JP2002012816A - 水性塗料組成物 - Google Patents

水性塗料組成物

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JP2002012816A
JP2002012816A JP2000197838A JP2000197838A JP2002012816A JP 2002012816 A JP2002012816 A JP 2002012816A JP 2000197838 A JP2000197838 A JP 2000197838A JP 2000197838 A JP2000197838 A JP 2000197838A JP 2002012816 A JP2002012816 A JP 2002012816A
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acrylic polymer
aqueous
coating composition
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JP2000197838A
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Yutaka Nakao
豊 中尾
Hiroshi Ishida
洋 石田
Takako Wada
孝子 和田
Hiroshi Miwa
宏 三輪
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Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐候性、耐水性、耐変色性、耐クラック性、
重合安定性、貯蔵安定性等の基本性能のほか、耐温水
性、造膜性、耐ブロッキング性及び耐温度変化性に優
れ、しかも、充分な耐ブロッキング性を有する水性塗料
組成物を提供する。 【解決手段】 乳化重合型アクリル重合体水性分散体を
主成分とする水性塗料組成物であって、前記乳化重合型
アクリル重合体水性分散体は、Tgが−70〜35℃で
あるアクリル重合体をコア部とし、Tgが25〜80℃
であるアクリル重合体をシェル部とする多層構造粒子が
水中に分散されてなるものであり、前記コア部の重合体
のTgは、前記シェル部の重合体のTgよりも20℃以
上低いものであり、前記コア部と前記シェル部との重量
比は、2/8〜8/2であり、前記多層構造粒子は、置
換又は無置換のシクロアルキル基含有重合性単量体
(a)5〜70重量部、炭素数1〜14のアルコキシシ
リル基含有重合性単量体(b)0.1〜10重量部、及
び、その他の重合性単量体(d)10〜94.8重量部
から得られるものである水性塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅やビル等の建
築物の外壁、内壁又は屋根、窯業用建材等の無機質建材
等に適用する水性塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】住宅、ビル等の建築物の壁面には、風雨
にさらされ日光の直射を受けながら品質や外観を維持す
るために、種々の外装用塗料が適用されている。このよ
うな塗料は、風雨に対する耐候性、耐水性、耐変色性、
基材に対する密着性等の基本性能が要請されているが、
近年、環境汚染、塗装作業上の安全や衛生等の問題から
水性化が進んでいる。
【0003】特開平6−122734号公報には、外装
用塗料用として、紫外線等による劣化に対する耐候性、
風雨に対する耐水性、冬季低温に対する耐凍結性、夏季
高温に対する耐高温性、酸性雨に対する耐酸性、基材コ
ンクリート構造物からのアルカリに対する耐アルカリ
性、これらが繰り返し起こる環境に耐える耐久性等を獲
得することを目的として、アルコキシシラン基含有重合
性単量体、シクロアルキル基含有重合性単量体よりなる
重合性単量体組成物を乳化重合して得られる水性エマル
ションが開示されている。
【0004】特開平6−313088号公報には、塗料
組成物として、耐候性、耐水性、耐変色性、耐クラック
性、重合安定性、貯蔵安定性等の獲得を目的として、シ
クロアルキル基含有重合性単量体、アルコキシシラン化
合物、鎖式アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アル
キルエステル単量体及びその他の重合性単量体を乳化重
合してなる水性樹脂分散体が開示されている。このよう
に外装用塗料については種々の研究が行われてきたが、
近年、性能向上への要請が益々顕著となり、塗膜とした
ときに物理的衝撃によってひび割れやクラックが起きに
くく一定膜厚を維持しかつ滑らかな表面となる性能(造
膜性)については、これら従来の技術では充分に実現す
ることができないものであった。
【0005】ところで、建築物の外壁や屋根は、長期間
にわたって風雨や日光に晒されることから、冬季の低温
下では収縮し、夏季の高温下では膨張することを避ける
ことができない。このような繰り返し起こる収縮と膨張
によって、クラックや剥がれが生じる問題点が近年指摘
されるようになり、環境の温度変化に追随して性能が劣
化しない性質(耐温度変化性)については、塗料の高品
質化のうえで避けることができない課題となっている。
【0006】特開平4−45169号公報には、単層弾
性エマルション塗料組成物であって、中心層のTgが−
60〜10℃、表面層のTgが0〜100℃、中間層の
Tgがこれらの間にある特定の粒子エマルションをバイ
ンダーとするものが、耐汚染性に優れ、低温下での伸び
率が大きく優れたフィルムを形成しうる旨が開示されて
いる。近年、塗料の高品質化の要請から、塗料を塗装し
たのちに外装用建材を保管しておく際に柄変化や光沢変
化を起こしたり、建材同士が密着したりして生じるブロ
ッキングを防止する耐ブロッキング性についての要請が
強く叫ばれるようになってきたが、Tg限定のコア・シ
ェル型のエマルションをバインダーとする塗料組成物で
あっても、耐ブロッキング性については解決する糸口を
みつけることができなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の現状
に鑑み、耐候性、耐水性、耐変色性、耐クラック性、重
合安定性、貯蔵安定性等の基本性能のほか、耐温水性、
造膜性、耐温度変化性に優れ、しかも、充分な耐ブロッ
キング性を有する水性塗料組成物を提供することを目的
とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、乳化重合型ア
クリル重合体水性分散体を主成分とする水性塗料組成物
であって、上記乳化重合型アクリル重合体水性分散体
は、Tgが−70〜35℃であるアクリル重合体をコア
部とし、Tgが25〜80℃であるアクリル重合体をシ
ェル部とする多層構造粒子が水中に分散されてなるもの
であり、上記コア部の重合体のTgは、上記シェル部の
重合体のTgよりも20℃以上低いものであり、上記コ
ア部と上記シェル部との重量比は、2/8〜8/2であ
り、上記多層構造粒子が、置換又は無置換のシクロアル
キル基含有重合性単量体(a)5〜70重量部、炭素数
1〜14のアルコキシシリル基含有重合性単量体(b)
0.1〜10重量部、及び、その他の重合性単量体
(d)10〜94.8重量部から得られるものことを特
徴とする水性塗料組成物である。
【0009】本発明は、また、乳化重合型アクリル重合
体水性分散体を主成分とする水性塗料組成物であって、
上記乳化重合型アクリル重合体水性分散体は、Tgが−
70〜35℃であるアクリル重合体をコア部とし、Tg
が25〜80℃であるアクリル重合体をシェル部とする
多層構造粒子が水中に分散されてなるものであり、上記
多層構造粒子は、メチルメタクリレートを主成分とする
単量体を乳化重合してTgが25〜80℃であるアクリ
ル重合体からなるシェル部を形成する第一工程ののち、
単量体を引き続き滴下して乳化重合することによりTg
が−70〜35℃であるアクリル重合体からなるコア部
を形成する第二工程により得られるものであり、上記コ
ア部の重合体のTgは、上記シェル部の重合体のTgよ
りも20℃以上低いものであり、上記コア部と上記シェ
ル部との重量比は、2/8〜8/2であることを特徴と
する水性塗料組成物である。本発明の水性塗料組成物の
他の1つとしては、上記多層構造粒子が、置換又は無置
換のシクロアルキル基含有重合性単量体(a)5〜70
重量部、炭素数1〜14のアルコキシシリル基含有重合
性単量体(b)0.1〜10重量部、炭素数1〜14の
アルコキシシラン基含有化合物(c)0.1〜10重量
部、及び、その他の重合性単量体(d)10〜94.8
重量部から得られるものであるものを挙げることができ
る。
【0010】本発明の水性塗料組成物に用いる上記乳化
重合型アクリル重合体水性分散体は、pH2〜6の水性
媒体中において乳化重合し、その後、塩基性物質を添加
することによりpH8〜10に調整することにより得ら
れるものであることが好ましい。また、本発明の水性塗
料組成物に用いる上記乳化重合型アクリル重合体水性分
散体を調製するに際して行う乳化重合は、反応性乳化剤
を用いて行うものであることが好ましく、上記反応性乳
化剤の使用量は、乳化重合に用いる単量体の総量100
重量部に対して、0.5〜5重量部であることが好まし
い。また、上記多層構造粒子の平均粒子径は、70〜3
00nmであることが好ましい。本発明の水性塗料組成
物は、更に、沸点が150〜300℃であり、酢酸ブチ
ルを100とした蒸発速度が0.1〜20である有機溶
剤を、上記多層構造粒子100重量部に対して1〜20
重量部含有することが好ましく、更に、ヒンダードアミ
ン系光安定剤を、上記多層構造粒子100重量部に対し
て0.1〜5重量部含有することが好ましい。本発明の
水性塗料組成物は、窯業用外装建材に用いられるもので
あることが好ましい。以下に本発明を詳述する。
【0011】本発明の水性塗料組成物は、乳化重合型ア
クリル重合体水性分散体を主成分とするものである。上
記乳化重合型アクリル重合体水性分散体は、多層構造粒
子が水中に分散されてなる。
【0012】上記多層構造粒子は、Tg(ガラス転移温
度)が−70〜35℃であるアクリル重合体をコア部と
する。上記コア部を構成するアクリル重合体のTgが−
70℃未満であると、上記乳化重合型アクリル重合体水
性分散体の長期安定性が低下し、35℃を超えると、得
られる塗膜の造膜性が低下し、耐温水性が悪化し、また
耐ブロッキング性が低下する。上記Tgは、好ましくは
−40〜20℃であり、より好ましくは−25〜10℃
である。
【0013】上記多層構造粒子は、更に、Tgが25〜
80℃であるアクリル重合体をシェル部とする。上記シ
ェル部を構成するアクリル重合体のTgが25℃未満で
あると、得られる塗膜の耐ブロッキング性が低下し,8
0℃を超えると、得られる塗膜の造膜性が低下し、耐温
水性が悪化する。上記Tgは、好ましくは35〜75℃
であり、より好ましくは45〜70℃である。
【0014】上記コア部の重合体のTgは、上記シェル
部の重合体のTgよりも20℃以上低いものである。上
記コア部の重合体のTgと上記シェル部の重合体のTg
との差が20℃未満であると、造膜性が低下し、耐ブロ
ッキング性が低下する。より好ましくは、40℃以上低
いものであり、更に好ましくは、60℃以上低いもので
ある。上記乳化重合型アクリル重合体水性分散体を調製
するにあたって行う乳化重合においては、当該乳化重合
は特に限定されないが、例えば、水性媒体等の存在下、
メチルメタクリレートモノマーを主成分とした親水性の
高い単量体を乳化重合して、Tgが25〜80℃である
アクリル重合体からなる上記シェル部を形成させ(第一
工程)、その後、上記シェル部用の重合体よりも疎水性
が高い重合体を形成しうる単量体を滴下して、上記第一
工程で形成したシェル部の内部に供給し、乳化重合して
Tgが−70〜35℃であるアクリル重合体からなる上
記コア部を形成させ(第二工程)、これらの工程を経る
ことにより、上記乳化重合型アクリル重合体水性分散体
を得ることができる。このように、コア部を形成する際
にはシェル部より疎水性が高い単量体を用いることによ
り、先に形成したシェル部の内部に単量体が侵入しやす
くなり、このことにより、本発明の目的にかなった理想
とする多層構造粒子を得ることができる。
【0015】上記コア部及び上記シェル部を構成する重
合体のTgは、上記コア部及び上記シェル部のそれぞれ
を形成する各単量体の重量分率を、各単量体から誘導さ
れる単独重合体のTg(K:ケルビンで表す。)値で割
ることによって得られるそれぞれの商の合計の逆数とし
て計算することができる。
【0016】上記コア部と上記シェル部との重量比は、
2/8〜8/2である。上記コア部と上記シェル部との
重量比が2/8未満であると、得られる塗膜の造膜性が
低下し、耐温水性が悪化し、8/2を超えると、得られ
る塗膜の耐ブロッキング性が低下する。好ましくは3/
7〜7/3であり、更に好ましくは5/5〜7/3であ
る。
【0017】上記多層構造粒子は、置換又は無置換のシ
クロアルキル基含有重合性単量体(a)から得られるも
のである。上記シクロアルキル基は、炭素数4〜20を
有するものであれば特に限定されない。上記シクロアル
キル基が置換されているものである場合は、上記置換基
は炭素数1〜4の直鎖状又は分枝状の炭化水素基であれ
ば特に限定されず、更にヒドロキシル基等により置換さ
れていてもよい。
【0018】本発明において重合性単量体とは、分子中
にビニル基等の不飽和結合を少なくとも1つ有するもの
をいい、アクリル酸やメタアクリル酸の誘導体を含む。
上記シクロアルキル基含有重合性単量体(a)を含有す
ると、得られる塗膜に優れた耐候性、耐変色性、耐加水
分解性、耐クラック性、耐水性、光沢及び光沢保持性を
与えることができるほか、他の成分と協同して優れた造
膜性、耐ブロッキング性及び耐温度変化性をも与えるこ
とができる。
【0019】上記シクロアルキル基含有重合性単量体
(a)としては特に限定されず、例えば、シクロペンチ
ル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アク
リレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレー
ト、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロデシ
ル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アク
リレート等を挙げることができる。これらは1種類又は
2種類以上を混合して使用することができる。これらの
うち、特に、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及び
メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートが好まし
い。本明細書中(メタ)アクリレートとは、アクリレー
ト又はメタアクリレートを指す。
【0020】上記シクロアルキル基含有重合性単量体
(a)は、上記多層構造粒子中5〜70重量部含有され
る。上記多層構造粒子中上記シクロアルキル基含有重合
性単量体(a)が5重量部未満であると、得られる塗膜
の耐候性が低下し、70重量部を超えると、得られる塗
膜の造膜性が低下し、耐温水性も悪化する。好ましくは
10〜65重量部であり、より好ましくは20〜55重
量部である。
【0021】上記多層構造粒子は、更に、炭素数1〜1
4のアルコキシシリル基含有重合性単量体(b)から得
られるものである。上記炭素数1〜14のアルコキシシ
リル基を構成する珪素原子には、炭素数1〜14のアル
コキシル基が1〜3個結合することができる。上記アル
コキシル基は、特に酸性の環境において加水分解されて
シラノール基を形成しやすい。上記シラノール基が脱水
結合することによりシロキサン結合を形成して架橋した
り高分子量化したりするので、得られる塗膜の造膜性、
耐ブロッキング性及び耐温度変化性が著しく向上し、特
に、優れた耐候性、耐温水性が得られる。
【0022】上記アルコキシシリル基含有重合性単量体
(b)は、少なくとも1個のビニル基等の重合性の不飽
和結合を含有する炭化水素基が、上記アルコキシシリル
基を構成する珪素原子に上記アルコキシル基とは別に少
なくとも1個結合してなる。上記不飽和結合を有するた
め、上記アルコキシシリル基含有重合性単量体(b)は
付加重合による高分子量化にも寄与することができ、上
記シロキサン結合による効果に加えて、得られる塗膜の
造膜性、耐ブロッキング性及び耐温度変化性を著しく向
上させる。
【0023】上記アルコキシシリル基含有重合性単量体
(b)は、炭素数1〜14のアルコキシシリル基を含有
する重合性単量体であれば特に限定されず、例えば、ト
リメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリ
エトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリブ
トキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、ジメトキ
シメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、メトキ
シジメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビ
ニルジメトキシメチルシラン、ビニルメトキシジメチル
シラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン
等を挙げることができる。これらは1種類又は2種類以
上を混合して使用することができる。これらのうち、特
に、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレー
ト、トリエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレー
ト、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ランが好ましい。
【0024】上記アルコキシシリル基含有重合性単量体
(b)は、上記多層構造粒子中0.1〜10重量部含有
される。上記多層構造粒子中上記アルコキシシリル基含
有重合性単量体(b)が0.1重量部未満であると、シ
ロキサン結合に基づく架橋や高分子量化が不充分とな
り、得られる塗膜の耐候性が低下し、10重量部を超え
ると、重合時の安定生産が困難となる。好ましくは0.
5〜8重量部であり、より好ましくは1〜7重量部であ
る。
【0025】上記多層構造粒子は、また、その他の重合
性単量体(d)から得られるものである。上記その他の
重合性単量体(d)としては、分子中に少なくとも1つ
の不飽和結合を有する単量体であれば特に限定されず、
例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタ
コン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸単量体;アクリ
ル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エ
チルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチル
ヘキシル等のエチレン系不飽和カルボン酸アルキルエス
テル単量体;マレイン酸エチル、マレイン酸ブチル、イ
タコン酸エチル、イタコン酸ブチル等のエチレン系不飽
和ジカルボン酸のモノエステル単量体;アクリル酸2−
ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピ
ル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2
−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロ
ピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル
酸2−ヒドロキシエチルとεカプロラクトンとの反応物
等のヒドロキシル基含有エチレン系不飽和カルボン酸ア
ルキルエステル単量体;アミノエチルアクリレート、ジ
メチルアミノエチルアクリレート、ブチルアミノエチル
アクリレート等のエチレン系不飽和カルボン酸アミノア
ルキルエステル単量体;アミノエチルアクリルアミド、
ジメチルアミノメチルメタクリルアミド、メチルアミノ
プロピルメタクリルアミド等のエチレン系不飽和カルボ
ン酸アミノアルキルアミド単量体;アクリルアミド、メ
タクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メト
キシブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド
等のその他のアミド基含有エチレン系不飽和カルボン酸
単量体;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジ
ル等の不飽和脂肪酸グリシジルエステル単量体;(メ
タ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル等
のシアン化ビニル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル等の飽和脂肪族カルボン酸ビニルエステル単量
体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等
のスチレン系単量体等を挙げることができる。これらは
1種類又は2種類以上を混合して使用することができ
る。
【0026】これらのうち、アクリル酸n−ブチル、ア
クリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、ス
チレンが好ましい。
【0027】上記その他の重合性単量体(d)は、上記
多層構造粒子中10〜94.8重量部含有される。上記
多層構造粒子中上記その他の重合性単量体(d)が10
重量部未満では、上記コア部又は上記シェル部を構成す
るアクリル重合体のTgを上記の範囲に調整することが
困難となり、94.8重量部を超えると、上記シクロア
ルキル基含有重合性単量体(a)及び上記アルコキシシ
リル基含有重合性単量体(b)の含有量が少なくなっ
て、本発明の目的を充分に達成することができない。好
ましくは19〜89重量部であり、より好ましくは31
〜78重量部である。
【0028】上記多層構造粒子は、更に、炭素数1〜1
4のアルコキシシラン基含有化合物(c)からなるもの
であってもよい。上記アルコキシシラン基含有化合物
(c)を含むと、得られる塗膜に優れた耐候性、耐水
性、光沢保持性、及び、無機質基材に対する密着性等の
塗料としての優れた基本性能を与えることができるほ
か、造膜性、耐温度変化性、更には、本発明の課題であ
る耐ブロッキング性をも付与することができる。これら
の特性は上記アルコキシシラン基含有化合物(c)を含
有しない場合においても優れているが、上記アルコキシ
シラン基含有化合物(c)を含有する場合であっても、
同様の効果を得ることができる。
【0029】上記アルコキシシラン基含有化合物(c)
は、炭素数1〜14のアルコキシル基を有するアルコキ
シシラン基を含有する化合物であれば特に限定されず、
上記炭素数1〜14のアルコキシル基は直鎖状又は分枝
状であってもよい。また、上記アルコキシル基は上記ア
ルコキシシラン基を構成する珪素原子に1〜4個結合し
ていてもよい。本発明において上記アルコキシシラン基
含有化合物(c)は、上記アルコキシシリル基含有重合
性単量体(b)とは異なり、化合物中にビニル基等の重
合性の不飽和結合を有しない。
【0030】上記アルコキシシラン基含有化合物(c)
としては特に限定されず、例えば、テトラメトキシシラ
ン、トリメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシ
ラン、メトキシトリメチルシラン、テトラエトキシシラ
ン、トリエトキシエチルシラン、ジエトキシジエチルシ
ラン、エトキシトリエチルシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメ
トキシシラン等を挙げることができる。これらは1種類
又は2種類以上を混合して使用することができる。これ
らのうち、テトラメトキシシラン、トリメトキシメチル
シラン、ジメトキシジメチルシラン、メトキシトリメチ
ルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ンが特に好ましい。
【0031】上記アルコキシシラン基含有化合物(c)
は、上記多層構造粒子中に0.1〜10重量部含有する
ことができる。上記多層構造粒子中上記アルコキシシラ
ン基含有化合物(c)が0.1重量部未満であると、シ
ロキサン結合に基づく架橋ないし高分子量化が不充分と
なって、得られる塗膜の耐候性が低下しやすく、10重
量部を超えると、重合時の安定生産が困難となる。好ま
しくは、0.5〜8重量部であり、より好ましくは1〜
7重量部である。本発明においては、上記多層構造粒子
は、上記で説明したそれぞれの単量体以外の成分を含む
ものであってもよい。
【0032】上記多層構造粒子の平均粒子径は、70〜
300nmであることが好ましい。上記多層構造粒子の
平均粒子径が70nm未満であると、上記多層構造粒子
が上記コア部及び上記シェル部とからなるという形態を
形成することが困難となり、300nmを超えると、上
記乳化重合型アクリル重合体水性分散体における上記多
層構造粒子の分散性が悪くなる。より好ましくは80〜
250nmであり、更に好ましくは100〜200nm
である。後述する範囲内で乳化剤の種類や量を選択する
ことにより、このような平均粒子径とすることができ
る。
【0033】本発明の水性塗料組成物に用いる乳化重合
型アクリル重合体水性分散体は、バッチ重合、モノマー
滴下重合、乳化モノマー滴下重合等の通常の乳化重合法
を適宜選択して製造することができる。特に、乳化モノ
マー滴下重合が、製造時の安定性を確保する上で好適で
ある。
【0034】上記乳化重合型アクリル重合体水性分散体
を調製するに際して行う乳化重合においては、上記にお
いて既に説明した調製方法のほか、水性媒体等の存在
下、単量体を乳化重合してTgが−70〜35℃である
アクリル重合体からなる上記コア部を形成し、その後、
単量体を乳化重合してTgが25〜80℃であるアクリ
ル重合体からなる上記シェル部を形成することにより、
上記多層構造粒子が水中に分散されてなる上記乳化重合
型アクリル重合体水性分散体を得ることができる。
【0035】上記乳化重合型アクリル重合体水性分散体
を調製するに際して行う乳化重合は、乳化剤を用いて行
うことができる。上記乳化剤としては特に限定されず、
通常の乳化剤、例えば、分子中にビニル基等の重合性の
不飽和結合を有しない非反応性乳化剤、及び/又は、分
子中にビニル基等の重合性の不飽和結合を有する反応性
乳化剤を使用することができる。上記非反応性乳化剤と
しては特に限定されず、例えば、ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル
硫酸アンモニム、ジフェニルエーテルスルホン酸ナトリ
ウム、ポリオキシエチレンアルキルエステル等を挙げる
ことができる。上記反応性乳化剤としては特に限定され
ず、例えば、アクアロンHS−10等のアクアロンHS
シリーズ(第一工業製薬社製)、アクアロンRNシリー
ズ(第一工業製薬社製)、エレミノールJS−2(三洋
化成工業社製)等を挙げることができる。これらは1種
類又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0036】上記反応性乳化剤は、分子中にビニル基等
の重合性の不飽和結合、及び、親水性基を有する、水可
溶性モノマーであり、通常の乳化剤が生成粒子表面に吸
着するだけであるのに対し、重合過程においてポリマー
の一成分として生成粒子に組み込まれるため、造膜後、
水により乳化剤がポリマーから遊離しないという特徴を
有する。従って、このような反応性乳化剤を使用した水
性塗料組成物は、その安定性が向上する。本発明におい
ては、得られる水性塗料組成物の安定性及び得られる塗
膜の耐温水性の点から、上記反応性乳化剤が特に好まし
く、例えば、アクアロンHS−10等のアクアロンHS
シリーズ(第一工業製薬社製)又はエレミノールJS−
2(三洋化成工業社製)を好適に使用することができる
が、非反応性乳化剤であるラウリル硫酸アンモニムを好
適に使用することもできる。
【0037】上記反応性乳化剤の使用量は、上記乳化重
合型アクリル重合体水性分散体を調製するに際して行う
乳化重合に用いる重合性単量体の総量100重量部に対
して、0.5〜5重量部であることが好ましい。上記重
合性単量体の総量中の上記反応性乳化剤の使用量が0.
5重量部未満では、得られる乳化重合型アクリル重合体
水性分散体の安定性が悪化しやすく、5重量部を超える
と、得られる塗膜の耐温水性が低下しやすい。より好ま
しくは1〜4.5重量部であり、更に好ましくは1.5
〜4重量部である。
【0038】上記乳化剤は、上記コア部若しくは上記シ
ェル部の何れか、又は、上記コア部及び上記シェル部の
両方に添加することができる。得られる乳化重合型アク
リル重合体水性分散体の分散性が一層向上するので、上
記乳化剤は上記シェル部に添加することが好ましい。
【0039】上記乳化重合型アクリル重合体水性分散体
を調製するに際して行う乳化重合は、重合開始剤を用い
て行うことができる。上記重合開始剤は、熱又は還元性
物質等によりラジカルを生成して単量体を付加重合させ
るものであり、水溶性重合開始剤又は油溶性重合開始剤
を使用することができる。
【0040】上記水溶性重合開始剤としては特に限定さ
れず、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウ
ム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩系開始剤、又は、過酸
化水素等の無機系開始剤等を挙げることができる。これ
らは1種類又は2種類以上を混合して使用することがで
きる。
【0041】上記油溶性重合開始剤としては特に限定さ
れず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル
パーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキ
サイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエ
ート)、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチ
ルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の
有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニト
リル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジ
メチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−シクロ
ヘキサン−1−カルボニトリル等のアゾビス化合物等を
挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上を
混合して使用することができる。
【0042】本発明においては、上記乳化重合を主とし
て水性媒体中で行うため上記水溶性重合開始剤を使用す
ることが好ましく、例えば、過硫酸アンモニウムを好適
に使用することができる。上記水溶性重合開始剤又は上
記油溶性重合開始剤には、亜硫酸ナトリウム、塩化第一
鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤を併用
することもでき、これにより、乳化重合速度を促進した
り、低温における乳化重合をも行うことが容易になる。
【0043】上記乳化重合型アクリル重合体水性分散体
を調製するに際して行う乳化重合は、水性媒体を用いて
行うことができる。上記水性媒体としては特に限定され
ず、例えば、水、又は、メタノール、エタノール、1−
プロパノール、2−プロパノール若しくは1−ブタノー
ル等のアルコールと水との混合系を使用することができ
る。
【0044】上記乳化重合型アクリル重合体水性分散体
には、その他必要に応じて公知の添加物である重合度調
整剤、粒子径調整剤、増粘剤、粘性調整剤、充填剤、分
散剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、凍結防止
剤、防藻剤、防腐剤、消泡剤等を添加してもよい。
【0045】上記乳化重合型アクリル重合体水性分散体
を調製するに際して行う乳化重合は、好ましくはpH2
〜6の水性媒体中において行う。上記水性媒体のpHが
2未満では、酸性が強すぎて反応容器内部の腐食を促進
し取り扱いに不便を来たし、6を超えると、上記アルコ
キシシリル基又は上記アルコキシシラン基の加水分解反
応性が劣り架橋が充分ではなくなるため、得られる乳化
重合型アクリル重合体水性分散体の貯蔵安定性を長期間
維持しにくく、得られる塗膜の耐温水性が悪化する。よ
り好ましくはpH2.5〜5.5であり、更に好ましく
はpH3〜5である。
【0046】上記乳化重合型アクリル重合体水性分散体
を調製するに際して行う乳化重合の後、得られる反応溶
液をpH7〜10に調整することが好ましい。これによ
り、得られる乳化重合型アクリル重合体水性分散体に含
有されるカルボキシル基が中和され、架橋構造もしっか
りしたものとなり、長期間貯蔵しても分散する粒子が凝
集することなく安定性に優れた分散体が得られるため、
造膜性に優れた水性塗料組成物を得ることができる。よ
り好ましくはpH8〜10、更に好ましくはpH8.5
〜9.5に調整する。このようなpHの調整は、塩基性
物質を添加することにより行うことができる。
【0047】上記塩基性物質としては特に限定されず、
例えば、アンモニア、トリブチルアミン、トリエチルア
ミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミ
ン、メチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチル
モルホリン、アミノメチルプロパノール等のアミン化合
物、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属化合物等を
挙げることができる。これらは1種類又は2種類以上を
混合して使用することができる。これらのうち、本発明
のおいては、耐温水性の点から、アミン化合物が好まし
い。
【0048】本発明の水性塗料組成物は、上記の乳化重
合型アクリル重合体水性分散体の他に、必要に応じて、
顔料、添加剤、造膜助剤、増粘剤、防腐剤、防かび剤、
消泡剤、光安定剤等を含むことができる。
【0049】本発明の水性塗料組成物は、上記造膜助剤
として、沸点が150〜300℃であり、酢酸ブチルを
100とした蒸発速度が0.1〜20である有機溶剤
を、上記多層構造粒子100重量部に対して1〜20重
量部含有することが好ましい。これにより、低温又は短
時間における造膜性を向上することができる。上記有機
溶剤は、より好ましくは、沸点が170〜270℃であ
り、酢酸ブチルを100とした蒸発速度が0.5〜17
である。更に好ましくは、沸点が200〜250℃であ
り、酢酸ブチルを100とした蒸発速度が1〜15であ
る。
【0050】上記有機溶剤としては、上記の性質を有す
るものであれば特に限定されず、例えば、エチレングリ
コールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエ
チルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレ
ングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレン
グリコールジブチルエーテル、2,2,4−トリメチル
ペンタン−1,3−ジオールモノイソブチレート等を挙
げることができる。これらは1種類又は2種類以上を混
合して使用することができる。これらのうち、エチレン
グリコールモノエチルエーテルが特に好ましい。
【0051】本発明の水性塗料組成物は、耐候性の観点
から、光安定剤としてヒンダードアミン系光安定剤を含
有することができる。上記ヒンダードアミン系光安定剤
としては特に限定されず、例えば、サノールLS292
(三共社製)、チヌビン123、チヌビン144(以
上、チバ社製)、アデカLA−62、アデカLA−63
P、アデカLA−67、アデカLA−503(以上、旭
電化社製)等を挙げることができる。これらは1種類又
は2種類以上を混合して使用することができる。これら
のうち、サノールLS292(三共社製)が特に好まし
い。
【0052】上記ヒンダードアミン系光安定剤は、上記
多層構造粒子100重量部に対して0.1〜5重量部含
有することが好ましい。より好ましくは0.5〜4.5
重量部、更に好ましくは1〜4重量部である。これら
は、使用目的に応じて適宜選択することができる。
【0053】本発明の水性塗料組成物は、耐候性の観点
から、紫外線吸収剤を含むことができる。上記紫外線吸
収剤としては特に限定されず、例えば、シーソープ10
3(白石カルシウム社製)、チヌビン900、チヌビン
1130、チヌビン384、チヌビン327(以上、チ
バ社製)等を挙げることができる。これらは1種類又は
2種類以上を混合して使用することができる。
【0054】上記紫外線吸収剤は、上記多層構造粒子1
00重量部に対して0.1〜5重量部含有することが好
ましい。より好ましくは0.5〜4.5重量部、更に好
ましくは1〜4重量部である。これらは、使用目的に応
じて適宜選択することができる。
【0055】本発明の水性塗料組成物を塗布する基材と
しては特に限定されず、例えば、金属基材、プラスチッ
ク基材、無機材料基材等を挙げることができる。上記金
属基材としては特に限定されず、例えば、アルミニウム
板、鉄板、亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム亜鉛メッキ鋼
板、ステンレス板、ブリキ板等を挙げることができる。
上記プラスチック基材としては、アクリル板、ポリ塩化
ビニル板、ポリカーボネート板、ABS板、ポリエチレ
ンテレフタレート板、ポリオレフィン板等を挙げること
ができる。上記無機材料基材としては、JIS A 5
422、JISA 5430等に記載された窯業系基
材、ガラス基材等を挙げることができる。これらのう
ち、本発明においては、無機材料基材、特に、住宅やビ
ル等の建築物の内壁若しくは外壁等の壁面又は屋根、窯
業用建材、コンクリート、ALC、その他の無機質建材
が好ましく、窯業用建材がより好ましい。
【0056】上記基材は、密着性向上や防錆性付与のた
めに表面処理が施されていてもよい。また、上記基材に
は、下塗り塗料(シーラー)、又は、下塗り塗料と中塗
り塗料とが塗装されていてもよく、基材の裏面には、裏
面塗料が塗装されていてもよい。これらは、使用目的に
応じて適宜選択することができる。
【0057】本発明の水性塗料組成物を塗布する方法は
特に限定されず、例えば、浸漬、刷毛、ローラー、ロー
ルコーター、エアースプレー、エアレススプレー、カー
テンフローコーター、ローラーカーテンコーター、ダイ
コーター等の一般に用いられている塗布方法等を挙げる
ことができる。これらは基材の用途に応じて適宜選択す
ることができる。
【0058】本発明の水性塗料組成物は、通常、上記基
材に対して、乾燥膜厚で5〜350μmとなるように塗
装することができ、より好ましくは、20〜300μm
である。本発明の水性塗料組成物は、塗布した後、50
〜150℃の乾燥温度で、約1〜30分間乾燥すること
により、塗膜を形成することができる。
【0059】本発明の水性塗料組成物は、上述のよう
に、耐加水分解性、耐光変色性等に優れたシクロアルキ
ル基を含有するとともに、アルコキシシリル基に基づく
内部架橋構造を有するため、吸水率が低減し、耐水性に
優れた塗膜を得ることができ、例えば、得られた塗膜の
40℃、72時間における吸水率を20%以下に抑える
ことができる。また、本発明の水性塗料組成物は、上記
のようにシクロアルキル基及びアルコキシシリル基を含
有するため、得られた塗膜は耐温水性、耐候性に優れた
ものである。
【0060】更に、本発明の水性塗料組成物は、上述の
ように、Tgが−70〜35℃であるアクリル重合体を
コア部とする多層構造粒子が水中に分散されてなる乳化
重合型アクリル重合体水性分散体を主成分とするため、
塗装後の乾燥時にクラックを生じることなく均一な塗膜
が得られる等の造膜性に優れる。また、本発明の水性塗
料組成物は、上述のように、Tgが25〜80℃である
アクリル重合体をシェル部とする多層構造粒子が水中に
分散されてなる乳化重合型アクリル重合体水性分散体を
主成分とするため、塗装した基材を積載し、長期間貯蔵
する場合においても、塗装基材間の密着、擦れ、柄変化
を起こす等の損傷がなく、耐ブロッキング性が良好であ
る。
【0061】更に、本発明の水性塗料組成物は、上述の
ように特定構造の乳化重合型アクリル重合体水性分散体
を使用するため、得られる塗膜の低温域と高温域との間
の物性変化を低減することができる。特に、伸び率、及
び、抗張力や引っ張り強さは、ともに温度変化に追随し
た変化が非常に小さいため、得られる塗膜の温度依存性
を低減することができ、かつ、耐温水性や耐候性が良好
となる。従来の水性塗料組成物の塗膜の伸び率及び抗張
力は、温度変化に従い大きく変化する。本発明の水性塗
料組成物が有する伸び率及び抗張力については塗料に関
して従来認識されておらず、また、伸び率及び抗張力の
温度追随性が低い場合に塗膜の耐候性等の特性が向上す
るという事実についても従来認識されていなかった。本
発明の水性塗料組成物から得られる塗膜は、例えば、4
0℃における塗膜の伸び率(%)から20℃における塗
膜の伸び率(%)を差し引いたものである塗膜伸び率
(%)が150%以内に抑えられ、かつ、20℃におけ
る塗膜の抗張力から40℃における塗膜の抗張力を差し
引いた値は30Kgf/cm2 以内となる。本発明の水
性塗料組成物から得られる塗膜は、極めて良好な耐候
性、耐水性、耐変色性、耐クラック性、重合安定性、貯
蔵安定性等の基本性能のほか、造膜性、耐ブロッキング
性及び耐温度変化性を有していて、住宅やビル等の建築
物の内壁若しくは外壁等の壁面又は屋根、窯業用建材、
コンクリート、その他の無機質建材等の上塗り塗料に好
適である。本発明の水性塗料組成物は、特に窯業用外装
建材として用いることが好ましく、このような窯業用外
装建材用の水性塗料組成物もまた、本発明の重要な実施
形態の一つである。
【0062】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるも
のではない。 (乳化重合型アクリル重合体水性分散体の製造) 製造例1 水性分散体Aの製造 反応容器に脱イオン水50重量部及び反応性乳化剤とし
てアクアロンHS10(第一工業製薬社製)0.5重量
部を入れ、内容物温度を85℃とした。その中にメチル
メタクリレート20重量部、スチレン5重量部、ブチル
アクリレート5重量部、アクリル酸0.5重量部、脱イ
オン水20重量部及びアクアロンHS10(第一工業製
薬社製)0.3重量部からなるプレ乳化液と、水溶性重
合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1重量部、及
び、脱イオン水10重量部からなる重合開始剤水溶液を
2時間で滴下し、シェル部を製造した。乳化重合中、重
合反応液のpHは3.0に保った。その後、シクロヘキ
シルメタアクリレート20重量部、ブチルアクリレート
20重量部、2−エチルヘキシルアクリレート20重量
部、メチルメタクリレート10重量部、アクリル酸1.
0重量部、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート
3重量部、脱イオン水40重量部及びアクアロンHS1
0(第一工業製薬社製)1.0重量部からなるプレ乳化
液と、過硫酸アンモニウム0.2重量部及び脱イオン水
10重量部からなる重合開始剤水溶液を2時間で滴下
し、更に3時間攪拌を継続して、コア部を製造した。反
応温度を30℃まで冷却し、10%アンモニア水を5.
5重量部添加して、pHを8.5とし、不揮発分濃度4
5%の水性分散体Aを得た。
【0063】製造例2〜9 水性分散体B〜Iの製造 表1の単量体、重合開始剤、乳化剤を使用して、製造例
1と同様にして水性分散体B〜Iを得た。
【0064】製造例10 比較用の水性分散体Jの製造 トリメトキシシリルプロピルメタクリレート3重量部を
添加しないほかは、製造例1と同様にして水性分散体J
を得た。
【0065】製造例11 比較用の水性分散体Kの製造 反応容器に脱イオン水50重量部及び反応性乳化剤とし
てアクアロンHS10(第一工業製薬社製)0.5重量
部を入れ、内容物温度を85℃とした。その中にシクロ
ヘキシルメタアクリレート20重量部、ブチルアクリレ
ート20重量部、2−エチルヘキシルアクリレート20
重量部、メチルメタクリレート30重量部、スチレン1
0重量部、アクリル酸1.5重量部、トリメトキシシリ
ルプロピルメタクリレート3重量部、脱イオン水60重
量部及びアクアロンHS10(第一工業製薬社製)1.
3重量部からなるプレ乳化液と、水溶性重合開始剤とし
て過硫酸アンモニウム0.3重量部、及び、脱イオン水
20重量部からなる重合開始剤水溶液を4時間で滴下し
た。更に3時間攪拌を継続した。乳化重合中、重合反応
液のpHは2.8に保った。反応温度を30℃まで冷却
し、10%アンモニア水を8.5重量部添加して、pH
を8.5とし、不揮発分濃度45%の水性分散体Kを得
た。
【0066】製造例12 比較用の水性分散体Lの製造 反応容器に脱イオン水50重量部及び反応性乳化剤とし
てアクアロンHS10(第一工業製薬社製)0.5重量
部を入れ、内容物温度を85℃とした。その中にメチル
メタクリレート20重量部、スチレン5重量部、ブチル
アクリレート5重量部、アクリル酸0.5重量部、脱イ
オン水20重量部及びアクアロンHS10(第一工業製
薬社製)0.3重量部からなるプレ乳化液と、水溶性重
合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1重量部、及
び、脱イオン水10重量部からなる重合開始剤水溶液を
2時間で滴下し、シェル部を製造した。乳化重合中、重
合反応液のpHは3.0に保った。その後、シクロヘキ
シルメタアクリレート20重量部、ブチルアクリレート
10重量部、メチルメタクリレート40重量部、アクリ
ル酸1重量部、トリメトキシシリルプロピルメタクリレ
ート3重量部、脱イオン水40重量部及びアクアロンH
S10(第一工業製薬社製)1.0重量部からなるプレ
乳化液と、過硫酸アンモニウム0.2重量部及び脱イオ
ン水10重量部からなる重合開始剤水溶液を2時間で滴
下し、更に3時間攪拌を継続して、コア部を製造した。
反応温度を30℃まで冷却し、10%アンモニア水を
5.5重量部添加して、pHを8.5とし、不揮発分濃
度45%の水性分散体Lを得た。
【0067】製造例13 比較用の水性分散体Mの製造 反応容器に脱イオン水50重量部及び反応性乳化剤とし
てアクアロンHS10(第一工業製薬社製)0.5重量
部を入れ、内容物温度を85℃とした。その中にメチル
メタクリレート15重量部、2−エチルヘキシルアクリ
レート15重量部、アクリル酸0.5重量部、脱イオン
水20重量部及びアクアロンHS10(第一工業製薬社
製)0.3重量部からなるプレ乳化液と、水溶性重合開
始剤として過硫酸アンモニウム0.1重量部、及び、脱
イオン水10重量部とからなる重合開始剤水溶液を2時
間で滴下し、シェル部を製造した。乳化重合中、重合反
応液のpHは3.0に保った。その後、シクロヘキシル
メタアクリレート20重量部、ブチルアクリレート20
重量部、2−エチルヘキシルアクリレート20重量部、
メチルメタクリレート10重量部、アクリル酸1重量
部、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート3重量
部、脱イオン水40重量部及びアクアロンHS10(第
一工業製薬社製)1.0重量部からなるプレ乳化液と、
過硫酸アンモニウム0.2重量部及び脱イオン水10重
量部からなる重合開始剤水溶液を2時間で滴下し、更に
3時間攪拌を継続して、コア部を製造した。反応温度を
30℃まで冷却し、10%アンモニア水を5.5重量部
添加して、pHを8.5とし、不揮発分濃度45%の水
性分散体Mを得た。
【0068】製造例14 比較用の水性分散体Nの製造 反応容器に脱イオン水50重量部及び反応性乳化剤とし
てアクアロンHS10(第一工業製薬社製)0.5重量
部を入れ、内容物温度を85℃とした。その中にメチル
メタクリレート20重量部、スチレン5重量部、ブチル
アクリレート5重量部、アクリル酸0.5重量部、脱イ
オン水20重量部及びアクアロンHS10(第一工業製
薬社製)0.3重量部からなるプレ乳化液と、水溶性重
合開始剤として過硫酸アンモニウム0.1重量部、及
び、脱イオン水10重量部からなる重合開始剤水溶液を
2時間で滴下し、シェル部を製造した。乳化重合中、重
合反応液のpHは3.0に保った。その後、スチレン2
0重量部、ブチルアクリレート20重量部、2−エチル
ヘキシルアクリレート20重量部、メチルメタクリレー
ト10重量部、アクリル酸1.0重量部、トリメトキシ
シリルプロピルメタクリレート3重量部、脱イオン水4
0重量部及びアクアロンHS10(第一工業製薬社製)
1.0重量部からなるプレ乳化液と、過硫酸アンモニウ
ム0.2重量部及び脱イオン水10重量部からなる重合
開始剤水溶液を2時間で滴下し、更に3時間攪拌を継続
して、コア部を製造した。反応温度を30℃まで冷却
し、10%アンモニア水を5.5重量部添加して、pH
を8.5とし、不揮発分濃度45%の水性分散体Nを得
た。
【0069】(多層構造粒子の平均粒子径の測定)上記
により得られた水性分散体A〜Nのそれぞれについて、
多層構造粒子の平均粒子径を大塚電子社製ELS−80
0粒子径測定装置により、測定した。結果を表1に示
す。
【0070】
【表1】
【0071】(水性塗料組成物の製造及び塗膜の形成) 実施例1 顔料分散剤としてBKY190(ビックケミ社製)3重
量部、白色塗料用の顔料として酸化チタン(商品名:チ
タンCR−97、石原産業社製)50重量部、沈降性硫
酸バリウム40重量部、脱イオン水20重量部からなる
チタン白分散ペーストに製造例1により得られた水性分
散体Aを250重量部混合し、更に、ヒンダードアミン
系光安定剤としてサノールLS292(三共社製)1重
量部、造膜助剤としてテキサノール(イーストマン社
製、沸点が255℃であり酢酸ブチルを100として蒸
発速度が0.2である有機溶剤)6重量部、及び、脱イ
オン水140重量部を添加し、水性塗料組成物を得た。
次いで、上記により得られた水性塗料組成物に、NK2
カップで40秒となるように増粘剤としてASE−60
(ローム&ハース社製)を添加し、シーラーを塗装した
フラット板(宇部ボード社製)に乾燥膜厚50μmとな
るようにスプレー塗装により塗装し、100℃で10分
間乾燥させて、塗膜を形成した。但し、後述する造膜性
についての評価を行う場合には、塗布量は上記に代えて
この評価方法に従う。
【0072】実施例2〜9 水性分散体Aの代わりに水性分散体B〜Iを使用するほ
かは、実施例1と同様にして水性塗料組成物を製造し、
塗膜を形成した。
【0073】比較例1〜5 水性分散体Aの代わりに比較用の水性分散体J〜Nを使
用するほかは、実施例1と同様にして比較用の水性塗料
組成物を製造し、塗膜を形成した。
【0074】(評価方法)実施例1〜9、比較例1〜5
により得られた塗膜それぞれについて、以下の評価を行
った。その結果を表2に示す。 1.耐温水性 塗膜を有する上記フラット板を40℃の温水に浸漬し、
20日後の塗膜外観を目視評価した。 ○ 全く異常なし。 △ 光沢が低下した。 × 白化及び膨れが発生した。
【0075】2.耐候性 塗膜を有する上記フラット板を岩崎電気製アイスーパー
UVテスターで促進試験(4時間照射、4時間湿潤)を
実施し、試験時間800時間後の塗膜の外観について、
光沢保持率をデジタル変角光沢計(スガ試験機社製)に
より評価し、色差をSMカラーコンピーター色差計モデ
ルSM−5(スガ試験機社製)により評価しΔEをもっ
て示した。 ○ 光沢保持率80%以上、色差ΔE3未満。 △ 光沢保持率50%以上80%未満、色差ΔE3以上
6未満。 × 光沢保持率50%未満、色差ΔE6以上。
【0076】3.造膜性 シーラーを塗装したフラット板(宇部ボード社製)に、
実施例1〜9、比較例1〜4において得られた塗料を、
塗布量を変えてスプレー塗装により塗装し、100℃で
10分間乾燥させ、目視によりクラックが発生する場合
の塗布量を評価した。 ○ 塗布量 200g/m2 以上。 △ 塗布量 150g/m2 以上200g/m2 未満。 × 塗布量 150g/m2 未満。
【0077】4.耐ブロッキング性 塗膜を有する上記フラット板2枚の間にOHPシート1
枚を挟み、ブロッキングテスターを用いて50℃で1t
/m2 の圧力を10分間かけ、塗膜の光沢外観変化を目
視で評価した。 ○ 外観変化なし。 △ 光沢が変化した。 × OHPシートが塗膜に付着した。
【0078】5.耐温度変化性 40℃における塗膜の伸び率(%)、及び、20℃にお
ける塗膜の伸び率(%)を、引張り強度5mm/分、フ
ィルム幅5mm、チャック間距離20mmの引張り試験
機オートグラフ(島津製作所社製)によりそれぞれ測定
し、前者から後者を差し引いて塗膜伸び率(%)を得
た。更に、20℃における塗膜の抗張力、及び、40℃
における塗膜の抗張力をオートグラフ(島津製作所社
製)によりそれぞれ測定し、前者から後者を差し引いて
抗張力差を得た。
【0079】6.耐水性 乾燥塗膜を50×50mmサイズに切り取って40℃の
温水に浸漬し、72時間後の塗膜の重量を測定し、以下
の式により塗膜の40℃、72時間における吸水率を算
出した。
【0080】
【数1】
【0081】上式において、W0 は初期の塗膜の重量、
1 は72時間浸漬した後の塗膜の重量をそれぞれ表
す。
【0082】
【表2】
【0083】比較用の水性分散体J〜Nを主成分とする
水性塗料組成物から得られる塗膜は、耐温水性、耐候
性、造膜性、耐ブロッキング性、耐温度変化性、耐水性
の何れについても不充分であるのに対して、水性分散体
A〜Iを主成分とする本発明の水性塗料組成物から得ら
れる塗膜は、これらの何れの特性についても優れてい
た。
【0084】
【発明の効果】本発明の水性塗料組成物は、上記の構成
を有するので、耐候性、耐水性、耐変色性、耐クラック
性、重合安定性、貯蔵安定性等の基本性能のほか、造膜
性及び耐温度変化性に優れ、屋外での使用、夏冬を通じ
た使用に充分耐えられるため、特に、住宅やビル等の建
築物の内壁若しくは外壁等の壁面又は屋根、窯業用建
材、コンクリート、その他の無機質建材等の上塗り塗料
に適しており、更に、耐ブロッキング性に優れたもので
あって、貯蔵時や輸送時の安定性に特に優れているもの
であって、例えば、窯業用建材の上塗り塗料に適するも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和田 孝子 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 三輪 宏 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 Fターム(参考) 4J038 CC021 CC071 CF021 CG031 CG061 CG141 CG151 CG161 CG171 CH071 CH121 CH171 CH201 CP001 CP071 DB221 DF012 DF042 GA03 GA06 GA07 GA09 GA10 GA12 GA15 HA156 HA176 HA306 JA26 JA57 JB03 JB06 JB09 JB39 JC09 JC13 JC32 JC34 JC35 KA02 KA03 KA06 KA07 KA09 LA02 MA08 MA10 MA13 MA14 NA03 NA04 NA10 NA11 NA14 NA26 PB05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乳化重合型アクリル重合体水性分散体を
    主成分とする水性塗料組成物であって、前記乳化重合型
    アクリル重合体水性分散体は、Tgが−70〜35℃で
    あるアクリル重合体をコア部とし、Tgが25〜80℃
    であるアクリル重合体をシェル部とする多層構造粒子が
    水中に分散されてなるものであり、前記コア部の重合体
    のTgは、前記シェル部の重合体のTgよりも20℃以
    上低いものであり、前記コア部と前記シェル部との重量
    比は、2/8〜8/2であり、前記多層構造粒子は、置
    換又は無置換のシクロアルキル基含有重合性単量体
    (a)5〜70重量部、炭素数1〜14のアルコキシシ
    リル基含有重合性単量体(b)0.1〜10重量部、及
    び、その他の重合性単量体(d)10〜94.8重量部
    から得られるものであることを特徴とする水性塗料組成
    物。
  2. 【請求項2】 乳化重合型アクリル重合体水性分散体を
    主成分とする水性塗料組成物であって、前記乳化重合型
    アクリル重合体水性分散体は、Tgが−70〜35℃で
    あるアクリル重合体をコア部とし、Tgが25〜80℃
    であるアクリル重合体をシェル部とする多層構造粒子が
    水中に分散されてなるものであり、前記多層構造粒子
    は、メチルメタクリレートを主成分とする単量体を乳化
    重合してTgが25〜80℃であるアクリル重合体から
    なるシェル部を形成する第一工程ののち、単量体を引き
    続き滴下して乳化重合することによりTgが−70〜3
    5℃であるアクリル重合体からなるコア部を形成する第
    二工程により得られるものであり、前記コア部の重合体
    のTgは、前記シェル部の重合体のTgよりも20℃以
    上低いものであり、前記コア部と前記シェル部との重量
    比は、2/8〜8/2であることを特徴とする水性塗料
    組成物。
  3. 【請求項3】 前記多層構造粒子は、置換又は無置換の
    シクロアルキル基含有重合性単量体(a)5〜70重量
    部、炭素数1〜14のアルコキシシリル基含有重合性単
    量体(b)0.1〜10重量部、及び、その他の重合性
    単量体(d)10〜94.8重量部から得られるもので
    あることを特徴とする請求項2記載の水性塗料組成物。
  4. 【請求項4】 前記多層構造粒子は、置換又は無置換の
    シクロアルキル基含有重合性単量体(a)5〜70重量
    部、炭素数1〜14のアルコキシシリル基含有重合性単
    量体(b)0.1〜10重量部、炭素数1〜14のアル
    コキシシラン基含有化合物(c)0.1〜10重量部、
    及び、その他の重合性単量体(d)10〜94.8重量
    部から得られるものであることを特徴とする請求項1又
    は3記載の水性塗料組成物。
  5. 【請求項5】 前記乳化重合型アクリル重合体水性分散
    体は、pH2〜6の水性媒体中において乳化重合し、そ
    の後、塩基性物質を添加することによりpH8〜10に
    調整することにより得られるものであることを特徴とす
    る請求項1、2、3又は4記載の水性塗料組成物。
  6. 【請求項6】 前記乳化重合型アクリル重合体水性分散
    体を調製するに際して行う乳化重合は、反応性乳化剤を
    用いて行うものであり、前記反応性乳化剤の使用量は、
    乳化重合に用いる単量体の総量100重量部に対して、
    0.5〜5重量部であることを特徴とする請求項1、
    2、3、4又は5記載の水性塗料組成物。
  7. 【請求項7】 前記多層構造粒子の平均粒子径は、70
    〜300nmであることを特徴とする請求項1、2、
    3、4、5又は6記載の水性塗料組成物。
  8. 【請求項8】 更に、沸点が150〜300℃であり、
    酢酸ブチルを100とした蒸発速度が0.1〜20であ
    る有機溶剤を、前記多層構造粒子100重量部に対して
    1〜20重量部含有することを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6又は7記載の水性塗料組成物。
  9. 【請求項9】 更に、ヒンダードアミン系光安定剤を、
    前記多層構造粒子100重量部に対して0.1〜5重量
    部含有することを特徴とする請求項1、2、3、4、
    5、6、7又は8記載の水性塗料組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1、2、3、4、5、6、7、
    8又は9記載の水性塗料組成物であって、窯業用外装建
    材に用いられるものであることを特徴とする水性塗料組
    成物。
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