JP2002016229A - 強誘電体素子およびその製造方法 - Google Patents

強誘電体素子およびその製造方法

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JP2002016229A
JP2002016229A JP2000201474A JP2000201474A JP2002016229A JP 2002016229 A JP2002016229 A JP 2002016229A JP 2000201474 A JP2000201474 A JP 2000201474A JP 2000201474 A JP2000201474 A JP 2000201474A JP 2002016229 A JP2002016229 A JP 2002016229A
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caruo
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Hiroshi Funakubo
浩 舟窪
Ritsuichi Okuda
律一 奥田
Noriyuki Azuma
典行 東
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Rikogaku Shinkokai
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Rikogaku Shinkokai
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉛基強誘電体材料を用いた強誘電体素子の電
極として好適な、導電性、疲労寿命、リーク特性が優れ
た電極を提供すること。 【解決手段】 PZTまたはPLZTなどの鉛基強誘電
体層を挟持する電極の少なくとも一方として、厚さ50
nm以下のCaRuO3 層を用いた強誘電体素子。下部
電極と下部電極上の鉛基強誘電体層と鉛基強誘電体層上
の上部電極を有する強誘電体素子の製造方法において下
部電極および上部電極のうち少なくとも上部電極を、有
機金属化合物化学的気相堆積法を用い、基板温度を65
0℃以下の条件下でCaRuO3 を堆積して形成し、か
つ膜厚を50nm以下とする製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は強誘電素子およびそ
の製造方法に係わり、より詳しくは、鉛基強誘電体層を
挟持する電極、特に上部電極としてCaRuO3 を用い
ること、それによって水素処理耐久性、疲労特性、リー
ク特性を改良することに関する。
【0002】
【従来の技術】Pb(Zr,Ti)O3 〔PZT〕ある
いは(Pb,La)(Zr,Ti)O 3 〔PLZT〕な
どの鉛基強誘電体は大きな残留分極を持つことから、強
誘電体メモリ用材料として研究され、実用化もされてい
る。図1に強誘電体メモリの1例として2トランジスタ
+2キャパシタ/セルの例を示す。そして、これらの強
誘電体材料を用いた強誘電体メモリの特性は電極の種類
によって大きく左右されることが知られており、専ら化
学的、熱的安定性からPtが使用されてきた。
【0003】しかし、Pt電極は繰り返し分極反転して
使用したとき疲労すること(寿命103 回程度)、強誘
電体メモリを含む半導体装置の製造では後工程で行われ
ることの多い還元雰囲気の処理に弱い(200℃−H2
処理で劣化)などの問題が指摘されてきた。これに対し
て、電極を酸化物電極であるSrRuO3 にすることで
問題が解決される。特に上部電極のみをSrRuO3
するだけでもかなりの効果があることが確認されてい
る。例えば、疲労寿命は1010回程度、H2 処理につい
ては270℃程度の温度の処理でも耐久する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、SrR
uO3 を電極として用いた場合、鉛基強誘電体キャパシ
タの絶縁抵抗が低下するという問題がある。そこで、P
tあるいはSrRuO3 が抱える問題を解決した新たな
電極材料が求められている。本発明はこのような課題に
答えることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達
成するために、鉛基強誘電体層を挟持する電極の少なく
とも一方として、厚さ50nm以下のCaRuO3 層を
用いたことを特徴とする強誘電体素子、および、下部電
極と下部電極上の鉛基強誘電体層と鉛基強誘電体層上の
上部電極を有する強誘電体素子の製造方法において、下
部電極および上部電極のうち少なくとも上部電極を、有
機金属化合物化学的気相堆積法を用い、基板温度を65
0℃以下の条件下でCaRuO3 を堆積して形成し、か
つCaRuO3 の膜厚を50nm以下とすることを特徴
とする強誘電体素子の製造方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】従来、SrRuO3 は(Ba,S
r)RuO3 系や(Ca,Sr)RuO3 系の酸化物の
中で抵抗率の最も低いものとして考えられており、それ
ゆえに電極材料として提案されてきた経緯がある。すな
わち、SrRuO3 のSrをBaやCaで置換すると抵
抗率は増大すると考えられていた(例えば、Kim et a
l., J.Appl.Phys., Vol.87, No.9, 1 May 2000, 4425-4
429 )。しかしながら、本発明者らはSrRuO3 と比
べてCaRuO3 が低い抵抗率を持つことができること
を見出した。従って、SrRuO3 に代えてCaRuO
3 を電極として用いることにより、SrRuO3 と同等
あるいはそれ以上に優れた電極となり得る可能性があ
る。しかも、従来技術の欄で述べたように、SrRuO
3 を電極として用いると鉛基強誘電体の絶縁抵抗が低下
するという問題があるが、この原因はSrRuO3 から
Srが鉛基強誘電体材料中に拡散してSrPbO3 (抵
抗率6x10-2Ωcm)などのSr−Pb酸化物を形成
し、このSr−Pb酸化物の抵抗率が低いために、リー
クが発生するものと考えられる。これに対して、CaR
uO3 ではCaが拡散して形成されるCaPbO3 など
はSrPbO3 などと比べて抵抗率が高いので(3x1
3 Ωcm以上)、リーク特性も改良される可能性があ
ることに着目した。このような事情に基づいて、本発明
者らは鉛基強誘電体材料を用いた強誘電体素子の電極と
してCaRuO3 を用いた場合の特性を検討し、CaR
uO3 はSrCuO3 と同等あるいそれ以上に優れた抵
抗率(200μΩcm以下)、疲労寿命(1010回程度
以上)、水素還元処理耐久性を有すると共に、リーク特
性が顕著に改良されることも確認し、さらにCaRuO
3 の膜厚が50nm以下であることにより特性が特に優
れていることを見出し、本発明を完成したものである。
【0007】本発明の強誘電体素子を構成する鉛基強誘
電体材料としては、例えば、Pb(Zr,Ti)O
3 〔PZT〕、(Pb,La)(Zr,Ti)O3 〔P
LZT〕、(Pb,Sr,Ca)(Zr,Ti,Hf)
3 、(Pb,La)TiO3 〔PLT〕、(Pb,C
a)TiO3 〔PCT〕などを挙げることができる。こ
れらの鉛基強誘電体材料の形成方法は有機金属化合物化
学的気相堆積法(MOCVD)、ゾルゲル法、スパッタ
など公知の方法でよい。
【0008】有機金属化合物化学的気相堆積法におい
て、強誘電体材料を構成する金属を含む気化可能な有機
金属化合物、一般的には、アルキル金属化合物、アルコ
キシ金属化合物、アルキルアルコキシ金属化合物、β−
ジケトン化合物、シクロペンタジエニル化合物、ハロゲ
ン化物などが原料として用いられる。例えば、PZTの
場合、((CH3 3 CCO)2 CH−をthdで表わ
すと、Pb原料としてPb(C2 5 4 ,Pb(th
d)2 ,PbCl2 など、Zr原料としてZr(t−O
4 9 4 ,Zr(thd)4 ,ZrCl4 など、T
i原料としてTi(i−OC3 7 4 ,Ti(th
d)2 (i−OC3 7 2 ,TiCl4 などを挙げる
ことができる。また、PZTではPbの一部をLaで置
換することが行なわれるが、その場合のLa原料として
はLa(thd)3 ,La(C2 62 4 ,LaC
3 などを用いることができる。これらの原料の多く
は、毒性の問題のほか、室温で固体や液体であり、蒸気
圧も低いので、加熱して蒸気圧を高くする必要がある。
必要に応じてキャリヤガスとしては不活性ガス、Ar,
2 などを用いることができる。また、He,O2 など
をキャリヤガスとして用いる場合もある。
【0009】また、ゾルゲル法では、成分元素の金属ア
ルコキシドを合成(入手)し、複合金属アルコキシド溶
液を作成し、加水分解により前駆体溶液を作成し、スピ
ン塗布および乾燥し、高温熱処理により結晶化して所望
の強誘電体材料を成膜するが、必要に応じて所望の膜厚
にするために塗布、乾燥、熱処理を繰り返す。例えば、
PZTの場合、Pb(OOCCH3 2 ・3H2 O,Z
r(OCH2CH2 CH3 4 ,Ti{OCH(C
3 2 4 を溶媒としてCH3 OC2 4 OHに溶解
し、加熱還流、濃度調整後、当モルの水、酢酸で加水分
解して前駆体溶液とし、これを基板上にスピンコート、
乾燥後、大気中あるいはその他の雰囲気中で約450〜
700℃で熱処理してPZT膜を得ることができる。
【0010】本発明の強誘電体素子における電極材料と
して用いるCaRuO3 は、必ずしも厳密にCaRuO
3 の組成に一致する必要はなく、Ca/Ruのモル比は
±10%程度のバラツキがあってもよい。好ましくは±
5%以下のバラツキである。また酸素量も化学量論的量
でなくてもよい。本発明の強誘電体素子における電極材
料としてのCaRuO3 は、上下電極のうち少なくとも
一方として用いることにより効果を発揮するが、特に水
素還元処理耐久性の点で上部電極として用いると効果が
大きいので好適である。上部電極のみにCaRuO3
用いる場合、下部電極としてはPtを好適に用いること
ができる。
【0011】本発明ではCaRuO3 の膜厚は50nm
以下とする。膜厚が50nmを越えて例えば100nm
でもSrRuO3 と比較して効果はあるが、CaRuO
3 を50nm以下で用いることによりリーク特性低下が
より顕著に抑制されるので、本発明では50nm以下と
した。CaRuO3 は、基本的に、鉛基強誘電体材料と
接して用いるたときに鉛基強誘電体材料中への構成元素
の拡散によるリーク特性の低下が抑制される効果を発揮
するものである。従って、電極としては鉛基強誘電体材
料と接してCaRuO 3 層を形成し、さらに例えばPt
層などを積層形成して、CaRuO3 の優れた還元処理
耐久性、疲労寿命の効果を有しながら、全体として抵抗
率の低い電極を構成することができる。Pt層も鉛基強
誘電体材料と接していなければ水素還元処理によるリー
ク特性の劣化はないからである。
【0012】CaRuO3 の形成方法は、特に限定され
ず、溶液法、CVD法、スパッタなどのPVD法などの
いずれでもよいが、本発明者らの検討によると有機化合
物化学的気相堆積法(MOCVD)を用いると電極とし
て優れた特性を有するCaRuO3 を形成できるので特
に好適である。MOCVD法でCaRuO3 を形成する
具体的方法としては、本発明者らが検討したところで
は、例えば、Ca原料としてCa(C11H19O2)2(C8H
19N5)x 、Ru原料としてRu((C11H19O2)3または Ru[(C5
H4)(C2H5)]2、必要に応じてさらに酸素(O2 )を原料
として用いると好適である。Ca(C11H19O2)2(C8H19N5)x
は室温で液体であるので、キャリアガス(例えば、
2 、Ar)でバブリングすることにより容易に原料ガ
スを得ることができる。しかし、原料を高温に保持する
とテトラエン(C8H19N5) 基が容易に分離してしまい、蒸
気圧の高いテトラエンは容易から逃げてしまう結果、Ca
(C11H19O2)2 が容器に残り、これは使用温度では固体で
あるのでバブリングを行うのに不安定である。そこで、
バブリングガスとしてキャリアガス(例えば、N2
ス)にテトラエンを含ませることにより安定して原料ガ
スを供給することができる。
【0013】基板温度は、限定するわけではないが、例
えば350 〜650 ℃でよい。堆積時間は必要な膜厚が得ら
れればよいが、例えば5〜60分間である。本発明にお
ける強誘電体素子のための基板は、特に限定されず、強
誘電体素子が形成されるデバイスの種類に依存して選択
されるが、P(L)ZTなどの鉛基強誘電体結晶を所望
に成長させうるものであればよい。代表的な例として
は、多結晶P(L)ZTの成長基板として(111)P
t/Ti/SiO2 /Si,Ir/TiO2 /SiO2
/Si,IrO2 、単結晶P(L)ZTの成長基板とし
て(100)SrRuO3 /(100)SrTiO3
(111)SrRuO3/(111)SrTiO3
(110)SrRuO3 /(110)SrTiO3など
が好適なものとして知られている。Siウェーハ上に電
極を兼ねかつP(L)ZTの結晶成長に適しているPt
層を形成すると、SiとPtが反応するので、SiO2
層を介在させ、かつ接着層としてTi層を挿入したもの
である。Ptはスパッタにより(111)配向したfc
c結晶が成長することができる。この場合Ptは下部電
極であり、このPtに代えてまたはPt上にCaRuO
3 を形成して下部電極としてもよい。
【0014】本発明の強誘電体素子は、コンデンサ、強
誘電体メモリ、アクチュエータ、マイクロマシニングな
どのいずれとしても利用できるが、特に強誘電体メモリ
およびコンデンサのキャパシタとして有用である。
【0015】
【実施例】参考例 MOCVD法で、(111)Pt/Ti/SiO2 /S
i基板の(111)Pt上に(111)PLZTを形成
した。すなわち、Pb(OOCCH3 2 ・3H2 O,
La(C9 19COO),Zr(OCH2 CH2
3 4 ,Ti{OCH(CH3 2 4 をPb:L
a:Zr:Ti=112:15:40:60(モル比)
になるようにCH3 OC2 4 OHに溶解し、当モルの
水および酢酸にて加水分解して(Pb112 La15)(Z
40Ti60)O3 の組成を有する前駆体溶液を作成し、
これを上記基板上にスピンコートし、乾燥後、急速加熱
炉を用い700℃で1分間の熱処理を行ない、膜厚26
0nmの上記と同じ組成のPLZT膜を作成した。
【0016】比較例1 参考例の方法でPLZTを成膜した後、図2に示すよう
に、PLZT層5の上に上部電極6として直径0.3m
mφ、厚さ50nmまたは100nmのPtをメタルマ
スクを通して真空蒸着法で堆積した。図2において、1
はSi基板、2はSiO2 層、3はIrO2 層、4はP
t層(下部電極)である。
【0017】こうして作成したキャパシタを、大気圧の
酸素雰囲気中、450℃で30分間熱処理し、さらに大
気圧の3%の水素ガスを含む窒素ガス雰囲気中、203
℃で15分間熱処理した後、大気圧の酸素雰囲気中、4
50℃で30分間熱処理した。最初の酸素雰囲気処理は
膜のアニーリングのための処理であり、水素雰囲気処理
は後工程の還元処理を想定した処理であり、最後の酸素
雰囲気処理は還元処理の後の回復のためのアニーリング
処理である。
【0018】203℃の水素雰囲気処理後、Pt電極間
に電圧を印加してPLZTの強誘電特性を測定したとこ
ろ、強誘電特性は殆ど消失しており、ほとんどのPt上
部電極はここで剥離してしまった。しかし、上記の熱処
理後にPLZT層5の表面に新たにPt層6’を直径
0.3mmφ、厚さ50nmまたは100nmに蒸着し
て、この新しい上部電極6’と下部電極の間でPLZT
の強誘電特性を測定したところ、水素雰囲気処理後の酸
素雰囲気処理により、PLZTの強誘電特性は回復して
いた。
【0019】従って、水素雰囲気処理によるPLZTの
劣化は、処理中のPt上部電極の存在が原因であり、P
t上部電極から電極下部のPLZT中への水素の拡散に
基づくものであり、これに対してPLZTは水素雰囲気
処理後に再度Pt電極をつけて測定すると、PLZTの
強誘電特性はまったく劣化していない。すなわち、PL
ZT自体は水素雰囲気処理によりほとんど劣化していな
いことを確認した。
【0020】実施例1 比較例1と同様にして、だだし上部電極としてPtに代
えてCaRuO3 を以下のようにして形成した。MOC
VD法で、図3に示すコールドウォール型反応室を用
い、原料はCa(C11H19O2)2(C8H19N5)x −Ru(C11H19O2)3
または Ru[(C5H4)(C2H5)]2−O2 系とした。
【0021】Ca原料は、液体原料に、操作温度(約1
20〜130℃)のC8H19N5 を含む窒素ガスをバブリン
グして得た。C8H19N5 は液体原料のバブリングによって
得た。Ru原料は、Ru(C11H19O2)3 の固体を加熱しその
上に窒素ガスを通して得、また Ru[(C5H4)(C2H5)]2は液
体原料に窒素ガスをバブリングして得た。図3に用いた
縦型コールドウォール方式CVD装置を示す。図におい
て、縦型コールドウォール反応室11内に配置した基板12
はヒーター13で加熱可能である。原料であるCa(C11H19O
2)2(C8H19N5)x およびRu(C11H19O2)3 、およびC8H19N5
はオイル浴により所定温度に設定した容器14〜16に収容
されている。容器14はCa(C 11H19O2)2(C8H19N5)x 、容器
15はRu(C11H19O2)3 、容器16はC8H19N5 である。容器1
7、18はキャリアガスの窒素の容器、容器19は酸素の容
器である。オイル浴を20、流量計を21で示す。容器17か
らの窒素ガスは最初に容器16でC8H19N5 をバブリングし
て窒素ガス中にC8H19N5 ガスを含有させ、この混合ガス
で容器14のCa(C 11H19O2)2(C8H19N5)x をバブリングし
た。容器15のRu(C11H19O2)3 は加熱して窒素ガス中に含
有させた。これらの原料ガスを酸素ガス19と共に反応室
に送り、目的のCaRuO3 を基板上に堆積した。基板
温度は300〜750℃、堆積時間は膜厚50nmの場
合0.5時間であった。
【0022】はじめに、基板温度を変えて成膜したが、
基板温度が700℃を越えると、基板のPLZTからの
Pbの蒸発が激しくなり、得られるPLZTの特性が極
端に劣化し、750℃を越えると強誘電体特性が殆ど消
失するほどであった。そこで、以下の実験(実施例およ
び比較例)では基板温度は全て600℃とした。基板上
に堆積したCaRuO3 は組成および結晶構造は蛍光X
線分析及びX線解析により、ペロブスカイト型結晶構造
のCaRuO3 であり、Ca:Ru:Oが1:1:3で
あることを確認した。
【0023】こうして得られた強誘電体素子の特性を測
定した。また、比較例1と同様の酸素雰囲気処理、水素
雰囲気処理、酸素雰囲気処理を行い、それらの処理後の
素子特性も測定した。結果を下記に示す。 (P−E特性)素子(CaRuO3 膜厚50nm)の分
極電荷−電界特性(P−E特性)を測定した結果を図4
に示す。水素雰囲気処理後に劣化したP−E特性が、酸
素雰囲気処理により回復していることがわかる。なお、
堆積直後(a)はPt電極と同等であり、H2 処理後
(b)はPt電極より劣化が少なく、O2 処理後(c)
はほぼ完全に処理前に戻っている。
【0024】(I−V特性)素子(CaRuO3 膜厚5
0nm、100nm)の電流−電圧特性(I−V特性)
を測定した結果を図5(膜厚50nm)および図6(膜
厚100nm)に示す。比較のために、実施例と同様に
してCaRuO3 (図中CROと略記)に代えて同じ膜
厚のSrRuO3 (図中SROと略記)を形成した素子
(比較例2)のI−V特性も図5、図6に併せて示す。
水素雰囲気処理および酸素雰囲気処理を経た後のI−V
特性のいずれも、CaRuO3 の方がSrRuO3 より
優れており、特にSrRuO3 及びCaRuO3 の膜厚
が50nmのときに顕著な効果が示されている。
【0025】(疲労特性)素子に5Vの電圧を500k
Hzで印加するサイクルを繰り返した後の分極特性を測
定して、疲労特性を測定した。1010回でも疲労せず、
分極の劣化は1.7%にすぎなかった。比較例2 実施例1と同様であるが、CaRuO3 に代えてSrR
uO3 を形成した強誘電体素子を製造した。実施例1と
同様に素子特性を測定した。
【0026】結果は、P−E特性は実施例1と同様であ
り、疲労特性も同様であった。ただし、SrRuO3
用いた強誘電体素子の疲労特性は、1010回後の分極の
劣化が3.9%であった。SrRuO3 を用いた強誘電
体素子のI−V特性の結果は、比較のためにCaRuO
3 を用いた実施例1と共に図5、図6に示した。リーク
特性はCaRuO 3 (実施例1)の方が優れていること
がわかる。
【0027】参考例2 実施例1と同様のMOCVD法で、基板として単結晶L
aAlO3 を用いて、その上にCaRuO3 およびSr
RuO3 をそれぞれ膜厚50nmに形成した。得られた
膜がCaRuO3 およびSrRuO3 であることは蛍光
X線回折法で確認した。
【0028】このCaRuO3 膜およびSrRuO3
について四探針法によって抵抗率を測定した。CaRu
3 膜は200μΩcm、SrRuO3 膜は280μΩ
cmであった。また、このCaRuO3 膜およびSrR
uO3 膜について、実施例1と同様の条件にて水素雰囲
気処理およびその後の酸素雰囲気処理をし、それらの試
料について四探針法によって抵抗率を測定した。いずれ
も抵抗率は水素雰囲気処理後の酸素雰囲気処理によって
元に戻った。同様の処理を水素処理の温度を代えて行っ
たが、高温での水素処理後でもその後の酸素雰囲気処理
によってほぼ元の抵抗率に戻ったので、電極として使用
できることが確認された。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、鉛基強誘電体材料を用
いた強誘電体素子の電極として、膜厚50nm以下のC
aRuO3 を用いることより、Ptと比べて疲労寿命が
顕著に延長され、SrRuO3 と比べてリーク特性が安
定する効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】強誘電メモリデバイスの例を示す。
【図2】本発明の強誘電体素子の構造を示す。
【図3】本発明の強誘電体素子のCaRuO3 を堆積す
るためのMOCVD装置を示す。
【図4】CaRuO3 のP−E特性を示す。
【図5】膜厚50nmのCaRuO3 およびSrRuO
3 のI−V特性を示す。
【図6】膜厚100nmのCaRuO3 およびSrRu
3 のI−V特性を示す。
【符号の説明】
1…Siウェーハ 2…SiO2 3…IrO 4…Pt(下部電極) 5…PLZT 6,6’…上部電極(Pt,SrRuO3 ,CaRuO
3
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東 典行 神奈川県横浜市緑区長津田町4259 東京工 業大学内 Fターム(参考) 5F038 AC05 AC15 DF05 EZ01 EZ14 EZ20 5F083 AD14 FR03 GA02 GA06 GA21 JA15 JA38 JA42 JA43 PR12 PR21 PR34

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉛基強誘電体層を挟持する電極の少なく
    とも一方として、厚さ50nm以下のCaRuO3 層を
    用いたことを特徴とする強誘電体素子。
  2. 【請求項2】 前記鉛基強誘電体層がPZTまたはPL
    ZTであることを特徴とする請求項1記載の強誘電体素
    子。
  3. 【請求項3】 前記強誘電体素子が強誘電体メモリであ
    ることを特徴とする請求項1または2記載の強誘電体素
    子。
  4. 【請求項4】 下部電極と、下部電極上の鉛基強誘電体
    層と、鉛基強誘電体層上の上部電極を有する強誘電体素
    子の製造方法において、 下部電極および上部電極のうち少なくとも上部電極を、
    有機金属化合物化学的気相堆積法を用い、基板温度を6
    50℃以下の条件下でCaRuO3 を堆積して形成し、
    かつCaRuO3 の膜厚を50nm以下とすることを特
    徴とする強誘電体素子の製造方法。
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