JP2002021011A - 弾性舗装構造体 - Google Patents

弾性舗装構造体

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JP2002021011A
JP2002021011A JP2000208037A JP2000208037A JP2002021011A JP 2002021011 A JP2002021011 A JP 2002021011A JP 2000208037 A JP2000208037 A JP 2000208037A JP 2000208037 A JP2000208037 A JP 2000208037A JP 2002021011 A JP2002021011 A JP 2002021011A
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fiber
weight
elastic
pavement structure
rubber
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JP2000208037A
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Katsushi Yamamoto
勝志 山本
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Ohtsu Tire and Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 弾性舗装構造体の引張物性を向上させ、耐久
性を改良した弾性舗装構造体を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 ゴムチップ材3を弾性結合剤で連結して
なる弾性舗装構造体1であって、セルロース繊維もしく
はガラスファイバーの少なくともいずれか一方を含む補
強剤を、前記弾性結合剤に含有する弾性舗装構造体1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は弾性舗装構造体に関
し、詳細には、ゴムチップ材を弾性結合剤で連結してな
る弾性舗装構造体に関し、具体的には、舗装路、車道、
河川敷の遊歩道、ゴルフ場、テニスコート、競技場など
のグラウンドに使用する弾性舗装構造体に関する。特に
スパイクなどの金属製突起物を有する靴で歩く箇所に使
用し得る弾性舗装構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】テニスコート、運動競技場、各種競技用
グラウンド、ゴルフ場の歩経路などに舗装される弾性舗
装構造体としては人が運動、競技をする際、腰、膝など
に負担がかからず、しかも補修が簡便であることから加
硫ゴムよりなる弾性舗装構造体が多く使用されている。
【0003】この種の弾性舗装構造体の材料として、弾
性舗装構造体そのものをポリウレタン材料単独で作られ
たものは、弾力性、耐久性、透水性などの性能的におい
て比較的優れている傾向を有する。
【0004】しかしながら、弾性舗装構造体そのものを
ポリウレタン材料単独で作られたものは比較的高価格と
なるため、廃ゴムタイヤなどの破砕品からなるゴムチッ
プ材を充填材として、ポリウレタン材料中に埋め込んだ
弾性舗装構造体や、さらにこれを進め、少量の弾性結合
剤、特に湿気硬化性ポリウレタン材料で廃ゴムタイヤな
どの破砕品からなるゴムチップ材の表面を被覆した程度
のものを展圧・硬化させて、空隙を多く設定した弾性舗
装構造体が提案されている。
【0005】上述の弾性舗装構造体に使用されるゴムチ
ップ材は、安価に提供される廃ゴムタイヤなどの破砕品
であり、ゴムチップ材の使用割合だけポリウレタン材料
を使用する必要性がなくなるため、経済的な弾性舗装構
造体を提供することができる。
【0006】ところが、この種の弾性舗装構造体の引張
物性は必ずしも十分ではなく、弾性舗装構造体の耐久性
に問題があった。そのため、カーボンブラックやビニロ
ン繊維などの補強剤をポリウレタン材料中に分散させて
バインダーの引張物性強度を強化した弾性舗装構造体が
提供されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のカーボ
ンブラックやビニロン繊維などの補強剤をポリウレタン
材料中に分散させた弾性舗装構造体は、引張物性におい
て改良の余地があるものであり、引張物性が不十分であ
るため弾性舗装構造体自体の耐久性においても不十分な
ものであった。
【0008】本発明は、弾性舗装構造体の引張物性を向
上させ、耐久性を改良した弾性舗装構造体を提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る弾性舗装構
造体は、請求項1に記載のように、ゴムチップ材を弾性
結合剤で連結してなる弾性舗装構造体であって、セルロ
ース繊維もしくはガラスファイバーの少なくともいずれ
か一方を含む補強剤を、前記弾性結合剤に含有する弾性
舗装構造体である。
【0010】また、本発明に係る弾性舗装構造体は、請
求項2に記載のように、請求項1記載の発明において、
前記補強剤は、前記弾性結合剤に対して2〜10重量%
含有されている弾性舗装構造体である。
【0011】また、本発明に係る弾性舗装構造体は、請
求項3に記載のように、請求項1または2記載の発明に
おいて、前記ガラスファイバーは、ストランドカット状
ガラスファイバーである弾性舗装構造体である。
【0012】また、本発明に係る弾性舗装構造体は、請
求項4に記載のように、請求項1または2記載の発明に
おいて、前記ガラスファイバーは、粉末状ガラスファイ
バーである弾性舗装構造体である。
【0013】また、本発明に係る弾性舗装構造体は、請
求項5に記載のように、請求項1〜4のいずれかに記載
の発明において、前記ガラスファイバーは、シランカッ
プリング剤で表面処理されている弾性舗装構造体であ
る。
【0014】また、本発明に係る弾性舗装構造体は、請
求項6に記載のように、請求項1〜5のいずれかに記載
の発明において、前記弾性舗装構造体の空隙率が、30
〜40%である弾性舗装構造体である。
【0015】また、本発明に係る弾性舗装構造体は、請
求項7に記載のように、請求項1〜6のいずれかに記載
の発明において、前記弾性結合剤は界面活性剤を含有す
る弾性舗装構造体である。
【0016】また、本発明に係る弾性舗装構造体は、請
求項8に記載のように、請求項1〜7のいずれかに記載
の発明において、前記弾性構造体の表面に界面活性剤含
有物が塗布してある弾性舗装構造体である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明に係る弾性舗装構造体は、
ゴムチップ材を、セルロース繊維もしくはガラスファイ
バーの少なくともいずれか一方を含む補強剤を含有する
弾性結合剤で連結して構成させる。
【0018】ゴムチップ材としては、ファイバー状ゴム
チップ(ひじき状ゴムチップ)と粒状ゴムチップとがあ
るが、本発明に係る弾性舗装構造体に使用されるゴムチ
ップ材としてはいずれのものであっても使用することが
可能である。また、ゴムチップ材として、ファイバー状
ゴムチップと粒状ゴムチップとを適切な割合で混合した
混合ゴムチップ材を使用することも可能である。
【0019】粒状ゴムチップは、ファイバー状ゴムチッ
プと比較して一般的には材料の入手が容易であり、廃タ
イヤ、ベルトコンベアのベルトなどの加硫ゴムを粉砕機
にて粉砕したものを用いることが可能である。
【0020】粒状ゴムチップの粒径は、0.3〜5mm
の範囲であることが好ましく、特に、0.5〜2.5m
mの範囲にあるものがよい。粒状ゴムチップの粒径が
0.3mm未満のものを使用すると、空隙率を十分に確
保できず透水性が不十分となり、また粒状ゴムチップの
粒径が5mmを超えると仕上げ表面が均一にならないか
らである。
【0021】ファイバー状ゴムチップは、再生タイヤ製
造時にタイヤトレッド部を研削装置で削って得られるも
のであり、ファイバー状ゴムチップの太さは1〜2mm
の範囲であることが好ましく、長さは4〜15mmの範
囲であることが好適であるが、特に限定するものではな
い。
【0022】本発明に係る弾性舗装構造体に使用される
ゴムチップ材としては、ファイバー状ゴムチップもしく
は粒状ゴムチップのいずれを使用する場合にせよ、天然
ゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチル
ゴム、ポリウレタンゴム、ポリブタジエンゴム、エチレ
ンプロピレンゴムなどの加硫ゴムを粉砕もしくは研削し
たものを用いることが可能である。
【0023】ゴムチップ材を連結する弾性結合剤として
ウレタン樹脂バインダーを用いることができる。ウレタ
ン樹脂バインダーの量は、ゴムチップ材100重量部に
対して、15〜35重量部の範囲であることが好まし
く、特に20〜30重量部の範囲で添加することが、物
性、透水性、製造コストなどの面から好ましい。
【0024】本発明の弾性舗装構造体に用いるウレタン
樹脂バインダーとしては、有機イソシアネート、たとえ
ば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレ
ンジイソシアネート(TDI)、もしくはこれらの混合
物、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、液
状ジフェニルメタンジイソアネート、トリレンジイソシ
アネートの組成物等が好ましい。具体的にはタケネート
F−181P(武田薬品工業社製)、SBU−1−06
20(住友バイエルウレタン社製)などを使用すること
が可能である。
【0025】ウレタン樹脂バインダー中のイソシアネー
ト(NCO)基含量は、2〜20重量%、好ましくは5
〜15重量%である。2重量%未満ではゴムチップ材間
の結合力が十分でなく、20重量%を超えるとバインダ
ー層が発泡しやすくなり、結合物が硬くなり全体が脆く
なる。
【0026】なお、ウレタンバインダーの粘度は150
0〜8000cps、特に好ましくは2500〜500
0cpsの範囲であることが、ゴムチップの混練作業
性、バインダーの流動性の点で好ましい。
【0027】また、ゴムチップ材を連結する弾性結合剤
として、末端NCO基を有するポリウレタンプレポリマ
ーに反応性液状ゴムを配合したバインダーを用いること
も可能である。反応性液状ゴムとしては、ブタジエン、
クロロプレン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、シ
クロペンタジエンなどの市販のジエン系液状ゴムであっ
て、末端OH基を有するものを使用することが可能であ
る。末端OH基を有する液状ゴムは粘度が低く取り扱い
性が良好で、しかもポリウレタンプレポリマーのNCO
基と反応して安定したウレタン結合を生成して硬化す
る。一方、末端NCO基を有するポリウレタンプレポリ
マーとしては、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネ
ート)、TDI(トリレンジイソシアネート)などのイ
ソシアネート成分と、ポリエーテルポリオール、ポリブ
タジエンポリオール、液状ポリブタジエン、液状ポリプ
ロピレンなどの1種または2種以上のポリオール成分と
を反応させて得られるプレポリマーを使用することが可
能である。
【0028】ガラスファイバーは、溶融したガラスを細
く引き伸ばし、急冷固化してつくられた繊維状物質であ
る。ガラスファイバーは、繊維形状によって、長繊維ガ
ラスファイバーと短繊維ガラスファイバーとに分類され
るが、本発明に係る弾性舗装構造体の弾性結合剤に含有
されるガラスファイバーはいずれのものであっても使用
することが可能である。また、ガラスファイバーは、そ
の組成によって、無アルカリガラスファイバーと含アル
カリガラスファイバーとに分類されるが、本発明に係る
弾性舗装構造体の弾性結合剤に含有されるガラスファイ
バーはいずれのものであっても使用することが可能であ
る。
【0029】なお、長繊維ガラスファイバーの大半は、
無アルカリガラスファイバーであり、“Eガラス”と称
されるアルカリ含有率1%以下のボロシリケートガラス
で作られる。長繊維ガラスファイバーの他は、含アルカ
リガラスファイバーであり、ソーダライム系ガラスであ
る“C”ガラスもしくは“A”ガラスよりなり、“C”
ガラスは耐酸性に優れ、“A”ガラスは安価である性質
を有する。一方、短繊維ガラスファイバーの大部分は、
アルカリ含有率8〜14%のソーダライム系ガラスで特
殊用途に“E”ガラスが使用されている。
【0030】本発明に係る弾性舗装構造体の弾性結合剤
に含有されるガラスファイバーは、ストランドカット状
ガラスファイバーを使用することが可能であり、具体的
な商品名としては、日本板硝子(株)社製のチョップド
ストランドRES03−TP74を使用することが可能
である。
【0031】また、本発明に係る弾性舗装構造体の弾性
結合剤に含有されるガラスファイバーは、粉末状ガラス
ファイバーを使用することが可能であり、具体的な商品
名としては、日本板硝子(株)社製のサーフェストラン
ドREV8を使用することが可能である。
【0032】本発明に係る弾性舗装構造体の弾性結合剤
に含有されるガラスファイバーは、シランカップリング
剤で表面処理されていることが好適である。シランカッ
プリング剤は、RSiX3の化学構造を有するものであ
り、同一分子中に有機材料と結合する置換基をもつ有機
官能性基Rと、無機材料と反応する加水分解性基Xとを
有する。ここで、Rはビニル、グリシドキシ、メタクリ
ル、アミノ、メルカプト基などを有する有機官能性基
で、Xは主に塩素とアルコキシ基である。シランカップ
リング剤は、有機材料である弾性結合剤と無機質である
ガラスファイバーとの界面に介在して、両者を結合させ
る橋渡しとしての役割を有する。
【0033】したがって、ガラスファイバーをシランカ
ップリング剤で表面処理した場合にあっては、無機質で
あるガラスファイバーを補強し、有機樹脂マトリックス
である弾性結合剤の機械的強度向上や耐水性向上に貢献
することが可能となるのである。
【0034】なお、具体的なシランカップリング剤とし
ては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(2−メ
トキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキ
シシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどを使用
することが可能である。
【0035】本発明に係る弾性舗装構造体の弾性結合剤
に含有されるセルロース繊維は、グルコースが、β−
1,4−グルコシド結合した多糖類で、(C6105
nで示される繊維である。モメン、麻類、木材中のセル
ロースは天然セルロースとよばれその重合度は比較的高
い。天然セルロース中のセルロース分子は平行に配列
し、セルロースIとよばれる微結晶を形成する。セルロ
ースを溶解したのち再生し、あるいはアルカリセルロー
スなどの付加化合物から再生すると、結晶構造は変化し
て水和セルロース、すなわちセルロースIIになる。レ
ーヨン、セロハンなどは水和セルロースである。セルロ
ースには、上述したセルロースIおよびセルロースII
のほかにセルロースの銅アンモニア化合物を分解すると
きに得られるセルロースIII、また、セルロースの高
温における再生によって得られるセルロースIVなどが
ある。本発明に係る弾性舗装構造体の弾性結合剤に含有
されるセルロース繊維は、セルロースI、セルロースI
I、セルロースIII、セルロースIVのいずれの構造
のセルロースであっても使用することができるのであ
る。
【0036】本発明に係る弾性舗装構造体の弾性結合剤
に含有されるセルロース繊維は、セルロース誘導体のセ
ルロース繊維をも含むものとする。セルロース誘導体と
しては、大別してセルロースエステルとセルロースエー
テルがある。セルロースエステルは、セルロースの3個
の水酸基を酸類で適度にエステル化した誘導体で、硝
酸、硫酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、その他の高級脂
肪酸エステル、または硝酢酸の混合エステル、酢酪酸の
混合エステルなどがある。セルロースエーテルは、セル
ロースの水酸基をエーテル化したもので、メチル、エチ
ルなどのアルキルエーテルまたはベンジルエーテルなど
がある。なお、セルロースをアルカリセルロースとし、
これにアルキルまたはアラルキルの塩化物、または硫酸
塩などを作用させると、反応の進行とともにセルロース
は膨潤して分解、部分的に粘質糊状になり、これを精製
することによりセルロースエーテルを得ることが可能で
ある。
【0037】セルロース誘導体の具体例としては、カル
ボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロー
ス、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロースなどがあり、これら
のセルロース誘導体のセルロース繊維をも、本発明に係
る弾性舗装構造体の弾性結合剤に含有されるセルロース
繊維に含むものとする。
【0038】セルロース繊維もしくはガラスファイバー
の少なくともいずれか一方を含む補強剤は、前記弾性結
合剤に対して2〜10重量%含有されていることが好ま
しい。10重量%よりも多く補強剤が含有された場合に
あっては、補強剤を粘性の大きい弾性結合剤中に分散さ
せることが困難となる場合があるからである。また、1
0重量%よりも多く補強剤が含有された場合にあって
は、補強剤を含有した弾性結合剤の粘度が上昇し、その
結果、弾性結合剤とゴムチップ材とを均一に混合させる
ことが困難となる可能性がある。一方、2重量%よりも
少なく補強剤が含有されている場合にあっては、補強剤
の添加効果としては不十分となる場合があるからであ
る。
【0039】本発明に係る弾性舗装構造体は、下記に示
す方法で製造される。すなわち、まず、ゴムチップ材を
計量してミキサーに投入し攪拌する。別にウレタン樹脂
バインダーなどの弾性結合剤を計量して、上述したミキ
サーに投入して約3分間攪拌する。得られた原料混合物
を160℃に予め加熱したモールド内に流し込み、プレ
スにて160℃で10分間軽く加圧硬化させて、弾性舗
装構造体を得る。ここで、本発明に係る弾性舗装構造体
の空隙率は、下記の式(1)で定義される。 空隙率(%)=[1−(原料混合物の体積/モールドの容積)]×100…(1) 本発明に係る弾性舗装構造体の空隙率は、30〜40%
であることが好適である。弾性舗装構造体の空隙率が3
0%よりも少ないと、引張強度を向上させる観点からは
好ましいのであるが、透水率が減少する場合があるから
である。また、弾性舗装構造体の空隙率が40%よりも
大きいと、透水率を高くさせることが可能である点で好
ましいのであるが、引張強度を減少させる場合があるか
らである。
【0040】一般に、ファイバー状ゴムチップ(ひじき
状ゴムチップ)もしくは粒状ゴムチップをウレタン樹脂
バインダーで固めた弾性舗装構造体は多孔質構造であ
り、所定の空隙率を有する連続的な空隙を有している。
この空隙を有することで、弾性舗装構造体は、JIS
A 1218の透水試験方法や、舗装試験法便覧に記載
されている現場透水性試験などの手法により透水性に優
れているとされている。透水性に優れていると成形体で
ある弾性舗装構造体上を自動車の車輪や、人の靴底など
が接した場合、設置部分に水分の膜である水膜が発生し
にくいので、滑りを防止することが可能となるのであ
る。
【0041】しかしながら、JIS A 1218の透
水試験方法や、舗装試験法便覧に記載されている現場透
水性試験などの手法は、多量の水を使用し、しかも所定
の水圧にて、多孔質成形体に水を作用させることにて透
水性を試験するものである。
【0042】その一方で、実際の降雨状況は、多孔質成
形体に少量の水をかける状況に近いものと考えられる場
合が多々ある。少量の水を多孔質成形体にかけるだけで
は、多孔質成形体の表面に水膜が発生するのみで、かけ
られた水の大半は多孔質成形体に浸透せず、多孔質成形
体の表面に長時間水膜として存在するものと考えられ
る。
【0043】本発明者は、界面活性剤を弾性結合剤に含
有させ、その弾性結合剤でゴムチップ材を連結させるこ
とにより、弾性舗装構造体の透水性を向上させることを
新知見として得た。すなわち、ゴムチップ材を弾性結合
剤で連結してなる弾性舗装構造体であって、界面活性剤
を弾性結合剤に含有する弾性舗装構造体が、透水性を向
上させる観点から好適である。また、ゴムチップ材を弾
性結合剤で連結してなる弾性舗装構造体の表面に界面活
性剤含有物を塗布することでも、弾性舗装構造体の透水
性を向上させることが可能である。ゴムチップ材を、界
面活性剤を含有しない弾性結合剤で連結してなる弾性舗
装構造体の表面に界面活性剤含有物を塗布しても良い
し、また、ゴムチップ材を、界面活性剤を含有する弾性
結合剤で連結してなる弾性舗装構造体の表面に、さらに
界面活性剤含有物を塗布することでも、弾性舗装構造体
の透水性を向上させることができる。
【0044】ゴムチップ材を連結する弾性結合剤として
は、上述したように、ウレタン樹脂バインダーを用いる
ことができる。また、ゴムチップ材を連結する弾性結合
剤として、末端NCO基を有するポリウレタンプレポリ
マーに反応性液状ゴムを配合したバインダーを用いるこ
とも可能である。
【0045】前記界面活性剤としては、界面活性剤の分
子内に水酸基を有するポリオキシエチレンアルキルフェ
ノールエーテル系界面活性剤を使用することが可能であ
る。水酸基を有していないと、ウレタン樹脂バインダー
中のイソシアネート基と界面活性剤とが反応を行なわ
ず、水をかけると弾性舗装構造体の成形体中から界面活
性剤が流出する可能性があるからである。
【0046】前記界面活性剤としては、液状物を好適に
使用することが可能である。液状物が好ましい理由は、
弾性結合剤と混合させることが容易にできるからであ
る。したがって、水酸基を有するポリオキシエチレンア
ルキルフェノールエーテル系界面活性剤の液状物を好適
に使用することが可能である。なお、液状物でなく、固
体物であっても溶剤で溶解させることにより使用するこ
とは可能である。また、熱で熔かして溶解させて使用す
ることも可能である。
【0047】前記界面活性剤としてポリエチレングリコ
ールエーテルを使用することができる。ポリエチレング
リコールエーテルは、RO(CH2CH2O)nH、もし
くは、RO(CH2CH2O)nRであらわすことができ
(ここで、Rはアルキル基である。)、アルコールまた
はフェノール類にアルカリ触媒を加え、120〜180
℃で加圧または常圧下にエチレンオキシドを通じてモノ
エーテルを得ることができる。nが5よりも大きいもの
が界面活性剤として使用する上において好適である。
【0048】また、前記界面活性剤としてポリエチレン
グリコールエステルを使用することができる。ポリエチ
レングリコールエステルは、RCOO(CH2CH2O)
nH、もしくは、RCOO(CH2CH2O)nCORであ
らわすことができ(ここで、Rはアルキル基であ
る。)、ポリエチレングリコールとカルボン酸との酸接
触エステル化反応で得ることができる。C12以上の高級
脂肪酸モノエステルであることが界面活性剤として使用
する上において好適である。
【0049】なお、上述のポリエチレングリコールエス
テルまたはポリエチレングリコールエーテルの具体的な
商品名としは、日本油脂KK製の界面活性剤であるニッ
サン・ノニオンを使用することが可能である。
【0050】前記界面活性剤は、前記弾性結合剤に対し
て1〜50重量%含有されていることが好適である。界
面活性剤が1重量%よりも少なく含有されている場合に
あっては、弾性舗装構造体の透水性を上昇させる観点か
らは不十分となる場合があり、一方、界面活性剤が50
重量%よりも多く含有されている場合にあっては、前記
弾性結合剤が硬化したとしても硬度が不十分となり、そ
の結果、弾性舗装構造体の成形体を持ち上げた場合、弾
性舗装構造体を破壊してしまう可能性が考えられるから
である。
【0051】本発明の弾性舗装構造体は、一般の舗装
路、車道、ゴルフ場、競技場などのグラウンドに設置さ
れる。本発明の弾性舗装構造体の施工方法の一例として
は、図7に示されるように、舗装場所の地面に窪みまた
は枠組を立てて整地し、地面を圧縮してならした後、ア
スファルト、コンクリートまたはアスファルトコンクリ
ート材を流し込んで静置して成型し、舗装基材2を得
る。得られた基材の上面にゴムチップ材3を弾性結合剤
で連結してなる弾性舗装構造体1を形成する。所望によ
り弾性舗装構造体1の上面に被覆層4を形成させてもよ
い。被覆層4は、弾性結合剤を硬化させる前または硬化
後に積載または塗布してもよい。
【0052】なお、セルロース繊維もしくはガラスファ
イバーの少なくともいずれか一方を含む補強剤は、常温
で固化させる現場施行型の弾性舗装構造体に使用される
弾性結合剤に混入させることも可能である。
【0053】
【実施例】弾性結合剤中に、3本ロールを使用すること
で補強剤を分散させた。補強剤を分散させた弾性結合剤
に、ファイバー状ゴムチップを投入させ、160℃で1
0分間プレス成形した。成形体を分解後、ハムスライサ
ーにて5mmの厚みに調整し、JIS K 6251に
おける試験片形状のダンベル状2号形に打ち抜いた後、
引張試験を行なった。試験片の数は4個で行ない、引張
速度は500±50mm/minとした。
【0054】試験片の取付けは、試験中にゆがみ、つか
み具切れ、その他の不都合を生じないように、かつ正確
につかみ具に取り付けた。
【0055】引張強さの測定は、試験装置によって試験
片の切断に至るまでの最大引張力を読取った。切断時伸
びの測定は、切断時の標準線の長さを測定した。
【0056】引張応力の測定は、標線間距離が所定の長
さに達したときの引張力を読み取った。
【0057】引張強さは、下記に示す式(2)によって
計算した。 Tb=Fb/A…式(2) なお、ここで、Tbは引張強さ(MPa)で、Fbは最
大引張力(N)で、Aは試験片の断面積(mm2)であ
る。
【0058】(実施例1)弾性結合剤として武田薬品工
業(株)のタケネートF−181Pを使用した。ファイ
バー状ゴムチップとしてミサワ東洋(株)のファイバー
ゴム612を使用した。補強剤としてセルロース繊維
(三木産業(株)のARBOCEL ZZ8/1)を使
用した。
【0059】タケネートF−181Pに、3本ロールを
使用することでセルロース繊維(ARBOCEL ZZ
8/1)を分散させ、セルロース繊維混入量として、
(セルロース繊維の重量部)/(セルロース繊維の重量
部+タケネートF−181Pの重量部)を計算した。そ
して、ARBOCEL ZZ8/1を分散させたタケネ
ートF−181Pに、ファイバーゴム612を投入さ
せ、160℃で10分間プレス成形した。
【0060】ここで、配合は下記のように行なった。す
なわち、ファイバーゴム612が80重量部で、タケネ
ートF−181Pが19.6重量部で、セルロース繊維
(ARBOCEL ZZ8/1)が0.4重量部で、セ
ルロース繊維混入量が2%の場合である。また、ファイ
バーゴム612が80重量部で、タケネートF−181
Pが19重量部で、セルロース繊維(ARBOCEL
ZZ8/1)が1重量部で、セルロース繊維混入量が5
%の場合である。また、ファイバーゴム612が80重
量部で、タケネートF−181Pが18重量部で、セル
ロース繊維(ARBOCEL ZZ8/1)が2重量部
で、セルロース繊維混入量が10%の場合である。ま
た、ファイバーゴム612が80重量部で、タケネート
F−181Pが17重量部で、セルロース繊維(ARB
OCEL ZZ8/1)が3重量部で、セルロース繊維
混入量が15%の場合である。なお、ファイバーゴム6
12が80重量部で、タケネートF−181Pが20重
量部で、セルロース繊維混入量が0%の場合も設定し
た。
【0061】プレス成形の成形体を分解後、ハムスライ
サーにて5mmの厚みに調整し、JIS K 6251
における試験片形状のダンベル状2号形に打ち抜いた
後、引張試験を行なった。その結果を図1に示す。横軸
はセルロース繊維混入量であり、縦軸は引張強さ(MP
a)である。なお、試験片の空隙率は35%であった。
セルロース繊維(ARBOCEL ZZ8/1)は、前
記弾性結合剤に対して2〜10重量%含有されているこ
とが好適であることが理解される。
【0062】(実施例2)弾性結合剤として武田薬品工
業(株)のタケネートF−181Pを使用した。ファイ
バー状ゴムチップとしてミサワ東洋(株)のファイバー
ゴム612を使用した。補強剤としてセルロース繊維
(ファイバーボード木質繊維原料)を使用した。
【0063】タケネートF−181Pに、3本ロールを
使用することでセルロース繊維(ファイバーボード木質
繊維原料)を分散させ、セルロース繊維混入量として、
(セルロース繊維の重量部)/(セルロース繊維の重量
部+タケネートF−181Pの重量部)を計算した。そ
して、ファイバーボード木質繊維原料を分散させたタケ
ネートF−181Pに、ファイバーゴム612を投入さ
せ、160℃で10分間プレス成形した。
【0064】ここで、配合は下記のように行なった。す
なわち、ファイバーゴム612が80重量部で、タケネ
ートF−181Pが19.6重量部で、セルロース繊維
(ファイバーボード木質繊維原料)が0.4重量部で、
セルロース繊維混入量が2%の場合である。また、ファ
イバーゴム612が80重量部で、タケネートF−18
1Pが19重量部で、セルロース繊維(ファイバーボー
ド木質繊維原料)が1重量部で、セルロース繊維混入量
が5%の場合である。また、ファイバーゴム612が8
0重量部で、タケネートF−181Pが18重量部で、
セルロース繊維(ファイバーボード木質繊維原料)が2
重量部で、セルロース繊維混入量が10%の場合であ
る。また、ファイバーゴム612が80重量部で、タケ
ネートF−181Pが17重量部で、セルロース繊維
(ファイバーボード木質繊維原料)が3重量部で、セル
ロース繊維混入量が15%の場合である。なお、ファイ
バーゴム612が80重量部で、タケネートF−181
Pが20重量部で、セルロース繊維混入量が0%の場合
も設定した。
【0065】プレス成形の成形体を分解後、ハムスライ
サーにて5mmの厚みに調整し、JIS K 6251
における試験片形状のダンベル状2号形に打ち抜いた
後、引張試験を行なった。その結果を図2に示す。横軸
はセルロース繊維混入量であり、縦軸は引張強さ(MP
a)である。なお、試験片の空隙率は35%であった。
セルロース繊維(ファイバーボード木質繊維原料)は、
前記弾性結合剤に対して2〜10重量%含有されている
ことが好適であることが理解される。
【0066】(実施例3)弾性結合剤として武田薬品工
業(株)のタケネートF−181Pを使用した。ファイ
バー状ゴムチップとしてミサワ東洋(株)のファイバー
ゴム612を使用した。補強剤としてガラスファイバー
(日本板硝子(株)サーフェストランドREV8)を使
用した。
【0067】タケネートF−181Pに、3本ロールを
使用することでガラスファイバー(日本板硝子(株)サ
ーフェストランドREV8)を分散させ、ガラスファイ
バー混入量として、(ガラスファイバーの重量部)/
(ガラスファイバーの重量部+タケネートF−181P
の重量部)を計算した。そして、サーフェストランドR
EV8を分散させたタケネートF−181Pに、ファイ
バーゴム612を投入させ、160℃で10分間プレス
成形した。
【0068】ここで、配合は下記のように行なった。す
なわち、ファイバーゴム612が80重量部で、タケネ
ートF−181Pが19.6重量部で、ガラスファイバ
ー(日本板硝子(株)サーフェストランドREV8)が
0.4重量部で、ガラスファイバー混入量が2%の場合
である。また、ファイバーゴム612が80重量部で、
タケネートF−181Pが19重量部で、ガラスファイ
バー(日本板硝子(株)サーフェストランドREV8)
が1重量部で、ガラスファイバー混入量が5%の場合で
ある。また、ファイバーゴム612が80重量部で、タ
ケネートF−181Pが18重量部で、ガラスファイバ
ー(日本板硝子(株)サーフェストランドREV8)が
2重量部で、ガラスファイバー混入量が10%の場合で
ある。また、ファイバーゴム612が80重量部で、タ
ケネートF−181Pが17重量部で、ガラスファイバ
ー(日本板硝子(株)サーフェストランドREV8)が
3重量部で、ガラスファイバー混入量が15%の場合で
ある。なお、ファイバーゴム612が80重量部で、タ
ケネートF−181Pが20重量部で、ガラスファイバ
ー混入量が0%の場合も設定した。
【0069】プレス成形の成形体を分解後、ハムスライ
サーにて5mmの厚みに調整し、JIS K 6251
における試験片形状のダンベル状2号形に打ち抜いた
後、引張試験を行なった。その結果を図3に示す。横軸
はガラスファイバー混入量であり、縦軸は引張強さ(M
Pa)である。なお、試験片の空隙率は35%であっ
た。ガラスファイバー(日本板硝子(株)サーフェスト
ランドREV8)は、前記弾性結合剤に対して2〜10
重量%含有されていることが好適であることが理解され
る。
【0070】(実施例4)弾性結合剤として武田薬品工
業(株)のタケネートF−181Pを使用した。ファイ
バー状ゴムチップとしてミサワ東洋(株)のファイバー
ゴム612を使用した。補強剤としてガラスファイバー
(日本板硝子(株)チョップドストランドRES03−
TP74)を使用した。
【0071】タケネートF−181Pに、3本ロールを
使用することでガラスファイバー(日本板硝子(株)チ
ョップドストランドRES03−TP74)を分散さ
せ、ガラスファイバー混入量として、(ガラスファイバ
ーの重量部)/(ガラスファイバーの重量部+タケネー
トF−181Pの重量部)を計算した。そして、チョッ
プドストランドRES03−TP74を分散させたタケ
ネートF−181Pに、ファイバーゴム612を投入さ
せ、160℃で10分間プレス成形した。
【0072】ここで、配合は下記のように行なった。す
なわち、ファイバーゴム612が80重量部で、タケネ
ートF−181Pが19.6重量部で、ガラスファイバ
ー(日本板硝子(株)チョップドストランドRES03
−TP74)が0.4重量部で、ガラスファイバー混入
量が2%の場合である。また、ファイバーゴム612が
80重量部で、タケネートF−181Pが19重量部
で、ガラスファイバー(日本板硝子(株)チョップドス
トランドRES03−TP74)が1重量部で、ガラス
ファイバー混入量が5%の場合である。また、ファイバ
ーゴム612が80重量部で、タケネートF−181P
が18重量部で、ガラスファイバー(日本板硝子(株)
チョップドストランドRES03−TP74)が2重量
部で、ガラスファイバー混入量が10%の場合である。
また、ファイバーゴム612が80重量部で、タケネー
トF−181Pが17重量部で、ガラスファイバー(日
本板硝子(株)チョップドストランドRES03−TP
74)が3重量部で、ガラスファイバー混入量が15%
の場合である。なお、ファイバーゴム612が80重量
部で、タケネートF−181Pが20重量部で、ガラス
ファイバー混入量が0%の場合も設定した。
【0073】プレス成形の成形体を分解後、ハムスライ
サーにて5mmの厚みに調整し、JIS K 6251
における試験片形状のダンベル状2号形に打ち抜いた
後、引張試験を行なった。その結果を図4に示す。横軸
はガラスファイバー混入量であり、縦軸は引張強さ(M
Pa)である。なお、試験片の空隙率は35%であっ
た。ガラスファイバー(日本板硝子(株)チョップドス
トランドRES03−TP74)は、前記弾性結合剤に
対して2〜10重量%含有されていることが好適である
ことが理解される。
【0074】(比較例1)弾性結合剤として武田薬品工
業(株)のタケネートF−181Pを使用した。ファイ
バー状ゴムチップとしてミサワ東洋(株)のファイバー
ゴム612を使用した。本発明に使用される補強剤に対
応するものとして、カーボンブラック(東海カーボン
(株)シーストNH)を使用した。
【0075】タケネートF−181Pに、3本ロールを
使用することでカーボンブラック(東海カーボン(株)
シーストNH)を分散させ、カーボンブラック混入量と
して、(カーボンブラックの重量部)/(カーボンブラ
ックの重量部+タケネートF−181Pの重量部)を計
算した。そして、シーストNHを分散させたタケネート
F−181Pに、ファイバーゴム612を投入させ、1
60℃で10分間プレス成形した。
【0076】ここで、配合は下記のように行なった。す
なわち、ファイバーゴム612が80重量部で、タケネ
ートF−181Pが19.6重量部で、カーボンブラッ
ク(東海カーボン(株)シーストNH)が0.4重量部
で、カーボンブラック混入量が2%の場合である。ま
た、ファイバーゴム612が80重量部で、タケネート
F−181Pが19重量部で、カーボンブラック(東海
カーボン(株)シーストNH)が1重量部で、カーボン
ブラック混入量が5%の場合である。また、ファイバー
ゴム612が80重量部で、タケネートF−181Pが
18重量部で、カーボンブラック(東海カーボン(株)
シーストNH)が2重量部で、カーボンブラック混入量
が10%の場合である。また、ファイバーゴム612が
80重量部で、タケネートF−181Pが17重量部
で、カーボンブラック(東海カーボン(株)シーストN
H)が3重量部で、カーボンブラック混入量が15%の
場合である。なお、ファイバーゴム612が80重量部
で、タケネートF−181Pが20重量部で、カーボン
ブラック混入量が0%の場合も設定した。
【0077】プレス成形の成形体を分解後、ハムスライ
サーにて5mmの厚みに調整し、JIS K 6251
における試験片形状のダンベル状2号形に打ち抜いた
後、引張試験を行なった。その結果を図5に示す。横軸
はカーボンブラック混入量であり、縦軸は引張強さ(M
Pa)である。なお、試験片の空隙率は35%であっ
た。カーボンブラック(東海カーボン(株)シーストN
H)を弾性結合剤に混入させた場合は、上述した実施例
1〜4と比較して、最大の引張強さは小さいものである
ことが理解される。
【0078】(比較例2)弾性結合剤として武田薬品工
業(株)のタケネートF−181Pを使用した。ファイ
バー状ゴムチップとしてミサワ東洋(株)のファイバー
ゴム612を使用した。本発明に使用される補強剤に対
応するものとして、ビニロン繊維((株)クラレのケー
ビック)を使用した。
【0079】タケネートF−181Pに、3本ロールを
使用することでビニロン繊維((株)クラレのケービッ
ク)を分散させ、ビニロン繊維混入量として、(ビニロ
ン繊維の重量部)/(ビニロン繊維の重量部+タケネー
トF−181Pの重量部)を計算した。そして、ケービ
ックを分散させたタケネートF−181Pに、ファイバ
ーゴム612を投入させ、160℃で10分間プレス成
形した。
【0080】ここで、配合は下記のように行なった。す
なわち、ファイバーゴム612が80重量部で、タケネ
ートF−181Pが19.6重量部で、ビニロン繊維
((株)クラレのケービック)が0.4重量部で、ビニ
ロン繊維混入量が2%の場合である。また、ファイバー
ゴム612が80重量部で、タケネートF−181Pが
19重量部で、ビニロン繊維((株)クラレのケービッ
ク)が1重量部で、ビニロン繊維混入量が5%の場合で
ある。また、ファイバーゴム612が80重量部で、タ
ケネートF−181Pが18重量部で、ビニロン繊維
((株)クラレのケービック)が2重量部で、ビニロン
繊維混入量が10%の場合である。また、ファイバーゴ
ム612が80重量部で、タケネートF−181Pが1
7重量部で、ビニロン繊維((株)クラレのケービッ
ク)が3重量部で、ビニロン繊維混入量が15%の場合
である。なお、ファイバーゴム612が80重量部で、
タケネートF−181Pが20重量部で、ビニロン繊維
混入量が0%の場合も設定した。
【0081】プレス成形の成形体を分解後、ハムスライ
サーにて5mmの厚みに調整し、JIS K 6251
における試験片形状のダンベル状2号形に打ち抜いた
後、引張試験を行なった。その結果を図6に示す。横軸
はビニロン繊維混入量であり、縦軸は引張強さ(MP
a)である。なお、試験片の空隙率は35%であった。
ビニロン繊維((株)クラレのケービック)を弾性結合
剤に混入させた場合は、上述した実施例1〜4と比較し
て、最大の引張強さは小さいものであることが理解され
る。
【0082】一方、界面活性剤を弾性結合剤に含有さ
せ、その弾性結合剤でゴムチップ材を連結させた弾性舗
装構造体の透水性を試験した。種々の界面活性剤を使用
して、弾性結合剤に種々の含有割合で含有させ、その弾
性結合剤でゴムチップ材を連結させた弾性舗装構造体で
透水試験を行なった。その透水性試験を行なうための弾
性舗装構造体のサンプル調製は下記に示す実施例5〜実
施例8のように行なった。
【0083】(実施例5)弾性結合剤として武田薬品工
業(株)のタケネートF−181Pを使用した。ファイ
バー状ゴムチップとしてミサワ東洋(株)のファイバー
ゴム612を使用した。界面活性剤としてノニオン界面
活性剤を使用した。
【0084】配合は下記のように行なった。すなわち、
ファイバーゴム612が85重量部で、タケネートF−
181Pが15重量部で、ノニオン界面活性剤が0.1
5重量部である。なお、(ノニオン界面活性剤の重量
部)/(タケネートF−181Pの重量部)を対バイン
ダー比とすると、対バインダー比は1%であった。な
お、弾性舗装構造体の空隙率は40%であった。そし
て、界面活性剤を含有させたタケネートF−181P
に、ファイバーゴム612を投入させ、160℃で10
分間プレス成形した。
【0085】ノニオン界面活性剤としては、日本油脂
(株)のニッサン・ノニオンの4種類を使用した。すな
わち、ノニオン界面活性剤Aとして、S−40(ポリオ
キシエチレンアルキルエステル)と、ノニオン界面活性
剤Bとして、S−220(ポリオキシエチレンアルキル
エーテル)と、ノニオン界面活性剤Cとして、NS−2
12(ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテ
ル)と、ノニオン界面活性剤Dとして、NS−270
(ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル)と
を使用した。
【0086】(実施例6)弾性結合剤として武田薬品工
業(株)のタケネートF−181Pを使用した。ファイ
バー状ゴムチップとしてミサワ東洋(株)のファイバー
ゴム612を使用した。界面活性剤としてノニオン界面
活性剤を使用した。
【0087】配合は下記のように行なった。すなわち、
ファイバーゴム612が85重量部で、タケネートF−
181Pが15重量部で、ノニオン界面活性剤が3.7
5重量部である。なお、(ノニオン界面活性剤の重量
部)/(タケネートF−181Pの重量部)を対バイン
ダー比とすると、対バインダー比は25%であった。な
お、弾性舗装構造体の空隙率は40%であった。そし
て、界面活性剤を含有させたタケネートF−181P
に、ファイバーゴム612を投入させ、160℃で10
分間プレス成形した。
【0088】ノニオン界面活性剤としては、日本油脂
(株)のニッサン・ノニオンの4種類を使用した。すな
わち、ノニオン界面活性剤Aとして、S−40(ポリオ
キシエチレンアルキルエステル)と、ノニオン界面活性
剤Bとして、S−220(ポリオキシエチレンアルキル
エーテル)と、ノニオン界面活性剤Cとして、NS−2
12(ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテ
ル)と、ノニオン界面活性剤Dとして、NS−270
(ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル)と
を使用した。
【0089】(実施例7)弾性結合剤として武田薬品工
業(株)のタケネートF−181Pを使用した。ファイ
バー状ゴムチップとしてミサワ東洋(株)のファイバー
ゴム612を使用した。界面活性剤としてノニオン界面
活性剤を使用した。
【0090】配合は下記のように行なった。すなわち、
ファイバーゴム612が85重量部で、タケネートF−
181Pが15重量部で、ノニオン界面活性剤が7.5
重量部である。なお、(ノニオン界面活性剤の重量部)
/(タケネートF−181Pの重量部)を対バインダー
比とすると、対バインダー比は50%であった。なお、
弾性舗装構造体の空隙率は40%であった。そして、界
面活性剤を含有させたタケネートF−181Pに、ファ
イバーゴム612を投入させ、160℃で10分間プレ
ス成形した。
【0091】ノニオン界面活性剤としては、日本油脂
(株)のニッサン・ノニオンの4種類を使用した。すな
わち、ノニオン界面活性剤Aとして、S−40(ポリオ
キシエチレンアルキルエステル)と、ノニオン界面活性
剤Bとして、S−220(ポリオキシエチレンアルキル
エーテル)と、ノニオン界面活性剤Cとして、NS−2
12(ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテ
ル)と、ノニオン界面活性剤Dとして、NS−270
(ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル)と
を使用した。
【0092】(実施例8)弾性結合剤として武田薬品工
業(株)のタケネートF−181Pを使用し、ファイバ
ー状ゴムチップとしてミサワ東洋(株)のファイバーゴ
ム612を使用し、界面活性剤を弾性結合剤に混入させ
ずに、弾性結合剤とファイバー状ゴムチップとをプレス
成形し、界面活性材無添加成形体を成形した。そして、
タケネートF−181PとノニオンNS−212とを
1:1重量比で混合したものを、界面活性材無添加成形
体の片面に塗布して塗布成形体を準備した。塗布量は、
200×200mm2あたり5.0gであった。
【0093】(比較例3)弾性結合剤として武田薬品工
業(株)のタケネートF−181Pを使用し、ファイバ
ー状ゴムチップとしてミサワ東洋(株)のファイバーゴ
ム612を使用し、界面活性剤を弾性結合剤に混入させ
ずに、弾性結合剤とファイバー状ゴムチップとをプレス
成形し、界面活性材無添加成形体を成形した。
【0094】透水性試験は、具体的には下記に示すよう
に行なった。すなわち、実施例5〜実施例8および比較
例3において準備した弾性舗装構造体を、200mm×
200mm×10mmの形に成形し、その成形体に対し
て10ccの水をかけて透水する時間を測定した。その
結果を表1に示す。透水する時間の単位は秒である。
【0095】
【表1】
【0096】ノニオン界面活性剤を添加した弾性舗装構
造体は、ノニオン界面活性剤を添加していない弾性舗装
構造体と比較して、透水性の効果が大きいことが理解さ
れる。弾性舗装構造体をプレス成形した後の経過時間で
ある成形後経過時間が長いほど、10ccの水が浸透す
るのに必要とする時間が比較的かかる傾向にあることが
理解される。なお、表1における記号×は、300秒経
過した場合においても透水しない場合を示す記号であ
る。
【0097】今回開示された実施の形態および実施例は
すべての点で例示であって制限的なものではないと考え
られるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではな
くて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と
均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれるこ
とが意図される。
【0098】
【発明の効果】セルロース繊維もしくはガラスファイバ
ーの少なくともいずれか一方を含む補強剤を弾性結合剤
に含有させ、その弾性結合剤でゴムチップ材を連結して
なる弾性舗装構造体は、引張物性が向上し、耐久性が改
良されたものであった。したがって、広場、道路、各種
球技場、プールサイド、ゴルフ場、競技場などの様々な
場所にて、しかも長期間にわたって、本発明に係る弾性
舗装構造体を使用することが可能である。また、ゴルフ
シューズなどのスパイクシューズによる繰り返しの踏み
付けによっても弾性舗装構造体が損傷する可能性は大幅
に軽減された。また、ゴムチップ材を、界面活性剤を含
有する弾性結合剤で連結して弾性舗装構造体を得た場合
や、ゴムチップ材を弾性結合剤で連結してなる弾性舗装
構造体の表面に界面活性剤含有物を塗布した場合、弾性
舗装構造体の透水効果を著しく向上させることができ
た。したがって、本発明に係る弾性舗装構造体を広場、
道路などの様々な場所に設置したとしても、水はけ良く
使用することができ、本発明がもたらす利益は計り知れ
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 引張強さとセルロース繊維混入量との関係を
示す図である。
【図2】 引張強さとセルロース繊維混入量との関係を
示す図である。
【図3】 引張強さとガラスファイバー混入量との関係
を示す図である。
【図4】 引張強さとガラスファイバー混入量との関係
を示す図である。
【図5】 引張強さとカーボンブラック混入量との関係
を示す図である。
【図6】 引張強さとビニロン繊維混入量との関係を示
す図である。
【図7】 本発明に係る弾性舗装構造体を説明する図で
ある。
【符号の説明】
1 弾性舗装構造体、 2 舗装基材、3 ゴムチップ
材、4 被覆層。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴムチップ材を弾性結合剤で連結してな
    る弾性舗装構造体であって、 セルロース繊維もしくはガラスファイバーの少なくとも
    いずれか一方を含む補強剤を、前記弾性結合剤に含有す
    る弾性舗装構造体。
  2. 【請求項2】 前記補強剤は、前記弾性結合剤に対して
    2〜10重量%含有されている請求項1記載の弾性舗装
    構造体。
  3. 【請求項3】 前記ガラスファイバーは、ストランドカ
    ット状ガラスファイバーである請求項1または2記載の
    弾性舗装構造体。
  4. 【請求項4】 前記ガラスファイバーは、粉末状ガラス
    ファイバーである請求項1または2記載の弾性舗装構造
    体。
  5. 【請求項5】 前記ガラスファイバーは、シランカップ
    リング剤で表面処理されている請求項1〜4のいずれか
    に記載の弾性舗装構造体。
  6. 【請求項6】 前記弾性舗装構造体の空隙率が、30〜
    40%である請求項1〜5のいずれかに記載の弾性舗装
    構造体。
  7. 【請求項7】 前記弾性結合剤は界面活性剤を含有する
    請求項1〜6のいずれかに記載の弾性舗装構造体。
  8. 【請求項8】 前記弾性構造体の表面に界面活性剤含有
    物が塗布してある請求項1〜7のいずれかに記載の弾性
    舗装構造体。
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