】

【表１】

【００２１】実施例２以下に示す組成のデンタルクリームを常法により製造し
た（２５℃におけるヘリパス型粘度１４８００dPa・
s）。得られたデンタルクリームは歯ぐきをマッサージ
するのにも好適であり、優れた歯疾病の予防・治療効果
が得られた。

【００２２】

【表２】（成分）（重量％）塩化セチルピリジニウム０．０１ β−グリチルレチン酸０．０１トリグリセライド２７．８５流動パラフィン２５．９３キサンタンガム０．２０デキストリン３５．００無水シリカ１０．００香料１．００合計１００．００

【００２３】試験例１（水分含量と薬効剤残存量）表３に示す組成の０．１％−ビタミンＥを含有し、水分
量約５重量％に調整したペーストＡ及び０．１％−ビタ
ミンＥを含有し、水分量約１０重量％に調整したペース
トＢそれぞれを人工唾液にて１．０ｇ／mLの濃度で分散
した。ペースト溶液を遠心分離後、その上清１ｇを、
Ｎ．Ｒ．ＢＡＤＣＯＣＫらの方法（Ｊ．Ｃｈｒｏｍａｔ
ｏｇｒａｐｈｙ，３２８（１９８６）２９０−２９６）
によって採取した口腔粘膜細胞０．５ｇに添加攪拌後、
３７℃保温下にて３分間静置した。各試験サンプル処理
した口腔粘膜細胞をイオン交換水にて洗浄後、口腔粘膜
細胞に残存したビタミンＥをメタノールにて超音波破砕
抽出を行い、抽出されたビタミンＥを高速液体クロマト
グラフィーにて定量した。その結果、ペーストＡ処理に
よって口腔粘膜細胞に残存したビタミンＥ量はペースト
Ｂ処理のものと比較して３倍高かった。

【００２４】

【表３】

【００２５】試験例２（発熱体配合による薬効剤残存
量）０．１％−ビタミンＥを配合し、発熱体を配合したペー
スト（水分含量約３重量％）Ｃ〜Ｆそれぞれを３７℃の
人工唾液にて１．０ｇ／mLの濃度で分散させ、そのとき
の分散溶液の温度を測定した。ペースト溶液を遠心分離
後、その上清を試験例１と同様に口腔粘膜細胞と反応さ
せ、予め測定した分散溶液温度にて３分間静置した。口
腔粘膜細胞に残存したビタミンＥは試験例１と同様にし
て定量した。その結果、ビタミンＥ残存量は発熱体を配
合していないペーストＣと比較して、３８℃に達したペ
ーストＤで１．２倍、４０℃に達したペーストＥで１．
８倍、５０℃に達したペーストＦで２倍であった。

【００２６】

【表４】

【００２７】実施例３表５に示す組成の歯磨（ペースト）を常法により製造し
た。得られた歯磨は、薬効剤の口腔粘膜への吸着率が高
く、歯周疾患の予防・治療効果に優れていた。また、得
られた歯磨について、２５℃〜５０℃〜２５℃の温度サ
イクル保存（各温度２４時間保存）を行い、保存前後の
歯磨の粘度をヘリパス粘度計で測定した。その結果、い
ずれのペーストも、保存前後の粘度低下はなく、一定の
粘度が保持されていた。

【００２８】

【表５】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者吉田秀徳東京都墨田区文花２−１−３花王株式会社研究所内 (72)発明者藤中英剛東京都墨田区文花２−１−３花王株式会社研究所内 (72)発明者村上義徳東京都墨田区文花２−１−３花王株式会社研究所内 (72)発明者茅根滋人東京都墨田区文花２−１−３花王株式会社研究所内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】 (A)歯周組織に作用する薬効剤又は殺菌
剤、及び(B)発熱体又は水溶性高分子を含有し、水分量
が５重量％以下である口腔用組成物。
【請求項２】２５℃におけるヘリパス型粘度が３００
０〜１５０００dPa・sである請求項１記載の口腔用組成
物。
【請求項３】更に、アルカリ土類金属塩を含有する請
求項１又は２記載の口腔用組成物。