JP2001526058A - 糖質酸化酵素およびベーキングにおけるその使用 - Google Patents

糖質酸化酵素およびベーキングにおけるその使用

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Abstract

(57)【要約】 ドウまたはパンの特性は、対応する単糖におけるよりも有効にオリゴ糖の還元末端を酸化し得る、例えば、グルコースよりもマルトデキストリンまたはセロデキストリンを優先的に酸化する糖質酸化酵素の添加により改良され得る。グルコースよりもマルトデキストリンまたはセロデキストリンをより効果的に酸化し得る能力を有する新規の糖質酸化酵素は、ミクロドチウム属、特にM.ニバーレ(nivale)の菌株から得られる。新規の糖質酸化酵素のアミノ酸配列は、既知のアミノ酸配列と非常に低い相同性(同一性<20%)を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 産業上の利用分野 本発明は、糖質酸化酵素のベーキングにおける使用および新規な糖質酸化酵素
に関する。
【0002】 関連技術の説明 パン製造工程においては、その作用が、とりわけ、パンの肌理、容積、風味お
よび鮮度の改良、ならびにドウの機械加工性および安定性の改良をもたらすパン
改良および/またはドウ改良添加剤のドウへの添加が知られている。
【0003】 グルテンを増強し、そしてドウの流動学的および取扱い特性を改良するための
ドウ「コンディショナー」は当業界で周知であり、長きに亘って用いられてきた
。非特異的酸化体、例えばヨウ素酸塩、過酸化物、アスコルビン酸、臭素酸カリ
ウムおよびアゾジカルボンアミドは、グルテン増強作用を有する。これらの条件
としては、グルテンをそしてそれによりドウを増強するタンパク質間結合の形成
が挙げられることが示唆されてきた。
【0004】 グルテンを増強し、そしてドウの流体学的および取扱い特性を改良するために
グルコシド酸化酵素を用いることも知られている。したがって、米国特許第2,78
3,150 号は、ドウ強度、ならびに焼き上がったパンの肌理および外観を改良する
ために穀粉中でのグルコース酸化酵素の使用を開示する。欧州特許第321 811 号
および欧州特許第338 452 号は、他の酵素(スルフヒドリル酸化酵素、ヘミセル
ラーゼ、セルラーゼ)と組合せたグルコース酸化酵素のベーキングにおける使用
を開示する。しかしながら、ドウおよび/またはパン改良添加剤としてのグルコ
ース酸化酵素の有効性は、ベークド製品の調製に用いられる穀物粉中の一般的に
低いグルコース含量により限定される。
【0005】 したがって、グルコース以外の物質に作用を及ぼす酸化還元酵素の同定に関心
が持たれてきた。WO96/39851号は、D−グルコースおよびいくつかのその他の還
元糖、例えばマルトース、ラクトース、ガラクトース、キシロース、アラビノー
スおよびセロビオースをそれらのそれぞれのラクトンに酸化し、その後、それぞ
れのアルドビオン酸に加水分解し得るヘキソース酸化酵素の使用を開示する。WO
97/22257号は、ベーキングにおけるピラノース酸化酵素の使用を開示する。酵素
は位置C2でいくつかの単糖の酸化を触媒し、過酸化水素放出が付随する。その
ピラノース形態のグルコースが好ましい物質である傾向があるが、しかし、酵素
は他の基質、例えばフラノース、例えばキシロースを酸化し得る。
【0006】 グルコースおよびその他の糖を直接対応するアルドン酸に触媒する酵素は、事
実、広範に分布すると思われるが、しかし既知の糖酸化酵素のほとんどが単糖に
特異的である。土壌単離アクレモニウム・ストリクツム(Acremonium strictum
)T1株のコムギふすま培養から単離および精製されたオリゴ糖酸化酵素は、Lin
等(1991, Biochem. Biophys. Acta 1118:41-47 )に記載されている。酵素は、
還元末端にグルコース残基を有するオリゴ糖を酸化する能力を有する。酵素は、
7個までのグルコース単位から成るマルトース、ラクトース、セロビオースおよ
びマルトオリゴ糖に対する反応性を実証した。特開平 5-84074号は、分析試薬と
しての酵素の使用を開示する。
【0007】 発明の要約 本発明者は、対応する単糖より効率的にオリゴ糖の還元末端を酸化し得る、例
えばグルコースよりもマルトデキストリンまたはセロデキストリンを優先的に酸
化し得る糖質酸化酵素の添加により、ドウまたはパンの特性を改良し得る、とい
うことを見出した。これは、ドウの堅さ、粘着性、安定性および頑丈性の改良を
もたらし得る。それは、混合時間、発酵時間および含水量の増大に対するドウの
耐性も増大し得る。
【0008】 本発明者は、グルコースより効率的にマルトデキストリンおよびセロデキスト
リンを酸化する能力を有する新規な糖質酸化酵素も見出した。新規の酸化酵素は
、ミクロドチウム(Microdochium)、特に、M.ニバーレ(nivale)から得られる
。本発明者は、M.ニバーレCBS 100236のような株を単離し、寄託した。新規な糖
質酸化酵素のアミノ酸配列は、既知のアミノ酸配列と極低相同性(同一性<20 %
)を有する。
【0009】 したがって、本発明は、ドウまたはドウから作られるベークド製品の製造方法
であって、基質として2またはそれ以上の重合度を有するオリゴ糖において対応
する単糖より高い活性を有する糖質酸化酵素をドウに添加することを包含する方
法を提供する。本発明は、糖質酸化酵素を包含するパン改良添加剤も提供する。
パン改良添加剤は二次酵素(アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リパー
ゼまたはホスホリパーゼ)を包含し得るし、それは集塊化粉末または粒状形態で
あり得る。
【0010】 本発明はさらに、新規な糖質酸化酵素を提供する。糖質酸化酵素は、ミクロド
チウム・ニバーレ(Microdochium nivale )CBS 100236により産生され、配列番
号2で示されるようなアミノ酸配列を有するポリペプチドであり得るし、または
それはその類似体であり得る。糖質酸化酵素は、ミクロドチウムの株から得られ
、そして0.83 mM の基質濃度でグルコースにおける酸化活性の少なくとも2倍で
あるマルトテトラオースにおける酸化活性を有し得る。
【0011】 本発明は、ミクロドチウムの培養による前記の糖質酸化酵素の製造方法も提供
する。本発明はさらに、本発明の糖質酸化酵素の組換え的産生に有益に用いられ
る、本発明の糖質酸化酵素をコードする核酸配列、組換え体発現ベクターおよび
組換え体宿主細胞を包含する核酸構築物を提供する。さらに別の局面において、
本発明は、本発明の糖質酸化酵素の産生のための組換え方法であって、糖質酸化
酵素の産生を促す条件下で宿主細胞を培養し、そして細胞および/または培地か
ら糖質酸化酵素を回収する工程を含む方法を提供する。
【0012】 発明の詳細な説明 ベーキングにおける糖質酸化酵素の使用 本発明は、基質として2以上の重合度を有するオリゴ糖に及ぼす対応する単糖
に及ぼすより高い活性を有する糖質酸化酵素のドウへの添加を提供する。糖質酸
化酵素は、下記のようなドウおよび/またはパン改良添加剤の形態で添加し得る
。 糖質酸化酵素は一般に、ドウおよび/またはベークド製品の問題の特性の少な
くとも1つに及ぼす測定可能な作用を提供するのに有効な量で添加される。パン
改良および/またはドウ改良添加剤は、一般的に、0.01〜5 %、特に0.1 〜3 %
に対応する量でドウ中に含まれる。酵素は、典型的には0.01〜100mg 酵素タンパ
ク質/穀粉1kg 、好ましくは0.1 〜25mg/kg 、さらに好ましくは0.1 〜10mg/kg
、最も好ましくは0.5 〜5mg/kgに対応する量で添加される。
【0013】 ドウ中のオリゴ糖のレベルは、デンプンを加水分解して主要生成物としてオリ
ゴ糖を生成するアミラーゼ、例えばバシラス属ステアロサーモフィルス(Bacill
us stearothermophilus )マルトース生成性α−アミラーゼ(ノバミルNovamyl
(登録商標)として市販)、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)
α−アミラーゼ(フンガミルFungamyl(登録商標)として市販)またはβ−アミ
ラーゼの添加により増大し得る。
【0014】 オリゴ糖酸化酵素の使用は、ベークド製品の容積増大および内部構造および柔
軟性の改良、ならびにドウの強度増大、安定性および粘着性低減をもたらし、し
たがって機械加工性の改良をもたらす。その作用は、以下で考察されるグルテン
増強作用に加えて、またはその結果としてであり得る。ドウに及ぼす作用は、低
品質粉が用いられる場合に、特に有益であり得る。機械加工性の改良は、産業的
に処理されるドウに関連して、特に重要なことである。
【0015】 ドウ安定性は、ドウを焼くのに最も重要な特徴であり、大規模用途および小規
模用途の両方にとって重要である。安定したまたは強いドウは、混合時間、寝か
せ時間、およびドウ運搬中の機械的振動に対してより大きい耐容性を有し得る一
方、弱い、または低安定性のドウは、これらの処理に対して耐用性が低い。高グ
ルテン含量および良好なグルテン品質を有する小麦粉は強いドウに寄与する一方
、低タンパク質含量を含有するまたは不良グルテン品質の穀粉は弱いドウを生じ
る。したがって、優れた流動学的および取扱い特性を有する強いドウは、強グル
テン網状構造を含有する穀粉から生じる。
【0016】 オリゴ糖酸化酵素は、ドウ物質のあらゆる混合物に、ドウに、またはドウに含
入される物質のいずれかに添加し得る。即ち、オリゴ糖酸化酵素はドウ調製のい
ずれかの工程で添加し得るし、適切な場合には1または2以上の工程で添加され
、それが不活性化されることがある強い化学物質または条件に酵素を曝露しない
ようにし得る。
【0017】 基質特異性 糖質酸化酵素は、好ましくは、10mM以下の基質濃度で、2〜6の重合度を有す
るマルトオリゴ糖(特にマルトース、マルトトリオースまたはマルトテトラオー
ス)においてグルコースの場合より高い活性を有する。比較は1mM 以下の基質濃
度で成され、マルトテトラオースにおける活性は、好ましくはグルコースにおけ
る活性の2倍より大きい。糖質酸化酵素は、0.83mMの基質濃度でグルコースにお
ける酸化活性の少なくとも2倍であるマルトデキストリンまたはセロデキストリ
ンマルトテトラオースにおける酸化活性を有し得る。
【0018】 このような基質濃度は、通常ベーキング慣用手段により調製される典型的ドウ
中の濃度を代表するものである。したがって、例えば、ドウから作られた抽出物
中では、マルトースの濃度は4.1mM であることが判明したが、これはPoulsen, C
.,等(1996. Cereal Chem., 75:51-57)により記載されているように40℃で1 時
間の1:10抽出から得られた41mmol/kg のドウに対応する。十分な内因性デンプン
分解活性(例えばβ−アミラーゼ)が穀粉中に存在する場合、またはしばしば慣
用手段であるように、外因性デンプン分解酵素がドウまたは小麦粉に添加された
場合、抽出可能マルトースの量はより多くなる、ということも言及された。WO96
/39851号は同様に、マルトースが1.4 %(w/w )のレベルでドウ中に存在するこ
とを開示する。したがって、利用可能な基質、例えばマルトースの量は、小麦粉
の種類および品質、製法、混合および発酵工程、ならびにその他の添加剤の存在
によって異なる。
【0019】 pH6および50mMでは、M.ニバーレからの好ましい糖質酸化酵素は以下の優先
順位(下降順位)を有する:セロビオース>マルトース>グルコース>キシロー
ス>ラクトース。ミカエリス・メンテンの動力学を基礎にして、好ましい基質に
関する見掛けのKm 値は:59mM(セロビオース)、11mM(マルトース)、42mM(
グルコース)であり、Vmax はグルコースおよびマルトースに関して同様である
。したがって、酸化酵素は、特に低基質濃度(10mMより低い濃度)では、グルコ
ースよりマルトースを選択する。
【0020】 M.ニバーレからの好ましい糖質酸化酵素は、0.83mMの基質濃度で、対応する単
糖より高率で、DP2 〜DP5 の重合度(DP)を有するオリゴ糖を酸化し得る。した
がって、酵素はマルトデキストリンおよびセロデキストリンの両方を加水分解し
得るが、この場合、単糖単位は、グルコースより高率で、それぞれα−1,4ま
たはβ−1,4グルコシド結合により連結される。糖質酸化酵素は、DP2 〜DP5
を有するすべてのセロデキストリンを等しく十分に、そして単糖グルコースより
約10倍高いレベルで加水分解し得る。基質としてマルトデキストリンを用いた場
合、糖質酸化酵素の活性は単糖の場合よりマルトヘキサオースに関しては11/2
倍〜マルトテトラオースに関してはほぼ5倍の範囲であった。
【0021】 糖質酸化酵素特性 糖質酸化酵素は、好ましくは5〜7の範囲のpHで活性且つ安定であり、例え
ばこの範囲で40%より高い活性を有し、最も好ましくはこの範囲で最適活性を有
する。M.ニバーレからの好ましい糖質酸化酵素は、約pH6で最適活性を有し、
pH5〜7の範囲で少なくとも80%(最大活性に対して)である活性を示し、4
〜9のpHで安定であるが、しかしpH3で不安定である。
【0022】 糖質酸化酵素は、好ましくは20〜45℃で活性且つ安定であり、例えばこの範囲
で50%より高い活性を有し、最も好ましくはこの範囲で最適活性を有する。M.ニ
バーレからの好ましい糖質酸化酵素は、約40℃で最適活性を有し、30〜60℃の範
囲で少なくとも70%(最大活性に対して)の活性を示し、pH6では、それは60
℃までで安定であるが、しかし70℃では不活性である。それは73℃の変性温度を
有する。
【0023】 糖質酸化酵素は、還元末端にグルコース残基を有する還元オリゴ糖を酸化し得
る。それは、1位置のグルコース残基を酸化して対応する酸を生成する。したが
って、それはマルトースを酸化してマルトビオン酸を、ラクトースを酸化してラ
クトビオン酸を生成する。 糖質酸化酵素活性は、例えば本質的に他の非糖質酸化酵素ポリペプチドを含有
せずに、例えばSDS-PAGEにより確定した場合にタンパク質ベースで純度約80%、
さらに好ましくは純度約90%で、単離し得る。
【0024】 M.ニバーレからの好ましい糖質酸化酵素は、SDS-PAGEにより確定した場合に約
52kDa の分子量を有し、そして約8.9 の等電点を有する。それは、電子受容体、
例えばフェリシアン化カリウム、メチレンブルー、ベンゾキノンおよび2,6−
ジクロロフェノール−インドフェノール(DCPIP )を有する副活性としての脱水
素酵素を示す。
【0025】 糖質酸化酵素の供給源 オリゴ糖酸化酵素は、微生物供給源、例えば真菌類、例えば糸状真菌または酵
母菌、特に子嚢菌類(Ascomycota fungus )、例えばユーアスコミセテス(Euas
comycetes )、特にピレノミセテス(Pyrenomycetes )から得られる。 糖質酸化酵素は、例えば栄養胞子(mitosporic)ピレノミセテス、例えばアク
レモニウム属、特にA.ストリクツム(strictum)、例えばATCC 34717またはT1;
A.フシジオイデス(fusidioides )、例えばIFO 6813;またはA.ポトロニイ(po
tronii)、例えばIFO 31197 から得られる。特に好ましい実施態様では、オリゴ
糖酸化酵素は、Lin 等(1991, Biochem. Biophys. Acta 1118:41-47 )および特
開平 5-84074号により開示された供給源から得られる。
【0026】 糖質酸化酵素はさらに、キシラリアレス(Xylariales)、特に栄養胞子キシラ
リアレス、例えばミクロドチウム属(Microdochium)、特にM.ニバーレ(nivale
)種から得られる。このような菌株は、公的培養コレクション、例えばアメリカ
培養細胞コレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)、Deutsc
he Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH (DSM )およびCent
raalbureau Voor Schimmelcultures(CBS )に容易にアクセス可能である。
【0027】 ミクロドチウム属(Microdochium)は、Microdochium Syd(Samuels and Hall
ett, 1983, TBMS 81:473)に記載されている。ミクロドチウム属のいくつかの菌
株は、ゲルラキア(Gerlachia )、G.ニバリス(nivalis )、G.オリザエ(oryz
ae)、フサリウム・ニバーレ(Fusarium nivale )またはリンコスポリウム・オ
リザエ(Rynchosporium oryzae)といった同義語で記載されてきた。それらはさ
らに、Monographella (Hyponectr )fide(Muller, 1977, Rev. mycol. 41:129
)により記載されている。
【0028】 好ましい菌株は、M.ニバーレ、NN008551である。これは、インドで採取され、
1997年12月4 日の特許手続きのための微生物の寄託の国際承認に関するブダペス
ト条約Budapest Treaty on the International Recognition of the Deposits o
f Microorganisms for the Purpose of Patent Procedures にしたがって寄託番
号CBS 100236でCentraalbureau voor Schimmelculturesに寄託された天然供給源
から単離された。
【0029】 本発明者は、M.ニバーレCBS 100236から糖質酸化酵素をコードする遺伝子を単
離し、大腸菌中に挿入した。その遺伝子を保有する大腸菌株は、1998年6 月12日
の特許手続きのための微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約にしたが
ってAgricultural Research Service Collection(NRRL), 1815 North Univers
ity Street, Peoria, ILに寄託され、NRRL B-30034と命名された。
【0030】 付加的酵素 糖質酸化酵素は唯一の酵素としてドウに添加し得るか、またはそれは1以上の
付加的酵素と組合せて用い得る。付加的酵素は、アミラーゼ(例えば前記のよう
な)、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ、ペプチダーゼ、特にエ
キソペプチダーゼ、トランスグルタミナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、セル
ラーゼ、ヘミセルラーゼ、特にペントサナーゼ、例えばキシラナーゼ、プロテア
ーゼ、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、例えばWO95/00636号に記載されて
いるようなタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、グリコシルトランスフェラー
ゼおよび酸化還元酵素、例えばペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、グルコースオキ
シダーゼ、ピラノースオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、L-アミノ酸酸化酵素ま
たは付加的糖質酸化酵素等であり得る。
【0031】 付加的酵素は、あらゆる起源、例えば動物および植物、ならびに好ましくは微
生物(細菌、酵母菌または真菌)起源のものであり得るし、当業界で慣用的に用
いられる技術により得られるものであり得る。 アミラーゼは、細菌または真菌から、特にアスペルギルス属の菌株、好ましく
はアスペルギルス・ニガー(niger )またはA.オリザエから、あるいはバシラス
属の菌株から得られる。いくつかの例は、例えばバシラス属アミロリケファシエ
ンス(Bacillus amyloliquefaciens)からのα−アミラーゼおよびアスペルギル
ス・ニガーからのアミログルコシダーである。市販製品としては、BAN およびAM
G (Novo Nordisk A/S, Denmark の製品)、グリンダミルA 1000またはA 5000(
Grindsted Products, Denmark から入手可能)、ならびにアミラーゼH およびア
ミラーゼP (Gist-Brocades, The Netherlandsの製品)が挙げられる。
【0032】 プロテアーゼは、ニュートラーゼ( Novo Nordisk A/S, Denmarkから入手可能
)であり得る。 リパーゼは、サーモミセテス(フミコラ)属、リゾムムコル属、カンジダ属、
アスペルギルス属、リゾプス属またはシュードモナス属の菌株から、特にT.ラヌ
ギノスス(lanuginosus )(H. lanuginosa,欧州特許第 305,216号)、リゾムコ
ル・ミエヘイ(Rhizomucor miehei )(欧州特許第238,023 号)、C.アルクチカ
(arctica )(例えばWO88/02775号に記載されているリパーゼA またはリパーゼ
B )、A.ニガー、リゾプス・デルマール(Rhizopus delemar)またはリゾプス・
アリズス(Rhizopus arrhizus )またはP.セパシア(cepacia )(欧州特許第21
4,761 号およびWO89/01032号)から得られる。
【0033】 ドウ ドウは、一般的には、コムギ粗粉または小麦粉および/またはその他の種類の
粗粉、穀粉またはデンプン、例えばトウモロコシ粉、コーンスターチ、ライムギ
粗粉、ライムギ粉、オートムギ粉、オートムギ粗粉、ダイズ粉、サトウモロコシ
粗粉、サトウモロコシ粉、コメデンプン、コメ粉、ジャガイモ粗粉、ジャガイモ
粉またはジャガイモデンプンから成る穀粉ドウである。 ドウは新鮮なものであり得るか、凍結し得るかまたは半焼き(par-baked )し
得る。
【0034】 ドウは、通常は、パン種入りドウであるかまたは発酵を施されるドウである。
ドウは種々の方法で、例えば化学的膨張剤、例えば重炭酸ナトリウムを添加する
ことにより、またはパン種を添加することにより発酵させる(ドウを発酵させる
)が、しかし適切な酵母菌培養、例えばビール酵母菌(Saccharomyces cerevisi
ae)(パン屋の酵母菌)、例えばビール酵母菌の市販菌株を添加することにより
ドウを発酵させるのが好ましい。
【0035】 ドウは、その他の慣用的ドウ成分、タンパク質、例えばミルク、粉ミルク、グ
ルテンおよびダイズ;卵(全卵、卵黄または卵白);ショートニング、例えば粒
状脂肪または油;酸化体、例えばアスコルビン酸、臭素酸カリウム、ヨウ素酸カ
リウム、アゾジカルボンアミド(ADA )または過硫酸アンモニウム;還元剤、例
えばL-システイン;砂糖;塩、例えば塩化ナトリウム、酢酸カルシウム、硫酸ナ
トリウムまたは硫酸カルシウムも包含し得る。ドウは、乳化剤、例えばモノ−ま
たはジグリセリド、モノ−またはジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、脂
肪酸の糖エステル、脂肪酸のポリグリセロールエステル、モノグリセリドの乳酸
エステル、モノグリセリドの酢酸エステル、ポリオキシエチレンステアレート、
リン脂質、レシチンおよびリゾレシチンをさらに包含する。 ドウは、好ましくはデュラムコムギ粉または匹敵する品質の粉から調製された
パスタ生地であり得る。パスタおよびヌードルの製造に用いられる場合、糖質酸
化酵素はグルテン構造の増強を生じ、それにより生地の粘着性の低減、生地強度
の増大および改良された肌理を有する生地製品を提供し得る。
【0036】 ベークド製品 本発明の方法は、柔らかいかまたはぱりぱりした特徴を有する、白色、明色ま
たは暗色型の、ドウから調製されるあらゆる種類のベークド製品のために用い得
る。例は、典型的には長方形塊またはロール形態のパン(特に白パン全粒パンま
たはライムギパン)である。フレンチバゲット型パン、ピタパン、トルティーヤ
、ケーキ、パンケーキ、ビスケット、クッキー、マフィン、パイ皮、蒸しパン、
ピッツァ等である。
【0037】 プレミックス 本発明はさらに、ドウおよび/またはドウから作られるベークド製品の、例え
ば粉組成物の形態の、プレミックスであって、糖質酸化酵素および任意に前記の
ようなその他の酵素を包含するプレミックスに関する。プレミックスは、関連酵
素(単数または複数)を適切な担体、例えば粉、デンプン、糖または塩と混合す
ることにより調製し得る。プレミックスは、その他のドウ改良および/またはパ
ン改良添加剤、例えば前記の酵素を含めた添加剤のいずれかを含有し得る。
【0038】 ドウおよび/またはパン改良添加剤 糖質酸化酵素は、粒状または集塊化粉末の形態のドウおよび/またはパン改良
添加剤として提供し得る。ドウおよび/またはパン改良添加剤は、好ましくは25
〜500 μm の範囲に95%より多い粒子を有する狭粒子サイズ分布を示す。 粒状および集塊化粉末は、慣用的方法により、例えば流動床粗砕機中の担体上
にアミラーゼを噴霧することにより調製し得る。担体は、適切な粒子サイズを有
する粒状コアから成り得る。担体は、可溶性または不溶性で、例えば塩(例えば
NaClまたは硫酸ナトリウム)、糖(例えばスクロースまたはラクトース)、糖ア
ルコール(例えばソルビトール)、デンプン、コメ、挽き割りトウモロコシまた
はダイズであり得る。
【0039】 アミノ酸配列 糖質酸化酵素は、ミクロドチウム・ニバーレ(Microdochium nivale )CBS 10
0236により産生され、配列番号2で示されるようなアミノ酸配列を有し、または
大腸菌NRRL B-30034中に存在する遺伝子によりコードされるポリペプチドであり
得るか、あるいはその類似体であり得る。類似体は、少なくとも50%の同一性を
有し、免疫学的に交差反応し、対立遺伝子変異体または酸化酵素活性を有する断
片であり得る。糖質酸化酵素はさらに、低緊縮条件下で配列番号1の核酸配列、
その相補的鎖、または少なくとも100 ヌクレオチドのその部分列とハイブリダイ
ズする核酸配列によりコードされるポリペプチドであり得る。
【0040】 配列番号2で示されるアミノ酸配列は、既知の配列と20%未満の同一性を有す
る。それはカリフォルニアケシ(California poppy)(GenPept Accession No.
2897944 )からのレチクリン酸化酵素前駆体のアミノ酸配列と13.6%同一であり
、アルトロバクター属・オキシダンス(Arthrobacter oxidans)( GenPept Acc
ession No. 122805 )からの6−ヒドロキシ−D−ニコチンオキシダーゼのアミ
ノ酸配列と17.8%同一である。
【0041】 ポリペプチドのアミノ酸配列は、例えばFindlay and Geisow編、Protein Sequ
encing-a Practical Approach, 1989, IRL Pressに記載されているような、ペプ
チドを生成しそしてシーケンシングするための標準方法を用いて確定し得る。先
行技術のアミノ酸配列との比較は、配列番号2が従来技術のアミノ酸配列のいず
れかと少ない相同性(<20%)しか有さないことを示した。 ポリペプチドは、3アミノ酸以下、好ましくは2アミノ酸以下、さらに好まし
くは1アミノ酸以下が異なるアミノ酸配列を有する変異体であり得る。
【0042】 糖質酸化酵素は、配列番号2の位置1〜24で示されるN末端アミノ酸配列であ
るかまたは配列番号2の位置 229〜266 、 249〜271 、 303〜322 、 336〜347
、 383〜404 、 405〜414 および 420〜440 で示される内部配列である少なくと
も1つの部分配列を包含し得る。あるいは、糖質酸化酵素は、前記の部分配列の
少なくとも1つと少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、さらに好ましく
は少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なく
とも90%、最も好ましくは少なくとも97%同一であり、これは、糖質酸化酵素(
以後、「相同糖質酸化酵素」と呼ばれる)、および対立遺伝子形態およびその断
片の活性を定性的に保持し、この場合、断片は糖質酸化酵素活性を保持する。
【0043】 好ましい実施態様では、相同糖質酸化酵素は、前記の部分アミノ酸配列の少な
くとも1つと、5個のアミノ酸が、好ましくは4個のアミノ酸が、さらに好まし
くは3個のアミノ酸が、さらに好ましくは2個のアミノ酸が、最も好ましくは1
個のアミノ酸が異なるアミノ酸配列を包含する。糖質酸化酵素は、対立遺伝子形
態またはその断片を包含し得るが、この場合、断片は糖質酸化酵素活性を保持す
る。
【0044】 相同糖質酸化酵素のアミノ酸配列は、1以上のアミノ酸残基の挿入または欠失
および/または異なるアミノ酸残基による1以上のアミノ酸残基の置換によって
部分アミノ酸配列のいずれもと異なり得る。アミノ酸変化は、好ましくは少数派
性であり、即ち糖質酸化酵素の三次構造および/または活性に有意に影響を及ぼ
さない保存的アミノ酸置換である。小アミノ酸変化は、典型的には1〜約30アミ
ノ酸の小欠失;小アミノ−またはカルボキシル末端延長、例えばアミノ末端メチ
オニン残基;約20〜25残基までの小リンカーペプチド;あるいは正味電荷または
別の機能、例えばポリヒスチジン路、抗原性エピトープまたは結合ドメインを変
えることにより精製を促す小延長も含み得る。
【0045】 保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(例えばアルギニン、リシンおよびヒスチ
ジン)、酸性アミノ酸(例えばグルタミン酸およびアスパラギン酸)、極性アミ
ノ酸(例えばグルタミンおよびアスパラギン)、疎水性アミノ酸(例えばロイシ
ン、イソロイシンおよびバリン)、芳香族アミノ酸(例えばフェニルアラニン、
トリプトファンおよびチロシン)ならびに小アミノ酸(例えばグリシン、アラニ
ン、セリンおよびトレオニン)の群内にある。一般的に特異的活性を変えないア
ミノ酸置換は当業界で知られており、例えば、H. Neurath and R.L., Hill, 197
9,によりThe Proteins, Academic Press, New Yorkに記載されている。最も一般
的に生じる交換は:Ala/Ser 、Val/Ile 、Asp/Glu 、Thr/Ser 、Ala/Gly 、Ala/
Thr 、Ser/Asn 、Ala/Val 、Ser/Gly 、Tyr/Phe 、Ala/Pro 、Lys/Arg 、Asp/As
n 、Leu/Ile 、Leu/Val 、Ala/Glu 、Asp/Gly ならびにこれらの逆である。
【0046】 核酸配列 本発明は、糖質酸化酵素をコードする核酸配列を包含する核酸配列を提供する
。糖質酸化酵素コード核酸配列は、以下を包含し得る: a)大腸菌NRRL B-30034中に存在するプラスミド中にクローン化されたDNA
配列の糖質酸化酵素コード部分、または b)配列番号1の位置67〜1550に示されるDNA配列、または c)i)前記DNA配列と少なくとも50%の同一性を有し、または ii)低緊縮度で前記DNA配列、その相補的鎖またはその部分列とハイブ
リダイズする a)またはb)で定義されたDNA配列の類似体。 同一度は、少なくとも60%、好ましくは約70%、好ましくは約80%、さらに好
ましくは約90%、さらに好ましくは約95%、最も好ましくは約97%であり得る。
【0047】 対立遺伝子変異体とは、同一染色体遺伝子座を占める遺伝子の2以上の代替的
形態のいずれかを意味する。対立遺伝子変異は突然変異を介して自然に生じ、そ
して集団内に多型を生じ得る。遺伝子突然変異は、無症候性(コード化ポリペプ
チドに変化なし)であり得るか、または変化したアミノ酸配列を有するポリペプ
チドをコードし得る。ポリペプチドの対立遺伝子変異体は、遺伝子の対立遺伝子
変異体によりコードされたポリペプチドである。
【0048】 ハイブリダイゼーションは、類似核酸配列が、低、中または高緊縮条件下でオ
リゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズし(例えば5XSSPE、0.3 %SDS 、20
0mg/mlの剪断および変性サケ精子DNA、ならびにそれぞれ高、中および低緊縮
度のための50、35または25%ホルムアミド中で42℃でのプレハイブリダイゼーシ
ョンおよびハイブリダイゼーション)、その後標準サザンブロッティング処理を
施されることを示す。好ましい実施態様では、核酸配列は、CBS 100236中に保有
される本発明の糖質酸化酵素に対する核酸配列の糖質酸化酵素コード領域、その
相補的鎖またはその部分列と高緊縮条件下でハイブリダイズし得る。
【0049】 糖質酸化酵素をコードするDNA配列は、その天然の位置からそれが複製され
る異なる部位に核酸配列を再配置するために、当業界で周知の種々の方法を用い
て問題の糖質酸化酵素を産生するあらゆる細胞または微生物から単離し得る。
【0050】 CBS 100236中に保有される核酸配列の糖質酸化酵素コード領域、またはその部
分列を用いて、当業界で周知の方法により異なる属または種のその他の菌株から
糖質酸化酵素をコードする相同遺伝子を単離するためのオリゴヌクレオチドプロ
ーブを設計し得る。したがって、このようなその他の生物体から調製されるゲノ
ムまたはcDNAライブラリーは、その中の対応する遺伝子を同定し、単離する
ために、標準サザンブロッティング手法後にこのようなプローブとハイブリダイ
ズするDNAに関してスクリーニングし得る。このようなプローブは完全配列よ
りかなり短いが、しかし少なくとも15、好ましくは少なくとも25、さらに好まし
くは少なくとも40ヌクレオチド長であるべきである。好ましくは1200ヌクレオチ
ド長以下のより長いプローブも用い得る。DNAおよびRNAプローブはともに
用い得る。プローブは、典型的には対応する遺伝子を検出するために標識される
(例えば、32P、3 H、ビオチンまたはアビジンで)。本発明によれば、好まし
いプローブは配列番号1を基礎にして構築し得る。
【0051】 このようなその他の生物体からのゲノムDNAまたはその他のDNAは、アガ
ロースまたはポリアクリルアミドゲル電気泳動、あるいは当業界で既知のその他
の分離技法により分離し得る。ライブラリーからのDNAまたは分離DNAは、
ニトロセルロースまたはその他の適切な担体物質に運搬され、その上に固定化し
得る。CBS 100236中に保有される本発明の糖質酸化酵素に関する核酸配列と相同
であるクローンまたはDNAを同定するために、担体物質はサザンブロットで用
いられるが、この場合、担体物質は、最後に、好ましくは40℃以下、さらに好ま
しくは45℃以下、さらに好ましくは50℃以下、さらに好ましくは55℃以下、さら
に好ましくは60℃以下、特に65℃以下で、2X SSC、0.2 % SDSを用いて各々30分
間3 回洗浄される。これらの条件下でオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダ
イズする分子が、X線フィルムを用いて検出される。
【0052】 CBS 100236中に保有される本発明の糖質酸化酵素に関する核酸配列とハイブリ
ダイズするオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズし得る本発明の単離核
酸配列、その相補的鎖またはその部分列は、あらゆる属の微生物から、例えば細
菌または真菌供給源から得られる。
【0053】 糖質酸化酵素は、所定の微生物源から(または内生的に)得られる。したがっ
て、糖質酸化酵素は、供給源生物体により、または供給源からの遺伝子が挿入さ
れた細胞により産生し得る。 さらに、相同遺伝子は、前記のプローブを用いて自然(例えば、土壌、堆肥、
水等)から単離された微生物を含めたその他の供給源から同定され、得られる。
天然生息環境から微生物を単離するための技法は、当業界で周知である。次に、
核酸配列は、別の微生物のゲノムDNAまたはcDNAライブラリーを同様にス
クリーニングすることにより得られる。
【0054】 前記のプローブ(単数または複数)を用いて核酸配列が検出されれば、当業者
に周知の技法を用いて配列を単離またはクローン化し得る(例えば、Sambrook e
t al., 1989,上記、参照)。核酸配列を単離またはクローン化するために用いら
れる既知の技法としては、ゲノムDNAからの単離、cDNAからの調製、また
はそれらの組合せが挙げられる。このようなゲノムDNAからの本発明の核酸配
列のクローニングは、例えば、米国特許第4,683,202 号またはR.K. Saiki等(19
88, Science 239:487-491 )に記載されているように、例えば特定のプライマー
を用いて周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR )を用いることにより実行し得る。
さらに、例えば、Innis 等、 1990, PCR Protocols: A Guide to Methods and A
pplication, Academic Press, New Yorkも参照していただきたい。核酸配列は、
糖質酸化酵素を産生する生物体、あるいはその他のまたは関連の生物体からクロ
ーン化され、したがって、例えば核酸配列の糖質酸化酵素コード領域の対立遺伝
子または種変異体であり得る。
【0055】 あるいは、本酵素をコードするDNA配列は、確立された標準的方法、例えば
S.L. Beaucage and M.H. Caruthers(1981, Tetrahedron Letters 22:1859-1869
)により記載されたホスホアミダイト法、またはMatthes 等(1984, The EMBO J
. 3:801-805 )により記載された方法により、合成的に調製し得る。前記のホス
ホアミダイト法では、オリゴヌクレオチドは、例えば自動DNA合成機で合成さ
れ、精製され、アニーリングされ、連結され、そして適切なベクター中でクロー
ン化される。
【0056】 糖質酸化酵素をコードする核酸配列の修飾は、糖質酸化酵素と実質的に同様の
糖質酸化酵素の合成のために必要であり得る。糖質酸化酵素と「実質的に同様」
という用語は、非天然形態の糖質酸化酵素を指して言う。この糖質酸化酵素は、
いくつかの工学処理点で、その本来の供給源から単離された糖質酸化酵素とは異
なり得る。例えば、特定部位の突然変異誘発を用いて、変異体が特異的活性、熱
安定性、酸化的安定性、pH最適値等で異なる糖質酸化酵素の変異体を合成する
ことも当該事項であり得る。類似体配列は、CBS 100236中に保有される本発明の
糖質酸化酵素に関する核酸配列、その部分列の糖質酸化酵素コード領域を基礎に
して、および/または核酸配列によりコードされる糖質酸化酵素の別のアミノ酸
配列を生じないが、しかし酵素の産生を意図された宿主生物体のコドン使用に対
応するヌクレオチド置換の導入により、あるいは異なるアミノ酸配列を生じ得る
ヌクレオチド置換の導入により構築し得る。ヌクレオチド置換の一般的説明に関
しては、例えばFord等、1991, Protein Expression and Purification 2:95-107
を参照。
【0057】 このような置換は、分子の機能に重要な領域以外で成され、そして従前通りに
活性糖質酸化酵素を生じ得る。単離核酸配列によりコードされる糖質酸化酵素の
活性に不可欠な、したがって好ましくは置換を受けないアミノ酸残基は、当業界
で既知の手法により、例えば特定部位の突然変異誘発またはアラニン走査突然変
異誘発により同定し得る(例えば、Cunningham and Wells, 1989, Science 244:
1081-1085 参照)。後者の技法では、突然変異は分子中のすべての陽性荷電残基
で導入され、そしてその結果生じた突然変異分子がプロテアーゼ活性に関して検
査されて、分子の活性に重要なアミノ酸残基が同定される。基質−酵素相互作用
の部位は、核磁気共鳴分析、結晶学または光親和性標識により確定されるような
結晶構造の分析によっても確定し得る(例えば、de Vos et al., 1992, Science
255:306-312; Smith, et al., 1992, Journal of Molecular Biology 224:899-
904; Wlodaver, et al., 1992, FEBS Letters 309:59-64 参照)。 糖質酸化酵素は、別のペプチドがポリペプチドまたはその断片のN末端または
C末端で融合される融合ペプチドであり得る。融合ペプチドは、別のポリペプチ
ドをコードする核酸配列(またはその一部分)を本発明の核酸配列(またはその
一部分)に融合することにより産生される。融合ポリペプチドを産生するための
技法は当業界で知られており、その技法にはそれらが枠内に存在し、そして融合
ポリペプチドの発現が同一プロモーター(単数または複数)およびターミネータ
ーの制御下にあるようにポリペプチドをコードするコード配列を連結することが
含まれる。
【0058】 糖質酸化酵素コードクローンを同定するためのさらに別の方法は、ゲノムDN
Aの断片を発現ベクター、例えばプラスミド中に挿入し、糖質酸化酵素陰性細菌
をその結果生じたゲノムDNAライブラリーで形質転換し、次に形質転換化細菌
を糖質酸化酵素のための基質を含有する寒天上でプレート化し、それにより糖質
酸化酵素を発現しているクローンを同定させる工程を包含する。
【0059】 最後に、DNA配列は、断片が完全DNA配列の種々の区分に対応する適切な
場合に、合成、ゲノムまたはcDNAオリジンの断片を連結することにより標準
技法で調製された混合ゲノムおよび合成オリジン、混合合成およびcDNAオリ
ジンまたは混合ゲノムおよびcDNAオリジンのものであり得る。
【0060】 アミノ酸または核酸配列の同定 特許請求の範囲を添付した本明細書中で言及されるポリペプチド同定は、一次
配列の二次配列との偏差を示す2つの配列間の同一性度として確定される。同一
性は、Needleman, S.B. and Wunsch, C.D., (1970), Journal of Molecular B
iology, 48, 443-45に記載された方法により、ポリペプチド配列比較に関する以
下の設定で、適切に確定し得る:GAP 作成ペナルティー 3.0 、GAP 延長ペナル
ティー 0.1 。確定は、GCG プログラムパッケージ中に提供されるGAP として知
られているコンピュータープログラムによって成し得る(Program Manual for t
he Wisconsin Package, Version 8, August 1994, Genetics Computer Group, 5
75 Science Drive, Madison, Wisconsin, USA 53711 )。
【0061】 あるいは、同一性度は、LASERGENE MEGALIGNソフトウェア(DNASTAR, Inc., M
adison, WI)を、同定表および以下の多列パラメーターとともに用いて、Clusta
l 法(Higgins, 1989, CABIOS 5:151-153 )により確定し得る:ギャップペナル
ティー 10およびギャップ長ペナルティー 10。対方式列パラメーターは、Ktup
le=1、ギャップペナルティー=3、ウインドウズ=5およびダイアゴナル=5。
【0062】 類似ポリペプチドの成熟領域は、前記の糖質酸化酵素の配列との好ましくは少
なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも
80%、さらに好ましくは少なくとも90%、特に少なくとも95%の同一性度を示し
得る。 本発明の目的のために、2つの核酸配列間の同一性度は、Clustal 法(Higgin
s, 1989, CABIOS 5:151-153 )により、同定表およびギャップペナルティー 10
およびギャップ長ペナルティー 10を用いて確定し得る。
【0063】 免疫化学的特性 本糖質酸化酵素は、糖質酸化酵素活性を発現するM.ニバーレの菌株またはその
テレオモルフが本来有する糖質酸化酵素と免疫化学的同一性または部分的免疫化
学同一性を有し得る。本実施態様では、この糖質酸化酵素は、ポリペプチドのエ
ピトープと免疫反応性であるかまたはそれと結合する抗体を産生するために用い
られる。
【0064】 M.ニバーレが本来有するポリペプチドに対する抗体を含有する抗血清が同一の
様式で、例えば特定の免疫化学的技法を用いた、沈殿物の全体的融合、同一沈殿
物形態および/または同一電気泳動的移動度で他のポリペプチドと反応する場合
には、ポリペプチドはM.ニバーレが本来有するポリペプチドとの免疫化学的同一
性を有する。免疫化学的同一性のさらなる説明は、Axelsen, Bock, and Kroll i
n N.H. Axelsen, J. Kroll, and B. Weeks, editors, A Manual of Quantitativ
e Immunoelectophoresis, Blackwell Scientific Publications, 1973, Chapter
10 に記載されている。
【0065】 部分的免疫化学的同一性とは、M.ニバーレが本来有するポリペプチドに対する
抗体を含有する抗血清が部分的に同一の様式で、例えば特定の免疫化学的技法を
用いた、沈殿物の部分的融合、部分的同一沈殿物形態および/または部分的同一
電気泳動的移動度で他のポリペプチドと反応することを意味する。部分的免疫化
学的同一性のさらなる説明は、 Bock and Axelsen in N.H. Axelsen, J. Kroll
及びB. Weeks編、A Manual of Quantitative Immunoelectophoresis, Blackwell
Scientific Publications, 1973, 11章に記載されている。
【0066】 免疫化学的特性は、免疫学的交差反応同一性検定、例えば周知のオクタロニー
二重免疫拡散法により確定し得る。特に、ポリペプチドに対する抗血清は、Harb
oe及びIngild, in A Manual of Quantitative immunoelectrophoresis, N.H. Ax
elsen, J. Kroll and B. Weeks, Blackwell Scientific Publications, 1973, 2
3 章またはJohnstone 及びThorpe in Immunochemistry in Practice, Blackwell
Scientific Publication, 1982 (特にpp27-31 )に記載された手法にしたがっ
てウサギ(または齧歯類)を免疫感作することにより産生される。
【0067】 好ましくは、抗体はモノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、例え
ばAntibodies, A Laboratory Manual, E. Harlow and D. Lane, editors, 1988,
Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York に記載された方法
により調製し得る。精製イムノグロブリンは、例えば硫酸アンモニウム沈降とそ
の後の透析およびイオン交換クロマトグラフィー(例えばDEAE- セファデックス
)により、抗血清から得られる。
【0068】 糖質酸化酵素の産生 糖質酸化酵素は、当業界で既知の手法(例えば、Bennett, J.W. 及びLa Sure,
L. 編、More Gene Manipulations in Funji, Academic Press, CA, 1991)を用
いて、適切な炭素および窒素供給源ならびに無機塩を含有する栄養培地上での前
記の微生物菌株の発酵により産生し得る。適切な培地は市販供給元から入手可能
であるか、または発表された組成物(例えばアメリカ培養細胞コレクションのカ
タログ中の)により調製し得る。20℃〜30℃の範囲の温度が増殖および糖質酸化
酵素産生には適している。
【0069】 発酵は、前記の糖質酸化酵素の発現または単離を生じる細胞の培養のどれかの
方法であり得る。したがって、発酵は、適切な培地中で、そして糖質酸化酵素を
発現または単離させる条件下で実施される実験室用または産業用発酵器中での振
盪フラスコ培養、小規模または大規模発酵(例えば連続、バッチ、供給バッチ、
または固体状態発酵)を包含すると理解し得る。
【0070】 前記の方法により産生される結果により生じた糖質酸化酵素は、慣用的手法、
例えば遠心分離、濾過、噴霧乾燥、蒸発または沈澱(これらに限定されない)に
より発酵培地から回収し得る。回収されたタンパク質は、次に、種々のクロマト
グラフィー手法、例えばイオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラ
フィー、アフィニティークロマトグラフィー等によりさらに精製し得る。
【0071】 糖質酸化酵素は、(a)その野生型形態で糖質酸化酵素を発現する生物体を培
養して、糖質酸化酵素を包含する上清を生成し、そして(b)糖質酸化酵素を回
収する工程から成る方法により生成し得る。 あるいは、糖質酸化酵素は、前記の菌株からの適切な遺伝情報を含有する形質
転換化宿主生物体の好気性培養により産生し得る。このような形質転換体は、下
記のような当業界で既知の方法により調製し、培養し得る。
【0072】 核酸構築物 本発明は、制御配列に適合する条件下で適切な宿主細胞中でのコード配列の発
現を指図し得る1以上の制御配列と操作可能に連結された本発明の核酸配列を包
含する核酸構築物にも関する。
【0073】 核酸構築物は、天然遺伝子から単離された、またはそうでなければ実際には存
在しない様式で組合され、並置される核酸のセグメントを含有するよう修飾され
た一本鎖または二本鎖の核酸分子であり得る。核酸構築物は、本発明のコード配
列の発現に必要なすべての制御配列を含有する場合には、発現カセットであり得
る。コード配列は、適切な制御配列の制御下に置かれた場合に、mRNAに転写
され、本発明の糖質酸化酵素に翻訳される配列であり得る。コード配列の境界は
、一般に、5’末端の翻訳開始コドンATG および3’末端の翻訳停止コドンによ
り確定される。コード配列としては、DNA、cDNAおよび組換え核酸配列が
挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】 本発明の単離核酸配列は、種々の方法で操作可能で、糖質酸化酵素を提供し得
る。ベクターへのその挿入前の核酸配列の操作は、発現ベクターによっては望ま
しいかまたは必要であり得る。クローニング法を用いて核酸配列を修飾するため
の技法は、当業界で周知である。
【0075】 制御配列は、核酸配列のコード配列の発現に必要であるかまたは有益であるす
べての構成成分を含み得る。各制御配列は、糖質酸化酵素をコードする核酸配列
が本来有するか、または外来性であり得る。このような制御配列としては、リー
ダー、プロモーター、シグナル配列および転写ターミネーターが挙げられるが、
これらに限定されない。最小限で、制御配列はプロモーター、ならびに転写およ
び翻訳停止シグナルを含む。制御配列は、制御配列と、糖質酸化酵素をコードす
る核酸配列のコード領域との連結を促す特異的制限部位を導入するためのリンカ
ーを伴って提供し得る。
【0076】 制御配列は、核酸配列の発現に関して宿主細胞に認識される核酸配列である適
切なプロモーター配列であり得る。プロモーター配列は、糖質酸化酵素の発現を
媒介する転写制御配列を含有する。プロモーターは、選定宿主細胞中で転写活性
を示すあらゆる核酸配列であり得るし、そして宿主細胞と相同性のまたは異種の
細胞外または細胞内糖質酸化酵素をコードする遺伝子から得られる。
【0077】 特に細菌宿主内で、本発明の核酸構築物の転写を指図するのに適したプロモー
ターの例は、大腸菌lac オペロン、ストレプトミセス・コエリカラー(Streptom
yces coelicolor )のアガラーゼ遺伝子(dagA)、バシラス・ズブチリス(Baci
llus subtilis )のレバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、バシラス・リヘニホルミ
ス(Bacillus licheniformis)のα−アミラーゼ遺伝子(amyL)、バシラス・ス
テアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus )のマルトース生成性ア
ミラーゼ遺伝子(amyM)、バシラス・アミロリケファシエンス(Bacillus amylo
liquefaciens)のα−アミラーゼ遺伝子(amyQ)、バシラス・リヘニホルミス(
Bacillus licheniformis)のペニシリナーゼ遺伝子(penP)、バシラス・ズブチ
リス(Bacillus subtilis )のxylAおよびxylB遺伝子、および原核生物β−ラク
タマーゼ遺伝子(Villa-Kamaroff等、1978, Proceedings of the National Acad
emy of Sciences USA 75:3727-3731)、ならびにtac プロモーター(DeBoer et
al., 1983, Proceedings of the National Academy of Sciences USA80:21-25)
から得られるプロモーターである。さらに別のプロモーターは、“Useful prote
ins from recombinant bacteria ”in Scientific American, 1980, 242:74-94
およびSambrook等(1989、上記)に記載されている。
【0078】 真菌類宿主における転写に関しては、有用なプロモーターの例としては、アス
ペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)のTAKAアミラーゼ、リゾムムコル
・ミエヘイ(Rhizomucor miehei )のアスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペル
ギルス・ニガー(A. niger)の中性a−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガーの
酸安定性a−アミラーゼ、アスペルギルス・ニガーのグルコアミラーゼ、リゾム
ムコル・ミエヘイ(Rhizomucor miehei )のリパーゼ、A.オリザエのアルカリ性
プロテアーゼ、A.オリザエのトリオースホスフェートイソメラーゼおよびA.ニデ
ュランスのアセトアミダーゼをコードする遺伝子から得られるものが挙げられる
【0079】 制御配列は、転写を終結するために選定宿主細胞により認識される配列である
適切な転写終結配列でもあり得る。ターミネーター配列は、糖質酸化酵素をコー
ドする核酸配列の3’末端に操作可能に連結される。選定宿主細胞中で機能性で
あるターミネーターはいずれも本発明に用い得る。 制御配列は、宿主細胞による翻訳について重要であるmRNAの非翻訳領域で
ある適切なリーダー配列でもあり得る。リーダー配列は糖質転化酵素をコードす
る核酸配列の5’末端に操作可能に連結される。選定宿主細胞中で機能性である
リーダー配列はいずれも、本発明に用い得る。
【0080】 制御配列は、発現された糖質酸化酵素を細胞の分泌経路に向け得る糖質酸化酵
素のアミノ末端に連結されるアミノ酸配列をコードするシグナルペプチドコード
領域でもあり得る。シグナルペプチドコード領域は糖質酸化酵素に本来存在し得
るか、または外来供給源から得られる。核酸配列のコード配列の5’末端は、分
泌された糖質酸化酵素をコードするコード領域のセグメントと翻訳読取枠内で自
然に連結されるシグナルペプチドコード領域を内在的に含有し得る。あるいは、
コード配列の5’末端は、分泌された糖質酸化酵素をコードするコード領域の部
分に対して外来性であるシグナルペプチドコード領域を含有し得る。外来シグナ
ルペプチドコード領域は、コード配列が普通はシグナルペプチドコード領域を含
有しない場合に必要とし得る。あるいは、外来シグナルペプチドコード領域は、
通常はコード配列と関連した天然シグナルペプチドコード領域と比較して糖質酸
化酵素の分泌増強を得るために、単に、天然シグナルペプチドコード領域に取っ
て代わる。選定宿主細胞の分泌経路中に発現された糖質酸化酵素を向け得るシグ
ナルペプチドコード領域はいずれも、本発明に用い得る。
【0081】 細菌宿主細胞、特にバシラス属に関して得られる有効なシグナルペプチドコー
ド領域は、バシラス属NCIB 11837である、バシラス・ステアロサーモフィルス(
Bacillus stearothermophilus )のα−アミラーゼ遺伝子、バシラス・リヘニホ
ルミス(Bacillus licheniformis)のズブチリシン遺伝子、バシラス・リヘニホ
ルミス(Bacillus licheniformis)のβ−ラクタマーゼ遺伝子、バシラス・ステ
アロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus )の中性プロテアーゼ遺伝
子(nprT、nprS、nprM)およびバシラス・ズブチリス(Bacillus subtilis )の
prsA遺伝子からのマルトース生成性アミラーゼ遺伝子から得られるシグナルペプ
チドコード領域である。さらに別のシグナルペプチドは、Simonen およびPalva,
1993, Microbiological Reviews 57:109-137 に記載されている。
【0082】 発現ベクター 本発明は、本発明の核酸配列、プロモーター、ならびに転写および翻訳停止シ
グナルを包含する組換え発現ベクターにも関する。前記の種々の核酸および制御
配列は一緒に結合されて、このような部位での糖質酸化酵素をコードする核酸配
列の挿入または置換を可能にするために1以上の好都合な制限部位を含み得る組
換え発現ベクターを産生する。あるいは、本発明の核酸配列は、核酸配列または
その配列を包含する核酸構築物を発現のための適切なベクター中に挿入すること
により発現し得る。発現ベクターの作製に際して、コード配列は、発現のための
、そしておそらくは分泌のための適切な制御配列と操作可能的に連結されるよう
に、ベクター内に配置される。
【0083】 発現ベクターは、真核生物中では、糖質酸化酵素をコードするDNA配列と操
作可能に連結されるポリアデニル化配列も包含し得る。終結およびポリアデニル
化配列は、プロモーターと同一供給源から適切に得られる。
【0084】 組換え発現ベクターは、組換えDNA法を好都合に施され、そして核酸配列の
発現をもたらし得るあらゆるベクターであり得る。ベクターの選定は、典型的に
はベクターとベクターが導入される宿主細胞との適合性によっている。ベクター
は、線状または閉環プラスミドであり得る。ベクターは、自律複製ベクター、即
ち染色体外存在物として存在し、その複製が染色体複製とは無関係であるベクタ
ー、例えばプラスミド、染色体外素子、ミニ染色体、または人工染色体であり得
る。ベクターは、自己複製を保証するあらゆる手段を含有し得る。あるいは、ベ
クターは、宿主細胞中に導入された場合、ゲノムに組み込まれて、それが組み込
まれた染色体(単数または複数)と一緒に複製されるものであり得る。ベクター
系は、宿主のゲノムまたはトランスポゾン中に導入される全DNAを一緒に含有
する単一ベクターまたはプラスミド、2以上のベクターまたはプラスミドであり
得る。
【0085】 本発明のベクターは、好ましくは、形質転換化細胞の容易な選択を可能にする
1以上の選択可能なマーカーを含有する。選択可能マーカーは、その生成物が殺
生物剤耐性、重金属に対する耐性、栄養要求株に対する原栄養株性等を提供する
遺伝子である。細菌選択可能性マーカーの例は、バシラス・ズブチリス(Bacill
us subtilis )またはバシラス・リヘニホルミス(Bacillus licheniformis)か
らのdal 遺伝子、または抗生物質耐性、例えばアンピシリン、カナマイシン、エ
リスロマイシン、クロラムフェニコールまたはテトラサイクリン耐性を付与する
マーカーである。さらに、選定は、例えば選択可能マーカーが別々のベクターで
あるWO91/09129号に記載されているような同時形質転換により成し遂げられ得る
【0086】 本発明のベクターは、宿主ゲノム中へのベクターの安定組込み、または細胞の
ゲノムとは無関係な細胞中のベクターの自律複製を可能にする素子(単数または
複数)を含有する。 本発明のベクターは、宿主細胞中に導入された場合、宿主ゲノム中に組込まれ
得る。組込みに関しては、ベクターは糖質酸化酵素をコードする核酸配列に、ま
たは相同的組換えによるゲノム中へのベクターの安定組込みのためのベクターの
その他のあらゆる素子に頼り得る。あるいは、ベクターは、宿主細胞のゲノム中
への相同的組換えにより組込みを指図するための付加的核酸配列を含有し得る。
付加的核酸配列は、染色体中の正確な位置で宿主細胞ゲノム中にベクターを組込
ませ得る。正確な位置での組込みの見込みを増大するために、組込素子は、相同
的組換えの確率を増大するのに十分な数の核酸、好ましくは対応する標的配列と
高度に相同性である、例えば、100 〜1,500 塩基対、好ましくは400 〜1,500 塩
基対、最も好ましくは800 〜1,500 塩基対の核酸を含有すべきである。組込素子
は、宿主細胞のゲノム中の標的配列と相同であるあらゆる配列であり得る。さら
に、組込素子は、非コードまたはコード核酸配列であり得る。
【0087】 自律複製に関しては、ベクターは、問題の宿主細胞中でベクターを自律的に複
製させる複製のオリジンをさらに包含し得る。複製の細菌オリジンの例は、大腸
菌中での複製を可能にするプラスミドpBR322、pUC19 、pACYC177およびpACYC184
、ならびにバシラス属における複製を可能にするpUB110、pE194 、pTA1060 およ
びpAM β1の複製のオリジンである。複製のオリジンは、バシラス細胞中でのそ
の機能を温度感受性にさせる突然変異を有するものであり得る(例えば、Ehrlic
h, 1978, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75:1433参照
)。
【0088】 本発明の糖質酸化酵素をコードする核酸配列の1個より多いコピーが宿主細胞
中に挿入されて、核酸配列の発現を増幅し得る。核酸配列の安定増幅は、当業界
で周知の方法を用いて配列の少なくとも1つの別のコピーを宿主細胞ゲノム中に
組込み、そして形質転換体を選択することにより得られる。ゲノムDNA配列の
増幅を成し遂げるための好都合な方法は、WO94/14968号に記載されている。 糖質酸化酵素をコードし、プロモーター、ターミネーターおよびその他の素子
をそれぞれ含有するベクターを構築するのに適した手法は、当業者には周知であ
る(例えば、Sambrook等、上記と比較)。
【0089】 宿主細胞の増殖と比較して糖質酸化酵素の発現の調節を可能にする調節配列を
付加することも望ましい。調節系の例は、調節化合物の存在を含めて、化学的ま
たは物理的刺激に応答して遺伝子の発現を点滅させるものである。原核生物系に
おける調節系としては、lac 、tac およびtrp オペレーター系が挙げられる。調
節配列のその他の例は、遺伝子増幅を可能にするものである。これらの場合、糖
質酸化酵素をコードする核酸配列は、調節配列と操作可能に連結される。 細胞内発現が、例えばある種の細菌を宿主細胞として用いる場合に、いくつか
の点で有益である一方、発現された糖質酸化酵素は細胞外に分泌されるのが一般
的に好ましい。
【0090】 宿主細胞 本発明は、糖質酸化酵素の組換え的生成に有益に用いられる、前記のようなD
NA構築物または発現ベクターを包含する組換え体宿主細胞にも関する。宿主細
胞は、複製中に起こる突然変異のために親と同一でない親細胞のあらゆる子孫で
あり得る。 細胞は、好ましくは核酸配列を包含し、その後宿主染色体中に組込まれるベク
ターで形質転換される。「形質転換」とは、本発明の核酸配列を包含するベクタ
ーを、染色体一体物として、または自己複製染色体外ベクターとして保持される
ように宿主細胞中に導入することを意味する。組込みは、核酸配列が細胞中で安
定的に保持されると思われるので、有益であると一般に考えられる。宿主染色体
中へのベクターの組込みは、前記のように相同的または非相同的組換えにより起
こる。
【0091】 宿主細胞の選定は、大部分は糖質酸化酵素およびその供給源をコードする遺伝
子によっている。宿主細胞は、高等生物、例えば哺乳類または昆虫の細胞であり
得るが、しかし好ましくは微生物細胞、例えば細菌または真菌(酵母菌を含む)
細胞である。
【0092】 適切な細菌細胞の例は、グラム陽性細菌、例えばバシラス細胞、例えば、バシ
ラス・アルカロフィルス(Bacillus alkalophilus )、バシラス・アミロリケフ
ァシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バシラス・ブレビス(Bacillus b
revis )、バシラス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バシラス・コア
ギュランス(Bacillus coagulans)、バシラス・フィルムス(Bacillus firmus
)、バシラス・ラウツス(Bacillus lautus )、バシラス・レンツス(Bacillus
lentus )、バシラス・リヘニホルミス(Bacillus licheniformis)、バシラス
・メガテリウム(Bacillus megaterium )、バシラス・プミルス(Bacillus pum
ilus)、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus )
、バシラス・ズブチリス(Bacillus subtilis )およびバシラス・スリンギエン
シス(Bacillus thuringiensis);あるいはストレプトミセス細胞、例えば、ス
トレプトミセス・リビダンス(Streptomyces lividans )またはストレプトミセ
ス・ムリヌス(Streptomyces murinus)、あるいはグラム陰性細菌、例えば大腸
菌およびシュードモナス種が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実
施態様では、細菌宿主細胞はバシラス・レンツス、バシラス・リヘニホルミス、
バシラス・ステアロサーモフィルスまたはバシラス・ズブチリス細胞である。
【0093】 細菌宿主細胞の形質転換は、例えばプロトプラスト形質転換(例えば、Chang
およびCohen, 1979, Molecular General Genetics 168:111-115 参照)により、
コンピテント細胞(例えばYoung およびSpizizin, 1961, Journal of Bacteriol
ogy 81:823-829またはDubnau and Davidoff-Abelson, 1971, Journal of Molecu
lar Biology 56:209-221参照)を用いることにより、エレクトロポレーション(
例えばShigekawa およびDower, 1988, Biotechniques 6:742-751参照)により、
または接合(例えば、Koehler およびThorne, 1987, Journal of Bacteriology
169:5771-5278 参照)により実行し得る。
【0094】 宿主細胞は、真核生物、例えば哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞または真菌細
胞でもあり得る。有用な哺乳類細胞としては、モルモット卵巣(CHO )細胞、He
La細胞、ハムスター乳仔腎臓(BHK )細胞、COS 細胞、または例えばアメリカ培
養細胞コレクションから入手可能な任意数のその他の不死化細胞株が挙げられる
【0095】 好ましい実施態様では、宿主細胞は真菌細胞である。「真菌」とは、本明細書
中で用いる場合、子嚢菌門、担子菌門、ツボカビ門および接合菌門(Hawksworth
等、Ainsworth and Bisby's Dictionary of The Fungi, 8th edition, 1995, CA
B International, University Press, Cambridge, UKにより定義)ならびに卵菌
門(Hawksworth, et al., 1995、同上、p171に引用)およびすべての栄養胞子真
菌類(Hawksworth等、1995、同上)を含む。子嚢菌門の代表的群としては、例え
ば、アカパンカビ(Neurospoa )、アオカビ(Eupenicillium=Penicillium )、
コウジカビ(Emericella=Aspergillus)、コウジカビ(Eurotium=Aspergillus)
、および前記の真正酵母菌が挙げられる。担子菌の例としては、マッシュルーム
、錆病菌および黒穂病菌が挙げられる。ツボカビ門の代表的群としては、例えば
、カワリミズカビ(Allomyces )、ブラストクラジエラ(Blastocladiella )、
コエロモミセス(Coelomomyces)および水生真菌が挙げられる。卵菌類の代表的
群としては、例えばミズカビ目(Saprolegniomycetous )水生真菌(ミズカビ)
、例えば、ワタカビ(Achlya)が挙げられる。栄養胞子真菌類の例としては、コ
ウジカビ、アオカビ、カンジダおよびアルテルナリア属が挙げられる。接合菌門
の代表的群としては、例えばクモノスカビ(Rhizopus)およびケカビ(Mucor )
が挙げられる。
【0096】 好ましい実施態様では、真菌宿主細胞は酵母菌細胞である。「酵母菌」は、本
明細書中で用いる場合、子嚢胞子生成酵母菌(エンドミケス目)、担子胞子生成
酵母菌、および不完全真菌(ブラストミセテス)に属する酵母菌を含む。子嚢胞
子生成酵母菌は、スペルモフトラ科と酵母菌科に分けられる。後者は、4つの亜
科、即ちシゾサッカロミコイデアエ(Schizosaccharomycoideae )(例えば酵母
菌属)、ナドソニオイデアエ(Nadsonioideae )、リポミコイデアエ(Lipomyco
ideae )およびサッカロミコイデアエ(Saccharomycoideae )(例えば、Pichia
属、Kluyveromyces 属および酵母菌Saccharomyces 属)から成る。担子胞子生成
酵母菌としては、ロイコスポリジウム(Leucosporidim )、ロードスポリジウム
(Rhodosporidium)、スポリジオボルス(Sporidiobolus )、フィロバシジウム
(Filobasidium)およびフィロバシジエラ(Filobasidiella)属が挙げられる。
【0097】 不完全真菌に属する酵母菌は、2つの科、即ち、スポロボロミセタセアエ(Sp
orobolomycetaceae )(例えば、Sorobolomydes およびBullera 属)およびクリ
プトコッカセアエ(Cryptococcaceae )属(例えばカンジダ属)に分けられる。
酵母菌は、Biology and Activities of Yeast (Skinner, F.A., Passomore, S.
M., and Davenport, R.R., eds, Soc. App. Bacteriol. Symposium Series No.9
, 1980)に記載されているのと同様であり得る。酵母菌の生物学区および酵母菌
属の操作は、当業界で周知である(例えば、Biochemistry and Genetics of Yea
st, Bacil, M., Horecker, B.J. およびStopani, A.O.M. 編、2版、1987; The
Yeast, Rose, A. およびHarrison, J.S.編、2版、1987 ;およびThe Molecular
Biology of the Yeast Saccharomyces, Strathern et al., editors, 1981 参照
)。
【0098】 さらに好ましい態様では酵母菌宿主細胞は、カンジダ、クルイベロミセス、サ
ッカロミセス、ミゾサッカロミセス、ピチアまたはヤローウィア種の細胞である
。 最も好ましい実施態様では、酵母菌宿主細胞は、サッカロミセス・カリスベル
ゲンシス(Saccharomyces carisbergensis)、ビール酵母菌(Saccharomyces ce
revisiae)、サッカロミセス・ジアスタチクス(Saccharomyces diastaticus )
、サッカロミセス・ドウグラシイ(Saccharomyces douglasii )、サッカロミセ
ス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ノルベンシス(
Saccharomyces norbensis )またはサッカロミセス・オビホルミス(Saccharomy
ces oviformis )細胞である。別の最も好ましい実施態様では、酵母菌宿主細胞
は、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)細胞である。別の最
も好ましい実施態様では、酵母菌宿主細胞はヤローウイア・リポリチカ(Yarrow
ia lipolytica )細胞である。
【0099】 好ましい実施態様では、真菌宿主細胞は糸状真菌細胞である。「糸状真菌」は
、すべての糸状形態の亜門ユーミコタ(Eumycota)およびオオミコタ(Oomycota
)(Hawksworth, et al., 1995、同上により定義)を含む。糸状真菌類は、キチ
ン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナンおよびその他の複合多糖から成
る植物性菌糸壁を特徴とする。植物性増殖は菌糸伸長によるものであり、炭素異
化作用は無条件に好気性である。これに対比して、ビール酵母菌のような酵母菌
による植物性増殖は、単細胞葉状体の出芽により、炭素異化作用は発酵であり得
る。さらに好ましい実施態様では、糸状真菌宿主細胞は、以下の種の細胞である
が、これらに限定されない:アクレモニウム(Acremonium)、アスペルギルス(
Aspergillus )、フサリウム(Fusarium)、フミコラ(Humicola)、ケカビ(Mu
cor )、ミセリオフトラ(Myceliophthora)、アカパンカビ(Neurospora)、ペ
ニシリウム(Penisillium )、チエラビア(Thielavia )、トリポクラジウム(
Tolypocladium )およびトリコデルマ(Trichoderma )。
【0100】 最も好ましい実施態様では、糸状真菌宿主細胞は、アスペルギルス・アワモリ
(Aspergilus awamori)、アスペルギルス・フェチドウス(Aspergilus foetidu
s )、アスペルギルス・ジャポニクス(Aspergilus japonicus)、アスペルギル
ス・ニドウランス(Aspergilus nidulans )、アスペルギルス・ニガー(Asperg
ilus niger)またはアスペルギルス・オリザエ(Aspergilus oryzae )細胞であ
る。別の最も好ましい実施態様では、糸状真菌宿主細胞は、フサリウム・セレア
リス(Fusarium cerealis )、フサリウム・クルックウレンセ(Fusarium crook
wellense)、フサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フサリウ
ム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、フサリウム・サムブキヌム(Fusa
rium sambucinum )、フサリウム・スフレウム(Fusarium suphureum)またはフ
サリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)細胞である。
【0101】 別の最も好ましい実施態様では、糸状真菌宿主細胞は、フミコラ・インソレン
ス(Humicola insolens )またはフミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa
)細胞である。別の最も好ましい実施態様では、糸状真菌宿主細胞はムコル・ミ
エヘイ(Mucor miehei)細胞である。
【0102】 別の最も好ましい実施態様では、糸状真菌宿主細胞はミセリオフトラ・サーモ
フィルム(Myceliophthora thermophilum )細胞である。別の最も好ましい実施
態様では、糸状真菌宿主細胞はニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa
)細胞である。別の最も好ましい実施態様では、糸状真菌宿主細胞はペニシリウ
ム・パープロゲヌム(Penicillium purpurogenum)細胞である。別の最も好まし
い実施態様では、糸状真菌宿主細胞はチェラビア・テルレストリス(Thielavia
terrestris)細胞である。別の最も好ましい実施態様では、トリコデルマ細胞は
トリコデルマ・ハルチアヌム(Trichoderma harzianum )、トリコデルマ・コニ
ンギイ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラチアツム(Tricho
derma longibrachiatum )、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)ま
たはトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)細胞である。
【0103】 真菌細胞は、それ自体既知の方法でのプロトプラスト形成、プロトプラストの
形質転換および細胞壁の再生を含めた方法により形質転換し得る。アスペルギル
ス属の宿主細胞の形質転換に適した手法は、欧州特許第238 023 号およびYelton
等のProceedings of the National Academy of Sciences USA 81:1470-1474(19
84)に記載されている。フサリウム種を形質転換する適切な方法は、Malardier
等のGene 78:147-156 (1989)または同時係属中の米国特許第08/269,449号に記
載されている。酵母菌は、BeckerおよびGuarente, in Abelson, J.N.およびSimo
n, M.I. 編、"Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology", Methods in
Enzymology, Volume 194, pp182-187, Academic Press, Inc., New York; Ito等
Journal of Bacteriology 153:163 (1983); およびHinnen等Proceedings of t
he National Academy of Sciences USA 75:1920 (1978)に記載されている。哺
乳類細胞は、GrahamおよびVan der Eb(1978, Virology 52:546 )のリン酸カル
シウム沈澱法を用いた直接取込みにより形質転換し得る。
【0104】 産出の組換え的方法 糖質酸化酵素は、前記の糖質酸化酵素の産生を促す条件下で前記のように宿主
細胞を培養し、そして細胞および/または培地から糖質酸化酵素を回収する工程
を包含する組換え方法により産生し得る。
【0105】 これらの方法では、細胞は、当業界で既知の方法を用いて、糖質酸化酵素の産
生に適した栄養培地中で培養される。例えば、細胞は、適切な培地中で、そして
糖質酸化酵素を発現または単離させる条件下で実施される実験室用または産業用
発酵器中での振盪フラスコ培養、小規模または大規模発酵(例えば連続、バッチ
、供給バッチ、または固体状態発酵)により培養し得る。培養は、当業界で既知
の手法(例えば、M.V. Arbige 等、in Abraham L. Sonenshein, James A. Hoch
およびRichard Losick編、Bacillus subtilis and Other Gram-Positive Bacter
ia, American Society For Microbiology, Washington, D.C., 1993, pp871-895
参照)を用いて、適切な炭素および窒素供給源ならびに無機塩を含有する栄養培
地中で実施される。適切な培地は市販供給元から入手可能であるか、または発表
された組成物(例えばアメリカ培養細胞コレクションのカタログ中の)により調
製し得る。糖質酸化酵素が栄養培地中に分泌される場合には、糖質酸化酵素は培
地から直接回収し得る。糖質酸化酵素が分泌されない場合、それは細胞溶解物か
ら回収される。
【0106】 糖質酸化酵素は、ポリペプチドに特異的である当業界で既知の方法を用いて検
出し得る。これらの検出方法としては、特異的抗体の使用、酵素生成物の生成、
または酵素基質の消失が挙げることができる。例えば、酵素検定を用いて、ポリ
ペプチドの活性を確定し得る。 その結果生じる糖質酸化酵素は、当業界で既知の方法により回収し得る。例え
ば、糖質酸化酵素は、慣用的手法、例えば遠心分離、濾過、抽出、噴霧乾燥、蒸
発または沈澱(これらに限定されない)により栄養培地から回収し得る。
【0107】 本発明の糖質酸化酵素は、当業界で既知の種々の手法、例えばクロマトグラフ
ィー(例えばイオン交換、アフィニティー、疎水性、クロマトフォーカシングお
よびサイズ排除)、電気泳動法(例えば分離用等電フォーカシング(IEF )、示
差溶解度(例えば硫酸アンモニウム沈澱)、または抽出(例えば、Protein Puri
fication, J. C. JansonおよびLars Ryden編、VCH Publishers, New York, 1989
参照)を含むが、これに限定されない手法により精製し得る。
【0108】 産業用途 前記のようにベーキングに用いる他に、糖質酸化酵素は、身体ケア製品、例え
ば、特に歯の白化が望ましい場合には、歯磨き剤、マウスウォッシュ、義歯クリ
ーナー、液体石鹸、スキンケアクリームおよびローション、ヘアケアおよび身体
ケア処方物、ならびにコンタクトレンズを清浄化するための溶液中に、抗菌剤と
して作用するのに有効な量で用い得る。糖質酸化酵素は、洗濯用洗剤組成物また
は食器洗浄用組成物の構成成分でもあり得るし、そして過酸化水素の生成のため
に用い得る。洗濯用洗剤組成物は、界面活性剤、前記の糖質酸化酵素および糖質
酸化酵素のための基質を包含し得る。食器洗浄用組成物は、前記の糖質酸化酵素
および漂白剤前駆体またはペルオキシ酸、および糖質酸化酵素のための基質を包
含し得る。
【0109】 糖質酸化酵素は、例えば所定の試料中に存在する還元糖の量を確定するために
分析試薬として用い得るし、あるいは本酵素は、固定化され、電極中に挿入され
てデンプンまたはセルロース加水分解の連続測定を提供し得る。 さらに、本発明の糖質酸化酵素は、還元末端にグルコース残基を有するオリゴ
糖を対応する酸に酸化するために、例えばラクトースからラクトビオン酸を生成
するために用い得る。
【0110】 糖質酸化酵素活性の確定方法 DMAB/MBTH 検定 プレミックス: 7.2mM の3−ジメチルアミノ安息香酸(DMAB) 0.33mMの3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MB
TH) 4mg/mlの組換え体コプリヌス・シネレウス(Coprinus cinereu
s )ペルオキシダーゼ(rCiP) 0.4M/0.4M のリン酸塩/クエン酸塩緩衝液(pH6) インキュベーションミックス: 180 μl の500mM グルコース、25mMクエン酸塩、25mMリン酸塩
、pH6.0 20μl の試料 インキュベーションミックスを30℃で20分間インキュベートする。次に100ml
のインキュベーションミックスおよび100ml のプレミックスを一緒に混合する。
30秒後、540 (または490 )nmでの吸光度を読み取る。0.2mM のH2O2の標準が含
まれる。
【0111】 4AA-TOPS検定 96ウエル微小滴定プレート中で、検定を実行する。100 μl の0.1Mリン酸塩/
クエン酸塩、pH6を50μl の0.24M グルコースおよび50μl のプレミックス(
3mM の4−アミノアンチピリン(4AA )、7mM のN−エチル−N−スルホプロピ
ル−m−トルイジン(TOPS)、40 PODU/mlのrCiP)と混合し、適当に稀釈された
40μl の酸化酵素溶液を添加することにより反応を開始させる。Molecular Devi
ces から用意されたVmax微小滴定プレートを用いて、一関数時間として490nm で
吸光度を測定し、活性を吸光度の線状増加の勾配と解釈する。
【0112】 実施例 実施例1:野生型M.ニバーレからの糖質酸化酵素の産生 M.ニバーレの培養 M.ニバーレの菌株CBS 100236を、以下の完全培地を用いて発酵させた: 振盪フラスコ培地 BA Rofec (Roquette) 10 g NH4NO3(Merck ) 10 g KH2P4 (Merck ) 10 g Solcafloc (Dicacel ) 40 g MgSO4-7 (H2O ) 0.75 g プルロニック100 %(BASF) 0.1 ml 水道水で最終容量を1000mlとする pHをpH6.5 に調整し、次に500mg CaCO3 1錠を添加した。100ml の完全培
地を500ml 二枚そらせ板振盪フラスコの各々に添加した。振盪フラスコを次に、
121 ℃で40分間オートクレーブ処理した。26℃で7日間増殖させ、次に20mlの滅
菌水およびトゥイーン80(ICI )中で洗浄した5PDA 斜面培養基から調製され
た胞子懸濁液から、接種物を調製した。各振盪フラスコに2mlの胞子懸濁液を接
種し、次に26℃で10日間、125rpmで絶えず振盪しながら培養した。培養終了時に
、細胞をペレット化し、上清から酵素を精製した。
【0113】 精製 5リットル発酵から、4300mlの遠心分離化発酵ブロスを濾過し、10 kDaの分子
量カットオフを有するフィルター(Filtron )を用いて限外濾過により、660ml
に濃縮した。酵素を(NH4 2SO4を用いて200 〜400mg/mlで沈澱させた。25mMの
トリスpH7.5 中に沈殿物を溶解させた後、導電率が25mMトリス、pH7.5 と同
一になるまで、限外濾過により試料を洗浄した。試料を、同一緩衝液で平衡させ
た300ml のQ −セファロースXL(Pharmacia )のカラムに通して、通過物を収集
した。(NH4 2SO4を100mg/mlで添加後、25mMのトリス、pH7.5; 100mgの(NH 4 2SO4/ml で平衡させたHIC カラム(Toyopearl-ブチル650 )(TosoHaas)に
試料を通した。通過物を25mM酢酸塩緩衝液、pH5.0 で洗浄して、同一緩衝液で
平衡させたSP- セファロース(Pharmacia )のカラムに適用した。10カラム容積
全体で25mM酢酸塩緩衝液、pH5.0 中の1M NaClまでの線状塩勾配を用いて、結
合酵素を溶離した。活性分画をプールした。20カラム容積全体で2M(NH4 2SO4 〜0M までの線状塩勾配で25mM酢酸塩緩衝液、pH5.0 を用いて、フェニル−ス
ーパーロースカラム上でのHIC クロマトグラフィーにより調製物の最終仕上げを
実施した。活性分画をプールし、25mM酢酸塩緩衝液、pH5.0 に対して24時間透
析した。
【0114】 特性化 SDS-PAGEによる精製タンパク質の分析は、約52kDa の分子量および等電フォー
カシングによる約8.9 のPIを示した。 精製M.ニバーレ酸化酵素は顕著な黄色を示したが、これは補助因子としてのFA
D の存在を示唆する。酵素の吸光度スキャンは、酵素中のFAD の存在の特性を示
す385 および440nm での2つの吸収最大を明示した。グルコース存在下では、44
0nm でのピークは消失し、これはFAD の低減を示す。
【0115】 実施例2:M.ニバーレ糖質酸化酵素からのアミノ酸配列 M.ニバーレの高純度調製物を還元し、アルキル化した。酵素試料を次にリシル
−エンドペプチダーゼ(Wako)またはTPCK- トリプシン(Promega )で分解した
。TFA (トリフルオロアセテート)/イソプロパノール中のVydac 218TP カラム
(Vydac )上でのRP-HPLC によりペプチドを単離し、TFA /アセトニトリル中の
Vydac 218TP カラム上で再精製した。選定ペプチドをエドマン分解により分析し
た。PVDF膜上で電気ブロットされた精製酵素をシーケンシングすることにより、
N末端配列を確定した。 得られた部分配列は、配列番号2の位置1〜24で示されるN末端配列および配
列番号2の位置 229〜266 、 249〜271 、 303〜322 、 336〜347 、 383〜404
、 405〜414 、 420〜440 で示されるような内部配列であった。Swissprot およ
びEMBLデータベースに対して検索した場合、糖質酸化酵素からの配列はいずれも
如何なる関連配列とも相同性を示さなかった。
【0116】 実施例3:ミクロドチウム・ニバーレゲノムDNAの抽出 ミクロドチウム・ニバーレ(NN008551, CBS 100236)菌糸の寒天斜面培養基を
10mlの滅菌0.008 %トゥイーン20で濯いだ。2ml容積の菌糸溶液を、50mlのMY50
、pH6.0 培地を含有する250ml 振盪フラスコ中に接種した。 MY50 、pH6.0
培地は、1リットル当たり、50g のマルトデキストリン、2gのMgSO4 ・7H2O 、
10g のKH2PO4、2gのK2SO4 、2gのクエン酸、10g の酵母菌抽出物、2gの尿素およ
び0.5ml のAMG 微量元素で構成された。AMG 微量金属溶液は、1リットル当たり
、14.3g のZnSO4 ・7H2O 、2.5gのCuSO4 ・5H2O 、0.5 gのNiCl2 ・6H2O、13
.8g のFeSO4 ・7H2O 、8.5gのMnSO4 ・H2O および3g のクエン酸で構成された
。振盪フラスコを26℃で、125rpmで6日間、インキュベートした。
【0117】 6日間培養からの菌糸体を、ミラクロス(Miracloth, Calbiochem, La Jolla,
CA )を通して収集し、約50mlの10mMトリス−1mM EDTA 、pH8.0 (TE)で2
回洗浄し、圧搾乾燥した。次に菌糸体を液体窒素中で凍結させて、ドライアイス
で予備冷却させた電気コーヒー挽き器で微粉末に粉砕した。粉末の2g試料を滅菌
使い捨て50ml円錐管に移し、20ml容積の溶解緩衝液(100mM EDTA、10mMトリス、
1%トリトンX-100 ,500mM グアニジン−HCl 、200mM NaCl、pH8.0 )を徐々
に付加し、その後1ml当たり20μg のDNアーゼ無含有RNアーゼAを加えた。
混合物を37℃で30分間インキュベートした。次にプロテイナーゼK を1ml当たり
0.8mg で加え、混合物を50℃で、さらに2 時間インキュベートした。溶解混合物
を12〜15,000xgで20分間遠心分離して、不溶性破壊屑をペレット化した。
【0118】 溶解物上清を10mlのQBT 緩衝液(Qiagen, Santa Clarita, CA )で予備平衡さ
せたQiagen-tip 500 Maxi カラム(Qiagen, Santa Clarita, CA )に移して、30
mlのQC緩衝液(Qiagen, Santa Clarita, CA )で洗浄した。DNAを15mlのQF緩
衝液(Qiagen, Santa Clarita, CA )で溶離し、7容積のフィルター滅菌化イソ
プロパノールを溶離DNA溶液に加えた。溶液を静かに混合し、次に15,000xgで
20分間遠心分離して、DNAをペレット化した。ペレット化DNAを5ml の氷冷
70%エタノールで洗浄し、風乾して、500 μl のTE中に再懸濁した。
【0119】 実施例4:ミクロドチウム・ニバーレ糖質酸化酵素遺伝子のPCR 増幅 実施例2に記載した精製ミクロドチウム・ニバーレ糖質酸化酵素のN末端およ
び内部断片からの一次アミノ酸配列データを用いて、以下の縮重PCR プライマー
を作製して、実施例3で調製したゲノムミクロドチウム・ニバーレDNAから糖
質酸化酵素遺伝子を増幅した: 前進プライマー(N末端ペプチド配列):GCIGCIGGIGTICCIATHGAYAT (配列番
号:3) 復帰プライマー(内部ペプチド配列):IGGRTCIGCRTARTTDATRTACAT(配列番号
:4)
【0120】 増幅は、メーカーの使用説明書にしたがって、Hot Wax Optistart (商標)キ
ット(Invitrogen, San Diego, CA )を用いて成し遂げられた。下記の表中に示
したようにpHおよびMg2+濃度が互いに異なる6つの反応を生じさせた: 1.5mM MgCl2 2.5mM MgCl2 3.5mM MgCl2 pH8.5 反応物1 反応物2 反応物3 pH9 反応物4 pH9.5 反応物5 pH10 反応物6 増幅反応物(50μl )は、鋳型として1.62μl のミクロドチウム・ニバーレゲ
ノムDNA、50pmolの各プライマー、1XPCR 緩衝液、5 μl の10mM dNTP ミック
ス、および適量のMg2+を含有するHotWax Mg2+ ビーズを含有した。下記のように
プログラムされたパーキン−エルマー480 熱循環器中で、反応を循環させた:サ
イクル1:94℃で2.5 分および72℃で2 分間;サイクル2〜37:各々、94℃で45
秒、50℃で45秒、72℃で2 分間;サイクル38:94 ℃で45秒、50℃で45秒、72℃で
10分間。サイクル39は4℃での浸漬サイクルであった。
【0121】 各反応からの9μl 容積を、50mMトリス−50mMホウ酸−1mM EDTA (TBE )緩
衝液を用いて、1%アガロースゲル上で電気泳動処理した。反応物4、5および
6は、1335塩基対で主バンドを明示した。反応物4、5および6をプールし、前
と同様に1%アガロースゲル上で電気泳動処理した。ゲルから1335塩基対バンド
を切り出して、Qiaex IIゲル抽出キット(Qiagen, Santa Clarita, CA )を用い
て精製した。次に、メーカーの使用説明書にしたがって、精製1335塩基対 PCR生
成物をpCR2.1-TOPO (Invitrogen, San Diego, CA )中にクローン化して、大腸
菌TOP10 細胞(Invitrogen, San Diego, CA )中で形質転換した。Wizard Maxi
Prepキット(Promega, Madison, WI)を用いて、プラスミドDNAを形質転換体
から単離した。メーカーの使用説明書にしたがって、Applied Biosystems Prism
377DNAシーケンサー、ならびに377XL コレクションおよび分析ソフトウェア
(Perkin Elmer, Applied Biosystems, Foster City, CA )を用いて、単離プラ
スミドDNAをシーケンシングした。配列データは、1335塩基対断片がミクロド
チウム・ニバーレ糖質酸化酵素遺伝子の一部をコードすることを確証した。
【0122】 実施例5:ミクロドチウム・ニバーレゲノムDNAのサザンブロット 実施例3で調製したゲノムDNAの試料を、サザンハイブリダイゼーション(
Maniatis等、Molecular Cloning, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor P
ress, Cold Spring Harbor, New York, 1982)により分析した。約3μg のゲノ
ムDNAを大腸菌KpnI、NotI、SacI、SphIまたはXbaI(Boehringer Mannheim, I
ndianapolis, IN )で消化し、TBE 緩衝液を用いて0.6 %アガロースゲル上でサ
イズにより分別した。短波長UV光下でゲルを撮影し、0.5M NaOH-1.5M NaCl 中に
30分間、その後1M トリス−HCl 、pH8-1.5M NaCl 中に15分間浸漬した。ゲル
中のDNAを、ターボブロット法(Schleicher and Schuell, Keene, New Hamps
hire)を用いて、20XSSPE (3M塩化ナトリウム−0.2M二塩基性リン酸ナトリウム
−0.02M 二ナトリウムEDTA)中での毛管ブロッティングにより、Hybond Nハイブ
リダイゼーション膜(Amersham Life Science, Arlington Heights, IL)上に移
した。膜をUV(UV Stratalinker 2400, Stratagene, La Jolla, CA)で架橋させ
て、次に静かに攪拌しながら、45℃で下記のハイブリダイゼーション緩衝液中に
2 時間浸漬させた:5XSSPE、50%ホルムアミド(V/V )、0.3 %SDS および200
μg/mlの変性および剪断化サケ精巣DNA。
【0123】 ミクロドチウム・ニバーレ糖質酸化酵素のコード配列の一部を含有する、実施
例4に記載した1335塩基対断片を、α[32P ]dCTP(Amersham, Arlington Heig
hts, IL )を用いて、無作為プライミング(Prime it II, Stratagene, La Joll
a, CA )により放射能標識した。α[32P ]dCTP標識化断片を、緩衝液1ml当た
り約1x106 cpm の活性でハイブリダイゼーション緩衝液に加えた。混合物を振盪
水浴中で45℃で一夜、膜とともにインキュベートした。インキュベーション後、
0.2 %SDS を含有した2XSSC (0.3M NaCl 、30mMクエン酸ナトリウム、pH7.0
)中で45℃で各々15分間、3 回、膜を洗浄した。膜を紙タオル上で15分間乾燥さ
せた後、プラスチックラップを被せて、増感板(Kodak, Rochester, NY)を用い
て-70 ℃で3 時間、X線フィルムに曝露させた。
【0124】 サザンブロットは、SacI消化物を含有するレーン中の3kb バンドの存在を示し
た。SacI消化物は増幅するのに十分小さく、全長遺伝子を含有するには十分大き
いバンドサイズを生じたため、それは逆PCR により鋳型遺伝子を単離するために
用いられた。
【0125】 実施例6:ミクロドチウム・ニバーレ糖質酸化酵素遺伝子のコード配列の逆PC
R 逆PCR を用いて、ミクロドチウム・ニバーレ糖質酸化酵素遺伝子の全コード配
列を単離するための1335塩基対断片の5’および3’フランキングDNAを得た
。ミクロドチウム・ニバーレゲノムDNA(実施例3)6μg の試料をSacIで完
全に消化した後、メーカーの使用説明書にしたがって、QIAquickヌクレオチド除
去キット(Qiagen, Santa Clarita, CA )を用いて精製した。精製消化DNAの
1μg 試料を、最終容積500 μl 中で10単位のT4リガーゼ(Boehringer Mannhei
m, Indianapolis,IN)および1Xリガーゼ緩衝液とともに14〜16℃で一夜、自己連
結させた。次にリガーゼを65℃で15分間、反応物をインキュベートすることによ
り、熱不活性化した。Microcon 30 (Millipore, Bedford, MA)を用いて、反応
物を濃縮した。反応生成物を、QIAquickヌクレオチド除去キットを用いて精製し
た。自己連結生成物を次に、逆PCR のための鋳型として用いた。
【0126】 以下のプライマーを、従来のPCR の場合とは反対方向に、糖質酸化酵素遺伝子
の5’および3’末端に作製して、1335塩基対 PCR生成物の既知の領域から増幅
した: 上流1199塩基対:TCCAGTTCTACGACCGCTACG(配列番号:5) 下流158 塩基対:CAGACTTGGCAGAGACCTTGA(配列番号:6)
【0127】 増幅反応物(100 μl )は、100pmol の各プライマー、1μg のSacI消化およ
び自己連結化ゲノムDNA、10μl の10mM dNTP ミックス、1x Taqポリメラーゼ
緩衝液(Perkin Elmer, Foster City, CA )および5単位のTaq ポリメラーゼ(
Perkin Elmer, Foster City, CA )を含有した。滅菌鉱油を反応物の上部に層化
して、下記のようにプログラムされたパーキン−エルマー480 型熱循環器中に入
れた:サイクル1:94℃で2.5 分および72℃で2 分間;サイクル2〜11:各々、
94℃で30秒、55℃で45秒、72℃で2 分間;サイクル12〜28: 各々94℃で30秒、55
℃で45秒、72℃で2 分間で、1サイクル当たり20秒間の延長を伴う;サイクル29
:72 ℃で10分間。サイクル30は4℃での浸漬サイクルであった。
【0128】 反応物を、TBE 緩衝液を用いて1%アガロースゲル上で電気泳動処理した結果
、3kb バンドが明示された。ゲルから3kb バンドを切り出して、Qiaex IIゲル抽
出キットを用いて精製した。次に、精製3kb PCR 生成物をpCR2.1-TOPO 中でクロ
ーン化して、大腸菌TOP10 細胞中で形質転換し、大腸菌pEJG40/TOP10を生成した
。大腸菌pEJG40/TOP10は、1998年6 月12日の特許手続きのための微生物の寄託の
国際承認に関するブダペスト条約にしたがってAgricultural Research Service
Collection(NRRL), 1815 North University Street, Peoria, ILに寄託され、
NRRL B-30034と命名された。
【0129】 Wizard Maxi Prepキットを用いて、プラスミドDNAを形質転換体から単離し
た。染料−ターミネーター化学(Giesecke et al., 1992, Journal of Virol. M
ethods 38:47-60 )によるプライマーウォーキング技法にしたがって、Applied
Biosystems Prism 377DNAシーケンサー、ならびに377XL コレクションおよび
分析ソフトウェアを用いて、単離プラスミドDNAをシーケンシングした。lac
前進およびlac 復帰プライマーの他に、下記のオリゴヌクレオチドシーケンシン
グプライマーをシーケンシングのために用いた: 1335塩基対断片に関するシーケンシングプライマー: IACRTCRAARTARTARTCIACRAARTT (配列番号:7) RTTIACCCAICCRTC (配列番号:8) IGGRTCIGCRTARTTDATRTACAT(配列番号:9) DATRAARTCIACRTGRTCRAARTT(配列番号:10) CCAYTGYTCIGGIGTICCRTARTA(配列番号:11) CTCGCCACTTTCCCTGCTCCC (配列番号:12) CTCGGTCACCAAGGCTCTCCC (配列番号:13) GACCGCTACGACAACAACCAG (配列番号:14)
【0130】 逆PCR 生成物に関するシーケンシングプライマー: TCGGAGAAATGAGAGCAACCA (配列番号:15) AGCCGACGTCCAGCATAGCAG (配列番号:16) ACCCTACCATACGAGTTCACG (配列番号:17) GGTCGAATCGTCACAAAGTAT (配列番号:18) CACTGGACTGCCGACTGGATG (配列番号:19) CAACAACCAGACCTACCC(配列番号:20) CTCAGCAGCACTTCTTTTCAT (配列番号:21)
【0131】 シーケンシングは、65塩基対の1個のイントロンを含有する1448塩基対(配列
番号:1)の開放読取枠(ORF )を有する核酸配列を明示した。このORF のG+
C含量は、58.33 %である。翻訳開始の−3位置は、−3位置は常にアデニンで
あるというコザック規則と一致してアデニンである。推定TATAモチーフも、−12
2 に存在し、TATAAAである。 推定アミノ酸配列(配列番号:2)は、54,678ダルトンの産出分子量を有する
495 アミノ酸のタンパク質を実証した。van Heijneの規則(van Heijne, 1984,
Journal of Molecular Biology 173:243-251)に基づいて、最初の18個のアミノ
酸は、新生ポリペプチドを小胞体に向かわせる分泌シグナルペプチドを包含する
と思われる。シグナルペプチドを予測するためのvan Heijneプログラムを用いて
、30.395のスコアが得られた。精製ミクロドチウム・ニバーレ糖質酸化酵素断片
(実施例2)から得られる部分ペプチドのアミノ酸配列は、推定アミノ酸配列に
見出されるものと一致したが、但し、N末端アミノ酸配列がシグナルペプチドの
直後に続かないという点で、4個のアミノ酸プロペプチドが存在し得る。
【0132】 実施例7:ミクロドチウム・ニバーレ糖質酸化酵素発現ベクターの構築 下記の2つの合成オリゴヌクレオチドを合成して、フサリウムおよびアスペル
ギルス宿主細胞中でのサブクローニングおよび発現のために、ミクロドチウム・
ニバーレゲノムDNAからの糖質酸化酵素遺伝子をPCR 増幅した。発現ベクター
pDM181およびpBANE15 中での遺伝子断片のサブクローニングを促すために、SwaI
およびPacI制限酵素部位を、それぞれ糖質酸化酵素の5’および3’末端に導入
した。
【0133】 前進プライマー:5'-GATTTAAATATGCGTTCTGCATTTATCTTG-3'(配列番号:22) 復帰プライマー:5'-GTTAATTAATTATTTGACAGGGCGGACAGC-3'(配列番号:23) 太字(各々の位置10〜30)は、コード配列を示す。 PCR 、精製およびサブクローニングは実施例4と同様に実施したが、但し、循
環パラメーターは以下のように変更した:サイクル1:94℃で2 分、60℃で4 秒
および72℃で45秒間;サイクル2〜37:各々、94℃で45秒、60℃で45秒、72℃で
2 分間;サイクル38:94 ℃で45秒、60℃で45秒、72℃で6 分間。サイクル39は4
℃での浸漬サイクルであった。
【0134】 ベクターpDM181は、調節配列としてフサリウム・オキシスポルムのトリプシン
様プロテアーゼプロモーターおよびターミネーターを、そして真菌形質転換のた
めの選択可能マーカーとしてストレプトミセス・ヒグロスコピクスのbar 遺伝子
を含有する(WO98/20136号; de Block等、1987, EMBO Journal 6:2513-2518)。
ベクターpBANE15 (図1)は、TAKAプロモーターおよびAMG ターミネーター、な
らびに真菌形質転換のための選択可能マーカーとしてアスペルギルス・ニドゥラ
ンスの遺伝子を含有する。両ベクターは、大腸菌中での選択のためのamp 遺伝子
も含有する。
【0135】 前記で得られた糖質酸化酵素クローンをSwaIおよびPacIで消化し、0.8 %アガ
ロースゲル電気泳動により、TBE 緩衝液およびQiaex IIゲル抽出キットを用いて
精製した。消化断片をSwaIおよびPacIで予め消化しておいたpDM181およびpBANE1
5 中でクローン化して、それぞれ発現プラスミドpEJG35およびpEJG33を生じた(
図2および3)。 発現プラスミドを大腸菌XL10 Gold 細胞(Stratagene, La Jolla, CA)中で形
質転換させた。正確なプラスミドを含有する形質転換体を単離し、Wizard Maxi
Prepキットを用いてプラスミドDNAを調製した。
【0136】 実施例8:アスペルギルス・オリザエ中でのミクロドチウム・ニバーレ糖質酸
化酵素遺伝子の発現 プロトプラスト形質転換(Yelton等、1984, Proceedings of the National Ac
ademy of Sciences USA 81:1470-1474)を用いて、pEJG33をプロテアーゼ欠損性
アスペルギルス・オリザエ宿主菌株JaL142(Christensen 等、1988, Bio/Techno
logy 6: 1419-1422 )およびJaL228(WO98/12300号)中で形質転換させた。100
μl のプロトプラスト(2x106 )を、約5μl のpEJG33を含有した14mlファルコ
ン管中に入れ、静かに混合した。10mMトリス−HCl 、pH7.5 −10mM CaCl2中の
250 μl の容積の60%PEG 4000を加え、静かに回転させながら混合した。次に試
験管を37℃で30分間インキュベートした。3mlのSTC (1.2Mソルビトール、10mM
トリス、pH7.5 、10mM CaCl2)を加え、逆方向に混合した。
【0137】 次に溶液を、1リットル当たり342.3gのスクロース、10mlの1.5M CsCl 、10ml
の 1M アセトアミド、20mlの1x Cove 塩溶液および1%寒天から成るCoveプレー
ト上に直接載せた。50x Cove塩溶液は、1リットル当たり26g のKCl 、26g のMg
SO4 ・7H2O、76g のKH2PO4および50mlのCove微量金属で構成された。 Cove 微量
金属溶液は、1リットル当たり0.04g のNaB4O7・10H2O 、0.4gのCuSO4 ・5H2O、
1.2gのFeSO4 ・7H2O、0.7gのMnSO4 ・H2O 、0.8gのNaMoO2・2H2Oおよび10g のZn
SO4 ・7H2Oで構成された。プレートを37℃で5 日間インキュベートした。形質転
換体を同一培地のプレートに移し、37℃で5 日間インキュベートした。同一条件
下で同一プレートを用いて、胞子を画線し、単離コロニーを採取することにより
、形質転換体を精製した。全体的に、12のアスペルギルス・オリザエJaL142形質
転換体および22のアスペルギルス・オリザエJaL228形質転換体が回収された。
【0138】 形質転換体を前記のように個々のCOVEプレート上で増殖させて、次にWiHeveen
等(1990, Applied Microbial Biotechnology 33:683)が記載した指標プレート
を用いて、糖質酸化酵素活性に関して検査した。非形質転換化宿主は対照として
用いた。合計11の陽性形質転換体が同定された。各陽性形質転換体の胞子ストッ
クを、滅菌脱イオン水を用いて作製した。非形質転換化宿主を含む500 μl の容
積の各胞子ストックを、25mlのMY50培地を含入する125ml 振盪フラスコ中に接種
した。振盪フラスコを37℃で200rpmで7 日間、インキュベートした。ミクロドチ
ウム・ニバーレ糖質酸化酵素は補助因子としてFAD を含有するため、1組のフラ
スコは52μM のリボフラビン5’−ホスフェート(Sigma Chemical Co., St. Lo
uis, MO )も含有した。
【0139】 500 μl の試料を各フラスコから3、5および7日目に取り出して、糖質酸化
酵素活性に関して検定した。糖質酸化酵素活性は、10μl の上清を含有し、その
後1μl のo−アニシジン、69μl のブリットン−ロビンソン緩衝液、pH6.0
、10μl の1M D −グルコースおよびWO92/16634号で得られたような10μl のコ
プリヌス・シネレウスのペルオキシダーゼ(3.76PODU/ml )を加えた96ウエルプ
レート中で測定した。活性は、mOD/分で405nm で10分間測定した。形質転換体は
すべて、検出可能な糖質酸化酵素活性を生じた。リボフラビン5’−ホスフェー
トの振盪フラスコへの添加は、活性増大に小さな影響を及ぼした。最高糖質酸化
酵素生成体からの20μl の試料を、8 〜16%トリス−グリシンゲル(Novex, San
Diego, CA)上で動かして、糖質酸化酵素の生成を確証した。
【0140】 最高活性を有する形質転換体は、単離コロニーを新規のCOVEプレート上に引き
続き2回貼り付けることにより形質転換、その後振盪フラスコ中で再増殖させて
、糖質酸化酵素の生成を確証するために前記と同様に糖質酸化酵素活性に関して
再検査することにより精製された胞子であった。
【0141】 pEJG33を含有するアスペルギルス・オリザエJaL228の発酵を、ヌトリオース、
酵母菌抽出物、(NH4 2HPO4 、MgSO4 ・7H2O、クエン酸、K2SO4 、CaCl2 ・H2 O および微量金属溶液を含有する2リットル実験室用発酵器中で、34℃で、pH
7 で、1000〜1200rpm で8 日間、実施した。微量金属溶液(1000X )は、1リッ
トル当たり、22g のZnSO4 ・7H2O 、11g のH3BO3 、5gのMnCl2 ・4H2O、5gのFe
SO4 ・7H2O、1.6gのCoCl2 ・5H2O、1.6gの(NH4 6Mo7O24 および50g のNa4EDT
A で構成された。ある発酵液は、1リットル当たり2X10-4M FMN を補充された(
GOX003.8)が、一方他のものは補充されなかった(GOX002.8)。 前記と同様に8日目試料を分析した。結果は、両発酵物中の糖質酸化酵素活性
の存在を示したが、しかし糖質酸化酵素活性の差は、2つの発酵ブロス間では検
出されなかった。
【0142】 実施例9:フサリウム・ベネナツム中でのミクロドチウム・ニバーレ糖質酸化
酵素遺伝子の発現 pEJG35を、BASTA (商標、ホスフィノトリシン耐性選択)を用いるRoyer 等の
方法(1995, Bio/Technology 13:1479-1483 )を用いて、フサリウム・ベネナツ
ムCC1-3 菌株(WO97/26330号)中に導入した。除草剤BASTA (商標)中の活性成
分は、ホスフィノトリシンである。BASTA (商標)は、AgrEvo(Hoechst Scheri
ng, Rodovre, Denmark)から得られ、使用前に、フェノール:クロロホルム:イ
ソアミルアルコール(25:24:1 )で2回、クロロホルム:イソアミルアルコール
(24:1)で1回抽出した。BASTA (商標)の存在下での増殖を基礎にして、14の
形質転換体を回収し、次に1リットル当たり20mlの50X Vogels培地(Royer 等、
1995, 同上)、25g のスクロース、25g の不活性寒天、および25MmのNaNO3 を含
有し、5mg のBASTA (商標)を補充した個々の寒天プレート上で室温で増殖させ
た。次にWiHeveen等(1990, 同上)が記載した指標プレートを用いて、糖質酸化
酵素活性に関して形質転換体を検査した。検査した5つの形質転換体が陽性であ
った。対照として非形質転換化フサリウム・ベネナツムCC1-3 を含む各々の陽性
形質転換体からの小片を、1リットル当たり0.5gのCaCl2 を補充された30mlのM4
00Da培地を含入する125ml 振盪フラスコ中に接種し、30℃で150rpmで攪拌しなが
ら7 日間インキュベートした。 M400Da 培地は、1リットル当たり、50g のマル
トデキストリン、2 g のMgSO4 、2 g のKH2PO4、4 g のクエン酸、2 g の尿素、
0.5gのCaCl2 および1mlのCove微量元素で構成された。1組のフラスコは52μM
のリボフラビン5’−ホスフェートも含有した。
【0143】 3、5および7日目に、500 μl の培養ブロスを各フラスコから取り出して、
遠心分離した。実施例8と同様に、上清を糖質酸化酵素活性に関して検定した。
形質転換体はすべて、検出可能な糖質酸化酵素活性を生じた。リボフラビン5’
−ホスフェートの振盪フラスコへの添加は、本質的に活性増大に影響を及ぼさな
かった。最高糖質酸化酵素生成体からの20μl の試料を、8 〜16%トリス−グリ
シンゲル(Novex, San Diego, CA)上で動かして、糖質酸化酵素の生成を確証し
た。最高活性産生体は、Vogels/BASTA(商標)プレート上で精製された胞子であ
った。
【0144】 pEJG33を含有するフサリウム・ベネナツムCC1-3 の発酵を、1リットル当たり
20g のスクロース、2.0gのMgSO4 ・7H2O、2.0gのKH2PO4、2.0gのクエン酸・H2O
、2.0gのCaCl2 ・2H2Oおよび0.5ml のAMG 微量金属(滅菌前にpH4.5 に調整)
から成る培地、ならびに培地の滅菌および冷却後に添加される1リットル当たり
2.5gの尿素および30mlのダイズビタミン混合物から成る濾過滅菌混合物を含有す
る2リットル発酵器中で、30℃で8 日間実施した。供給流は、スクロースおよび
尿素で構成されるオートクレーブ処理混合物を計り分けた。 実施例8と同様に8日目試料を分析した。結果は、糖質酸化酵素活性の存在を
示した。
【0145】 実施例10:組換え体ミクロドチウム・ニバーレ糖質酸化酵素の精製 実施例8と同様に調製した2つのアスペルギルス・オリザエJAL228発酵JaL228
ブロス、GOX002.8(1.2 1 )およびGOX003.8(1.4 1 )を組み合せた。ワットマ
ン#2濾紙を用いて組み合せブロスを濾過し、次に洗浄し、S1Y10 膜を装備した
Amicon Spiral-濃縮器を用いて限外濾過により512ml に濃縮した。実施例8と同
様の糖質酸化酵素活性の測定は、本質的に100 %の酵素回収率を示した。 次に濃縮物を、10mMトリス−HCl 、pH8で予備平衡させたQ-セファロースカ
ラム(189ml; Pharmacia Biotech, Inc., Piscataway, NJ)上に載せた。前記と
同様の糖質酸化酵素活性の測定は、ほとんどの酵素がカラムと結合しないことを
示した。
【0146】 Q-セファロースカラムからのフロースルー分画(760ml )を、10mM MEA、pH
5.5 で予備平衡させたSP- セファロースカラム(176ml; Pharmacia Biotech, In
c., Piscataway, NJ)上に載せた。糖質酸化酵素を10mM MEA、pH5.5 中の1M N
aCl で溶離すると、これはSDS-PAGEにより見掛けの電気泳動純度を有する糖質酸
化酵素調製物を生じた。下記の酸素電極検定を基礎にして、全体で14倍の精製が
成され、回収率は31%であった。0.26mlの10mM MEA、pH5.5 、30μl の1.0M D
- グルコースおよび3μl の糖質酸化酵素から成る検定溶液で、Hansatech O2
極を用いて、糖質酸化酵素を測定した。
【表1】
【0147】 実施例11:組換え体糖質酸化酵素の分子特性 Novex 8 〜16%トリス−グリシンSDS-PAGEゲルを用いたSDS-PAGEは、実施例8
および9と同様にして得られた組換え体糖質酸化酵素が、野生型糖質酸化酵素と
同様の約55kDa の分子量を有することを示した。 組換え体糖質酸化酵素のN末端シーケンシングを、オンラインHPLCおよび液相
トリフルオロ酢酸(TFA )送達を用いて、Applied Biosystems 476A タンパク質
シーケンサー(Perkin Elmer, Applied Biosystems Division, Foster City, CA
)で実行した。還元条件下で、Novex Nupage MOPS 緩衝液を用いて、Novex 10%
ビス−トリス−SDS-PAGEゲルを用いたSDS-PAGE処理を組換え体糖質酸化酵素調製
物に施した。10mM CAPS 、pH11.0緩衝液中で、25ボルトで2時間、ゲルをPVDF
膜(Novex, San Diego, CA)にトランスブロットした。PVDF膜を40%メタノール
/1%酢酸中の0.1 %クーマシーブルーR250で染色し、観察されたバンドを切り
出した。切り出したバンドを、シーケンシング試薬(Perkin Elmer, Applied Bi
osystems Division, Foster City, CA)を用いてブロットカートリッジからシー
ケンシングした。フェニルチオヒダントイン−アミノ酸の検出は、酢酸、酢酸ナ
トリウムおよびヘキサンスルホン酸ナトリウムを含有する18mlのプレミックス濃
縮物(Perkin Elmer, Applied Biosystems Division, Foster City, CA)を有す
る水中に3.5 %テトラヒドロフランを含有する緩衝液A、ならびにアセトニトリ
ルを含有する緩衝液Bを用いて、オンラインHPLCにより成し遂げた。データを収
集し、Applied Biosystems 610データ分析ソフトウェアを用いてマッキントッシ
ュIIsiで分析した。
【0148】 切り出した両方バンドのN末端シーケンシングは、配列番号2の位置1 〜21で
示される配列を生じ、この場合位置6は確定されなかったが、しかし推定アミノ
酸配列を基礎にして、システインである。N末端結果は推定アミノ酸配列と一致
し、これはアスペルギルス・オリザエおよびフサリウム・ベネナツム宿主の両方
による正確なプロセッシングを示した。
【0149】 10mM MEA− NaCl 、pH5.5 中で、組換え体糖質酸化酵素は1cm石英浅鉢を有
するShimadzu UV160U 分光光度計で記録されたようなフラボタンパク質に典型的
なUV- 可視スペクトルを有した。280 および450nm での相対吸光度は19で、野生
型酵素に関して得られた12という値よりわずかに大きかった。アミノ酸分析によ
り280nm での吸光度係数を測定し、その値は1.9g/ (1xcm)であったが、一方予
測値は2.1 (FAD 分子からの関与を含む)であった。したがって、各組換え体糖
質酸化酵素は1個のフラビン分子(おそらくはFAD )を含有したと考えられた。
【0150】 各D-グルコース分子の参加が1個のO2 のH2 2 への還元と結びつけられる
と仮定して、実施例10に記載した Hansatech O2 電極を用いて組換え体糖質
酸化酵素活性を測定した。組換え体糖質酸化酵素は、pH5.5 で20℃で、4.0 IU
/A280 または116 代謝回転/分という特異的活性でD−グルコース(0.1M)を酸
化した。実施例8に記載したコプリヌス・シネレウスのペルオキシダーゼ/アニ
シジン法により検定した場合、組換え体糖質酸化酵素は野生型酵素と同じ特異的
活性を有した。
【0151】 実施例12:基質特異性 60mM基質濃度での基質特異性 M.ニバーレからの糖質酸化酵素に関する基質特異性を、以下の順序で混合する
ことにより、周囲温度で微小プレートで確定した: 50μl 0.4/0.4Mリン酸塩/クエン酸塩緩衝液(pH6) 50μl 基質(360mM ) 50μl 21.6mMの3−ジメチルアミノ安息香酸(DMAB) 50μl 1mM の3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH) 50μl 75μg/mlの組換え体コプリヌス・シネレウスのペルオキシダーゼ(
rCiP) 50μl 糖質酸化酵素
【0152】 595nm での吸光度を、少なくとも3分間追跡調査した。1分当たりの吸光度の
増大を算出し、相対活性に関する測定値として用いた。 種々の単糖および二糖類基質上での本発明の糖質酸化酵素の酸化活性の結果を
下記の表に要約した。この表は、糖質酸化酵素がほとんどの還元糖を酸化し、対
応する単糖のグルコースより高い活性をマルトースおよびセロビオースにおいて
示すことを示している。本酵素は、非還元糖、例えばフルクトース、スクロース
、トレハロースおよびメチル−b−D−グルコピラノシドにおいては活性を示さ
なかった。結果は、D−セロビオースにおける最適活性と比較した、M.ニバーレ
酸化酵素の基質特異性として示されている。
【0153】 基質 活性(%) D−グルコース 69 2−デオキシ−D−グルコース 4.2 D−ガラクトース 31.3 D−マンノース 3.2 D−キシロース 55.6 D−マルトース 83.5 D−セロビオース “100 ” ラクトース 52.5
【0154】 0.83mMでの基質特異性 基質特異性のさらなる分析は、M.ニバーレからの糖質酸化酵素が、基質濃度を
0.83mMに変えた以外は前記の検定条件を用いて、試験した全重合度(DP)、DP2-
DP5 のオリゴ糖を酸化し得ることを明示した。さらに、本酵素は、単糖残基単位
がそれぞれα−1,4−またはβ−1,4−グルコシド結合により連結されるマ
ルトデキストリンおよびセロデキストリンの両方を加水分解し得る。糖質酸化酵
素は、試験したすべてのセロデキストリンを等しく十分に、そして単糖の約10倍
のレベルで加水分解した。基質としてマルトデキストリンを用いた場合、糖質酸
化酵素の活性は、単糖の場合よりマルトヘキサオースに関しては11/2 倍〜マル
トテトラオースに関してはほぼ5倍の範囲であった。下記の表に結果を要約する
。表は、DP1 (D−グルコース)と比較して糖質酸化酵素活性に及ぼす重合度お
よび1,4−結合の種類の影響を示す。
【0155】 活性(%) DP α−1,4 β−1,4 1 “100 ” 2 211 949 3 348 1147 4 477 1111 5 161 1014
【0156】 1 %基質濃度での基質特異性 多糖に関するM.ニバーレからの糖質酸化酵素の酸化活性の分析は、1%の基質
濃度を用いて前記の検定条件で試験した場合に、透析によるオリゴ糖および単糖
の少量化または除去後でさえ、本酵素がカルボキシメチルセルロース(CMC )に
おいて有意の活性を有し得る、ということを明示した。結果を下記の表に要約す
る。表は、D−セロビオースと比較したカルボキシメチルセルロースにおける糖
質酸化酵素活性を示す。 基質 活性(%) D−セロビオース “100 ” CMC 17.7 CMC,透析 8.8
【0157】 10Mm基質濃度での基質特異性 種々の基質におけるM.ニバーレからの糖質酸化酵素の酸化活性を、pH7.8 (
50mMトリス−HCl 緩衝液)で、10Mm基質で測定した。アクレモニウムからの糖質
酸化酵素に関する同様のデータを、比較のために含める(BBA (1991)1118,41-
47に記載)。
【表2】
【0158】 実施例13:マルトースの酸化 1−位置での還元基がM.ニバーレからの糖質酸化酵素により酸化されることを
実証するために、以下の条件下で、マルトースの酸化をクロマトグラフィー的に
追跡調査した:50μl の精製M.ニバーレ糖質酸化酵素を加える前に、125 μl の
0.2Mクエン酸塩−リン酸塩緩衝液、pH6を250 μl の10mMマルトースおよび75
μl の水に加えた。絶えず振盪しながら、30分までの間、40℃で試料をインキュ
ベートした。95℃で100 μl の試料を900 μl の水に加えることにより反応を停
止させた。次に、50μl の反応ミックスを、下記の条件を用いて、陰イオン交
換クロマトグラフィー(CarboPac PA1カラム、Dionex)とその後のDionex DX-50
0 システムでのパルス化電流検出(Dionex)により分析した:
【0159】 流量 1ml/ 分 A緩衝液 0.1M NaOH (He中で脱ガス) B緩衝液 0.1M NaOH 、0.6mM 酢酸ナトリウム(He中で脱ガス) 勾配: 0 〜3 分 5 %B緩衝液 3 〜19分 5 〜30%B緩衝液 19〜21分 30〜100 %B緩衝液 21〜23分 100 %B緩衝液 23〜24分 100 〜5 %B緩衝液
【0160】 標準マルトデキストリン(DP1-7 )は、Sigma Chemical Co.から購入した。マ
ルトビオン酸は、Fitting & Putman(1952) J. Biol. Chem. 199:573 により調
製した。 前記の方法を用いて、マルトースは約8.0 分の滞留時間を有するピークとして
検出され、マルトビオン酸は約13.3分の滞留時間を有するピークとして検出され
る。前記の条件で、マルトビオン酸はM. nivale 糖質酸化酵素の存在下でマルト
ースから生成され、ピークは約13.3分で現れる。したがって、糖質酸化酵素は、
マルトース中の遊離還元末端基を酸化する。生成されるマルトビオン酸の量は、
反応混合物中のマルトビオン酸(μM )としてR下記のように示される。 インキュベーション時間(分) マルトビオン酸(μM ) 0 0 5 150 10 370 30 880
【0161】 実施例14:結合定数Km 糖質酸化酵素基質の濃度を変え、4AA-TOPS検定により糖質酸化酵素活性を確定
することにより、定常状態動力学を実行した。単純ミカエリス−メンテン動力学
が仮定されるが、しかし反応は単純一基質−一生成物メカニズム(E+S←→E
S→E+P)ではない。 M.ニバーレからの糖質酸化酵素に関する定常状態動力学を、いくつかの好まし
い基質を用いて調べた。ラインウイーバー−バークプロットから運動定数が得ら
れたが、これは、種々の基質に関する見掛けの値「Km 」および「Vmax 」を得
るための単純ミカエリス−メンテン動力学であると考えられる(しかしこれはか
なり不十分な仮定である)。「Km 」に関する結果を以下に示す: グルコース: 42mM マルトース: 11mM セロビオース: 59mM
【0162】 糖質酸化酵素は、セロビオースで最高活性を示す。しかしながら、セロビオー
スに関する「Km 」は、マルトースのほぼ6倍である。同様に、グルコースに関
する「Km 」はマルトースの場合より有意に高く、一方「Vmax 」は2つの基質
に関しては大体同じである。したがって、低濃度の基質でのマルトースに対する
従来示されていた選択は、マルトースに関する「Km 」の値により説明される。
【0163】 実施例15:pHおよび温度活性プロフィール pH範囲全体のM.ニバーレからの糖質酸化酵素の活性を、実施例12に記載し
た方法を用いて、しかし、緩衝液は検定されるpHに調整して、周囲温度で、微
小プレートで確定した。下記の結果(pH6.32での最適値と比較した活性)は、
糖質酸化酵素がpH5〜7で最適活性を有し、それは合理的広範囲のpH活性プ
ロフィールを有する、ということを示す。 pH 活性% 3.38 5.58 4.28 27.69 5.31 88.97 6.32 100.00 7.15 96.20 8.05 57.25
【0164】 ガラス管中で緩衝液と基質を混合し、種々の温度で(30〜80℃)少なくとも5
分間、予備インキュベートすることにより、糖質酸化酵素に関する温度活性プロ
フィールを確定した: 150ml の0.4/0.4Mリン酸塩/クエン酸塩、pH6 150ml の180mM マルトース 150ml の酸化酵素稀釈液
【0165】 酸化酵素の添加により反応を開始し、適切な温度で恒温浴中で試料をインキュ
ベートした。5分後、試料を氷上に置いて、実施例12と同様のそれぞれの濃度
での450 μl のDMAB:MBTH:rCiP(1:1:1 )の付加によりH2 2 の生成を確定し
、590nm での吸光度の増大を、HP8452A ダイオードアレイ分光光度計(Hewlett-
Packard )で、10分後に測定した。インキュベーションなしのブラインドも含め
た。下記の結果(50℃での最適値との比較)は、本酵素が少なくとも60℃まで活
性で、50℃で最適活性を有することを示した。 ℃ 活性% 30 86.28 40 90.98 50 100.00 60 79.95 70 2.27
【0166】 実施例16:DSC による温度安定性 M.ニバーレからの糖質酸化酵素の試料を、NAP-5 カラム(Pharmacia )を用い
て、0.1M MES、pH6中で脱塩した。試料(6.5mg/mlの酸化酵素を含有)をVP-D
SC装置(MicroCal)上に載せて、20〜90℃の線状走査を、90°/時間の走査速度
で実施した。 変性温度は73℃であることが判明した。
【0167】 実施例17:温度およびpH安定性 温度安定性: M.ニバーレからの糖質酸化酵素を種々の温度でpH6で10分間予備インキュベ
ートした後、4AA-TOPS検定により残留活性を測定した。 温度(℃) 残留活性(%) 40 81 50 78 60 100 70 19 80 2 結果は、本酵素は60℃までは安定であるが、しかし70℃以上では不安定である
ことを示す。これは、DSC 実験から得られた結果と一致する。
【0168】 pH安定性: M.ニバーレからの糖質酸化酵素を40℃で種々のpHで2時間インキュベートし
た後、4AA-TOPS検定により残留活性を測定した。 pH 残留活性(%) 3 2 4 100 5 95 6 93 7 99 8 97 9 93 結果は、本酵素はpH4〜9の範囲では安定であるが、しかしpH3では不安
定であることを示す。
【0169】 実施例18:グルテン流動学に及ぼす糖質酸化酵素の作用 パン生地レシピ 小麦粉 100 %(=10g ) 水 58%(酵素溶液を含む) 塩 1.5 % 砂糖 1.5 % 小麦粉は、メネバ(Meneba)種の粉であった。粉はアスコルビン酸を含有しな
かった。
【0170】 パン生地を10g マイクロミキサー(NSI-33R 型、National Manufacturing Co.
)中で2:30分混合した。 M. ニバーレからの糖質酸化酵素は、混合前に添加し
た。混合後、パン生地を、相対湿度85%で32℃で90分間寝かせた。2 %NaClの溶
液でパン生地のグルテンを洗い落とし(Glutomatic 2200 (Perten Instruments
)中で7分間)、次にGluten Index遠心分離器2015(Perten Instruments)中で
1分間、遠心分離した。
【0171】 振動下でのパン生地の強度を評価するために、一定周波数(1Hz)で歪みスイ
ープを実施して、Bohlin VOR流動計システム(Bohlin Instruments)でグルテン
流動学を分析した。この方法では、パン生地の粘弾性特性は2つの構成成分、即
ち動的剪断貯蔵弾性率G'と、動的剪断損失弾性率G"に分けられる。損失弾性率対
貯蔵弾性率の比は、粘弾性相角度dの正接と数的に等しい。貯蔵弾性率G'の増大
および相角度dの低減は、より強く、より弾性度の高いパン生地を示す。
【0172】 糖質酸化酵素 G’ G'' d なし(参照) 349.5 166.4 25.46 50U/kg 小麦粉 397.9 176.3 23.89* 100U/kg 小麦粉 456.3* 193.7* 23.02* 200U/kg 小麦粉 523.0* 207.4* 21.77* 500U/kg 小麦粉 554.7* 207.3* 20.49* 1000U/kg小麦粉 708.5* 249.4* 19.40*
【0173】 結果は、G'貯蔵弾性率がパン生地に添加される糖質酸化酵素の用量に比例して
増大することを示す。d相角度に関しては、すべての糖質酸化酵素処理パン生地
が参照と異なり、相角度は添加される酵素の量に比例して低減する。したがって
、糖質酸化酵素は弾性率を増大し、したがって、用量依存的にパン生地弾性を増
大する。数値は、3つの別々の測定の平均である。星印のついた数値は、5 %レ
ベルの有意で、ANOVA 分析により参照と統計学的に有意である。
【0174】 実施例19:パン生地稠密度に及ぼす糖質酸化酵素の作用 ベーキング手法 基本レシピ: 小麦粉(メネバ) 12g (°100 %) 水 60%(酵素溶液を含む) イースト 4 % 砂糖 1.5 % NaCl 1.5 % 小麦粉はアスコルビン酸を含有しなかった。 手法:パン生地を10g マイクロミキサー(NSI-33R 型、National Manufacturing
Co.)中で21/2 分混合した。M.ニバーレからの糖質酸化酵素は、混合前に添加
した。混合後の最終パン生地温度は約27℃であった。混合直後にパン生地を評価
した。
【0175】 パン生地の評価 パン生地の粘着性および堅さを、以下の尺度により経験的に測定した: 評価システム 1 2 3 4 5 6 堅さ: 非常に 柔らか 柔らか 普通 堅い 堅過ぎ 柔らか 過ぎ /良好 粘着性: ほとんど 粘り 粘着性 良好 乾燥 乾き 液体 過ぎ 過ぎ
【0176】 1日当たりの用量に関して3回繰り返して使用して、評価を2日間実施した。
下記の表に要約したデータは、6回の評価の平均値を示す。結果は、パン生地の
堅さおよび粘着性の両方が、糖質酸化酵素の能力の用量依存性増大の同一傾向を
示して、優れたパン生地稠密性を生じたことを示す。200 および300 単位/kgで
は、熟練パン職人はパン生地が優れた堅さと粘着性を有し非常に空気稠密性であ
ると評価した。
【0177】 糖質酸化酵素 堅さ 粘着性 なし(参照) 3.0 2.3 10U/kg 小麦粉 3.0 3.0 50U/kg 小麦粉 3.5 3.4 100U/kg 小麦粉 4.0 4.0 200U/kg 小麦粉 4.0 3.8 300U/kg 小麦粉 4.1 4.1 500U/kg 小麦粉 4.8 4.8 ブロメート 4.0 3.5
【0178】 実施例20 種々の処理パラメーターの変動に対するミクロドチウム・ニバーレ糖質酸化酵
素(MCO )の耐性を調べるために、「欧州ストレートパン生地」標準スケールベ
ーキング検定(小麦粉2kg )でMCO を検査した。標準ベーキング手法(ABF-SP,
1217.01/01)と比較して、含水量を増大し、混合時間を増大し、および/または
発酵時間を増大することにより、パン生地は強く引っ張られた。本試験は、MCO
がこれらの変化に対してパン生地をより耐性にさせ得るか否かを明らかにするこ
とを目的とした。実際のベーキング手法をシミュレートするために、フンガミル
スーパーMA(キシラナーゼおよびアミラーゼ)と組合せて、MCO を検査した。
設定は、不完全統計的計画を基礎にした。MCO を含有しない対照と比較して、MC
O の添加は良好なパン生地/パン頑丈性をもたらした。例えば、直立(=「足」
の領域)で評価する場合、それは、例えばMCO 使用(0-200 U )と1.5 %の水添
加の増大および混合時間の+2分の増大との間には、有意の相互作用は認められ
ないと考えられる。
【0179】
【表3】
【0180】
【表4】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 プラスミドpBANe15 を示す。
【図2】 プラスミドPejg33を示す。
【図3】 プラスミドPejg35を示す。 詳細は実施例で示される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/20 C12N 1/21 1/21 9/04 D 5/10 C12Q 1/00 B 9/04 1/26 C12Q 1/00 G01N 33/66 C 1/26 C12N 15/00 ZNAA G01N 33/66 5/00 A // A61K 38/44 A61K 37/50 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE, KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,L T,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE, SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,U A,UG,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ディブダル,ロネ デンマーク国,デーコー−2100,コペンハ ーゲン エー,トレプカスガデ 6 (72)発明者 フグルサンク,クラウス クロネ デンマーク国,デーコー−2990 ニバ,ポ ッペルヘイ 43 (72)発明者 シュー,フェン アメリカ合衆国,カリフォルニア 95776, ウッドランド,カーメル バレー ドライ ブ 1534 (72)発明者 ゴライトリー,エリザベス アメリカ合衆国,カリフォルニア 95616, デイビス,コリナ コート 1114

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドウおよび/またはドウから作られるベークド製品の製造方
    法であって、基質としての重合度2以上のオリゴ糖において対応する単糖におけ
    るより高い活性を有する糖質酸化酵素をドウに添加することを包含する方法。
  2. 【請求項2】 糖質酸化酵素が10mM以下の基質濃度でグルコースにおけるよ
    り2〜6の重合度を有するマルトオリゴ糖(特にマルトース、マルトトリオース
    またはマルトテトラオース)においてより高い活性を有する請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 糖質酸化酵素がミクロドチウム属またはアクレモニウム属の
    菌株、好ましくはM.ニバーレ(nivale)の菌株、さらに好ましくはCBS 100236か
    ら得られる請求項1または2の方法。
  4. 【請求項4】 対応する単糖におけるよりも基質としての重合度2以上のオ
    リゴ糖においてより高い活性を有する糖質酸化酵素を包含する粉、ドウまたはベ
    ークド製品。
  5. 【請求項5】 以下の: a)対応する単糖におけるよりも基質としての重合度2以上のオリゴ糖にお
    いてより高い活性を有する糖質酸化酵素、および b)アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、リパーゼおよびホスホリパ
    ーゼから成る群から選択される二次酵素 を包含するドウおよび/またはパン改良添加剤。
  6. 【請求項6】 二次酵素がデンプンを加水分解して主生成物としてオリゴ糖
    を生成するアミラーゼである請求項5の組成物。
  7. 【請求項7】 アミラーゼがバシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus
    stearothermophilus )のマルトース生成性α−アミラーゼ、アスペルギルス・
    オリザエ(Aspergillus oryzae)のα−アミラーゼまたはβ−アミラーゼである
    請求項6の組成物。
  8. 【請求項8】 対応する単糖におけるよりも基質としての重合度2以上のオ
    リゴ糖においてより高い活性を有する糖質酸化酵素活性を包含する、粒状または
    集塊化粉末の形態のドウおよび/またはパン改良添加剤。
  9. 【請求項9】 95%(質量で)以上が25〜500 μm の粒子サイズを有する請
    求項8の添加剤。
  10. 【請求項10】 以下の: a)ミクロドチウム・ニバーレ(Microdochium nivale )CBS 100236により
    産生されるポリペプチド、または b)大腸菌NRRL B-30034中に存在するプラスミド中にクローン化されたDN
    A配列の糖質酸化酵素コード部分によりコードされるポリペプチド、または c)配列番号2で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド、または d)以下の: i)前記ポリペプチドと少なくとも50%の同一性を有し、または ii)精製形態の前記ポリペプチドに対して生じた抗体と免疫学的に反応性
    であり、または iii)前記ポリペプチドの対立遺伝子変異体であり、または iv)糖質酸化酵素活性を有する前記ポリペプチドの断片である (a)、(b)または(c)で定義されたポリペプチドの類似体、または e)低緊縮条件下で以下の: i)配列番号1の位置67〜1550に示されるDNA配列、または ii)相補的的鎖、または少なくとも100 ヌクレオチドのその部分列 とハイブリダイズする核酸配列によりコードされるペプチド である糖質酸化酵素。
  11. 【請求項11】 ミクロドチウム属の菌株、好ましくはM.ニバーレ(nivale
    )の菌株から得られる請求項10の糖質酸化酵素。
  12. 【請求項12】 ミクロドチウム属の菌株から得られ、0.83mMの基質濃度で
    グルコースにおける酸化活性の少なくとも2倍のマルトテトラオースにおける酸
    化活性を有する糖質酸化酵素。
  13. 【請求項13】 M. ニバーレ(nivale)の菌株、好ましくはM.ニバーレ(
    nivale)CBS 100236株から得られる請求項12の糖質酸化酵素。
  14. 【請求項14】 糖質酸化酵素の製造方法であって、適切な栄養培地中でミ
    クロドチウムの糖質酸化酵素産生菌株を培養し、その後糖質酸化酵素を回収する
    工程を包含する方法。
  15. 【請求項15】 前記菌株がM.ニバーレ(nivale)の菌株、好ましくはCBS
    100236である請求項14の方法。
  16. 【請求項16】 請求項10〜13のいずれかの糖質酸化酵素をコードする
    核酸配列を包含する核酸配列。
  17. 【請求項17】 以下の: a)大腸菌NRRL B-30034中に存在するプラスミド中にクローン化されたDN
    A配列の糖質酸化酵素コード部分、または b)配列番号1の位置67〜1550に示されるDNA配列、または c)i)前記DNA配列と少なくとも50%の同一性を有し、または ii)低緊縮度で前記DNA配列、その相補的鎖またはその部分列とハイブ
    リダイズする a)またはb)で定義されたDNA配列の類似体 を包含する糖質酸化酵素コード核酸配列。
  18. 【請求項18】 適切な発現宿主中での糖質酸化酵素の発現を指図し得る1
    以上の制御配列と操作可能に連結される請求項16または17の核酸配列を包含
    する核酸構築物。
  19. 【請求項19】 請求項18の核酸構築物、プロモーター、ならびに転写お
    よび翻訳停止シグナルを包含する組換え発現ベクター。
  20. 【請求項20】 請求項18の核酸構築物を包含する組換え宿主。
  21. 【請求項21】 糖質酸化酵素の製造方法であって、糖質酸化酵素の発現を
    促す条件下で請求項20の宿主細胞を培養し、糖質酸化酵素を回収する工程を包
    含する方法。
  22. 【請求項22】 糖質酸化酵素の製造方法であって、以下の: a)ミクロドチウムからの糖質酸化酵素産生菌株からの糖質酸化酵素をコー
    ドするDNA配列を単離し、 b)適切なベクター中でDNA断片を適切な発現シグナル(単数または複数
    )と組合せて、 c)適切な異種宿主生物体をベクターで形質転換し、 d)脂肪分解酵素の発現をもたらす条件下で形質転換化宿主生物を培養し、
    そして e)培地から糖質酸化酵素を回収する 工程を包含する方法。
  23. 【請求項23】 請求項10〜13のいずれかの糖質酸化酵素を発現し得る
    ミクロドチウム属の菌株。
  24. 【請求項24】 M.ニバーレ(nivale)、好ましくは菌株CBS 100236である
    前記請求項の菌株。
  25. 【請求項25】 身体ケア製品のための請求項10〜13のいずれかの糖質
    酸化酵素の使用。
  26. 【請求項26】 還元糖の量を確定するための分析試薬としての請求項10
    〜13のいずれかの糖質酸化酵素の使用。
  27. 【請求項27】 デンプンまたはセルロース加水分解の連続測定を提供する
    ための電極中の分析試薬としての請求項10〜13のいずれかの固定化糖質酸化
    酵素の使用。
  28. 【請求項28】 ラクトースからラクトビオン酸を生成するための請求項1
    0〜13のいずれかの糖質酸化酵素の使用。
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